解説

オメガ3,オメガ6,オメガ9脂肪酸の代謝による新たな免疫・アレルギー・炎症の制御機構食用油を使い分けてより健康に

Uniqueness of Dietary Lipid Metabolism for the Control of Immune Responses

Takahiro Nagatake

長竹 貴広

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターワクチンマテリアルプロジェクト/腸内環境システムプロジェクト

Jun Kunisawa

國澤

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターワクチンマテリアルプロジェクト/腸内環境システムプロジェクト

大阪大学大学院医学系研究科/薬学研究科/歯学研究科

神戸大学大学院医学研究科

東京大学医科学研究所国際粘膜ワクチン開発研究センター

Published: 2019-02-01

脂質は生体膜の構成成分やエネルギー源として利用されるだけでなく,脂質メディエーターに変換されることでさまざまな生理活性を発揮することから,物理的・化学的・生物学的に極めて重要な栄養素であると言える.筆者らは,食事性脂質の量や質に着目し,これらが免疫・アレルギー・炎症反応の制御において重要な役割を果たすことを見いだし,個体・細胞・分子レベルで作用機序を解明してきた.本稿では,最新のメタボローム解析によって明らかになりつつある食事性脂質の体内代謝と代謝物の機能,また腸内細菌の関与を含め,筆者らの最近の研究成果を中心に概説したい.

はじめに

脂肪酸の構造はカルボキシ基を一つもった鎖式炭化水素であり,炭素鎖の長さにより短鎖脂肪酸,中鎖脂肪酸,長鎖脂肪酸に分けられる.このうち,食用油を構成するものは炭素数8以上の中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸である.主要な食用油に含まれる長鎖脂肪酸はさらに二重結合の有無により飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できる.さらに不飽和脂肪酸については二重結合の位置により,メチル基末端から数えて3番目,6番目,9番目の炭素に初めて二重結合が現れる脂肪酸をそれぞれω3脂肪酸,ω6脂肪酸,ω9脂肪酸と呼ぶ.哺乳類はω3位,ω6位に二重結合を導入する不飽和化酵素をもっていないため,ω3脂肪酸とω6脂肪酸を体内で合成することができない.そのため,これらは食事により摂取する必要がある必須脂肪酸であり,その体内バランスは食事の質に大きく依存している.

サラダ油原料の一つとして主に使用され,かつ多くの市販マウス飼料に使用されている大豆油はω6脂肪酸のリノール酸を約50%,ω3脂肪酸のαリノレン酸を5%程度含んでいる.一方,亜麻仁油やエゴマ油にはαリノレン酸が多く含まれ,その割合は大豆油の10倍以上の約60%にもなる.リノール酸は体内に吸収された後アラキドン酸へ,αリノレン酸はエイコサペンタエン酸(EPA)→ドコサペンタエンサン(DPA)→ドコサヘキサエン酸(DHA)へと代謝される.これらはシクロオキシゲナーゼやリポキシゲナーゼ,シトクロムP450(CYP)などの代謝酵素の基質となり,さまざまな脂質メディエーターへと変換される.

1970年代に行われたグリーンランド地方のイヌイット民族を対象にしたコホート研究を皮切りに,魚油に多く含まれるEPAやDHAの抗炎症活性についてこれまで多くの研究報告がなされ,その作用メカニズムとして,プロスタグランジンE2やロイコトリエンB4に代表されるアラキドン酸を由来とする脂質メディエーターの多くが強い炎症活性をもつ一方で,EPAやDHAに由来するプロスタグランジンE3やロイコトリエンB5にはほとんど生理活性がないことから,EPAやDHAを摂取することで得られる抗炎症作用はアラキドン酸との代謝酵素の競合阻害が主作用であると考えられてきた(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..これに加えて近年,液体クロマトグラフィーや質量分析によるメタボローム技術が発展し,微量代謝物の同定や定量,さらには機能解析が可能となり,EPAやDHAを基質として代謝産生されるレゾルビンやプロテクチン,マレシンに代表される新規代謝物の同定が次々と進み,これら代謝物が炎症の抑制や収束に積極的にかかわることが判明してきている(1~3)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019).2) T. Ishihara, M. Yoshida & M. Arita: Int. Immunol., 31, 559 (2019).3) C. N. Serhan: Nature, 510, 92 (2014)..たとえば,EPAを基質として代謝産生されるレゾルビンE1はChemR23受容体を介して作用し,マクロファージのNF-κB活性化を抑制する作用があるほか,ロイコトリエンB4の受容体であるBLT1に競合的に結合することで炎症反応の抑制に寄与することが明らかになった(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..さらに,DPAを基質として産生されるプロテクチンD1n-3 DPAやレゾルビンD5n-3 DPA,またDHAを基質として産生されるレゾルビンD2やマレシン1にも抗炎症・炎症収束作用が見いだされており,炎症性腸疾患の抑制に積極的に働くことが明らかになっている(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019).

ω3脂肪酸代謝物17,18-エポキシエイコサテトラエン酸(17,18-EpETE)の抗アレルギー・抗炎症作用

筆者らは食用油の脂肪酸組成の違いに着目したこれまでの研究で,大豆油の代わりに亜麻仁油を用いた飼料をマウスに与えると,卵アレルギーモデルでのアレルギー性下痢の発症が抑制されることを見いだし,さらに網羅的なリピドミクス解析により脂質代謝物を一斉解析したところ,大豆油食マウスに比べて亜麻仁油食マウスの腸管ではEPAを前駆体として代謝産生される17,18-エポキシエイコサテトラエン酸(17,18-EpETE)が顕著に増加していることを明らかにした(4)4) J. Kunisawa, M. Arita, T. Hayasaka, T. Harada, R. Iwamoto, R. Nagasawa, S. Shikata, T. Nagatake, H. Suzuki, E. Hashimoto et al.: Sci. Rep., 5, 9750 (2015)..一方で,レゾルビンやプロテクチン,マレシンといった代謝物は亜麻仁油食マウスでもほとんど検出されず,腸管では17,18-EpETE産生のためのユニークな脂質代謝ネットワークがあることが示唆された.そこで次に,17,18-EpETEの生理機能を調べるために大豆油食マウスに化学合成した17,18-EpETEを投与し食物アレルギーの発症率を検討したところ,亜麻仁油食マウスの場合と同様に食物アレルギーの発症抑制効果があることがわかった(2)2) T. Ishihara, M. Yoshida & M. Arita: Int. Immunol., 31, 559 (2019)..食物アレルギーはI型アレルギーに分類され,アレルゲン特異的Th2細胞の活性化やIgE産生,マスト細胞の脱顆粒などにより引き起こされる.亜麻仁油食マウスの食物アレルギー抑制における作用機序について解析を行ったところ,Th1/Th2バランスやアレルゲン特異的IgE産生にはほとんど影響を与えていなかったが,マスト細胞の脱顆粒が抑制されていることが判明した(4)4) J. Kunisawa, M. Arita, T. Hayasaka, T. Harada, R. Iwamoto, R. Nagasawa, S. Shikata, T. Nagatake, H. Suzuki, E. Hashimoto et al.: Sci. Rep., 5, 9750 (2015)..この知見と一致し,17,18-EpETEを投与した場合にもマスト細胞の脱顆粒が抑制されることがわかった(4)4) J. Kunisawa, M. Arita, T. Hayasaka, T. Harada, R. Iwamoto, R. Nagasawa, S. Shikata, T. Nagatake, H. Suzuki, E. Hashimoto et al.: Sci. Rep., 5, 9750 (2015).

筆者らはさらに,17,18-EpETEが接触皮膚炎(かぶれ)の抑制にも有効であることをマウスやカニクイザルを用いた試験により明らかにしている(5)5) T. Nagatake, Y. Shiogama, A. Inoue, J. Kikuta, T. Honda, P. Tiwari, T. Kishi, A. Yanagisawa, Y. Isobe, N. Matsumoto et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 142, 470 (2018)..接触皮膚炎はIV型アレルギーに分類され,Th1細胞やTh17細胞,好中球などが中心となって皮膚の腫脹や水泡形成が引き起こされるアレルギー性炎症疾患である.17,18-EpETEの皮膚炎抑制における作用機序について詳細に解析を行ったところ,17,18-EpETEは樹状細胞やT細胞の機能には影響を与えていなかったが,好中球の浸潤を抑制していることがわかった(5)5) T. Nagatake, Y. Shiogama, A. Inoue, J. Kikuta, T. Honda, P. Tiwari, T. Kishi, A. Yanagisawa, Y. Isobe, N. Matsumoto et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 142, 470 (2018)..さらに17,18-EpETEの受容体として,好中球に高発現するGタンパク質共役型受容体GPR40を同定し,17,18-EpETEがGPR40を介したシグナルによりRac活性化を抑制することで仮足形成を阻害し,その結果,好中球の遊走を抑制することがわかった.(5)5) T. Nagatake, Y. Shiogama, A. Inoue, J. Kikuta, T. Honda, P. Tiwari, T. Kishi, A. Yanagisawa, Y. Isobe, N. Matsumoto et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 142, 470 (2018). 17,18-EpETEのGPR40活性化能はその前駆体であるEPAや,17,18-EpETEの代謝物でエポキシ環構造が開裂した17,18-ジヒドロキシエイコサテトラエン酸(17,18-diHETE)よりも遥かに強いこともわかり,エポキシ環構造がGPR40を介した抗炎症作用の発現に重要な化学構造であることも示唆された(5)5) T. Nagatake, Y. Shiogama, A. Inoue, J. Kikuta, T. Honda, P. Tiwari, T. Kishi, A. Yanagisawa, Y. Isobe, N. Matsumoto et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 142, 470 (2018)..実際に,17,18-diHETEには食物アレルギーや接触皮膚炎を抑制する活性は認められないことも確認された.(4, 5)4) J. Kunisawa, M. Arita, T. Hayasaka, T. Harada, R. Iwamoto, R. Nagasawa, S. Shikata, T. Nagatake, H. Suzuki, E. Hashimoto et al.: Sci. Rep., 5, 9750 (2015).5) T. Nagatake, Y. Shiogama, A. Inoue, J. Kikuta, T. Honda, P. Tiwari, T. Kishi, A. Yanagisawa, Y. Isobe, N. Matsumoto et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 142, 470 (2018). 17,18-EpETEはEPAを基質としてCYPにより代謝産生され,水溶性エポキシ加水分解酵素により17,18-diHETEへと代謝される.そのため,17,18-EpETEの合成と分解に関与するこれらの酵素活性を制御することで食事により摂取するω3脂肪酸の抗アレルギー・抗炎症作用を高められる可能性があることが示唆された.CYPはさまざまなタイプが存在し,それにより得られる代謝物が異なるが,17,18-EpETEの合成に関与するCYPサブタイプについての包括的解析が最近行われ,100種類以上あるマウスCypのうち,Cyp1a2, 2c50, 4a12a, 4a12b, 4f18の5つに強い活性があることが報告された.(6)6) Y. Isobe, M. Itagaki, Y. Ito, S. Naoe, K. Kojima, M. Ikeguchi & M. Arita: Sci. Rep., 8, 7954 (2018). 17,18-EpETEはエポキシ環構造の向きによりキラル異性体である17(S), 18(R)-EpETEと17(R), 18(S)-EpETEに分けることができるが,Cyp2c50とCyp4f18は17(S), 18(R)-EpETEを,一方,Cyp1a2は17(R), 18(S)-EpETEを選択的に産生し,Cyp4a12aとCyp4a12bはどちらの異性体も産生することが示されている(6)6) Y. Isobe, M. Itagaki, Y. Ito, S. Naoe, K. Kojima, M. Ikeguchi & M. Arita: Sci. Rep., 8, 7954 (2018)..今後の研究により,各酵素の発現細胞や酵素活性の制御法の開発,さらに17,18-EpETEの各異性体の機能や受容体,シグナル伝達の違いについて解析が進むことが期待され,これを基盤とした創薬展開にも期待が寄せられる(図1図1■ω3脂肪酸代謝物17,18-EpETEの抗アレルギー・抗炎症作用).

図1■ω3脂肪酸代謝物17,18-EpETEの抗アレルギー・抗炎症作用

亜麻仁油はω3脂肪酸のαリノレン酸を豊富に含む.αリノレン酸は体内に吸収されるとEPAへと代謝され,さらにCypsの働きによって17,18-EpETEへと変換される.17,18-EpETEは食物アレルギーや接触皮膚炎に対する予防・治療効果があり,抗炎症作用についてはGPR40を介した好中球の遊走阻害がその作用機序の一端にある.17,18-EpETEは前駆体であるEPAや,さらに先の代謝物である17,18-diHETEよりもGPR40活性化能が強い.そのため,17,18-EpETEの合成と分解にかかわる代謝を制御することで亜麻仁油摂取後の抗アレルギー・抗炎症効果を高めることができると考えられる.

高脂肪負荷による発がんリスクの上昇に対するω3脂肪酸摂取の効能

腸管や膵臓では,遺伝子変異が起こった異常上皮細胞が出現すると,隣接する正常上皮細胞によって異常上皮細胞が管腔内に排除される細胞競合という現象が起こることが知られている(7)7) S. Kon, K. Ishibashi, H. Katoh, S. Kitamoto, T. Shirai, S. Tanaka, M. Kajita, S. Ishikawa, H. Yamaguchi, Y. Yako et al.: Nat. Cell Biol., 19, 530 (2017)..細胞競合が起こるメカニズムの全容は解明されていないものの,異常上皮細胞においてはピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4(PDK4)が高発現することが判明しており,これによりピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の働きが阻害され,その結果クエン酸回路が滞り,解糖系に依存したエネルギー代謝が行われることが示されている(7)7) S. Kon, K. Ishibashi, H. Katoh, S. Kitamoto, T. Shirai, S. Tanaka, M. Kajita, S. Ishikawa, H. Yamaguchi, Y. Yako et al.: Nat. Cell Biol., 19, 530 (2017)..正常上皮細胞は異常上皮細胞で起こるこうしたエネルギー代謝の変容を認識することで,異常上皮細胞を排除するシグナルを発動すると考えられている.

筆者らは最近,肥満が大腸がんや膵臓がんの発症リスクになることがコホート研究により指摘されている点に着目し(8)8) H. Lu, W. Ouyang & C. Huang: Mol. Cancer Res., 4, 221 (2006).,マウスに高脂肪餌を与えて肥満を誘導すると細胞競合が抑制されることを報告している(9)9) A. Sasaki, T. Nagatake, R. Egami, G. Gu, I. Takigawa, W. Ikeda, T. Nakatani, J. Kunisawa & Y. Fujita: Cell Rep., 23, 974 (2018)..さらに筆者らは炎症反応が発がんに深い関連があるという事実に着目し,亜麻仁油の抗炎症作用によって高脂肪負荷による細胞競合の抑制が解除されることも同研究によって報告した(北海道大学,藤田恭之教授らとの共同研究)(9)9) A. Sasaki, T. Nagatake, R. Egami, G. Gu, I. Takigawa, W. Ikeda, T. Nakatani, J. Kunisawa & Y. Fujita: Cell Rep., 23, 974 (2018)..肥満が細胞競合を抑制するメカニズムとして,血中遊離脂肪酸が増加することで脂肪酸のβ酸化によりアセチルCoAの供給が亢進され,その結果,クエン酸回路が働きやすくなるため,異常上皮細胞に特有のエネルギー代謝の変容が認識されず,細胞競合が起こりにくくなったと考えられる(9)9) A. Sasaki, T. Nagatake, R. Egami, G. Gu, I. Takigawa, W. Ikeda, T. Nakatani, J. Kunisawa & Y. Fujita: Cell Rep., 23, 974 (2018)..また,肥満になるとマクロファージが脂肪組織に浸潤し,局所的かつ慢性的な炎症状態が作り上げられ,その結果,血中遊離脂肪酸が増大すると考えられるが,亜麻仁油を摂取することで高脂肪負荷によるマクロファージの浸潤が抑制されることが判明し(9)9) A. Sasaki, T. Nagatake, R. Egami, G. Gu, I. Takigawa, W. Ikeda, T. Nakatani, J. Kunisawa & Y. Fujita: Cell Rep., 23, 974 (2018).,脂肪組織炎症が軽減することで肥満による細胞競合の抑制が解除されたと考えられる(図2図2■高脂肪負荷による発がんリスクの上昇に対するω3脂肪酸摂取の効能).

図2■高脂肪負荷による発がんリスクの上昇に対するω3脂肪酸摂取の効能

腸管や膵臓では遺伝子変異を起こした異常上皮細胞が現れると,隣接する正常上皮細胞により管腔内に排除される細胞競合が起こることで発がんのリスクを低減している.異常上皮細胞ではPDK4の発現が上昇し,それによりPDHの働きが阻害され,解糖系に依存したエネルギー代謝が起こる.こうしたエネルギー代謝の変容を認識することで細胞競合シグナルが発動すると考えられている.しかしながら,高脂肪負荷により肥満が誘導されると慢性炎症によって遊離脂肪酸が増加し,β酸化を介してTCA回路が働くようになるため,エネルギー代謝の変容が認識されず細胞競合が起こらなくなってしまう.このとき, ω3脂肪酸を摂取すると慢性炎症が抑制されることで,高脂肪負荷による細胞競合の抑制が解除される.

ω6脂肪酸代謝物ロイコトリエンB4-BLT1シグナルによる腸管IgA産生促進作用

ω6脂肪酸のアラキドン酸代謝物の一つであるロイコトリエンB4は好中球や好酸球,エフェクターT細胞,樹状細胞などに発現するGタンパク質共役型受容体BLT1を介し,これら炎症性細胞の遊走を誘導することでアレルギー性炎症疾患の発症に強くかかわる.一方,B細胞におけるBLT1の発現や抗体産生への役割は長らく不明であった.そこで筆者らはまず,B細胞においてBLT1の発現が認められるかどうか解析したところ,脾臓やパイエル板のIgM陽性ナイーブB細胞や,脾臓のIgG陽性細胞にはほとんど発現が認められなかったものの,パイエル板においてIgAへクラススイッチしたB細胞ではBLT1が発現していることを見いだした(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..さらに,小腸粘膜固有層においてIgA抗体を産生している形質細胞にもBLT1の発現が認められたため,BLT1が腸管IgA産生に関与する可能性が考えられた(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..そこで次に,BLT1欠損マウスにコレラ毒素を用いた経口ワクチンを行ったところ,糞便中に分泌される抗原特異的IgAが野生型マウスに比べて減少することが明らかになった(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..さらにコレラ毒素に対する経口ワクチン効果の有無を調べるため,低容量のコレラ毒素で経口ワクチンを行ったマウスに高容量のコレラ毒素を経口投与したところ,野生型マウスでは下痢の発症が抑制されたが,BLT1欠損マウスでは下痢の発症が抑えられないことがわかり,毒素中和を目的とした経口ワクチンの成立にBLT1が必須の分子として働いていることがわかった(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019).

経口ワクチン抗原に対する抗原特異的分泌型IgAがBLT1欠損により減少する要因を調べたところ,パイエル板でのIgAクラススイッチに変動は認められなかったものの,小腸粘膜固有層の抗原特異的形質細胞の数が少なくなっていることを突き止めた(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..さらにこの要因を詳細に解析すると,BLT1欠損マウスではパイエル板B細胞の遊走や形質細胞の生存・細胞死にはほとんど影響を与えていなかったが,形質細胞の増殖が抑制されていることが判明し,さらにはToll-like受容体(TLRs)を介した自然免疫シグナルを伝えるMyD88の発現がBLT1欠損マウスの形質細胞で減弱していることもわかった(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..腸管粘膜では膨大な数の腸内細菌が存在するため,腸内細菌-TLRs-MyD88を介した細胞増殖シグナルが,LTB4-BLT1-MyD88シグナルによって促進される可能性が考えられた.実際に,野生型マウスに抗生剤を飲ませることで腸内細菌を減少させた場合,あるいはMyD88欠損マウスを用いた場合には,経口免疫後の抗原特異的IgA産生レベルがBLT1欠損マウスと同等レベルにまで減弱することが確認され,経口ワクチンにおける腸管IgA産生にはBLT1を介する脂質シグナルと,MyD88を介する自然免疫シグナルが共に働くことが重要であることが示唆された(10)10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019)..これらの結果から,効果的な経口ワクチンの実施・開発には抗原やデバイスといったワクチンマテリアルの選定・開発に加え,栄養状態や腸内細菌といった宿主の腸内環境を整えておくことも重要な要素になってくると考えられる(図3図3■ω6脂肪酸代謝物ロイコトリエンB4-BLT1シグナルによる腸管IgA産生促進作用).

図3■ω6脂肪酸代謝物ロイコトリエンB4-BLT1シグナルによる腸管IgA産生促進作用

小腸の粘膜免疫システムは誘導組織として働くパイエル板と,実効組織として働く絨毛の粘膜固有層が連携することで成立している.パイエル板ではM細胞を介して管腔抗原が取り込まれ,樹状細胞やT細胞,B細胞といった免疫細胞による抗原認識がなされ,B細胞は主にIgAへとクラススイッチを起こす.IgA陽性B細胞は粘膜固有層へと遊走し,分泌型IgAを産生する形質細胞に最終分化する.このとき,一部の形質細胞は腸内細菌からMyD88を介した細胞増殖シグナルを受け取り,IgA産生を促進している.ロイコトリエンB4-BLT1シグナルが形質細胞に伝わるとMyD88の発現が誘導されることで腸内細菌による細胞増殖シグナルが増強され,それによってIgA産生が促進される効果がある.

ω9脂肪酸代謝物ミード酸の多彩な抗炎症作用メカニズム

筆者らは最近,マウス飼料にココナッツ油を使用することで接触皮膚炎に対する抑制効果が得られることを見いだしている(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..ココナッツ油の脂肪酸組成を見てみると,中鎖脂肪酸のラウリン酸が豊富であり,ココナッツ油食マウスの血清中には大豆油群に比べてラウリン酸が増加していたが,大豆油食マウスにラウリン酸を投与しても皮膚炎を軽減することはできなかった(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..そのため,ココナッツ油食を与えた際に認められる抗炎症作用はラウリン酸の増加とは異なる,別の脂質環境の関与が予想された.ココナッツ油には必須脂肪酸であるω3脂肪酸とω6脂肪酸をほとんど含まないという特徴もあることから,必須脂肪酸欠乏というもう一つの特徴に着目することにした.これまでの報告により,必須脂肪酸が欠乏すると体内脂質代謝が変容し,Elovl5やFads1, Fads2酵素群の作用によりω9脂肪酸のオレイン酸からミード酸が代謝産生されるようになることが示されている(12)12) I. Ichi, N. Kono, Y. Arita, S. Haga, K. Arisawa, M. Yamano, M. Nagase, Y. Fujiwara & H. Arai: Biochim. Biophys. Acta, 184, 204 (2014)..そこでココナッツ油食マウスの血清を調べたところ,大豆油食の場合に比べてミード酸が増加していることがわかった(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..そこで次に,ミード酸の生理作用を検証する目的で大豆油食マウスにミード酸を投与したところ,ココナッツ油食の場合と同様に皮膚炎が軽減されたため,ココナッツ油摂取による抗炎症作用の作用発現メカニズムの一端としてミード酸が実効分子として働いている可能性が示唆された(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..ミード酸の抗炎症作用についてさらに詳細な解析を行ったところ,17,18-EpETEの場合と同様にT細胞からのサイトカイン産生には影響を与えないものの,好中球に直接作用する形でRac活性化を阻害し,それによって仮足形成が抑制され,その結果,炎症部位への遊走が抑制されることが判明した(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..さらにミード酸は17,18-EpETEとは異なる形でも抗炎症作用を発揮することがわかり,ミード酸は好中球からのロイコトリエンB4産生を抑制することでも好中球の二次的な流入を抑制し,さらには血管透過性の亢進に対しても抑制的な作用を発揮することがわかった(11)11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019)..これまで,必須脂肪酸欠乏による炎症反応の軽減作用はアラキドン酸代謝物の減少という観点で説明されることが多かったが,今回の研究により,必須脂肪酸欠乏時に代謝産生されるミード酸が積極的に抗炎症脂質メディエーターとして働くことも作用機序の一端として重要な役割があることが明らかになった(図4図4■ω9脂肪酸代謝物ミード酸による多彩な抗炎症作用メカニズム).17,18-EpETEとミード酸はどちらも好中球をターゲットに抗炎症作用を発揮するものの生物活性や作用に違いが認められるため,両者は異なった受容体を介して抗炎症作用を発現する可能性が高い.

図4■ω9脂肪酸代謝物ミード酸による多彩な抗炎症作用メカニズム

ココナッツ油は必須脂肪酸であるω3脂肪酸とω6脂肪酸をほとんど含まない.生体内で必須脂肪酸の欠乏状態になると,Elovl5やFads1, Fads2の働きによりω9脂肪酸のオレイン酸からミード酸が産生されるようになる.ミード酸は好中球の仮足形成を抑制するのに加え,ロイコトリエンB4の産生も抑制することで好中球の遊走を抑制する.さらに,ミード酸は血管透過性の亢進も抑制するため,複数の作用点で抗炎症作用を発揮している.

腸内細菌による食事由来機能性代謝物(ポストバイオティクス)の産生と生理機能

これまでは食事性脂質を由来とし生体内で産生される代謝物について記述してきたが,食事性脂質は腸内細菌によっても代謝され,しかもその様式は哺乳類にはない独自の経路も存在することがわかってきた(13)13) S. Kishino, M. Takeuchi, S. B. Park, A. Hirata, N. Kitamura, J. Kunisawa, H. Kiyono, R. Iwamoto, Y. Isobe, M. Arita et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17808 (2013)..たとえば,ω6脂肪酸であるリノール酸など不飽和脂肪酸の二重結合を飽和化し,さらにヒドロキシ基を導入するといった代謝様式は微生物に特有のもので,こうした飽和化反応は不飽和脂肪酸が微生物に与える毒性から身を守るための解毒代謝の1種と考えられている(13)13) S. Kishino, M. Takeuchi, S. B. Park, A. Hirata, N. Kitamura, J. Kunisawa, H. Kiyono, R. Iwamoto, Y. Isobe, M. Arita et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17808 (2013)..この飽和化代謝によってリノール酸からは10-hydroxy-cis-12-octadecenoic acid(HYA)が代謝産生され,その責任酵素としてLactobacillus plantarumのCLY-HYやLactobacillus acidophilusのFA-HY2, Streptococcus pyogenesのSPH, Stenotrophomonas maltophiliaのOhyA1-2などが同定されている(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..こうした代謝酵素はmyosin-cross-reactive antigen(MCRA)タンパク質のファミリーと考えられ,またMCRAは多くの微生物に保存された分子であることから,多様な微生物によってリノール酸→HYAの代謝が行われると考えられる(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019).Lactobacillus plantarumはさらにCLA-DH, CLA-DC, CLA-ERなどHYAからさらに連続的に代謝を行うための一連の代謝酵素を持ち,HYA→KetoA→KetoC,さらにはKetoB, HYB, HYCなどさまざまな代謝物を産生することが明らかになっている(1, 13)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019).13) S. Kishino, M. Takeuchi, S. B. Park, A. Hirata, N. Kitamura, J. Kunisawa, H. Kiyono, R. Iwamoto, Y. Isobe, M. Arita et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17808 (2013).

近年,こうした腸内細菌依存的に産生される脂肪酸代謝物の多彩な生理作用が報告され注目を集めている(図5図5■腸内細菌によるユニークな脂質代謝と代謝物機能).たとえば,HYAは歯肉組織のE-カドヘリン分解を阻害することで歯周病を抑制する作用があるほか,腸管上皮細胞のTNF受容体の発現を抑制し炎症性腸疾患の抑制作用があること,さらに肥満抑制作用や耐糖能改善作用などが報告されている(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..また,KetoAは脂肪細胞の分化促進作用やトリアシルグリセロールの合成抑制作用,肥満抑制作用などが知られている(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..さらに,KetoCはマクロファージによる炎症性サイトカイン産生を抑制する作用が報告されている(1)1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019)..腸内細菌依存的に産生される脂肪酸代謝物の機能解明が進んだことで,効率良く目的の機能性代謝物産生を行うプロバイオティクスの選定・開発も可能になると考えられる.食事性成分を基質として,腸内細菌やプロバイオティクスに使用される微生物により産生される機能性代謝物はポストバイオティクスと呼ばれ,生体への影響の解析から機能性食品素材としての開発まで幅広い分野で注目されている(14)14) J. Ogawa, J. Kunisawa & I. Kimura: Science (Webinar) https://www.sciencemag.org/custom-publishing/webinars/new-era-postbiotics-gut-microbiome-derived-lipid-metabolites-health-and (2018).

図5■腸内細菌によるユニークな脂質代謝と代謝物機能

リノール酸などの不飽和脂肪酸の二重結合を飽和化してヒドロキシ基を導入する代謝は哺乳類にはなく,微生物に独特な代謝様式である.リノール酸は微生物のもつCLA-HYなどの働きによりHYAへと変換され,さらにCLA-DHやCLA-DCといった微生物酵素によりKetoA→KetoCへと変換される.これら代謝物は体内に吸収され,腸管局所だけでなく全身の臓器・細胞に対してさまざまな生理機能を発揮する.

おわりに

脂質が免疫システムに作用しアレルギー性炎症疾患の発症や抑制に寄与する可能性は古くより指摘されてきたが,近年,ω3脂肪酸代謝物に代表される新たな実効代謝物の同定と機能解析が進んだことで本研究領域に再び大きな注目が集まっている.実効代謝物の産生を通じた食用油の効果を規定する鍵因子は「代謝経路」であり,そこでは体内あるいは腸内細菌による機能分子の産生と分解を司る酵素の発現強度とバランスが規定していると言える.実効代謝物は血液を介し体内のさまざまな臓器に働きかけることから,食事や腸内細菌の質は腸管局所だけでなく全身の免疫制御に重要な役割を担っている.また,腸内細菌が脂質代謝に関与することや腸内細菌叢(腸内フローラ)が人によって異なることを考えると,たとえば食事で摂取したω3脂肪酸の効能は腸内フローラの違いにより個人差が生じることが予想される.筆者らは最近,大規模コホート研究を開始し,栄養調査,腸内フローラ解析,メタボローム解析,疾患の有無などの情報を集め,これらビッグデータを有機的につなげるためのバイオインフォマティクス技術も取り入れた研究を進めている.今後は食と生体の両観点から分子レベルの解明が進むことが期待され,個人個人の目的にあったより効果の望めるプロバイオティクスを含めた個別栄養指導や創薬展開が可能になると期待される.

Reference

1) T. Nagatake & J. Kunisawa: Int. Immunol., 31, 569 (2019).

2) T. Ishihara, M. Yoshida & M. Arita: Int. Immunol., 31, 559 (2019).

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10) T. Nagatake, S. Hirata, T. Koga, E. Kuroda, S. Kobari, H. Suzuki, K. Hosomi, N. Matsumoto, Y. Yanrismet, M. Shimojou et al.: Mucosal Immunol., 12, 1082 (2019).

11) P. Tiwari, T. Nagatake, S. Hirata, K. Sawane, A. Saika, Y. Shibata, S. Morimoto, T. Honda, J. Adachi, Y. Abe et al.: Allergy, 74, 1522 (2019).

12) I. Ichi, N. Kono, Y. Arita, S. Haga, K. Arisawa, M. Yamano, M. Nagase, Y. Fujiwara & H. Arai: Biochim. Biophys. Acta, 184, 204 (2014).

13) S. Kishino, M. Takeuchi, S. B. Park, A. Hirata, N. Kitamura, J. Kunisawa, H. Kiyono, R. Iwamoto, Y. Isobe, M. Arita et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17808 (2013).

14) J. Ogawa, J. Kunisawa & I. Kimura: Science (Webinar) https://www.sciencemag.org/custom-publishing/webinars/new-era-postbiotics-gut-microbiome-derived-lipid-metabolites-health-and (2018).