セミナー室

CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術の進展と作物への応用発展し続けるCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術

遠藤

Akira Endo

農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門

賀屋 秀隆

Hidetaka Kaya

農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門

土岐 精一

Seiichi Toki

農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門

横浜市立大学木原生物学研究所植物分子育種科学部門

Published: 2018-10-20

ゲノム編集技術の進展は目覚ましく,人工制限酵素を用いて標的遺伝子を破壊することは多くの生物種で一般的な技術となりつつある.そこで現在は標的遺伝子を狙いどおりに改変することが技術開発の目標となっている.現在最も汎用されている人工制限酵素ツールはCRISPR/Cas9(Clustered Regularly Interspaced Palindromic Repeats/CRISPR-associated protein 9)システムである.このシステムにおいて中心的役割を担うのがCas9タンパク質で,通常Streptococcus pyogenes(化膿連鎖球菌)由来のCas9(SpCas9)が用いられている.またSpCas9以外にもさまざまな細菌由来のCas9やCas9類似のRNA依存性DNAエンドヌクレアーゼCpf1(CRISPR from Prevotella and Francisella 1)も利用され始めている.Cas9, Cpf1などをゲノム編集に用いる際の課題として,PAM(Protospacer Adjacent Motif)と呼ばれる特定の塩基配列に隣接して標的配列を設定しなければならないため,標的配列の選択には制限があること,オフターゲット活性(本来の標的以外の配列を切断すること)があることが挙げられる.これらの課題を解決する技術として,PAMによる標的配列制限を緩和するCas9,オフターゲット活性を低下させたCas9など,改良型Cas9が次々と開発されている.さらに,CRISPR/Cas9を用いた標的配列における塩基置換技術も開発されている.

現在,主要作物のほとんどにおいてSpCas9による遺伝子破壊に成功しているが,新規Cas9や改良型Cas9によるゲノム編集技術は,その適用範囲を広げるとともに,文字どおりゲノムの塩基配列を「編集」できる技術となりつつある.本稿では最近のCas9を用いたゲノム編集技術の進展と,その作物への適用例について紹介したい.

CRISPR/Cas9は本来細菌の獲得免疫において機能するシステムであり,Cas9はRNA依存性DNAエンドヌクレアーゼをコードし,CRISPR遺伝子座には過去に感染したファージなどのゲノム配列の一部を含むcrRNA(CRISPR RNA)が繰り返し配列として座上している(1)1) F. Jiang & J. A. Doudna: Annu. Rev. Biophys., 46, 505 (2017)..ファージが細菌に感染したとき,CRISPR遺伝子座から発現するcrRNAはtracrRNA(trans-activating CRISPR RNA)と相互作用しguide RNA(gRNA)を形成,Cas9がgRNAに結合してRNA–タンパク質複合体を形成する(1)1) F. Jiang & J. A. Doudna: Annu. Rev. Biophys., 46, 505 (2017)..この複合体は,crRNAに含まれる標的配列(Protospacer sequence)情報を基にファージのゲノム上から相同な標的配列を探し切断することで免疫機構の一部として機能する(1, 2)1) F. Jiang & J. A. Doudna: Annu. Rev. Biophys., 46, 505 (2017).2) R. Sapranauskas, G. Gasiunas, C. Fremaux, R. Barrangou, P. Horvath & V. Siksnys: Nucleic Acids Res., 39, 9275 (2011)..Cas9複合体による標的配列の切断は,まず標的配列に隣接したPAMがCas9タンパク質により認識され,その次に隣接する標的配列がCas9/gRNA複合体によって認識された後に起きる(3)3) S. H. Sternberg, B. LaFrance, M. Kaplan & J. A. Doudna: Nature, 527, 110 (2015)..Cas9はそれぞれ固有のPAMを認識する.たとえば,SpCas9, SaCas9はそれぞれ標的配列に隣接したNGG(N: A or C or G or T),NNGRRT(R: A or G)という配列をPAMとして認識する(4, 5)4) H. Nishimasu, F. A. Ran, P. D. Hsu, S. Konermann, S. I. Shehata, N. Dohmae, R. Ishitani, F. Zhang & O. Nureki: Cell, 156, 935 (2014).5) H. Nishimasu, L. Cong, W. X. Yan, F. A. Ran, B. Zetsche, Y. Li, A. Kurabayashi, R. Ishitani, F. Zhang & O. Nureki: Cell, 162, 1113 (2015)..そのため,PAMは,CRISPR/Cas9システムによりゲノム編集を行う際に標的配列選択の制限要因となる.

gRNAの改良

DoudnaらはCRISPR/Cas9システムの最初の改良として,crRNAとtracrRNAからなるgRNAを一体化したsingle guide RNA(sgRNA)の開発に成功している(6)6) M. Jinek, K. Chylinski, I. Fonfara, M. Hauer, J. A. Doudna & E. Charpentier: Science, 337, 816 (2012)..crRNAとtracrRNAを共発現させるには,同時期・同組織で機能する2つの転写単位が必要になるが,sgRNAであれば一つの転写単位で効率的に発現させることができることから,現在はsgRNAがゲノム編集で使われることが多い.これまでにgRNAについてさまざまな工夫がなされている.Yinらは,enhanced sgRNA(e-sgRNA)を報告している.e-sgRNAは,本来のtracrRNA領域にある複数の塩基をメチル化(2′-O-メチルリボヌクレオチド)あるいはフルオロ化(2′-フルオロリボヌクレオチド)したsgRNAを作成した(7)7) H. Yin, C. Q. Song, S. Suresh, Q. Wu, S. Walsh, L. H. Rhym, E. Mintzer, M. F. Bolukbasi, L. J. Zhu, K. Kauffman et al.: Nat. Biotechnol., 35, 1179 (2017)..これらの修飾はsgRNAとSpCas9との相互作用に影響することなく,ゲノム編集活性を向上させる.人工核酸であるlocked nucleic acids(LNA)はRNAやDNAに対する結合親和性を上昇させることから,CromwellらはcrRNAにLNAを導入し,オフターゲット活性を抑制できることを報告している(8)8) C. R. Cromwell, K. Sung, J. Park, A. R. Krysler, J. Jovel, S. K. Kim & B. P. Hubbard: Nat. Commun., 9, 1448 (2018).

多様なCas9

現在,さまざまな細菌からCas9が単離され,その特徴が精力的に解析されている.Cas9に類似した機能をもつCpf1(Cas12a)も単離されゲノム編集に応用されている.Cas9とCpf1はそれぞれクラス2に分類され,各々はさらに異なるサブタイプに分類される(9)9) K. S. Makarova, Y. I. Wolf, O. S. Alkhnbashi, F. Costa, S. A. Shah, S. J. Saunders, R. Barrangou, S. J. J. Brouns, E. Charpentier, D. H. Haft et al.: Nat. Rev. Microbiol., 13, 722 (2015)..クラス2に属するものは,単一サブユニットで機能する(9)9) K. S. Makarova, Y. I. Wolf, O. S. Alkhnbashi, F. Costa, S. A. Shah, S. J. Saunders, R. Barrangou, S. J. J. Brouns, E. Charpentier, D. H. Haft et al.: Nat. Rev. Microbiol., 13, 722 (2015)..これらのCas9, Cas9様ヌクレアーゼはタンパク質の大きさや認識するPAM, DNA切断末端の形状に違いをもつことから,標的配列の選択性の増加と多様な変異パターンを生み出すことが可能になると考えられる.代表的なCas9およびCpf1(Cas12a)を表1表1■さまざまなCas9とCpf1に示し,以下にそれぞれの特徴について触れたい.

表1■さまざまなCas9とCpf1
名前由来タイプ分類アミノ酸残基数切断DNA末端形状PAM配列文献
SpCas9Streptococcus pyogenesII-A1,368平滑NGGNishimasu et al. (2014)
SaCas9Staphylococcus aureusII-A1,053平滑NNGRRTNishimasu et al. (2015)
FnCas9Francisella novicidaII-B1,629平滑NGGHirano et al. (2016a)
CjCas9Campylobacter jejuniII-C984平滑NNNNACACYamada et al. (2017)
NNNVRYMKim et al. (2017a)
NmCas9Neisseria meningitidisII-C1,082平滑NNNNGATTHou et al. (2013)
FnCpf1Francisella novicidaV-A1,3005′突出TTNZetsche et al. (2015)
AsCpf1Acidaminococcus sp.V-A1,3075′突出TTTNZetsche et al. (2015)
LbCpf1Lachnospiraceae bacteriumV-A1,2315′突出TTTNZetsche et al. (2015)

1. SpCas9

Streptococcus pyogenes(化膿連鎖球菌)由来のSpCas9は1368アミノ酸残基からなり,type II-Aに分類され,ゲノム編集のツールとして最初に使用されたことから現在最も広く使用されている(6)6) M. Jinek, K. Chylinski, I. Fonfara, M. Hauer, J. A. Doudna & E. Charpentier: Science, 337, 816 (2012)..立体構造解析から,SpCas9は2つのローブ(RECローブとNUCローブ)によって構成され(図1A図1■SpCas9の二次構造と三次構造),RECローブはgRNAと標的DNA鎖の認識に機能し,NUCローブは標的DNA鎖の相補鎖とPAMの認識および二本鎖DNA切断に働くことがわかっている(4)4) H. Nishimasu, F. A. Ran, P. D. Hsu, S. Konermann, S. I. Shehata, N. Dohmae, R. Ishitani, F. Zhang & O. Nureki: Cell, 156, 935 (2014).図1B図1■SpCas9の二次構造と三次構造).SpCas9の標的配列長は約20塩基で,PAMとしてNGGを認識し,切断活性も高い.SpCas9による変異パターンは,数塩基の欠損,挿入が多い.イネにおいては,2カ所の切断により245 kb欠損の報告もある(10)10) H. Zhou, B. Liu, D. P. Weeks, M. H. Spalding & B. Yang: Nucleic Acids Res., 42, 10903 (2014)..一方,塩基置換変異の頻度は極めて低い.SpCas9のオフターゲット活性は標的配列と相同性の高い配列に変異を入れる可能性がある.オフターゲット活性は相同性の高い遺伝子間での多重遺伝子破壊の場合は役立つが(11)11) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Cell Physiol., 56, 41 (2015).,標的遺伝子のみの改変を希望する場合は,オフターゲット活性を抑制したい.そこでオフターゲット活性を抑制するためのさまざまな改良が精力的におこなわれている.その一つは,SpCas9-HF1(high fidelity variant)である(12)12) B. P. Kleinstiver, V. Pattanayak, M. S. Prew, S. Q. Tsai, N. T. Nguyen, Z. Zheng & J. K. Joung: Nature, 529, 490 (2016)..Kleinstiverらは,SpCas9-gRNA複合体とDNAのRECローブにおける非特異的な相互作用が強いことでオフターゲット活性が高くなると考え,立体構造に基づき標的配列と非特異的に水素結合を形成する4つのアミノ酸(N497, R661, Q695, Q926)をアラニン(A)に置換し,そのオフターゲット活性を評価した.同4アミノ酸置換をもつSpCas9-HF1の変異導入活性は,野生型のSpCas9の85%以上を維持しつつ,オフターゲット活性を減少させた.さらにHF1の4アミノ酸置換にさらに1アミノ酸置換を加えたHF2(HF1+D1135E),HF3(HF1+L169A),もしくはHF4(HF1+Y450A)の活性を評価したところ,標的変異導入活性(オンターゲット活性)がやや低下するものの,オフターゲット活性は著しく低下していた(12)12) B. P. Kleinstiver, V. Pattanayak, M. S. Prew, S. Q. Tsai, N. T. Nguyen, Z. Zheng & J. K. Joung: Nature, 529, 490 (2016)..同様のアイデアで,SpCas9-HF1と異なる変異をNUCローブに導入することでオフターゲット活性を抑制したのがeSpCas9(enhanced specificity SpCas9)である(13)13) I. M. Slaymaker, L. Gao, B. Zetsche, D. A. Scott, W. X. Yan & F. Zhang: Science, 351, 84 (2016)..Slaymakerらは,2つのタイプのeSpCas9(1.0)と(1.1)を報告した.1.0は,K810A, K1003A, R1060Aの3箇所,1.1は,K848A, K1003A, R1060Aの3箇所に変異を導入したものである.SpCas9-HF1とeSpCas9の標的変異導入活性は,野生型とほぼ同程度であるが,どちらが優れているのであろうか.Zhangらはイネにおいて,同一gRNAを用いて比較したところ,SpCas9-HF1, eSpCas9ともに同程度の標的変異導入活性をもち,オフターゲット活性も両者に明確な差は認められなかった(14)14) D. Zhang, H. Zhang, T. Li, K. Chen, J. L. Qiu & C. Gao: Genome Biol., 18, 191 (2017)..一方,SpCas9-HF1とeSpCas9(1.1)の変異を併せ持つHeFSpCas9s(“Highly enhanced Fidelity” SpCas9 variants)は,よりオフターゲット活性を抑制できるという報告もある(15)15) P. I. Kulcsar, A. Talas, K. Huszar, Z. Ligeti, E. Toth, N. Weinhardt, E. Fodor & E. Welker: Genome Biol., 18, 190 (2017)..Chenらは,SpCas9-HF1とeSpCas9(1.1)を比較しつつ,新たな変異(N692A/M694A/Q695A/H698A)を導入したHypaCas9(hyper-accurate Cas9 variant)について報告しており,HypaCas9は標的変異導入活性を維持しつつ,SpCas9-HF1とeSpCas9(1.1)よりもさらにオフターゲット活性を抑制できることが示されている(16)16) J. S. Chen, Y. S. Dagdas, B. P. Kleinstiver, M. M. Welch, A. A. Sousa, L. B. Harrington, S. H. Sternberg, J. K. Joung, A. Yildiz & J. A. Doudna: Nature, 550, 407 (2017)..またCasiniらは酵母を用いた指向性進化による選抜法(特定の目標に向けて進化させる方法)によりRECドメインに4つの変異(M495V/Y515N/K526E/R661Q)をもつevolved Cas9(evoCas9)を開発し,SpCas9-HF1およびeSpCas9(1.1)よりもオフターゲット活性が低下していることを報告している(17)17) A. Casini, M. Olivieri, G. Petris, C. Montagna, G. Reginato, G. Maule, F. Lorenzin, D. Prandi, A. Romanel, F. Demichelis et al.: Nat. Biotechnol., 36, 265 (2018).

図1■SpCas9の二次構造と三次構造

A: SpCas9ポリペプチドの二次構造.上部の数字は各ドメインの境界の位置を示す.REC lobe: BH, Recドメインによって構成される機能単位.NUC lobe: HNH, Ruv, PI(PAM-interacting)ドメインによって構成される機能単位.B: SpCas9とsgRNAおよびDNAの複合体,三次構造イメージ.

2. SaCas9

Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)由来のSaCas9は,1053アミノ酸残基からなり,比較的小さいCas9である(18)18) F. A. Ran, L. Cong, W. X. Yan, D. A. Scott, J. S. Gootenberg, A. J. Kriz, B. Zetsche, O. Shalem, X. Wu, K. S. Makarova et al.: Nature, 520, 186 (2015)..SaCas9は,SpCas9と同じくtype II-Aに分類される.標的配列長は,21~23塩基でSpCas9よりも少し長い(18)18) F. A. Ran, L. Cong, W. X. Yan, D. A. Scott, J. S. Gootenberg, A. J. Kriz, B. Zetsche, O. Shalem, X. Wu, K. S. Makarova et al.: Nature, 520, 186 (2015)..植物においてCas9遺伝子を過剰発現させた場合,SaCas9の変異導入活性はSpCas9に引けをとらない(19)19) H. Kaya, M. Mikami, A. Endo, M. Endo & S. Toki: Sci. Rep., 6, 26871 (2016)..PAMはNNGRRT(R: A or G)であるが,PAMの6番目のTについては塩基特性が低いという報告もある(18, 19)18) F. A. Ran, L. Cong, W. X. Yan, D. A. Scott, J. S. Gootenberg, A. J. Kriz, B. Zetsche, O. Shalem, X. Wu, K. S. Makarova et al.: Nature, 520, 186 (2015).19) H. Kaya, M. Mikami, A. Endo, M. Endo & S. Toki: Sci. Rep., 6, 26871 (2016)..植物ではTがあるほうが変異導入効率は高い(19)19) H. Kaya, M. Mikami, A. Endo, M. Endo & S. Toki: Sci. Rep., 6, 26871 (2016)..Kleinstiverらは,SaCas9のPAM(認識)の制限を緩和するために3つの変異(E782K/N968K/R1015H)を導入したKKH SaCas9を作成した.KKH SaCas9は,NNNRRTをPAMとして認識することができる(20)20) B. P. Kleinstiver, M. S. Prew, S. Q. Tsai, N. T. Nguyen, V. V. Topkar, Z. Zheng & J. K. Joung: Nat. Biotechnol., 33, 1293 (2015a)..これにより,KKH SaCas9が認識できるPAMの出現頻度は1/16となり,SpCas9のそれと同じになる.SaCas9は二分割しても活性を維持している(5)5) H. Nishimasu, L. Cong, W. X. Yan, F. A. Ran, B. Zetsche, Y. Li, A. Kurabayashi, R. Ishitani, F. Zhang & O. Nureki: Cell, 162, 1113 (2015)..SaCas9を2つに分割することで発現コンストラクトの小型化が可能となり,植物ウイルスvectorから二分割したSaCas9(split-SaCas9)とsgRNAを発現させるゲノム編集にも成功している(21)21) H. Kaya, K. Ishibashi & S. Toki: Plant Cell Physiol., 58, 643 (2017)..この技術を発展させることで,植物ゲノムに外来遺伝子を組み込ませることなくゲノム編集ができると期待される.またごく最近,植物において,SaCas9の新たな活用方法として,SaCas9とSpCas9のnickaseを共発現させることで,効率的に標的組換え(gene targeting)ができるという興味深い報告がある(22)22) F. Wolter, J. Klemm & H. Puchta: Plant J., 94, 735 (2018).

3. FnCas9

Francisella novicida由来のCas9.FnCas9は,SpCas9よりも大きく1629アミノ酸残基からなる(23, 24)23) K. Chylinski, A. Le Rhun & E. Charpentier: RNA Biol., 10, 726 (2013).24) H. Hirano, J. S. Gootenberg, T. Horii, O. O. Abudayyeh, M. Kimura, P. D. Hsu, T. Nakane, R. Ishitani, I. Hatada, F. Zhang et al.: Cell, 164, 950 (2016a)..FnCas9はII-Bに分類され,このカテゴリーにあるCas9は,サイズが大きいという特徴がある.FnCas9のPAMは,NGGである.平野らは,タンパク質立体構造に基づき,FnCas9に3つの変異(E1369R/E1449H/R1556A)を導入したFnCas9のRHA variantを作成した(24)24) H. Hirano, J. S. Gootenberg, T. Horii, O. O. Abudayyeh, M. Kimura, P. D. Hsu, T. Nakane, R. Ishitani, I. Hatada, F. Zhang et al.: Cell, 164, 950 (2016a)..このvariantは,YGをPAMとして認識することができる.これまでのところ,植物においてFnCas9を用いたゲノム編集についての報告はない.

4. CjCas9

Campylobacter jejuni由来のCas9で,984アミノ酸から成り,報告のあるCas9の中でも小さいCas9である(25)25) I. Fonfara, A. Le Rhun, K. Chylinski, K. S. Makarova, A.-L. Lecrivain, J. Bzdrenga, E. V. Koonin & E. Charpentier: Nucleic Acids Res., 42, 2577 (2014)..CjCas9はType II-Cに分類される.Type II Cに属するCas9は,Type II Aに属するCas9よりもDNA helicase活性が弱いとされている(26)26) E. Ma, L. B. Harrington, M. R. O’Connell, K. Zhou & J. A. Doudna: Mol. Cell, 60, 398 (2015)..CjCas9のPAMについては2つの報告があり,一つはNNNVRYM(V: A or C or G, R: A or G, Y: C or T, M: A or C)(27)27) M. Yamada, Y. Watanabe, J. S. Gootenberg, H. Hirano, F. A. Ran, T. Nakane, R. Ishitani, F. Zhang, H. Nishimasu & O. Nureki: Mol. Cell, 65, 1109 (2017).,他方はNNNNACA C(28)28) E. Kim, T. Koo, S. W. Park, D. Kim, K. Kim, H. Y. Cho, D. W. Song, K. J. Lee, M. H. Jung, S. Kim et al.: Nat. Commun., 8, 14500 (2017a).である.前者のPAMの出現頻度は3/32に対して,後者は1/256である.標的配列長は22–20塩基.CjCas9により誘導される変異パターンは,挿入・欠失変異である.小さいというCjCas9の特徴を活かしてAAV(Adeno Associated Virus:アデノ随伴ウイルス)にCjCas9を搭載し,ゲノム編集できることが報告されている(28)28) E. Kim, T. Koo, S. W. Park, D. Kim, K. Kim, H. Y. Cho, D. W. Song, K. J. Lee, M. H. Jung, S. Kim et al.: Nat. Commun., 8, 14500 (2017a)..さらに,CjCas9は,動物培養細胞において,SpCas9あるいはSaCas9と同程度のゲノム編集活性があるとされている(28)28) E. Kim, T. Koo, S. W. Park, D. Kim, K. Kim, H. Y. Cho, D. W. Song, K. J. Lee, M. H. Jung, S. Kim et al.: Nat. Commun., 8, 14500 (2017a)..最近,CjCas9は,内在のmRNAsを切断することが報告されている(29)29) G. Dugar, R. T. Leenay, S. K. Eisenbart, T. Bischler, B. U. Aul, C. L. Beisel & C. M. Sharma: Mol. Cell, 69, 893 (2018)..今後,CjCas9は,RNA editingにおいて利用される可能性がある.これまでのところ,植物においてCjCas9を用いたゲノム編集についての報告はない.

5. NmCas9

Neisseria meningitidis由来のCas9で,1082アミノ酸から成り,CjCas9とおなじくtype II-Cに分類される.NmCas9のPAMは,NNNNGAT Tである(30)30) Z. Hou, Y. Zhang, N. E. Propson, S. E. Howden, L. F. Chu, E. J. Sontheimer & J. A. Thomson: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 15644 (2013)..標的配列長は22–24塩基(31)31) C. M. Lee, T. J. Cradick & G. Bao: Mol. Ther., 24, 645 (2016)..NmCas9によって導入される変異パターンは,挿入・欠失変異である.anti-NmCas9による活性制御が可能である(32)32) A. Pawluk, N. Amrani, Y. Zhang, B. Garcia, Y. Hidalgo-Reyes, J. Lee, A. Edraki, M. Shah, E. J. Sontheimer, K. L. Maxwell et al.: Cell, 167, 1829 (2016)..またCjCas9と同じく,RNAを切断する活性をもつ(33)33) B. A. Rousseau, Z. Hou, M. J. Gramelspacher & Y. Zhang: Mol. Cell, 69, 906 (2018)..これまでのところ,植物においてCjCas9と同じくNmCas9を用いたゲノム編集についての報告はない.

6. Cpf1(Cas12a)

Cas9と同様に機能するが,異なる特徴をもつRNA依存性エンドヌクレアーゼCpf1(最近はCas12aと呼ばれることがふえている)が報告されている(34)34) B. Zetsche, J. S. Gootenberg, O. O. Abudayyeh, I. M. Slaymaker, K. S. Makarova, P. Essletzbichler, S. E. Volz, J. Joung, J. van der Oost, A. Regev et al.: Cell, 163, 759 (2015)..これまでにゲノム編集に応用されているAsCpf1, LbCpf1およびFnCpf1の特徴について表1表1■さまざまなCas9とCpf1にまとめた.これらCpf1はCas9と同様にクラス2に分類されるが,type V-Aに分類され(表1表1■さまざまなCas9とCpf1),Cas9と異なる特徴が4つある(34)34) B. Zetsche, J. S. Gootenberg, O. O. Abudayyeh, I. M. Slaymaker, K. S. Makarova, P. Essletzbichler, S. E. Volz, J. Joung, J. van der Oost, A. Regev et al.: Cell, 163, 759 (2015)..一つ目の相違はCas9のPAMは標的DNA配列の下流に位置するのに対し,Cpf1のPAMは標的DNA配列の上流に隣接している点である.2つ目の相違はCas9が二分子のRNA(crRNAとtracrRNA)を必要とするのに対し,Cpf1はcrRNAしか必要としない点である.3つ目の相違はCas9が標的配列内のPAM近傍を切断し平滑末端を生じるのに対して,Cpf1は標的配列内のPAMから20塩基程離れた部位を切断し5′突出末端を生じる点,4つ目の相違はCas9がグアニンに富むPAMを認識するが,Cpf1はチミンに富むPAMを認識する点である(表1表1■さまざまなCas9とCpf1).Zetscheらの報告ではAsCpf1とLbCpf1の哺乳類細胞におけるゲノム編集効率が高く,FnCpf1は同効率が低いという結果が示されていたが,現在ではFnCp1による植物,酵母,ヒト細胞でのゲノム編集例が報告されている(35~37)35) A. Endo, M. Masafumi, H. Kaya & S. Toki: Sci. Rep., 6, 38169 (2016a).37) M. Tu, L. Lin, Y. Cheng, X. He, H. Sun, H. Xie, J. Fu, C. Liu, J. Li, D. Chen et al.: Nucleic Acids Res., 45, 11295 (2017)..標的DNA配列を選ぶ場合,候補配列の出現率はPAMの長さに依存して制約を受ける.したがって最もPAMが短いFnCpf1の有用性が高いと考えられるが,FnCpf1の最適なPAMはTTNではなくVTTV, KYTVまたはTTTVであるという報告もあり,明確になっていない(36~38)36) M. A. Swiat, S. Dashko, M. den Ridder, M. Wijsman, J. van der Oost, J. M. Daran & P. Daran-Lapujade: Nucleic Acids Res., 45, 12585 (2017).38) Z. Zhong, Y. Zhang, Q. You, X. Tang, Q. Ren, S. Liu, L. Yang, Y. Wang, X. Liu, B. Liu et al.: Mol. Plant, 11, 999 (2018)..AsCpf1とLbCpf1のオフターゲット活性は低く,SpCas9-HFと同等であると報告されている.またLbCpf1およびAsCpf1の立体構造解析から,Cpf1の二次配列上のドメイン構成がCas9のそれとは異なることがわかっている(39, 40)39) D. Dong, K. Ren, X. Qiu, J. Zheng, M. Guo, X. Guan, H. Liu, N. Li, B. Zhang, D. Yang et al.: Nature, 532, 522 (2016).40) T. Yamano, H. Nishimasu, B. Zetsche, H. Hirano, I. M. Slaymaker, Y. Li, I. Fedorova, T. Nakane, K. S. Makarova, E. V. Koonin et al.: Cell, 165, 949 (2016)..AsCpf1の立体構造情報を基にPAM-interactingドメインに2点変異(S542R/K607R)もしくは3点変異(S542R/K548V/N552R)を導入することにより認識するPAMをTYCVもしくはTATVに改変し,LbCpf1において上記と同様の変異を導入することで,PAM認識を同様に改変することに成功している(41, 42)41) L. Gao, D. B. T. Cox, W. X. Yan, J. C. Manteiga, M. W. Schneider, T. Yamano, H. Nishimasu, O. Nureki, N. Crosetto & F. Zhang: Nat. Biotechnol., 35, 789 (2017).42) T. Yamano, B. Zetsche, R. Ishitani, F. Zhang, H. Nishimasu & O. Nureki: Mol. Cell, 67, 633 (2017)..Cpf1により導入される変異のほとんどは欠失であり,一塩基挿入も高頻度で生じるCas9の変異パターンとは異なっている.これはDNA切断後に形成される末端形状の違いに起因すると考えられ,Cpf1と同様,突出末端を形成するZinc finger nucleases(ZFNs)やTALENs(Transcription activator-like effector nucleases)などによる変異パターンも欠失であることから,突出末端が生じるDNA二重鎖切断に特異的なDNA修復系が塩基欠失という変異作出に寄与していると考えられる(43)43) Y. Kim, J. Kweon & J.-S. Kim: (2013) TALENs and ZFNs are associated with different mutation signatures. In Nature methods, pp. 185.

先に述べたCpf1のCas9とは異なる性質を用いて効率的な標的組換えやノックインができるのではないかと考えられる.Cpf1はPAMから20塩基程離れた部位(正確に認識されるシード配列の外側)を切断するのに対し,Cas9はPAMから3塩基離れた部位(シード配列内部)を切断するため,Cas9は切断部位に一度変異が入れば2度切りが不可能であるが,Cpf1は切断後変異が導入されても再度切断できることが知られている(34)34) B. Zetsche, J. S. Gootenberg, O. O. Abudayyeh, I. M. Slaymaker, K. S. Makarova, P. Essletzbichler, S. E. Volz, J. Joung, J. van der Oost, A. Regev et al.: Cell, 163, 759 (2015)..この性質は,標的組換えの際は有利だという報告がある(44)44) M. A. Moreno-Mateos, J. P. Fernandez, R. Rouet, C. E. Vejnar, M. A. Lane, E. Mis, M. K. Khokha, J. A. Doudna & A. J. Giraldez: Nat. Commun., 8, 2024 (2017)..一方,これまで標的組換えやノックインには相同組換えによるDNA修復系が利用され,同修復には3′突出構造の形成が重要であることが知られているが,相同性に依存しない正確なNHEJを利用したノックインが平滑末端を作るCas9を使って報告されており(45)45) K. Suzuki, Y. Tsunekawa, R. Hernandez-Benitez, J. Wu, J. Zhu, E. J. Kim, F. Hatanaka, M. Yamamoto, T. Araoka, Z. Li et al.: Nature, 540, 144 (2016).,突出末端を作るCpf1を用いて同様の実験を行えば,さらに効率の良いノックインが可能だと期待される.

7. 塩基置換型Cas9

SpCas9により導入される変異パターンは,挿入・欠失がほとんどである.ゆえに,標的遺伝子を破壊する目的においてはSpCas9など,切断効率の高い人工制限酵素そのものを利用することが多い.しかし,酵素活性やタンパク質間相互作用の調節,標的遺伝子の活性制御という目的には,塩基置換が効果的(有効)な場合が多いため,標的部位に塩基置換変異のみを導入する技術開発も精力的に進められている.

二本鎖DNA切断活性を消失させたnickase Cas9あるいはdead Cas9に脱アミノ化酵素であるデアミナーゼを融合することで,標的位置に挿入あるいは欠失変異を生じさせずに,塩基置換変異をのみを導入することを狙った塩基置換型Cas9が開発されている.この場合,Cas9は標的部位へデアミナーゼを誘導する役割を果たしている.最初に報告されたのがシトシンからチミンへの塩基置換変異を起こす塩基置換型Cas9である(46, 47)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016).47) K. Nishida, T. Arazoe, N. Yachie, S. Banno, M. Kakimoto, M. Tabata, M. Mochizuki, A. Miyabe, M. Araki, K. Y. Hara et al.: Science, 353, aaf8729 (2016)..シトシンの脱アミノ化酵素ファミリーには,AID(Activation induced deaminase)とAPOBEC(Apolipoprotein B mRNA-editing enzyme catalytic polypeptide-like)がある(46, 47)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016).47) K. Nishida, T. Arazoe, N. Yachie, S. Banno, M. Kakimoto, M. Tabata, M. Mochizuki, A. Miyabe, M. Araki, K. Y. Hara et al.: Science, 353, aaf8729 (2016)..シトシンは脱アミノ化されるとウラシルに置換され,ウラシルは,ポリメラーゼにより,最終的に,チミンに置き換えられる.西田らは,ウミヤツメ由来のAIDオルソログであるPmCDA1(Petromyzon marinus cytosine deaminase 1)とnickase SpCas9(D10A)あるいはdead SpCas9(D10A/H840A)を融合させたTarget-AIDを用いて,酵母において効率的にシトシン(C)からチミン(T)への塩基置換変異を導入できることを示した(47)47) K. Nishida, T. Arazoe, N. Yachie, S. Banno, M. Kakimoto, M. Tabata, M. Mochizuki, A. Miyabe, M. Araki, K. Y. Hara et al.: Science, 353, aaf8729 (2016)..島谷らは,トマト・イネにおいてもこのTarget-AIDにより標的遺伝子座に塩基置換変異が導入できることを示した(48)48) Z. Shimatani, S. Kashojiya, M. Takayama, R. Terada, T. Arazoe, H. Ishii, H. Teramura, T. Yamamoto, H. Komatsu, K. Miura et al.: Nat. Biotechnol., 35, 441 (2017)..一方,Komorらは,ラットのAPOBEC1とnickase SpCas9(D10A)さらにウラシルDNAグリコシラーゼ阻害タンパク質(UGI: uracil-DNA glycosylase inhibitor protein)を融合させたBE3(Base Editor 3)を作成した.ウラシルDNAグリコシラーゼは,脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼとともに,ウラシルを除去修復しCに戻す.UGIは,この修復反応を阻害することで,APOBEC1による塩基置換変異効率を上昇させることができる(46)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016)..このBE3を用いることで,標的遺伝子座に効率的にCからTへの塩基置換変異を導入できることを示した(46)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016)..イネ・コムギにおいてもAPOBEC1-nickase SpCas9(D10A)により効率的に塩基置換変異が導入されることが示されている(49)49) Y. Zong, Y. Wang, C. Li, R. Zhang, K. Chen, Y. Ran, J. L. Qiu, D. Wang & C. Gao: Nat. Biotechnol., 35, 438 (2017)..PmCDA1を用いるTarget-AIDとrat APOBEC1を用いるBEsでは,双方ともCからTへの塩基置換変異がおこるが,Target-AIDでは,PAMから上流18塩基周辺の5塩基にあるシトシンが標的となり,BEsではPAMの上流15塩基を中心に5塩基周辺のシトシンが標的となる(46, 47)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016).47) K. Nishida, T. Arazoe, N. Yachie, S. Banno, M. Kakimoto, M. Tabata, M. Mochizuki, A. Miyabe, M. Araki, K. Y. Hara et al.: Science, 353, aaf8729 (2016)..またAPOBEC1にアミノ酸置換を導入することにより,変異導入の幅を5塩基からに2塩基に狭めることもできる(50)50) Y. B. Kim, A. C. Komor, J. M. Levy, M. S. Packer, K. T. Zhao & D. R. Liu: Nat. Biotechnol., 35, 371 (2017b)..これらの違いを利用すれば,同じ標的配列で異なる位置に塩基置換変異を導入することができる.Komorらは塩基置換変異導入時に起きる挿入欠失変異率を低下させるため,UGIを2個付加したBE4を作成し同変異率を減少させることに成功した.また,BE4に加え,ファージMu由来の二本鎖DNA末端を分解から守るGumタンパク質を付加することで,さらに挿入欠失変異率が低減することを示している(51)51) A. C. Komor, K. T. Zhao, M. S. Packer, N. M. Gaudelli, A. L. Waterbury, L. W. Koblan, Y. B. Kim, A. H. Badran & D. R. Liu: Sci. Adv., 3, 4774 (2017)..また標的配列へのAPOBEC1誘導タンパク質として,SpCas9以外にもSaCas9やLbCpf1の利用についても報告されている(51, 52)51) A. C. Komor, K. T. Zhao, M. S. Packer, N. M. Gaudelli, A. L. Waterbury, L. W. Koblan, Y. B. Kim, A. H. Badran & D. R. Liu: Sci. Adv., 3, 4774 (2017).52) X. Li, Y. Wang, Y. Liu, B. Yang, X. Wang, J. Wei, Z. Lu, Y. Zhang, J. Wu, X. Huang et al.: Nat. Biotechnol., 36, 324 (2018b).

CからTへの塩基置換に加え,アデニン(A)からグアニン(G)への塩基置換についても報告されている.Gaudelliらは,adenine base editors(ABEs)によりAを効率的にGに置換できることを示した(53)53) N. M. Gaudelli, A. C. Komor, H. A. Rees, M. S. Packer, A. H. Badran, D. I. Bryson & D. R. Liu: Nature, 551, 464 (2017)..アデニンは,脱アミノ化酵素によりイノシンに置換される.イノシンは,DNAポリメラーゼによってグアニンとして認識され,結果グアニンに置換される.ところが,DNAのアデニンの脱アミノ化酵素は見いだされていなかった.そこで,Gaudelliらは,tRNAのアデノシンデアミナーゼ(TadA)を改変し,nickase Cas9と融合させることで,効率的にアデニンをグアニンに塩基置換する変異が導入できることを,ヒト培養細胞を用いて明らかにした.ABEsはごく最近,イネ,コムギ,シロイヌナズナなどにおいても,機能することが報告された(54~57)54) K. Hua, X. Tao, F. Yuan, D. Wang & J. K. Zhu: Mol. Plant, 11, 627 (2018).57) F. Yan, Y. Kuang, B. Ren, J. Wang, D. Zhang, H. Lin, B. Yang, X. Zhou & H. Zhou: Mol. Plant, 11, 631 (2018)..Traget-AIDあるいはAPOBEC1に,このABEsが加わったことで,12通りある塩基置換変異パターンのうち,4つのパターン(C/GからT/AとA/TからG/C)が可能となった.

8. PAM改変型Cas9

これまでに標的配列の選択の幅を広げるという目的で,PAM認識配列を改変したSpCas9がいくつか報告されている.KleinstiverらはPAM認識が弱まれば,必要とされるPAMが単純化されるという発想の下,指向性進化的手法によりアミノ酸置換VQR(D1135V/R1335Q/T1337R),EQR(D1135E/R1335Q/T1337R)およびVRER(D1135V/G1218R/R1335E/T1337R)によりPAM認識配列がそれぞれNGAN, NGAGおよびNGCGに改変できることを明らかにした(58)58) B. P. Kleinstiver, M. S. Prew, S. Q. Tsai, V. V. Topkar, N. T. Nguyen, Z. Zheng, A. P. W. Gonzales, Z. Li, R. T. Peterson, J.-R. J. Yeh et al.: Nature, 523, 481 (2015b)..また,これらのアミノ酸置換はPAM-interactingドメインに生じており(図1図1■SpCas9の二次構造と三次構造),立体構造解析によって同アミノ酸置換のPAM認識に与える影響が明らかにされた(59, 60)59) C. Anders, K. Bargsten & M. Jinek: Mol. Cell, 61, 895 (2016).60) S. Hirano, H. Nishimasu, R. Ishitani & O. Nureki: Mol. Cell, 61, 886 (2016b)..一方,ごく最近,NGをPAMとして認識できる改変型Cas9が報告された(61)61) J. H. Hu, S. M. Miller, M. H. Geurts, W. Tang, L. Chen, N. Sun, C. M. Zeina, X. Gao, H. A. Rees, Z. Lin et al.: Nature, 556, 57 (2018)..これにより,塩基配列上にグアニン1文字があれば,その上流を標的配列とすることが可能となった.Huらは,Phage-Associated continuous Evolution(PACE: ファージによる連続分子進化法)をSpCas9に適応し,NG, GAA, GATをPAMとして認識できるxCas9を作出した(61)61) J. H. Hu, S. M. Miller, M. H. Geurts, W. Tang, L. Chen, N. Sun, C. M. Zeina, X. Gao, H. A. Rees, Z. Lin et al.: Nature, 556, 57 (2018)..xCas9 3.7は,SpCas9に対して7箇所の変異(A262T/R324L/S409I/E480K/E543D/M694I/E1219V)をもち,ヒト培養細胞において標的配列に変異導入活性をもつだけでなく,xCas9とbase editor architecture(BE3)(46)46) A. C. Komor, Y. B. Kim, M. S. Packer, J. A. Zuris & D. R. Liu: Nature, 533, 420 (2016).あるいはABE(53)53) N. M. Gaudelli, A. C. Komor, H. A. Rees, M. S. Packer, A. H. Badran, D. I. Bryson & D. R. Liu: Nature, 551, 464 (2017).を融合させることで,標的配列にあるシトシンをチミンにあるいはアデニンからグアニンに塩基置換できることも示している(61)61) J. H. Hu, S. M. Miller, M. H. Geurts, W. Tang, L. Chen, N. Sun, C. M. Zeina, X. Gao, H. A. Rees, Z. Lin et al.: Nature, 556, 57 (2018)..興味深いことに,PAMを単純化させる変異の多くは主に標的鎖の認識に関与するRECローブに位置しており(図1A図1■SpCas9の二次構造と三次構造),これらの変異がどのようにしてPAM認識に影響を及ぼしているのか興味深い.一方,NGをPAMとして認識できるSpCas9-NGを西増らが立体構造に基づき開発しており,xCas9とは全く異なる変異で,変異箇所はPAM-interactingドメイン上にあり,PAM認識を変化させている(62)62) Nishimasu H, Shi X, Ishiguro S, Gao L, Hirano S, Okazaki S, Noda T, Abudayyeh OO, Gootenberg JS, Mori H, Oura S, Holmes B, Tanaka M, Seki M, Hirano H, Aburatani H, Ishitani R, Ikawa M, Yachie N, Zhang F, Nureki O: Science, 361, 1259 (2018)..SpCas9-NGはヒト培養細胞においてNGをPAMとする標的配列に変異導入活性が確認されており(62)62) Nishimasu H, Shi X, Ishiguro S, Gao L, Hirano S, Okazaki S, Noda T, Abudayyeh OO, Gootenberg JS, Mori H, Oura S, Holmes B, Tanaka M, Seki M, Hirano H, Aburatani H, Ishitani R, Ikawa M, Yachie N, Zhang F, Nureki O: Science, 361, 1259 (2018).,さらにイネ・シロイヌナズナにおいても同様に変異導入活性をもつことがわかっている(Endoら,Nature plants, in press).

将来の展望

Cas9の応用によりゲノム編集技術による遺伝子改変に選択肢が増えてきている.さまざまなCas9, Cpf1およびPAM改変型Cas9の利用により,標的部位への欠失挿入変異の導入だけでなく,塩基置換型Cas9による塩基置換変異も導入可能となってきた(図2図2■Cas9を中心とした多様なゲノム編集ツール).これらのCas9は生物種に対応したコドンの最適化や核移行シグナルの数や位置などを変えることでさらに変異導入効率を高めることができる(56, 63~65)56) C. Li, Y. Zong, Y. Wang, S. Jin, D. Zhang, Q. Song, R. Zhang & C. Gao: Genome Biol., 19, 59 (2018a).63) M. Mikami, S. Toki & M. Endo: Plant Mol. Biol., 88, 561 (2015).64) Y. Osakabe, T. Watanabe, S. S. Sugano, R. Ueta, R. Ishihara, K. Shinozaki & K. Osakabe: Sci. Rep., 6, 26685 (2016).65) M. P. Zafra, E. M. Schatoff, A. Katti, M. Foronda, M. Breinig, A. Y. Schweitzer, A. Simon, T. Han, S. Goswami, E. Montgomery et al.: Nat. Biotechnol., (2018)..農業分野では放射線や化合物を用いた突然変異育種は一般的であることから,今後CRISPR/Cas9などのゲノム編集システムについての一般の方の理解が進むことにより,CRISPR/Cas9を用いた植物育種は世界レベルで急速に進展すると考えられる.一方,作物の変異育種において有用形質が標的遺伝子破壊による機能欠失変異により得られる場合と,特定の塩基置換により生じる遺伝子発現の変化やアミノ酸置換によるタンパク質の機能変化により得られる場合が考えられる.現在の技術レベルでは機能欠失を誘導する標的変異導入は可能であり,塩基置換型Cas9を応用すれば,ある程度の希望する塩基置換は可能であるが,どの場所にある,どの塩基でも自在に塩基置換できる技術には至っていない.このような目的を成し得る技術としては,現状では,鋳型(Donor DNA)を用いる標的組換え技術が適切であると考えられる.われわれの研究グループではイネにおいて標的相同組換えによる遺伝子改変で必要な塩基だけを改変することに成功しているが,低頻度で起きる相同組換えのイベントを濃縮する手法がイネ以外の作物では確立されておらず,一般的育種技術の一つとして広まっていない(66~69)66) A. Nishizawa-Yokoi, M. Endo, N. Ohtsuki, H. Saika & S. Toki: Plant J., 81, 160 (2015a).67) A. Nishizawa-Yokoi, S. Nonaka, K. Osakabe, H. Saika & S. Toki: Plant Physiol., 169, 362 (2015b).68) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Physiol., 170, 667 (2016b).69) A. Nishizawa-Yokoi, H. Saika & S. Toki: Methods Mol. Biol., 1469, 137 (2016)..一方,動植物においてCRISPR/Cas9により標的遺伝子座を切断することで相同組換え効率を上昇させることが報告されている(68, 70)68) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Physiol., 170, 667 (2016b).70) D. Paquet, D. Kwart, A. Chen, A. Sproul, S. Jacob, S. Teo, K. M. Olsen, A. Gregg, S. Noggle & M. Tessier-Lavigne: Nature, 533, 125 (2016)..Cas9によって誘導されたDNA切断部位は主に2つの経路によって修復されることが知られており,それぞれ非相同末端結合(Non-Homologous End Joining; NHEJ)と相同性依存的DNA修復(Homology Dependent Repair; HDR)と呼ばれる.NHEJは切断DNA末端を直接結合させ,修復部位に挿入欠失変異が伴う場合もあるが,HDRでは鋳型上の配列をコピー・ペーストすることにより,標的遺伝子を正確に改変することができる.最近,Cas9による標的部位の切断とともにNHEJに関与するLig4に対する阻害剤を添加すると標的相同組換え頻度が上昇することが多数報告されている(71~73)71) V. T. Chu, T. Weber, B. Wefers, W. Wurst, S. Sander, K. Rajewsky & R. Kuhn: Nat. Biotechnol., 33, 543 (2015).72) T. Maruyama, S. K. Dougan, M. C. Truttmann, A. M. Bilate, J. R. Ingram & H. L. Ploegh: Nat. Biotechnol., 33, 538 (2015).73) G. Li, X. Zhang, C. Zhong, J. Mo, R. Quan, J. Yang, D. Liu, Z. Li, H. Yang & Z. Wu: Sci. Rep., 7, 8943 (2017)..NHEJ関連分子の欠失した細胞ではHDR頻度が上昇することから,NHEJによる修復機能の低下を補うため,HDRの頻度が上昇したと考えられる(74)74) A. J. Pierce, P. Hu, M. Han, N. Ellis & M. Jasin: Genes Dev., 15, 3237 (2001)..またHDRによる修復時にはDNA末端が3′突出構造になる削り込みが必要なことが知られているが,Cas9 nickasesを2つ組み合わせたCas9 paired nickasesによる3′突出構造の形成により相同組換え効率が上昇することや(22,75,76)22) F. Wolter, J. Klemm & H. Puchta: Plant J., 94, 735 (2018).75) F. A. Ran, P. D. Hsu, C.-Y. Lin, J. S. Gootenberg, S. Konermann, A. E. Trevino, D. A. Scott, A. Inoue, S. Matoba, Y. Zhang et al.: Cell, 154, 1380 (2013).76) S. Schiml, F. Fauser & H. Puchta: Plant J., 80, 1139 (2014).,DNA末端の削り込みに機能するCtIPをCas9に融合することで標的部位の相同組換え頻度が上昇することも示されている(77)77) M. Charpentier, A. H. Y. Khedher, S. Menoret, A. Brion, K. Lamribet, E. Dardillac, C. Boix, L. Perrouault, L. Tesson, S. Geny et al.: Nat. Commun., 9, 1133 (2018)..以上のような知見を植物に応用し標的組換え技術が改良されれば,より高精度なゲノム編集も効率的に行えるようになり,作物育種にかかる時間の短縮,省力化が行えるばかりでなく,合成代謝経路の改変による有用物質生産など,新たな育種が盛んになることと推測される.標的変異や標的組換えなどゲノム編集技術をさらに高精度化することにより,狙った場所にだけ望みどおりの編集を加えることが可能となるため,今後も医療や農業分野を含む多くの産業にさらなるイノベーションを起こし続けると期待される.

図2■Cas9を中心とした多様なゲノム編集ツール

Reference

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57) F. Yan, Y. Kuang, B. Ren, J. Wang, D. Zhang, H. Lin, B. Yang, X. Zhou & H. Zhou: Mol. Plant, 11, 631 (2018).

58) B. P. Kleinstiver, M. S. Prew, S. Q. Tsai, V. V. Topkar, N. T. Nguyen, Z. Zheng, A. P. W. Gonzales, Z. Li, R. T. Peterson, J.-R. J. Yeh et al.: Nature, 523, 481 (2015b).

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62) Nishimasu H, Shi X, Ishiguro S, Gao L, Hirano S, Okazaki S, Noda T, Abudayyeh OO, Gootenberg JS, Mori H, Oura S, Holmes B, Tanaka M, Seki M, Hirano H, Aburatani H, Ishitani R, Ikawa M, Yachie N, Zhang F, Nureki O: Science, 361, 1259 (2018).

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70) D. Paquet, D. Kwart, A. Chen, A. Sproul, S. Jacob, S. Teo, K. M. Olsen, A. Gregg, S. Noggle & M. Tessier-Lavigne: Nature, 533, 125 (2016).

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72) T. Maruyama, S. K. Dougan, M. C. Truttmann, A. M. Bilate, J. R. Ingram & H. L. Ploegh: Nat. Biotechnol., 33, 538 (2015).

73) G. Li, X. Zhang, C. Zhong, J. Mo, R. Quan, J. Yang, D. Liu, Z. Li, H. Yang & Z. Wu: Sci. Rep., 7, 8943 (2017).

74) A. J. Pierce, P. Hu, M. Han, N. Ellis & M. Jasin: Genes Dev., 15, 3237 (2001).

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77) M. Charpentier, A. H. Y. Khedher, S. Menoret, A. Brion, K. Lamribet, E. Dardillac, C. Boix, L. Perrouault, L. Tesson, S. Geny et al.: Nat. Commun., 9, 1133 (2018).