解説

運動による骨格筋肥大メカニズム筋タンパク質同化にかかわる運動シグナル

Mechanisms of Exercise-Induced Skeletal Muscle Hypertrophy: Exercise-Induced Anabolic Signaling in Skeletal Muscle

Riki Ogasawara

小笠原 理紀

名古屋工業大学工学研究科生命・応用化学専攻

Published: 2021-08-01

骨格筋は可塑性に富んだ組織であり,物理・化学(代謝)的環境の変化に応じて機能・形態的に順応する.たとえば,筋力トレーニングのような過負荷によって筋肥大や筋力の増加が生じる.反対に,寝たきりなどの不活動によって筋萎縮や筋力の低下が生じる.骨格筋は運動器としてのみならず代謝臓器としても重要な役割を果たすことから,その機能・量調節メカニズムの理解はわれわれの健康維持増進を図るうえで重要な基盤となる.本稿では,運動による骨格筋肥大の分子機構について,タンパク質代謝調節機構を中心に最新の知見を紹介する.

Key words: 運動; 骨格筋; タンパク質合成; mTOR; シグナル伝達

骨格筋は,身体動作を司る運動器としての役割のみならず,代謝臓器としても重要な役割を果たす.たとえば,食後に上昇する血糖の約80%はインスリンの作用によって骨格筋に取り込まれる.また,近年では骨格筋には鬱の原因物質を分解する酵素が存在すること(1)1) L. Z. Agudelo, T. Femenia, F. Orhan, M. Porsmyr-Palmertz, M. Goiny, V. Martinez-Redondo, J. C. Correia, M. Izadi, M. Bhat, I. Schuppe-Koistinen et al.: Cell, 159, 33 (2014).や骨格筋からマイオカインと総称される生理活性物質が分泌され,全身循環を介してさまざまな臓器の機能に影響を及ぼすことが明らかになってきており(2)2) M. C. K. Severinsen & B. K. Pedersen: Endocr. Rev., 41, 594 (2020).,骨格筋が個体機能の調節において重要なことがわかってきている(図1図1■骨格筋の役割・機能).

図1■骨格筋の役割・機能

実際に,疫学的な研究では骨格筋量や機能が生活習慣病や認知症などの疾患や死亡の独立したリスクであることが数多く報告されている(3, 4)3) E. J. Metter, L. A. Talbot, M. Schrager & R. Conwit: J. Gerontol. A Biol. Sci. Med. Sci., 57, B359 (2002).4) P. Srikanthan & A. S. Karlamangla: Am. J. Med., 127, 547 (2014)..したがって,骨格筋量・機能とさまざまな個体機能との因果関係の解明には今後多くの検討が必要ではあるものの,骨格筋の量・機能がわれわれの健康に大きく関与していると考えられる.

運動は,低強度長時間の筋収縮を伴う持久性運動によるエネルギー基質利用能の向上など,マラソンランナーのような適応から,高強度短時間筋収縮を伴うレジスタンス運動による筋肥大などのボディビルダーのような適応まで,骨格筋において筋収縮の強度や刺激時間などに応じて幅広い適応を生み出すことができる.逆に考えると,持久性運動では大きな筋肥大効果は期待できないし,レジスタンス運動では大きなエネルギー基質利用能の向上は期待できない.つまり,運動による骨格筋の適応には特異性がある.これは全身性の適応も同様で,運動を行うと薬に頼ることなく血糖値や血圧が低下し,体脂肪が減少し,骨格筋量は増加し,認知機能の向上まで期待できて良いことずくめと考えられがちであるが,それぞれの効果を出すためには目的に応じて適切な運動プラグラム(運動様式,強度,時間,頻度など)を設定する必要がある.本稿は運動処方の解説が目的ではないので詳細な言及は避けるが,特定の健康効果を目的に運動を実施する際にはぜひ効果的な運動方法を調べていただきたい.話を運動による骨格筋適応に戻すと,運動によって骨格筋量を増加させるためにはレジスタンス運動の実施が必要になる.なぜ同じ筋収縮を行っているのに,レジスタンス運動でのみ骨格筋が肥大するのであろうか.骨格筋はどのようにして筋収縮によるさまざまな刺激を読み取り,刺激に応じて細胞の大きさや機能を変化させているのであろうか.本稿では運動による骨格筋肥大機構について,主に骨格筋におけるタンパク質代謝の観点から最新の知見を紹介する.

骨格筋量の調節

骨格筋は,最終分化した多核細胞である筋線維の集合体である.最近では筋線維内で個々の核の機能に不均一性があるという興味深い報告があり(5)5) M. J. Petrany, C. O. Swoboda, C. Sun, K. Chetal, X. Chen, M. T. Weirauch, N. Salomonis & D. P. Millay: Nat. Commun., 11, 6374 (2020).,筋核は局在などに応じて多様な役割をもつ可能性が示唆されているものの,一つの筋核が支配する領域はある程度決まっていると考えられている(ただし核の支配領域は筋線維タイプごとに異なる(6)6) J. X. Liu, A. S. Hoglund, P. Karlsson, J. Lindblad, R. Qaisar, S. Aare, E. Bengtsson & L. Larsson: Exp. Physiol., 94, 117 (2009).).つまり,単一筋線維における総筋核数が概ね安静レベルの筋線維サイズを規定していると考えられている(7, 8)7) S. Ato, K. Kido, K. Sato & S. Fujita: Exp. Physiol., 104, 1518 (2019).8) K. A. Hansson, E. Eftestol, J. C. Bruusgaard, I. Juvkam, A. W. Cramer, A. Malthe-Sorenssen, D. P. Millay & K. Gundersen: Nat. Commun., 11, 6288 (2020)..また,筋核は単核の筋サテライト細胞と呼ばれる幹細胞の筋線維への融合により新たに供給されることが知られているが,慢性的な過負荷による筋肥大に筋核の追加が影響することがわかっている(9, 10)9) Q. Goh & D. P. Millay: eLife, 6, e20007 (2017).10) S. Fukuda, A. Kaneshige, T. Kaji, Y. T. Noguchi, Y. Takemoto, L. Zhang, K. Tsujikawa, H. Kokubo, A. Uezumi, K. Maehara et al.: eLife, 8, e48284 (2019)..したがって,レジスタンス運動による筋肥大におけるサテライト細胞や筋核追加の必要性については議論中ではあるものの,長期間のレジスタンス運動による大きな筋肥大においては筋核数の増加が必要であると考えられている.一方,核の支配領域には余裕があり,筋収縮は筋核の追加なしに筋サイズを増加させることができることもわかっている(11)11) K. A. Murach, D. A. Englund, E. E. Dupont-Versteegden, J. J. McCarthy & C. A. Peterson: Front. Physiol., 9, 635 (2018)..この調節には主に筋タンパク質代謝がかかわると考えられている.水分を除く主要な構成物であるタンパク質の出納バランスによって筋サイズが決定されるという考え方である.筋細胞内でのタンパク質合成が分解を上回ると筋肥大し,逆にタンパク質分解が合成を上回ると筋萎縮が生じる(図2図2■骨格筋量の調節).

図2■骨格筋量の調節

レジスタンス運動に伴う筋タンパク質代謝の変化

レジスタンス運動は,筋タンパク質合成と分解の両方を増加させることが知られているが,一般的に合成の促進は分解に比べて大きく長く継続する(12)12) S. M. Phillips, K. D. Tipton, A. Aarsland, S. E. Wolf & R. R. Wolfe: Am. J. Physiol., 273, E99 (1997)..したがって,1回レジスタンス運動を実施すると筋細胞内におけるタンパク質代謝の出納バランスが正に傾く.1回のレジスタンス運動では筋肥大を観察することができないが,適切な頻度(ヒトのレジスタンス運動であれば一般的に週2, 3回)で運動を繰り返すことで徐々に筋細胞内にタンパク質が蓄積し,筋肥大が観察されるようになる.一方,持久性運動はミトコンドリアタンパク質を中心に合成を増加させることが知られているが,特に筋原線維タンパク質への影響は小さく,筋全体のタンパク質合成への影響はレジスタンス運動と比べて小さいことがわかっている(13)13) S. B. Wilkinson, S. M. Phillips, P. J. Atherton, R. Patel, K. E. Yarasheski, M. A. Tarnopolsky & M. J. Rennie: J. Physiol., 586, 3701 (2008)..以上から,運動によって骨格筋量を増加させるためには筋タンパク質合成を増加させることが重要であると考えられている.

実際に,レジスタンス運動のプロトコルと筋タンパク質合成の関係性について見てみると,筋肥大効果と同様に,同じ運動量(挙上重量×回数)であれば扱う重量がある程度重い(強度が高い)ほうがタンパク質合成の促進効果が大きい(14)14) V. Kumar, A. Selby, D. Rankin, R. Patel, P. Atherton, W. Hildebrandt, J. Williams, K. Smith, O. Seynnes, N. Hiscock et al.: J. Physiol., 587, 211 (2009)..また,同じ強度であれば挙上回数の増加によって運動量が増えるほどタンパク質合成の促進効果が大きく(15)15) N. A. Burd, A. M. Holwerda, K. C. Selby, D. W. West, A. W. Staples, N. E. Cain, J. G. Cashaback, J. R. Potvin, S. K. Baker & S. M. Phillips: J. Physiol., 588, 3119 (2010).,低強度であっても運動量を増加させることで高重量と同程度の効果も期待できる(16)16) N. A. Burd, D. W. West, A. W. Staples, P. J. Atherton, J. M. Baker, D. R. Moore, A. M. Holwerda, G. Parise, M. J. Rennie, S. K. Baker et al.: PLoS ONE, 5, e12033 (2010)..ただし,ある程度の強度・運動量で効果は頭打ちになる(17)17) R. Ogasawara, Y. Arihara, J. Takegaki, K. Nakazato & N. Ishii: J. Appl. Physiol., 123, 710 (2017)..いずれにしても,運動の違いによって筋タンパク質の合成促進効果は大きく異なる.

運動・栄養摂取による筋タンパク質合成促進の分子メカニズム

筋タンパク質合成における運動効果の違いはなぜ生じるのであろうか.この点についてはいまだに不明な点が多くあるものの,mechanistic target of rapamycin(mTOR)が中心的な役割を果たすことが知られている.mTORは名前のとおり免疫抑制剤であるラパマイシンの標的分子として同定されたセリン/スレオニンキナーゼである.ラパマイシンは細胞の成長や増殖の阻害効果をもち,抗がん作用や寿命延長効果などの薬理作用があることからmTORは注目を浴びた.その後,mTORは細胞内において少なくとも2種類のタンパク質複合体mTOR complex 1(mTORC1)とmTORC2として存在することが明らかとなった.このうちラパマイシンに感受性があるのはmTORC1であり,mTORC2は非感受性である*1ただし,ラパマイシンの長期投与はmTORC2も阻害する..したがって,ラパマイシンの薬理効果はmTORC1を介したものであると考えられている*2ただし,ラパマイシンはmTORC1の機能を完全には阻害できず,ラパマイシンに非感受性のmTORC1の機能もある.したがって,ラパマイシンによって変化がないからといってmTORC1非依存的とは言えない.

mTORの機能や活性化調節に関する研究は近年でも盛んに行われており,毎年のように総説論文が出版されているため,詳細はそれらを参照していただきたいが(18, 19)18) G. Y. Liu & D. M. Sabatini: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 21, 183 (2020).19) A. J. Valvezan & B. D. Manning: Nat. Metab., 1, 321 (2019).,mTORC1の活性化調節メカニズムとしてアミノ酸(特にロイシン)とインスリンによるものがよく知られている.主要なmTORC1活性化メカニズムとしてリソソーム膜上でのGTP結合型(活性型)Rhebとの結合が知られているが,ロイシンはmTORC1のリソソーム膜への移行,インスリンはAktを介したRhebの活性化(AktがTSC2をリン酸化することによるTSC複合体のRhebからの解離によりRhebをGDP結合型⇒GTP結合型へ変化させる)を介してmTORC1を活性化する.ロイシン,インスリンともに骨格筋においてmTORC1を活性化し,タンパク質合成を亢進させることがよく知られており,この効果はラパマイシンによるmTORC1の阻害によって抑制される.このようなメカニズムはサプリメントとしてのアミノ酸やプロテイン(タンパク質)の摂取や糖質の補給といったスポーツ栄養学的手法の分子基盤となっている.

筋収縮とmTORに関する研究は2000年頃から盛んに行われるようになった.初期のラットを対象とした研究では,1回のレジスタンス運動によるmTORC1の活性化(p70S6Kのリン酸化)とレジスタンス運動の繰り返しによる筋肥大に相関関係があることが報告された(20)20) K. Baar & K. Esser: Am. J. Physiol., 276, C120 (1999)..また,協働筋の切除による慢性的な過負荷による筋肥大がラパマイシンによって抑制されたことが報告された(21)21) S. C. Bodine, T. N. Stitt, M. Gonzalez, W. O. Kline, G. L. Stover, R. Bauerlein, E. Zlotchenko, A. Scrimgeour, J. C. Lawrence, D. J. Glass et al.: Nat. Cell Biol., 3, 1014 (2001)..このような報告から,筋収縮によるタンパク質同化作用はラパマイシンに感受性のあるmTOR,すなわちmTORC1が重要であると考えられるようになった.その後のヒトを対象とした研究においてもレジスタンス運動によってmTORC1が活性化し,その変化が筋タンパク質合成の亢進と相関したことから,mTORC1はレジスタンス運動による筋タンパク質同化マーカーとしての地位をどんどん高めていった.しかし,確かに筋タンパク質同化作用のあるレジスタンス運動によってmTORC1は活性化するものの,mTORC1活性化と筋タンパク質同化が必ずしも一致しないことが報告されていた.たとえば,筋損傷を誘発するような過度な伸張性の筋収縮によって筋タンパク質合成は抑制されるものの,mTORC1は活性化されていた(22)22) H. Kato, H. Suzuki, M. Mimura, Y. Inoue, M. Sugita, K. Suzuki & H. Kobayashi: Amino Acids, 47, 1193 (2015)..そこで,われわれの研究グループでは小動物のレジスタンス運動モデルを独自に確立し,筋収縮による筋タンパク質同化におけるmTORの役割の解析を行った.その結果,レジスタンス運動による筋タンパク質合成の亢進はラパマイシンによって一部しか抑制されず,長期効果としての筋肥大もラパマイシンでは完全には抑制されなかった(23)23) R. Ogasawara, S. Fujita, T. A. Hornberger, Y. Kitaoka, Y. Makanae, K. Nakazato & I. Naokata: Sci. Rep., 6, 31142 (2016)..ラパマイシンは30%程度摂餌量を抑制したことから,30%食事制限がレジスタンス運動による筋肥大効果に及ぼす影響について検討したところ,ラパマイシンによる骨格筋量増加の抑制と同程度の抑制効果が観察された(24)24) Y. Kitaoka, K. Nakazato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 121, 806 (2016)..つまり,ラパマイシンによる筋肥大の部分的な抑制効果は骨格筋局所でのmTORC1の抑制というよりも食事制限によるところが大きかったと考えることができる.筋収縮による筋タンパク質合成の亢進がラパマイシンや骨格筋特異的なRaptorの欠損(mTORC1抑制)によって完全に抑制されないことは他の研究グループからも報告されており(25, 26)25) D. W. West, L. M. Baehr, G. R. Marcotte, C. M. Chason, L. Tolento, A. V. Gomes, S. C. Bodine & K. Baar: J. Physiol., 594, 453 (2016).26) J. S. You, R. M. McNally, B. L. Jacobs, R. E. Privett, D. M. Gundermann, K. H. Lin, N. D. Steinert, C. A. Goodman & T. A. Hornberger: FASEB J., 33, 4021 (2019).,これまで考えられてきたmTORC1の筋収縮による筋タンパク質合成促進における役割については見直されつつある(27)27) R. Ogasawara, T. E. Jensen, C. A. Goodman & T. A. Hornberger: Exerc. Sport Sci. Rev., 47, 188 (2019)..最近の研究ではmTORC1/p70S6Kシグナルは骨格筋において主に新規に合成されたタンパク質の質的調節に関与し,筋力にかかわるとの報告もある(28)28) M. Marabita, M. Baraldo, F. Solagna, J. J. M. Ceelen, R. Sartori, H. Nolte, I. Nemazanyy, S. Pyronnet, M. Kruger, M. Pende et al.: Cell Rep., 17, 501 (2016)..ただし,アミノ酸(特にロイシン)やインスリンによるmTORC1活性化は筋タンパク質合成亢進に関与することから,骨格筋におけるmTORC1の役割(なぜロイシンやインスリンなどの栄養関連刺激と筋収縮刺激によるmTORC1活性化の役割が異なるのか)については注意深く研究を進めていく必要がある.

現時点で筋収縮による筋タンパク質合成亢進の詳細は不明であるが,ラパマイシンではなく,ATP競合性のmTOR阻害剤を用いること(mTORC1, mTORC2ともに抑制)で筋収縮による筋タンパク質合成の亢進が完全に阻害されることから(29)29) R. Ogasawara & T. Suginohara: FASEB J., 32, 5824 (2018).,mTORはこのプロセスに関与していると考えられる.単純に考えると残りのmTORC2が関与していそうであるが,われわれが骨格筋特異的Rictor欠損(mTORC2抑制)マウスを用いて検討したところ,筋収縮による筋タンパク質合成の亢進は全く阻害されなかった(30)30) R. Ogasawara, J. R. Knudsen, J. Li, S. Ato & T. E. Jensen: J. Physiol., 598, 5453 (2020)..したがって,mTORC1でもmTORC2でもなく遊離のmTORや現時点では定義されていないmTORC3やmTORC4などが関与している可能性があるが,現時点で不明である.興味深い現象として,ラパマイシンの効果が野生型マウスよりもmTORC2抑制マウスで相乗効果的に大きく,ラパマイシン単独やmTORC2抑制では抑制されなかった筋収縮による筋タンパク質合成の亢進が抑制されたことから(30)30) R. Ogasawara, J. R. Knudsen, J. Li, S. Ato & T. E. Jensen: J. Physiol., 598, 5453 (2020).,mTORC1とmTORC2が何らかの形で相互作用している可能性もありそうである.今後mTORがどのように骨格筋においてタンパク質合成を調節しているのか,より詳細に解明されることが望まれる.

レジスタンス運動によるリボソーム生合成の促進メカニズム

ここまでにレジスタンス運動や栄養摂取によるタンパク質合成の促進について紹介してきたが,これらは一過性のタンパク質合成の変化に関するものであり,主にタンパク質の翻訳効率の増加(リボソームでの翻訳速度の増加)を反映している(図3図3■タンパク質合成の調節).近年,レジスタンス運動はリボソーム生合成を介して翻訳の容量も増加させることがわかってきている(31, 32)31) V. C. Figueiredo & J. J. McCarthy: Physiology (Bethesda), 34, 30 (2019).32) H. G. Kim, B. Guo & G. A. Nader: Exerc. Sport Sci. Rev., 47, 91 (2019)..たとえば,レジスタンス運動はribosomal RNA(rRNA)の前駆体である47S pre-rRNAを48時間以上にわたって増加させ(33)33) V. C. Figueiredo, L. A. Roberts, J. F. Markworth, M. P. Barnett, J. S. Coombes, T. Raastad, J. M. Peake & D. Cameron-Smith: Physiol. Rep., 4, e12670 (2016).,運動24時間後や複数回運動を繰り返したのちにはrRNA自体の増加を観察することができる(23, 34, 35)23) R. Ogasawara, S. Fujita, T. A. Hornberger, Y. Kitaoka, Y. Makanae, K. Nakazato & I. Naokata: Sci. Rep., 6, 31142 (2016).34) V. C. Figueiredo, M. K. Caldow, V. Massie, J. F. Markworth, D. Cameron-Smith & A. J. Blazevich: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 309, E72 (2015).35) M. J. Stec, N. A. Kelly, G. M. Many, S. T. Windham, S. C. Tuggle & M. M. Bamman: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 310, E652 (2016)..このような変化はレジスタンス運動の繰り返しによる安静時のタンパク質合成の増加に貢献していると考えられている.

図3■タンパク質合成の調節

リボソーム生合成においてもmTORが重要な役割を果たすことが知られており,骨格筋においてラパマイシンがリボソーム生合成を抑制することが知られている(36, 37)36) G. A. Nader, T. J. McLoughlin & K. A. Esser: Am. J. Physiol. Cell Physiol., 289, C1457 (2005).37) F. von Walden, C. Liu, N. Aurigemma & G. A. Nader: Am. J. Physiol. Cell Physiol., 311, C663 (2016)..レジスタンス運動によるリボソームタンパク質やrRNA前駆体,rRNAの増加もラパマイシンが抑制することから(23, 25)23) R. Ogasawara, S. Fujita, T. A. Hornberger, Y. Kitaoka, Y. Makanae, K. Nakazato & I. Naokata: Sci. Rep., 6, 31142 (2016).25) D. W. West, L. M. Baehr, G. R. Marcotte, C. M. Chason, L. Tolento, A. V. Gomes, S. C. Bodine & K. Baar: J. Physiol., 594, 453 (2016).,特にmTORC1がレジスタンス運動によるリボソーム生合成を調節していると考えられている.

リボソーム生合成にかかわる因子としては転写因子c-Mycもよく知られている.c-Mycは多くのがん細胞において高発現しており,細胞増殖・成長やがん細胞特有の嫌気的代謝にかかわることが知られている(38)38) J. van Riggelen, A. Yetil & D. W. Felsher: Nat. Rev. Cancer, 10, 301 (2010)..アミノ酸やインスリン,持久性運動は骨格筋のc-Mycに大きな影響を及ぼさないが,レジスタンス運動はタンパク質量レベルで増加させる(23, 35)23) R. Ogasawara, S. Fujita, T. A. Hornberger, Y. Kitaoka, Y. Makanae, K. Nakazato & I. Naokata: Sci. Rep., 6, 31142 (2016).35) M. J. Stec, N. A. Kelly, G. M. Many, S. T. Windham, S. C. Tuggle & M. M. Bamman: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 310, E652 (2016)..したがって,c-MycはmTORと並んで骨格筋においてリボソーム生合成を促す重要な因子とされてきた.しかし,正常細胞ではがん細胞と異なる働きがあり,骨格筋での役割も不明であった.そこでわれわれはマウス骨格筋においてc-Mycを過剰発現させ,リボソーム生合成やタンパク質合成に及ぼす影響を検討した(39)39) T. Mori, S. Ato, J. R. Knudsen, C. Henriquez-Olguin, Z. Li, K. Wakabayashi et al.: Research Square, doi: 10.21203/rs.3.rs-124889/v1 (2020)..その結果,c-Mycの過剰発現はリボソーム生合成に関連した遺伝子群を上方制御し,rRNA前駆体やrRNAを増加させ,筋タンパク質合成も増加させた.以上から,筋収縮によるリボソーム生合成にc-Mycが直接関与するかはc-Mycの阻害剤や欠損マウスを用いて収縮実験を行う必要があるものの,骨格筋においてもc-Mycがリボソーム生合成を刺激し,タンパク質合成を増加させることがわかった.

レジスタンス運動によるmTORC1の活性化メカニズム

従来考えられてきたように筋収縮による筋タンパク質合成促進はmTORC1に完全に依存的なプロセスではないものの,リボソーム生合成や筋力改善など,依然として骨格筋の収縮適応においてmTORC1は重要な因子であると考えられる.

図4図4■mTORC1の活性化調節にmTORC1活性化の概要を示す.かつて,筋肥大効果の大きいレジスタンス運動では,運動後に血中の成長ホルモン濃度が大きく増加し,IGF-1(インスリン様成長因子)が分泌されることから,インスリン同様Aktを活性化するIGF-1を分泌させることが重要と考えられてきた(40)40) W. J. Kraemer & N. A. Ratamess: Sports Med., 35, 339 (2005)..しかし,レジスタンス運動によるタンパク質合成亢進や筋肥大効果は筋収縮を行った筋でのみ観察されることや,血中IGF-1濃度が高まった状態でレジスタンス運動を実施しても運動効果は促進されないことから,全身性の因子(血中ホルモンなど)の変化は筋タンパク質の同化にとって重要ではないと考えられるようになった(41)41) D. W. West, N. A. Burd, A. W. Staples & S. M. Phillips: Int. J. Biochem. Cell Biol., 42, 1371 (2010)..また,骨格筋においてIGF-1の受容体機能を低下させても筋収縮によるmTORC1活性化は生じることから,筋収縮によるmTORC1の活性化はIGF-1を介さずに生じると考えられている(42)42) E. E. Spangenburg, D. Le Roith, C. W. Ward & S. C. Bodine: J. Physiol., 586, 283 (2008)..その後の研究においてAktを骨格筋において欠損させたり活性阻害したりしても筋収縮によるmTORC1の活性化や筋タンパク質合成の亢進は抑制されないことから(43~45)43) T. A. Hornberger, R. Stuppard, K. E. Conley, M. J. Fedele, M. L. Fiorotto, E. R. Chin & K. A. Esser: Biochem. J., 380, 795 (2004).44) Y. Maruyama, C. Ikeda, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 128, 830 (2020).45) N. Moriya & M. Miyazaki: Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 314, R741 (2018).,筋収縮によるIGF-1/Aktシグナル経路の活性化はmTORC1活性化や筋タンパク質合成の亢進に積極的に関与していないことがわかってきた.ただし,高強度筋収縮によってTSC2のリソソームからの解離は生じることがわかっており,Akt非依存的な未知のTSC2調節メカニズムが存在することが示唆されている(46, 47)46) B. L. Jacobs, J. S. You, J. W. Frey, C. A. Goodman, D. M. Gundermann & T. A. Hornberger: J. Physiol., 591, 4611 (2013).47) B. L. Jacobs, R. M. McNally, K.-J. Kim, R. Blanco, R. E. Privett, J.-S. You & T. A. Hornberger: J. Biol. Chem., 292, 6987 (2017)..われわれはTSC2のタンパク質量自体が高強度筋収縮によって低下することも報告しており(44)44) Y. Maruyama, C. Ikeda, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 128, 830 (2020).,今後TSC2の高強度筋収縮による調節メカニズムを詳細に明らかにすることでmTORC1活性化メカニズムの一端が解明されるものと思われる.

図4■mTORC1の活性化調節

TSC2を介したメカニズムとは独立して,現時点でジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)によるホスファチジン酸(PA)の産生が筋収縮によるmTORC1活性化の主要なメカニズムの一つと考えられている(48)48) J. S. You, H. C. Lincoln, C. R. Kim, J. W. Frey, C. A. Goodman, X. P. Zhong & T. A. Hornberger: J. Biol. Chem., 289, 1551 (2014)..DGKはジアシルグリセロールをリン酸化し,PAに変換する酵素であるが,高強度の筋収縮はDGKの複数存在するアイソフォームのうちDGKζの増加を介してPA産生を増大させ,mTORC1を活性化させる.PAによるmTORC1の活性化はPI3K/Aktシグナル経路を介さないことも報告されており(49)49) T. K. O’Neil, L. R. Duffy, J. W. Frey & T. A. Hornberger: J. Physiol., 587, 3691 (2009).,筋収縮によるmTORC1の活性化はインスリンシグナルを介さないという最近の知見とも一致する(44, 45)44) Y. Maruyama, C. Ikeda, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 128, 830 (2020).45) N. Moriya & M. Miyazaki: Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 314, R741 (2018)..ただし,現時点でヒトを対象としたエビデンスはないため,今後ヒトにおいてmTORC1活性化の異なるさまざまな運動時のPAの変化などを観察する必要はある.

近年の一般細胞におけるmTORC1の活性化調節に関する研究から,糖代謝,特に解糖系代謝がその代謝物を介してmTORC1を活性化することがわかってきている.たとえば,ジヒドロキシアセトンリン酸がmTORC1の活性化に関与することが報告されている(50, 51)50) J. M. Orozco, P. A. Krawczyk, S. M. Scaria, A. L. Cangelosi, S. H. Chan, T. Kunchok, C. A. Lewis & D. M. Sabatini: Nat. Metab., 2, 893 (2020).51) S. A. Kang, D. J. O’Neill, A. W. Machl, C. J. Lumpkin, S. N. Galda, S. Sengupta, S. J. Mahoney, J. J. Howell, L. Molz, S. Hahm et al.: Cell Chem. Biol., 26, 1203 (2019)..筋収縮は強度依存的にエネルギー基質としての糖質の利用割合を高めることから,レジスタンス運動のような高強度の筋収縮は持久性運動のような低強度の筋収縮に比べて解糖系を亢進させる.われわれは解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼの阻害剤である2-deoxy-D-glucoseを用いて研究を行ったところ,高強度筋収縮によるmTORC1の活性化が一部抑制された(52)52) T. Suginohara, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: Metabolism, 114, 154419 (2021)..したがって,筋収縮による解糖系代謝の亢進がmTORC1の活性化に貢献している可能性がある.糖代謝は食・生活習慣や加齢といった身近な要因によって変化する.脂質代謝も含め,タンパク質代謝との相互作用を明らかにすることで,骨格筋の運動適応を高める食・生活習慣といった日常生活レベルで実行可能な具体的な対策を提案できる可能性がある.

ここまで紹介した以外にも筋収縮によるmTORC1活性化のメカニズムは複数報告されている.たとえば,筋収縮に伴う細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度の増加も重要なmTORC1活性化メカニズムと考えられている(53)53) N. Ito, U. T. Ruegg, A. Kudo, Y. Miyagoe-Suzuki & S. Takeda: Nat. Med., 19, 101 (2013)..筋収縮は,その強度や時間などといったさまざまな変数に応じて細胞に対して代謝的にも機械的にもさまざまな変化を生じさせる.それらのうち,本稿で紹介してきたように,一つではなく複数がmTORC1の活性化に関与している.さらに,本稿で紹介した以外のメカニズムも未知なものを含め複数存在すると考えられる.今後,詳細に骨格筋におけるmTORC1活性化のメカニズムが明らかになることで,骨格筋の運動適応メカニズムの理解や画期的な新規の運動効果促進・模倣手法の開発につながると期待される.

おわりに

本稿では,運動による骨格筋肥大適応のメカニズムとしてタンパク質代謝を中心に紹介してきた.お伝えしたようにmTORが中心的な役割を果たすことがわかっている一方で,その詳細は不明な点が多い.また,ヒトの場合には骨格筋の運動適応の個人差が大きく,同じようにレジスタンス運動を実施しても骨格筋適応が大きく生じるハイレスポンダーと呼ばれる集団と観察されないノンレスポンダーと呼ばれるような集団が存在する(54, 55)54) M. J. Hubal, H. Gordish-Dressman, P. D. Thompson, T. B. Price, E. P. Hoffman, T. J. Angelopoulos, P. M. Gordon, N. M. Moyna, L. S. Pescatello, P. S. Visich et al.: Med. Sci. Sports Exerc., 37(Suppl.), 964 (2005).55) R. Ogasawara, T. Akimoto, T. Umeno, S. Sawada, T. Hamaoka & S. Fujita: Physiol. Genomics, 48, 320 (2016)..その要因は遺伝要因・環境要因含めて複雑なものであると考えられるが,そのメカニズム・改善策ともにほとんどが不明である.今後,最先端の分子・細胞生物学的アプローチによって骨格筋の量・機能調節,運動適応の理解が進み,骨格筋を起点とした個体機能改善手法の開発といった画期的なアプローチの開発などに発展することを期待したい.

Reference

1) L. Z. Agudelo, T. Femenia, F. Orhan, M. Porsmyr-Palmertz, M. Goiny, V. Martinez-Redondo, J. C. Correia, M. Izadi, M. Bhat, I. Schuppe-Koistinen et al.: Cell, 159, 33 (2014).

2) M. C. K. Severinsen & B. K. Pedersen: Endocr. Rev., 41, 594 (2020).

3) E. J. Metter, L. A. Talbot, M. Schrager & R. Conwit: J. Gerontol. A Biol. Sci. Med. Sci., 57, B359 (2002).

4) P. Srikanthan & A. S. Karlamangla: Am. J. Med., 127, 547 (2014).

5) M. J. Petrany, C. O. Swoboda, C. Sun, K. Chetal, X. Chen, M. T. Weirauch, N. Salomonis & D. P. Millay: Nat. Commun., 11, 6374 (2020).

6) J. X. Liu, A. S. Hoglund, P. Karlsson, J. Lindblad, R. Qaisar, S. Aare, E. Bengtsson & L. Larsson: Exp. Physiol., 94, 117 (2009).

7) S. Ato, K. Kido, K. Sato & S. Fujita: Exp. Physiol., 104, 1518 (2019).

8) K. A. Hansson, E. Eftestol, J. C. Bruusgaard, I. Juvkam, A. W. Cramer, A. Malthe-Sorenssen, D. P. Millay & K. Gundersen: Nat. Commun., 11, 6288 (2020).

9) Q. Goh & D. P. Millay: eLife, 6, e20007 (2017).

10) S. Fukuda, A. Kaneshige, T. Kaji, Y. T. Noguchi, Y. Takemoto, L. Zhang, K. Tsujikawa, H. Kokubo, A. Uezumi, K. Maehara et al.: eLife, 8, e48284 (2019).

11) K. A. Murach, D. A. Englund, E. E. Dupont-Versteegden, J. J. McCarthy & C. A. Peterson: Front. Physiol., 9, 635 (2018).

12) S. M. Phillips, K. D. Tipton, A. Aarsland, S. E. Wolf & R. R. Wolfe: Am. J. Physiol., 273, E99 (1997).

13) S. B. Wilkinson, S. M. Phillips, P. J. Atherton, R. Patel, K. E. Yarasheski, M. A. Tarnopolsky & M. J. Rennie: J. Physiol., 586, 3701 (2008).

14) V. Kumar, A. Selby, D. Rankin, R. Patel, P. Atherton, W. Hildebrandt, J. Williams, K. Smith, O. Seynnes, N. Hiscock et al.: J. Physiol., 587, 211 (2009).

15) N. A. Burd, A. M. Holwerda, K. C. Selby, D. W. West, A. W. Staples, N. E. Cain, J. G. Cashaback, J. R. Potvin, S. K. Baker & S. M. Phillips: J. Physiol., 588, 3119 (2010).

16) N. A. Burd, D. W. West, A. W. Staples, P. J. Atherton, J. M. Baker, D. R. Moore, A. M. Holwerda, G. Parise, M. J. Rennie, S. K. Baker et al.: PLoS ONE, 5, e12033 (2010).

17) R. Ogasawara, Y. Arihara, J. Takegaki, K. Nakazato & N. Ishii: J. Appl. Physiol., 123, 710 (2017).

18) G. Y. Liu & D. M. Sabatini: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 21, 183 (2020).

19) A. J. Valvezan & B. D. Manning: Nat. Metab., 1, 321 (2019).

20) K. Baar & K. Esser: Am. J. Physiol., 276, C120 (1999).

21) S. C. Bodine, T. N. Stitt, M. Gonzalez, W. O. Kline, G. L. Stover, R. Bauerlein, E. Zlotchenko, A. Scrimgeour, J. C. Lawrence, D. J. Glass et al.: Nat. Cell Biol., 3, 1014 (2001).

22) H. Kato, H. Suzuki, M. Mimura, Y. Inoue, M. Sugita, K. Suzuki & H. Kobayashi: Amino Acids, 47, 1193 (2015).

23) R. Ogasawara, S. Fujita, T. A. Hornberger, Y. Kitaoka, Y. Makanae, K. Nakazato & I. Naokata: Sci. Rep., 6, 31142 (2016).

24) Y. Kitaoka, K. Nakazato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 121, 806 (2016).

25) D. W. West, L. M. Baehr, G. R. Marcotte, C. M. Chason, L. Tolento, A. V. Gomes, S. C. Bodine & K. Baar: J. Physiol., 594, 453 (2016).

26) J. S. You, R. M. McNally, B. L. Jacobs, R. E. Privett, D. M. Gundermann, K. H. Lin, N. D. Steinert, C. A. Goodman & T. A. Hornberger: FASEB J., 33, 4021 (2019).

27) R. Ogasawara, T. E. Jensen, C. A. Goodman & T. A. Hornberger: Exerc. Sport Sci. Rev., 47, 188 (2019).

28) M. Marabita, M. Baraldo, F. Solagna, J. J. M. Ceelen, R. Sartori, H. Nolte, I. Nemazanyy, S. Pyronnet, M. Kruger, M. Pende et al.: Cell Rep., 17, 501 (2016).

29) R. Ogasawara & T. Suginohara: FASEB J., 32, 5824 (2018).

30) R. Ogasawara, J. R. Knudsen, J. Li, S. Ato & T. E. Jensen: J. Physiol., 598, 5453 (2020).

31) V. C. Figueiredo & J. J. McCarthy: Physiology (Bethesda), 34, 30 (2019).

32) H. G. Kim, B. Guo & G. A. Nader: Exerc. Sport Sci. Rev., 47, 91 (2019).

33) V. C. Figueiredo, L. A. Roberts, J. F. Markworth, M. P. Barnett, J. S. Coombes, T. Raastad, J. M. Peake & D. Cameron-Smith: Physiol. Rep., 4, e12670 (2016).

34) V. C. Figueiredo, M. K. Caldow, V. Massie, J. F. Markworth, D. Cameron-Smith & A. J. Blazevich: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 309, E72 (2015).

35) M. J. Stec, N. A. Kelly, G. M. Many, S. T. Windham, S. C. Tuggle & M. M. Bamman: Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 310, E652 (2016).

36) G. A. Nader, T. J. McLoughlin & K. A. Esser: Am. J. Physiol. Cell Physiol., 289, C1457 (2005).

37) F. von Walden, C. Liu, N. Aurigemma & G. A. Nader: Am. J. Physiol. Cell Physiol., 311, C663 (2016).

38) J. van Riggelen, A. Yetil & D. W. Felsher: Nat. Rev. Cancer, 10, 301 (2010).

39) T. Mori, S. Ato, J. R. Knudsen, C. Henriquez-Olguin, Z. Li, K. Wakabayashi et al.: Research Square, doi: 10.21203/rs.3.rs-124889/v1 (2020).

40) W. J. Kraemer & N. A. Ratamess: Sports Med., 35, 339 (2005).

41) D. W. West, N. A. Burd, A. W. Staples & S. M. Phillips: Int. J. Biochem. Cell Biol., 42, 1371 (2010).

42) E. E. Spangenburg, D. Le Roith, C. W. Ward & S. C. Bodine: J. Physiol., 586, 283 (2008).

43) T. A. Hornberger, R. Stuppard, K. E. Conley, M. J. Fedele, M. L. Fiorotto, E. R. Chin & K. A. Esser: Biochem. J., 380, 795 (2004).

44) Y. Maruyama, C. Ikeda, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: J. Appl. Physiol., 128, 830 (2020).

45) N. Moriya & M. Miyazaki: Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 314, R741 (2018).

46) B. L. Jacobs, J. S. You, J. W. Frey, C. A. Goodman, D. M. Gundermann & T. A. Hornberger: J. Physiol., 591, 4611 (2013).

47) B. L. Jacobs, R. M. McNally, K.-J. Kim, R. Blanco, R. E. Privett, J.-S. You & T. A. Hornberger: J. Biol. Chem., 292, 6987 (2017).

48) J. S. You, H. C. Lincoln, C. R. Kim, J. W. Frey, C. A. Goodman, X. P. Zhong & T. A. Hornberger: J. Biol. Chem., 289, 1551 (2014).

49) T. K. O’Neil, L. R. Duffy, J. W. Frey & T. A. Hornberger: J. Physiol., 587, 3691 (2009).

50) J. M. Orozco, P. A. Krawczyk, S. M. Scaria, A. L. Cangelosi, S. H. Chan, T. Kunchok, C. A. Lewis & D. M. Sabatini: Nat. Metab., 2, 893 (2020).

51) S. A. Kang, D. J. O’Neill, A. W. Machl, C. J. Lumpkin, S. N. Galda, S. Sengupta, S. J. Mahoney, J. J. Howell, L. Molz, S. Hahm et al.: Cell Chem. Biol., 26, 1203 (2019).

52) T. Suginohara, K. Wakabayashi, S. Ato & R. Ogasawara: Metabolism, 114, 154419 (2021).

53) N. Ito, U. T. Ruegg, A. Kudo, Y. Miyagoe-Suzuki & S. Takeda: Nat. Med., 19, 101 (2013).

54) M. J. Hubal, H. Gordish-Dressman, P. D. Thompson, T. B. Price, E. P. Hoffman, T. J. Angelopoulos, P. M. Gordon, N. M. Moyna, L. S. Pescatello, P. S. Visich et al.: Med. Sci. Sports Exerc., 37(Suppl.), 964 (2005).

55) R. Ogasawara, T. Akimoto, T. Umeno, S. Sawada, T. Hamaoka & S. Fujita: Physiol. Genomics, 48, 320 (2016).

*1 ただし,ラパマイシンの長期投与はmTORC2も阻害する.

*2 ただし,ラパマイシンはmTORC1の機能を完全には阻害できず,ラパマイシンに非感受性のmTORC1の機能もある.したがって,ラパマイシンによって変化がないからといってmTORC1非依存的とは言えない.