解説

昆虫–細菌共生研究の現状と農学・薬学・医学への応用可能性昆虫の中の「共生」を理解し,利用しよう!

The Current Topics in Insect Endosymbiosis: Its Application Potential for Agriculture, Pharmacology and Medicine: Let’s Make a Good Use of “Symbiosis” between Insects and Bacteria !

Akiko Fujiwara

藤原 亜希子

群馬大学食健康科学教育研究センター

Tsutomu Tsuchida

𡈽田

富山大学大学院理工学研究部(理学)

Published: 2018-07-20

既知生物種の過半数を占める昆虫類は,種数・個体数ともに最大のグループであり,生物多様性の根幹を担う存在である.この多様性進化の原動力の一つが,細菌との共生関係である.昆虫の生存や繁殖能力,体色,食性などのさまざまな性質に対して,共生細菌が多大な影響を与えている例がこれまでに多数報告されている.昆虫体内で独自の進化を遂げた共生機構は,学術的に興味深い現象であるとともに,応用分野への発展も期待される(1)1) 深津武馬:昆虫と微生物の内部共生:運命共同体となる仕組み,http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_files/gf_22/6/notes/ja/06fukatsu110525final.pdf, 2011..本稿では,共生細菌の殺虫剤効果への影響,共生細菌が作る生理活性物質,Wolbachiaを用いた応用研究例,加えて現在私たちが取り組んでいる共生機構を標的とした害虫防除法の開発について紹介し,今後の共生研究の応用可能性について述べる.

腸内共生細菌が農薬の効果に影響する?~BT剤の場合~

Bacillus thuringiensis(Bt菌)は,もともと蚕に食欲不振や下痢などを起こして死亡させる卒倒病の原因となる昆虫病原細菌である.Bt菌は胞子形成期に,殺虫効果のあるBT毒素を結晶様タンパク質顆粒として菌体内に作り出す.BT毒素は鱗翅目(チョウ,ガなど)や甲虫目(コガネムシなど)の昆虫の中腸消化液特有のアルカリ性とタンパク質分解酵素により,可溶化と部分消化を受けることで初めて毒性を示す.そのため,哺乳類などのほかの生物には影響を及ぼさないという特徴をもっている.さらに,従来型殺虫剤に対する抵抗性を獲得した害虫の防除にも有効であることから,BT剤(生菌もしくは死菌の状態のBt菌を製剤化したもの)は,微生物農薬として世界中で幅広く使用されている.このように,メリットの多いBT剤であるが,1980年代後半からBT剤に抵抗性をもつ害虫が出現し始め,BT剤を使用するうえでの大きな問題点となっている(2)2) 宮本和久:蚕糸・昆虫バイオテック,77, 195 (2008)..そのため,抵抗性の発達機構やより強力なBT毒素の開発などの研究が盛んに行われている.その中に,実は昆虫の腸内共生細菌がBT剤への感受性に大きな影響を与えているという報告がある.Bt菌による殺虫効果は,BT毒素が中腸上皮細胞を溶解して腸に穴を開けることで,血リンパへBt菌が感染することによって生じる敗血症が原因であると考えられてきた.そこで,Bt菌による効果を高める目的で,森林害虫であるマイマイガLymantria disparの幼虫に抗生物質を処理し,腸内細菌を除去した場合のBT毒素の効果を調査したところ,腸内細菌を除去したマイマイガ幼虫では,予想に反してBT毒素による殺虫効果が見られなくなってしまった.さらに,抗生物質処理によってBT毒素非感受性になったマイマイガ幼虫に,腸内細菌叢中の優占種であるEnterobacter sp.を再感染させると,BT毒素による殺虫効果が復活することが判明した(3)3) N. A. Broderick, K. F. Raffa & J. Handelsman: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 15196 (2006)..このことは,マイマイガにおいてBT毒素が殺虫効果を示すためには,腸内の共生細菌の存在が必要不可欠であることを示している.このとき,別種の腸内細菌の再感染ではBT毒素感受性は復活しなかったことから,マイマイガにおいては,Enterobacter sp.に特異的な何らかの機構が,BT毒素感受性に影響を与えていることが示唆される.たとえば, Enterobacter sp.が産生する物質,もしくはEnterobacter sp.感染により宿主が産生する物質に,BT感受性を高める効果があるなどが考えられる.今後詳細な分子機構が解明されれば,害虫防除における大きな武器となり,BT抵抗性害虫の防除も可能となるかもしれない.

宿主昆虫に殺虫剤抵抗性をもたらす共生細菌たち

アブラムシは,吸汁による植物の生育阻害や排泄物によるすす病,さらには植物病原ウイルスの媒介を行うことでさまざまな農作物に多大な被害を及ぼす農業害虫である.5,000種以上存在するアブラムシ種のほぼすべてには,その体内に「菌細胞塊」と呼ばれる特殊な共生器官が存在し,その細胞質内に必須アミノ酸などの栄養素を供給する共生細菌Buchneraを収納している.宿主の生存や繁殖に必須の存在であるBuchneraに加えて,「任意共生細菌」と総称される複数の細菌も存在する.任意共生細菌は,宿主の生存には必須ではないものの,体色や寄主植物特異性などのさまざまな表現型に影響を及ぼすことが報告されている(4)4) 𡈽田 努:“難培養性微生物研究の最新技術II—ゲノム解析を中心とした最前線と将来展望—”,大熊盛也,工藤俊章監修,柴田書店,2010, pp. 220–230..その中でも,エンドウヒゲナガアブラムシAcyrthosiphon pisumでは,任意共生細菌の一種であるHamiltonella defensaが体内に共生している個体は,そうでない個体と比較して,寄生蜂エルビアブラバチAphidius erviの感染に対して耐性を示すことが知られている.この機構については,Hamiltonellaゲノム中の溶原化ファージであるAPSEファージ領域に存在する毒性遺伝子が,寄生蜂に対して殺虫性を示すことによるものだと判明している(5)5) K. M. Oliver, P. H. Degnan, M. S. Hunter & N. A. Moran: Science, 325, 992 (2009)..寄生蜂はアブラムシ幼虫に卵を産みつけ,最終的にアブラムシをミイラ化して殺すことから,アブラムシ対策用の生物農薬として農業現場で盛んに使用されている.よって,寄生蜂耐性を付与する共生細菌の存在は,農薬の殺虫効果に大きな影響を与えることから,効果的な防除のためには,対象となるアブラムシ群における任意共生細菌の共生状況も重要な要因となる.

ダイズの難防除害虫であるホソヘリカメムシRiptortus pedestrisは,幼虫段階で土壌中から共生細菌を取り込む.その際に,殺虫剤フェニトロチオンを分解するBurkholderia sp.を共生細菌として獲得することによって,宿主カメムシ自身が殺虫剤抵抗性を獲得するという例が報告されている.フェニトロチオンを連続散布した場合,土壌中のフェニトロチオン分解菌が増殖し,菌密度が高くなる.カメムシが,それらのフェニトロチオン分解菌を共生細菌として獲得すれば,殺虫剤抵抗性カメムシが出現することになる(6)6) Y. Kikuchi, M. Hayatsu, T. Hosokawa, A. Nagayama, K. Tago & T. Fukatsu: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 8618 (2012).

このように,害虫における殺虫剤抵抗性は,標的である昆虫自身の変異によって生じるだけでなく,その体内に共生している微生物によってももたらされるものである.今後新しい農薬耐性害虫が出現した場合,体内の共生系にも目を配る必要があるだろう.

新たな生理活性物質のソースとしての昆虫–細菌共生系

昆虫体内の共生細菌が作り出す生理活性物質は,宿主との共生関係の維持などに働いているが,新しい薬理作用を示す物質として薬剤へと応用される可能性をも秘めている.

柑橘類の重要害虫であるミカンキジラミDiaphorina citriの共生細菌であるProfftellaは,そのゲノム中に栄養補償関連遺伝子が少なく,その代わりに二次代謝産物合成に関与する遺伝子群を多くもっている.その最終代謝産物として合成されるのが,強力な細胞毒性化合物であるディアフォリンである(7)7) A. Nakabachi, R. Ueoka, K. Oshima, R. Teta, A. Mangoni, M. Gurgui, N. J. Oldham, G. van Echten-Deckert, K. Okamura, K. Yamamoto et al.: Curr. Biol., 23, 1478 (2013)..このディアフォリンは,宿主昆虫の天敵に対し毒として働くため,Profftellaは「防衛共生」を行う共生細菌と言える.ディアフォリンは,アオバアリガタハネカクシ(通称:やけど虫)の有する強力な細胞毒であるペデリンと類似した化合物である.興味深いことに,ペデリンもアオバアリガタハネカクシに共生する細菌によって生産されている(8)8) J. Piel: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 14002 (2002)..ペデリンには,ほかにも類似構造をもつ化合物がいくつか知られている.さまざまな海綿–細菌共生系において共生細菌側が作る化合物群(Onnamide AやMycalamide A, Irciniastatin Aなど)も同じペデリン類である.これらペデリン類化合物は,総じてタンパク質合成阻害活性を有しており,それにより抗腫瘍,抗ウイルス,免疫抑制活性などを示すことが報告されている.また,共生細菌によって生産される化合物には,自由生活性細菌の代謝産物とは異なる,独自の構造を持つものが存在することも示唆されている(9)9) A. Kampa, A. N. Gagunashvili, T. A. Gulder, B. I. Morinaka, C. Daolio, M. Godejohann, V. P. Miao, J. Piel & O. Andresson: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, E3129 (2013).

昆虫との共生系ではないが,共生微生物が作り出す化合物の中には,すでに薬剤として臨床実験にまで進んでいるものもある.海洋生物フサコケムシ(外肛動物の一種)の共生微生物が作り出す特異な構造をもった大環状化合物であるブリオスタチンは,もともとは幼生の防衛のために産生されている化合物であるが,強力な抗がん活性を有している.そこで現在,リンパ腫や白血病治療に用いる抗がん剤として,臨床試験(治験フェーズIIの段階)が行われている.昆虫共生細菌が産生するペデリン類化合物においても,今後同様の展開へと進むことが十分に期待できる.近年,海洋生物からの新規抗がん剤候補の探索が活発に行われているが,昆虫共生細菌も,新たな抗がん剤資源の宝庫となる可能性を秘めていると言えよう.

宿主の性別を操る共生細菌:Wolbachiaによる生殖操作メカニズム

αプロテオバクテリア網に属するWolbachiaは,自然界において陸上の節足動物の約40%もの種に共生している.Wolbachiaの最大の特徴は,さまざまな方法で宿主昆虫の生殖操作を行う点である.それらは大きく分けて,①細胞質不和合(cytoplasmic incompatibility; CI),②産雌性単為生殖(thelytokous parthenogenesis),③オス殺し(male killing),④メス化(feminization)の4つに分類される(10)10) 陰山大輔:蚕糸・昆虫バイオテック,83, 243(2014).

このうち,最もよく見られるのがCIである.これは,Wolbachia非共生メスが共生オスと交配した場合,次世代胚が発生途中に致死になってしまうという現象である.一方,Wolbachia共生メスはWolbachia共生・非共生オスのどちらとも次世代を残すことができるので,雌雄それぞれの共生・非共生の組み合わせを考えた場合,図1図1■細胞質不和合(CI)による集団内へのWolbachiaの伝播のように集団内において次世代のWolbachia共生個体の割合が増えていくことになる.このようにして,WolbachiaはCIにより効率的に宿主集団内に伝播され,高頻度で維持される.

図1■細胞質不和合(CI)による集団内へのWolbachiaの伝播

Wolbachia共生虫が関与する雌雄ペアは図中の①~③の3通りが考えられる.この場合,CIにより①の組み合わせでは次世代が生まれず,②・③のWolbachia共生次世代虫の割合が増加する(注:わかりやすくするために,Wolbachia非共生同士のペアについてはこの図では示していないことをご了承いただきたい).

CIの分子機構には,Wolbachiaゲノム中に存在するプロファージであるWOが関与していることが判明している.Wolbachiaゲノム中には数多くのウイルス様配列が存在するが,その中でもWOファージは遺伝子が活発に発現していることから,以前から注目されていた.このWOファージ領域中に存在するのが,細胞質不和合性因子(cytoplasmic incompatibility factor)遺伝子のcifAcifBである.この2遺伝子を重複発現させたWolbachia非共生オスを,非共生メスと交配させると胚致死が引き起こされ,Wolbachia共生メスと交配させた場合には正常に発生が進むことが実験によって示された.つまり,cifAcifBの共発現によりWolbachia共生で起こるCIと類似の現象が再現されたことから,この2遺伝子が確かにWolbachiaによる細胞質不和合性の原因遺伝子であることが示された(11)11) D. P. LePage, J. A. Metcalf, S. R. Bordenstein, J. On, J. I. Perlmutter, J. D. Shropshire, E. M. Layton, L. J. Funkhouser-Jones, J. F. Beckmann & S. R. Bordenstein: Nature, 543, 243 (2017)..また,Wolbachia以外の,宿主の生殖操作(③ male killing)を行う共生細菌であるSpiroplasmaについても,生殖操作の分子機構を解明するための研究が進められている(12)12) T. Harumoto, H. Anbutsu, B. Lemaitre & T. Fukatsu: Nat. Commun., 7, 12781 (2016)..これら共生細菌による生殖操作の分子機構の解明は,農業に応用する場合にも重要である.生物農薬として使用される昆虫の中には,オスとメスで価値が異なるものが少なからず存在する.たとえば,生物農薬として使用される寄生蜂は,メスだけが害虫の体内に産卵して殺す能力をもっている.それゆえ,メスだけを選択的に生産できると,コスト削減の観点からたいへん都合が良い.生殖操作機構を応用することによって,生物農薬を雌雄別に生産できる技術開発につながることが期待される(13)13) 産業技術総合研究所:共生細菌が宿主昆虫をメスだけにするしくみを解明,http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160923/pr20160923.html., 2016.

さらに,共生細菌による生殖操作は,野外集団に対して望ましい性質を賦与する新規技術ともなりうる.たとえば,不妊虫放飼法による害虫防除への利用である.不妊虫放飼法とは,不妊化したオスを駆除対象の地域に放飼する手法であり,大量かつ継続的に放飼して野生メスと交配させることで,次世代の野生個体群数を減らし,害虫の根絶を目指すものである.実際に,多数の果実類に寄生する大害虫であるチチュウカイミバエCeratitis capitataを対象に,実験室ケージ集団にCIを誘導するWolbachia共生オスを導入する模擬放飼実験を行ったところ,非共生メスと共生オスとの交尾により効果的な不妊化が観察できたという報告がある.本手法は,従来の放射線による不妊化とは異なり,放射線照射のための施設を必要とせず,安全かつ低コストな新しい不妊虫産生法となることが期待されている(14)14) S. Zabalou, M. Riegler, M. Theodorakopoulou, C. Stauffer, C. Savakis & K. Bourtzis: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 101, 15042 (2004).

Wolbachiaを利用して蚊によるウイルス媒介を阻止する

吸血を介してさまざまな病原体を運ぶ蚊は,世界で最もヒトを殺している生き物であると言われており,2015年には年間83万人以上の人間が,蚊が媒介する感染症により命を失っている(15)15) Bil Gates: World’s Deadlist Animals, gatesnotes, https://www.gatesnotes.com/Health/Mapping-the-End-of-Malaria, 2016..蚊が媒介する感染症の中でも世界的に被害が甚大であるのが,デングウイルスによるデング熱,ジカウイルスによるジカ熱,チクングニヤウイルスによるチクングニヤ熱である.これらは重症化すると死に至る重篤な病だが,有効なワクチンが存在せず,蚊を減らすことが現状最も効果的な予防法である.多くの研究者が,さまざまなアプローチによってこれらの対策を研究している.その中で,Wolbachiaが共生している場合に,Drosophila C virusなどの病原性RNAウイルスによるキイロショウジョウバエの致死率が劇的に改善されるという現象が報告されたこと(10)10) 陰山大輔:蚕糸・昆虫バイオテック,83, 243(2014).が契機となり,これを蚊に応用して,蚊媒介ウイルス病をWolbachiaを利用して根絶することを目指す技術の開発が,「World Mosquito Program」によって世界規模で現在行われている(16)16) World Mosquito Program: http://www.eliminatedengue.com/program.

このプロジェクトにおいて,最も研究が進んでいるのがデングウイルス対策である.デングウイルスを媒介するネッタイシマカには,もともとWolbachiaが共生していない.そこでまず,ショウジョウバエから単離されたWolbachia(wMel)をネッタイシマカの培養細胞に順化させた後,そのwMelを使用して,安定的にWolbachia共生が維持される共生蚊系統が作製された.このwMel共生蚊においてデングウイルス伝播の抑制が確認されたことから,これらを野外に大量に放し,CI(図1図1■細胞質不和合(CI)による集団内へのWolbachiaの伝播)によりWolbachia共生蚊の割合を増やして地域個体群内のウイルス媒介能力をもつ蚊を減らす(図2図2■共生細菌Wolbachiaを利用したデングウイルス伝播の阻止)という計画が実行されている.この手法の最大の利点は,Wolbachia共生蚊は遺伝子組替え体ではないため,野外へ放出しても自然界への影響は少ないと考えられ,早い段階から野外での大規模な実証実験が可能になった点である.地域規模で疾病を制圧する場合,長期間にわたって大量に薬剤を散布する手法(Mass Drug Administration; MDA)が行われるが,それには地域コミュニティの理解を得ることが不可欠であり,多くの場合,これが計画遂行を阻む壁となってしまう.Wolbachia利用では,この最大の難関をクリアできるため,従来の殺虫剤と比較した場合,緊急性の高い疾病対策としてアドバンテージとなる.さらに,Wolbachia共生は蚊を殺すものではないので,耐性蚊の出現を心配する必要があまりない.これも大きなメリットである.2017年までの段階で,オーストラリア,ベトナム,インドネシア,コロンビア,ブラジルなど複数の国で野外放飼実験が行われており,放飼後5年を超えても野外の蚊集団のWolbachia共生率が高いレベルで保たれていることが長期的なモニタリングによって示されている(16)16) World Mosquito Program: http://www.eliminatedengue.com/program.

図2■共生細菌Wolbachiaを利用したデングウイルス伝播の阻止

図中のWはWolbachia, Vはデングウイルスを示す.

ただ,Wolbachia感染によってなぜウイルス媒介が阻害されるのかというメカニズムについては,未解明な点が多い.一つの仮説として,Wolbachiaの感染によって宿主昆虫の自然免疫が活性化されることが原因ではないかと言われている.しかし,免疫応答が誘導されていなくてもウイルス媒介が阻害される例も報告されており,より複雑な機構が存在する可能性が示唆されている(17)17) E. Rances, T. K. Johnson, J. Popovici, I. Iturbe-Ormaetxe, T. Zakir, C. G. Warr & S. L. O’Neill: J. Virol., 87, 11945 (2013).

Wolbachia共生による伝播阻害効果については,デングウイルス以外にも,ジカウイルス(18)18) H. L. Dutra, M. N. Rocha, F. B. Dias, S. B. Mansur, E. P. Caragata & L. A. Moreira: Cell Host Microbe, 19, 771 (2016).,チクングニヤウイルス(19)19) M. T. Aliota, E. C. Walker, A. U. Yepes, I. D. Velez, B. M. Christensen & J. E. Osorio: PLoS Negl. Trop. Dis., 10, e0004677 (2016).,さらにマラリア原虫(20~22)20) G. Bian, D. Joshi, Y. Dong, P. Lu, G. Zhou, X. Pan, Y. Xu, G. Dimopoulos & Z. Xi: Science, 340, 748 (2013).21) F. Baldini, N. Segata, J. Pompon, P. Marcenac, W. R. Shaw, R. K. Dabire, A. Diabate, E. A. Levashina & F. Catteruccia: Nat. Commun., 5, 3985 (2014).22) F. M. Gomes, B. L. Hixson, M. D. W. Tyner, J. L. Ramirez, G. E. Canepa, E. Alves, T. L. Silva, A. Molina-Cruz, M. Keita, F. Kane et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 114, 12566 (2017).でも確認されている.現在,これらについても同様の手順で,Wolbachia共生蚊による防除を目指した研究が実験室レベルで行われている.

Wolbachiaを標的としたフィラリア症対策

さらにもう一つ,蚊媒介の感染症であるリンパ系フィラリア症対策へのWolbachiaの利用についてもご紹介したい.

リンパ系フィラリア症は,バンクロフト糸状虫Wuchereria bancroftiやマレー糸状虫Brugia malayi(糸状虫を総称してフィラリアと呼ぶ)の感染による寄生虫疾患である.リンパ浮腫(象皮病)や泌尿性器の肥大を引き起こすため,患者は身体的苦痛に加えて,社会的偏見を受けることも少なくない.そこで,2000年にWHOにより「世界リンパ系フィラリア症制圧計画」が立ち上げられ,大規模な薬剤投与(MDA)によって,2020年までにフィラリア症の根絶を目指す活動が行われている(23)23) 一盛和世:Pest Control TOKYO東京都ペストコントロール協会機関誌,71, 3(2016).

1970年代,電子顕微鏡観察によってフィラリア細胞内に細菌が存在していることが確認され,1994年にマレー糸状虫のゲノム解析が行われた際に,その細菌がWolbachiaであることが確認された.さらにその後の研究により,Wolbachiaはフィラリアの生存や繁殖に必須の存在であることが判明した.バンクロフト糸状虫感染患者へのドキシサイクリン(テトラサイクリン系抗生物質)を投与してWolbachiaを除去すると,殺フィラリア効果が得られることが報告されている(24, 25)24) M. J. Taylor, W. H. Makunde, H. F. McGarry, J. D. Turner, S. Mand & A. Hoerauf: Lancet, 365, 2116 (2005).25) B. E. Slatko, M. J. Taylor & J. M. Foster: Symbiosis, 51, 55 (2010)..これらを受け,「Anti-Wolbachia(A·WOL)コンソーシアム」(26)26) Anti-Wolbachia consortium: http://awol.lstmed.ac.uk/.によってWolbachiaを標的とした新たなフィラリア症対策研究が行われている.Wolbachiaを対象とする点は前章のデングウイルスの場合と同じだが,こちらはWolbachiaを殺すことで宿主のフィラリアを防除する(図3図3■共生細菌Wolbachiaを標的としたフィラリア症対策),という点で大きく異なる.なお,A·WOLコンソーシアムではオンコセルカ症についても同様に研究が進められているが,今回はフィラリア症に絞って話を進めさせていただく.

図3■共生細菌Wolbachiaを標的としたフィラリア症対策

図中のWはWolbachiaを示す.

ドキシサイクリンには,Wolbachiaの除去を介した,フィラリア防除効果が実証されているのだが,8歳以下の小児や妊婦,授乳婦への投与が禁忌であるため,地域全体で集団投薬を行うMDAへの使用には適さない.そこで,より安全性が高い抗Wolbachia剤開発に向けての化合物探索が進められている(27)27) M. J. Taylor, D. Voronin, K. L. Johnston & L. Ford: Cell. Microbiol., 15, 520 (2013)..まずはいち早く臨床実験へ進むために,人体への使用認可済みの既存薬ライブラリーを用いて,Wolbachiaの増殖抑制効果を示す化合物の探索が行われた.Wolbachiaを共生させたヒトスジシマカの培養細胞株に化合物を処理し,Wolbachia数の変化を定量PCR法によって検出することにより,経口投与が可能な69個のヒット化合物が一次スクリーニングにおいて得られている.また,全く新しい薬剤の取得を目指して,6万を超える化合物ライブラリーを用いた大規模スクリーニングも行われている.Wolbachia共生培養細胞に化合物処理を行った後,Wolbachiaの核酸を染色し,イメージング解析を行ってWolbachia数の変化が直接的に解析された.定量PCR法と比較して,25倍ものハイスループット化に成功したと報告されている(28)28) R. H. Clare, D. A. Cook, K. L. Johnston, L. Ford, S. A. Ward & M. J. Taylor: J. Biomol. Screen., 20, 64 (2015)..これらの培養細胞を用いたスクリーニングで,抗Wolbachia活性が検出された候補化合物については,フィラリア生体→フィラリア感染マウス→フィラリア症患者への投与という流れで薬剤評価が進められる.この過程で,フィラリアに直接効果を示さず,Wolbachiaにのみ影響するものを慎重に選抜していく.いくつかの候補薬剤については,治験段階のフェーズIIがすでに完了しており,着々と実用化への道を歩んでいる(29)29) M. J. Taylor, A. Hoerauf, S. Townson, B. E. Slatko & S. A. Ward: Parasitology, 141, 119 (2014).

それらと並行して,マレー糸状虫では,宿主とWolbachia(wBm株)両方のゲノム情報が明らかとなっていることから,wBmが宿主に供給していると推定されるヘム,FAD,リボフラビン,ヌクレオチドなどの生合成・代謝経路遺伝子や,wBmのリポタンパク質合成遺伝子など,共生において重要な遺伝子をピンポイントで狙って,その機能阻害剤を取得しようというアプローチでの薬剤探索も行われている.共生系に必須で,なおかつ哺乳類がもたない(もしくは相同性が低い)遺伝子を標的とすることで,安全性の高い薬剤の開発につながることが期待されている(29)29) M. J. Taylor, A. Hoerauf, S. Townson, B. E. Slatko & S. A. Ward: Parasitology, 141, 119 (2014).

このような,ゲノム情報を基にした共生分子機能の解明,そしてそれを標的とした病害虫防除技術の開発の一例として,次章では私たちが現在取り組んでいるタバココナジラミ複合共生系に関しての研究を紹介する.

共生機構を阻害標的とした新しい農薬の開発を目指して

タバココナジラミBemisia tabaciはカメムシ目の吸汁性昆虫である(図4a, b図4■農業害虫タバココナジラミ成虫の正面(a)と背側(b),さらに側面および腹部内の菌細胞(c)).体長1 mmにも満たないこの害虫は,トマトやキャベツなどあらゆる農作物や花き,雑草にまでに付くため,名前は知らずともパッと飛んでいく白くて小さなこの虫の姿を見たことがあるという方は存外多いだろう.植物の師管液を吸って栄養を奪うだけでなく,トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)をはじめとしたさまざまな植物病原ウイルスを媒介して多大な経済的損失を与える大農業害虫である.本種は,見た目は同じだが生物学的性質の異なる24以上の遺伝型に分類される.近年は,従来の殺虫剤に対して強い抵抗性をもつMED Q1型が世界中に蔓延しており,「世界の侵略的外来種ワースト100」(30)30) Global Invasive Species Database: 100 of the World’s Worst Invasive Alien Species, http://www.iucngisd.org/gisd/100_worst.php, 2013. の1種にもなっている.ネオニコチノイド系農薬による防除が主流であるが,このネオニコチノイドは世界的なミツバチの集団失踪の原因ではないかと疑われている農薬である.ミツバチに免疫応答の低下などの悪影響を与えること(31)31) B. A. Woodcock, J. M. Bullock, R. F. Shore, M. S. Heard, M. G. Pereira, J. Redhead, L. Ridding, H. Dean, D. Sleep, P. Henrys et al.: Science, 356, 1393 (2017).や,世界規模で多くのハチが複数のネオニコチノイド系殺虫剤に暴露されていること(32)32) E. A. D. Mitchell, B. Mulhauser, M. Mulot, A. Mutabazi, G. Glauser & A. Aebi: Science, 358, 109 (2017).が明らかとなっている.ミツバチは果実・野菜の受粉を行う益虫であるため,公的機関による調査も積極的に行われている.2018年2月に,欧州食品安全機関は「ネオニコチノイド系殺虫剤はセイヨウミツバチおよび野生のハチ類にもリスクを与える」との報告を行った(33)33) European Food Safety Authority: Neonicotinoids: risks to bees confirmed, https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180228, 2018..さらに,カナダ保健省病害虫管理規制局からは,水生昆虫から有害なレベルのネオニコチノイド系農薬が検出されたとの報告(34)34) Pest Management Regulatory Agency: Update on the Neonicotinoid Pesticides 29 June 2017, https://www.canada.ca/content/dam/hc-sc/documents/services/consumer-product-safety/reports-publications/pesticides-pest-management/fact-sheets-other-resources/update-mise-a-jour-2017-eng.pdf, 2017.があり,被害はミツバチにとどまらない可能性も指摘されている.このような現状を受け,EU,アメリカ,カナダ,韓国,台湾などでは,ネオニコチノイド系農薬の使用禁止または規制強化が進んでいる.そこでタバココナジラミ対策として,環境には低負荷でありながら強力な殺虫作用をもち,さらに抵抗性虫が出現しにくいような,新しい殺虫剤の開発が強く求められている.

図4■農業害虫タバココナジラミ成虫の正面(a)と背側(b),さらに側面および腹部内の菌細胞(c)

そこで私たちが着目したのが,タバココナジラミの必須共生系である.アブラムシと同様に,タバココナジラミも共生細菌を収納するための「菌細胞」という特殊な共生器官(図4c図4■農業害虫タバココナジラミ成虫の正面(a)と背側(b),さらに側面および腹部内の菌細胞(c))を体内にもち,そこでは宿主–共生細菌間の密接な共生関係が営まれている.すべてのタバココナジラミに存在する必須共生細菌Portiera(必須アミノ酸などを合成して宿主に供給)のほかにも,遺伝型ごとに感染状況が異なる任意共生細菌が,これまでに7種類確認されている.これらの任意共生細菌についても,宿主の植物病原ウイルス媒介,殺虫剤感受性,高温耐性,適応度などの宿主の農業害虫としての性質に影響を与えることが知られている(35)35) 藤原亜希子,𡈽田 努:蚕糸・昆虫バイオテック,83, 209(2014)..このように,タバココナジラミ菌細胞における複合共生系は,①生存・繁殖に必須であることから強力な殺虫効果が見込まれる,②特異性が高く益虫などへの影響が少ない,③複数生物間の相互作用の場であることから抵抗性が獲得しづらい,という3つの大きなメリットが考えられ,新たなタバココナジラミ防除標的としてきわめて有望である.

私たちはまず,日本全国におけるタバココナジラミの任意共生細菌感染状況を調査し,TYLCVを媒介するMEAM1型とMED Q1型が日本中の圃場に蔓延しており,両方に任意共生細菌Hamiltonellaがほぼ100%共生していることを明らかにした(36)36) A. Fujiwara, K. Maekawa & T. Tsuchida: J. Appl. Entomol., 139, 55 (2015)..つづいて,タバココナジラミ菌細胞におけるトランスクリプトーム解析を行い,MED Q1とMEAM1両方において菌細胞で特異的に高発現しているBTB(Bemisia tabaci bacteriocyte specific expressed genes)遺伝子群を同定した.特にこのなかの一つは,ほかの生物では相同性遺伝子が存在せず,RNAiによるノックダウンにより24時間後のタバココナジラミの生存率が大きく低下することを確認しており,防除標的として非常に有望である.現在,この遺伝子機能を阻害するような化合物のスクリーニングを遂行中である.

ほかにも,タバココナジラミ被害の最たるものであるTYLCV媒介を阻止するウイルス伝播防止剤の開発に向けた研究も行っている.先行研究において,Hamiltonellaの産生するGroELタンパク質が,タバココナジラミ体内でTYLCVの外被タンパク質と結合することによって宿主の免疫系からTYLCV粒子を保護し,媒介効率を向上させていると報告されている(37)37) A. Kliot & M. Ghanim: Viruses, 5, 1516 (2013)..私たちはこの2つのタンパク質をTYLCV媒介阻止の標的と考え,これらの結合を特異的に阻害する化合物を得るためのハイスループットスクリーニング系を構築し,9種類の結合阻害化合物を得ることに成功した.現在,それら化合物のウイルス媒介効率に与える影響を検証中である.タバココナジラミの生存には影響を与えない化合物を選定することで,薬剤耐性虫が出にくい新規農薬の開発につながることが期待される.

おわりに

本稿では,「共生」を利用する場合のメリットを中心に紹介したが,当然問題点も存在する.共生細菌は,宿主との密接な共生を営むがゆえに,大半は単離培養が困難である.さらに宿主昆虫についても,ほとんどが非モデル生物であることから,効果的な機能解析手法が確立できていない場合も多い.これらが研究を進めるうえで障害となっていたことから,共生系の詳細な分子機構についてはいまだに未解明な部分が多い.特に医療への応用においては,緊急性の高さから実用化に向けた臨床研究が急ピッチで進められているが,大勢の人々への使用を想定する以上,また将来にわたっての安全性の確保のためにも,しっかりと基盤となる分子機構まで解明しておく必要がある.近年めざましく発達している大規模ゲノム解析技術やゲノム編集技術などを駆使することで,共生の分子基盤解明が進めば,それによってさらに農業・薬学・医学などへの応用が加速することが期待される.現在ホットな分野の一つである「共生」の応用研究について,ぜひ今後の発展にご注目いただきたい.

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