解説

植物固有なスフィンゴ脂質糖鎖の多様な構造と機能植物で独自に進化したスフィンクスのナゾ

Diversity of Structures and Functions of Unique Glycosphingolipids in Plants: Sphinx Enigmas in Plant Glycolipid Biology

Toshiki Ishikawa

石川 寿樹

埼玉大学大学院理工学研究科

Published: 2020-12-01

スフィンゴ脂質は,生体膜成分として19世紀末に初めて発見された.当時知られていたどの脂質にも当てはまらない異質な構造と謎に包まれた存在意義から,ギリシア神話に登場する謎かけの怪物「スフィンクス」にちなんで命名されたといわれている(1)1) 山川民夫:“糖質物語”,講談社,1981..発見から一世紀以上にわたり,この脂質は数々の難解な謎を脂質生物学者に問いかけてきたが,近年,分子レベルでの理解が急速に進み,生物ごとに多様な分子構造と,それが裏打ちする特異な機能が明らかになってきた.本稿では,植物で独自に発達したスフィンゴ脂質のユニークな糖鎖構造を中心に,その分子実体を捉える最新技術と,生合成酵素の同定により解明が進んだ機能多様性について,最近の研究動向を解説する.

Key words: スフィンゴ脂質; セラミド; 糖鎖; 膜ドメイン

はじめに

スフィンゴ脂質は,長鎖塩基(long-chain base, LCB;スフィンゴイド塩基とも)と呼ばれる長鎖アミノアルコールを構成要素とする脂質の総称である.LCBに脂肪酸が結合したものはセラミドと呼ばれ,生体膜中では大部分がさらに糖やリン酸などの親水性頭部が付加された複合脂質として存在する(図1図1■スフィンゴ脂質(上,植物GIPC)およびリン脂質(下,ホスファチジルコリン)の分子構造).スフィンゴ脂質は,リン脂質などのほかの生体膜脂質に比べると馴染みが薄いかもしれない.しかし近年,セラミドは化粧品や健康食品の有用成分としてにわかに脚光を浴びている.製品名やキャッチコピーに大々的にその名が使われていることもあり,その方面で耳にしたことがある(もしくは実際に使用したことがある)という方も多いだろう.

図1■スフィンゴ脂質(上,植物GIPC)およびリン脂質(下,ホスファチジルコリン)の分子構造

さて,スフィンゴ脂質の化学構造に話を戻すと,2本の炭化水素鎖と親水性頭部からなる分子構造の概観は,同じく生体膜を構成するグリセロ脂質とよく似ている(図1図1■スフィンゴ脂質(上,植物GIPC)およびリン脂質(下,ホスファチジルコリン)の分子構造).しかし,その代謝化学的特徴は全く異なっている.まず,グリセロ脂質の骨格がグリセロールと脂肪酸のエステル結合型であるのに対し,スフィンゴ脂質のセラミド骨格は,LCBのアミノ基と脂肪酸の間のアミド結合によって構成される.このアミド結合は,エステル結合が速やかに切断されるアルカリ加水分解(けん化)に耐性であるため,弱アルカリ処理は目的の脂質がどちらのタイプかを検定する手法として汎用される.また,これらの脂質クラスはどちらもさまざまな脂肪酸を含有するが,その組成は大きく異なる傾向を示す.グリセロ脂質では大半が長鎖種(C16~18)であるのに対し,スフィンゴ脂質には極長鎖種(C20以上)がかなりの割合で含まれる(2)2) M. O. Pata, Y. A. Hannun & C. K.-Y. Ng: New Phytol., 185, 611 (2010)..さらに,グリセロ脂質の脂肪酸には二重結合が多い(特に植物では,2つないし3つの二重結合を含む多価不飽和脂肪酸が主成分である)のに対し,スフィンゴ脂質の脂肪酸は,一般に0~1個しか二重結合をもたない(3)3) P. Sperling & E. Heinz: Biochim. Biophys. Acta, 1632, 1 (2003)..膜脂質の二重結合は,炭素結合間の自由回転が阻害された折れ曲がり構造を生み,脂質同士の分子間相互作用を低下させる(二重結合の少ない動物脂肪が冷えると固化するのに対し,二重結合に富む植物油や魚油が低温下でも液状を保つのはこのためである).グリセロ脂質と比べて二重結合の少ないスフィンゴ脂質は,炭化水素鎖同士が密に集まり,分子の流動性が低い膜構造を形成する.さらに,セラミド骨格にはグリセロ脂質には無いヒドロキシ基が複数存在し,それらの間に形成される水素結合は,分子集合をより強固にする.こうして形成された生体膜ドメイン構造は,脂質ラフトやマイクロドメイン(実際のサイズからナノドメインとも)と呼ばれ,ある種の脂質やタンパク質が特異的に集積することで,さまざまな生体膜機能が発現するプラットフォームになっている(3, 4)3) P. Sperling & E. Heinz: Biochim. Biophys. Acta, 1632, 1 (2003).4) S. Mongrand, T. Stanislas, E. M. F. Bayer, J. Lherminier & F. Simon-Plas: Trends Plant Sci., 15, 656 (2010).(コラム参照).

植物型スフィンゴ脂質構造の特徴とオミクス研究

スフィンゴ脂質による膜ドメイン形成は,菌類から動物,植物に至るまで,真核細胞に高度に保存された普遍的な現象である.しかしながら,さまざまな生物のスフィンゴ脂質構造が明らかになるにつれ,保存されたドメイン形成能を規定しているはずの分子構造は,実は生物種ごとに実に多様性に富んでいることがわかってきた.このことは,真核細胞はスフィンゴ脂質を膜ドメイン形成という共通の用途に用いているが,膜ドメインの化学的な特性とそれに起因する機能は,生物間で必ずしも同一ではないことを示唆している.筆者らは,植物で独自に進化したスフィンゴ脂質と膜ドメインの機能を明らかにするため,植物固有の分子構造に着目して研究を行っている.

植物に存在するスフィンゴ脂質は,遊離LCB,セラミド,グルコシルセラミド(GlcCer),グリコシルイノシトールホスホセラミド(GIPC)の4つのクラスに分類される(5~7)5) J. E. Markham & J. G. Jaworski: Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 1304 (2007).6) J. E. Markham, D. V. Lynch, J. A. Napier, T. M. Dunn & E. B. Cahoon: Curr. Opin. Plant Biol., 16, 350 (2013).7) T. Ishikawa, Y. Ito & M. Kawai-Yamada: Plant J., 88, 681 (2016)..このうちLCBとセラミドは微量成分であり,これらに親水部が付加された複合型脂質であるGlcCerとGIPCが,生体膜脂質として大部分を占める(5, 7)5) J. E. Markham & J. G. Jaworski: Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 1304 (2007).7) T. Ishikawa, Y. Ito & M. Kawai-Yamada: Plant J., 88, 681 (2016).図2図2■植物におけるセラミドおよび複合型スフィンゴ脂質の種類と生合成経路).このような植物スフィンゴ脂質の体系化は,実はごく最近の研究成果による.近年の質量分析技術の発展により,多様な代謝物を一斉に分析するメタボロミクスが急速に拡大してきた.一般に,脂質に分類される疎水性代謝物群の分析においては特別な条件が必要になることが多く,特にリピドミクスと呼ぶ.さらにスフィンゴ脂質に特化したスフィンゴリピドミクスの手法は,植物では2007年に初めて実用化された(5)5) J. E. Markham & J. G. Jaworski: Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 1304 (2007)..植物のGIPCは,極端に強い疎水性と親水性が同居し,さらにリン酸や糖鎖の複雑な電荷も相まって,一般的な脂質研究で用いられる溶媒系に溶け難く,そもそも分析対象にさえ含まれていなかった.Markhamらは,GIPCを含むすべてのスフィンゴ脂質クラスを同時に調製できる溶媒系を考案し,高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた一斉解析を確立した(5, 8)5) J. E. Markham & J. G. Jaworski: Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 1304 (2007).8) J. E. Markham, J. Li, E. B. Cahoon & J. G. Jaworski: J. Biol. Chem., 281, 22684 (2006)..その後,欧米と日本の複数の研究グループが,Markhamらの改良型,もしくは独自のシステムを構築し,植物スフィンゴ脂質の構造が急速に明らかにされてきた(9~12)9) C. Buré, J.-L. Cacas, F. Wang, K. Gaudin, F. Domergue, S. Mongrand & J.-M. Schmitter: Rapid Commun. Mass Spectrom., 25, 3131 (2011).10) H. Imai, H. Hattori & M. Watanabe: Lipids, 47, 1221 (2012).11) J.-L. Cacas, C. Buré, F. Furt, J.-P. Maalouf, A. Badoc, S. Cluzet, J.-M. Schmitter, E. Antajang & S. Mongrand: Phytochemistry, 96, 191 (2013).12) N. Blaas & H.-U. Humpf: J. Agric. Food Chem., 61, 4257 (2013)..筆者らも,2012年頃から本格的にLC-MS/MSを用いたスフィンゴリピドミクス研究に取り組んできた.既存の方法は実験者の時間と労力を大きく消費していたが,独自に考案した抽出および前処理技術により,多数のサンプルを簡易な操作で迅速に調製できるユーザーフレンドリーな手法を確立している.また,質量分析に必要な構造情報を,推定上植物に存在しうるすべてのスフィンゴ脂質に拡張した理論スフィンゴリピドームライブラリーを整備し,その活用により現在では1,500種を超える分子種を2時間程度で網羅定量できる系を稼働させている.このシステムを用いてさまざまな植物種のスフィンゴ脂質プロファイルを収集し,植物型構造の普遍性や多様性を明らかにしてきた(7, 13~15)7) T. Ishikawa, Y. Ito & M. Kawai-Yamada: Plant J., 88, 681 (2016).13) T. Ishikawa, H. Imai & M. Kawai-Yamada: Lipids, 49, 295 (2014).14) M. Nagano, T. Ishikawa, Y. Ogawa, M. Iwabuchi, A. Nakasone, K. Shimamoto, H. Uchimiya & M. Kawai-Yamada: Planta, 240, 77 (2014).15) M. Nagano, T. Ishikawa, M. Fujiwara, Y. Fukao, Y. Kawano, M. Kawai-Yamada & K. Shimamoto: Plant Cell, 28, 1966 (2016)..次章からは,植物スフィンゴ脂質のユニークな特徴の一つである糖鎖構造について,われわれの最近の研究成果を紹介したい.

図2■植物におけるセラミドおよび複合型スフィンゴ脂質の種類と生合成経路

植物ではGlcCerとGIPCが主要なスフィンゴ脂質である.GIPCは二糖付加型が最小構造であり,第二糖残基の種類によってHex型とHexN型に分けられる(本文参照).CERS,セラミド合成酵素;GCS, GlcCer合成酵素;IPCS,イノシトールホスホセラミド合成酵素;IPUT,イノシトールホスホセラミド–グルクロン酸転移酵素;GMT,GIPC–マンノース転移酵素;GINT,GIPC-グルコサミン転移酵素; G,グルコース(Glc);P,リン酸;I,イノシトール;A,グルクロン酸(GlcA);PtdIns,ホスファチジルイノシトール;M,マンノース(Man);N, N-アセチルグルコサミン(GlcNAc).

植物固有なスフィンゴ脂質糖鎖構造

動物では,さまざまな糖鎖がセラミドに結合したスフィンゴ糖脂質が数多く存在する.特に,シアル酸を含有するガングリオシドは,動物の主要な糖脂質グループを構成しており,たとえばGM3がインスリン受容に関与するなど,糖鎖型に特異的な分子機能が知られている(16~18)16) S. Tagami, J. Inokuchi Ji, K. Kabayama, H. Yoshimura, F. Kitamura, S. Uemura, C. Ogawa, A. Ishii, M. Saito, Y. Ohtsuka et al.: J. Biol. Chem., 277, 3085 (2002).17) T. Yamashita, A. Hashiramoto, M. Haluzik, H. Mizukami, S. Beck, A. Norton, M. Kono, S. Tsuji, J. L. Daniotti, N. Werth et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 3445 (2003).18) S. Uemura, F. Shishido, M. Kashimura & J. Inokuchi: Glycobiology, 25, 1410 (2015)..また,日本人にとって馴染みの深いABO式血液型を決定しているのは,ガングリオシドとは別系統のスフィンゴ糖脂質である.この場合,5つの糖残基が共通のコア構造を形成しており,末端可変部の有無および糖分子種によって,ABO式抗原型が決定される(図3図3■スフィンゴ糖脂質の動物型(左,ABO抗原)および植物型(右,GIPC)糖鎖構造).この多様性は,異なる基質特異性をもつ糖転移酵素をコードする対立遺伝子によって決定されており,A型酵素はN-アセチルガラクトサミン,B型酵素はガラクトースにそれぞれ特異的な活性を有し,O型は不活性型である(19)19) H. Takizawa, Y. Kominato & I. Shimada: Leg. Med. (Tokyo), 2, 1 (2000)..このように,動物では特に医学・生理学的な観点から,スフィンゴ脂質糖鎖の研究が盛んに行われてきた.一方植物においては,上述のスフィンゴリピドミクス技術の発展により,遅ればせながらGIPC糖鎖構造が体系化され,個々の糖残基を付加する酵素遺伝子も近年次々と同定されてきた.まず小胞体で合成されたセラミド骨格は,ゴルジ体へと輸送され,ホスホイノシトールが転移される.この反応を触媒する酵素IPCSは,動物のスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)と僅かに相同性を有しているが,SMSがリン酸基のドナーとしてホスファチジルコリンを用いるのに対し,IPCSはホスファチジルイノシトール(PtdIns)を用いる(20)20) W. Wang, X. Yang, S. Tangchaiburana, R. Ndeh, J. E. Markham, Y. Tsegaye, T. M. Dunn, G.-L. Wang, M. Bellizzi, J. F. Parsons et al.: Plant Cell, 20, 3163 (2008)..PtdInsをセラミドリン酸化のドナーとして使用するのは菌類も同様であるが,菌類の酵素AUR(21)21) M. M. Nagiec, E. E. Nagiec, J. A. Baltisberger, G. B. Wells, R. L. Lester & R. C. Dickson: J. Biol. Chem., 272, 9809 (1997).はSMSとIPCSの両方に同程度の相同性を示すことから,これらのセラミド-グリセロリン脂質間のリン酸基転移反応を触媒する酵素は,同一の祖先からそれぞれ独立に進化したものと推定される.動物ではスフィンゴミエリンが最終産物であるが,植物と菌類ではさらに糖が付加される.これ以降の糖転移反応は両者で完全に異なっており,植物ではIPUTという酵素がグルクロン酸を付加する(22)22) E. A. Rennie, B. Ebert, G. P. Miles, R. E. Cahoon, K. M. Christiansen, S. Stonebloom, H. Khatab, D. Twell, C. J. Petzold, P. D. Adams et al.: Plant Cell, 26, 3314 (2014)..ここまでの構造がすべての高等植物に共通するコア構造であり,次の残基から多様性が生じる.たとえば,イネやトマト,タバコなどの植物では,第二糖としてグルコサミンまたはN-アセチルグルコサミンをもつヘキソサミン(HexN)型糖鎖を有しているのに対し,シロイヌナズナの栄養組織ではマンノースを主成分とするヘキソース(Hex)型糖鎖のみを含むなど,植物種によって異なる糖鎖型を示す(5, 23)5) J. E. Markham & J. G. Jaworski: Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 1304 (2007).23) C. Buré, J.-L. Cacas, S. Mongrand & J.-M. Schmitter: Anal. Bioanal. Chem., 406, 995 (2014).図4図4■シロイヌナズナおよびイネの葉に存在するGIPCのLS-MS/MSクロマトグラム).また,同じシロイヌナズナでも,花粉や種子ではHex型とHexN型の両方が存在する(24, 25)24) F. Tellier, A. Maia-Grondard, I. Schmitz-Afonso & J.-D. Faure: Phytochemistry, 103, 50 (2014).25) K. D. Luttgeharm, A. N. Kimberlin, R. E. Cahoon, R. L. Cerny, J. A. Napier, J. E. Markham & E. B. Cahoon: Phytochemistry, 115, 121 (2015)..無茶を承知で,植物のGIPC糖鎖型を動物のABO式血液型に当てはめると,末端可変部の糖残基は,イネなどはA型(HexN型),シロイヌナズナは大部分の組織がB型(Hex型),生殖器官ではAB型ということになる(図3図3■スフィンゴ糖脂質の動物型(左,ABO抗原)および植物型(右,GIPC)糖鎖構造).これまでに解析されたすべての高等植物は,この3つの型のいずれかに該当し,O型に相当するコア構造のみをもつ植物はみつかっていない.もちろん,植物には動物のような免疫系は存在しないので,血液型と比較して論じること自体には意味がない.しかしそれでは,GIPCの糖鎖パターンはいったい植物の何の型を決定しているのだろうか?

図3■スフィンゴ糖脂質の動物型(左,ABO抗原)および植物型(右,GIPC)糖鎖構造

図4■シロイヌナズナおよびイネの葉に存在するGIPCのLS-MS/MSクロマトグラム

シロイヌナズナの葉にはヘキソース型のみが,イネにはヘキソサミン型のみが存在する.後者はさらにヘキソサミン(HexN-GIPC)とN-アセチルヘキソサミン(HexNAc-GIPC)のサブグループに分けられるが,糖転移反応の基質となる糖ヌクレオチドはHexNAcしか存在しないことから,GINTの作用によりHexNAc-GIPCが生じ,その後脱アセチル化によってHexN-GIPCが生成すると推定されている.このため,両者を合わせてヘキソサミン型と分類している.

GIPC糖鎖型を決定する酵素ファミリーの発見

GIPC糖鎖の機能を解析するには,その構造を遺伝的に改変するのが近道であるが,順遺伝学的な変異体スクリーニング系は見当もつかなかった.とはいえ,植物ゲノムに数百から存在する機能未知な糖転移酵素を,逆遺伝学的に一つずつ調べるのは余りにも無謀である.先に着手した研究者を海外に何人か知っていたが,進展は聞こえてこなかった.アイデアを模索していた頃,縁あって細胞壁多糖の専門家であるJenny Mortimer博士(現Lawrence Berkeley National Laboratory)と共同研究を開始することになった.当時,理化学研究所に短期滞在していた彼女は,自身の糖代謝研究の一環としてわれわれと同じGIPC合成酵素に関心をもっていたが,日本国内でGIPCを本格的に分析できるのはわれわれのラボだけだった.スフィンゴ脂質と糖転移酵素,双方の得意分野の融合で研究は急展開した.彼女の糖転移酵素に関する知識を基に,われわれはまず,Hex型酵素とHexN型酵素はどちらもグルクロン酸まで伸長されたGIPC中間体を共通の基質とするので,ある程度相同性をもつファミリーを構成している可能性がある,と仮説を立て,「糖鎖型の組織分布と一致する発現パターンをファミリー単位で示す」ことを絞り込みのフィルターとして,in silicoでの探索を開始した.糖質関連酵素のデータベースであるCaZy(26)26) B. L. Cantarel, P. M. Coutinho, C. Rancurel, T. Bernard, V. Lombard & B. Henrissat: Nucleic Acids Res., 37(Database), D233 (2009).には,膨大な数の糖転移酵素が機能や配列に基づいて分類されており,シロイヌナズナの糖転移酵素遺伝子もすべて収容されている.そのなかから,特に機能がはっきりしていないグループについて,トランスクリプトームデータベースの発現パターンを照合していったところ,GT64という動物の多糖であるヘパラン硫酸の合成にかかわる酵素を含むファミリーに行き着いた.植物にもいくつかの遺伝子が保存されていたが,ヘパランは植物には存在せず,酵素機能は未知であった.何より,このファミリーに属するシロイヌナズナの2つの遺伝子は,それぞれHex型およびHexN型糖鎖の局在とほぼ一致する発現分布を示し,さらに同様の一致はイネの相同因子においても認められた.このうち,Hex型と局在性が一致する酵素は,別の細胞壁研究グループによって2005年にシロイヌナズナで欠損株が報告されていたが,極度の矮性と組織の枯死性を含む重篤な表現型を示すにもかかわらず,彼らの研究対象であった細胞壁多糖には表現型を説明できるほどの変化は認められなかった(27)27) S. K. Singh, C. Eland, J. Harholt, H. V. Scheller & A. Marchant: Plant J., 43, 384 (2005)..この表現型は,ほかのスフィンゴ脂質合成不全変異体の表現型とよく似ている! 数々の状況証拠のすべてが,われわれが想定した条件を満たしていた.早速この変異体を入手してスフィンゴリピドミクス解析を行ったところ,まさしく期待したとおりのLC-MS/MSクロマトグラムが目の前のモニターに描かれた.シロイヌナズナに特徴的なHex型GIPCのピークが消失し,ABO式でいうところのO型に相当する,本来存在し得ない短い糖鎖型の中間体ピークが新たに生じていたのである.さらに,HexN型糖鎖のみを有するイネやタバコにこの遺伝子を導入するとHex型GIPCが生産されたことから,これが目的とする糖転移酵素の一つであると断定した.種々の解析からこの酵素の主な基質はマンノースと推定されたため,GIPC Mannosyl Transferase 1(GMT1)と命名した(28)28) L. Fang, T. Ishikawa, E. A. Rennie, G. M. Murawska, J. Lao, J. Yan, A. Y.-L. Tsai, E. E. K. Baidoo, J. Xu, J. D. Keasling et al.: Plant Cell, 28, 2991 (2016)..さらに,同じファミリーに属するもう一つの糖転移酵素についても新たに欠損変異体を確立し,シロイヌナズナでは花粉や種子特異的に,イネでは全身で発現しているN-アセチルグルコサミン転移酵素であることを証明してGlucosamine Inositolphosphoceramide Transferase 1(GINT1)と命名した(29)29) T. Ishikawa, L. Fang, E. A. Rennie, J. Sechet, J. Yan, B. Jing, W. Moore, E. B. Cahoon, H. V. Scheller, M. Kawai-Yamada et al.: Plant Physiol., 177, 938 (2018)..共同研究の開始から,拍子抜けするほどあっという間に,追い求めた遺伝子をまとめて発見することができた(われわれを引き合わせていただいた埼玉大学の小竹敬久博士と山口雅利博士には,感謝の念に堪えません).

植物GIPC糖鎖の生物学的機能

GIPC糖鎖型を決定する遺伝子の同定により,当初の目的であった「植物GIPC糖鎖の型を人為的に変える」ことが可能になった.手始めに,Hex型糖鎖を欠損するgmt1変異体にGINT1遺伝子を構成的に発現させると,gmt1で蓄積していた短いGIPC糖鎖に(N-アセチル)グルコサミンが付加され,HexN型GIPCを全身にもつシロイヌナズナを作出することができた(つまり,本来B型のシロイヌナズナが,A型に変化した).この異種相補系統では,gmt1のシビアな表現型はHexN型糖鎖によってわずかに回復したが,依然として重度の矮性を示した(29)29) T. Ishikawa, L. Fang, E. A. Rennie, J. Sechet, J. Yan, B. Jing, W. Moore, E. B. Cahoon, H. V. Scheller, M. Kawai-Yamada et al.: Plant Physiol., 177, 938 (2018)..このことは,シロイヌナズナのHex型糖鎖とHexN型糖鎖は,それぞれ異なる機能を有していることを示唆している.

GINT1の解析からも,糖鎖型に特異的な機能の存在が支持されている.先述のとおり,GINT1は種子など限られた組織でのみ発現し,葉や根など大部分の組織では全く機能していない.このため,gint1変異体では種子において重篤な表現型がみられるのではないかと予想したが,期待に反して,種子の形成や発芽率,幼植物体の成長には異常がなかった.先にGMT1について明確な表現型に裏打ちされた機能研究が順調に進んでいたこともあり,gint1に目立った表現型が表れないことに心底がっかりしていた.とはいえ,当時この糖転移酵素の発見を競うライバルがいることは知っていたので,急いでデータをまとめて論文にしなくてはいけない.最低限,スフィンゴリピドミクス解析を行う必要があったので,技術補佐員さんにシードスプーンで種子を一定量ずつ分注してもらったのだが,どうしてもこの変異体の種子だけ重量がほかとそろわない,と困り顔で報告を受けた.脂質定量データは後から個々の重量で標準化できるので,取るに足らない問題と一瞬聞き流しそうになりつつも,思い直して顕微鏡で観察してみたところ,gint1の種子は野生型の種子に比べてパンパンに膨らんだような,まるで「中身が詰まっている」ように見えた.実際にgint1の種子一粒当たりの重量は野生型に比べ20%以上増加しており,内部の貯蔵油脂および貯蔵タンパク質の含量も種子重量に比例して増加していることがわかった(29)29) T. Ishikawa, L. Fang, E. A. Rennie, J. Sechet, J. Yan, B. Jing, W. Moore, E. B. Cahoon, H. V. Scheller, M. Kawai-Yamada et al.: Plant Physiol., 177, 938 (2018)..植物の種子は,主要栄養素を人類に供給する重要な食糧資源であり,また近年ではバイオディーゼルの原料として種子貯蔵油脂の利活用が注目されている.致死的な表現型を期待した変異体が,むしろ有用物質の増産につながる表現型を示すという,想定外の結果を偶然にも得ることができた.

ただ,この表現型はわれわれ人類からみれば有用だが,自然界で生きる植物にとってはおそらくネガティブな要素である.油脂やタンパク質などの種子貯蔵栄養素は,次世代の個体が独立栄養を営むようになるまで足りればよく,過剰な詰め込みは無駄になる.親個体が生産できる総物質量には当然限りがあるので,一粒当たりの栄養分を必要最小限にとどめ,その分種子数を増やす方が生存戦略として有効である.実際,植物が生産できる種子の総数と一粒の大きさは,きれいなトレードオフの関係にあることが報告されている(30)30) C. Paul-Victor & L. A. Turnbull: PLoS One, 4, e6917 (2009)..したがって,植物が自身にとってちょうど良い種子サイズを厳密に制御する仕組みをもっていることは自然の摂理として合理的であり,HexN型糖鎖の欠損はその機構に障害を及ぼしていると推測している.種子サイズを負に調節する因子の一つに,植物ホルモンのアブシシン酸(ABA)が挙げられる.ABAは種子の発芽を抑制する休眠ホルモンとしてよく知られているが,種子の成長段階にも関与しており,ABAシグナルを感知できない変異体では種子のサイズが増大する.すなわち,ABAは種子の成長を適切なタイミングで停止させ,種子の大きさと数の按配を適切に調節することに寄与しているらしい(31)31) Z. J. Cheng, X. Y. Zhao, X. X. Shao, F. Wang, C. Zhou, Y. G. Liu, Y. Zhang & X. S. Zhang: Plant Cell, 26, 1053 (2014)..興味深いことに,gint1の種子は通常の発芽は全く正常であるが,ABAによる発芽抑制に対して耐性を示すことから,ABAの感知やシグナル伝達に異常が生じていることが示唆されている(29)29) T. Ishikawa, L. Fang, E. A. Rennie, J. Sechet, J. Yan, B. Jing, W. Moore, E. B. Cahoon, H. V. Scheller, M. Kawai-Yamada et al.: Plant Physiol., 177, 938 (2018)..種子の肥大も同じ理由で説明できるのではないかと考え,現在gint1の種子成長期におけるABAの合成やシグナル伝達系を解析している.ABAは植物生理のいたるところに作用するので,その変異株は種子の肥大だけではなくさまざまな(時に好ましくない)表現型を示す.一方,GINT1は種子などごく限られた組織でのみ発現しており,その欠損の影響はほかの組織には及ばない.Hex型糖鎖の欠損がシロイヌナズナにとって致命的であるのに対し,HexN型糖鎖の欠損がなぜ種子サイズの増大につながるのか,その分子機構を解明することができれば,種子の生産性を特異的に向上させる新たな育種技術の開発につながると期待している.

植物型スフィンゴ脂質糖鎖の進化的側面

同じファミリーに属する2つのタイプの酵素がGIPCの糖鎖型を決定していることが明らかになったが,植物はいつ,どのようにこの構造を獲得したのだろうか.GMTとGINTの配列をサーチしてみると,イネやタバコのようにどちらか一方の糖鎖型しか検出されない種においても,ゲノム中には両方の遺伝子をもっており,含有しない糖鎖型に対応する遺伝子はほとんど発現していないことがわかった.つまり,ヒトのABO糖鎖型は親から受け継いだ先天的な遺伝子型によって決まるのに対し,植物は両方の型を合成できる遺伝子セットをそろえており,GIPC糖鎖型はそれらの発現制御によって決定されているのである.さらに植物の進化過程をたどってみると,コケやシダを含む陸上植物,さらに陸上植物に最も近縁であるとされる車軸藻類では,ゲノムが解読されているすべての種が両方の酵素をセットでもつが,より原始的な緑藻類のゲノム中にはどちらも存在せず,さらに一段階前のグルクロン酸転移を触媒するIPUTももたないことが明らかになった.以上のことから,GIPC糖鎖型の進化的起源は,車軸藻類にあるものと考えられる.その生物学的な意味はこれからの研究課題であるが,一つの可能性として細胞壁との共進化に注目している.車軸藻類はコケ以降の陸上植物とよく似た細胞壁成分を有しており,特にペクチンは車軸藻類が進化的起源とされる(32)32) Z. A. Popper, G. Michel, C. Hervé, D. S. Domozych, W. G. T. Willats, M. G. Tuohy, B. Kloareg & D. B. Stengel: Annu. Rev. Plant Biol., 62, 567 (2011)..ペクチンはさまざまな糖が複雑に結合した細胞壁多糖で,細胞接着等に寄与している.バラの培養細胞において,GIPCはペクチンの一種であるラムノガラクツロナンIIと物理的に相互作用し,そのホウ酸依存的な架橋構造の形成に寄与することが報告されている(33)33) A. Voxeur & S. C. Fry: Plant J., 79, 139 (2014)..またgmt1変異体では,結晶性セルロース繊維が減少しており,細胞同士が密着せず,空隙の広がった異常な組織構造を示す(27, 28)27) S. K. Singh, C. Eland, J. Harholt, H. V. Scheller & A. Marchant: Plant J., 43, 384 (2005).28) L. Fang, T. Ishikawa, E. A. Rennie, G. M. Murawska, J. Lao, J. Yan, A. Y.-L. Tsai, E. E. K. Baidoo, J. Xu, J. D. Keasling et al.: Plant Cell, 28, 2991 (2016)..これらは,細胞膜の外側表面に露出したGIPC糖鎖が,細胞壁成分と物理的・化学的に相互作用し,その構造形成に関与することを示唆しているのかもしれない.また,GIPC糖鎖の基部を形成する酵素IPUTは,植物で高度に遺伝子重複した細胞壁多糖合成にかかわる酵素ファミリーから独自の分子進化によって生じたと推定されており(22)22) E. A. Rennie, B. Ebert, G. P. Miles, R. E. Cahoon, K. M. Christiansen, S. Stonebloom, H. Khatab, D. Twell, C. J. Petzold, P. D. Adams et al.: Plant Cell, 26, 3314 (2014).,スフィンゴ脂質と細胞壁の共分子進化を考えるうえで興味深い.まだ状況証拠を並べている段階であるが,GIPC糖鎖構造を任意に変化させた植物の解析を進めることで,植物スフィンゴ脂質のユニークな分子機能が明らかになることが期待される.

おわりに

分析技術の発展と生合成遺伝子の新規同定により,長い間謎のベールに包まれていた植物固有なスフィンゴ脂質糖鎖の構造と機能の実体が明らかになりつつある.本稿で取り上げたものに加え,病原菌感染や塩ストレスの感知など,GIPC糖鎖の生物学的機能が次々と報告され始めている(34, 35)34) T. Lenarčič, I. Albert, H. Böhm, V. Hodnik, K. Pirc, A. B. Zavec, M. Podobnik, D. Pahovnik, E. Žagar, R. Pruitt et al.: Science, 358, 1431 (2017).35) Z. Jiang, X. Zhou, M. Tao, F. Yuan, L. Liu, F. Wu, X. Wu, Y. Xiang, Y. Niu, F. Liu et al.: Nature, 572, 341 (2019)..その全容を解明することは,スフィンゴ脂質糖鎖が関与する種子サイズ調節や細胞壁構造制御,環境ストレス応答などの分子機構の理解に直結し,その改変は食糧やエネルギーの問題解決に貢献する新しい分子育種ツールとして有望である.さらに近年では,基礎化粧品や健康食品の機能成分として,植物由来セラミドへの需要が急激に拡大している.抗がん作用やアルツハイマー症への効用も報告され始めており,医薬品としての利用も期待される(36)36) セラミド研究会編:“セラミドの新展開~基礎から応用へ~”,食品化学新聞社,2019..実は,われわれが日常的に口にしている野菜や穀物には,大量の植物セラミドがGIPCの形で含まれている.しかしそのほとんどは,独特な糖鎖構造のために消化も吸収もされていない.GIPCの糖鎖構造を任意に改変する育種技術は,消化吸収効率の高い植物セラミドの安定供給を実現し,来たる高齢化社会を多方面から支えるファイトケミカル産業への貢献が期待される.神話のスフィンクスは問いに答えられなかった者を殺してしまったそうだが,植物の細胞に住むスフィンクスは,謎を解いた者を幸せにしてくれる存在のようである.

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