セミナー室

アーバスキュラー菌根共生における共生シグナルとしてのストリゴラクトンストリゴラクトンによるアーバスキュラー菌根菌の菌糸分岐誘導

Kohki Akiyama

秋山 康紀

大阪府立大学大学院生命環境科学研究科

Published: 2021-01-01

はじめに

アーバスキュラー菌根菌(arbuscular mycorrhizal fungi; AM菌)はコケ植物,シダ植物,種子植物を含む約70%以上の陸上植物と共生し,土壌中のリンや窒素,ミネラルなどを宿主に供給する有用土壌微生物である(1)1) A. Genre, L. Lanfranco, S. Perotto & P. Bonfante: Nat. Rev. Microbiol., 18, 649 (2020)..AM菌はケカビ門(Mucoromycota)のグロムス菌亜門(Glomeromycotina)に属する真菌であり,その起源は古く,植物が陸上に進出した約4億6千万年前のオルドビス紀とされる.AM菌は宿主の根内で樹枝状体と呼ばれる栄養交換器官を形成する.この樹枝状体を英語でarbusculeといい,その形容詞形がarbuscularである.よって,“アーバスキュラー菌根菌”とは,樹枝状体を形成するタイプの菌根菌のことである(図1図1■ミヤコグサ根へのAM菌Funneliformis mosseae(旧名Glomus mosseae)の感染共生).AM菌は絶対共生菌であり,単独では有機炭素をほとんど獲得することができず,生育も極めて限られている.AM菌は共生を介して宿主植物から供給される糖や脂質を利用して生育し,根の外に発達させた外生菌糸に次世代の胞子を形成することで生活環を完結する.胞子の発芽は宿主とは独立しており,温度,水分などの環境条件や休眠解除などの生理状態が整えば,自発的に起こる.AM菌は直径80~500 µmの比較的大型の胞子をもつ.胞子中には多量のトリアシルグリセロールが貯蔵されており,これを栄養源として菌糸を伸長させる.このとき近傍に宿主の根がいなければ,伸長生育を停止して休止状態に入る.しかし,宿主の根が近くにいる場合には,激しく分岐菌糸を形成して根の表面にたどり着き,菌足とよばれる器官を形成し,そこを足場として根の中に侵入して細胞間に伸びる内生菌糸を発達させる.続いて,AM菌は皮層細胞内に侵入して樹枝状体を形成し,そこを介して土壌中から外生菌糸で吸収したリンや窒素,ミネラルを宿主に供給する.一方で,自身は宿主から糖や脂質などの有機炭素を受けとることで相利関係を確立し,共生体としての菌根が形成される.AM菌と宿主との出会いの場で起こる菌糸分岐現象は,菌根研究者によって古くから観察されてきた.この現象は非宿主の根では起こらないことからAM菌の宿主認識反応であり,宿主の根から特異的に分泌される何らかの物質をAM菌が感知することにより起こると考えられた(図2A図2■ストリゴラクトンによるAM菌Gigaspora margarita発芽胞子の菌糸分岐誘導).この未知の菌糸分岐誘導物質を菌根研究者はブランチングファクター(branching factor)と呼び,その解明に力を注いだ(2)2) K. Akiyama & H. Hayashi: Ann. Bot., 97, 925 (2006)..われわれはAM菌Gigaspora margaritaの発芽胞子を用いた菌糸分岐アッセイにおける活性を指標として,マメ科モデル植物であるミヤコグサ(Lotus japonicus)の根分泌物からブランチングファクターの精製を進めた.活性物質は微量でかつ化学的に不安定であり,何度も精製途中で活性が消失し精製実験は難航したが,最終的に18 µgのブランチングファクター活性物質を単離することに成功した.スペクトル解析と化学合成標品との比較により,これを5-deoxystrigol(5DS)と同定した.2005年のことであった.当時,5DSはストライガ(Striga)やオロバンキ(Orobanche)などの根寄生雑草の種子発芽刺激物質として知られていたストリゴラクトン(SL)の一種であった(3)3) K. Akiyama, K. Matsuzaki & H. Hayashi: Nature, 435, 824 (2005)..その後,2008年には枝分かれ過剰変異体がSL欠損変異体であることが判明し,SLがシュート分岐を制御する新規の植物ホルモンであることが明らかになった(4, 5)4) V. Gomez-Roldan, S. Fermas, P. B. Brewer, V. Puech-Pagès, E. A. Dun, J. P. Pillot, F. Letisse, R. Matusova, S. Danoun, J. C. Portais et al.: Nature, 455, 189 (2008).5) M. Umehara, A. Hanada, S. Yoshida, K. Akiyama, T. Arite, N. Takeda-Kamiya, H. Magome, Y. Kamiya, K. Shirasu, K. Yoneyama et al.: Nature, 455, 195 (2008)..ミヤコグサから単離された5DSは天然から同定された6番目のSLであった.あれから15年が経ち,同定された天然SLは30種以上にまで到達した.また,植物ホルモンとして発見された契機となったSL生合成変異体を用いた解析により,SLのAM共生における機能も明らかになってきた.本稿では,SLのAM共生シグナルとしての機能について現在までに蓄積されてきた知見を概観しながら,今後の研究の方向性についても考えてみたい.

図1■ミヤコグサ根へのAM菌Funneliformis mosseae(旧名Glomus mosseae)の感染共生

接種3週間後の様子.トルパンブルー染色により,菌体は濃青色に染まっている.菌足(黄色矢印)から根内に侵入し,細胞間に内生菌糸を走らせた後,皮層細胞に侵入して栄養交換器官である樹枝状体(赤色矢印)を形成する.

図2■ストリゴラクトンによるAM菌Gigaspora margarita発芽胞子の菌糸分岐誘導

A,メンブレンフィルター越しにミヤコグサ根と共培養したときに起こる激しい菌糸分岐.B, C,ペーパーディスク法による菌糸分岐アッセイ.ネガティブコントロール(B),5-deoxystrigol 100 pg/disc (C). 1次菌糸(1°,発芽管),2次菌糸(2°)は青矢印,3次菌糸(3°)は黄矢印で示す.ペーパーディスク(*)を用いてサンプルを処理する.Cでは複数の3次菌糸(および4次菌糸)の誘導が見られる.スケールバー, 600 µm (A), 1 mm (B, C).

AM共生シグナル“ブランチングファクター”としてのSLの発見

天然から初めて単離されたSLはstrigolである.今から半世紀以上前の1966年のことである(6)6) C. E. Cook, L. P. Whichard, B. Turner, M. E. Wall & G. H. Egley: Science, 154, 1189 (1966)..Strigolは根寄生雑草であるStriga luteaの種子発芽刺激物質としてワタ(Gossypium hirsutum)の根分泌物から単離された.根寄生雑草と寄主との間には一定の選択性があり,ワタはS. luteaの寄生を受けないが,その根分泌物中にはS. luteaの種子発芽を誘導する物質が含まれることがわかっていた.しかし,この1966年の報告では単離した化合物について,いくつかのスペクトルデータが示されたのみであり,化学構造が決定されたのは1972年のことである(7)7) C. E. Cook, L. P. Whichard, M. E. Wall, G. H. Egley, P. Coggon, P. A. Luhan & A. T. McPhail: J. Am. Chem. Soc., 94, 6198 (1972)..Strigolの水酸基がアセチル化されたstrigyl acetateも同時に単離され,化学構造が決定された.その後,1992年にはソルガム(Sorghum bicolor)からsorgolactone(8)8) C. Hauck, S. Müller & H. Schildknecht: J. Plant Physiol., 139, 474 (1992).,ササゲ(Vigna unguiculata)からalectrolが単離された(9)9) S. Müller, C. Hauck & H. Schildknecht: J. Plant Growth Regul., 11, 77 (1992)..Sorgolactoneとalectrolは微量しか単離されなかったため,strigol類縁体であるという前提の下に1H-NMRやIR, UV, EI-MSなど限られたスペクトルデータをstrigolのデータと比較解析することにより推定構造が提出された.結果的に,当時提出された推定構造はsorgolactoneについては正しかったが,alectrolについては間違っており,修正を繰り返しつつ最終的に正しい化学構造に辿り着いたのは2011年のことであった(10)10) K. Ueno, S. Nomura, S. Muranaka, M. Mizutani, H. Takikawa & Y. Sugimoto: J. Agric. Food Chem., 59, 10485 (2011)..このように実際には正しい化学構造の決定までには長い年月と紆余曲折があったのだが,1995年にBulterはストライガに対して種子発芽刺激活性を示すstrigolの構造類縁体を“strigolactone(ストリゴラクトン)”と総称することを提唱した(11)11) L. G. Butler: “Allelopathy, Organisms, Processes and Applications,” ed. by K. M. Inderjit, M. Dakshini & F. A. Enhelling. American Chemical Society, 1995, p. 158..その後,1998年にアカクローバー(Trifolium pratense)からヤセウツボ(Orobanche minor)に対する新規種子発芽刺激物質としてorobancholが単離され,strigol構造類縁体として推定構造が提出された(12)12) T. Yokota, H. Sakai, K. Okuno, K. Yoneyama & Y. Takeuchi: Phytochemistry, 49, 1967 (1998)..ここまでで単離された計5種のstrigol構造類縁体はすべて根寄生雑草の種子発芽刺激物質であり,Bulterの提唱したSLの定義から外れていなかった.しかし,2005年にわれわれが単離した6番目の天然SLである5DSはstrigol構造類縁体ではあるものの,AM菌に対する菌糸分岐誘導物質“ブランチングファクター”として単離したものであり,Bulterの定義からは外れた(3)3) K. Akiyama, K. Matsuzaki & H. Hayashi: Nature, 435, 824 (2005)..続いて,2008年にSLがシュート分岐を制御する植物ホルモン(あるいはその前駆体)であることが明らかにされるに及んで(4, 5)4) V. Gomez-Roldan, S. Fermas, P. B. Brewer, V. Puech-Pagès, E. A. Dun, J. P. Pillot, F. Letisse, R. Matusova, S. Danoun, J. C. Portais et al.: Nature, 455, 189 (2008).5) M. Umehara, A. Hanada, S. Yoshida, K. Akiyama, T. Arite, N. Takeda-Kamiya, H. Magome, Y. Kamiya, K. Shirasu, K. Yoneyama et al.: Nature, 455, 195 (2008).,SLを機能(生理・生物活性)の面で定義することは無理になった.さらに,2012年にstrigol骨格をもたないcarlactone(CL)がSL様の生物活性を示す植物ホルモン(strigolactone-like plant hormone)として報告され(13)13) A. Alder, M. Jamil, M. Marzorati, M. Bruno, M. Vermathen, P. Bigler, S. Ghisla, H. Bouwmeester, P. Beyer & S. Al-Babili: Science, 335, 1348 (2012).,2014年には,セイヨウチャヒキ(Avena strigosa)からavenaol(14)14) H. I. Kim, T. Kisugi, P. Khetkam, X. Xie, K. Yoneyama, K. Uchida, T. Yokota, T. Nomura, C. S. McErlean & K. Yoneyama: Phytochemistry, 103, 85 (2014).,ヒマワリ(Helianthus annuus)からheliolactone(15)15) K. Ueno, T. Furumoto, S. Umeda, M. Mizutani, H. Takikawa, R. Batchvarova & Y. Sugimoto: Phytochemistry, 108, 122 (2014).などstrigol骨格をもたない種子発芽刺激物質が単離されるに至って,SLは再定義されることになった.2015年に,Al-BabliliとBouwmeesterはSLを「共通の基本骨格としてメチルブテノライド環(D環)に結合したエノールエーテル架橋をもつ化合物」として構造的特徴による再定義を行った(16)16) S. Al-Babili & H. J. Bouwmeester: Annu. Rev. Plant Biol., 66, 161 (2015)..このエノールエーテルが結合するもう一方の残りの部分の構造の違いにより,さらに典型的SL(canonical SL)と非典型的SL(non-canonical SL)の2つに大別した.第二の部分として天然から初めて同定されたstrigolのように,D環以外の部分に“典型的な”三環性ラクトン(ABC環)をもつものを典型的SLとし,三環性ラクトン構造をもたないものを非典型的SLとした.また,典型的SLではC環の立体化学がβ配位のものとα配位のものの2種類が天然に存在することから,前者をstrigol型,後者をorobanchol型とし,従来行われてきたstrigolの立体化学を基準として,epi-やent-のような立体化学を示す接頭語を付ける命名を回避するようにした(たとえば,イネ(Oryza sativa)などの代表的なSLである4-deoxyorobanchol(4DO)は,以前はent-2′-epi-5-deoxystrigolと呼ばれていた).なお,現在までに天然から単離同定されているSLのD環の2′位の立体配置はすべてR配置である.

SLのAM菌に対する菌糸分岐誘導活性

AM菌の菌糸分岐アッセイはNagahashiとDoudsにより1999年に初めて構築された(17)17) G. Nagahashi & D. D. Douds Jr.: Biotechnol. Tech., 13, 893 (1999)..彼らはin vitro培養の際に行う胞子の表面殺菌に強く,他のAM菌に比べて菌糸の伸長が速いGigaspora属のAM菌を用いることで菌糸分岐アッセイの構築に成功した.菌糸の観察に適した透明性の高いジェランガム固形培地に表面殺菌した胞子を置床し,シャーレを垂直に立てて培養する.Gigaspora属のAM菌の発芽管(1次菌糸)は負の重力屈性をもつため,垂直に立てたシャーレの培地中を上方に向かって伸びていく.5~7日で1次菌糸の伸長と共に2次菌糸がほぼ水平方向に分岐生成してくる.このタイミングで1次菌糸の前方にパスツールピペットで小さな穴を2つ開け,そこに70%エタノール-水に溶解したサンプル溶液を注入することで菌糸を処理する.数時間後には3次以上の分岐菌糸の形成が始まり,24時間後には活性判定を下すことができる.われわれはこの方法を簡便にしたペーパーディスク法を考案した(3)3) K. Akiyama, K. Matsuzaki & H. Hayashi: Nature, 435, 824 (2005).図2B, C図2■ストリゴラクトンによるAM菌Gigaspora margarita発芽胞子の菌糸分岐誘導).6 mm径のペーパーディスクにサンプル溶液を染み込ませて,それを2次菌糸先端近傍に置床することにより処理を行う.24時間後に観察し,2次菌糸から複数の3次以上の分岐菌糸が生成している場合に活性ありと判定する.本法ではサンプル処理に伴う作業工程が大幅に簡略化されると共に,エタノールよりも低極性の溶媒にしか溶けないようなサンプルもペーパーディスクにアプライした後に風乾すれば処理できる利点がある.われわれの場合,被検菌としてはG. margaritaを用い,それぞれのサンプルについて連続希釈液を調製し,菌糸分岐誘導活性を示す最小有効濃度(投与量)を求めることで活性の強さを評価する.一番濃い濃度(投与量)を1 µg/discとし,そこで菌糸分岐誘導活性を示さないものは不活性としている.

われわれはこの菌糸分岐アッセイを用いて,これまでに同定されたほとんどの天然SLについて菌糸分岐活性を評価してきた(18–21)18) K. Akiyama, S. Ogasawara, S. Ito & H. Hayashi: Plant Cell Physiol., 51, 1104 (2010).19) T. Tokunaga, H. Hayashi & K. Akiyama: Phytochemistry, 111, 91 (2014).20) N. Mori, K. Nishiuma, T. Sugiyama, H. Hayashi & K. Akiyama: Phytochemistry, 130, 90 (2016).21) X. Xie, N. Mori, K. Yoneyama, T. Nomura, K. Uchida, K. Yoneyama & K. Akiyama: Phytochemistry, 157, 200 (2019).図3図3■根から分泌される天然ストリゴラクトンのAM菌Gigaspora margaritaに対する菌糸分岐誘導活性).これまでに調べたうちで,最も強い活性を示したSLは典型的SLのorobancholとent-2′-epiorobanchol(4α-hydroxy-5DS)であり,最小有効濃度は1 pg/discである.次に強い活性を示したのが,5DSと4DOである(3 pg/disc).なお,天然には存在しないが,5DSと4DOのエナンチオマーであるent-5DSとent-4DOは共に30 pg/discと10倍活性が弱く,菌糸分岐活性は2′位の立体配置に大きく依存していた.5DSのA環の5位と9位に水酸基が置換したstrigolとsorgomolは共に100 pg/discと活性が大きく低下していた.これは前述した4DOと5DSの4位に水酸基が導入されたorobancholとent-2′-epiorobanchol(4α-hydroxy-5DS)とは対照的である.ミヤコグサと並ぶもう一つのマメ科モデル植物であるタルウマゴヤシ(Medicago truncatula)の主要なSLとして単離したmedicaolはorobancholのA環の6員環が7員環に環拡大した構造をもつ(19)19) T. Tokunaga, H. Hayashi & K. Akiyama: Phytochemistry, 111, 91 (2014)..Medicaolの菌糸分岐活性は10 pg/discであり,orobancholより10倍活性が低かった.同様に,orobancholの水酸基がアセチル化されたorobanchyl acetateでは活性が低下し,10 pg/discであった.このほかに10 pg/discで活性を示すものにはorobanchol型SLではfabacyl acetate, strigol型SLではstrigoneなどがある.これら典型的SLは化学的に不安定であり,水やアルコールなどの求核性溶媒によるエノールエーテル部へのMichael付加を受けてC–D環架橋が開裂し,フォルミルABCラクトンと水酸化メチルブテノライドに分解する.これら2つの分子は不活性であることから,C–D環架橋の開裂は典型的SLの不活化をもたらす(18)18) K. Akiyama, S. Ogasawara, S. Ito & H. Hayashi: Plant Cell Physiol., 51, 1104 (2010).

図3■根から分泌される天然ストリゴラクトンのAM菌Gigaspora margaritaに対する菌糸分岐誘導活性

典型的ストリゴラクトンのstrigol型は青,orobanchol型は赤,非典型的ストリゴラクトンは緑で化合物名を示している.なお,生合成中間体であるcarlactoneは根から分泌されない.

非典型的SLのうち,初めて発見されたのはCLである(13, 22)13) A. Alder, M. Jamil, M. Marzorati, M. Bruno, M. Vermathen, P. Bigler, S. Ghisla, H. Bouwmeester, P. Beyer & S. Al-Babili: Science, 335, 1348 (2012).22) Y. Seto, A. Sado, K. Asami, A. Hanada, M. Umehara, K. Akiyama & S. Yamaguchi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 1640 (2014)..CLはSLの生合成中間体であり,carlactonoic acid(CLA)を経て,さらに下流の典型的・非典型的SLに変換されていく.CLは専ら根内に存在し,これまでに根分泌物で検出されたことはない.化学合成により調製したCLについて菌糸分岐活性を調べたところ,100 ng/discであった.CLは19位のメチル基がP450酵素であるMAX1(CYP711A)により3段階酸化を受け,19-hydroxyCL, 19-oxoCL,そしてCLAへと順次変換される.19-hydroxyCLとCLAの活性はそれぞれ10 ng/discおよび100 pg/discであり,酸化段階が進むにつれ,活性が強くなる傾向が見られた(19-oxoCLの活性についてはこれまでに調べていない).CLAの活性は前述のstrigolと同じである.Strigolおよびorobancholに対応した部位に水酸基をもつ4-hydroxyCLおよび18-hydroxyCLを新規に合成し,活性を調べたところ,4-hydroxyCLは1 µg/disc, 18-hydroxyCLは100 ng/discとCLと同等のごく弱い活性しか示さなかった.これらの結果から,19位の酸化がCLの菌糸分岐活性を強め,カルボキシル基まで酸化されたCLAでは典型的SLと同等の活性を示すことがわかった(20)20) N. Mori, K. Nishiuma, T. Sugiyama, H. Hayashi & K. Akiyama: Phytochemistry, 130, 90 (2016)..なお,18-hydroxyCLは天然での存在は確認されていないが,4-hydroxyCLについてはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の地上部での存在が確認されている(23)23) K. Yoneyama, K. Akiyama, P. B. Brewer, N. Mori, M. Kawano-Kawada, S. Haruta, H. Nishiwaki, S. Yamauchi, X. Xie, M. Umehara et al.: Plant Direct, 4, 1 (2020)..CLAのメチルエステル誘導体であり,さらに下流の非典型的SLの前駆体と考えられているmethyl carlactonoate(MeCLA)は1 ng/discで活性を示す.ヒマワリ,トウモロコシ(Zea mays),ミヤコグサの根分泌物からそれぞれ単離されたheliolactone, zealactone, lotuslactoneの活性はそれぞれ10 ng/disc, 10 ng/disc, 1 ng/discでMeCLAと同程度であった.セイヨウチャヒキの根分泌物から単離されたavenaolについては1 µg/discであり,これまでに調べてきた根分泌物から単離された天然SLのなかで最も弱かった.このようにMeCLAから下流の非典型的SLへの構造変換では,CLAから典型的SLへの変換で見られたような活性の向上は見られなかった(20, 21)20) N. Mori, K. Nishiuma, T. Sugiyama, H. Hayashi & K. Akiyama: Phytochemistry, 130, 90 (2016).21) X. Xie, N. Mori, K. Yoneyama, T. Nomura, K. Uchida, K. Yoneyama & K. Akiyama: Phytochemistry, 157, 200 (2019)..CLAやMeCLAはSLの生合成研究の過程で発見された化合物であり,根内での存在がまず確認された.根分泌物での存在については,トウモロコシとヒマワリでCLAが,ポプラ(Populus spp.)でMeCLAとCLAの両方が確認されている.よって,これらの植物はCLAやMeCLAをAM共生シグナルとして利用している可能性が示唆される(24)24) X. Xie: J. Pestic. Sci., 41, 175 (2016)..典型的SLと同様に非典型的SLも求核性溶媒によるMichael付加を受けて開裂するC–D環架橋をもっているので水中での安定性に乏しい.この水中での不安定性に加えて,CLとMeCLAやheliolactoneとzealactoneのようにA環とD環を結ぶ炭素鎖に共役トリエンあるいは共役ジエン構造をもつ非典型的SLは乾固状態や高濃度溶液状態での保存あるいは溶媒濃縮のような操作で非常に速やかに分解する性質をもっている(25)25) M. C. Dieckmann, P. Y. Dakas & A. De Mesmaeker: J. Org. Chem., 83, 125 (2018)..分解の反応機構は明らかではないが,おそらく酸化を伴った分子内・分子間反応によるものと考えられる.このようなさらなる化学的不安定性は非典型的SLの土壌中での根圏シグナルとしての動態,さらには典型的SLと非典型的SLの分子進化を考える上で重要な要素であると思われる.

以上のように,典型的SLと非典型的SLは共にAM菌の菌糸分岐を誘導するが,両者間で活性の強さは大きく異なり,前者はpg/discレベル,後者はおおよそng/discレベルである.農地などフィールドの植物の根には多様なAM菌が同時に感染し菌根菌叢を形成している.このとき植物種によって共生している菌根菌叢におけるAM菌の菌種組成が異なることが知られている.すなわち,ある特定のAM菌が特定の植物と共生関係を結ぶ宿主選好性が見られる(26)26) I. R. Sanders: Trends Plant Sci., 8, 143 (2003)..しかし,植物とAM菌がパートナーをどうやって識別するのか,その機構についてはほとんどわかっていない.通常,ほとんどの植物は複数のSLを同時に生産分泌している.典型的SLが広く植物種間で保存された共通の基本骨格をもつのに対し,非典型的SLは植物種によって化学構造が大きく異なる.典型的SLよりもAM菌に対する活性の弱い非典型的SLを植物が分泌している理由として,非典型的SLがその植物種に固有の共生シグナルとして特定のAM菌を誘引するのかもしれない.ミヤコグサは典型的SLである5DSと非典型的SLであるlotuslactoneを生産している.最近,それぞれ片方のSLの生合成を欠損した変異体が単離された(27)27) N. Mori, T. Nomura & K. Akiyama: Planta, 251, 40 (2020)..今後,それら変異体を用いてSLのAM菌叢組成調節への関与について調べられることが期待される.

SLによるAM菌の菌糸分岐誘導では活性を示す濃度が異なるだけではなく,誘導される菌糸分岐の形態も異なる(18)18) K. Akiyama, S. Ogasawara, S. Ito & H. Hayashi: Plant Cell Physiol., 51, 1104 (2010).G. margaritaにおけるSL誘導性の菌糸分岐形態は (I)短い分岐菌糸からなる6次までの高次分岐,(II)3次菌糸がよく伸長した4次までの低次分岐,(III)短い3次菌糸を主とした4次までの低次分岐の3つに大別することができる.Orobancholや7-oxoorobanchyl acetate, sorgomolはI型の高次の分岐を,CLやhydroxyCL, medicaolを除く他のすべての天然SLはII型の3次菌糸がよく伸長する低次の分岐を誘導する.一方,CLやhydroxyCL, medicaolなどの天然SL, GR24やGR7などのSL合成アナログではIII型の短い3次菌糸の誘導が見られる.これまでに調べられているすべての植物において,根から未同定のSLを含めて複数のSLが分泌されていることがわかっている.AM菌は根から分泌される複数のSLを感受して,低次の長い菌糸と高次の短い菌糸を順次分岐形成することによりうまく根表面に菌糸を到達させているのかもしれない.ただし,このSL単独で誘導される分岐菌糸の形態は共存する他の化合物によって顕著に変化することがある.たとえば,orobanchyl acetateはII型の分岐を誘導するが,シロバナルーピン(Lupinus albus)の生産するalpinumisoflavoneなどのイソフラボノイドと共処理すると,I型の高次分岐に変化する(28)28) K. Akiyama, F. Tanigawa, T. Kashihara & H. Hayashi: Phytochemistry, 71, 1865 (2010)..シロバナルーピンはマメ科であるにもかかわらずAM菌と共生しない非宿主植物であり,alpinumisoflavoneはG. margaritaの一次菌糸の伸長を強く阻害する抗AM菌物質として同定した化合物である.通常,SL単独で誘導される分岐菌糸は真っ直ぐな形状をしているが,上記の共処理により誘導される分岐菌糸はやや波打った形状を呈する.この波打った分岐菌糸は,粗精製の根分泌物で処理したときにもよく観察される(図2A, C図2■ストリゴラクトンによるAM菌Gigaspora margarita発芽胞子の菌糸分岐誘導).よって,SLがAM菌の分岐菌糸を誘導する原因物質であることに疑いはないものの,宿主の根の近傍で形成される分岐菌糸の形態や根の表面に到達するまで分岐菌糸が伸長していく過程には根から分泌される他の複数の物質の関与も考慮に入れる必要があるように思われる.

AM菌のSLに対する応答

SLはAM菌のエネルギー代謝を活性化することで,AM菌を植物根へ感染可能な生理状態へと変化させると考えられている.Gigaspora属のAM菌であるGigaspora roseaではGR24処理後数分以内に菌糸先端においてATP生成の増加と共役したNADPH濃度とNADH脱水素酵素活性の上昇が起こる(29, 30)29) A. Besserer, G. Bécard, A. Jauneau, C. Roux & N. Séjalon-Delmas: Plant Physiol., 148, 402 (2008).30) A. Besserer, G. Bécard, A. Jauneau, C. Roux & N. Séjalon-Delmas: Plant Signal. Behav., 4, 75 (2009)..続いて,処理1時間以内に呼吸活性の上昇やミトコンドリアの球状から繊維状への形態変化,密度増加,移動速度の上昇などの変化が起こり,5時間を経過するころには分岐菌糸の生成が起こる(31)31) A. Besserer, V. Puech-Pagès, P. Kiefer, V. Gomez-Roldan, A. Jauneau, S. Roy, J. C. Portais, C. Roux, G. Bécard & N. Séjalon-Delmas: PLoS Biol., 4, 1239 (2006)..同様にRhizophagus属のAM菌であるRhizophagus irregularis(旧名Glomus intraradices)においても急速な呼吸活性の上昇やミトコンドリアの密度増加と形態変化が起こる.

植物がSLを生産分泌しているのと同様に,AM菌もまたMycファクターと呼ばれる共生シグナルやエフェクターとして機能する分泌性タンパク質を生産しており,それらの生産はSLにより活性化される.これまでに明らかにされているMycファクターにはMyc-LCO(mycorrhizal lipochitooligosaccharide)と呼ばれるリポキトオリゴ糖とキチンオリゴ糖がある.これらMycファクター活性オリゴ糖は宿主植物の根においてカルシウムスパイキングなどの共生初期応答を誘導する.R. irregularisではGR24処理により発芽胞子の菌糸からのキチン4糖および5糖の分泌が顕著に増加する(32)32) A. Genre, M. Chabaud, C. Balzergue, V. Puech-Pagès, M. Novero, T. Rey, J. Fournier, S. Rochange, G. Bécard, P. Bonfante et al.: New Phytol., 198, 190 (2013)..同菌においてGR24処理した発芽胞子で最も顕著に上方調節される遺伝子として分泌性タンパク質をコードするStrigolactone-induced small protein 1SIS1)と名付けられた遺伝子が同定されている(33)33) S. Tsuzuki, Y. Handa, N. Takeda & M. Kawaguchi: Mol. Plant Microbe Interact., 29, 277 (2016).SIS1は外生菌糸でも顕著に発現している.HIGS(host-induced gene silencing)によりSIS1発現をノックダウンするコンストラクトを導入したタルウマゴヤシ毛状根ではR. irregularisによる菌根形成の抑制と樹枝状体の発達不全が起こることからSIS1R. irregularisにおいてAM共生の確立に寄与していることが示唆されている.

AM共生におけるSLの必須性

SLの植物ホルモンとしての発見の契機になったSL生合成欠損変異体はAM共生におけるSLの必須性を検証する機会を与えた.SL生合成酵素であるカロテノイド酸化開裂酵素CCD7やCCD8を欠損したエンドウ(Pisum sativum)やイネの変異体の根分泌物はLC-MS/MS分析ではSLは検出されない程度にまで生産能が低下しているものの,非常に高感度な根寄生雑草の種子発芽刺激アッセイでは弱い活性を維持している.これら植物におけるAM菌の感染率は野生型の2分の1から数分の1程度にまで減少しており,これはSLの外部施与によって部分的に回復する(4, 34)4) V. Gomez-Roldan, S. Fermas, P. B. Brewer, V. Puech-Pagès, E. A. Dun, J. P. Pillot, F. Letisse, R. Matusova, S. Danoun, J. C. Portais et al.: Nature, 455, 189 (2008).34) S. Yoshida, H. Kameoka, M. Tempo, K. Akiyama, M. Umehara, S. Yamaguchi, H. Hayashi, J. Kyozuka & K. Shirasu: New Phytol., 196, 1208 (2012)..ここでの感染率とは,一個体の根全体においてAM菌が感染して内生菌糸や樹枝状体が観察される領域が占める割合のことである.すなわち,一個体の根全体での菌根の形成度合いである.AM菌と根粒菌の宿主植物には共通シグナル伝達経路(common symbiosis signaling pathway; CSSP)と呼ばれる共生確立に必須の遺伝子群が存在する.CSSPは主に感染の初期過程を制御しており,その欠損変異体では,AM菌の根内への侵入が強く阻害されて菌根形成が起こらないものも多い(35)35) M. Parniske: Nat. Rev. Microbiol., 6, 763 (2008)..それに比べるとSL生合成欠損変異体で見られる表現型は緩く,菌根形成が起こるか否かという観点ではSLは必須の因子ではないように見える.

AM共生では,1本の侵入菌糸に由来する根内の感染を「感染単位(infection unit)」と呼ぶ.感染単位の根内での広がりは5 mm程度であり,その限られた範囲内で樹枝状体を形成し,栄養交換を行う.しかし,樹枝状体の寿命は短く,僅か5日程度しかない.その短い期間のなかでも,活発に栄養交換できるのは2~3日程度であり,その後,細胞内で崩壊して分解し寿命を終える.このため,AM菌は未感染の隣りの領域に外生菌糸から再感染し,活性な感染単位を新たに形成する.これを繰り返して続けることで栄養交換機能が維持される.このような感染単位の集まりを感染領域(colonized region)と呼び,根全体のあちこちで感染領域の拡大が起こり,共生体としての菌根が形成される(36)36) Y. Kobae & S. Hata: Plant Cell Physiol., 51, 341 (2010).図4図4■ストリゴラクトンは感染領域を適切に拡大させて菌根機能の恒常性を維持する).KobaeらはイネのAM菌根特異的リン酸トランスポーターPT11–GFPのライブイメージングを用いてCCD7やCCD8が欠損したイネのd17d10変異体について詳細な観察を行った.その結果,これら変異体ではAM菌の根近傍での分岐菌糸形成の遅滞と菌足の形成頻度の大きな低下が見られ,これにより外生菌糸からの再感染頻度が低下し,感染領域の拡大が遅くなることを見いだした(37)37) Y. Kobae, H. Kameoka, Y. Sugimura, K. Saito, R. Ohtomo, T. Fujiwara & J. Kyozuka: Plant Cell Physiol., 59, 544 (2018)..この現象は,前項で述べたSLがAM菌のエネルギー代謝や共生シグナリングを活性化し,AM菌を植物根へ感染可能な生理状態へと変化させるという知見とよく符合している.よって,SLは適切な感染単位の更新に必須であり,共生体としての菌根機能の恒常性維持に必須の因子であるということができる.

図4■ストリゴラクトンは感染領域を適切に拡大させて菌根機能の恒常性を維持する

イネのストリゴラクトン生合成欠損変異体d10およびd17では分岐菌糸形成の遅滞と菌足の形成頻度の大きな低下が見られ,外生菌糸からの再感染頻度が低下して感染領域の拡大が遅くなる.

おわりに

“ブランチングファクター”としてSLが再発見されてから15年が経った.直後にSLが植物ホルモンとして再々発見されたことで,それまで根寄生雑草,AM菌,植物のそれぞれで別々に研究を行ってきた研究者達が共同して研究を進めることも増え,特にリソースや実験法が整っている植物を中心としてSLに関する理解は飛躍的に進んだ.数多くの新規SLが同定され,それらの生合成経路,そして植物と根寄生雑草におけるSL受容やシグナル伝達機構が解明されてきた.それとは対照的に,AM菌に対する共生シグナルとしての作用や受容については遅々として研究は進んでいない.特に,AM菌のSL受容については全くわかっていない.2013年にAM菌では初となる全ゲノムの解読がR. irregularisで達成され(38)38) E. Tisserant, M. Malbreil, A. Kuo, A. Kohler, A. Symeonidi, R. Balestrini, P. Charron, N. Duensing, N. Frei dit Frey, V. Gianinazzi-Pearson et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 20117 (2013).,その後これまでに数種のAM菌について全ゲノムが解読されたが,植物のSL受容体であるD14のホモログはそれらAM菌には存在しないことがわかっている(39)39) P. Bonfante & F. Venice: Fungal Biol. Rev., 34, 100 (2020)..AM菌が絶対共生菌であり,多核体かつヘテロカリオン(異核共存体)であることを考えると,AM菌のSL受容体とその下流のシグナル伝達機構が明らかにされるためには何か画期的な新技術の開発が必要である.また,菌糸分岐誘導活性についても多くのSLについて体系的に調べられているのは,本稿で解説したG. margaritaのただ1種のみであり,他の種のAM菌に対する菌糸分岐誘導活性についてはわかっていないので注意が必要である.上述したように農地など野外のフィールドでは植物の根に多種多様なAM菌が同時に感染し菌根を形成している.そのような状況下でそれぞれのAM菌がSLに対してどのような挙動や動態を示しているのかを明らかにしていくことが今後重要になってくると思われる.たとえば,分岐菌糸のような形態的指標ではなく,AM菌に共通するSL応答性のマーカー遺伝子の発現を指標としてさまざまなAM菌に対するSLの作用スペクトルを作成するのも解析の一助になるかもしれない.SLに対する応答機構だけでなく,菌根共生成立に関するAM菌側の分子機構の解明もほとんど進んでいない.しかし,それだからこそ,この先に大きな発見が待っているとも言える.今後の研究の発展を期待しつつ本稿を閉じることにする.

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