セミナー室

さまざまな分野における希少糖作用の応用希少糖資源による新規用途開発への挑戦

Kazuya Akimitsu

秋光 和也

香川大学国際希少糖研究教育機構

Koji Murao

村尾 孝児

香川大学国際希少糖研究教育機構

Masahiro Ogawa

小川 雅廣

香川大学国際希少糖研究教育機構

Tomoya Shintani

新谷 知也

松谷化学工業株式会社

Ken Izumori

何森

香川大学国際希少糖研究教育機構

Published: 2018-12-20

希少糖作用の応用による用途開発研究~はじめに

本連載では,香川大学で行われている希少糖の生産や希少糖の物性に関する知見を,これまで2回に分けて順に紹介してきた.第3回目となる今回は,希少糖作用を応用した用途開発研究を専門とする研究者に,それぞれの研究の概要を紹介いただく.連載の第1回でも述べたように,バイオ研究の歴史を振り返ると,21世紀におけるバイオの主役は高分子のDNAとタンパク質であり,低分子の単糖はあくまでエネルギー源として考えられ,その単純な構造から,情報や機能をもつ分子とは考えられてこなかった.

希少糖は国際希少糖学会により「自然界に存在量が少ない単糖およびその誘導体」と定義されている.香川大学はこの希少糖の生産技術研究を強化して,さまざまな種類の希少糖を供給し,特保関連食品・医薬関連品・農業資材などを目指した多分野にわたる希少糖の用途開発研究と,これらの研究成果の国際展開を目指している.この目標の達成に向けて,平成28年4月に全学組織である国際希少糖研究教育機構を設置した.Izumoring(連載第1回参照)(1)1) K. Izumori: Naturwissennshaften, 89, 120 (2002).により,約50種ある希少糖のすべてを生産できる香川大学の強みを生かして,本機構を構成する学部横断的な約70名の教員にさまざまな希少糖を供給し,それぞれの専門分野で新規用途開発につながる研究が進められている.

本機構における研究開発部門は,生産技術部門・用途開発部門・国際展開部門の3つの部門から構成され(図1図1■香川大学国際希少糖研究教育機構),用途開発部門ではこれまでに応用展開を進めてきた食品,動物,植物,微生物化学関連の各分野とともに,臨床試験,分子ツール開発,物性,教材開発分野でも新たな基礎研究が展開している.社会連携・知的財産部門と密接に連携して,現在進行中の特保関連食品,医薬関連品,農業資材などの開発に加え,糖が使われているさまざまな産業分野への新展開を目指し,産学官が連携した共同研究も開始している.

図1■香川大学国際希少糖研究教育機構

機構HP (http://www.kagawa-u.ac.jp/IIRSRE/index.html)

これらの多岐にわたる用途開発研究の中から,今回は医学分野をベースとした希少糖の動物への作用とその知見を基にした食品利用,抗酸化作用を基にしたアンチエイジング作用,光合成により自然界で糖を生産する役割を担う植物に対する希少糖の作用の研究開発を専門とする研究者に,それぞれの研究分野における研究成果を紹介していただく.これらの研究例から,広い分野への応用が期待される希少糖の魅力の一端を感じていただければ幸いである.

医学分野をベースとした希少糖の動物への作用研究

希少糖はエネルギー価がゼロであることから,糖尿病や肥満に対する効果が期待され,これまでに動物を対象にした数多くの研究が行われてきた.その中で,安全性を確認するためのラットを用いた単回投与毒性試験,細菌を用いた復帰突然変異試験,哺乳類動物を用いた染色体異常試験が行われてきたが,いずれの試験においても希少糖の毒性は確認されなかった(2)2) N. Nishii, T. Nomizo, S. Takashima, T. Matsubara, M. Tokuda & H. Kitagawa: J. Vet. Med. Sci., 78, 1079 (2016).D-プシコースの抗糖尿病作用としては,幾つかのメカニズムが想定されている.まずラット小腸でのαグルコシダーゼ阻害作用が報告されており(3, 4)3) T. Iida, N. Hayashi, T. Yamada, Y. Yoshikawa, S. Miyazato, Y. Kishimoto, K. Okuma, M. Tokuda & K. Izumori: Metabolism, 59, 206 (2010).4) T. Matsuo & K. Izumori: Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, 2081 (2006).,この作用による単糖の吸収阻害が生じ,食後の高血糖が抑制されることが指摘された.また肝臓でのグルコキナーゼ(GK)の活性を亢進させ,生体内に蓄積されたエネルギー源からブドウ糖(D-グルコース)を作り出す糖新生を抑制することで血糖値(血液中のブドウ糖濃度)の上昇を抑制する機序,糖尿病ラットにおけるインスリン抵抗性の改善を介した膵β細胞の保護作用なども報告されている(5, 6)5) 豊田行康,森 茂彰,梅村展子,二村由里,井上貴博,秦 毅司,三輪一智,村尾孝児,西山 成,徳田雅明:薬理と治療,38, 261 (2010).6) M. A. Hossain, S. Kitagaki, D. Nakano, A. Nishiyama, Y. Funamoto, T. Matsunaga, I. Tsukamoto, F. Yamaguchi, K. Kamitori, K. Murao et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 405, 7 (2011).

小腸から分泌されるホルモンGlucagon-like peptide-1(GLP-1)は,食後に腸から分泌されて糖濃度依存性にインスリン分泌を促進するインクレチン(消化管ホルモン)として知られている(7)7) K. Murao, J. Li, H. Imachi, T. Muraoka, H. Masugata, G. X. Zhang, R. Kobayashi, T. Ishida & H. Tokumitsu: Diabetes Obes. Metab., 11, 939 (2009)..最近の報告によれば,D-プシコースをマウスへ経口投与すると,GLP-1が選択的に分泌促進され,腸や肝臓に分布する求心性迷走神経(内臓感覚神経)を活性化し,摂食量を抑制し,さらに耐糖能を向上させることが報告された.またD-プシコースには,投与時間依存的な食リズム異常・肥満・高血糖改善作用を有することが明らかとなった.今後,過食に伴う肥満,糖尿病への新しい治療法の開発に期待がもたれる(8)8) Y. Iwasaki, M. Sendo, K. Dezaki, T. Hira, T. Sato, M. Nakata, C. Goswami, R. Aoki, T. Arai, P. Kumari et al.: Nat. Commun., 9, 113 (2018).D-グルコースをはじめ多くの単糖は細胞に取り込まれて,さまざまな代謝を受けて最終的にはTCA回路でATPが産生され,エネルギーに変換される.希少糖は代謝を受けず,そのためにカロリー価は0である.ただ希少糖を摂取することで,生体に存在するさまざまな代謝調節系に影響を与えることが推定されている.D-プシコース2と5%含有水で1カ月間飼育したラットにおいて,代謝への影響についてメタボローム解析した.対照群に比較して多くの経路の代謝産物が変化していた.中でもポリオール代謝経路の産物であるソルビトールが有意に減少していた.ポリオール代謝経路の活性化は糖尿病における合併症に関連しており,この経路に影響を及ぼすことは糖尿病に起因する合併症への新たな治療法につながるものであり,臨床応用を目指した試験が進行している.

このように希少糖の血糖値抑制作用,抗肥満作用の指摘から,現在D-プシコースを使用した多くの臨床研究が実施されている.2型糖尿病患者に1日15 gのD-プシコースを服用させて,3カ月間にわたり経過が観察されている.まず試験期間において,特記すべき有害事象は認めなかった.D-プシコースの投与により,一定期間の血糖値の指標となる生体内で糖化されたタンパク質である糖化ヘモグロビン(HbA1c)および糖化アルブミン(GA)の有意な上昇を認めず,随時血糖は低下傾向であった.これまでの動物実験同様に,D-プシコース投与群において約1 kgの有意な体重減少が認められた.臨床試験では,脂肪から分泌される生理活性物質のアディポサイトカイン,特に善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン,レプチン)には影響を与えず,悪玉アディポサイトカイン(TNF-αとMCP-1)を有意に低下させていた(9, 10)9) T. Iida, Y. Kishimoto, Y. Yoshikawa, N. Hayashi, K. Okuma, M. Tohi, K. Yagi, T. Matsuo & K. Izumori: J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo), 54, 511 (2008).10) N. Hayashi, T. Iida, T. Yamada, K. Okuma, I. Takehara, T. Yamamoto, K. Yamada & M. Tokuda: Biosci. Biotechnol. Biochem., 74, 510 (2010).図2図2■2型糖尿病患者に対する希少糖D-プシコースの効果).以前にも,ヒト血管内皮細胞を用いた実験において,D-プシコースはMCP-1をはじめとしたケモカイン,サイトカインの分泌を抑制することがすでに報告されている(11)11) K. Murao, X. Yu, W. M. Cao, H. Imachi, K. Chen, T. Muraoka, N. Kitanaka, J. Li, R. A. M. Ahmed, K. Matsumoto et al.: Life Sci., 81, 592 (2007)..糖尿病,肥満は動脈硬化症の最大の危険因子であるが,D-プシコースの耐糖能改善作用,抗肥満作用,悪玉アディポカインの抑制作用などは,最近激増している生活習慣病への対策の一助になると期待されている.

図2■2型糖尿病患者に対する希少糖D-プシコースの効果

体重,悪玉アディポサイトカイン(TNF-αとMCP-1)を有意に低下させていた.

希少糖作用を基にした食品用途開発

先にも述べたようにD-プシコースには血糖値抑制作用や抗肥満作用があることから,食品中に一定量以上のD-プシコースを加えることで,病気の予防に役立つ食品の開発が可能となる.しかし,ヒトが食品を食べる主要な目的は,病気の予防ではなく,栄養素を体内に取り入れて生命維持や成長につなげることと,食べて“美味しさ”を感じることである.いくら病気の予防に役立つといっても,美味しくなくては食べてもらえない.そのため用途開発部門の食品関連分野では,美味しさに着目して希少糖の食品用途開発を行ってきた.最初に研究を行ったのは,本機構の生産技術部門からキログラム単位での入手が可能で,ヒトや動物への安全性が確かめられているD-プシコースであった.

食品の美味しさに寄与する主な要素は,味,食感,匂いの3つである.糖類の美味しさは強い甘さ(味)にあるが,加工食品に使ったときには弾性や粘性といった物性にも大きな影響を及ぼす.糖類には複数の水酸基(–OH基)が存在するため,そのOH基が食品に含まれる水分子を安定化し,食品組織内に水分(結合水)を保持することで,食品を好ましい食感にできる.そこでわれわれは,でんぷんやタンパク質を主成分とする食品に従来から使われている糖類(ショ糖など)の代わりにD-プシコースを使うことで食感にどのような変化が現れるかを調べた.研究を始めた当初は,D-プシコースのOH基の数が自然界に多く存在するブドウ糖(D-グルコース)や果糖(D-フルクトース)のOH基数とほぼ同じであることから,D-プシコースを添加しても食感に大きな違いが現れるとは予想していなかったが,結果は違った.でんぷん食品の一つ,求肥(白玉粉に砂糖,水あめなどを加えて練りあげたもち状の菓子で,練り切りなどに使われる)に使う砂糖の代わりにD-プシコースを使うと,求肥が柔らかくなり,また冷蔵庫で3日間貯蔵しても硬くなりにくいという特性が見つかった(12)12) S. Ikeda, C. Furuta, Y. Fujita & S. Gohtani: Stärke, 66, 773 (2014)..冷蔵しても硬くなりにくいということは,D-プシコースを使うことで求肥の柔らかさ,すなわち美味しさを長もちさせることができることから,でんぷん食品へのD-プシコースの利用が期待される.

焼き菓子の一つであるメレンゲは,卵白を泡立てた後ショ糖を加えて焼いたものである.ショ糖は卵白のタンパク質が変性してできた泡が壊れないようにする役割を担っている.ショ糖の一部をD-プシコースに置き換えてつくったメレンゲは,ショ糖のみでつくったものよりも硬く型崩れしにくかった(13)13) S. O’Charoen, S. Hayakawa, Y. Matsumoto & M. Ogawa: J. Food Sci., 79, E2463 (2014)..メレンゲの内部を走査型電子顕微鏡で観察してみると,D-プシコースで置換したメレンゲの内部はショ糖のみのものよりもしっかりした組織であった.

D-プシコースは冷凍食品においても優れた特性を示す.近年の冷凍食品は,冷凍庫から取り出して電子レンジで解凍(または保温)してそのまま食べる,いわゆる調理済み冷凍食品が多い.冷凍食品は解凍時に食品組織中から水分が流出するため食感の劣化を起こしやすい.美味しい冷凍食品を開発するには,解凍工程での食品からの水分の流失をいかにして防ぐかが鍵となる.ショ糖などの糖類にはそうした水分の流失を防ぐ作用があるので,D-プシコースにも同様の作用があるか調べた.ショ糖の代わりにD-プシコースを添加してつくったチキンソーセージは−20°Cで冷凍保存しても弾性や粘性にかかわる物性値が低下しにくく,食感が劣化しにくいとわかった(14)14) M. Hadipernata, M. Ogawa & S. Hayakawa: Poult. Sci., 95, 2120 (2016).図3図3■希少糖D-プシコース添加ソーセージの冷凍保存中の物性の変化).このような作用は,D-プシコースが食品内部にある水分子(結合水)を組織内に留めておく力が強いため,解凍しても水分の流失を防げたためだと考えられる(15)15) M. Hadipernata, M. Ogawa & S. Hayakawa: J. Food Process. Preserv., 00, e13184 (2017).

図3■希少糖D-プシコース添加ソーセージの冷凍保存中の物性の変化

D-プシコース添加では,冷凍保存しても弾性や粘性の物性値が低下しにくく,食感が劣化しにくい.

以上のように,D-プシコースはメレンゲの食感を変えたり,求肥が硬くなるのを防いだり,冷凍したソーセージの品質劣化を防ぐのに優れた糖であるといえる.今後,D-プシコース以外の希少糖にも食品を美味しくしたり,美味しさを長もちさせたりする作用があるか探索していく予定である.

抗酸化作用を基にしたアンチエイジング研究

医療分野で明らかにされたように,希少糖は,抗肥満効果,抗糖尿病効果など抗メタボリツクシンドローム効果を有することがヒトや動物において確認されている.希少糖の生体に対する作用機序が,エネルギー代謝と密接に結びついている以上,さまざまな分子を介して最終的にはエイジング機構に結びつくことが予想される.

D-グルコースの誘導体であり,解糖系の阻害剤として働く2-デオキシグルコースに抗老化効果があることが古くから報告されていたが,ヒトでの安全性や対費用効果に懸念があり実用化されていない.一方,希少糖は長期投与において安全性(16)16) 檜垣俊介,松尾達博:栄養食糧学会誌,68, 69 (2015).が確かめられており,連載第1回において述べたようにIzumoringをもとに大量生産が始まっている.

D-グルコースの異性体や誘導体と見なすことができるD-プシコースやD-アロースなどの希少糖が,細胞内の糖代謝関連酵素の弱い拮抗阻害剤として働き,糖代謝を緩やかに調節することで,アンチエイジング効果を発揮する可能性が考えられた(17)17) 新谷知也,大隈一裕,砂古口博文,佐藤正資:日本醸造協会誌,108, 565 (2013)..そこで,寿命研究のモデル生物である線虫C. elegansを用いた検討を行い,D-プシコースにアンチエイジング効果があることを発見した(18)18) T. Shintani, H. Sakoguchi, A. Yoshihara, K. Izumori & M. Sato: Biochem. Biophys. Res. Commun., 493, 1528 (2017).

既報では,糖代謝の調節(特に解糖系の阻害)によって生じる寿命延長の詳細なメカニズムの仮説が提唱されている(19)19) T. J. Schulz, K. Zarse, A. Voigt, N. Urban, M. Birringer & M. Ristow: Cell Metab., 6, 280 (2007)..この仮説では,解糖系の回転の減少によりエネルギーセンサーAMPK(AMP-activated protein kinase)を介した脂肪の消費およびミトコンドリア呼吸が増加し,活性酸素が一時的に増加する.これにより抗酸化酵素を始めとしたストレス耐性が上昇し寿命が延長する.このメカニズムの仮説は,D-プシコースによる寿命延長の機序と一致する部分が多い(図4図4■希少糖による抗老化作用機序モデル).D-プシコースは,糖代謝を調節することがよく知られており,また寿命延長にはAMPKが必須であった.そして,C. elegansの体脂肪を減少させ,抗酸化酵素の発現量と酵素活性の向上が観察された(18)18) T. Shintani, H. Sakoguchi, A. Yoshihara, K. Izumori & M. Sato: Biochem. Biophys. Res. Commun., 493, 1528 (2017).

図4■希少糖による抗老化作用機序モデル

哺乳類においてD-プシコースの長期摂取による寿命延長効果はいまだ報告されていないが,短期間の投与においても,糖代謝や炎症性マーカーの改善(17)17) 新谷知也,大隈一裕,砂古口博文,佐藤正資:日本醸造協会誌,108, 565 (2013).,脂肪酸化の促進(20)20) T. Kimura, A. Kanasaki, N. Hayashi, T. Yamada, T. Iida, Y. Nagata & K. Okuma: Nutrition, 43, 16 (2017).が報告されており,線虫での結果を支持する複数のデータが得られている.今後は,まずげっ歯類による検討が必要で,次にヒトを始めとした高等動物を対象とした抗老化に関する長期研究の実施が望まれる.

D-アロースは,D-グルコースのC3エピマーであり,天然ではインディアンデーツ(21)21) A. Rai, S. Das, M. R. Chamallamudi, K. Nandakumar, R. Shetty, M. Gill, S. Sumalatha, R. Devkar, K. Gourishetti & N. Kumar: J. Ethnopharmacol., 210, 118 (2018).,インドの海藻,またヒト臍帯血にも見いだされている(17)17) 新谷知也,大隈一裕,砂古口博文,佐藤正資:日本醸造協会誌,108, 565 (2013)..エネルギーはゼロと推定され,機能性素材としての安全性試験も既に実施されている.D-アロースの基盤となる動物への生理作用は,活性酸素の発生抑制である.ビタミンやフィトケミカルに見られるようなラジカルスカベンジャー作用ではなく,細胞の活性酸素の発生自体を抑制する抗酸化作用を,D-アロースは有している.この活性酸素産生を抑える機序から派生する幾つかの効果が報告されている.血管内皮から発生する活性酸素は血圧上昇を誘発する一因となることから,高血圧ラットに対してD-アロース投与により収縮期および拡張期血圧共に有意な低下が認められている.またD-アロースは活性酸素の大量発生が原因とされる脳梗塞や心筋梗塞など虚血性の臓器障害に対する保護作用,またがん細胞増殖抑制作用なども報告されている(17)17) 新谷知也,大隈一裕,砂古口博文,佐藤正資:日本醸造協会誌,108, 565 (2013)..このような魅力的な生理活性をもつD-アロースは,D-プシコースと同様に高用量の投与によって線虫C. elegansの体長の増大を抑制することが報告(22)22) H. Sakoguchi, A. Yoshihara, K. Izumori & M. Sato: Biosci. Biotechnol. Biochem., 80, 1058 (2016).されているが,寿命延長に関する機序はD-プシコースとは異なると考えられる.直接的な活性酸素の発生抑制および,糖代謝の調節によるインスリンシグナル伝達系の制御などの機序を介して,線虫の寿命を延長すると推測されている(17)17) 新谷知也,大隈一裕,砂古口博文,佐藤正資:日本醸造協会誌,108, 565 (2013).D-アロースに関しても,高等動物での抗老化研究の報告が待たれる.

植物に対する希少糖の作用研究

本項では数ある希少糖の中からD-プシコースとD-アロースに着目し,エネルギー源として利用できないこれらの希少糖の植物に対する作用と,その作用を応用した農業資材開発の可能性について考えてみたい.

D-プシコースとD-アロースの植物に対する作用として,一過的な生長抑制作用と耐病性誘導作用があげられる.イネ(Oryza sativa)やシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などの幼苗根から希少糖溶液を吸わせたり,葉に噴霧処理したりすると,生長が抑制されることが明らかになった(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013)..しかし,その後これらの幼苗を希少糖無添加の土中で生育させると,抑制作用が解除され,やがて無処理イネのサイズと差がなくなるため,抑制作用は希少糖存在時の一過的なものであることが示された.

この希少糖による生長抑制の作用機構研究の結果,D-アロース処理イネにおいて,イネの生育を制御する植物ホルモンであるジベレリンの生合成関連遺伝子群の発現やジベレリン生産量自体に大きな変化は認められず,さらにジベレリンと希少糖D-アロースの同時処理でも抑制は回復しなかった(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013).D-アロース処理イネではジベレリン生産が抑制されるのではなく,ジベレリンシグナル伝達経路の下流の遺伝子発現が一過的に抑制されることにより,生育が抑制されることがその後のさまざまな研究により明らかになった(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013).

これらの生長抑制作用には,細胞内での希少糖のC6位のリン酸化が必須のため,ヘキソース(特にD-グルコース)のC6位のリン酸化酵素として知られるヘキソキナーゼ(HXK)がD-アロースのリン酸化に関与すると考えた.HXK阻害剤をD-アロースと同時処理すると,生長抑制効果は減少し,シロイヌナズナAtHXK1(Arabidopsis hexokinase 1)欠損株(gin2)ではD-アロース処理による生長抑制作用は全く認められなかった(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013)..このgin2株のAtHXK1相補株ではD-アロースによる生長抑制作用も回復し,さらにリン酸化に必須なアミノ酸であるS177置換型HXKを挿入した変異株では,リン酸化能の消失とともにD-アロースによる生長抑制も相補できなかった(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013)..これらの結果から,D-アロース作用にはHXKによるリン酸化が必須であることが明らかになったのである(23, 24)23) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, Y. Yamasaki-Kokudo, B.-G. Kim, K. Hosotani, M. Saito, C. Shirakawa, S. Tajima, K. Izumori et al.: Planta, 234, 1083 (2011).24) T. Fukumoto, A. Kano, K. Ohtani, M. Inoue, A. Yoshihara, K. Izumori, S. Tajima, Y. Shigematsu, K. Tanaka, T. Ohkouchi et al.: Planta, 237, 1379 (2013).

希少糖の植物に対するもう一つの作用に,耐病性誘導作用が挙げられる(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013)..生長抑制作用と同様に,D-プシコースやD-アロースを根から吸収させたり葉に噴霧処理したりすると,さまざまな耐病性反応が誘起される.このような希少糖処理葉で,5倍以上に発現誘導される遺伝子群をマイクロアレイで解析すると,約30%は防御関連遺伝子であった(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013)..また,希少糖処理葉には擬似病斑(lesion mimic)が形成され,活性酸素種(ROS: radical oxygen species)の蓄積も認められた(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013)..希少糖由来の耐病性に関与するさまざまな反応はROS消去剤処理により抑制されたことから,これらはROS蓄積を介して誘導されることが明らかになった(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013)..さらに,D-プシコースやD-アロース処理したイネでは,イネ重要病害の一つである白葉枯病菌への耐病性が誘導されることが明らかになった(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013)..興味深いことに,希少糖によるROS蓄積,防御関連遺伝子群の発現誘導,擬似病斑(lesion mimic)形成,耐病性誘導の総ての反応も,先に述べた一過的生長抑制作用同様に,HXKを介した6位のリン酸化が必須であり(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013).図5図5■希少糖(D-アロース)の植物耐病性誘導へのシグナル伝達モデル27)),D-アロースからD-アロース6リン酸(A6P)への変換はイネゲノムに10個ある遺伝子群(OsHXKs)がコードするHXK中のOsHXK5とOsHXK6が担うと現在考えている(25~27)25) A. Kano, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, M. Satoh, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, Y. Ishida et al.: Phytopathology, 100, 85 (2010).26) A. Kano, K. Hosotani, K. Gomi, Y. Yamasaki-Kokudo, C. Shirakawa, T. Fukumoto, K. Ohtani, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka et al.: J. Plant Physiol., 168, 1852 (2011).27) A. Kano, T. Fukumoto, K. Ohtani, A. Yoshihara, T. Ohara, S. Tajima, K. Izumori, K. Tanaka, T. Ohkouchi, Y. Ishida et al.: J. Exp. Bot., 64, 4939 (2013).

図5■希少糖(D-アロース)の植物耐病性誘導へのシグナル伝達モデル27)

図中赤丸(●)はD-アロースを示す.

作物生産・保護の場面で農業資材として応用可能な希少糖作用が明らかになりつつあり,その作用のメカニズムの解明に向けた基礎研究と応用研究を両輪として,さまざまな角度から研究が推進中である.希少糖は自然界に微量しか存在しないが「天然の糖」であり,土壌中の微生物により分解されるため残留性はない.また,希少糖は食品利用素材であり,これまでの化学合成物の農薬とは明らかに異なる位置付けの農業資材になると考えている.

今回,4つの異なる分野で展開している希少糖の用途開発研究を紹介した.糖類が含まれる製品は極めて多岐にわたり,その成分の大部分はショ糖,ブドウ糖(D-グルコース),果糖(D-フラクトース)であり,これらの糖と構造は類似するが,物性や機能性の異なる希少糖に置き換わることにより,これまで考えられてこなかった用途開発につながると考えている.本稿のコラムにもあるように,香川大学で進んでいる弦楽四重奏的な希少糖の研究開発に是非ご期待いただきたい.

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