解説

葉緑体核様体の進化と構造のダイナミクス見えてきた葉緑体核様体の形の制御機構とその進化史

Dynamics of the Evolution and Structure of Chloroplast Nucleoids: Finding the Mechanisms that Control the Shapes of Chloroplast Nucleoids

Yusuke Kobayashi

小林 優介

国立遺伝学研究所細胞遺伝研究系進化細胞生物部門

Osami Misumi

三角 修己

山口大学大学院創成科学研究科

Yoshiki Nishimura

西村 芳樹

京都大学大学院理学研究科生物科学専攻植物学教室

Published: 2018-09-20

藻類や植物の葉緑体は光合成によって地球上のほぼすべての生命活動を支えている.葉緑体には,シアノバクテリア様の祖先から引き継がれた独自の葉緑体DNAがあり,これらは光合成装置の構築や植物の生存上必須な要素である.葉緑体DNAは裸でストロマを浮遊するのではなく,多様なタンパク質によって折り畳まれて“核様体”を構築する.葉緑体核様体は,いわば葉緑体にとっての「染色体」であり,細胞核の場合と同様に,葉緑体DNAの複製・分配の基盤である.この葉緑体核様体構造がもつ進化学的,形態学的なダイナミズムについて俯瞰する.

はじめに

植物は12億年以上もの太古の時代にシアノバクテリアのような原核生物が細胞内共生したことで誕生し(一次共生),灰色植物,紅色植物,緑色植物の3つのグループへと進化した.さらに真核藻類が複数回独立に非光合成真核細胞内に絶対共生することで,光合成能は多数の真核生物系統にもたらされた(二次共生).ユーグレナ(ミドリムシ)やクロララクニオン植物は緑藻由来の葉緑体を,ケイ藻,ハプト藻,褐藻などは紅藻由来の葉緑体を有する.さらに,重篤な疾病を引き起こすマラリア原虫やトキソプラズマには,紅藻由来の葉緑体が光合成能を喪失することで誕生したアピコプラストが存在し,これらの寄生生物の代謝においてアピコプラストは重要な機能を果たす(1)1) J. M. Archibald: Curr. Biol., 25, R911 (2015).

一般的に葉緑体ゲノムは多コピーであり,一つの葉緑体には約80~100コピーの相同なDNAが存在する.1細胞に複数の葉緑体を有する陸上植物では,1細胞に数千から1万の葉緑体DNAが存在する.この大量の葉緑体DNAは裸でストロマやクリステに均質に浮遊するのではない.DNAに特異的に結合する蛍光色素を用いて葉緑体DNAを可視化して見ると,葉緑体DNAは小さな輝点として観察される.葉緑体核様体と呼ばれるこの構造は,多コピーの葉緑体DNAがさまざまなRNA分子やタンパク質とともに高度に組織化されたものであり,藻類や植物において極めて普遍的に観察される(2, 3)2) T. Kuroiwa: Int. Rev. Cytol., 128, 1 (1991).3) A. Sakai, H. Takano & T. Kuroiwa: Int. Rev. Cytol., 238, 59 (2004).

近年の質量分析により,葉緑体核様体を構成するタンパク質群の全体像が徐々に明らかになりつつある.トウモロコシの葉から精製した葉緑体核様体を用いた質量分析では,DNA複製,修復,転写を担う酵素群に加え,RNAスプライシングやmRNA安定性制御などの転写後プロセスにかかわる多様な因子群が検出された(4)4) W. Majeran, G. Friso, Y. Asakura, X. Qu, M. Huang, L. Ponnala, K. P. Watkins, A. Barkan & K. J. van Wijk: Plant Physiol., 158, 156 (2012)..一方で,葉緑体における転写に注目した解析からも多くの葉緑体核様体因子が同定されてきた.Pfalzらは,シロイヌナズナの葉緑体から転写活性を有する画分を各種クロマトグラフィー技術で精製し,それらをplastid transcriptionally active chromosome proteins(pTAC)と名づけ,質量分析によって一連のタンパク質群を同定した.pTACのほとんどは植物または真核生物特有のタンパク質であり,特に,pTAC1(Whirly)やpTAC3(SAPドメインタンパク質)などは葉緑体核様体構造を構成する主要成分であることが示唆されている(5)5) J. Pfalz, K. Liere, A. Kandlbinder, K. J. Dietz & R. Oelmuller: Plant Cell, 18, 176 (2006)..こうした研究成果から,葉緑体核様体が葉緑体DNA複製,修復,転写,翻訳,および転写後プロセスの中枢として機能していることが分子レベルで示されつつある(6, 7)6) M. Powikrowska, S. Oetke, P. E. Jensen & K. Krupinska: Front. Plant Sci., 5, 424 (2014).7) J. Pfalz & T. Pfannschmidt: Trends Plant Sci., 18, 186 (2013).

葉緑体核様体構造因子の多様性から見た葉緑体の進化

葉緑体核様体はDNA複製,修復,転写,翻訳,転写後プロセスなどにかかわる多様なタンパク質群から構成されるが,そのなかでも葉緑体DNAの折り畳みや構造化を担う「構造タンパク質」の変遷は,葉緑体進化を考察するうえで興味深い視点の一つである(8)8) Y. Kobayashi, M. Takusagawa, N. Harada, Y. Fukao, S. Yamaoka, T. Kohchi, K. Hori, H. Ohta, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1 (2016).

細胞核の染色体を形成するヒストンタンパク質群は,生物種間で高度に保存されている.一方で,バクテリアや葉緑体の核様体の構造因子は種間で多様性に富む.そのなかで最も広く保存されているのがHU(heat unstable)である.原始紅藻やクリプト藻(紅藻を二次共生させたもの)ではhu遺伝子は葉緑体ゲノムにコードされ(9)9) T. Kobayashi, M. Takahara, S. Y. Miyagishima, H. Kuroiwa, N. Sasaki, N. Ohta, M. Matsuzaki & T. Kuroiwa: Plant Cell, 14, 1579 (2002).,同じく紅藻葉緑体由来のアピコプラストにおいてもHUが核様体構造の維持に機能することが報告されている(10)10) S. B. Reiff, S. Vaishnava & B. Striepen: Eukaryot. Cell, 11, 905 (2012)..緑色植物は緑藻類(クロレラ,アオノリなど)とストレプト植物(ミカヅキモ,シャジクモ,陸上植物など)の2つのグループで構成される.緑藻では細胞核にHU遺伝子がコードされ,HUタンパク質が葉緑体に輸送されている(11)11) D. Karcher, D. Koster, A. Schadach, A. Klevesath & R. Bock: Mol. Plant, 2, 1223 (2009)..しかしながら,維管束植物ではこれまで細胞核ゲノムや葉緑体ゲノムからHU遺伝子は見つかっておらず,葉緑体核様体構成成分がバクテリアや藻類のものとは全く異なると考えられていた(12)12) N. Sato: Trends Plant Sci., 6, 151 (2001).図1図1■葉緑体核様体構造).われわれはシャジク藻植物クレブソルミディウムにはシアノバクテリア由来のHUが細胞核にコードされ,HUタンパク質が葉緑体核様体に局在していること,ゼニゴケゲノムからはHU遺伝子が検出されなかったことから,HU遺伝子の消失は陸上植物の誕生とほぼ同時期に起きたと提唱している(8)8) Y. Kobayashi, M. Takusagawa, N. Harada, Y. Fukao, S. Yamaoka, T. Kohchi, K. Hori, H. Ohta, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1 (2016).

図1■葉緑体核様体構造

陸上植物トウモロコシのプロトプラストと単細胞性緑藻クラミドモナスの細胞をSYBR Green Iで染色することでDNAを可視化した.マゼンタは葉緑体クロロフィルの自家蛍光,Nは細胞核,矢印は葉緑体核様体を示す.

2000年頃から世界的に維管束植物においてHUに相当するタンパク質の探索が行われた.佐藤博士らは,生化学的に単離したエンドウマメの葉緑体核様体に多量の亜硫酸還元酵素(SiR)が含まれると報告した(13)13) N. Sato, M. Nakayama & T. Hase: FEBS Lett., 487, 347 (2001)..同時期に米国のグループは大豆の葉緑体核様体からSiRを同定している(14)14) C. L. Chi-Ham, M. A. Keaton, G. C. Cannon & S. Heinhorst: Plant Mol. Biol., 49, 621 (2002)..さらに佐藤博士のグループは,SiRにはDNAに結合し,小さくまとめる活性があることを示している(15)15) K. Sekine, M. Fujiwara, M. Nakayama, T. Takao, T. Hase & N. Sato: FEBS J., 274, 2054 (2007)..SiRは,ヒメツリガネゴケやタバコなどでも葉緑体核様体に多量に存在することが報告され,加えてゼニゴケにおいてもわれわれはSiRが葉緑体核様体因子であることを確認している(未発表).このようにSiRは葉緑体核様体因子として知られているが,モデル植物であるシロイヌナズナやトウモロコシではSiRは葉緑体核様体には特異的に局在しないことも報告されている.では,どうして植物種によってSiRの葉緑体内での局在が異なるのであろうか.われわれは,さまざまな植物種のSiRのアミノ酸配列を丹念に解析した結果,葉緑体核様体局在型のSiRにはC末端に約50アミノ酸程度の短い領域CEP(C-terminally Encoded peptide)が存在し,アブラナ科植物や単子葉植物のSiRにはCEPは保存されていないことを発見した(16)16) Y. Kobayashi, T. Otani, K. Ishibashi, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1459 (2016)..さらにCEPが核様体局在に重要であることを示し,アブラナ科植物や単子葉植物では独立にCEPが消失することでSiRが核様体から非特異的局在型へと変化したというモデルを提唱した.つまり,SiRは陸上植物の誕生時から存在する基本的な葉緑体核様体因子であると言える(16)16) Y. Kobayashi, T. Otani, K. Ishibashi, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1459 (2016).図2図2■緑色植物の葉緑体核様体構成因子の変遷).

図2■緑色植物の葉緑体核様体構成因子の変遷

緑藻誕生の段階で,葉緑体核様体はシアノバクテリア由来のHUに加え,複数の真核由来の因子も葉緑体核様体構造の維持にかかわり始めた.HUはシャジク藻植物でも葉緑体核様体構造に存在しているが,陸上植物の誕生とともにHU遺伝子は消失する.コケ植物が誕生したころから,亜硫酸還元酵素(SiR)が葉緑体核様体の主要構成因子として機能し始めた.さらに,種子植物の進化に伴い,SWIBが葉緑体核様体構造維持に関与し始めた.アブラナ科や単子葉類ではSiRのDNA結合に重要な領域(CEP)を消失することで,非葉緑体核様体型のSiRが誕生した.

2012年,ドイツのKrupinska博士らは,ホウレンソウの葉緑体内に多量に蓄積する塩基性タンパク質の探索を行い,20 kDa程度の比較的低分子のSWIBドメインタンパク質を同定した(17)17) J. Melonek, A. Matros, M. Trosch, H. P. Mock & K. Krupinska: Plant Cell, 24, 3060 (2012)..シロイヌナズナにおいてはSWIB遺伝子のオーソログが6つ存在し,うち一つSWIB-4はDNA結合能有し,さらに核様体因子H-NSを欠損した大腸菌を相補したことから,SWIB-4は葉緑体核様体コア因子であると結論づけている(17)17) J. Melonek, A. Matros, M. Trosch, H. P. Mock & K. Krupinska: Plant Cell, 24, 3060 (2012)..われわれがクレブソルミディウムやゼニゴケを用いてSWIBのオーソログを探索し,局在解析したところ,これらの生物ではSWIBのオーソグが一つ存在し,それらは主に細胞核に局在し,葉緑体核様体からは検出されなかった(8)8) Y. Kobayashi, M. Takusagawa, N. Harada, Y. Fukao, S. Yamaoka, T. Kohchi, K. Hori, H. Ohta, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1 (2016)..つまり,SWIBは元来,細胞核で機能する因子であり,陸上植物の進化においてコケ植物の分岐以降にSWIBが遺伝子重複を起こし,そのうちの一部が葉緑体移行シグナルを獲得することで誕生した比較的新しい葉緑体核様体構成因子と考えられる.

ではこれらの真核型因子は植物の進化において,いつ頃から葉緑体核様体構造維持にかかわり始めたのだろうか.われわれは緑藻クラミドモナスにおいてHUを標的とした免疫沈降によって精製した葉緑体核様体のプロテオーム解析を行い,WhirlyやSAPドメインタンパク質などの真核型葉緑体核様体コア因子を同定した.つまり,緑藻の段階で葉緑体核様体はすでに宿主細胞由来の因子を獲得しており,さらに植物の進化とともに機能的に冗長的な核様体因子を獲得することで,陸上植物ではHU遺伝子を消失したと考えられる(8)8) Y. Kobayashi, M. Takusagawa, N. Harada, Y. Fukao, S. Yamaoka, T. Kohchi, K. Hori, H. Ohta, T. Shikanai & Y. Nishimura: Genome Biol. Evol., 8, 1 (2016).図3図3■HU遺伝子から見た葉緑体核様体の進化).

図3■HU遺伝子から見た葉緑体核様体の進化

植物に保存されたHUはシアノバクテリア由来と考えられている.現在でも原始紅藻や二次共生藻ではhu遺伝子は葉緑体ゲノムにコードされている.緑藻やシャジク藻植物では,HU遺伝子は細胞核にコードされており,最節約的に考察すると,hu遺伝子は緑色植物の誕生と伴に細胞核コードに変化したと考えられる.陸上植物のゲノムからはHU遺伝子は見つかっていない.

葉緑体が分裂によってのみ増殖することは19世紀後半には知られており,これがロシアの植物学者Mereschkowskyによる初めての葉緑体細胞内共生説の根拠の一つとなった(18)18) W. Martin & K. Kowallik: Eur. J. Phycol., 34, 287 (1999).doi: 10.1080/09670269910001736342.葉緑体増殖には,葉緑体DNAは正確に複製され,娘葉緑体へと確実に分配されなくてはならない.葉緑体DNA複製は大腸菌のDNAポリメラーゼIと相同なPOP(plant and protist organellar DNA polymerase)が担い(19, 20)19) A. C. Christensen, A. Lyznik, S. Mohammed, C. G. Elowsky, A. Elo, R. Yule & S. A. Mackenzie: Plant Cell, 17, 2805 (2005).20) T. Moriyama, K. Terasawa, M. Fujiwara & N. Sato: FEBS J., 275, 2899 (2008).,その活性は細胞周期ではなく葉緑体のレドックス状態によって制御されると言われる(21)21) Y. Kabeya & S. Y. Miyagishima: Plant Physiol., 161, 2102 (2013)..分子系統解析によるとPOPはシアノバクテリアやα-プロテオバクテリア由来ではないことを示しており(20)20) T. Moriyama, K. Terasawa, M. Fujiwara & N. Sato: FEBS J., 275, 2899 (2008).,葉緑体の誕生の歴史を考えるうえで興味深い.葉緑体DNAの複製機構に関しては現在でも多くは謎に包まれている.葉緑体DNAにはバクテリアゲノムのような明確な複製開始点や終結点は見つかっておらず,米国のBendich博士は葉緑体DNA複製はT4ファージのように相同組換えの差侵入を起点にしていると提唱しているが,結論はいまだに出ていない(22)22) A. J. Bendich: Plant Cell, 16, 1661 (2004).

では,葉緑体ゲノムの分配はいかにして遂行されているのだろうか.緑藻クラミドモナスは培地や光条件を制御することで均質な細胞集団を容易に調製できるため,細胞周期と葉緑体核様体形態との関係が詳細に研究されている.間期のクラミドモナスでは葉緑体核様体は5~10個ほどの塊として観察されるが,葉緑体分裂直前に葉緑体核様体は葉緑体中に細かく拡散することで,娘葉緑体に葉緑体DNAを確実に分配していると考えられている(23)23) T. Ehara, Y. Ogasawara, T. Osafune & E. Hase: J. Phycol., 26, 317 (1990)..同様の形態変化は陸上植物シロイヌナズナでも観察されており,普遍的な葉緑体DNAの分配機構でと考えられている(24)24) K. Terasawa & N. Sato: Plant Cell Physiol., 46, 649 (2005)..しかしながら,この葉緑体核様体形態の動態を制御する分子メカニズムはあまり理解されていなかった.われわれは,葉緑体内での相同組換え中間体Hollidayジャンクションが適切に解離されることが葉緑体核様体の分配や形態維持に重要であることが明らかにした(25)25) Y. Kobayashi, O. Misumi, M. Odahara, K. Ishibashi, M. Hirono, K. Hidaka, M. Endo, H. Sugiyama, H. Iwasaki, T. Kuroiwa et al.: Science, 356, 631 (2017)..次に,Hollidayジャンクション研究の歴史を紹介し,葉緑体型Hollidayジャンクション切断機構が発見された意義や葉緑体DNA分配におけるその重要性について紹介したい.

葉緑体核様体形態のダイナミズムを支えるHollidayジャンクション切断機構

生命の設計図であるDNA分子は,紫外線,電離放射線,活性酸素種などによる損傷を頻繁に受ける.体細胞ではゲノムDNA損傷を相同組換えによって修復し,保守的に維持する.一方で,動物や植物,酵母の生殖過程ではDNAヌクレアーゼSPO11によって自らのゲノムDNAを二本鎖切断してまで,相同組換えによって積極的に多様性を創出する.生物学に携わる誰しもが一度は教科書で勉強した相同組換え,そのモデルの原型は1983年に米国のSzostak博士らによって提唱された.ここでは,相同組換えを大まかに3つのステップに分けて紹介する.

Szostak博士らよりも前にHollidayジャンクションの存在を予想したのが,英国の遺伝学者Holliday博士である(26, 27)26) R. Holliday: Genet. Res., 5, 13 (1964).27) Y. Liu & S. C. West: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 5, 937 (2004)..Holliday博士は酵母で観察されたメンデルの法則に従わない遺伝様式を説明するためにモデルを提唱した.酵母には2つの接合型(aとα)が存在し,メンデルの法則に従えば,四分子解析をすると細胞核の遺伝子型は2対2に分離するはずである.しかし,しばしば一塩基多型はメンデルの法則を逸脱し,3対1に遺伝子型が分離する現象(gene conversion)が観察された.Holliday博士は,相同DNA間でHollidayジャンクションを介して組換えを起こし,然る後にミスマッチが修復されれば,3対1の分離比が引き起こされると,矛盾なく説明した.つまり,Holliday博士は,Hollidayジャンクションとそれを解離する酵素,さらにはミスマッチ修復機構の存在を予想していたことになる.

Hollidayジャンクション構造の存在は,電子顕微鏡観察によって証明され始めた(28, 29)28) J. Doniger, R. C. Warner & I. Tessma: Nat. New Biol., 242, 9 (1973).29) S. C. West: Biochem. Soc. Trans., 37, 519 (2009)..さらに1990年代,日本の品川博士のグループと英国のWest博士のグループの激しい研究競争によって,大腸菌におけるHollidayジャンクション解離機構の大枠が解明された(29)29) S. C. West: Biochem. Soc. Trans., 37, 519 (2009)..2000年代になると,酵母やヒトの細胞核でのHollidayジャンクションの解離機構の研究が進み,がんや早老症といった疾病とHollidayジャンクション解離機構の関係性が見え始めてきた(30)30) L. Wu & I. D. Hickson: Nature, 426, 870 (2003)..上記に加え,ウイルス(31)31) K. Mizuuchi, B. Kemper, J. Hays & R. A. Weisberg: Cell, 29, 357 (1982).や古細菌(32)32) K. Komori, S. Sakae, H. Shinagawa, K. Morikawa & Y. Ishino: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 8873 (1999).においてもHollidayジャンクション切断酵素が報告されている.そしてついに2017年,われわれは葉緑体において初めてHollidayジャンクションの切断因子MOC1を同定することになる(25)25) Y. Kobayashi, O. Misumi, M. Odahara, K. Ishibashi, M. Hirono, K. Hidaka, M. Endo, H. Sugiyama, H. Iwasaki, T. Kuroiwa et al.: Science, 356, 631 (2017)..これまでHollidayジャンクション解離因子は,紫外線,薬剤などへの高感受性や遺伝的疾病をマーカーとした遺伝学的手法や細胞抽出液からの生化学的手法によって単離されてきた.しかしわれわれはこれまでのHollidayジャンクション切断酵素の発見過程とは全く異なり,葉緑体核様体構造の形態学に基づいた変異体スクリーニングを起点として,Hollidayジャンクション解離酵素にたどり着くこととなった.

きっかけとなったのは1999年に単離されたクラミドモナスの変異体である.黒岩博士のグループは,ランダムタギングによって作出したクラミドモナスの変異体ラインを,一つずつDAPI染色による顕微鏡観察を行うことで葉緑体核様体に異常を示す変異体を複数単離した.その中で,細胞周期を通して葉緑体核様体がたった一つに凝集した変異体が単離され,monokaryotic chloroplastmoc)と名づけられた(33)33) O. Misumi, L. Suzuki, Y. Nishimura, A. Sakai, S. Kawano, H. Kuroiwa & T. Kuroiwa: Protoplasma, 209, 273 (1999).図4図4■moc1変異体で観察される葉緑体核様体の形態や分配の異常).しかしながら,タグが複数ゲノムに挿入されていることやクラミドモナスのゲノム情報が不十分であったため,mocの原因遺伝子は未同定のままであった.われわれは遺伝学的に葉緑体核様体形態を制御するメカニズムに迫るために,moc変異体の原因遺伝子の同定を目指した.古典的な遺伝子マッピングや最新のゲノム情報を利用したTAIL-PCRによって候補遺伝子を探索し,相補実験を繰り返すことでようやく原因遺伝子moc1に辿り着いた.MOC1は藻類・植物で広く保存されており,シロイヌナズナにおいてMOC1を発現抑制すると葉緑体核様体は凝集し,さらに完全破壊株はアルビノ致死であった.

図4■moc1変異体で観察される葉緑体核様体の形態や分配の異常

野生株の間期には,葉緑体核様体は5~10個ほどの塊として観察される.分裂直前には葉緑体核様体はさらに細かく葉緑体中に拡散することで,娘葉緑体への均等分配が促進される.Moc1変異体では葉緑体核様体が一つに凝集しており,葉緑体分裂時の核様体の形態制御に異常があるため,葉緑体DNAの不均等分配が頻繁に観察される.

通常のBLASTやCDSサーチではMOC1と既知の機能ドメインとの相同性が一切検出されず,当初解析の方向性が定まらなかった.さまざまなプログラムを試みたところ,SWISSホモロジーモデリングプログラムによって,MOC1とバクテリアのRuvCの間に10%程度のとても低いアミノ酸配列相同性が検出されたが,あまりにも相同性が低く,配列からMOC1の活性を確定することはできなかった.そこで,MOC1のリコンビナントタンパク質を精製し,生化学的にMOC1にRuvCに類似した活性が存在するか検証することにした.基質となるHollidayジャンクションは,オリゴDNAをアニーリングさせることで人工的に作製した.酵素学的解析を行うと,MOC1はMg2+イオンまたはMn2+イオンのいずれかの二価の金属イオンの存在下で,Hollidayジャンクションを特異的に切断することが明らかとなった.さらに多角的に検証するために,高速原子間力顕微鏡とDNAオリガミ技術を用いてMOC1の解析を行った.その結果,MOC1がHollidayジャンクションの中央部に特異的に結合しそれを点対称に切断する過程を可視化することに成功した.さまざまな構造・配列をもつDNA基質を作製することで,MOC1は長いシス配列を必要とせず,Hollidayジャンクションの分岐点に存在するコア配列C↓Cを点対称にニックを入れ中間体を分離することを明らかにした(↓は切断位置).残ったニックにはリン酸基とヒドロキシル基が存在し,そのままDNAリガーゼでシールされた.これらの結果は,MOC1はHollidayジャンクション解離酵素であり,一塩基の変異を許さずに相同組換えを終結させることが可能であることを明確に示している.ゆえに,われわれの研究によって細胞核,ミトコンドリア,葉緑体の3オルガネラにRuvCモデルに従うHollidayジャンクション解離機構が存在することを明確に示している(25)25) Y. Kobayashi, O. Misumi, M. Odahara, K. Ishibashi, M. Hirono, K. Hidaka, M. Endo, H. Sugiyama, H. Iwasaki, T. Kuroiwa et al.: Science, 356, 631 (2017).

ではなぜ,MOC1遺伝子が機能不全になると葉緑体核様体は凝集するのであろうか.DNAの損傷によってDNA複製が停止すると,相同組換えによる複製フォークの修復が開始される.その結果,葉緑体DNA分子同士はHollidayジャンクションによって連結される.この連結は共有結合によるものであり,葉緑体DNA分子を物理的に分離することが困難となる.葉緑体核様体は葉緑体DNAとタンパク質の複合体であり,葉緑体DNAが分離できないと葉緑体核様体自体も分離できなくなると考えられる.このことは言い方を変えれば,生体内において葉緑体DNAは遺伝子マップで描かれるような単純な環状構造ではなく,Hollidayジャンクションによって複雑に絡まり合っていることを遺伝学的に示唆する(25)25) Y. Kobayashi, O. Misumi, M. Odahara, K. Ishibashi, M. Hirono, K. Hidaka, M. Endo, H. Sugiyama, H. Iwasaki, T. Kuroiwa et al.: Science, 356, 631 (2017).図5図5■MOC1による葉緑体核様体分配保障モデル).

図5■MOC1による葉緑体核様体分配保障モデル

約100コピー存在する葉緑体DNAは相同組換えによってHollidayジャンクションによって連結し,葉緑体核様体は凝集する.MOC1は葉緑体内に生じたHollidayジャンクションを解離することで,葉緑体DNAのもつれを解消し,葉緑体核様体の分配を促進する.

葉緑体DNA相同組換え機構の多様性と今後の課題

相同組換えは,リコンビナーゼが開始し,Hollidayジャンクション解離酵素が終結させる(34, 35)34) H. J. Dunderdale, F. E. Benson, C. A. Parsons, G. J. Sharples, R. G. Lloyd & S. C. West: Nature, 354, 506 (1991).35) Y. Murayama, Y. Kurokawa, K. Mayanagi & H. Iwasaki: Nature, 451, 1018 (2008)..リコンビナーゼは細胞核ではRad51,葉緑体では細胞核にコードされたシアノバクテリア由来のRecAが葉緑体DNAの安定性に寄与していることが知られている(36)36) E. Nakazato, H. Fukuzawa, S. Tabata, H. Takahashi & K. Tanaka: Biosci. Biotechnol. Biochem., 67, 2608 (2003)..さらにわれわれは,RecAは葉緑体ゲノムの安定性だけではなく,その蓄積量を変化させることで葉緑体核様体の形態を制御する可能性も明らかにしている(37)37) M. Odahara, Y. Kobayashi, T. Shikanai & Y. Nishimura: Plant Physiol., (2016). doi: 10.1104/pp.16.01533.Rad51とRecAは共通祖先から派生したものであり,リコンビナーゼは生物の3ドメインにおいて高度に保存されていると言える(38)38) Z. Lin, H. Kong, M. Nei & H. Ma: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 10328 (2006)..しかし一方で,Hollidayジャンクション解離機構は,生物種やオルガネラによって進化的由来は異なる(27)27) Y. Liu & S. C. West: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 5, 937 (2004)..バクテリアのRuvCと酵母ミトコンドリアのCCE1はRNase Hファミリーに属する(39, 40)39) M. Ariyoshi, D. G. Vassylyev, H. Iwasaki, H. Nakamura, H. Shinagawa & K. Morikawa: Cell, 78, 1063 (1994).40) S. Ceschini, A. Keeley, M. S. McAlister, M. Oram, J. Phelan, L. H. Pearl, I. R. Tsaneva & T. E. Barrett: EMBO J., 20, 6601 (2001)..RNase Hファミリーは,RNase H, HIVインテグラーゼなどを含む巨大なタンパク質ファミリーであり,近年ゲノム編集で注目されているCas9にもRuvCと相同な領域が存在する(41)41) M. Jinek, F. Jiang, D. W. Taylor, S. H. Sternberg, E. Kaya, E. Ma, C. Anders, M. Hauer, K. Zhou, S. Lin et al.: Science, 343, 1247997 (2014)..MOC1は,RuvCとの低い一次配列相同性が検出されたことから,RNase Hファミリーに属することが予測される.しかし,あまりにも相同性が低いため,これまでBLAST検索などではMOC1の存在が見過ごされてきた.興味深いことにRNase Hファミリーは,いずれも高い三次構造の類似性を有するが,それぞれの一次配列の保存性が低い(39)39) M. Ariyoshi, D. G. Vassylyev, H. Iwasaki, H. Nakamura, H. Shinagawa & K. Morikawa: Cell, 78, 1063 (1994)..アミノ酸配列に基づく分子系統解析では,これらの多様なタンパク質が共通起源なのか,それとも,収斂進化による他人の空似なのか結論を導くことは極めて困難である.ただ,MOC1のアミノ酸配列はシアノバクテリアやそのほかの真正細菌のRuvCのものと相同性が著しく低いこと,灰色植物,紅藻やその二次共生藻ではruvCMOC1遺伝子が見つからないことから,MOC1は緑色植物の祖先となった細胞が独自に獲得したと考えられる.つまり,葉緑体の相同組換えの開始は共生体由来のRecAに制御され(36, 38)36) E. Nakazato, H. Fukuzawa, S. Tabata, H. Takahashi & K. Tanaka: Biosci. Biotechnol. Biochem., 67, 2608 (2003).38) Z. Lin, H. Kong, M. Nei & H. Ma: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 10328 (2006).,終結は宿主由来のMOC1に制御されているといえる(25)25) Y. Kobayashi, O. Misumi, M. Odahara, K. Ishibashi, M. Hirono, K. Hidaka, M. Endo, H. Sugiyama, H. Iwasaki, T. Kuroiwa et al.: Science, 356, 631 (2017)..さらにこのことは,一次植物の間でも葉緑体DNAの相同組換え機構に多様性があることも強く示唆している.シアノバクテリアではruvCは生存必須遺伝子であり(42)42) B. E. Rubin, K. M. Wetmore, M. N. Price, S. Diamond, R. K. Shultzaberger, L. C. Lowe, G. Curtin, A. P. Arkin, A. Deutschbauer & S. S. Golden: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 112, E6634 (2015).,葉緑体と別系統のシアノバクテリアを共生させたポーリネラのシアネレや一部ケイ藻に存在するspheroid bodyには縮退進化から逃れたruvCが保持されている(43)43) E. C. Nowack, M. Melkonian & G. Glockner: Curr. Biol., 18, 410 (2008)..これらの事実から,一次植物の共通祖先はシアノバクテリアの生存に極めて重要なruvCを消失し,そして緑色植物の祖先はRuvCとほぼ相同な機能をもったMOC1を新規に獲得したこということが考えられる.灰色植物や紅色植物には,RuvCやMOC1と同様のHollidayジャンクション解離酵素が存在するのか,それともHollidayジャンクションを介さない合成依存的DNA鎖アニーリング経路(44, 45)44) F. Paques & J. E. Haber: Microbiol. Mol. Biol. Rev., 63, 349 (1999).45) L. S. Symington: Microbiol. Mol. Biol. Rev., 66, 630 (2002).のような機構を発達させているのか,今後明らかにしていく必要がある.

おわりに

葉緑体核様体因子の進化的由来・変遷は複雑である.顕微鏡下では陸上植物,藻類で似通った微小粒状構造として観察される葉緑体核様体であるが,分子レベルでその構造タンパク質に注目してみると,原核型核様体構成因子HU遺伝子の細胞核転移,さらに原核型から真核生物型因子への置換など,植物進化とともにダイナミックな変遷をたどってきたことが明らかになってきた.さらに葉緑体核様体は,細胞分裂や色素体分化とともにその形態を色素体中央に凝集した構造から拡散した粒状構造,さらにはリング型,ネットワーク型などへと多様に変化させる.その制御機構はこれまで謎であったが,今回の緑藻クラミドモナスの葉緑体核様体の凝集変異体(moc1)の解析を通し,葉緑体型Hollidayジャンクション切断酵素がその鍵因子であることが明らかになってきた.またこの成果は,これまで遺伝学の歴史において長らくミッシングピースであった葉緑体におけるHollidayジャンクション解離酵素の初めての発見という点においても注目された.今後,葉緑体核様体構造や葉緑体における相同組換え機構の解析が進めば,藻類・植物の進化研究における新たな視点が与えられ,さらに応用面では,葉緑体DNAの組換え技術や葉緑体遺伝子発現制御技術の発展に向けた起点となることが期待される.

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