セミナー室

生物が作り出す毒どくどくしくない毒のはなし

Mari Yamashita

山下 まり

東北大学大学院農学研究科

Keiichi Konoki

此木 敬一

東北大学大学院農学研究科

Hidetoshi Inagaki

稲垣 英利

産業技術総合研究所

Naoki Mori

直樹

京都大学大学院農学研究科

Akira Mori

京都大学大学院理学研究科

Published: 2019-02-01

はじめに

生物が自然界で生産する毒の研究は,化学生態学における重要な研究領域の一つである.自然生態系において「食う-食われる」の厳しい生存競争にさらされてきた生物は,外敵から身を守るために,あるいは餌を効率よく捕獲するために,進化の過程でさまざまな毒を利用するに至った.その毒の起源を調べると,生物自身がその毒を生合成する場合がある一方,生物自身では毒を生産する機能はなく捕食した獲物から毒を蓄積する場合もある.サソリは前者,フグやヤドクガエルは後者の例である.この研究領域では,毒の化学構造を決定する有機化学や毒とタンパク質の相互作用からその作用機序を探る生理学,すなわち室内での分子レベルでの実験操作に始まり,国内はもちろん海外にまで足を運び,個体同士の相互作用を丹念に調べる生態学的フィールドワークまで,ミクロからマクロの視点を必要とする.まさに学際領域である.

本稿では,生物毒についての最近の話題や将来の展望を紹介する.化学生態学における毒の研究の魅力を若い読者に感じていただきたい.

貝毒(山下まり,此木敬一)

アサリ,ホタテガイ,ムラサキイガイ,カキなどの二枚貝は,食材として重要であり,養殖も盛んである.しかし,二枚貝は,海水中の浮遊プランクトンなどを餌としているため,プランクトンが生産する有毒物質を蓄積して,毒性をもつようになる.その毒は貝毒と呼ばれるが,二枚貝自身は毒を生産しない.本稿では,麻痺性貝毒,下痢性貝毒,記憶喪失性貝毒の概要と最近の話題を紹介する.

1. 麻痺性貝毒

麻痺性貝毒(paralytic shellfish toxins; PSTs)(1)1) L. E. Llewellyn: Nat. Prod. Rep., 23, 200 (2006).は,サキシトキシン(Saxitoxin; STX,図1図1■麻痺性貝毒の生合成中間体と推定生合成経路5))とその類縁体であり,現在60種ほど知られている.日本では主に,海産プランクトンの渦鞭毛藻Alexandrium tamarense, A. catenella, A. tamiyavanichii, Gymnodinium catenatumが麻痺性貝毒を生産し,二枚貝が取り込んで毒をもつようになる.特に近年,大阪湾や三陸沿岸で麻痺性貝毒汚染の長期化,高毒化が問題となっている.一方,北米,南米,オーストラリア,ヨーロッパなどでは,Anabaena, Cylindrospermopsis, Aphanizomenon, Lyngbya属などの淡水および海水に生息する藍藻も麻痺性貝毒を生産する.幸いにも日本では現在までに麻痺性貝毒を生産する藍藻株は見つかっていない.

図1■麻痺性貝毒の生合成中間体と推定生合成経路5)

STXの生合成経路については,1980年代に清水ら(2)2) Y. Shimizu, M. Norte, A. Hori, A. Genenah & M. Kobayashi: J. Am. Chem. Soc., 106, 6433 (1984).によりL-アルギニンから,生合成されることが報告された.その後,Neilanら(3)3) R. Kellmann, T. K. Mihali, J. J. Young, R. Pickford, F. Pomati & B. A. Neilan: Appl. Environ. Microbiol., 74, 4044 (2008).のグループは,有毒藍藻のゲノムよりSTX生合成遺伝子クラスターを発見し,有毒渦鞭毛藻類にも一部の類似の遺伝子が存在することが報告された(4)4) A. Verma, A. Barua, R. Ruvindy, H. Savela, P. A. Ajani & S. A. Murray: Microorganisms, 7, 222 (2019)..筆者らは,化学合成で生合成中間体(A′, C′2, 11-ヒドロキシC′2, E′)の化学構造を証明し,STX類縁体の生合成経路を図1図1■麻痺性貝毒の生合成中間体と推定生合成経路5)に示すように推定した(5)5) S. Tsuchiya, Y. Cho, R. Yoshioka, K. Konoki, K. Nagasawa, Y. Oshima & M. Yotsu-Yamashita: Angew. Chem. Int. Ed., 56, 5327 (2017)..これらの生合成中間体は,海産渦鞭毛藻Alexandrium tamarense(Axat-2株)と淡水産藍藻Anabaena circinalis(TA04株)に共通して存在していた.また,Narayanら(6)6) A. L. Lukowski, D. C. Ellinwood, M. E. Hinze, R. J. Deluca, J. Du Bois, S. Hall & A. R. H. Narayan: J. Am. Chem. Soc., 140, 11863 (2018).のグループは,数種の生合成酵素を発現させて,酸化的生合成反応の立体特異性を明らかにし,独自の生合成経路を提唱した.薬理作用について言及すると,麻痺性貝毒は強力で特異的な電位依存性Naチャネル(Nav)の阻害剤である.最近,低温電子顕微鏡による観察から,ヒトNav1.7とSTXの複合体の構造が解明され(7)7) H. Shen, D. Liu, K. Wu, J. Lei & N. Yan: Science, 363, 1303 (2019).,グアニジウム基や抱水型ケトンなどが毒性発現に重要であるとするこれまでの構造活性相関が裏づけられた.

2. 下痢性貝毒

オカダ酸(図2図2■下痢性貝毒原因物質と二枚貝中腸腺にて進行する構造変換)は1981年,クロイソカイメンHalichondria okadaiから単離・構造決定された(8)8) K. Tachibana, P. J. Scheuer, Y. Tsukitani, H. Kikuchi, D. V. Engen, J. Clardy, Y. Gopichand & F. J. Schmitz: J. Am. Chem. Soc., 103, 2469 (1981)..食中毒現象として下痢性貝毒(diarrhetic shellfish poisoning; DSP)が報告されたのは1976年に遡り(9)9) T. Yasumoto, Y. Oshima & M. Yamaguchi: Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries, 44, 1249 (1978).,下痢性貝毒の主要原因物質として,毒化したホタテガイ中腸腺よりディノフィシストキシン1(図2図2■下痢性貝毒原因物質と二枚貝中腸腺にて進行する構造変換)が単離・構造決定されたのは1982年になる(10)10) M. Murata, M. Shimatani, H. Sugitani, Y. Oshima & T. Yasumoto: Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries, 4, 549 (1982)..1982年,オカダ酸がタンパク質脱リン酸化酵素PP1およびPP2Aに対する特異的阻害剤であることが判明した(11)11) A. Takai, M. Murata, K. Torigoe, M. Isobe, G. Mieskes & T. Yasumoto: Biochem. J., 284, 539 (1992)..一方,オカダ酸による下痢原性は確かめられたが,いまだ酵素阻害と下痢原性の関係性は明らかにされていない.生産生物および可食部毒量の定期検査が世界各国で実施され,出荷自主規制値が定められているが,今まで死亡例はない.日本では麻痺性貝毒に比べると低頻度であり期間も短い.質量分析の高感度・高分解能化,ならびに標準品の調達が可能となった現在,厚生労働省によりLCMSによる定量分析が検査の選択肢として推奨されている.

図2■下痢性貝毒原因物質と二枚貝中腸腺にて進行する構造変換

下痢性貝毒の生産生物はProrocentrum属の渦鞭毛藻とDinophysis属の渦鞭毛藻である.そして,下痢性貝毒の正体はこれら渦鞭毛藻が生産するオカダ酸やディノフィシストキシン類と,それぞれが7位ヒドロキシル基において脂肪酸の縮合を受けたディノフィシストキシン3である(12)12) T. Yasumoto, M. Murata, Y. Oshima, M. Sano, G. K. Matsumoto & J. Clardy: Tetrahedron, 41, 1019 (1985).図2図2■下痢性貝毒原因物質と二枚貝中腸腺にて進行する構造変換).この脂肪酸縮合反応は中腸腺ミクロソーム画分に存在する膜タンパク質により触媒されることが明らかとなり,二枚貝における解毒または代謝に関与すると推測されたが,酵素は同定されておらず詳細は不明である(13)13) K. Konoki, O. Tatsuya, R. Watanabe, Y. Cho, S. Kaga, T. Suzuki & M. Yotsu-Yamashita: Mar. Drugs, 11, 300 (2013).

3. 記憶喪失性貝毒

1987年にカナダのプリンスエドワード島で,養殖ムラサキイガイ(Mytilus edulis L.)(ムール貝)を原因とする死者を伴う食中毒が発生し,重症患者のなかには記憶を喪失する症状も見られた.その特異な症状から,記憶喪失性貝中毒(amnesic shellfish poisoning; ASP)と名付けられ,中毒原因物質としてドウモイ酸(Domoic acid; DA,図3図3■珪藻P. multiseriesによりN-geranyl-L-glutamic acidがDAに変換された16))が同定された(14)14) L. C. J. Wright, R. K. Boyd, A. S. W. de Freitas, M. Falk, R. A. Foxall, W. D. Jamieson, M. V. Laycock, A. W. McCulloch, A. G. Mcinnes, P. H. Odense et al.: Can. J. Chem., 67, 481 (1989)..DAは,1958年に日本で紅藻ハナヤナギChondria armataから,回虫駆除活性をもつカイニン酸(Kainic acid)と構造が似た物質として単離,構造決定された化合物であった.DAは珪藻Pseudo-nitzschia multiseriesから高濃度に検出され,この珪藻が毒を生産し,貝に蓄積されたと考えられた.DAはL-グルタミン酸と似た構造をもち,カイニン酸型のイオンチャネル型グルタミン酸受容体に結合して活性化する(15)15) J. Lerma: Nat. Rev. Neurosci., 4, 481 (2003)..その作用は脳機能の研究に重要なため,薬理試薬として広く用いられている.一方,われわれは,最近ハナヤナギからドウモイ酸生合成関連化合物6種を単離,構造決定した.その1種である開環型の化合物N-ゲラニル-L-グルタミン酸の安定同位体ラベル体を合成し,P. multiseriesの培養液に投与して,この化合物がDAに変換されることを証明した(16)16) Y. Maeno, Y. Kotaki, R. Terada, Y. Cho, K. Konoki & M. Yotsu-Yamashita: Sci. Rep., 8, 356 (2018).図3図3■珪藻P. multiseriesによりN-geranyl-L-glutamic acidがDAに変換された16)).一方,MooreらのグループはP. multiseriesからDA生合成遺伝子を発見し,生合成経路を提唱した(17)17) J. K. Brunson, S. M. McKinnie, K. J. R. Chekan, J. P. McCrow, Z. D. Miles, E. M. Bertrand, V. A. Bielinski, H. Luhavaya, M. Oborník, G. J. Smith et al.: Science, 361, 1356 (2018).

図3■珪藻P. multiseriesによりN-geranyl-L-glutamic acidがDAに変換された16)

最後に,最近,ヨーロッパ,ニュージーランド,中国でフグ毒テトロドトキシンが微量に二枚貝から検出され,EUで二枚貝中のTTXの規制値が設定された.これもトピックになっていることを書き添える(18)18) L. Biessy, M. J. Boundy, K. F. Smith, D. T. Harwood, I. Hawes & S. A. Wood: Chemosphere, 236, 124404 (2019).

アリ毒の特殊性と多様性—アリが作り出す低分子から高分子まで—(稲垣英利)

アリ類(膜翅目アリ科)は17亜科,334属,13,594種類が報告されており(19)19) B. Bolton: An Online Catalog of the Ants of the World, http://www.antcat.org/, 2019,このうちヤマアリ亜科やカタアリ亜科を除くほとんどのアリ類が尾部に毒針をもつ.この毒針から放出される毒液は,ギ酸,アルカロイド,ペプチド,タンパク質などから構成されており,アリはこの毒液をさまざまな目的で利用している(図4図4■代表的なアリ毒液の構成成分とその機能).

図4■代表的なアリ毒液の構成成分とその機能

これまで個体の小さいアリから十分な量の毒液を集めることが困難だったため,その毒液成分に関する報告は限られていた.しかし,近年の分析機器の高度化によって,微量な毒液成分を網羅的に分析することが可能となり,個々の構成成分ばかりでなく毒液全体を総合的に理解することができるようになった.最近,われわれは国内に生息するハリアリ亜科アギトアリ(Odontomachus monticola)の毒腺・毒液を次世代シークエンサー(20)20) K. Kazuma, K. Masuko, K. Konno & H. Inagaki: Toxins (Basel), 9, E323 (2017).と質量分析計によって分析した(21)21) N. Tani, K. Kazuma, Y. Ohtsuka, Y. Shigeri, K. Masuko, K. Konno & H. Inagaki: Toxins (Basel), 11, E50 (2019)..本稿では,これらの結果を含めて,アリ毒全般の特殊性と多様性について解説したい.

1. 毒液にアルカロイドをもつアリがいる

アリ毒液の低分子成分として特筆すべきものにアルカロイドがある.これまでに含窒素の5員環,6員環もしくは複素環とアルキル基からなる多様なアルカロイドが,フタフシアリ亜科の4属のアリ(Carebarella, Monomorium, Megalomyrmex, Solenopsis)などから見つかっている.最近話題のヒアリ(Solenopsis invicta)では,ソレノプシンと呼ばれるピペリジン・アルカロイドが発見され,毒液の構成成分の90%以上を占めている(22)22) 東 正剛,緒方一夫,S.D.ポーター:“ヒアリの生物学:行動生態と分子基盤”,海游舎,2008..ヒアリのソレノプシンはどのように合成されているのだろうか.ヒアリは実験室環境下で飼育された状態でもアルカロイドを産生することや,ヒアリ毒腺のトランスクリプトーム解析によってアルカロイドの合成に関与する酵素の転写産物がいくつか見つかっていることから,ヒアリ自身がアルカロイドを産生していると考えられている(23)23) A. Touchard, S. R. Aili, E. G. Fox, P. Escoubas, J. Orivel, G. M. Nicholson & A. Dejean: Toxins (Basel), 8, E30 (2016)..しかし一方で,カイメンや(24)24) M. Radwan, A. Hanora, S. Khalifa & S. H. Abou-El-Ela: Cell Cycle, 11, 1765 (2012).一部の昆虫では(25)25) 中鉢 淳:化学と生物,54, 753 (2016).生理活性物質を共生細菌が産出する例が知られており,ヒアリの共生細菌がソレノプシンを合成する可能性も残されている.

ソレノプシンは,抗菌・殺虫作用,神経筋接合部における神経伝達のブロック,マスト細胞からのヒスタミン遊離など,多様かつ強力な生理活性を有している(23)23) A. Touchard, S. R. Aili, E. G. Fox, P. Escoubas, J. Orivel, G. M. Nicholson & A. Dejean: Toxins (Basel), 8, E30 (2016)..今後,ソレノプシン以外のアルカロイドの生理活性も解明されることを期待したい.

アルカロイド以外の低分子成分として,生理活性アミン(ヒスタミン,ドーパミン,チラミン),各種アミノ酸などが毒液中に検出されている(21)21) N. Tani, K. Kazuma, Y. Ohtsuka, Y. Shigeri, K. Masuko, K. Konno & H. Inagaki: Toxins (Basel), 11, E50 (2019)..生理活性アミンは,ミツバチやスズメバチといったほかの膜翅目の昆虫の毒液からも見つかっている(26)26) T. Nakajima, T. Yasuhara, N. Yoshida, Y. Takemoto, S. Shinonaga, R. Kano & H. Yoshida: Jap. J. Sanit. Zool., 34, 61 (1983)..神経伝達物質として知られる生理活性アミンは,毒液中のほかの成分と協調的に働いて,獲物の神経情報伝達系をかく乱しているのであろう.

2. アリ毒液のペプチドとタンパク質成分

アリ毒液の高分子成分であるペプチドやタンパク質にはどのようなものがあるのだろうか.Ailiらはハリアリ亜科のネオポネラ(Neoponera commutata)とデコメハリアリ亜科のデコメハリアリ(Ectatomma tuberculatum)のアリ毒液を,2次元電気泳動と質量分析の組合せによって比較・分析している(27)27) S. R. Aili, A. Touchard, J. M. Koh, A. Dejean, J. Orivel, M. P. Padula, P. Escoubas & G. M. Nicholson: J. Proteome Res., 15, 3039 (2016)..これによると,ホスホリパーゼA2,酸性ホスファターゼ,ダイペプチジルペチダーゼなど両種で共通に見られるものがある一方で,ネオポネラにあるポネリシンなど塩基性・両親媒性のα-へリックスを形成するペプチドは,デコメハリアリにはないなど種特異的なものもあった

われわれが研究対象にしているハリアリ亜科のアギトアリでは,ピロスリン様ペプチド(PLP)と名づけた9種類のペプチドが毒液の構成成分の大部分を占めていた.PLP2, 3, 6は塩基性・両親媒性のα-へリックスを形成するペプチド,PLP5, 8は酸性ペプチド,PLP4, 7は一組のジスルフィド結合でホモまたはヘテロの2量体を形成するペプチドであった.このようなジスルフィド結合で結ばれたペプチドの2量体は,キバハリアリ亜科のバンクスキバハリアリ(Myrmecia banksi)をはじめほかのアリの毒液からも見つかっているので(28)28) H. Inagaki, M. Akagi, H. T. Imai, R. W. Taylor, M. D. Wiese, N. W. Davies & T. Kubo: Arch. Biochem. Biophys., 477, 411 (2008).,アリ毒を特徴づける成分の一つなのであろう.PLPの機能はペプチドの物理的・化学的な性質の違いを反映して,PLP1, 2, 3, 6は大腸菌とブドウ球菌に対する抗菌活性,PLP4はハチ毒メリチンと匹敵するようなマスト細胞に対するヒスタミン遊離活性,PLP5は弱い溶血活性など,多様な生理活性を示した(21)21) N. Tani, K. Kazuma, Y. Ohtsuka, Y. Shigeri, K. Masuko, K. Konno & H. Inagaki: Toxins (Basel), 11, E50 (2019).

アギトアリの毒液中にはPLP以外の成分として,ホスホリパーゼA2,酸性ホスファターゼ,ダイペプチジルペチダーゼ,ヒアルロン酸分解酵素,プロテアーゼ阻害剤,フェロモン結合タンパク質,アミド化酵素,インヒビター・シスチン・ノット(Inhibitor Cystine Knot; ICK)(クモ毒のペプチド系神経毒などによく見られる構造で,40~60アミノ酸残基のペプチドが3組のジスルフィド結合によって安定化する構造をとる)様ペプチド,ベノム・アレルゲンなどのタンパク質が見つかっている.これらの成分の多くはミツバチの毒液中にもオーソログを見いだすことができるため,膜翅目の昆虫の毒液中に普遍的に存在するものなのであろう.

アリ毒液からはイオンチャネルの活性を制御するような神経毒も見つかっている.中南米に生息するサシハリアリ亜科のパラポネラ(Paraponera clavata)からはナトリウムチャネルの不活性化を阻害するポネラトキシン(Poneratoxin)が見つかっている(29)29) T. Piek, B. Hue, P. Mantel, T. Nakajima & J. O. Schmidt: Comp. Biochem. Physiol. C. Comp. Pharmacol. Toxicol., 99, 481 (1991)..このアリは「弾丸アリ」とも呼ばれ,痛みのランクづけを行った昆虫学者のジャスティン・シュミット博士によって,刺されると痛い昆虫の1位にランクづけされている(30)30) J. O. Schmidt: “The Stings of the Wild,” Johns Hopkins University Press, 2016..通常,ナトリウムチャネルは脱分極によって一過性に開口するが(不活性化),ポネラトキシンの存在下では,ナトリウムチャネルは開口し続けて活動電位の連続的な発火が起こる(31)31) S. R. Johnson, H. G. Rikli, J. O. Schmidt & M. S. Evans: Peptides, 98, 51 (2017)..そのほかにも,南米に生息するハリアリ亜科のヒメアギトアリ(Anochetus emarginatus)からはカルシュウムチャネルの活性化を抑える7種類のポネリトキシン(Poneritoxin)が見つかっている(32)32) A. Touchard, A. Brust, F. C. Cardoso, Y. K. Chin, V. Herzig, A. H. Jin, A. Dejean, P. F. Alewood, G. F. King, J. Orivel et al.: Biochim. Biophys. Acta, 1860(11 Pt A), 2553 (2016).

3. アリはどのような目的で毒液を使っているのだろうか

アリは毒液を主に攻撃と防御の目的で使っている.攻撃目的では,ほかの昆虫を狩るために毒液を使っている.防御目的では,アリの捕食者から身を守るためや,さまざまな病原性微生物からの感染リスクを軽減するために毒液を使っている.

毒液中には,毒素以外にフェロモン関連因子(フェロモン結合タンパク質),毒素保護因子(プロテアーゼ阻害剤),毒素活性化因子(ダイペプチジルペチダーゼ,アミド化酵素)なども含まれている.これらのなかには,警告や道しるべフェロモンの関連分子として使用されているものもあるが,ほとんどは毒素成分の機能を最大限に引き出すために,協調して働いているのであろう(33)33) J. R. dos Santos Pinto, E. G. Fox, D. M. Saidemberg, L. D. Santos, A. R. da Silva Menegasso, E. Costa-Manso, E. A. Machado, O. C. Bueno & M. S. Palma: J. Proteome Res., 11, 4643 (2012).

4. 今後の研究課題

アリは陸上のさまざまな環境に適応し,その生態は極めて多様化している.食性一つとっても,昆虫を狩り餌とする動物食,植物の種子を餌とする植物食,キノコを栽培し餌とするキノコ食など,極めて多様化している.このような多様化した生態を維持するために,アリは毒をわれわれがまだ知らない特殊な目的で利用しているのだろう.今後,さまざまなアリの生態を毒と関連づけて物質レベルで解明していきたい.

ヤマカガシ属ヘビが利用する防御物質(森 直樹,森 哲)

毒をもつ生物といえば,真っ先にヘビを思い浮かべる人は多いだろう.この場合,毒とは餌を食べる際に利用する捕食用の毒である.マムシやコブラのイメージも,紛れもなく捕食用の毒に由来する.ところが,意外なことに捕食用の毒に加えて,防御用の毒を別にもつ変わり者のヘビもいる.これが,本章の主役,ヤマカガシである(図5A図5■ヤマカガシの成体(A)およびデュベルノワ腺と頸腺35) (B)).

図5■ヤマカガシの成体(A)およびデュベルノワ腺と頸腺35) (B)

ヤマカガシは有鱗目ナミヘビ科ヤマカガシ属に分類され,成長すると体長が60~120 cmほどになる.本州,四国,九州の山林や水田域に生息し,アオダイショウやシマヘビとともに日本でよく見られるヘビである.ヤマカガシの体色は地理的変異が大きく,暗褐色をベースに体側面の赤や黒のまだら模様が美しい関東個体群,体側面のまだら模様が不明瞭な関西個体群,そして全体的に青味がかった色彩型が多い中国地方の個体群などさまざまで,体色で判別するのは難しい.主にトノサマガエルやアマガエルといった両生類やドジョウを含む淡水魚を捕食し,時々ヒキガエルも捕食する.一方,イヌワシやサシバなどの猛禽類がヤマカガシの天敵であり,野外で哺乳類に捕食された報告はほとんどない.

ヤマカガシは上顎の奥にデュベルノア腺という器官をもち,捕食用の毒を生合成・蓄積している(図5B図5■ヤマカガシの成体(A)およびデュベルノワ腺と頸腺35) (B)下).ヘビの場合,捕食用の毒はタンパク質やペプチドである.ヤマカガシの捕食用の毒は後牙を経由して獲物に注入され,飲み込むのに苦労する大きな餌を弱らせるために使用していると考えられている.

1. ヤマカガシの防御物質,ブファジエノライド類

興味深いことに,ヤマカガシには頸腺と呼ばれる毒器官がある(図5B上).ヤマカガシを注意深く観察すると,頭部後方の背中に隆起が見られる.この部分の皮膚をはがして,皮膚の裏側を見ると,きれいに2列に並んだ器官が張りついている.これが「頸腺」と呼ばれる器官である.ヤマカガシが天敵の猛禽類に襲われ,くちばしで頸部を攻撃されたり,足で頸部をつかまれたりすると,頸腺の細胞が破れ毒液が飛び散る仕掛けになっていると考えられる.飛び散った毒液が目に入ると,人間でも一時的な失明状態になるほど,強い毒性を示す.

1985年,ヤマカガシの頸腺に含まれる毒の本体はブファジエノライド型のステロイド成分であると報告された(34)34) T. Akizawa, T. Yasuhara, R. Kano & T. Nakajima: Biomed. Res., 6, 437 (1985)..すなわち,ヤマカガシの頸腺に含まれる毒成分は,ヒキガエルの皮膚腺から分泌される毒成分と同じグループの化学物質であるだけでなく,その一部はヒキガエルの物質と全く同一であった(図6図6■ヒキガエルおよびヤマカガシ頸腺から同定された共通成分(gamabufotalin)の構造(左)とステロイドの基本骨格(右)).構造上の特徴として,ステロイドのA/B環がcis結合(5β型),C/D環もcis結合で,ステロイド骨格の3位,14位にはβ-ヒドロキシ基,17位にβ-置換基がある.17位の置換基は6員環の不飽和ラクトンである.名前の由来からわかるように,ブファジエノライド類は,最初にヒキガエル(Bufo属)がもつ耳腺の分泌物中から同定された化合物群である.ヒキガエルでは,主要なブファジエノライド型ステロイドがジカルボン酸とアルギニンとの抱合体として,またごく一部が遊離体として同定されている.さらに,ヒキガエルが生息しない金華山(宮城県牡鹿半島沖)から捕獲したヤマカガシの頸腺にはブファジエノライド類がないこと,および飼育下でヒキガエルを給餌することにより頸腺にブファジエノライドが溜まることを筆者の一人は確認し,ヤマカガシはヒキガエルを捕食することで,ヒキガエルの毒成分であるブファジエノライド型のステロイドを得て,3位の側鎖を加水分解した形で頸腺に蓄積していると結論した(35~37)35) D. A. Hutchinson, A. Mori, A. H. Savitzky, G. M. Burghardt, X. Wu, J. Meinwald & F. C. Schroeder: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 2265 (2007).37) A. Mori, G. M. Burghardt, A. H. Savitzky, K. A. Roberts, D. A. Hutchinson & R. C. Goris: Chemoecology, 22, 187 (2012).

図6■ヒキガエルおよびヤマカガシ頸腺から同定された共通成分(gamabufotalin)の構造(左)とステロイドの基本骨格(右)

一方,17位の置換基が5員環の不飽和ラクトン環の類縁体も知られており,カルデノライド型ステロイドに分類される.カルデノライド型のステロイドは配糖体としてジギタリス(ゴマノハグサ科)の植物などに含まれている.また,ユリ科やキンポウゲ科などの一部の植物には6員環のブファジエノライド型が報告されていることも追記しておく(38)38) 秋久俊博ら:“資源天然物化学”,共立出版株式会社,2008, p. 257.

これらのブファジエノライド類およびカルデノライド類は古くから医薬や矢毒として用いられており,中国では古くからシナヒキガエルの分泌物を製剤化したものをセンソと称して,強心,鎮痛などに用いられてきた.センソの主成分は,3位の側鎖が加水分解されたブファリンやレジブフォゲニンである.実際に,ブファジエノライド類は心筋に特異的に作用して,うっ血性心不全に顕著な効果(強心作用)を示す.細胞膜に存在するNa/KATPaseを阻害することで心筋細胞内のカルシウムイオン濃度を増加させ,心筋の収縮力を増大させるのである.

2. イツウロコヤマカガシの頸腺蓄積物質

現在,ヤマカガシと同じような頸腺をもつヘビは世界中にヤマカガシ属17種で知られており,インド,スリランカなどの南アジアから,中国や日本,東南アジアにかけてのアジア地域にのみ分布する.そのうちの一種イツウロコヤマカガシは中国南西部に分布するヘビで,その主食はカエルなどの両生類ではなく,ミミズである.興味深いことに,ミトコンドリアおよび核DNAによる系統樹から,ヤマカガシ類のヘビでは,主食がカエルからミミズへ変遷したと推測された(39)39) H. Takeuchi, A. H. Savitzky, L. Ding, A. de Silva, I. Das, T. T. Nguyen, T.-S. Tsai, T. Jono, G.-X. Zhu, D. Mahaulpatha et al.: Ecol. Evol., 8, 10219 (2018).

それでは,このイツウロコヤマカガシの頸腺にはどのような毒が蓄積されているのだろうか? 筆者らは中国の四川省へ出向き,イツウロコヤマカガシを捕獲し,その頸腺抽出物をサンプリングした.得られたサンプルを日本へ持ち帰り,分析した.その結果は,驚くものだった.すなわち,イツウロコヤマカガシの頸腺からブファジエノライド類4種が検出され,NMR解析で構造の詳細を調べると,4種すべてがA/B環がtrans結合であり,そのうち一つはキシロース配糖体であった(Yoshidaら,投稿中).これらの事実は,イツウロコヤマカガシのブファジエノライドの起源がヒキガエル由来ではないことを明確に語っている.前述のように,ヒキガエル由来のブファジエノライド類ではすべてA/B環がcis結合であり,trans結合は全く報告されておらず,糖と結合した配糖体も知られていないのである.無論,餌であるミミズにはブファジエノライド類は検出されない.

そこで,論文を精査したところ,ヒキガエルだけでなくマドボタル亜科に属するホタルからもブファジエノライド類が同定されており,そのA/B環についてはcis結合だけでなく,trans結合の報告もあった(40)40) J. Meinwald, D. F. Wiemer & T. Eisner: J. Am. Chem. Soc., 101, 3055 (1979)..さらに,マドボタル亜科に属するLucidota atraからは3位にキシロースが結合したブファジエノライドも報告されていた(40~42)40) J. Meinwald, D. F. Wiemer & T. Eisner: J. Am. Chem. Soc., 101, 3055 (1979).42) T. Eisner, M. A. Goetz, D. E. Hill, S. R. Smedley & J. Meinwald: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 9723 (1997).

この化学的な知見を得た後,飼育下においてイツウロコヤマカガシがマドボタル亜科の1種を捕食することを確認した.さらに,野外で採集した個体の胃の内容物を吐き出させ,食べていたものを調べるとマドボタル亜科のホタルが確認できた.同時に,中国に生息する6種のホタルの化学分析を行い,マドボタル亜科2種がブファジエノライド類をもつことを確かめた.ヘビがホタルを食べるという発見は,今回の報告が初めてである.

3. ヤマカガシ属ヘビの防御物質の進化的考察

以上のことから,ヤマカガシ属ヘビ類内でのイツウロコヤマカガシの進化の過程で何らかの理由によってカエル食からミミズ食への食性変化が起こり,それまでブファジエノライド源として利用していたヒキガエルから新たにマドボタル亜科のホタルを毒源として利用するようになったという予想もしなかった事実が発見された(Yoshidaら,投稿中)(図7図7■ヤマカガシとイツウロコヤマカガシにおける強心性ブファジエノライドの摂取源と主食の変化).本研究をきっかけとしてヘビの生態研究および動物の食性進化の研究に新たな視点を提供できたと考えている.

図7■ヤマカガシとイツウロコヤマカガシにおける強心性ブファジエノライドの摂取源と主食の変化

この成果は,実験室内での有機化学的研究と屋外での生態学的フィールドワークが結びついたことによって初めて可能になった.まさに学際領域の研究成果であり,化学生態学の大きな魅力の一つである.今後も,学際研究を発展させ,この毒源の移行がどのようなメカニズムや過程で生じて,進化してきたのかをさらに追求していく予定である.

おわりに

生物が作り出す毒をテーマに,貝毒,アリ毒,ヘビの防御物質について最新の研究成果を紹介した.特に,生合成・代謝経路,活性発現における化学物質の相互作用や生物同士のかかわり合いの観点を積極的に導入したつもりである.

貝毒では,麻痺性貝毒,下痢性貝毒,記憶喪失性貝毒にかかわる複雑な化合物の構造を明らかにしたうえで,海産性プランクトンにおけるその生合成過程,二枚貝の中腸腺にて進行する脂肪酸縮合反応,珪藻による化合物の変換等の具体的な視点を加え,化合物の動的な側面から貝毒について解説いただいた.アリ毒では,さまざまな環境に適応した社会性昆虫のアリが低分子から高分子に至る毒素だけでなく,毒素保護因子や毒素活性化因子を持つことも紹介していただいた.これらの分子が協調しながら,毒素の効果を最適化しているメカニズムの解明が,今後期待される.また,ヘビの防御物質の起源がヒキガエルからホタルに変遷したという,研究者自身も予想もしなかった発見についても紹介し,自然生態系における生物のかかわり合いの奥深さを垣間見ていただいた.

このように生物の毒研究は,多種多様な生物が競合・共生しながら構成する自然生態系の成り立ちや,生物間における化学物質のやり取りについても教えてくれる.これがラボでの化学実験からフィールドでの生態調査まで幅広い領域にわたる研究が必要な化学生態学の魅力である.この魅力が若い読者に伝われば幸いである.

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