解説

食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える夕食は2回に分けて食べると糖尿病やメタボリックシンドロームの発症予防が期待できる

Food Order and Food Timing Effect Glycemic Excursions: Consuming Dinner Dividedly May Have an Advantage for Improvement of Metabolic Control and May Prevent Future Type 2 Diabetes and Metabolic Syndrome

Saeko Imai

今井 佐恵子

京都女子大学

Shizuo Kajiyama

梶山 静夫

梶山内科クリニック

京都府立医科大学

Published: 2018-06-20

本稿では,何をどれだけ食べるか,すなわち栄養のバランスに留意しながら適切な栄養量を摂取する従来の食事療法に加え,さらに食事をどのように食べるのか,「食べる順番」の違いにより,食後血糖値やインスリンなどホルモンの分泌がどのように変化するかを概説する.次に,朝食の欠食や夜間の食事摂取は,体重増加につながることが知られているが,遅い時刻の夕食摂取と血糖値の関係についてはまだ明らかにされていない.食事をいつ食べるのか,食べる時間の違いが血糖値に与える影響について概説する.食後高血糖は,糖尿病患者だけでなく,軽症糖尿病や糖尿病予備軍の状態から動脈硬化を促進させる(1).高血糖は,血管内皮障害や炎症を引き起こし,動脈硬化を進展させ,脳梗塞,心筋梗塞のリスクを高める,一方,低血糖は心血管イベント,認知症を進めることが報告されている(2).さらに,血糖変動幅が大きいと動脈硬化を促進させ,がんや認知症を進めることが明らかとなってきた.したがって,心血管障害などをはじめとする合併症を抑制するためには,糖尿病患者だけでなく健常者にとっても,血糖変動を抑制する食べ方が重要になる.

糖尿病の食事療法とは

1. 糖尿病食事療法のための食品交換表

従来,糖尿病の食事療法の目的は,良好な血糖コントロールを維持し,さまざまな合併症を防ぐことである.そのために,個々の病態や生活習慣に応じた適切な栄養量と栄養のバランスをとる必要がある.具体的なエネルギー量は身体活動量の強度により25から35 kcalに標準体重を乗じて求める.血糖値に最も及ぼす栄養素は炭水化物であるが,脂質とタンパク質も影響を及ぼす.

糖尿病食事療法のための食品交換表は,多く含まれている栄養素別に食品を6つの表に分類し,指示栄養量によってそれぞれを組み合わせて摂取する方法である(3)3) 日本糖尿病学会編・著:糖尿病食事療法のための食品交換表第7版,文光堂,2014..適切なエネルギー摂取をしながら,栄養バランスをとることができ,熟練すると摂取栄養量を概算できるようになり,非常に優れたツールである.しかし,患者にとっては,食品の計量,単位数の計算など煩雑であり,適用あるいは継続が困難な場合も少なくない.また,知識は十分にあっても行動変容が伴わないケースも多々見られる.

2. グリセミックインデックス

炭水化物はエネルギーになる糖質とエネルギーにならない食物繊維から構成される.食物繊維はほとんど消化吸収されないので,血糖上昇を抑える働きがある.特にペクチン,アルギン酸,グルコマンナンなど水溶性食物繊維は,粘りがあり,胃から小腸への移動を遅らせ,小腸では栄養素を包み込んで吸収を緩やかにする.また,水溶性食物繊維は腸内細菌の餌となり,酢酸,プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成し,腸内環境の改善に有効である.未精製穀類などに含まれる不溶性食物繊維であるセルロース,へミセルロース,リグニンなどは,水分を吸収し,腸の蠕動運動を高め,便秘解消などに役立つ.

食物繊維の血糖上昇抑制効果に着目したものが,グリセミックインデックス(Glycemic index)である(4)4) D. J. Jenkins, T. M. Wolever, R. H. Taylor, H. Barker, H. Fielden, J. M. Baldwin, A. C. Bowling, H. C. Newman, A. L. Jenkins & D. V. Goff: Am. J. Clin. Nutr., 34, 362 (1981)..グリセミックインデックスは,ブドウ糖50 gを摂取したときの2時間の血糖上昇曲線下面積を100としたとき,同量の糖質を含む食品を摂取したときの血糖上昇曲線下面積の割合をGI値として算出する.GI値が低い食品,たとえば玄米や全粒粉パンは血糖値が上昇しにくく,GI値が高い食品,白米,白パンは血糖値が急上昇する.しかし,グリセミックインデックスにはいくつかの問題点がある.第一に,通常食品を単独で摂取することは少なく複数の食品を組み合わせて摂取すること,第二にGI値の低い食品でも適量以上に摂取すると血糖値は上昇すること,第三にGI値は健常者の食後2時間の血糖値データであり糖尿病患者のデータではないこと,また同じ個人であってもばらつきが見られることである.さらに,日本人は白米や白パンに対する嗜好が強く,玄米などに変えても長続きしないことが多い.したがって,GI値は参考として食事療法に取り入れることが適切と考える.

3. カーボカウント

食物のなかで急激に血糖値を上げるのは糖質であるため,食事中の糖質量を計算して血糖値をコントロールする食事療法がカーボカウントである.主にインスリン治療を必須とする1型糖尿病患者が,食事中の糖質量に応じたインスリン量を食前に注射し,食後血糖の急上昇を抑える方法である(5)5) R. P. Gregory & D. L. Davis: Diabetes Educ., 20, 406 (1994)..主に1型糖尿病患者で用いられているが,現在では2型糖尿病患者にも応用されている.糖質量を調べ,計算するなどの作業が必要であり,患者によっては適応が難しい.

4. 糖質制限食

糖質を制限することで,食後の血糖上昇を抑える食事療法である.極端な糖質制限食(糖質50 g/日以下)では,穀類,麺類,イモ類など糖質を多く含む食品をすべて抜き,その分のエネルギーはタンパク質と脂質を増やして摂取する.短期間の肥満の減量には効果が認められているが(6)6) D. Schwarzfuchs, R. Golan & I. Shai: N. Engl. J. Med., 367, 1373 (2012).,長期になると体重がリバウンドすることが多い.また,カットした糖質量を脂質やタンパク質を増加させ補充しないと必要エネルギーを充足させることができないため,栄養欠乏状態に陥ることもあり糖尿病の食事療法として適切であるか否かはいまだ結論が出ていない.

食べ方と食後高血糖および血糖変動

1. 食べる順番の臨床介入研究

以上,述べたように糖尿病の食事療法はさまざまな方法があり,患者個々の病態,生活習慣,経済状況などに応じて適切な食事療法を選択することが大切である.特に,食事療法は患者自らが長期にわたって継続して実施する必要があるため,簡単で実行が容易であること,飽きずに長く継続できることが重要である.

筆者らは,食品の摂取順序を重視し,毎食最初に野菜をよくかんで食べ,最後に炭水化物を食べることを基本とした糖尿病の患者教育,「食べる順番療法」の臨床介入研究を実施した.食べる順番療法とは,野菜を5分間かけて食べきり,次にタンパク質のおかずを5分,最後に炭水化物である米飯,パンを5分間かけて食べる方法である.

外来2型糖尿病患者および健常者を対象に,3食の試験食を野菜→主菜(タンパク質)→主食(炭水化物)の順に摂取(以下,野菜から摂取)した日と,主食(炭水化物)→主菜(タンパク質)→野菜の順に摂取(以下,炭水化物から摂取)した日の血糖値の違いを,持続血糖測定器(CGM)を用いてクロスオーバー法により調べた.CGMを用いると,皮下組織液中のグルコース濃度を5分ごとに自動的に測定することができる.まず野菜を5分間かけて食べ切り,次にタンパク質のおかずを5分,最後に炭水化物である米飯,パンを5分間かけて摂取させた.図1図1■2型糖尿病患者(n=19)および耐糖能正常者(n=21)が,野菜から摂取した日と炭水化物から摂取した日のそれぞれの平均血糖値は2型糖尿病患者(n=19)および健常者(n=21)が,食品の摂取順序を変えた試験をしたときの5分ごとの血糖の平均値を示したものである.同じ栄養量(糖質量)の食事を摂取しても,食べる順序によって大きく血糖値が異なることがわかる.この試験結果より,血糖変動(MAGE: mean amplitude of glycemic excursion)も30%以上減少した(7)7) S. Imai, M. Fukui, N. Ozasa, M. Kurokawa, T. Komatsu & S. Kajiyama: Diabet. Med., 30, 370 (2013)..血糖変動が大きいと心血管イベントの発症率が高く,酸化ストレスが増大することが報告されている.また血糖変動が大きいほど認知機能が低下することも明らかとなっている.研究結果より,糖尿病患者だけでなく健常者においても,野菜から摂取した日は炭水化物から摂取した日より,食後の血糖上昇,血糖変動が抑制されたことはたいへん意義がある.健常者が食べ方を工夫することで,糖尿病をはじめとする生活習慣病を予防する可能性が期待できる.

図1■2型糖尿病患者(n=19)および耐糖能正常者(n=21)が,野菜から摂取した日と炭水化物から摂取した日のそれぞれの平均血糖値

両者とも,野菜から摂取した日は炭水化物から摂取した日より毎食後の血糖上昇が抑制された.実線;2型糖尿病患者.点線;健常者.Imai S, Fukui M, Kajiyama S. J. Clin. Biochem. Nutr., 54, 7–11 (2014).より改変引用.

摂取順序の違いがインスリンに及ぼす影響を調べるため,摂取前後のインスリンを測定したところ,野菜から摂取したときは米飯から摂取したときと比較して,食後の血清インスリン値が30%抑制された(8)8) 今井佐恵子,松田美久子,藤本さおり,宮谷秀一,長谷川剛二,福井道明,森上真弓,小笹寧子,梶山静夫:糖尿病,53, 112 (2010).図2図2■糖尿病患者における食品の摂取順序のちがいによる食後血糖値(A)およびインスリン値(B)●:野菜→米飯,○:米飯→野菜).インスリンの過剰な分泌は,がん細胞の増殖やアルツハイマー病を促進することも報告されている.インスリンの分泌量が少なく,インスリン遅延型が多い日本人の糖尿病患者にとって,食後の血糖上昇を抑制するとともに,インスリンの節約効果も期待できる.

図2■糖尿病患者における食品の摂取順序のちがいによる食後血糖値(A)およびインスリン値(B)●:野菜→米飯,○:米飯→野菜

平均±標準偏差.* p<0.05, ** p<0.01, 野菜→米飯vs米飯→野菜.文献8.

長期間,食べる順番を継続した2型糖尿病患者のHbA1cは,指導群において,介入2.5年後,有意に低下したが,対照群は変化がなかった(9)9) 今井佐恵子,松田美久子,東川千佳子,大藪佳代子,梶山静夫:日本栄養士会雑誌,53, 1084 (2010).図3図3■2型糖尿病患者における食べる順番指導群と対照群のHbA1cの推移).また,介入群では,血糖のみならず,体重(BMI),血清脂質,血圧も有意に低下した.食事の摂取順序については,2015年に,米ワイルコーネル医科大学の研究チームが肥満の2型糖尿病患者を対象に同様の研究を実施したところ,食後血糖上昇が17~37%,インスリン分泌が14~50%抑制されたと報告している(10)10) A. P. Shukla, R. G. Iliescu, C. E. Thomas & L. J. Aronne: Diabetes Care, 38, e98 (2015)..日本人だけでなく,アメリカ人の糖尿病患者においても同様の効果が得られたことは興味深い.日本糖尿病学会編著「糖尿病診療ガイドライン2016」には,食事療法の科学的根拠の一つとして筆者らの論文が掲載されている.

図3■2型糖尿病患者における食べる順番指導群と対照群のHbA1cの推移

ベースラインvs. 介入後;*** p<0.001, 指導群vs. 対照群;#p<0.05, # ##p<0.001文献99) 今井佐恵子,松田美久子,東川千佳子,大藪佳代子,梶山静夫:日本栄養士会雑誌,53, 1084 (2010).

2. なぜ野菜を最初に,炭水化物を最後に食べると血糖上昇が抑えられたのか

野菜を最初に,炭水化物を最後に食べることで食後の血糖上昇が抑えられた要因として,野菜に含まれる水溶性食物繊維が糖質の消化吸収を遅らせ,食後の血糖上昇を抑制したことが考えられる.また,主菜のタンパク質,脂質を炭水化物の前に摂取することにより,インクレチンホルモンのGLP-1およびGIPの分泌が促進され,胃内容物の小腸への排出遅延により,血糖上昇が抑えられたことが報告されている(11)11) H. Kuwata, M. Iwasaki, S. Shimizu, K. Minami, H. Maeda, S. Seino, K. Nakada, C. Nosaka, K. Murotani, T. Kurose et al.: Diabetologia, 59, 453 (2016)..以上の結果より,食べる順番,すなわち炭水化物を食事の最後に食べることが,血糖変動の少ない質の高い血糖コントロールに効果的であることが明らかとなった.糖尿病患者だけでなく,糖尿病予備軍および耐糖能正常者においても,血糖上昇抑制効果が認められたことから,糖尿病発症予防の可能性があり,一般の人々にとっても簡単で実行しやすい食べ方として広く応用できると考える.

食事の摂取時刻と血糖変動

1. 夜遅い時刻の食事摂取と肥満や生活習慣病の発症の関係

シフト勤務者は,肥満や生活習慣病の発症率が高いことが報告されている(12)12) L. C. Antunes, R. Levandovski, G. Dantas, W. Caumo & M. P. Hidalgo: Nutr. Res. Rev., 23, 155 (2010)..2008年の国民健康栄養調査によると,15歳以上の日本人の約12%が夜9時以降に夕食を摂取している(13)13) 国立健康栄養研究所:国民健康栄養調査2008, 第一出版,2011..成人では,夕食開始時間が午後9時以降の割合は,男性の20代で31%,30代で35%,40代で32%,女性の20代で25%と高く,いずれも働き盛りの年代で遅い時刻に夕食を摂取している(14)14) 農林水産省:平成21年度食料・農業・農村の動向概要.http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1/chap2/c2_04.html 2009..朝食の欠食や夜間の食事摂取は,体重増加につながることが知られているが,遅い時刻の夕食摂取と血糖値の関係については介入研究により明らかにされていない.

日常生活において,勤務などで遅い時刻の夕食が避けられない場合にはどうすればよいのだろうか?

筆者らは2型糖尿病患者および健常者を対象に,夕食の摂取時刻と摂取方法を変えて無作為化比較試験をクロスオーバーで実施し,食事の摂取時刻と血糖値の関係について検討した.

2. 夕食の摂取時刻と血糖値

被験者は,試験期間中5日間CGMを装着し,2日目から4日目に同じ試験食を3日間摂取し,8時に朝食,13時に昼食を摂取し,夕食の摂取時間だけを変えて血糖指標を調べた.対象患者は2日目の21時に夕食(21時夕食),または分割して夕食を摂取(分食;18時にトマトと米飯,21時に野菜と主菜(図4図4■夕食を分割して食べる))し,4日目は逆の摂取方法とした.3日目はすべての患者が18時に夕食を摂取し(18時夕食),5日目にCGMを取り外した.

図4■夕食を分割して食べる

図5図5■健常者(14人)が,夕食を18時,21時,18時に炭水化物,21時に野菜とおかずを分食したときの平均血糖値の推移は,健常者14名の3日間の5分ごとの血糖値の平均をグラフにしたものである.21時に夕食を摂取した日は夕食後のピークが高く,翌朝まで高血糖が持続していた.24時間の血糖平均値,食後血糖ピーク値は21時夕食が18時夕食と比べ有意に高く,夜間の血糖上昇曲線下面積も高値を示した.一方,夕食を分食した日は,血糖変動,食後血糖ピーク値,血糖上昇曲線下面積がすべて21時夕食と比べ有意に低下した.特に,21時夕食の夜間の血糖上昇曲線下面積は,18時夕食あるいは分食の2から2.7倍となった.遅い時刻に食事を摂取すると,食後の血糖値が高いだけでなく翌朝まで高血糖状態が持続することが明らかとなった.同じ被験者が同じ栄養量の夕食を摂取しても,食べる時刻が異なると,血糖値は大きく影響を受けることが示された(15)15) S. Kajiyama, S. Imai, Y. Hashimoto, C. Yamane, T. Miyawaki, S. Matsumoto, N. Ozasa, M. Tanaka, S. Kajiyama & M. Fukui: Diabetes Res. Clin. Pract., 136, 78 (2018).

図5■健常者(14人)が,夕食を18時,21時,18時に炭水化物,21時に野菜とおかずを分食したときの平均血糖値の推移

文献15より改変引用.

さらに,2型糖尿病患者を対象に同様の実験を実施したところ,健常者と同様の結果を得た(16)16) S. Imai, S. Kajiyama, Y. Hashimoto, C. Yamane, T. Miyawaki, N. Ozasa, M. Tanaka & M. Fukui: Diabetes Res. Clin. Pract., 129, 206 (2017)..2型糖尿病患者だけでなく,健常者においても夕食の摂取時間の違いが血糖変動に影響を与えたことは意義があると考える.

3. 遅い時刻に食事を取るとなぜ血糖値が上昇するのか?

遅い時刻に食事を取ると血糖値が上昇するメカニズムについては,いくつかの因子が考えられる.まず,夕食時刻が遅くなり空腹状態が持続すると,血中の遊離脂肪酸が上昇し,インスリン抵抗性が増大する(17)17) L. M. Morgan, F. Aspostolakou, J. Wright & R. Gama: Ann. Clin. Biochem., 36, 447 (1999)..さらに,食事誘発産生熱(DIT)は昼間と比較すると夜間は50%低下する(18)18) C. J. Morris, J. I. Garcia, S. Myers, J. N. Yang, N. Trienekens & F. A. Scheer: Obesity (Silver Spring), 23, 2053 (2015).ことが知られており,同じ栄養量の食事であっても遅い時刻に摂取すると血糖値が上昇する.また,食事を分割することで,1回の食事量,糖質量が減少し,食後の血糖上昇が抑制されると考察できる.さらに夕食を分食することにより,最初の食事により膵臓のβ細胞の応答が高められ,次の食事摂取の際にインスリンの分泌が増進することも報告されている(19)19) S. Bonuccelli, E. Muscelli, A. Gastaldelli, E. Barsotti, B. D. Astiarraga, J. J. Holst, A. Mari & E. Ferrannini: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 297, E532 (2009).(セカンドミール効果).

研究結果より,2型糖尿病および健常者において,夜遅い時刻に食事を摂取すると食後高血糖を引き起こし,翌朝まで高血糖状態が続いたが,夕食を夕刻に炭水化物,遅い時刻に野菜と主菜と2回に分けて摂取することにより,食後の高血糖と血糖変動を改善することができた.

血糖値は総エネルギーや栄養量,炭水化物量,食物繊維の含有量などによって影響を受けるが,それだけでなく,食事の摂取タイミングによっても影響を受けることが明らかになった.

したがって,勤務などで遅い夕食が避けられない場合には,食べ方を工夫することで血糖上昇を抑えることができる.たとえば,夕刻に職場でおにぎりかサンドイッチを食べ,帰宅後遅い時刻には野菜と主菜を食べると,血糖値が抑えられ血糖変動幅も抑制できる.勤務などのために夕食時刻が遅い人々やシフト勤務の人々に適用することによって,肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症予防に結びつく可能性がある.

まとめ

食後の血糖値をできるだけ上げないよう,食べる順序や食べる時間を考慮することによって,糖尿病,肥満,脳梗塞,認知症,がんなどの発症リスクを下げる可能性がある.健康な人であっても食後の血糖値が高い血糖値スパイクが起こっている場合があり,知らない間に動脈硬化が進行する.さらに,糖尿病,高血圧,脂質異常症は,酸化ストレス,糖化,血液凝固系の亢進などにより,相乗的に最小血管障害および動脈硬化を促進させる.合併症の発症および進展を防ぐためにも,食べ方や時間に留意することは,糖尿病患者だけでなく,健康な人にとっても,健康長寿を目指すうえで重要であると考える.

Reference

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