セミナー室

食品タンパク質由来抗菌ペプチドの作用機序と多彩な生理活性の解明内因性生体防御ペプチドを補完する成分

Masayuki Taniguchi

谷口 正之

新潟大学

Published: 2019-05-01

はじめに

The Antimicrobial Peptide Database(http://aps.unmc.edu/AP/)には,2018年12月現在で約3,000種類の抗菌ペプチドが登録されている.これらの抗菌ペプチドは,動物起源が2,248種類,植物起源が344種類,微生物起源が366種類(バクテリオシンを含む),およびその他となっている.また,これらの抗菌ペプチドが有する抗酸化,プロテアーゼ阻害,抗炎症,創傷治癒促進(血管新生,細胞遊走,細胞増殖が促進されて傷がはやく治癒すること)などの生理活性も,このデータベースを用いて検索することができる.すなわち,多くの抗菌ペプチドは,複数の生理活性を兼ね備えていることが明らかになっている.

本稿では,抗菌ペプチドの作用機序および生体防御に貢献する多機能性(抗炎症作用と創傷治癒促進作用)について,食品タンパク質由来抗菌ペプチドの結果を含めて解説する.

抗菌ペプチドの発見

1987年にアフリカツメガエルの粘膜からmagainin 2が発見され(1)1) J. P. Powers & R. E. W. Hancock: Peptides, 24, 1681 (2003).,1996年にアジアヒキガエルの胃組織からbuforin 2が見いだされた(2)2) C. Auvynet & Y. Rosenstein: FEBS J., 276, 6497 (2009)..前者は細胞膜破壊型の作用機序を有する抗菌ペプチドであり,後者は細胞膜通過型の抗菌ペプチドである.その後,多くの生物から抗菌ペプチドが発見され,それらの構造と機能が解析された.抗菌ペプチドは,それらの構造から,主にβ-sheet, α-helical, loop,およびextendedの4種類のタイプに分類され,その多くは分子中に塩基性アミノ酸(アルギニン,リジン)を多く含んでおり,負に帯電した細胞膜と静電的相互作用によって結合する(3)3) F. E. Gwyer, S. M. Currie & D. J. Davidson: Biodrug, 27, 479 (2013)..これらの抗菌ペプチドは,細胞膜の損傷・破壊作用によって殺菌効果を示す場合とタンパク質合成システムや特定の酵素などを阻害することによって殺菌効果を示す場合が報告されているが,特に後者の場合の作用機序は未解明な部分が多い(4)4) E. de Souza Cândido, M. H. Silva Cardoso, D. A. Sousa, J. C. Viana, N. G. de Oliveira-Júnior, V. Miranda & O. L. Franco: Peptides, 55, 65 (2014).

各種生物由来の抗菌ペプチド

内因性のヒト抗菌ペプチドとして,唾液中のcystatin Sやhistatinなどが報告されている.Histatinは,口内炎などに対する感染防御用の医薬品として治験が実施されている.また,ヒトの他のペプチド(LL-37, β-defensin, integrinなど)も,抗菌作用ばかりでなく,免疫調節,抗炎症,創傷治癒促進,細胞増殖促進などの多くの生体防御機能を有しており,それらの多機能性に着目した医薬品開発が進められている(5, 6)5) E. F. Haney & R. E. W. Hancock: Peptide Sci., 100, 572 (2013).6) H. Wakabayashi, K. Yamauchi, T. Kobayashi, T. Yaeshima, K. Iwatsuki & H. Yoshie: Antimicrob. Agents Chemother., 53, 3308 (2009)..最近,遺伝子スクリーニングから抗菌作用と血管新生促進作用を有するペプチドが発見され,その機能を強化するために改変された.この改変ペプチド(SR-0379)は皮膚潰瘍治療用の医薬品として,ベンチャー企業を含めて開発が進められている(7)7) 平井昭光:生物工学,96, 510 (2018)..さらに,上述のカエル粘膜由来ペプチド(magainin 2),ブタ白血球由来ペプチド(protegrin-1),ウシ好中球由来ペプチド(indolicidin)やそれらの改変ペプチドなどについて,主に感染症の治療を目的とした治験が実施されている.一方,病原微生物に対して抗菌活性を有する食品由来タンパク質・ペプチドとして,乳タンパク質であるlactoferrinおよびその分解物であるlactoferricin Bが報告されており,これらは,最近,サプリメントやガムなどの健康食品の成分として国内で実用化されている.特に,lactoferrinはlactoferricin Bに比べて抗菌活性は低いが,多彩な生理活性(鉄結合活性,免疫調節活性,抗酸化活性など)を有することが報告されている.このようにlactoferrinは多機能なことから化粧品にも応用されている.また,抗菌成分として乳カゼインの酵素加水分解分解物(8)8) H. A. Elbarbary, A. M. Abdou, Y. Nakamura, E. Y. Park, H. A. Mohamed & K. Sato: Biofactors, 38, 309 (2012).,卵白のcystatin(9)9) M. F. Blankenvoorde, W. van’t Hof, E. Walgreen-Weterings, T. J. van Steenbergen, H. S. Brand, E. C. Veerman & A. V. A. Nieuw: Biol. Chem., 379, 1371 (1998).やlysozyme(分解産物に抗菌活性がある)(10)10) H. R. Ibrahim, D. Inazaki, A. Abdou, T. Aoki & M. Kim: Biochim. Biophys. Acta, 1726, 102 (2005).などが報告されている.

抗菌ペプチドの構造と活性

これまで発見された抗菌ペプチドは,主に10~50残基のアミノ酸から構成されていること,正味の正電荷を有すること,塩基性アミノ酸と疎水性アミノ酸が含まれていること(両親媒性であること),α-helixやβ-sheetなどの2次構造を有することなどの類似した特性を有している.しかし,それらの抗菌スペクトルおよび最小増殖阻止濃度(MIC)や50%増殖阻害濃度(IC50)を用いて表される抗菌活性の値は,大きく異なっている場合が多い.したがって,ペプチドのアミノ酸配列や2次構造などは,抗菌活性に大きく影響することがわかる.一方,10残基のアミノ酸からなるペプチドは10兆2400億(2010)種類となり,10残基以上のアミノ酸からなるペプチドを網羅的に合成し,それらの活性とアミノ酸配列や2次構造などの関係を解明することは不可能である.そこで,一般には各アミノ酸の抗菌活性への寄与を解明するために,ペプチドを構成する全アミノ酸を,1残基ずつ側鎖が小さく,電荷がないアラニンに置換する手法(アラニンスキャン)が用いられる.また,特定の単独または複数のアミノ酸を塩基性アミノ酸(アルギニンとリジン)または疎水性アミノ酸(トリプトファン,フェニルアラニン,ロイシンなど)に置換した変異(改変)体を合成し,それらの抗菌活性の変化に基づいて,抗菌活性への各アミノ酸の寄与が解明されている.しかし,1残基のアミノ酸を置換した場合でも,ペプチドの親水性や疎水性が変化するばかりでなく,両親媒性のバランスや2次構造が同時に変化するため,構造と活性の相関を解明することは,多くの場合に限界がある.筆者らは,抗菌ペプチドを構成するアミノ酸の抗菌活性への寄与を解明するために,α-helix構造を有するコメタンパク質由来抗菌ペプチド(Amyl-1–18)中の特定のアミノ酸をアラニン,アルギニン,またはロイシンに置換した変異体を設計した(11, 12)11) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptide Sci., 106, 219 (2016).12) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 652 (2016)..すなわち,図1図1■コメタンパク質由来抗菌ペプチド(AmyI-1–18)の構造とアミノ酸置換体の設計に示すhelical wheel projection(http://rzlab.ucr.edu/scripts/wheel/wheel.cgi?sequence)に基づいて,Amyl-1–18のアミノ酸置換体を設計した.まず,塩基性アミノ酸の抗菌活性への寄与を明らかにするために,アルギニンまたはリジンをアラニンに置換した4種類の変異体を合成した.次に,塩基性領域には中性もしくは酸性のアミノ酸が存在するため,これらをアルギニンに置換した3種類の変異体を設計した.また,疎水性領域には親水性のアミノ酸が存在するため,これらをロイシンに置換した2種類の変異体を設計した.さらに,これらを組み合わせた3種類の2残基アミノ酸置換体を設計した.AmyI-1–18および設計した12種類のアミノ酸置換体の分子量,平均疎水性,正味の電荷,および等電点を表1表1■コメタンパク質由来抗菌ペプチドのアミノ酸置換体の特徴とそれらの抗菌活性と溶血活性に示す(12)12) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 652 (2016).

図1■コメタンパク質由来抗菌ペプチド(AmyI-1–18)の構造とアミノ酸置換体の設計

表1■コメタンパク質由来抗菌ペプチドのアミノ酸置換体の特徴とそれらの抗菌活性と溶血活性
No.ペプチド名アミノ酸配列c分子量(Da)α-Helix含量c(%)平均疎水性d等電点(—)正味の電荷50%増殖阻害濃度IC50 (µM)溶血活性(%)
測定値計算値
1AmyI-1–18(Parent peptide)HLNKRVQRELIGWLDWLK2304.992304.7561.111.39.99+213±30.1
2AmyI-1–18 (K4A)aHLNARVQRELIGWLDWLK2247.242247.6561.111.38.75+115±6e)
3AmyI-1–18 (R5A)aHLNKAVQRELIGWLDWLK2219.352219.6472.211.58.60+112±1e)
4AmyI-1–18 (R8A)aHLNKRVQAELIGWLDWLK2219.492219.6455.611.58.60+112±2e)
5AmyI-1–18 (K18A)aHLNKRVQRELIGWLDWLA2247.452247.6555.611.38.75+117±3e)
6AmyI-1–18 (I11R)aHLNKRVQRELRGWLDWLK2347.582347.7872.210.210.90+310±21
7AmyI-1–18 (G12R)aHLNKRVQRELIRWLDWLK2403.672403.8866.711.410.90+34.6±1.12
8AmyI-1–18 (D15R)aHLNKRVQRELIGWLRWLK2345.432345.8561.111.311.72+411±12
9AmyI-1–18 (N3L)aHLLKRVQRELIGWLDWLK2303.162303.8083.312.79.99+22.5±0.73
10AmyI-1–18 (E9L)aHLNKRVQRLLIGWLDWLK2288.602288.7972.212.511.00+33.7±1.55
11AmyI-1–18(E9L, G12R) bHLNKRVQRLLIRWLDWLK2387.652387.9372.212.511.72+44.9±0.59
12AmyI-1–18 (N3L, E9L) bHLLKRVQRLLIGWLDWLK2287.792287.6583.313.811.00+34.2±0.514
13AmyI-1–18(N3L, G12R) bHLLKRVQRELIRWLDWLK2402.582402.9477.812.710.90+32.9±0.214
a 1残基アミノ酸置換体(Nos. 2~10).b 2残基アミノ酸置換体(Nos. 11~13).c各ペプチドのα-helixの含量と位置(アンダーランを付けた)は,the NPS website (https://npsa-prabi.ibcp.fr)を用いて予測した.d平均疎水性は,Shangらの報告(Appl. Microbial. Biotechnol., 98, 8685 (2014).)に従って計算した.eアラニン置換体の溶血活性は,測定しなかった.

AmyI-1–18およびそのアミノ酸置換体の歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalisに対する抗菌活性および細胞毒性の指標として溶血活性を測定した.それらの結果も表1表1■コメタンパク質由来抗菌ペプチドのアミノ酸置換体の特徴とそれらの抗菌活性と溶血活性に示す.4種類のアラニン置換体は,親ペプチドとほぼ同じ抗菌活性を発揮したことから,3残基の塩基性アミノ酸が存在すれば,抗菌活性は低下しないことがわかった.また,1残基のアミノ酸をアルギニンに置換した3種類の置換体のうち,AmyI-1–18(G12R)の抗菌活性(IC50: 4.6 μM)は,親ペプチド(IC50: 13 μM)に比べて,2.8倍高くなった.さらに1残基のアミノ酸をロイシンに置換した2種類の置換体は,AmyI-1–18(G12R)に比べて高い抗菌活性を示した.特に,AmyI-1–18(N3L)の抗菌活性(IC50: 2.5 μM)は,親ペプチドに比べて,5.2倍高くなった.しかし,2残基のアミノ酸をアルギニンとロイシンを組み合わせて置換したペプチド[AmyI-1–18(N3L, G12R)とAmyI-1–18(E9L, G12R)],および2残基のアミノ酸をロイシンに置換したペプチドAmyI-1–18(N3L, E9L)の抗菌活性は,親ペプチドに比べて高くなったが,AmyI-1–18(N3L)よりも低くなった.一方,溶血活性は,平均疎水性や正味の正電荷が増加するにつれて増大した(12)12) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 652 (2016).表1表1■コメタンパク質由来抗菌ペプチドのアミノ酸置換体の特徴とそれらの抗菌活性と溶血活性).これらの結果から,抗菌ペプチドの塩基性や疎水性の強化は,抗菌活性をある程度高める効果はあるが,微生物と哺乳類の赤血球の細胞膜を識別する能力は低下したことがわかった(11, 12)11) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptide Sci., 106, 219 (2016).12) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 652 (2016).

抗菌ペプチドの細胞膜損傷作用

ハチ毒由来の抗菌ペプチドmelittinは,26残基のアミノ酸からなるα-helix構造を有する塩基性ペプチドであり,細胞膜破壊作用によって微生物に対して強い抗菌活性を発揮する(13)13) N. Asthana, S. P. Yadav & J. K. Ghosh: J. Biol. Chem., 279, 55042 (2004)..また,微生物の細胞膜とはリン脂質の組成が異なる哺乳類の細胞膜も破壊するため,高い細胞毒性や溶血活性を示す(13)13) N. Asthana, S. P. Yadav & J. K. Ghosh: J. Biol. Chem., 279, 55042 (2004)..抗菌ペプチドの細胞膜への作用機構は,人工的に調製したリン脂質二重層であるベシクルの破壊作用を測定する手法,生きている微生物の細胞膜の損傷を測定する方法,各種の顕微鏡観察などによって研究されている.これまでの研究において,いくつかの作用機構のモデルが提唱されている.すなわち,抗菌ペプチドが細胞膜に樽板状に入り込み細胞膜にトンネル状の孔を開けるbarrel-stave model,抗菌ペプチドとリン脂質の相互作用によって細胞膜の脂質尾部同士を集積させて細胞膜を穿孔するtoroidal pore model,抗菌ペプチドが細胞膜表面上に集積し,細胞膜を界面活性剤のように分断するcarpet(detergent)modelなどが報告されている(14, 15)14) L. T. Nguyen, E. F. Haney & H. J. Vogel: Trends Biotechnol., 29, 464 (2011).15) K. A. Brogden: Nat. Rev. Microbiol., 3, 238 (2005)..ベシクルを用いる方法は,微生物の細胞膜を模倣してリン脂質の組成を容易に変えることができるため,多種類の細胞膜模倣ベシクルに対する抗菌ペプチドの破壊作用を検討することができる.生きている微生物を用いる場合には,蛍光プローブを用いて細胞膜脱分極作用を計測する方法や細胞内の核酸を染色する方法が用いられる.筆者らの研究結果では,細胞膜損傷作用を示す抗菌ペプチドでも,ベシクルの破壊作用の強弱と抗菌活性の高低は,必ずしも相関しない場合があった(16, 17)16) N. Takei, N. Takahashi, T. Takayanagi, A. Ikeda, K. Hashimoto, M. Takagi, T. Hamada, E. Saitoh, A. Ochiai, T. Tanaka et al.: Peptides, 42, 55 (2013).17) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptide Sci., 104, 73 (2015)..生きている微生物の細胞膜とベシクルの構造の違いや微生物の細胞膜に存在するリン脂質以外の成分の影響が原因であると考えられる.また,筆者らの研究結果では,蛍光プローブを用いる方法は,抗菌活性の強さを比較的よく反映していた.さらに,この方法は抗菌ペプチドには細胞膜の損傷作用がない,または低いことを実証するために大いに役に立った(11, 12)11) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptide Sci., 106, 219 (2016).12) M. Taniguchi, A. Ochiai, K. Takahashi, S. Nakamichi, T. Nomoto, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 652 (2016)..顕微鏡観察は,微生物の直接的な形態変化が観察できるために,抗菌ペプチドの穿孔,細胞分裂阻害,変形などの細胞膜への作用を解明するための有力な手段である.

抗菌ペプチドの細胞内標的とタンパク質合成阻害作用

抗菌ペプチドの細胞内標的としては,高分子(DNA, RNA,タンパク質)合成,隔壁形成,酵素触媒機能などが挙げられる.Buforin 2は,細胞膜を損傷せずに,DNAやRNAに強く結合することから,転写や翻訳を阻害すると考えられている(18)18) C. B. Park, M. S. Kim & S. C. Kim: Biochem. Biophys. Res. Commun., 244, 253 (1998)..ブタの小腸や好中球顆粒から単離された39残基のアミノ酸からなるPR-39は,細胞膜に孔を形成せずに,Salmonella typhimuriumのfilamentation(細胞が分裂せず,長く伸長する異常な増殖)を誘導し,細胞分裂を阻害する(19)19) R. Gennaro, M. Zanetti, M. Benincasa, E. Podda & M. Miani: Curr. Pharm. Des., 8, 763 (2002)..ウシの好中球の細胞内顆粒から単離されたindolicidinはトリプトファンとプロリンを多く含み,PR-39と同様に,Escherichia coliのDNA合成を阻害することによってfilamentationを誘導する(20)20) K. H. Park, Y. H. Nan, Y. Park, J. I. Kim, I. S. Park, K. S. Hahm & S. Y. Shin: Biochim. Biophys. Acta, 1788, 1193 (2009)..昆虫から単離されたプロリンを多く含む抗菌ペプチドであるpyrrhocoricinやdrosocinは,70 kDa熱ショックタンパク質(分子シャペロン,DnaK)に特異的に結合し,DnaKのATPase活性とリフォールデング機能を阻害する(21, 22)21) W. F. Li, G. X. Ma & X. X. Zhou: Peptides, 27, 2350 (2006).22) L. Otvos Jr.: Cell. Mol. Life Sci., 59, 1138 (2002)..また,筆者らのグループでは,最近pyrrhocoricinはDnaKの機能を阻害するばかりでなく,タンパク質合成の翻訳段階を阻害することを見いだしている(23)23) M. Taniguchi, A. Ochiai, H. Kondo, S. Fukuda, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 121, 591 (2016).

細胞内標的を有する抗菌ペプチドに関しては,微生物の細胞膜を損傷せずに通過することが報告されている.しかし,細胞膜を通過する実験的な証拠は,添加したfluorescein isothiocyanate(FITC)などで蛍光標識した抗菌ペプチドが細胞内に移行することを根拠にしている場合が多い.この場合には,蛍光色素だけが細胞内に移行しないコントロール実験が必須になるが,明確に示されていない報告が多くある.また,アガロースゲル遅延度アッセイを用いて,抗菌ペプチドがDNAやRNAなどに結合することが示されている.筆者らの経験では,ゲル遅延度アッセイによってAmyI-1–18とDNAおよびRNAの結合(静電的な相互作用)をそれぞれ確認できた場合でも,表面プラズモン共鳴を利用した生体分子間相互作用解析ではAmyI-1–18はRNAに対して高い親和性を有するが,DNAとは結合しないことを確認している.事実,AmyI-1–18は,転写段階は阻害せず,翻訳段階を阻害した(24)24) M. Taniguchi, A. Ochiai, S. Fukuda, T. Sato, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 385 (2016)..さらに,放射性同位元素で標識したモノヌクレオチド([3H]thymidine, [3H]uridineなど)やアミノ酸の生細胞による取り込み阻害を指標として,抗菌ペプチドのタンパク質合成阻害を研究する方法が開発されている(25, 26)25) E. F. Haney, A. P. Petersen, C. K. Lau, W. Jing, D. G. Storey & H. J. Vogel: Biochim. Biophys. Acta, 1828, 1801 (2013).26) M. Arias, K. V. Jensen, L. T. Nguyen, D. G. Storey & H. J. Vogel: Biochim. Biophys. Acta, 1848 (1 Pt B), 277 (2015)..しかし,抗菌ペプチドが転写,翻訳,折りたたみ(フォールディング)を直接的に阻害しているのか,ほかの標的を阻害したためにタンパク質合成が阻害されるのかを判定することは難しい場合がある.特に,抗菌ペプチドの濃度によって,主な標的が変化することも考えられるため,入念な実験条件の設定が必要である.

AmyI-1–18は,細胞膜の損傷作用が弱い場合にも抗菌活性を示す場合があった.そこで,N末端またはC末端をFITC標識したAmyI-1–18を用いて細胞内への移行を検討したが,FITCは,単独でも細胞内へ移行したため,AmyI-1–18の細胞内移行を明確に証明できなかった.次に,AmyI-1–18の細胞内移行を仮定して,筆者らは無細胞タンパク質合成システム(a cell-free rapid translation system; RTS)および分子シャペロンによる酵素luciferaseのリフォールディング作用を用いたアッセイ系を利用して,AmyI-1–18のタンパク質合成過程の阻害について検討した(23, 24)23) M. Taniguchi, A. Ochiai, H. Kondo, S. Fukuda, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 121, 591 (2016).24) M. Taniguchi, A. Ochiai, S. Fukuda, T. Sato, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 385 (2016)..本実験では,作用機構が既知の抗生物質(bleomycin, streptomycinなど)と抗菌ペプチド(pyrrhocoricin, magainin 2など)を用いて,2つのアッセイ系の有用性を明らかにした(23)23) M. Taniguchi, A. Ochiai, H. Kondo, S. Fukuda, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 121, 591 (2016)..また,これらのアッセイ系を用いることによって,AmyI-1–18は,pyrrhocoricinと同じように,翻訳過程とフォールディング過程を阻害することによって,タンパク質合成を阻害することを解明した(24)24) M. Taniguchi, A. Ochiai, S. Fukuda, T. Sato, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 122, 385 (2016)..現在,AmyI-1–18の作用機序の全容を解明することを目指して,AmyI-1–18を固定化したアフィニティ磁気ビーズを用いて,親和性を有する細胞内標的分子の精製・同定を試みている.

抗菌ペプチドの抗炎症作用とその機序

ペプチドの抗炎症作用に関しては,LL-37, β-defensinなどの動物由来の抗菌ペプチドに関して多くの報告があるが,食品タンパク質由来抗菌ペプチドの抗炎症作用に関する報告はほとんどない.Amyl-1–18とその1残基アミノ酸置換体の抗炎症作用を,グラム陰性菌の外膜に存在する内毒素であるリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS)で刺激した細胞を用いて検討した(27)27) M. Taniguchi, A. Ochiai, T. Namae, K. Saito, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptides, 104, 78 (2018)..すなわち,LPSによって刺激したマウスマクロファージ(RAW264)による細胞傷害性の一酸化窒素(NO)の産生に対する各ペプチドの抑制効果を検討した.LPSによって刺激した場合に,NO産生量は大幅に増加したが,Amyl-1–18の添加濃度に依存して,その産生量は徐々に減少した.また,Amyl-1–18(I11R)を除く,4種類の1残基アミノ酸置換体[Amyl-1–18(G12R),Amyl-1–18(D15R),Amyl-1–18(N3L),およびAmyl-1–18(E9L)]は,いずれを添加しても,Amyl-1–18と同じように,濃度を上げるにつれてNO産生を徐々に抑制することがわかった.そこで,NOの産生量を半分に減少させるために必要な50%有効濃度(EC50)を算出した結果,4種類の1残基アミノ酸置換体は,Amyl-1–18に比べて,NO産生抑制作用が5~17倍強くなったことが明らかとなった(27)27) M. Taniguchi, A. Ochiai, T. Namae, K. Saito, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptides, 104, 78 (2018).

Amyl-1–18およびその1残基アミノ酸置換体のNO産生抑制の機序を解明するために,LPSを特異的に検出することができるLimulus amebocyte lysate試薬を用いて,各ペプチドとLPSの結合に伴う吸光度の減少を測定した.4種類の1残基アミノ酸置換体は,Amyl-1–18と同じように,濃度に依存して発色反応を阻害した.EC50を算出した結果,Amyl-1–18(G12R),Amyl-1–18(D15R),およびAmyl-1–18(E9L)は,Amyl-1–18に比べて,LPSに1.4~2.3倍強く結合(中和)することが明らかとなった.一方,Amyl-1–18(N3L)だけは,NO産生抑制作用が強くなったが,LPS中和活性は低下した(27)27) M. Taniguchi, A. Ochiai, T. Namae, K. Saito, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptides, 104, 78 (2018)..次に,表面プラズモン共鳴を利用した生体分子間相互作用解析法を用いて,Amyl-1–18および4種類の1残基アミノ酸置換体とLPSの親和性(相互作用)を検討した.Amyl-1–18と各アミノ酸置換体について算出した解離定数の値はほぼ同じであり,LPSとの親和性に大きな差がないことがわかった(27)27) M. Taniguchi, A. Ochiai, T. Namae, K. Saito, E. Saitoh, T. Kato & T. Tanaka: Peptides, 104, 78 (2018)..以上の結果より,4種類の1残基アミノ酸置換体のNO産生抑制作用,すなわち抗炎症作用はAmyl-1–18に比べて強くなったが,その作用機序はLPS中和活性やLPSとの親和性の差異だけでは説明できないことがわかった.特に,LPS中和活性が低いAmyl-1–18(N3L)は,ほかの3種類の1残基アミノ酸置換体とは異なる作用機序(LPSとLPS-binding proteinの結合阻害,シグナル伝達経路の阻害など)によって,抗炎症作用を発揮することが示唆された.

抗菌ペプチドの創傷治癒促進作用とその機序

食品タンパク質由来抗菌ペプチドの創傷治癒促進作用に関する報告はほとんどない.筆者らは,AmyI-1–18とその1残基アミノ酸置換体の創傷治癒促進作用を,2つのアッセイ法を用いて評価した.すなわち,ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の血管新生(管腔形成)促進作用(図2図2■ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた血管新生促進アッセイ)と創傷閉鎖(細胞遊走)促進作用(図3図3■ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた創傷閉鎖促進アッセイ)について検討した(28)28) M. Taniguchi, Y. Noda, R. Aida, K. Saito, A. Ochiai, E. Saitoh & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 127, 472 (2019)..創傷治癒促進作用を有するヒトの生体防御ペプチドとして知られているLL-37をポジティブコントロールとして,AmyI-1–18および5種類の1残基アミノ酸置換体の血管新生促進作用を検討した.その結果,AmyI-1–18とAmyl-1–18(N3L)は,LL-37と同じ濃度範囲(1~10 μM)において,血管新生促進作用を発揮した.また,スクラッチ法を用いた創傷閉鎖アッセイにおいても,AmyI-1–18とAmyl-1–18(N3L)は,LL-37とほぼ同じ濃度範囲において細胞遊走促進作用を発揮した.したがって,LL-37と同じように,AmyI-1–18とAmyl-1–18(N3L)はHUVECの血管新生と細胞遊走を促進する作用を有することから,創傷治癒促進作用を示すことが明らかになった(28)28) M. Taniguchi, Y. Noda, R. Aida, K. Saito, A. Ochiai, E. Saitoh & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 127, 472 (2019)..血管新生促進作用の機序を解明するために,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)レセプターの特異的な阻害剤(SU5416)を用いてHUVECを処理した.その結果,AmyI-1–18とAmyl-1–18(N3L)の血管新生促進作用はほぼ消失したことから,これらのペプチドはVEGFレセプターを介して作用を発揮していることがわかった.また,創傷閉鎖の作用機序を解明するために,DNA複製の阻害剤(mitomycin C)を用いてHUVECを処理した結果,mitomycin Cを添加しないコントロールに比べて細胞遊走は部分的に阻害されたが,創傷の閉鎖は促進された.したがって,AmyI-1–18とAmyl-1–18(N3L)は,細胞の増殖を促進するばかりでなく,細胞の増殖を伴わない細胞の遊走を促進し,創傷が閉鎖されることが明らかになった(28)28) M. Taniguchi, Y. Noda, R. Aida, K. Saito, A. Ochiai, E. Saitoh & T. Tanaka: J. Biosci. Bioeng., 127, 472 (2019).

図2■ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた血管新生促進アッセイ

図3■ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた創傷閉鎖促進アッセイ

食品タンパク質由来生理活性ペプチド

食品タンパク質由来ペプチドに関しては,アンジオテンシン変換酵素阻害活性に基づく降圧作用,ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害活性に基づく血糖調節作用,コレステロール低下作用,アミラーゼ阻害作用,抗酸化作用などの多くの機能が報告されているが,抗菌作用に関する報告は,上述したように比較的少ない.また,筆者らが報告したコメやダイズのタンパク質由来抗菌ペプチド以外に,生体防御に貢献する複数の機能を兼ね備えた食品タンパク質由来抗菌ペプチドは報告されていないと考えられる(29)29) M. Taniguchi & A. Ochiai: Biosci. Biotechnol. Biochem., 81, 634 (2017).

天然物から単離した抗菌ペプチドは,化学合成の手法を用いたアミノ酸の置換や付加,ハイブリッド化などによって活性を高めることができるため,医薬品の素材として注目されている.一方,化学合成品は,実用化に向けて製造コストや安全性などが課題であるため,食品タンパク質の酵素加水分解物から天然型ペプチドと類似の構造と活性を有するペプチドを調製することも試みられている.この場合には,原料のタンパク質の種類,酵素の種類とその加水分解条件,加水分解物からのペプチドの分画・精製条件などが検討課題となる(29, 30)29) M. Taniguchi & A. Ochiai: Biosci. Biotechnol. Biochem., 81, 634 (2017).30) C. G. Rizzello, D. Tagliazucchi, E. Babini, G. S. Rutella, D. L. T. Saa & A. Gianotti: J. Funct. Foods, 27, 549 (2016)..また,降圧作用や抗酸化作用を中心に,発酵乳製品,味噌,醤油,納豆などの発酵食品中に含まれるペプチドに関する研究も実施されている(31, 32)31) R.-Y. Gan, A. Gunaratne, Z.-Q. Sui & H. Corke: Compr. Rev. Food Sci. Food Saf., 16, 489 (2017).32) S. Sanjukta & A. K. Rai: Trends Food Sci. Technol., 50, 1 (2016).

おわりに

抗菌ペプチドの多彩な生理活性に関しては,今後,それぞれ標的の同定や作用機序の解明についての研究が必要である.コメタンパク質由来ペプチド(AmyI-1–18)の抗菌作用は,細胞膜とタンパク質合成を標的としていた.また,コメタンパク質由来抗菌ペプチドの抗炎症作用は,LPSに直接結合して,LPSとToll-like receptor 4の結合を阻害することに基づいていると考えられる.LPSとの結合は,lipid Aを構成するリン酸基とペプチドの塩基性アミノ酸の静電的な相互作用およびlipid Aの脂肪酸部分とペプチドの疎水性アミノ酸の相互作用に基づく可能性が高い.さらに,コメタンパク質由来抗菌ペプチドの創傷治癒促進作用は,血管内皮細胞のVEGFレセプターとの相互作用によって発揮されていると考えられる.今後,ペプチドの創傷治癒促進の作用機序を,1)アポトーシスに関与するcaspase-3活性などの抑制作用,2)VEGFレセプターの活性化作用,3)シグナル伝達経路に関与するリン酸化酵素(MAPK/ERK1/2, PI3K/Aktなど)の発現調節作用などを考慮しながら,解明する必要がある.抗菌作用を含めて,ペプチドの抗炎症作用や創傷治癒促進作用などの生理活性には,アミノ酸配列中に含まれる塩基性アミノ酸と疎水性アミノ酸,またはそのバランス(両親媒性)が共通して重要な貢献をしていることが明らかになった.しかし,ペプチドを構成する各アミノ酸のそれぞれの生理活性に対する寄与は複雑であり,これまで述べたように,今のところ,各アミノ酸の寄与はわずかしか解明されていない.今後,特定のアミノ酸を欠失・付加した変異体や特定のアミノ酸を置換した変異体を用いた研究データを蓄積することによって,構造(アミノ酸配列と立体構造)と活性(各種生理活性)の相関が解明されることを期待したい.

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