Kagaku to Seibutsu 60(6): 272-277 (2022)
解説
マイクロ波による触媒反応制御学理とその応用
Controlling the Catalytic Reaction by Microwaves: Theory and Applications
Published: 2022-06-01
マイクロ波照射により,物質高選択的に熱的非平衡反応場を形成し,化学反応を促進することができる.本稿では,マイクロ波が触媒反応を加速する機構の解明と,環境に調和した新化学プロセスへの応用研究について紹介する.
Key words: マイクロ波; 触媒; その場観察; バイオマス
© 2022 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2022 公益社団法人日本農芸化学会
マイクロ波は家庭用の電子レンジとして広く用いられ,家庭に1台なくてはならない電化製品となった.コンビニにいけば,1800Wクラスの高出力な電子レンジで1–2分「チン」すれば,どんなお弁当でもだいたい温まる.このように生活に便利な電子レンジだが,今,カーボンニュートラルな化学プロセスの一翼を担う技術として注目されている(1)1) Y. Wada, S. Tsubaki, M. M. Maitani, S. Fujii, F. Kishimoto & N. Haneishi: J. Jpn. Petrol. Inst., 61, 98 (2018)..産業革命以来,石炭,重油,天然ガスなどの化石資源を用いて駆動してきた化学産業が,再生可能エネルギーの普及が進む昨今,電気をエネルギーとして用いるプロセスに転換されようとしている.化石資源の燃焼に伴う大気中の二酸化炭素濃度の増加や,PM2.5をはじめとする大気汚染物質の増加が問題となってきたが,電化された産業プロセスでは,このような環境への負荷も低減される.
マイクロ波は一般的に300 MHz~30 GHz(波長)の電磁波の総称であり,主にレーダーや携帯電話やWIFIなどの通信で用いられる.ISM(Industrial Science and Medical)バンドと呼ばれる特定の周波数(13 MHz注1注1 300 MHz~30 GHzの帯域はマイクロ波と呼ばれる.一方,300 MHz以下の帯域は高周波と呼ばれる.,27 MHz注1注1 300 MHz~30 GHzの帯域はマイクロ波と呼ばれる.一方,300 MHz以下の帯域は高周波と呼ばれる.,915 MHz, 2.45 GHz, 5.8 GHz, 24 GHz)注2注2 産業,研究,医療用途に利用可能な周波数.国や地域によって,周波数が一部異なる.ISMバンド以外の周波数は電波法で漏洩が厳しく制限されている.が加熱用途への使用を認められている.マイクロ波の電場成分による物質の発熱機構は,双極子の配向緩和に伴う誘電損失,およびイオンや電子の導電損失で説明される.マイクロ波の磁場成分を用いると,磁性損失を有する材料を加熱することもできる.さらに,物質のマイクロ波吸収特性は,物質の組成,構造,温度,マイクロ波の周波数などに依存して変化する.
こうした,マイクロ波吸収特性をうまく使うことで,マイクロ波による化学反応をデザインすることができる.固–気や固–液不均一系触媒反応において,マイクロ波は気相や液相を透過して固体触媒に到達し,触媒選択的な加熱が生じる.従来の化学反応は,反応容器や溶媒,触媒全体を加熱していたが,マイクロ波では固体触媒上で反応に必要となるエネルギーのみを供給し,反応することができる.特に,吸熱反応においてマイクロ波加熱効果が大きく,反応中の触媒層温度の低下を防ぐことができる.一方,マイクロ波照射下の固体触媒には,従来のマクロな領域を対象とした温度計測手法では観測することができない,微小な領域の局所高温場が生じ,反応が促進していると推測されてきた.こうした局所高温反応場は,「ホットスポット」や「非平衡局所加熱」とも呼ばれ,触媒反応温度が低減される大きな要因であると考えられてきた.しかし,触媒の「どこ」に「どの程度」の温度勾配が生じているのか,これまで十分にわかっていなかった.
著者らはマイクロ波による固体触媒反応の加速機構を明らかにするため,マイクロ波で局所的な高温場を観測する「その場」観察装置を開発し,触媒上に生じる局所高温場を正確に見積もってきた.また,触媒構造や電磁場を工夫することによって,触媒上にマイクロ波エネルギーを集中させ,触媒反応を制御することも可能になりつつある.本稿では,マイクロ波による触媒反応加速機構がどこまで理解されてきたのか,そして,どのように化学反応に応用されつつあるのか,マイクロ波研究の最前線を概説する.
マイクロ波による反応促進を理解するためには,実際に反応中の触媒を「その場」で観測し,触媒上でどのような変化が生じているのか理解する必要がある.これまでのマイクロ波装置は,マグネトロンを搭載した電子レンジ型の装置が主流であった.マグネトロンは大出力で廉価という特徴があるものの,発振中に周波数や出力が揺動するなど,マイクロ波の発振条件が安定しない.こうした,不安定なマイクロ波条件が,いわゆる「マイクロ波特殊効果」の一因となっているとの指摘もある(2)2) S. Horikoshi, T. Watanabe, A. Narita, Y. Suauki & N. Serpone: Sci. Rep., 8, 5151 (2018)..そこで,著者らは半導体マイクロ波増幅器を搭載し,厳密に規定されたマイクロ波照射条件において,「その場」観察ができる顕微分光マイクロ波反応装置を開発した.従来,通信・レーダー用途で用いられてきた半導体式のマイクロ波増幅器は,近年の技術革新により出力が向上し,加熱用途にも利用できるようになってきた.マイクロ波加熱に半導体発振器を用いると,周波数,位相,出力を,精密に制御することができる.また,試料をマイクロ波加熱するための空洞共振器には,各種分光分析やガス流通が可能な窓穴を設けている.本装置によって,マイクロ波照射条件を精密に制御しつつ,in situでX線吸収微細構造(XAFS)(3)3) T. Ano, S. Tsubaki, A. Liu, M. Matsuhisa, S. Fujii, K. Motokura, W.-J. Chun & Y. Wada: Commun. Chem., 8, 86 (2020).やラマン分光測定ができるようになった(4~6)4) S. Tsubaki, T. Matsuzawa, T. Higuchi, S. Fujii & Y. Wada: Chem. Eng. J., 433, 133603 (2022).5) S. Tsubaki, T. Higuchi, T. Matsuzawa, S. Fujii, M. Nishioka & Y. Wada: ACS Omega, 5, 31957 (2020).6) S. Tsubaki, T. Matsuzawa, E. Suzuki, S. Fuji & Y. Wada: Ind. Eng. Chem. Res., 59, 1781 (2020)..
担持金属触媒は,さまざま工業プロセスで用いられる,重要な触媒である.マイクロ波によって,担持金属触媒を介した反応が加速される事例が数多く報告されてきた.多くの場合,マイクロ波によって触媒担体に担持された金属ナノ粒子が直接加熱され,「ホットスポット」を形成することで,触媒反応が加速されると考えられてきた.一般的な金属酸化物担体のみではマイクロ波加熱されないが,金属ナノ粒子を担持することによって,マイクロ波の発熱が生じる.従来の赤外線を用いた温度計測手法では,光の回折限界以下のナノメートルスケールの担持金属ナノ粒子の局所温度を測定することは,不可能である.そこで,担持金属の電子状態や結合距離,配位数などを高選択的に分析することができるX線吸収微細構造(XAFS)を用いて,マイクロ波照射中の局所の温度を推測した.式(1)は,一回散乱の広域X線吸収微細構造(EXAFS)を示す.
本式中のσ2(デバイ・ワラー因子)には,構造因子と温度因子が含まれ,ナノ粒子の酸化状態や粒子径などの構造が変化しない条件においては,デバイ・ワラー因子の温度依存的な変化を,担持金属の局所温度の変化として,捉えることができる(図1A図1■(A)マイクロ波による担持金属ナノ粒子の選択加熱の概要(B)高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー BL-9Cに構築したマイクロ波in situ XAFS測定システム(C)マイクロ波照射中および電気炉加熱中のFT-EXAFSスペクトル.昇温に伴い,電気炉ではPt-Pt結合に由来するピーク強度が徐々に減衰するが,マイクロ波では急減衰する(D)デバイ・ワラー因子から求めた担持金属触媒の局所温度分布(3)).精密に制御したマイクロ波照射条件下で,担持金属触媒のin situ XAFS測定を行い,温度依存的なデバイ・ワラー因子を得ることによって,担持金属の局所温度を求めることができる(図1B図1■(A)マイクロ波による担持金属ナノ粒子の選択加熱の概要(B)高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー BL-9Cに構築したマイクロ波in situ XAFS測定システム(C)マイクロ波照射中および電気炉加熱中のFT-EXAFSスペクトル.昇温に伴い,電気炉ではPt-Pt結合に由来するピーク強度が徐々に減衰するが,マイクロ波では急減衰する(D)デバイ・ワラー因子から求めた担持金属触媒の局所温度分布(3))(3)3) T. Ano, S. Tsubaki, A. Liu, M. Matsuhisa, S. Fujii, K. Motokura, W.-J. Chun & Y. Wada: Commun. Chem., 8, 86 (2020)..
本装置を用い,マイクロ波照射下で,アルミナ担持白金触媒(Pt/Al2O3)やシリカ担持白金触媒(Pt/SiO2)のPt-LIII edgeのin situ XAFS測定を行った.図1C図1■(A)マイクロ波による担持金属ナノ粒子の選択加熱の概要(B)高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー BL-9Cに構築したマイクロ波in situ XAFS測定システム(C)マイクロ波照射中および電気炉加熱中のFT-EXAFSスペクトル.昇温に伴い,電気炉ではPt-Pt結合に由来するピーク強度が徐々に減衰するが,マイクロ波では急減衰する(D)デバイ・ワラー因子から求めた担持金属触媒の局所温度分布(3)にPt/Al2O3およびPt/SiO2のマイクロ波照射中および電気炉加熱中のFT-EXAFSスペクトルを示す.電気炉ではPt-Ptの結合に由来するピークが徐々に減衰するが,マイクロ波で急激に減衰した.そこで,Ptナノ粒子のEXAFSスペクトルから,カーブフィッティングによりデバイ・ワラー因子を求め,温度に対してプロットすることで電磁波照射中の担持Ptナノ粒子の局所温度を推測した.Pt/Al2O3の場合,触媒バルク温度と担持Ptの間に26 Kの温度勾配が生じ,さらに,Pt/SiO2の場合には,担持Ptの局所と触媒バルクとの間の温度勾配は132 Kに達した(図1D図1■(A)マイクロ波による担持金属ナノ粒子の選択加熱の概要(B)高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー BL-9Cに構築したマイクロ波in situ XAFS測定システム(C)マイクロ波照射中および電気炉加熱中のFT-EXAFSスペクトル.昇温に伴い,電気炉ではPt-Pt結合に由来するピーク強度が徐々に減衰するが,マイクロ波では急減衰する(D)デバイ・ワラー因子から求めた担持金属触媒の局所温度分布(3)).すなわち,マイクロ波によって,固体触媒上に担持された金属ナノ粒子に特異的な局所高温場が形成されることを実証することができた.これにより,マイクロ波によって金属ナノ粒子に高選択的にエネルギーを集中した,革新的な化学反応が可能となる.触媒反応のみならず,マイクロ波による金属ナノ粒子の合成や接合などへの応用も期待される.
海水は純水と比較して電子レンジで加熱されやすいことが知られている.これは,マイクロ波の電場によってイオンが揺動する「導電損失」と呼ばれる機構で発熱が生じることによる.マイクロ波による導電損失はイオンの移動度によって決定されるため,触媒上のイオン種を調節することで,触媒へのエネルギー供給を制御できる.
そこで,導電損失によるマイクロ波吸収に優れたポリオオキソメタレート(別名:ヘテロポリ酸)のカチオンを交換することで,マイクロ波応答性触媒を調製した.水分解活性に優れた4核ルテニウムポリオキソメタレート(K+xRb+y[Ru4(μ-O)4(μ-OH)2(H2O)4(γ-SiW10O36)2]10−)のカチオンを,イオン伝導性の高いプロトン(H+)に交換することで,マイクロ波吸収性に優れたポリオキソメタレートの調製に成功した(図2A図2■(A)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートの複素誘電率のプロトン置換数依存性(B)プロトンリレー機構(C)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートと高周波化学反応装置による,水の酸化活性の向上(7)).プロトンは,いわゆる「プロトンリレー」と呼ばれる水分子のプロトンを次々と押し出すことで,見かけ上高速にイオン伝導する(図2B図2■(A)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートの複素誘電率のプロトン置換数依存性(B)プロトンリレー機構(C)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートと高周波化学反応装置による,水の酸化活性の向上(7)).対カチオンにイオン伝導性の高いプロトンを導入することにより,触媒活性に重要な4核ルテニウムを有するポリオキソメタレートアニオン構造を維持したまま,マイクロ波吸収特性が向上した.さらに,図2A図2■(A)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートの複素誘電率のプロトン置換数依存性(B)プロトンリレー機構(C)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートと高周波化学反応装置による,水の酸化活性の向上(7)に示されるように,300 MHz以下の高周波帯域において,吸収特性が増強される.従来の,市販マイクロ波反応装置は2.45 GHzなどのISMバンドに限られる.そこで,新たに平行平板コンデンサ型の200 MHzの高周波化学反応装置を開発した.プロトン置換ポリオキソメタレート触媒と,200 MHzの高周波を組み合わせて用いた場合に,水の酸化触媒活性が高まることを見出した(図2C図2■(A)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートの複素誘電率のプロトン置換数依存性(B)プロトンリレー機構(C)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートと高周波化学反応装置による,水の酸化活性の向上(7)).こうした現象は,2.45 GHzを照射した場合や,プロトンよりもイオン伝導率の低い重水素置換ポリオキソメタレートを触媒とした系では生じなかった.また,ポリオキソメタレートのプロトン置換数を上げるにつれて触媒活性が向上した.すなわち,プロトン置換による触媒のマイクロ波吸収特性の調節と,触媒の最適周波数である高周波の照射の相乗効果によって,化学反応を能動的に制御できることを実証した.
マイクロ波による特異的な反応加速効果を用いた,新たな化学反応プロセスへの展開が望まれる.バイオマス変換反応は,マイクロ波加熱が有効なプロセスの一つである.著者らは,一日に2倍以上に成長する大型の海藻バイオマス(ミナミアオノリ)を,マイクロ波照射とポリオキソメタレートを併用して,迅速かつ副反応を抑えながら加水分解する手法を確立した.本手法を用いることによって,海藻バイオマスから30%の高収率で,かつ,副生成物の生成を抑えながら単糖類や希少糖類を得ることができた(8)8) S. Tsubaki, K. Oono, M. Hiraoka, T. Ueda, A. Onda, K. Yanagisawa & J. Azuma: Green Chem., 16, 27 (2014)..さらに,本触媒を活性炭担体に担持し,マイクロ波吸収性固体酸触媒として反応に用いることも可能である(図3A図3■(A)マイクロ波を用いた活性炭担持ポリオキソメタレート触媒による糖鎖の加水分解(9)(B)マイクロ波による海藻バイオマスからの硫酸化多糖抽出(10)(C)半導体式マイクロ波を用いた,イナワラの「超」急速熱分解(11))(9)9) S. Tsubaki, K. Oono, M. Hiraoka, A. Onda & T. Mitani: Food Chem., 210, 311 (2016)..
マイクロ波を照射して,海藻バイオマスから迅速に糖鎖を抽出する方法も開発している.水熱条件でマイクロ波照射することにより,海藻バイオマスに含まれる硫酸化多糖を30–50%の高収率で得ることに成功した(図3B図3■(A)マイクロ波を用いた活性炭担持ポリオキソメタレート触媒による糖鎖の加水分解(9)(B)マイクロ波による海藻バイオマスからの硫酸化多糖抽出(10)(C)半導体式マイクロ波を用いた,イナワラの「超」急速熱分解(11)).本手法は,抽出助剤や緩衝溶液などを用いないため,抽出後の液体の精製が不要であり,多糖分離プロセスを大幅に簡略化することができる(10)10) S. Tsubaki, K. Oono, A. Onda, T. Ueda, T. Mitani & M. Hiraoka: RSC Advances, 7, 12346 (2017)..
さらに,半導体式マイクロ波増幅器を用いて高密度な電磁界を作り出すことで,従来はマイクロ波加熱が困難な物質でも,効率的に加熱することができるようになった.たとえば,半導体マイクロ波装置を用いると,リグノセルロース系バイオマスを数10秒で超急速に熱分解することができる(図3C図3■(A)マイクロ波を用いた活性炭担持ポリオキソメタレート触媒による糖鎖の加水分解(9)(B)マイクロ波による海藻バイオマスからの硫酸化多糖抽出(10)(C)半導体式マイクロ波を用いた,イナワラの「超」急速熱分解(11))(11)11) S. Tsubaki, Y. Nakasako, N. Ohara, M. Nishioka, S. Fujii & Y. Wada: Green Chem., 22, 342 (2020)..リグノセルロースの熱化学変換反応は,含水量が高く熱伝導性の低いリグノセルロースを500–1,000°Cの高温で熱分解するため,エネルギー効率が極めて低い.マイクロ波加熱を用いた場合,マイクロ波は反応器や気相を透過し,光の速度で直接バイオマスにエネルギーが供給されるため,バイオマスが効率的に加熱される.半導体式マイクロ波加熱装置により高密度な電磁場を発生させることで,リグノセルロースの昇温速度は最大330°C/secに到達した(図2図2■(A)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートの複素誘電率のプロトン置換数依存性(B)プロトンリレー機構(C)プロトン交換4核ルテニウムポリオキソメタレートと高周波化学反応装置による,水の酸化活性の向上(7)).「質」の高いマイクロ波を用いることで,バイオマスの効率的な加熱と分解が可能であることを実証した.
本稿においては,マイクロ波のよる触媒反応加速機構がどこまで理解されつつあるのか概説するとともに,海藻やリグノセルロース系バイオマスの変換反応を始め,さまざまな化学反応に有効であることを紹介した.産業の電化によるカーボンニュートラルの実現が強く求められる今,光化学や電気化学と並び,マイクロ波化学が,環境に調和した新しい反応制御手法として,ますます重要性が増すと考えられる.産業界でのマイクロ波化学プロセスの普及がますます活発になっている.学術界での,マイクロ波化学の学理体系のさらなる深化が望まれる.
Reference
2) S. Horikoshi, T. Watanabe, A. Narita, Y. Suauki & N. Serpone: Sci. Rep., 8, 5151 (2018).
4) S. Tsubaki, T. Matsuzawa, T. Higuchi, S. Fujii & Y. Wada: Chem. Eng. J., 433, 133603 (2022).
6) S. Tsubaki, T. Matsuzawa, E. Suzuki, S. Fuji & Y. Wada: Ind. Eng. Chem. Res., 59, 1781 (2020).
9) S. Tsubaki, K. Oono, M. Hiraoka, A. Onda & T. Mitani: Food Chem., 210, 311 (2016).
10) S. Tsubaki, K. Oono, A. Onda, T. Ueda, T. Mitani & M. Hiraoka: RSC Advances, 7, 12346 (2017).
11) S. Tsubaki, Y. Nakasako, N. Ohara, M. Nishioka, S. Fujii & Y. Wada: Green Chem., 22, 342 (2020).
注1 注1 300 MHz~30 GHzの帯域はマイクロ波と呼ばれる.一方,300 MHz以下の帯域は高周波と呼ばれる.
注2 注2 産業,研究,医療用途に利用可能な周波数.国や地域によって,周波数が一部異なる.ISMバンド以外の周波数は電波法で漏洩が厳しく制限されている.