解説

動物体内時計のヘムおよびCOシグナル,NOシグナルによるリズム調節体内時計と代謝のクロストーク

Regulation of Mammalian Circadian Rhythm by Heme, CO and NO Signaling

Ikuko Sagami

佐上 郁子

京都府立大学大学院生命環境科学研究科

Published: 2019-03-01

体内時計は,バクテリアから哺乳類までほとんどの生物に内在する24 時間周期で振動する生命維持システムである.哺乳動物では,ポジティブ因子(CLOCK, NPAS2とBMAL1)による標的時計遺伝子の転写活性化と,その翻訳産物のネガティブ因子(PERやCRY)によるフィードバック阻害によってコア時計リズムが形成されると考えられている.時計リズムは,さらに種々の制御因子や翻訳後修飾によって複雑に制御され,その結果多くの生命機能に反映される.近年これらの時計制御因子のいくつかはヘムを結合するタンパク質であることが明らかになってきた.そこで,ここではヘムあるいはヘムを介したCOシグナルやNOシグナルによる体内時計の調節について紹介する.

はじめに

体内時計は,ほとんどすべての生物に備わっており,地球の自転や公転により生じる約24時間の周期的な環境変化に対応して生物の生理学的プロセスや行動の最適化をはかっている.その体内時計は,(1)自律的に約24時間のリズムを刻むが,(2)光などの情報を取り入れて時刻をリセットすることができ(同調能),(3)そのリズムはさまざまな環境下でも安定で温度変化にほとんど影響を受けない(温度補償)という特徴をもつ(1)1) N. Koike, S. H. Yoo, H. C. Huang, V. Kumar, C. Lee & J. S. Takahashi: Science, 338, 349 (2012)..これらの特徴はヒトをはじめとする哺乳動物でもすべての個々の細胞の体内時計で保持されている.哺乳動物では,主要時計が脳中央の視床下部にある視交叉上核(SCN)に存在し,目の網膜で受けとった外界の日夜の光情報に応じて同調し約24時間サイクルでリズムを刻む.さらにこの主要時計は肝臓や心臓などの体内の周辺組織の体内時計を同調させ,この時計機構が睡眠や摂食,体温変動,ホルモン分泌,そして代謝といった多くの重要な生命活動を管理している.

分子レベルでは,体内時計の基盤は一群の時計遺伝子や時計タンパク質が生み出す転写—翻訳フィードバックループによる約24時間周期の発現変動であることわかっている(2)2) C. L. Gustufson & C. L. Partch: Biochemistry, 54, 134 (2014)..2017年のノーベル生理学・医学賞は,この体内時計を生み出す時計遺伝子とそのメカニズムの発見に対して3研究者に贈られた.図1図1■体内時計の転写—翻訳のフィードバックループに示すように,コア時計制御因子CLOCKやNPAS2は,BMAL1とのヘテロダイマーを形成し,Per1, 2, 3)やCry1, 2)などの標的時計遺伝子上流のE-box(CACGTG)に結合し転写活性化を行う.その翻訳産物であるPERやCRYタンパク質は,時間とともに蓄積してくると細胞質から核へ移行し自身の遺伝子の転写をフィードバック阻害する.その後PERやCRYタンパク質が分解により減少すると再びE-boxを介した転写活性化が起き新たに24時間のサイクルがスタートする.さらにCLOCK, NPAS2, BMAL1は核内レセプターROR(α, β, γ)やREV-ERB(α, β)の遺伝子発現を制御するが,一方でこれらの時計制御因子の発現はRORやREV-ERBによってもそれぞれ促進あるいは抑制的に制御されている.時計遺伝子の転写–翻訳による発現振動に加えて,リン酸化などの翻訳後修飾によって時計タンパク質の活性,安定性,寿命や局在などが制御され時計リズムを強固なものとしている(1)1) N. Koike, S. H. Yoo, H. C. Huang, V. Kumar, C. Lee & J. S. Takahashi: Science, 338, 349 (2012)..これらの時計タンパク質のなかのいくつかはヘムを結合することが明らかになり,ヘムおよびヘムを介したCOシグナルやNOシグナルによる体内時計の制御が注目されている(3)3) T. Shimizu, D. Huang, F. Yan, M. Stranava, M. Bartosova, V. Fojtíková & M. Martínková: Chem. Rev., 115, 6491 (2015).

図1■体内時計の転写—翻訳のフィードバックループ

CLOCK, NPAS2, BMAL1, RORは,促進因子として働き,PERやCRY, REV-ERBは抑制因子として働く.これらの制御因子のなかで,CLOCK, NPAS2, PER2やREV-ERB α, βは,ヘム結合が報告されている.

ヘム,CO, NOの生合成と分解

ヘムは,ヘモグロビンやシトクロームなどのヘムタンパク質の補欠分子としてまた重要なシグナル分子として生体内で多様な機能をもつ.一方で,ヘムの過剰は活性酸素(ROS)生成による酸化ストレスの原因となりDNA損傷やタンパク質の異常蓄積や分解などにかかわるため,生体内のヘムの生合成と分解は厳密に調節されている(図2図2■ヘム生合成・代謝と時計).細胞内でのヘム合成の律速酵素はδアミノレブリン酸合成酵素(ALAS-1, 2)で,Alas-1遺伝子の発現はNPAS2/BMAL1によって制御され日周変動している(4)4) K. Kaasik & C. C. Lee: Nature, 430, 467 (2004)..さらにNpas2Bmal1遺伝子の転写はREV-ERBによって抑制され,REV-ERBの安定性はヘムの結合で変動する(5)5) X. Zhao, H. Cho, R. T. Yu, A. R. Atkins, M. Downes & R. M. Evans: EMBO Rep., 15, 518 (2014)..またALAS-1のアクチベーターであるPGC-1の発現は,REV-ERBによって抑制的に制御され,したがってヘムによって調節される.

図2■ヘム生合成・代謝と時計

ヘムの生合成と分解は体内時計に制御されるが,逆にヘムはフィードバック的に時計制御因子の機能を調節する.

一方,ヘムはヘムオキシゲナーゼ(HO-1, 2)によってCOとビリベルジンとFe2+に分解される(図2図2■ヘム生合成・代謝と時計).HO活性は日周変動し昼より夜の方が高い(6)6) M. F. Rubio, P. V. Agostino, G. A. Ferreyra & D. A. Golombek: Neurosci. Lett., 353, 9 (2003)..そのHo-1遺伝子の発現は転写因子BACH-1によって抑制的に制御されており,BACH-1へのヘム結合はDNA結合活性を阻害するとともにプロテアソーム依存性の分解も促進し,その結果Ho-1遺伝子発現の脱抑制を引き起こす(7)7) K. Igarashi & M. Watanabe-Matsui: Tohoku J. Exp. Med., 232, 229 (2014)..最近Klemzらは,Ho-1遺伝子のノックアウト(Ho-1−/−)マウス由来の線維芽細胞では,Per2Rev-erbαなどのCLOCK(NPAS2)/BMAL1の標的遺伝子の発現は増加しREV-ERBの標的遺伝子であるBmal1は減少するが,CO処理によってこれらの効果は軽減することを示した(8)8) R. Klemz, S. Reischl, T. Wallach, N. Witte, K. Jürchott, S. Klemz, V. Lang, S. Lorenzen, M. Knauer, S. Heidenreich et al.: Nat. Struct. Mol. Biol., 24, 15 (2017)..さらにHo-1, Ho-2の両方の遺伝子の機能的発現を阻害すると,コア時計制御遺伝子だけでなく,時計転写因子の標的となる糖新生,糖代謝にかかわる遺伝子を含む多くの遺伝子の発現にも影響を与えた.一方,COに特異的に結合するhemoCD1をマウスに腹腔内投与して生体内のCO濃度を減少させると,肝臓のCLOCK/BMAL1およびNPAS2/BMALのDNA結合量が有意に減少し,肝臓のPer1, Per2, Cry1Cry2の発現が顕著に増加した(9)9) S. Minegishi, I. Sagami, S. Negi, K. Kano & H. Kitagishi: Sci. Rep., 8, 11996 (2018)..これらの結果は,体内時計はヘムの生合成と分解を制御する一方で,ヘムそしてその代謝物のCO自体が体内時計に影響を与え,結果として細胞の糖新生,糖代謝などの代謝過程を調節していることを示している.

NOは,血管拡張や神経可塑性などの調節にかかわる重要なシグナル伝達物質で,一酸化窒素合成酵素(NOS)によってArgから生合成される.SCNでは,NOSの発現は日周変動することが知られており,夜間に高い活性を示す.NOは,NOS自身をはじめとする多くのヘムタンパク質のヘム鉄に結合し機能を調節する.たとえば血管内皮で生成したNOは,可溶性グアニル酸シクラーセのFe2+ヘムに結合して活性化する.それによって細胞内のcGMP生成を促進し,その結果血管拡張を引き起こす.また,NOは,COと異なり,ヘム鉄への結合ばかりでなくタンパク質のTyr残基へのニトロ化やCys残基のニトロシル化などでもタンパク質の機能を制御することが知られている(3)3) T. Shimizu, D. Huang, F. Yan, M. Stranava, M. Bartosova, V. Fojtíková & M. Martínková: Chem. Rev., 115, 6491 (2015).

コア時計制御因子へのヘムの結合とCO, NOの配位

1. CLOCKとNPAS2

時計制御因子の中で最初にヘムの結合が報告されたのは,CLOCKのパラログとして見つかったNPAS2である(10)10) M. Reick, J. A. Garcia, C. Dudley & S. L. McKnight: Science, 293, 506 (2001)..NPAS2は,SCNやそのほかのほとんどの細胞に存在し,CLOCKと同様にBMAL1とヘテロダイマーを形成して時計遺伝子のE-boxに結合し体内時計を制御する.CLOCKのノックアウトマウス(Clock−/−)が野生型に比べて周期が短くなるものの日周リズムを維持できることから,NPAS2はSCNでも肝臓などの周辺組織でもCLOCKの機能を相補できると考えられる(11, 12)11) J. P. DeBruyne, D. R. Weaver & S. M. Reppert: Nat. Neurosci., 10, 543 (2007).12) D. Landgraf, L. L. Wang, T. Diemer & D. K. Welsh: PLOS Genet., 12, e1005882 (2016)..一方で,NPAS2機能を阻害したマウスは夜間に異常な睡眠パターンを示し摂食スケジュールの変化に順応できず,Clock−/−マウスをさらにNPAS2機能阻害(つまりはCLOCK/NPAS2ダブル機能阻害)したマウスは日周リズムが維持できないということがわかってきた(13)13) C. A. Dudley, C. Erbel-Sieler, S. J. Estill, M. Reick, P. Franken, S. Pitts & S. L. McKnight: Science, 301, 379 (2003)..こうした結果は,CLOCKが光によるSCNの主要体内時計の制御にかかわり,NPAS2が摂食やホルモンなどによって制御されるリズムにかかわる,というモデルを示唆するが,そのメカニズムの全容,およびCLOCKとNPAS2の体内時計制御での働きの違いの詳細などはいまだ不明な点が多い.

CLOCK, NPAS2, BMAL1は,低酸素誘導因子HIF-1やダイオキシン受容体AHRやその核輸送体ARNTなどと同様に,basic helix loop helix-Per Arnt Sim(bHLH-PAS)ファミリーに属する転写因子である(図3図3■コア時計制御因子のPAS構造).約50アミノ酸からなるbHLHドメインは,4~6個の塩基性アミノ酸と2つのαヘリックスとそれをつなぐループ部分を含み,DNA結合部位を形成する(図4図4■bHLH-PASドメインの高次構造).PASドメインは,Per Arnt Simに共通する5本鎖のβシーツと中央のαヘリックスからなるカゴのような高次構造から名付けられ,ホモダイマー形成やほかのタンパク質とのヘテロダイマー形成に重要である.CLOCKとNPAS2は,それぞれ約110個のアミノ酸からなるPASAとPASBの2つのドメインを含み,ドメイン間で高い相同性を示す.それぞれホモダイマーでもE-boxに結合するが,BMAL1とヘテロダイマーを形成してDNAに結合した場合のみ転写活性化能をもつ.活性型のヘテロダイマーの形成とDNA結合活性は,NAD(P)Hによって活性化される(14, 15)14) J. Rutter, M. Reick, L. C. Wu & S. L. McKnight: Science, 293, 510 (2001).15) K. Yoshii, F. Tajima, S. Ishijima & I. Sagami: Biochemistry, 54, 250 (2015).

図3■コア時計制御因子のPAS構造

CP: Cys-Pro heme recognition motif, CBD: CRY-binding domain, TAD: Transactivation domain, HAT: Histone acetyltransferase

図4■bHLH-PASドメインの高次構造

(A)ヒトCLOCK bHLH/BMAL1 bHLH/DNAの結晶構造緑:CLOCK bHLH, 青: BMAL1 bHLH, ピンク:E-box (CACGTG) (PDB: 4H10)(B)大腸菌酸素センサーEc-DOSのPASドメイン構造(PDB: 1V9Y)とNPAS2 PASAドメインのホモロジーモデリング水色・緑:Ec-DOSのPASダイマー,青スティック:ヘム,ピンク:NPAS2 PASA, His76/Met94: Ec-DOSのヘム軸配位子,His119/His171: NPAS2のヘム軸配位子(C)マウスCLOCK/BMAL1の結晶構造(PDB: 4F3L)緑: CLOCK bHLH PASA/B, 青:BMAL1 bHLH PASA/B, 緑:CLOCK, 青:BMAL1, 赤:NPAS2軸配位子His119/His171にそれぞれ相当するCLOCKのHis144/His196

NPAS2は,PASA, PASBドメインにそれぞれ1 : 1でヘムを結合し,Fe2+-ヘムへのCO結合によってNPAS2/BMAL1ヘテロダイマーのDNA結合活性が阻害される(16)16) E. M. Dioum, J. Rutter, J. R. Tuckerman, G. Gonzalez, M. A. Gilles-Gonzalez & S. L. McKnight: Science, 298, 2385 (2002)..NPAS2 PASAのFe2+ヘムはPASBのFe2+ヘムに比べ約10倍COと結合しやすいため,COセンサーとしてはPASAドメインが主に機能していると考えられている.そこでわれわれはNPAS2のPASAタンパク質あるいはbHLH-PASAタンパク質を大腸菌発現系を用いて精製し,ヘムの結合状態をUV-Visスペクトル,共鳴ラマンスペクトルを用いて解析おこなった.その結果,酸化型Fe3+ヘム結合型のPASAタンパク質では主にHis119/Cys170を軸配位子とする六配位構造をとるが,bHLH-PASAタンパク質ではHis119/His171が軸配位子となることから,bHLHとPASAドメイン間の相互作用が示唆された(17, 18)17) T. Uchida, T. Uchida, E. Sato, A. Sato, I. Sagami, T. Shimizu & T. Kitagawa: J. Biol. Chem., 280, 21358 (2005).18) T. Uchida, I. Sagami, T. Shimizu, K. Ishimori & T. Kitagawa: J. Inorg. Biochem., 108, 188 (2012)..また還元型Fe2+ヘム結合型は六配位構造で軸配位子はHis119/His171であることがわかった.したがって,Fe2+ヘムへのCOの結合時にはおそらく動きやすいHis171がCOと置き換わりセンサードメインの構造が変わると考えられる.NPAS2の活性とヘムについて解析したところ,NPAS2 bHLH-PASA野生型のBMAL1とのヘテロダイマー形成やそのDNA結合活性は,ヘムの結合の有無やヘム鉄の酸化還元状態(Fe2+, Fe3+)によって変化しなかった(19)19) M. Ishida, T. Ueha & I. Sagami: Biochem. Biophys. Res. Commun., 368, 292 (2008).図5図5■マウスNPAS2 PASAヘムセンサードメインの構造とDNA結合/転写活性).さらに変異体解析から,H119A変異体とH171A変異体はいずれもDNA結合活性が消失し,一方でC170A変異体の活性は野生型と変わらなかった.COの効果は,PASAドメイン内のHis, Cysを含む多数の変異体が野生型と同様にCOによって活性が阻害されるのに対し,C170A変異体のみがCO応答性を示さなかった.以上の結果は,ヘムの軸配位子近傍の構造がNPAS2のDNA結合活性の制御に重要で,COのヘムへの結合で誘起されたPASAドメインの立体構造変化はbHLHドメインへ伝達されDNA結合活性に影響を与えることを示している.加えて,動物培養細胞を用いたNPAS2依存的な転写活性に対してもヘムの効果,COの効果,PASAドメインの変異の効果がDNA結合活性に対するのと同様にみられたことから,実際の細胞内でもNPAS2はヘムを結合しCOセンサーとして働いていると考えられる.

図5■マウスNPAS2 PASAヘムセンサードメインの構造とDNA結合/転写活性

NOはCOと同様にNPAS2の還元型へムに結合するが(3)3) T. Shimizu, D. Huang, F. Yan, M. Stranava, M. Bartosova, V. Fojtíková & M. Martínková: Chem. Rev., 115, 6491 (2015).,NO添加によって野生型のDNA結合活性はむしろ増加した(未発表).さらに,NOが結合していないFe3+ヘムのNPAS2でもNOによるDNA結合活性の増加が観察されたことから,NOの効果にNPAS2ヘム鉄への結合は関与しないと考えられる.この結果は,NPAS2のDNA結合活性は,COシグナルとNOシグナルを介して,それぞれ異なる機構によって制御されることを示唆している.

CLOCKについては,大腸菌で発現し精製したCLOCK bHLH-PASAへのFe3+ヘムの結合はNPAS2と同様に六配位構造を取ることが示唆された(20)20) G. S. Lukat-Rodgers, C. Correia, M. V. Botuyan, G. Mer & K. R. Rodgers: Rodgers: Inorg. Chem., 49, 6349 (2010)..ごく最近FreemanらによってNPAS2のHis119に相当するHis144がCLOCK bHLH-PASA(Fe3+ヘム)の軸配位子の一つであることが報告されたが(21)21) S. L. Freeman, H. Kwon, N. Portolano, G. Parkin, G. U. Venkatraman, J. Basran, A. J. Fielding, L. Fairall, D. A. Svistunenko, P. C. E. Moody et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 116, 19911 (2019).,もう一方の軸配位子はまだ特定されていない.また,彼らは,ヘムの結合していない(アポ)CLOCK bHLH-PASAのホモダイマーのDNA結合活性は,ヘムの添加によって阻害されると報告した.これに対して,われわれは,CLOCK bHLH-PASAのBMAL1 bHLH-PASAとのヘテロダイマー形成やヘテロダイマーのDNAの結合活性はヘムの結合やヘム鉄へのCO結合によってほとんど変化しないという結果を得ている(未発表).これはCLOCKのCOのヘム鉄への親和性(Kdca. 0.1 mM at 22°C)(20)20) G. S. Lukat-Rodgers, C. Correia, M. V. Botuyan, G. Mer & K. R. Rodgers: Rodgers: Inorg. Chem., 49, 6349 (2010).が,NPAS2の場合(Kd=1–2 μM at 25°C)(13)13) C. A. Dudley, C. Erbel-Sieler, S. J. Estill, M. Reick, P. Franken, S. Pitts & S. L. McKnight: Science, 301, 379 (2003).に比べて低いことを反映しているかも知れない.さらに,動物細胞にNPAS2あるいはCLOCKをBMAL1と共発現させるといずれも核に局在して発現するがNPAS2/BMAL1共発現のときのみ核がヘム染色で染まる(22)22) R. Itoh, K. Fujita, A. Mu, D. H. T. Kim, T. T. Tai, I. Sagami & S. Taketani: FEBS Lett., 587, 2131 (2013)..以上の結果はNPAS2は細胞核で実際にヘムを結合しヘムあるいはヘムを介した体内時計の制御に関与しうることを示唆しているが,一方でCLOCKについては核内でヘムと結合しているかどうかは不確かで今後さらに解析が必要である.

これまでに,NPAS2の結晶構造はヘムの結合していないアポ型,結合しているホロ型ともに報告されていない.それに対して,CLOCKとBMAL1のbHLH-PASA, Bヘテロダイマーの結晶構造(23)23) N. Huang, Y. Chelliah, Y. Shan, C. A. Taylor, S. H. Yoo, C. Partch, C. B. Green, H. Zhang & J. S. Takahashi: Science, 337, 189 (2012).,およびE-box DNAに結合したCLOCKとBMAL1のbHLHヘテロダイマーの構造が解析されている(24)24) Z. Wang, Y. Wu, L. Li & X. D. Su: Cell Res., 23, 213 (2013).図4図4■bHLH-PASドメインの高次構造).さらに,ごく最近,CLOCKのPASAホモダイマーの結晶構造(21)21) S. L. Freeman, H. Kwon, N. Portolano, G. Parkin, G. U. Venkatraman, J. Basran, A. J. Fielding, L. Fairall, D. A. Svistunenko, P. C. E. Moody et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 116, 19911 (2019).も報告されたが,いずれもヘムの結合していないアポ型CLOCKである.これらCLOCKのPASAドメインはこれまで報告されたほかのPASタンパク質によく似た構造をしている(3)3) T. Shimizu, D. Huang, F. Yan, M. Stranava, M. Bartosova, V. Fojtíková & M. Martínková: Chem. Rev., 115, 6491 (2015)..しかし,CLOCKやNPAS2は,バクテリアの酸素センサーFix-LやEc-DOSと同様にHisを軸配位子とするが,PASドメイン内の予想されるヘムの結合位置は,Fix-LやEc-DOSなどのPASドメインへのヘムの結合位置と異なっている.Fix-LやEc-DOSのPASセンサードメインはタンパク質のN端側に存在し,Fe2+ヘムへのO2の結合あるいは解離によってPASドメインの高次構造が変化し,その情報がC端側にあるエフェクタードメインへ伝達されそれぞれキナーゼ活性やホスホジエステラーゼ活性を調節する(3)3) T. Shimizu, D. Huang, F. Yan, M. Stranava, M. Bartosova, V. Fojtíková & M. Martínková: Chem. Rev., 115, 6491 (2015)..一方で,CLOCKやNPAS2では,PASセンサードメインの構造変化は,タンパク質N端側のbHLHドメインへ影響を与えDNA結合活性を制御する.これらのセンサードメインのヘムの結合位置は,それぞれの情報伝達ドメインとのドメイン間相互作用の違いを反映していると考えられる.

2. PER

ヘムは,またPER1やPER2のPASドメインにも結合することが報告されている(25, 26)25) K. Kitanishi, J. Igarashi, K. Hayasaka, N. Hikage, I. Saiful, S. Yamauchi, T. Uchida, K. Ishimori & T. Shimizu: Biochemistry, 47, 6157 (2008).26) K. Hayasaka, K. Kitanishi, J. Igarashi & T. Shimizu: Biochim. Biophys. Acta, 1814, 326 (2011)..PER2は,2つのPASドメインだけでなく,さらにC端側にCys-Pro(CP)モチーフを含むもう一つのヘム結合サイトを持っている(27)27) J. Yang, K. D. Kim, A. Lucas, K. E. Drahos, C. S. Santos, S. P. Mury, D. G. S. Capelluto & C. V. Finkielstein: Mol. Cell. Biol., 28, 4697 (2008).図3図3■コア時計制御因子のPAS構造).PASドメインへはFe3+ヘムあるいはFe2+ヘムいずれも結合するが,Fe3+ヘムの結合ではCysを軸配位子の一つとする六配位構造をとる.また,アポ型PER2 PASAとホロ型NPAS2 bHLH PASAを共存させるとヘムがNPAS2からPER2へ移動することから,それによってNPAS2の機能を制御しているのではないかと示唆されている.しかし,PER2 PASドメインへのヘムの結合は非特異的であるとの報告(28)28) M. V. Airola, J. Du, J. H. Dawson & B. R. Crane: Biochemistry, 49, 4327 (2010).もあり,in vivoでの有意性についてはさらなる解析が必要である.一方,CPモチーフのCys(ヒトPER2ではCys841)には酸化型Fe3+ヘムのみ結合し,ヘムの結合はin vivoでPER2タンパク質の分解を促進しCRYとの結合を阻害する(27)27) J. Yang, K. D. Kim, A. Lucas, K. E. Drahos, C. S. Santos, S. P. Mury, D. G. S. Capelluto & C. V. Finkielstein: Mol. Cell. Biol., 28, 4697 (2008)..したがって,PER2のCPモチーフへのヘムの結合は細胞の酸化還元センサーとして働き,タンパク質の安定性を制御することによって体内時計に影響を与えると考えられる.

3. REV-ERB

体内時計のコアループを形成するREV-ERBは,核内レセプターファミリーに属し,時計遺伝子の発現に対してネガティブな制御因子として働く.REV-ERBは,Fe3+ヘムとC端側のリガンド結合ドメイン(LBD)に1 : 1で結合し,ヒトREV-ERBβの場合Cys384とHis568が内部軸配位子である(29~32)29) S. Raghuram, K. R. Stayrook, P. Huang, P. M. Rogers, A. K. Nosie, D. B. McClure, L. L. Burris, S. Khorasanizadeh, T. P. Burris & F. Rastinejad: Nat. Struct. Mol. Biol., 14, 1207 (2007).30) E.-J. Woo, D. G. Jeong, M. Y. Lim, K. S. Jun, K. J. Kim, S. M. Yoon, B. C. Park & R. Eon: J. Mol. Biol., 373, 735 (2007).31) K. I. Pardee, X. Xu, J. Reinking, A. Schuetz, A. Dong, S. Liu, R. Zhang, J. Tiefenbach, G. Lajoie, A. N. Plotnikov et al.: PLoS Biol., 7, e43 (2009).32) E. Matta-Camacho, S. Banerjee, T. S. Hughes, L. A. Solt, Y. Wang, T. P. Burris & D. J. Kojetin: J. Biol. Chem., 289, 20054 (2014).図6図6■(A)ヒトREV-ERBのドメイン構造).還元型Fe2+ヘムの結合では,Cys384の配位がはずれて,His568を軸配位子とする五配位構造あるいはHis568とまだ未特定の中性アミノ酸残基を軸配位子とする六配位構造の混合となる.Cys384はCys374とジスルフィド結合をしヘムの親和性を下げる.さらに還元型Fe2+ヘムには,NOやCOが結合し六配位構造をとる(図7図7■ヒトREV-ERBβのヘムセンサードメインの構造と抑制活性).実際に,ヘム存在下で動物培養細胞にREV-ERBαを発現させると,NPAS2/BMAL1共発現のときと同様に核のヘム染色が顕著に増加することから,in vivoでもREV-ERBはヘムと結合し核に局在すると考えられる(22)22) R. Itoh, K. Fujita, A. Mu, D. H. T. Kim, T. T. Tai, I. Sagami & S. Taketani: FEBS Lett., 587, 2131 (2013)..また,REV-ERBの機能に対するヘム結合の効果については,当初のin vitroの結果と異なり(31)31) K. I. Pardee, X. Xu, J. Reinking, A. Schuetz, A. Dong, S. Liu, R. Zhang, J. Tiefenbach, G. Lajoie, A. N. Plotnikov et al.: PLoS Biol., 7, e43 (2009).in vivoでヘム結合はむしろ完全長のREV-ERBβとコリプレッサーNCoR1の相互作用を阻害し,REV-ERBタンパク質の分解を促進し,標的遺伝子の一つであるBmal1の発現を活性化することが最近報告された(33)33) L. Yin, N. Wu, C. J. Curtin, M. Qatanani, N. R. Szwergold, R. A. Reid, G. M. Waitt, D. J. Parks, K. H. Pearce, G. B. Wisely et al.: Science, 318, 1786 (2007)..一方でFe2+ヘムへのNOの結合は,REV-ERBの転写抑制活性を減少させる(リプレッサーとして不活性型).CO結合は同様の効果を示すがNOに比べ効果は1/6程度である.以上の結果は,REV-ERBがin vivoでヘムだけでなくNOのセンサーとして体内時計を制御していることを示している.

図6■(A)ヒトREV-ERBのドメイン構造

DBD: DNA binding domain・Zn-finger, LBD: ligand binding domain(B)ヒトREV-ERBβのLBDドメインの結晶構造 薄緑:アポ型(PDB: 2V0V),緑:ホロ型(PDB: 3CQV)

図7■ヒトREV-ERBβのヘムセンサードメインの構造と抑制活性

neutral donor: His or Pro

時計リズムへの効果

これまで,個々の時計制御因子へのヘム結合やヘムへのCO, NOの結合とその効果についてみてきたが,それでは本来動物や細胞のもっている時計のリズムに対しては,どのような効果を示すのだろうか?細胞の時計リズムのダイナミクス(リズムの有無,位相や周期長の変化,振幅の大きさ)を追跡するのによく用いられる方法が,ホタルルシフェラーゼを用いた発光のリアルタイム検出系である.培養細胞の中でヒトU-2OS細胞,マウスNIH3T3細胞やラットRat-1細胞は体内時計が保たれており,個々の細胞の時計はデキサメサゾンで処理すると同調する.これらの細胞に,NPAS2/BMAL1やCLOCK/BMAL1によって制御されるPer2遺伝子,あるいはRORやREV-ERBによる制御を受けPer2とはほぼ逆位相で発現することの知られているBmal1遺伝子のエンハンサー/プロモーター領域を組み入れたレポーター遺伝子を導入し,ルシフェラーゼ活性の発光を追跡することで時計リズムのリアルタイム解析ができる(図8図8■時計リズムのダイナミズムとCO効果).KlemzらはBmal1リポーターを組み入れたヒトU-2OS細胞をHOの阻害剤で処理するとBmal1発現の時計周期が長くなり位相が後方シフトするが,ヘミン処理では効果がないことを示した(8)8) R. Klemz, S. Reischl, T. Wallach, N. Witte, K. Jürchott, S. Klemz, V. Lang, S. Lorenzen, M. Knauer, S. Heidenreich et al.: Nat. Struct. Mol. Biol., 24, 15 (2017)..同様に,われわれのマウス細胞NIH3T3のリポーター系でも,発現リズム上昇期にHO阻害剤処理するとBmal1の発現の時計リズムはやや後方シフトを示した.さらに,Per2発現のリズムは,リズム上昇期のHO阻害剤処理により顕著に後方シフトするのに対し,CO発生試薬処理によって前方シフトした(未発表).面白いことに,発現リズムの低いときにCO処理すると,Per2発現のリズムの位相は後方にシフトした.いずれの場合も時計リズムの振幅が大きく減少すること,さらに同様のCO処理で細胞の内在性NPAS2によるDNA結合が減少することから,時計リズム変調はCOによるNPAS2機能阻害であることが支持される.したがって,これらの結果は,COがin vivoで時計リズムのダイナミクス制御をすること,さらにCOシグナルの入るタイミングによって時計リズムの位相を前方にも後方にもシフトさせることが可能であることを示唆している.それに対して,NOは,Per2の発現振幅にはほとんど影響しないが,Bmal1の発現の振幅を減少させた.時計上昇期でのNO処理は,Per2Bmal1の発現リズムの位相を一過性でそれぞれやや後方,やや前方にシフトさせたが経過時間とともに効果が小さくなった.ヘムを結合する時計制御因子が何種類もあるのに加えて,因子間相互作用も多いために,ヘムおよびCOシグナルやNOシグナルの効果は多段階で多様である.今後,よりシステマティックな解析が待たれる.

図8■時計リズムのダイナミズムとCO効果

(A)時計リズムのリアルタイム追跡のためのリポーター (B) COによる時計制御のモデル(C)HO阻害剤のPer2発現リズムへの影響矢印↓: HO阻害剤のZnプロトポルフィリン(ZnPP)を投与(波線),実線:コントロール(D)COのPer2発現リズムへの影響矢印↓: CO発生試薬を投与(波線),実線:コントロール

おわりに

生体内でのヘムやCO, NOシグナルの生成や分解は体内時計によって日周変動するが,逆にこれらの分子はフィードバック的にCLOCK, NPAS2, REV-ERBの機能を制御し時計リズムの位相や振幅に多様な影響を与える.ヘムやCO, NO以外にも,体内時計と代謝間のクロストークについて,近年多くの知見が蓄積している(34~36)34) G. Asher & P. Sassone-Corsi: Cell, 161, 84 (2015).35) S. Ray & A. Reddy: BioEssays, 38, 394 (2016).36) S. Panda: Science, 354, 1008 (2016)..たとえば,代謝生成物のNAD(P)HはCLOCKやNPAS2のDNA結合を促進し(14, 15)14) J. Rutter, M. Reick, L. C. Wu & S. L. McKnight: Science, 293, 510 (2001).15) K. Yoshii, F. Tajima, S. Ishijima & I. Sagami: Biochemistry, 54, 250 (2015).,一方でNADの細胞内レベルは時計に制御されるとともにNAD依存性脱アセチル化酵素SIRTへの結合を介してCLOCK/BMAL1の機能を阻害する.分子レベルの解析以外にも,疫学的なデータ解析やノックアウトマウスを用いた動物実験から,コア時計制御因子の機能不全は,睡眠障害や,高血圧,糖尿病,肥満などの生活習慣病や,季節的な精神活動の低下と相関することが示唆されている.加えて,コア時計遺伝子のSNP解析の研究成果は,時計遺伝子変異が,種々のガンと相関することを示している(37)37) C. Benna, C. Helfrich-Förster, S. Rajendran, H. Monticelli, P. Pilati, D. Nitti & S. Mocellin: Oncotarget, 8, 23978 (2017)..したがって,体内時計の変調が原因となる疾患やその治療法や健康問題の解決には,時計制御の詳細な分子レベルの解明だけでなく細胞レベルさらには個体レベルの機構の解明が期待される.

Acknowledgments

ここに紹介した私たちの研究は,東北大学,京都府立大学の研究チームの皆さん,また外部の多くの共同研究者の方たちのご協力で行われました.皆さんに深く感謝いたします.

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