プロダクトイノベーション

未培養微生物スクリーニング用高周波電位発生装置電位刺激を利用した放線菌のスクリーニング

小山 純弘

Sumihiro Koyama

エイブル株式会社

Published: 2019-04-01

はじめに

図1図1■高周波電位発生装置に本稿で紹介する高周波電位発生装置を示す.本装置は,生きた微生物を電極基板上に付着させた後,高周波電位刺激で微生物を振動させることにより,未培養微生物のコロニー形成率を飛躍的に高めることができる.

図1■高周波電位発生装置

筆者は±1 V vs. Ag/AgCl, 3 MHzの矩形波電位を出力するため,装置間の配線をいじくっていると,偶然,±10 mV vs. Ag/AgCl, 9 MHzの三角波電位が発振した(1)1) S. Koyama: J. Biosci. Bioeng., 111, 574 (2011) corrigendum in: J. Biosci. Bioeng., 114, 240 (2012)..この微弱な三角波電位を,電極基板上に付着培養していた動物細胞に加えると何が起こるのか,筆者は興味本位で調べてみた.すると,動物細胞が生きたまま電極基板上から剥がれることを発見した(1)1) S. Koyama: J. Biosci. Bioeng., 111, 574 (2011) corrigendum in: J. Biosci. Bioeng., 114, 240 (2012)..トリプシンを使わずに微弱な高周波電位だけで剥離した動物細胞は,正常な増殖を示した(1)1) S. Koyama: J. Biosci. Bioeng., 111, 574 (2011) corrigendum in: J. Biosci. Bioeng., 114, 240 (2012)..ポテンシオスタット機能を搭載した高周波電位発生装置の開発は,この発見から始まっている.水の電気分解が生じない程度の微弱な変動電位を「動物細胞」に加えると,増殖に寄与する細胞内シグナル伝達経路が活性化され,遺伝子発現やタンパク質の生産,細胞の分化誘導を引き起こすことが報告されている(2~5)2) K. Kimura, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: J. Biotechnol., 63, 55 (1998).3) K. Kimura, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Med. Biol. Eng. Comput., 36, 493 (1998).4) S. Koyama, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Nat. Biotechnol., 15, 164 (1997).5) S. Koyama, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Cell. Eng., 1, 189 (1996)..これより筆者は微弱な変動電位刺激を,休眠状態にある「微生物」に直接加えることで,何らかの微生物機能が活性化され,培養可能な状態に変化するのではないかと考えた.

そこで,筆者らが開発した高周波電位発生装置を使って微生物にさまざまな変動電位刺激を加える実験を行った.その結果マイナス電位を印加した透明電極基板上に土壌微生物を付着させ,正弦波電位刺激を加えた後,回収してプレートで培養すると放線菌が選択的に培養できることを発見した(図2図2■電位刺激を利用した放線菌スクリーニング).また,正弦波電位刺激によって得られた全菌株の59%は,新種または新種の可能性が高いことも示された(図3図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング).

図2■電位刺激を利用した放線菌スクリーニング

(A)3電極チャンバーの模式図と写真,(B)放線菌スクリーニングの模式図.

図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング

通常の微生物剥離(±20 mV vs. Ag/AgCl, 9 MHzの正弦波印加後にスクレイパーで回収)と±0.2 V vs. Ag/AgCl, 12 MHzの正弦波電位印加後における(A)コロイダルキチンアガーを用いたコロニー形成の比較写真と,(B)各種放線菌用寒天培地1枚あたりのコロニー形成数.4種類の寒天培地のうち,Colloidal chitin agarが電気回収された放線菌を極めて選択的にコロニー形成できた.(C)±0.2 V vs. Ag/AgCl, 12 MHzの正弦波電位刺激で得られた菌株の16S-rRNA遺伝子配列を用いて推定された近隣結合法による系統樹.数字は1000回の試行に基づくブートストラップ確率.50%以下の確率は取り除いた.SKから始まる番号の微生物が新種,または新種の可能性が高いものを示している.

本稿では,この高周波電位発生装置を使った研究についていくつか紹介する.

電極基板上に微生物を誘引付着させる手法の開発

環境微生物もミトコンドリアも,酸化還元電位がマイナス側にある電子供与体(エレクトロンドナー)と,酸化還元電位がプラス側にある電子受容体(エレクトロンアクセプター)の間に生じる電位差を利用し,生物代謝に重要なATPを合成している.筆者は電子供与体の代わりに,直接マイナス電位を印加した電極を利用することで,多種多様な原核微生物が好んで電極基板上に付着し,固定化できるのではないかと考えた.そこでこの仮定のもと,筆者は研究を重ねた結果,電極基板に微生物が好む電位を印加することで,生きた微生物を土壌堆積物中から,電磁石で砂鉄を吸い付けるように回収する手法を開発することができた(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..以下にその手法を解説する.

微生物を電極基板上に誘引付着させるための3電極チャンバーについて簡単に説明する(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..まず,透明な酸化インジウム/ガラス電極(ITO電極)を作用極,対極に白金(Pt)電極,0 V標準電位となる参照電極に銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極をそれぞれ配置し,3電極チャンバーを作製した(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013).図2A図2■電位刺激を利用した放線菌スクリーニング).この実験系で重要な部分は,0 V標準電位となる銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極が加えられている点にある.生きた微生物をITO電極基板上に誘引付着させるため,水の電気分解のような電気化学的な反応生成物による影響を避けなければならない.この場合,ITO電極の電位を正確に制御することが極めて重要となる.そこで筆者は,0 V標準電位となる銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を参照電極として実験系に加え,ITO電極電位をポテンシオスタットという電位印加装置で厳密に制御した状態で実験を進めた.この3電極チャンバー内に微生物や土壌の分散水溶液を加え,微生物が重力に逆らってITO電極基板上に誘引付着するか検討した(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..電極基板上に生きた微生物が付着したか否かは,CTC染色法を利用した.無蛍光基質であるCTC(5-Cyano-2,3-ditolyl Tetrazolium Chloride)は,細胞内デヒドロゲナーゼ活性によって赤色蛍光物質のCTCフォルマザンに還元される.このCTCフォルマザンの赤色蛍光を蛍光顕微鏡により観察することで,ITO電極基板上に付着した生きた微生物の存在の有無を確認した.土壌サンプルをカルシウム,マグネシウム不含リン酸緩衝食塩水(PBS(−))中に分散し,24時間室温条件で各種定電位を印加したときの,ITO電極基板上への微生物付着を調査した(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..土壌中の微生物は,開回路(Open circuit)および銀/塩化銀電極に対してプラス側の電位印加条件では,ITO電極基板上にほとんど付着しなかった.一方,−0.4から−0.2 V vs. Ag/AgClの定電位印加条件では,微生物は重力に逆らってITO電極基板上に付着した.そして−0.4 V vs. Ag/AgClの定電位印加条件で,最も多くの微生物が付着した.マイナス電位を印加した電極基板上に微生物が付着する現象は,PBS(−)以外にも各種バッファや人工海水で現れた(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..しかしながら,グルコース水溶液やLB培地に分散させた場合は,電極基板上に付着する現象は現れなかった(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..また,121°C,15分間でオートクレーブ滅菌により死滅した微生物は,電極基板上に付着しないことも判明した(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015)..以上より,この3電極チャンバーは,土壌中の生きた微生物を容易に付着できることがわかった.

凍結保存したカイメン動物から培養困難な共生微生物を電気回収して培養する

カイメン動物には数多くの生物活性物質の存在が確認されている.これらの生物活性物質は,カイメン動物に共生する微生物から生産され,Brominated biphenylethers, Chlorinated peptides, Theopalauamide, Swinholide A, Onnamide AおよびPsymberinなど,これまでに数多く見いだされている.そのためカイメン共生微生物を単離培養することは,生物活性物質を大量生産する最も有用な手法の一つである.しかし現在,カイメン動物の共生微生物を培養するのは困難であり,全体の1%前後しか培養されていない.そこで,筆者が開発した手法を用いて共生微生物の培養を試みた.その結果,−80°Cで凍結保存したカイメン動物から生きた共生微生物を電気回収し,寒天培地培養に成功した(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015)..以下にその手法を解説する.

−80°Cで凍結保存したカイメン組織片を氷冷した人工海水で解凍した.1 mm3以下になるまで2本のメスで組織断片を切断後,氷上の石英乳鉢ですりつぶした.すりつぶした組織を人工海水に分散後,3電極チャンバーで共生微生物の電気回収を試みた.「電極基板上に微生物を誘引付着させる手法の開発」で述べた技術を用い,マイナスの定電位を24時間ITO電極上に印加すると,共生微生物はITO電極上へ付着した.しかしながら,その付着は非常に強固であり,市販のセルスクレイパーで数回こすったぐらいでは剥がれなかった(6)6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013)..そこで,剥離条件を検討した結果,電極基板上に付着した共生微生物は,±20 mV vs. Ag/AgCl, 9 MHzの正弦波電位を20分間印加することで,生きた状態で剥離回収できることが明らかとなった(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015)..さらに電気回収後,寒天培地に播種し,培養するとコロニーを形成し,増殖していることが明らかとなった(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015)..すなわち,この手法を用いることで,微生物を回収するだけでなく,難培養の微生物を培養することが可能となったのである.電極基板上に付着した生きたカイメン共生微生物の菌叢解析の結果,32門のバクテリアおよび3門のアーキアが確認された(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015)..そして,電気回収された生きたカイメン共生微生物には40種類の放線菌が含まれることも明らかとなった(7)7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015).

ストレプトマイセス属放線菌胞子を電極基板上に付着させる

抗生物質を含む生物活性物質の微生物による生産は,約4割を放線菌が占めており,放線菌による生産の大半がストレプトマイセス属放線菌に由来する(8)8) J. Bérdy: J. Antibiot. (Tokyo), 65, 385 (2012)..放線菌は貧栄養環境下では胞子として存在している確率が高く,土壌堆積物中では通常,胞子の状態で生息している.そこで,この技術を使ってストレプトマイセス属放線菌胞子が電極基板上に付着するか次に検討した(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017).

試験菌株には5種類の深海由来ストレプトマイセス属放線菌株,および1種類の陸上由来ストレプトマイセス属放線菌株を用いた(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017)..1/20濃度の人工海水に分散した6種類の放線菌由来の胞子はすべて,−0.2 V vs. Ag/AgClの定電位を印加したITO電極基板上に付着した(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017)..各種ストレプトマイセス属放線菌株胞子がITO電極基板上に付着することは,蛍光顕微鏡および電子顕微鏡観察から明らかとした(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017)..電子顕微鏡による観察結果から,各種ストレプトマイセス属放線菌株胞子は,繊維状物質または膜状物質をITO電極基板上に伸長させて付着することが確認された(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017).

深海底堆積物コアサンプルからストレプトマイセス属放線菌を電気回収する

続いて,駿河湾の深海底堆積物コアサンプル(水深756 m,海底下65 mの堆積物で6,300年前よりも古い地層)から,−0.2 V vs. Ag/AgClの定電位印加により,ストレプトマイセス属放線菌が電気回収できるか検討した(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017)..−0.2 V vs. Ag/AgCl, 24時間の定電位で堆積物中の微生物を電極基板上に付着させた.±20 mV vs. Ag/AgCl, 9 MHzの正弦波電位をさらに1時間印加後,スクレイパーで微生物懸濁液をかき集め,寒天培地に播種した.33本ものコアサンプルから微生物を電気回収した結果,2本のコアサンプルにストレプトマイセス属放線菌が存在し,電気回収後,寒天培地培養することに成功した(9)9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017).

次に,駿河湾の深海底堆積物コアサンプルを用い,放線菌のコロニー形成数が正弦波電位刺激によって増加できるか検討した(図3図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング).−0.2 V vs. Ag/AgCl, 24時間の定電位で堆積物中の微生物を電極基板上に付着させた.そして±20 mV vs. Ag/AgCl,各種周波数の正弦波電位をさらに1時間印加したが,放線菌のコロニー形成は増加する気配を全く見せなかった.ある日,正弦波電位の振幅をあやまって10倍にしてしまい,±0.2 V vs. Ag/AgCl, 12 MHzの正弦波電位を1時間印加したところ,ストレプトマイセス属様放線菌が選択的に培養されることを偶然発見した(10)10) 小山純弘,西 真郎,長野由梨子,多米晃裕,植松勝之,秦田勇二,坪内泰志,能木裕一,電気化学会第84回大会要旨集,3Q12 (2017).図3A図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング).±0.2 V vs. Ag/AgCl, 12 MHzの正弦波電位刺激によるストレプトマイセス属様放線菌のコロニー形成数は,±20 mV vs. Ag/AgCl, 9 MHzの正弦波電位印加後にスクレイパーで回収したサンプル(通常の微生物剥離)と比べて60から4,000倍以上に増加し(図3B図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング),選択的に放線菌がスクリーニングできた(10)10) 小山純弘,西 真郎,長野由梨子,多米晃裕,植松勝之,秦田勇二,坪内泰志,能木裕一,電気化学会第84回大会要旨集,3Q12 (2017)..駿河湾深海底堆積物から単離された各種放線菌株を16S-rRNA遺伝子で系統解析した結果,Nocardiopsis sp., Dietzia sp., Pseudonocardia sp., Brachybacterium sp., Nesterenkonia sp., Microcella sp., Microbacterium sp.,そしてStreptomyces sp.であることが確認できた(図3C図3■駿河湾深海底堆積物コアサンプルからの未培養微生物のスクリーニング).また,得られた全菌株の59%は,新種または新種の可能性が高いことが示された.

おわりに

本稿では,高周波電位発生装置の研究について紹介した.本装置は放線菌だけでなく,さまざまな有用微生物をスクリーニングする研究者達に使っていただければ,筆者として幸甚である.

Reference

1) S. Koyama: J. Biosci. Bioeng., 111, 574 (2011) corrigendum in: J. Biosci. Bioeng., 114, 240 (2012).

2) K. Kimura, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: J. Biotechnol., 63, 55 (1998).

3) K. Kimura, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Med. Biol. Eng. Comput., 36, 493 (1998).

4) S. Koyama, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Nat. Biotechnol., 15, 164 (1997).

5) S. Koyama, Y. Yanagida, T. Haruyama, E. Kobatake & M. Aizawa: Cell. Eng., 1, 189 (1996).

6) S. Koyama, M. Konishi, Y. Ohta, T. Miwa, Y. Hatada, T. Toyofuku, T. Maruyama, Y. Nogi, C. Kato & T. Tsubouchi: Mar. Biotechnol. (NY), 15, 461 (2013).

7) S. Koyama, S. Nishi, M. Tokuda, M. Uemura, Y. Ishikawa, T. Seya, S. Chow, Y. Ise, Y. Hatada, Y. Fujiwara et al.: Mar. Biotechnol. (NY), 17, 678 (2015).

8) J. Bérdy: J. Antibiot. (Tokyo), 65, 385 (2012).

9) S. Koyama, S. Nishi, Y. Nagano, A. Tame, K. Uematsu, Y. Nogi, Y. Hatada & T. Tsubouchi: Electrochemistry, 85, 297 (2017).

10) 小山純弘,西 真郎,長野由梨子,多米晃裕,植松勝之,秦田勇二,坪内泰志,能木裕一,電気化学会第84回大会要旨集,3Q12 (2017).