セミナー室

健康維持に不可欠なミネラル・亜鉛の機能を探る必須ミネラル亜鉛の機能を探る

Taiho Kambe

神戸 大朋

京都大学大学院生命科学研究科

Published: 2022-01-01

はじめに

飽食の時代にあるとされる我が国であるが,意外なことに,20~30%の国民が亜鉛欠乏に陥っているとされる.近年,多数の亜鉛サプリメントが販売されるようになり,「亜鉛・Zinc・Zn」の文字を目にする機会が多くなってきた.2017年には,亜鉛欠乏症に対する治療薬が承認され,不足しがちな栄養素“亜鉛”にさらに高い関心が寄せられることとなった.一方,基礎研究の分野に目を向けると,亜鉛の関わる生命現象の理解はこの20年間で劇的に深化し,特に,亜鉛トランスポーターの機能解析から亜鉛の新規生理機能や亜鉛関連疾患が多数報告されてきた.本稿では,これら亜鉛に関連する最新の知見について,生理機能や疾患との関わりを中心に議論したい.

亜鉛の生理機能と亜鉛研究の歴史

亜鉛の生理機能に関してはこれまで数多くの研究がなされており,現在も続々と新しい知見が得られている.新たに報告されてきた知見を理解する上で,亜鉛研究の歴史を顧みることは,本質を把握する大きな助けとなる.まずは,亜鉛の生理機能に関連させて亜鉛研究の歴史を概観してみたい(1, 2)1) T. Kambe, T. Tsuji, A. Hashimoto & N. Itsumura: Physiol. Rev., 95, 749 (2015).2) W. Maret: Adv. Nutr., 4, 82 (2013).図1図1■亜鉛の生理機能に関する発見の年代系譜).

図1■亜鉛の生理機能に関する発見の年代系譜

亜鉛が生命機能に不可欠な栄養素であることが初めて示されたのは,1869年のコウジカビ(Aspergillus niger)を用いた研究論文である.続いて,1914年には植物の,1934年にはラットの生育に亜鉛が必要であると報告されている.ヒトの亜鉛欠乏症は,1961年にイランでPrasadらによって,当初は鉄欠乏が疑われていた症例から発見され,これによってヒトにおける亜鉛の必要性が確認された.このような亜鉛の栄養学的必須性の発見と並行して,生体内での亜鉛の具体的な役割に関する報告もなされてきた.1929年には,インスリンの結晶化に亜鉛が必要であることが見出された.現在膵臓ランゲルハンス島β細胞内に貯蔵されている分泌前のインスリンは,亜鉛と結合して結晶化されていることが明らかになっているが,これはその先駆けとなる発見である.1939年には,炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase)が亜鉛酵素であることが報告され,1957年には,亜鉛結合タンパク質として知られるメタロチオネインが発見され,1985年には,亜鉛結合モチーフとして有名なジンクフィンガー(Zinc finger)が同定された.また,1970年代から,生体内には神経細胞(グルタミン酸作動性ニューロン),膵臓ランゲルハンス島β細胞,網膜色素上皮細胞,パネート細胞,精子など亜鉛を多量に含む小胞を有する細胞が存在することが発見され,亜鉛の新たな機能に興味が集まっていた(3, 4)3) T. Kambe, Y. Yamaguchi-Iwai, R. Sasaki & M. Nagao: Cell. Mol. Life Sci., 61, 49 (2004).4) S. R. Hennigar & S. L. Kelleher: Biol. Chem., 393, 565 (2012)..1990年に入ると,亜鉛がシグナル因子として機能することを示す論文が多数報告され,亜鉛のシグナル作用は,“the calcium of the twenty-first century”として大きな注目を集めることとなった(5)5) C. J. Frederickson, J. Y. Koh & A. I. Bush: Nat. Rev. Neurosci., 6, 449 (2005).

亜鉛研究の進展に決定的となったのは,亜鉛トランスポーターの発見と蛍光亜鉛プローブの開発である(6, 7)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021).7) E. Tomat & S. J. Lippard: Curr. Opin. Chem. Biol., 14, 225 (2010)..1989年に出芽酵母で最初の亜鉛トランスポーターが報告され,哺乳類では1995年にラットにおいて亜鉛トラスポーターZnt1が同定された.その時点では,ヒトにおいて,鉄や銅と同じように亜鉛特異的な輸送体が存在するのかどうかは不明であったが,2002年に先天性の亜鉛欠乏症・腸性肢端皮膚炎(Acrodermatitis Enteropathica: AE)が亜鉛トランスポーターZIP4の変異で生じることが示され,亜鉛にも特異的な輸送担体が存在し,生理的・病理的に不可欠な役割を果たすことが実証された.現在では,ヒトで24種類の亜鉛トランスポーターが存在することが明らかにされており(6)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021).,その半数において,変異やSNPが疾患と関わることが明らかにされている(後述).また,カルシウム研究において蛍光プローブFura-2が重要な役割を果たしているように,蛍光亜鉛プローブの開発によって,細胞内外の亜鉛動態の追跡が可能となり,亜鉛研究が劇的に進展した(7)7) E. Tomat & S. J. Lippard: Curr. Opin. Chem. Biol., 14, 225 (2010)..現在,多数の蛍光亜鉛プローブが市販されており,さまざまな研究に利用されている.

亜鉛欠乏症

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では,亜鉛の一日あたりの摂取推奨量が成人男性では11 mg,成人女性では8 mgと設定された.一方で,「平成30年度の国民健康・栄養調査」では,一日あたりの亜鉛摂取量が7.5–9.1 mgと算出されていたため,多くの日本人は亜鉛の摂取量が不足していることとなる.実際,潜在的な症例を含めると,乳幼児や高齢者を中心に国民の20~30%が亜鉛欠乏の状況にあると試算されている(8)8) D. B. Kumssa, E. J. Joy, E. L. Ander, M. J. Watts, S. D. Young, S. Walker & M. R. Broadley: Sci. Rep., 5, 10974 (2015)..したがって,超高齢社会を迎えた我が国では,亜鉛欠乏に十分注意する必要がある(9, 10)9) H. Kodama, M. Tanaka, Y. Naito, K. Katayama & M. Moriyama: Int. J. Mol. Sci., 21, 2941 (2020).10) 駒井三千夫,神戸大朋:“亜鉛の機能と健康—新たにわかった多彩な機能”,日本栄養・食糧学会監修,建帛社,2013.

日本臨床栄養学会から発表された亜鉛欠乏症の診断指針によると,亜鉛欠乏の臨床症状として,皮膚炎,口内炎,脱毛症,褥瘡(難治性),食欲低下,発育障害,易感染性,味覚障害,貧血,下痢,創傷治癒遅延などがあげられ,また肝疾患・糖尿病・慢性炎症性腸疾患・ネフローゼ症候群・腎不全などが亜鉛不足を引き起こしやすい疾患としてあげられている(9, 11)9) H. Kodama, M. Tanaka, Y. Naito, K. Katayama & M. Moriyama: Int. J. Mol. Sci., 21, 2941 (2020).11) 一般社団法人日本臨床栄養学会:亜鉛欠乏症の診療指針2018, http://jscn.gr.jp/pdf/aen2018.pdf..亜鉛欠乏症の診断には,血清亜鉛値が使用されることが多いが,血清亜鉛値には日内変動がある.そのため,診断指針では早朝空腹時に測定することが望ましいとされ,血清亜鉛値60 µg/dL未満を亜鉛欠乏,60~80 µg/dL未満を潜在性亜鉛欠乏としている.また,血清中の亜鉛酵素であるアルカリホスファターゼ活性低値も検査所見としてあげられている.

亜鉛欠乏に対しては,2017年3月に「低亜鉛血症」に対する治療薬が承認され,現在,亜鉛欠乏は鉄欠乏症(貧血)と同じように医薬品で治療できるようになった.このような医薬品による治療に加え,亜鉛欠乏を食事面から予防することは,健康生活を送る上で重要である.

また,高齢化社会に伴い患者数が増加している加齢黄斑変性の予防には,亜鉛サプリメントの摂取が有用であり,日本眼科医会からも推奨されている(12)12) 公益社団法人日本眼科医会:https://www.gankaikai.or.jp/health/51/08.html..さらに,亜鉛は感染症の予防にも効果があることが示されており,最近では,COVID-19の予防や治療に亜鉛が効果を発揮する可能性も議論されている(13, 14)13) D. N. Marreiro, K. J. C. Cruz, A. R. S. Oliveira, J. B. S. Morais, B. Freitas, S. R. S. Melo, L. R. Santos, B. E. P. Cardoso & T. M. S. Dias: Br. J. Nutr., in press (2022).14) A. Pal, R. Squitti, M. Picozza, A. Pawar, M. Rongioletti, A. K. Dutta, S. Sahoo, K. Goswami, P. Sharma & R. Prasad: Biol. Trace Elem. Res., 199, 2882 (2021).

亜鉛の生理機能・分子レベルからの考察

成人の体内には1.5~3 gの亜鉛が存在しており,約60%が骨格筋,約30%が骨,約5%ずつが皮膚と肝臓,残りがその他の組織に存在する(1)1) T. Kambe, T. Tsuji, A. Hashimoto & N. Itsumura: Physiol. Rev., 95, 749 (2015)..生体内の亜鉛は,2価陽イオン(Zn2+)として存在しており,鉄イオン(Fe3+⇄Fe2+)や銅イオン(Cu2+⇄Cu)とは異なり酸化還元反応性を持たない.これはZn2+の状態では,d殻が10個のd電子で満たされた閉殻構造をとるためである(15)15) J. M. Berg & Y. Shi: Science, 271, 1081 (1996)..また,酸化還元反応性を持たないために,亜鉛イオンによる直接的な毒性は非常に低い.

生体内での亜鉛の機能は,タンパク質の構造因子・酵素の補因子・細胞内外のシグナル調節因子と多岐にわたっている(16~18)16) W. Maret & Y. Li: Chem. Rev., 109, 4682 (2009).17) T. Fukada & T. Kambe: Metallomics, 3, 662 (2011).18) T. Hara, T. A. Takeda, T. Takagishi, K. Fukue, T. Kambe & T. Fukada: J. Physiol. Sci., 67, 283 (2017).図2図2■亜鉛の生理機能).まず,構造因子としての亜鉛の機能は,その名の通りタンパク質の構造を保持する役割を意味しており,有名なジンクフィンガーの他,E3ユビキチンリガーゼに特徴的な構造として知られるリングフィンガーも亜鉛を含む構造となる.また,補因子としての亜鉛の機能は,文字通り酵素の活性中心に配位した補因子としての働きを意味する(19)19) T. Kambe, M. Matsunaga & T. A. Takeda: Int. J. Mol. Sci., 18, E2179 (2017)..アルカリフォスファターゼやマトリックスメタロプロテアーゼなど臨床面でもよく耳にする酵素の他,COVID-19の受容体として知られるアンギオテンシン転換酵素2(ACE2)も亜鉛酵素である.最後のシグナル調節因子としての亜鉛の機能は,細胞内外で変化した亜鉛イオンのシグナル因子としての役割を意味する.例えば,細胞内ではさまざまな刺激に応じて増加した細胞内遊離亜鉛イオンが,セカンドメッセンジャーとして機能する(20)20) T. Fukada, S. Yamasaki, K. Nishida, M. Murakami & T. Hirano: J. Biol. Inorg. Chem., 16, 1123 (2011)..この亜鉛のシグナル作用の機序についてはさらなる詳細な解析が必要であるが,一例として,カスパーゼやプロテインチロシンホスファターゼの活性中心のシステイン残基に亜鉛が結合することでその活性を阻害し,細胞内シグナルの調節を行うという分子機構があげられる.遊離亜鉛イオンを増加させる機序としては,①細胞外の亜鉛の細胞質への取り込み,②細胞小器官に蓄えられた亜鉛の細胞質への放出,③酸化ストレスによるMT(Metallothionein:メタロチオネイン)に結合した亜鉛の遊離(21)21) M. A. Aras & E. Aizenman: Antioxid. Redox Signal., 15, 2249 (2011).,の3つが知られており,①と②では生体膜に局在するトランスポーターが重要な役割を果たす(20)20) T. Fukada, S. Yamasaki, K. Nishida, M. Murakami & T. Hirano: J. Biol. Inorg. Chem., 16, 1123 (2011)..また,細胞小器官や細胞内小胞に多量に蓄えられた亜鉛が細胞外に放出されると,その亜鉛は,細胞外の亜鉛シグナルとして機能する.Gタンパク質共役受容体39(GPR39)は亜鉛受容体として知られており,細胞外の亜鉛と結合することで細胞内のカルシウム濃度を変化させる(22)22) M. Hershfinkel: Int. J. Mol. Sci., 19, E439 (2018).

図2■亜鉛の生理機能

タンパク質との相互作用および機能の面から,亜鉛の生理機能は“触媒”,“構造”,“調節”の3つの機能に分類される.

以上のように,亜鉛の機能はさまざまなタンパク質との相互作用によってもたらされるが,亜鉛プロテオーム解析から体内には3000種ほどの亜鉛結合タンパク質が存在すると試算されている(23)23) C. Andreini, I. Bertini & G. Cavallaro: PLoS One, 6, e26325 (2011)..この値はヒト全タンパク質の10%以上に相当しており,生命活動における亜鉛の必須性を明確に示している.

亜鉛トランスポーター

生体内の亜鉛は2価陽イオンで存在しているため,生体膜を自由に通過することができない.そのため細胞内外および細胞小器官内外に亜鉛を輸送するためには,生体膜に埋め込まれた亜鉛トランスポーターが必須の役割を果たしている(6)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021)..後生動物では2種類の亜鉛トランスポーター群が機能しており,細胞質の亜鉛を増加させる向きに亜鉛を輸送する亜鉛インポーターは ZIP(Zrt, Irt-related protein/SLC39A solute carrier family 39A)と呼ばれ,一方,この逆向きに亜鉛を輸送する亜鉛エクスポーターはZNT(Zn transporter/SLC30A)とよばれる(図3図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター).SLCに分類されているように,両ファミリーとも二次能動輸送の様式で機能し,亜鉛の輸送にはATPの加水分解エネルギーを使用しない.ほ乳類では,ZNTが10種類(ZNT1~10),ZIPが14種類(ZIP1~14)機能することが判明しており,どちらもホモ二量体(一部はヘテロ二量体)を形成して機能する.また,それぞれのZNTやZIPは組織・細胞特異的に発現しており,種々の刺激に応じて発現を変化させる(24, 25)24) T. Kambe, T. Suzuki, M. Nagao & Y. Yamaguchi-Iwai: Genomics Proteomics Bioinformatics, 4, 1 (2006).25) T. Kambe, E. Suzuki & T. Komori: “Zinc transporters-A review and a new view from biochemistry”. Zinc Signaling-Second Edition, eds. by T. Fukada & T. Kambe T. Springer-Nature, 2019, p. 23.

図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター

A. バクテリアホモログの結晶構造から予想されるZIPとZNTのトポロジー.ZIPとZNTのどちらも二量体を形成して機能し(図は単量体),どちらの膜貫通領域にも両親媒性アミノ酸で構成される亜鉛イオン結合部位が存在する.ZIPトランスポーターの中には細胞外に長いN末端領域を有するファミリー(LIV-1サブファミリー)があり,この領域にはHelix-rich domain(HRD)とPAL motif(PAL)と呼ばれる二量体形成に関わるドメインが存在する.ZNTトランスポーターのC末端細胞質領域も二量体形成に重要であり,この領域には亜鉛結合部位が存在する.ZIPとZNTの多くは,細胞質側にヒスチジンに富んだ配列(図のHis-rich部分)を有しており,この領域は亜鉛輸送の調節に関わると考えられている.B. ZIPとZNTトランスポーターの細胞内局在部位と亜鉛輸送の方向性.多くのZIPが細胞膜に局在して細胞外の亜鉛を細胞内へ取り込む働きをする一方で,細胞膜に局在して細胞外へ亜鉛を直接排出するZNTはZNT1のみとなる.マンガンの輸送にも関わるZIP8とZIP14, ZNT10については色を変えて表記した.

バクテリアホモログの結晶構造の結果から,ZIPは8回膜貫通型のタンパク質と予想されている.ZIPの亜鉛輸送の様式については未だに解明されていないが,最近,水分子が亜鉛の輸送を媒介するメカニズムが提示された(6)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021)..ZIPファミリーは4つのサブファミリーに分類され,ヒトなど哺乳類ではLIV-1サブファミリーが最も大きく,このサブファミリーに属する分子は多彩な生理現象に関与する(25)25) T. Kambe, E. Suzuki & T. Komori: “Zinc transporters-A review and a new view from biochemistry”. Zinc Signaling-Second Edition, eds. by T. Fukada & T. Kambe T. Springer-Nature, 2019, p. 23..一方,ZNTは6回膜貫通型タンパク質として機能しており,プロトンとの交換輸送体であることが示されている(6)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021)..上述の亜鉛研究の歴史で述べた亜鉛を高濃度に蓄積する細胞内小胞の膜にはそれぞれ特異的なZNTが発現すると考えられている.実際に,膵臓ランゲルハンス島β細胞のインスリン顆粒や海馬のグルタミン酸作動性ニューロンのシナプス小胞では特異的に機能するZNTが同定されている(3, 4)3) T. Kambe, Y. Yamaguchi-Iwai, R. Sasaki & M. Nagao: Cell. Mol. Life Sci., 61, 49 (2004).4) S. R. Hennigar & S. L. Kelleher: Biol. Chem., 393, 565 (2012).図3B図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター).これらのZNTは糖尿病やアルツハイマー病との関連でも大きな注目を集めている.

図4■消化管上皮細胞におけるZIP4とZNT1の発現制御を介した亜鉛吸収の調節

消化管上皮細胞におけるZIP4とZNT1の発現はまったく逆の制御を受けており,その発現のバランスが亜鉛吸収量の調節に重要であると考えられている.

食事由来の亜鉛の吸収・代謝

食事に含まれる亜鉛は,十二指腸・空腸から吸収される.十二指腸・空腸の腸管上皮細胞のアピカル膜(腸管腔側膜)にはZIP4が発現しており,ZIP4が腸管腔内の食事由来亜鉛を上皮細胞内に取り込む(26, 27)26) A. Hashimoto & T. Kambe: J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo), 61(Suppl), S116 (2015).27) Y. Nishito & T. Kambe: J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo), 64, 1 (2018)..したがって,ZIP4は哺乳類の亜鉛吸収に不可欠な分子となり,他のZIPがその機能を代替することはできない.ZIP4のアピカル膜での発現は亜鉛状態によって厳密に制御されており,血中の亜鉛レベルが増加すると,ZIP4はアピカル膜からエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ,速やかに分解される.一方,亜鉛レベルが低下すると分解を免れ,アピカル膜に蓄積する.通常時30%程度と考えられている亜鉛吸収効率は,亜鉛欠乏時に増加することが知られるが,この変動は,ZIP4の亜鉛依存的な発現制御によるものと考えられる.最近,このZIP4の亜鉛依存的なエンドサイトーシスには,ZIP4の膜貫通領域IIIとIVの間に位置する細胞質loop内に存在するLue-Gln-Leu(LQL)の配列が重要であることが示されたが,その後の分解に至る過程については不明である(28)28) C. Zhang, D. Sui, T. Zhang & J. Hu: Cell Rep., 31, 107582 (2020).

ZIP4によって消化管上皮細胞内に取り込まれた亜鉛は,細胞内をアピカル側からバソラテラル側に輸送され,門脈に放出される.この門脈への排出は,バソラテラル膜(側底膜)に発現するZNT1によって担われる(図4図4■消化管上皮細胞におけるZIP4とZNT1の発現制御を介した亜鉛吸収の調節).ZNT1は,亜鉛レベルが増加すると細胞膜に蓄積し,細胞外への亜鉛の排出に機能する.一方,亜鉛レベルが減少すると細胞表面からエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ,分解を受ける(29)29) Y. Nishito & T. Kambe: J. Biol. Chem., 294, 15686 (2019)..すなわち,ZIP4とZNT1は全く逆の亜鉛応答性発現を示す.この上皮細胞内での亜鉛依存的なZIP4とZNT1の発現のバランスが,消化管での亜鉛吸収量を調節する上で重要であると考えられる(図4図4■消化管上皮細胞におけるZIP4とZNT1の発現制御を介した亜鉛吸収の調節).血中に放出された亜鉛は,アルブミンやα2マクログロブリンに結合し,末梢組織に運ばれる.

各組織の細胞の細胞膜にはさまざまなZIPが発現しており,血液を介して運ばれた亜鉛を細胞内に取り込んでいる.細胞内に取り込まれた亜鉛は,細胞質でMTや他の亜鉛タンパク質と結合する他,細胞小器官内腔や細胞内小胞へ輸送される.これらの応答は,細胞質の遊離亜鉛イオン濃度をナノM~ピコM(10−12M程度)の非常に低いレベルに厳密に維持する上で重要である(1, 3)1) T. Kambe, T. Tsuji, A. Hashimoto & N. Itsumura: Physiol. Rev., 95, 749 (2015).3) T. Kambe, Y. Yamaguchi-Iwai, R. Sasaki & M. Nagao: Cell. Mol. Life Sci., 61, 49 (2004)..動物細胞では,転写因子Metal response element binding transcription factor-1(MTF-1)が細胞内の亜鉛レベルの増加を関知し,Metal response element(MRE)を有する遺伝子の発現を誘導する(30)30) T. Kimura & T. Kambe: Int. J. Mol. Sci., 17, 336 (2016)..MREは,MTやZNT1のプロモーターに存在しており,MTは細胞質の過剰亜鉛と結合し,一方ZNT1は細胞膜に局在して細胞外への亜鉛排出を促進する.これらMTF-1を介した応答は,細胞レベルでの亜鉛恒常性の維持に不可欠な応答である.なお,ヒトでは11種のMTが発現しており(マウスでは4種),亜鉛恒常性を維持するために複雑な調節がなされていると考えられている.

細胞質の亜鉛は,上述したインスリン顆粒やシナプス小胞に輸送される他,細胞小器官である小胞体やゴルジ体(初期分泌経路)の内腔へ輸送される(図3B図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター).ZNTは亜鉛とプロトンの交換輸送体として機能することを上述したが,小器官の内腔のpHは酸性側に傾いているため,このZNTの亜鉛輸送様式は合目的である.初期分泌経路に輸送された亜鉛は,分泌経路の恒常性維持に用いられる他,さまざまな分泌型・膜結合型亜鉛酵素群に供給され,アポ型からホロ型への変換,すなわち酵素の活性化に利用される(31)31) T. Kambe: Biochemistry, 59, 74 (2020).図3図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター).

亜鉛トランスポーターが関わる疾患

現在,先天性亜鉛欠乏症として2つの疾患が知られている(表1表1■変異・SNPが疾患の発症と関連することが示されている亜鉛トランスポーター).一つは,上述のZIP4の変異が原因となる腸性肢端皮膚炎(AE)である.もう一つは,母親の分泌する母乳中の亜鉛量が少ないために,母乳保育された乳児が亜鉛欠乏症に陥る一過性乳児亜鉛欠乏症(Transient neonatal zinc deficiency)である(32)32) T. Kambe, K. Fukue, R. Ishida & S. Miyazaki: J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo), 61(Suppl), S44 (2015)..後者の疾患の原因は,母乳中に亜鉛を輸送する役割を果たすZNT2の変異である.通常,母乳には乳児の成長のために多量の亜鉛(分娩後一ヶ月間は,母親血清中の3~5倍濃度の亜鉛)が含まれるが,本疾患は,母乳中の他の栄養素の分泌には全く影響せず,亜鉛濃度の低下のみが原因となり発症する.この事実は,乳児の発育における亜鉛栄養の重要性を明確に示している.

表1■変異・SNPが疾患の発症と関連することが示されている亜鉛トランスポーター
遺伝子名タンパク質臨床所見
SLC30A2ZNT2一過性乳児亜鉛欠乏症:皮膚炎,下痢,成長遅延(原因は,母親が分泌する低亜鉛母乳)
SLC30A3ZNT3熱性けいれんのリスク上昇,アルツハイマー病の発症(コピー数多型)
SLC30A5ZNT5致死性不整脈
SLC30A8ZNT8SNP(rs1326663)が2型糖尿病の発症リスクを上昇
SLC30A10ZNT10高マンガン血症を伴うジストニア,パーキンソン症候群
SLC39A4ZIP4腸性肢端皮膚炎(亜鉛欠乏):皮膚炎,下痢,成長遅延
SLC39A5ZIP5強度近視
SLC39A7ZIP7無ガンマグロブリン血症:感染に対する抵抗力の低下
SLC39A8ZIP8先天性グリコシル化異常症(マンガン欠乏),SNP(rs13107325)が高血圧や肥満,HDLコレステロールレベル,炎症性腸疾患の発症に関与
SLC30A12ZIP12自閉症スペクトラム障害(コピー数多型)
SLC30A13ZIP13エーラスダンロス症候群:結合組織の脆弱性
SLC30A14ZIP14高マンガン血症を伴うパーキンソン症候群

亜鉛トランスポーターの変異は,亜鉛とは関連するものの,亜鉛の補充によって治癒することのできない疾患も引き起こす(表1表1■変異・SNPが疾患の発症と関連することが示されている亜鉛トランスポーター(33, 34)33) T. Kambe, A. Hashimoto & S. Fujimoto: Cell. Mol. Life Sci., 71, 3281 (2014).34) T. Kambe, Y. Nishito & K. Fukue: Zinc transporters in health and disease. Molecular, Genetic, and Nutritional Aspects of Major and Trace Minerals Collins JF (ed). Elsevier, 283-291 (2016)..例えば,ZIP13の変異はコラーゲン等の結合組織に脆弱性を生じるエーラスダンロス症候群を,ZIP7の変異は細菌感染に罹りやすくなる無ガンマグロブリン血症を引き起こす.また,ZNT5の変異は致死性不整脈を発症し(35)35) J. K. Lieberwirth, P. Joset, A. Heinze, J. Hentschel, A. Stein, A. Iannaccone, K. Steindl, A. Kuechler & R. Abou Jamra: Eur. J. Hum. Genet., 29, 808 (2021).,ZNT3の変異は熱性けいれんのリスクを高める(36)36) M. S. Hildebrand, A. M. Phillips, S. A. Mullen, P. A. Adlard, K. Hardies, J. A. Damiano, V. Wimmer, S. T. Bellows, J. M. McMahon, R. Burgess et al.: Sci. Rep., 5, 17816 (2015).

また,ZIPとZNTの変異が引き起こす先天性疾患には,亜鉛代謝ではなく,マンガン代謝を破綻させ,重篤な症例を引き起こす例も存在する(37, 38)37) R. C. Balachandran, S. Mukhopadhyay, D. McBride, J. Veevers, F. E. Harrison, M. Aschner, E. N. Haynes & A. B. Bowman: J. Biol. Chem., 295, 6312 (2020).38) J. W. W. Winslow, K. H. Limesand & N. Zhao: Int. J. Mol. Sci., 21, 3304 (2020)..ZNT10やZIP14の変異は体内にマンガン蓄積を引き起こし,高マンガン血症を伴うジストニア・パーキンソン症候群(パーキンソン病に類似した症例を示す)を発症させる.一方,ZIP8の変異は逆に体内マンガン量の不足をまねき,先天性グリコシル化異常症を引き起こす.これは,多くの糖転移酵素がマンガン要求性であるため,糖鎖合成異常が生じることによる.ZIP8とZIP14, ZNT10は直接的にマンガンを輸送することができるが,この理由として,これらの3つのトランスポーターにおいて,ZIPやZNT間で保存されている膜貫通領域内の亜鉛イオン結合部位を形成するアミノ酸が1つ異なっていることが考えられている(6)6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021).図3A図3■後生動物で機能する亜鉛トランスポーター

ゲノム解析の進展から,ZIP・ZNTトランスポーター遺伝子の一塩基多型(SNP)がさまざまな疾患と結びつく例がいくつも報告されている.特に,注目を集めるSNPとしては,細胞質へ亜鉛(およびマンガン)を取り込むZIP8のSNP(rs13107325)があげられ,高血圧や肥満,HDLコレステロールレベル,炎症性腸疾患など複数の異なる形質に対する多面的関連を示す(39, 40)39) P. Chabosseau & G. A. Rutter: Arch. Biochem. Biophys., 611, 79 (2016).40) D. W. Nebert & Z. Liu: Hum. Genomics, 13(Suppl 1), 51 (2019)..また,インスリン顆粒に亜鉛を送り込むZNT8のSNP(rs1326663)が2型糖尿病の発症リスクを上昇させる例もよく知られる.他にも疾患との関わりが示唆される亜鉛トランスポーターのSNPが多数あり(表1表1■変異・SNPが疾患の発症と関連することが示されている亜鉛トランスポーター),全ゲノム解析の進展により,その数は,今後さらに増加していくと予想される.亜鉛トランスポーターの発現制御の破綻が,がん,神経変性疾患,糖尿病の発症に関与することを示す論文も多数報告されており,数多く存在する亜鉛トランスポーターの個々の機能を理解する意義は大きい.

おわりに

健康生活の実現には,亜鉛欠乏を予防することが肝要であるが,亜鉛の消化管における吸収効率は30%程度と低い.そのため,吸収量を増やすには,食事から十分量の亜鉛を摂取することに加え,消化管からの吸収率を高めることが理想的である.最近,我々は消化管において亜鉛吸収に機能するZIP4の発現を増加させるような食品因子を同定しているが(41)41) A. Hashimoto, K. Ohkura, M. Takahashi, K. Kizu, H. Narita, S. Enomoto, Y. Miyamae, S. Masuda, M. Nagao, K. Irie et al.: Biochem. J., 472, 183 (2015).,このような食品因子を活用して亜鉛吸収効率を高めた食事を提案することが,今後重要となるであろう.

亜鉛欠乏症は上述のように多様な症例を引き起こすが,それ以外に,慢性肝炎,リウマチ,うつ病なども亜鉛欠乏と関わることが示されている(1, 6, 11)1) T. Kambe, T. Tsuji, A. Hashimoto & N. Itsumura: Physiol. Rev., 95, 749 (2015).6) T. Kambe, K. M. Taylor & D. Fu: J. Biol. Chem., 296, 100320 (2021).11) 一般社団法人日本臨床栄養学会:亜鉛欠乏症の診療指針2018, http://jscn.gr.jp/pdf/aen2018.pdf..したがって,亜鉛欠乏症が生じるメカニズムを明らかにすることは,健康長寿社会の実現に亜鉛を活用する意義を明確に示す上で重要である(42, 43)42) T. A. Takeda, S. Miyazaki, M. Kobayashi, K. Nishino, T. Goto, M. Matsunaga, M. Ooi, H. Shirakawa, F. Tani, T. Kawamura et al.: Commun. Biol., 1, 113 (2018).43) Y. Higashimura, T. Takagi, Y. Naito, K. Uchiyama, K. Mizushima, M. Tanaka, M. Hamaguchi & Y. Itoh: J. Crohn’s Colitis, 14, 856 (2020)..将来,このような研究が進展していくことを期待したい.

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