解説

寄生性フジツボ(フクロムシ)の生物学寄生に特化した根・菌糸状の体を持つ動物の謎

Biology of Parasitic Barnacles: An Unique Root or Mycelia-like Barnacle Body Specialized for Parasitization

Keiju Okano

岡野 桂樹

秋田県立大学

Published: 2022-09-01

寄生性フジツボはおぞましい寄生性生物の代表格とされる.それは宿主をフジツボの栄養供給装置,扶育装置,乳母ロボットにしてしまうからである.宿主は栄養を搾取されるだけではなく,その生殖機能が抑制され,甲斐甲斐しく寄生性フジツボとその幼生を育てるために一生を捧げる.寄生された雄宿主の形態は疑似雌化し,フジツボ胚の扶育のために,雌が通常行う抱卵行動と類似の行動を行うようになる.本稿では,寄生性フジツボの概要を解説するとともに,我々が行っているトランスクリプトーム解析の結果を元に,インテルナによる栄養収奪やエクステルナへの栄養の輸送,および宿主制御に関する作業仮説を提示する.

Key words: 寄生; フクロムシ; 寄生性フジツボ; 宿主コントロール; 栄養吸収

始めに:寄生性フジツボとフクロムシ

寄生性フジツボ(根頭上目Rhizocephala)は,磯で見かけるフジツボと同じ鞘甲亜綱Thecostraca,蔓脚下綱Cirripediaに属する.一般的に,フジツボの仲間は岩や船底,発電所の取水口などに付着し,大きな被害をもたらすため,付着防除の観点から,「化学と生物」誌にたびたび登場してきた(1~5)1) 紙野 圭:化学と生物,42, 724 (2004).2) 岡野桂樹:化学と生物,45, 823 (2007).3) 北野克和:化学と生物,46, 666 (2008).4) 北野克和:化学と生物,57, 352 (2019).5) 沖野龍文:化学と生物,59, 16 (2021)..この仲間の特徴は付着に特化した柿の種のような形をしたキプリス幼生を持つことである(コラム参照).しかし,通常のフジツボと寄生性フジツボでは,付着後の体つくりやエネルギー獲得の方法が全く異なっている.

寄生性フジツボの和名はフクロムシである.寄生性フジツボという名称は,英語で一般的に使われているParasitic barnacle(6, 7)6) J. T. Høeg, C. Noever, D. A. Rees, K. A. Crandall & H. Glenner: Zool. J. Linn. Soc., 190, 632 (2019).7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).の和訳である.フクロムシというと,昆虫をイメージされる方が多いかもしれない.また,我々の主な研究対象は,発電所などに大きな被害をもたらすアカフジツボである(2, 8)2) 岡野桂樹:化学と生物,45, 823 (2007).8) 岡野桂樹:“フジツボ類の最新学”,恒星社厚生閣,2006, p.168..アカフジツボと寄生性フジツボが同じ仲間でありながら,どうしてその生存戦略も形態も全く異なるかに疑問を持ち,研究を進めている.そこで,ここでは和名のフクロムシではなく,敢えて寄生性フジツボという生物の分類群を強調した名称を使わせていただく.

寄生性フジツボの英語名で,もうひとつよく使われるのは,Rhizocephalan barnacleである.これは分類群の学名であるRhizocephala(根頭上目)(7, 9, 10)7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).に基づいている.根(Rhizo)のような頭(cephala)を持つフジツボという意味である(11)11) Rhizocephala-Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Rhizocephala. 2022..宿主体内で栄養を搾取するための構造が,根に似ていることに起因する.和名のフクロムシは,宿主腹部にフクロ状の生殖装置を形成することに注目した命名法である.

寄生性フジツボは,カニやヤドカリなどの甲殻類に寄生するが,カニを宿主とするものが良く知られている(6, 7, 10)6) J. T. Høeg, C. Noever, D. A. Rees, K. A. Crandall & H. Glenner: Zool. J. Linn. Soc., 190, 632 (2019).7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995)..寄生性フジツボは一生涯摂餌・消化器官を持たず,宿主から搾取した栄養だけに依存して生きる.寄生性フジツボ(フクロムシ)や,寄生生物に興味のある方は,わかりやすい紹介記事や成書があるので,それらをぜひご覧いただきたい(12~15)12) 吉田隆太:珍獣図鑑(7):成体≒卵巣?甲殻類に寄生しメス化させちゃう甲殻類,フクロムシの美学,http://hotozero.com/knowledge/animals_007/,2020.13) 高橋 徹:“フィールドの寄生虫学”,東海大学出版会,2004, p.81.14) 成田聡子:“したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち”,幻冬舎新書,2016, p.93.15) 成田聡子:“えげつない!寄生生物”,新潮社,2020, Case 06.

寄生性フジツボの成体:インテルナとエクステルナ

寄生性フジツボの成体(生殖可能となった個体を成体と定義,図1図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ)は,宿主内部に存在する構造(インテルナ,図1A1~4図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ)と,宿主体外に形成される構造(エクステルナ,図1B1~3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ)からなる(7, 9, 10)7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995)..インテルナは宿主から栄養を収奪し,エクステルナに栄養を供給するだけでなく,様々な宿主コントロールを行う.寄生機能の主軸を担い,寄生している状態では常に存在する(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右下).根または菌類の菌糸に似ていて(図1A1図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ),動物界には全く見られないユニークな構造である(16)16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001)..大部分は宿主の栄養吸収の重要な場である肝膵臓に絡みつくように存在(図1A2図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環矢印)(17)17) C. Noever, J. Keiler & H. Glenner: J. Sea Res., 113, 58 (2016).するが,脚などの動きを司る胸部神経節の周辺にも多い.植物のひげ根のようなものもあれば,主根と側根のようなものなど,形態はさまざまである(16)16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001)..我々が研究しているイソガニやイワガニに寄生するフクロムシ科(Sacculinidae)の寄生性フジツボ(18)18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018).では,植物のひげ根,または菌糸を想像させる(図1A1図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ).断面を見ると,インテルナはちくわ,またはきりたんぽのような形態(図1A3, A4図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ)をしている.中央にはルーメン(エクステルナに続く導管様の構造,図1A3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化点線と矢印,A4矢印)を有し,宿主の体液に接する外側には薄いキチン層を持つ(16)16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001)..文献では2層の細胞層からなると報告されている(16)16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001).が,少なくとも我々の研究対象では,それほどはっきりした2層構造ではなく,比較的自由な,一見無秩序にも見える不思議な細胞構築を有する.

図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ

詳細は本文参照.

図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環

詳細は本文参照.

エクステルナ(図1B1~3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ(7, 9, 10, 18, 19)7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018).19) F. Alvarez, J. L. Bortolini & J. T. Høeg: J. Morphol., 271, 190 (2009).は,インテルナが生殖可能な状態になると,宿主の腹部に形成される袋状の生殖のための構造である(図1B1図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ).腹部に形成されるというと穏やかだが,実際は腹部の,カニの場合は腹部が折りたたまれたふんどしと言われる部分の,クチクラを突き破って形成される(図1B1図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ).昔,エイリアンが人の胸部を突き破って突如姿を現す映画にぞっとしたことがあるが,その作者は寄生性フジツボのことを知っていたのではないかと思うほどである.

一見無秩序で単純そうに見えるインテルナの構造とは対照的に,エクステルナは複合的な構造をしている(図1B2, B3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ(9, 10, 18, 19)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018).19) F. Alvarez, J. L. Bortolini & J. T. Høeg: J. Morphol., 271, 190 (2009)..外側は外套部と呼ばれる.出入口(開口部)のある頑強なキチン質でできた袋(殻)である.開口部は海水で満たされた外套腔と外部の海水をつなぐ部分で,後で述べる雄のキプリス幼生侵入のための入口であり,また,孵化したノープリウス幼生を孵出する際の出口である.外套部のキチン質の下には発達した筋肉があり,エクステルナを収縮弛緩させ,開口部を通じて外套腔に海水を出し入れし,外套腔内の胚の発生や幼生の孵出を助ける.外套腔は胚発生の場で,受精前は海水で満たされ狭い(図1B3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ左)が,胚の発達につれてエクステルナの大部分を占めるようになる(図1B3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ右).その内側に卵巣があり,その下部に精子を格納するリセプタクルというユニークな構造がある(図1B2, B3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ(9, 10, 18)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018).

寄生性フジツボの生活環

寄生性フジツボの生活環は,海中を漂ってプランクトン生活を送る幼生期(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環左)と,宿主に寄生して存在する寄生期(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右)からなる.寄生期においては,インテルナが宿主内部で生殖可能な状態に発達するまでの時期に起こる出来事(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右下)と,宿主外部(腹部)にバージンエクステルナを形成し,エクステルナが成熟し,受精と胚発生をエクステルナの外套腔内で行う生殖期に起こる出来事(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右上)に分けて示した.性別という点に着目して生活環を見ると,宿主に寄生した状態では,インテルナもエクステルナの大部分も雌である(9, 10, 14)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).14) 成田聡子:“したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち”,幻冬舎新書,2016, p.93..雄の細胞はエクステルナのリセプタクル中にある精細胞だけである(9, 10)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).

卵巣内の卵が成熟し,受精可能な状態になると,卵巣から外套腔への排卵が起こる.同時に成熟した精子がリセプタクルから外套腔に放出され,外套腔内で受精が起こる(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右上)(9, 10)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995)..受精時に雄雌の性別を獲得した受精卵は,発生が進む(図1B3図1■寄生性フジツボのインテルナとエクステルナ図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化右)と,甲殻類に典型的なノープリウス幼生となり孵出する(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環左上)(10, 18)10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018)..孵出したノープリウス幼生は脱皮を数回繰り返し,フジツボの仲間に特徴的な柿の種のような形をし,付着に特化したキプリス幼生となる(18, 20)18) M. Kobayashi, Y. H. Wong, M. Oguro-Okano, N. Dreyer, J. T. Høeg, R. Yoshida & K. Okano: J. Crustac. Biol., 38, 329 (2018).20) J. T. Høeg, D. Maruzzo, K. Okano, H. Glenner & B. K. K. Chan: Integr. Comp. Biol., 52, 337 (2012)..したがって,受精卵と発生中の胚,ノープリウス幼生,キプリス幼生の時には雌雄がある.キプリス幼生の雌雄は特に重要である.キプリス幼生の雌雄によって,付着場所が異なるからである(9,10,20~23)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).20) J. T. Høeg, D. Maruzzo, K. Okano, H. Glenner & B. K. K. Chan: Integr. Comp. Biol., 52, 337 (2012).21) R. Yanagimachi: Biol. Bull., 120, 272 (1961).22) J. T. Høeg: Acta Zool., 66, 1 (1985).23) J. T. Høeg: Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 317, 47 (1987)..すなわち,雌のキプリス幼生はカニなどに付着し,宿主体内でインテルナを形成する(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右下)(20, 22, 24)20) J. T. Høeg, D. Maruzzo, K. Okano, H. Glenner & B. K. K. Chan: Integr. Comp. Biol., 52, 337 (2012).22) J. T. Høeg: Acta Zool., 66, 1 (1985).24) H. Glenner: J. Morphol., 249, 43 (2001)..一方,雄のキプリス幼生はインテルナが生殖可能になり,宿主の腹部を突き破って形成されるバージンエクステルナの開口部に付着し,リセプタクル内で精子を生産するための精原細胞を供給する(23)23) J. T. Høeg: Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 317, 47 (1987)..付着してインテルナが成長し,バージンエクステルナが形成されるまでの時間はまちまちであるが,我々の系における実験室内の結果では,半年の時点では形成されなかった.カニを宿主とする場合,半年から数年という報告がある(25)25) G. Walker: J. Exp. Mar. Biol. Ecol., 106, 151 (1987)..したがって,海洋環境下での状況を考えると,付着時期の時間的なずれから見て,卵と精子は遺伝的にかけ離れたグループとなる可能性が高い.一方,広い海で雄のキプリス幼生が付着してくれる可能性は,かなり低くなってしまうかもしれない.その意味では生殖効率を無視し,遺伝的な多様性を追求したかに思える生殖形態である.

寄生性フジツボの最も興味深い問題の一つである雌雄の問題と,キプリス幼生雌雄の付着場所の違いを初めて見出したのは,発生学の泰斗であるハワイ大学の柳町隆三である.彼は哺乳類の発生学研究に進む前の1960年前後,北大大学院時代に,寄生性フジツボの受精卵や幼生に雄雌があり,付着する場所が異なることを証明し,寄生性フジツボの生活環の一番重要な部分の謎を明らかにした,寄生性フジツボ研究の先駆者でもある(21)21) R. Yanagimachi: Biol. Bull., 120, 272 (1961).

研究が進んでいるフクロムシ科(Sacculinidae)の寄生性フジツボで,付着後についてもう少し詳しく説明すると,雌のキプリス幼生は宿主カニに付着し,注入針を持つケントロゴン幼生となり,宿主内部にバーミゴン幼生を注入する(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右下)(20, 23, 24, 26)20) J. T. Høeg, D. Maruzzo, K. Okano, H. Glenner & B. K. K. Chan: Integr. Comp. Biol., 52, 337 (2012).23) J. T. Høeg: Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 317, 47 (1987).24) H. Glenner: J. Morphol., 249, 43 (2001).26) H. Glenner & J. T. Høeg: Nature, 377, 147 (1995)..バーミゴン幼生は宿主内部でインテルナとなって成長(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右下)し,生殖可能になるとバージンエクステルナという小さな袋状組織を,カニのフンドシ内部のキチン殻を破って形成する(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環右中央).一方,雄のキプリス幼生は,バージンエクステルナの開口部に付着し,トリコゴン幼生に変態し,リセプタクル内部に入り込み,そこに精原細胞を産み付ける(図2図2■寄生性フジツボ(フクロムシ科)の生活環中央の青矢印)(23)23) J. T. Høeg: Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 317, 47 (1987)..精原細胞を得たエクステルナは成長を開始し,成熟エクステルナ(mature externa)となる.成熟エクステルナは卵成熟を定期的に行い,数週間おきに受精と幼生孵出を繰り返す.一般的に,何回か幼生を孵出させた成熟エクステルナは御用済みとなり,脱落することが多い(27)27) T. Takahashi & S. Matsuura: Biol. Bull., 186, 300 (1994)..エクステルナが脱落すると,エクステルナが存在していた間は脱皮が抑制されていた宿主ガニは,脱皮が可能になる(27)27) T. Takahashi & S. Matsuura: Biol. Bull., 186, 300 (1994)..脱落して数か月たつと脱皮し,新たなバージンエクステルナを作り,新しい雄のキプリス幼生を迎え入れる準備に入る.そのため,インテルナは一生,宿主から搾取を続け,ある一定周期でエクステルナを形成し,子孫をつくり続ける.

寄生による宿主の変化:生物間相互作用

寄生性フジツボが寄生の典型例として恐れられるのは,寄生性フジツボが宿主を制御するやり方が過激なためである.寄生された宿主が受ける影響は,外部形態の変化,寄生去勢,エクステルナ存在下での脱皮抑制,および行動変化などが知られている(7,9,10,12~15)7) G. Walker: J. Morphol., 249, 1 (2001).9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).12) 吉田隆太:珍獣図鑑(7):成体≒卵巣?甲殻類に寄生しメス化させちゃう甲殻類,フクロムシの美学,http://hotozero.com/knowledge/animals_007/,2020.13) 高橋 徹:“フィールドの寄生虫学”,東海大学出版会,2004, p.81.14) 成田聡子:“したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち”,幻冬舎新書,2016, p.93.15) 成田聡子:“えげつない!寄生生物”,新潮社,2020, Case 06..ただし,これらの典型的な影響は,フクロムシ科の寄生性フジツボと宿主カニで見られるものが多く,ほかの生物に寄生する寄生性フジツボでは顕著ではないことも多い.寄生性フジツボは遺伝子的にみて大変多様な分類群(6)6) J. T. Høeg, C. Noever, D. A. Rees, K. A. Crandall & H. Glenner: Zool. J. Linn. Soc., 190, 632 (2019).であり,寄生による影響は,寄生種-宿主次第で大きく異なる.一概に議論するのはあまり意味がないことを断っておきたい.ここでは,我々の研究対象であるフクロムシ科3属3種の寄生性フジツボが,宿主であるイソガニに及ぼす影響を紹介する.

外部形態への顕著な影響は,雄ガニが寄生されたときに見られる(図3図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化).通常のイソガニでは,雄は雌に比べ,ハサミが大きく,フンドシ部分が狭いという顕著な外見上の違いがある(図3図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化左).寄生された雄ガニ(以下,寄生雄と称する)はハサミが小型化するとともにフンドシ部分が広がり,形態の疑似雌化が起こる(図3図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化右).一見して,ほとんど雌に見えるまでフンドシが平がった個体も見られるが,その場合でもペニスは存在するので,寄生雄が完全に雌化しているわけではない.また,成熟した雌は卵塊を支えるための腹肢があるが,寄生雄では,腹肢ができる場合もあるが,腹肢が形成されない場合も多い.一方,寄生雌の外部形態には,エクステルナがあるなしを除き,目立った形態変化は見られない.寄生雌でも,エクステルナが存在する個体では脱皮は見られず,エクステルナが脱落して次のバージンエクステルナが出現する直前に脱皮が起こるのは,雄雌の宿主に共通である.寄生性フジツボは,雌ガニの体の構造をそのまま利用しているように見える.

図3■寄生された雄ガニ形態の疑似雌化

詳細は本文参照.

寄生雌内部で顕著なのは,卵巣の極端な委縮である.秋田県男鹿半島では一般的なイソガニは,4月から9月ころの間に3回抱卵し,抱卵前には卵巣の劇的な発達が見られるが,その時期でも寄生雌の卵巣は委縮したままであった.一方,寄生雄においても精巣と輸精管は存在した.ただし,未寄生の雄では長期間にわたり輸精管中に成熟した精子が一杯詰まっているが,寄生雄の輸精管内での精子の発達はあまりみられなかった.寄生により生殖腺が抑制される現象は,寄生去勢と言われている(12~14)12) 吉田隆太:珍獣図鑑(7):成体≒卵巣?甲殻類に寄生しメス化させちゃう甲殻類,フクロムシの美学,http://hotozero.com/knowledge/animals_007/,2020.13) 高橋 徹:“フィールドの寄生虫学”,東海大学出版会,2004, p.81.14) 成田聡子:“したたかな寄生 脳と体を乗っ取り巧みに操る生物たち”,幻冬舎新書,2016, p.93..脳や胸部神経節が破壊される可能性も指摘されている(13)13) 高橋 徹:“フィールドの寄生虫学”,東海大学出版会,2004, p.81.が,少なくとも男鹿半島のイソガニやイワガニの場合,寄生されても未寄生個体と変わらない脳・胸部神経節が見られた.寄生されたカニの動きが遅くなるという印象はなく,餌取りや逃避行動などほぼすべての行動は,未寄生のカニと同様である.宿主の神経系がほぼ完全に維持できている可能性は高い.

それにも関わらず,寄生に伴う顕著な行動変化は起こる.寄生雄のエクステルナから寄生性フジツボのノープリウス幼生が孵出するビデオを撮った時に驚いたのは,エクステルナが収縮弛緩を繰り返して幼生を孵出(図4図4■寄生された雄ガニにおける寄生性フジツボ幼生孵出を補助する行動(フラップ行動)下黒矢印)するだけではなく,宿主のフンドシ部分が激しく,開いたり閉じたりするフラップ行動(図4図4■寄生された雄ガニにおける寄生性フジツボ幼生孵出を補助する行動(フラップ行動)下点線矢印,Abdominal flapping)を繰り返し,幼生孵出を助けているように見えたことであった(図4図4■寄生された雄ガニにおける寄生性フジツボ幼生孵出を補助する行動(フラップ行動)).

図4■寄生された雄ガニにおける寄生性フジツボ幼生孵出を補助する行動(フラップ行動)

詳細は本文参照.

フンドシ部分のフラップ行動は,雌ガニの抱卵期に見られる特徴的な行動で,腹部の卵塊に酸素を供給する行動とされている(28)28) J. A. Baeza & M. Fernández: Funct. Ecol., 16, 241 (2002)..しかし,寄生カニでは,雌雄を問わず寄生フジツボの幼生孵出時に見られる.また,未寄生の雌が幼生孵出する際,岩の上につま先立ちになるような行動をするが,寄生カニは雌雄を問わず,フジツボ幼生孵出時に同様の行動を行うようになることも有名である(13, 29)13) 高橋 徹:“フィールドの寄生虫学”,東海大学出版会,2004, p.81.29) T. Takahashi, A. Iwashige & S. Matsuura: Crustac. Res., 26, 153 (1997)..さらに,エクステルナについた汚れを落とすような行動(30)30) L. E. Ritchie & J. T. Høeg: J. Crustac. Biol., 1, 334 (1981).がみられることもあった.したがって,寄生カニは,雄雌を問わず,エクステルナを自分の卵塊と誤って認識し,エクステルナの汚れをとり,エクステルナに酸素を送り,幼生孵出を助ける行動を行うように思える.寄生性フジツボから放出される何らかの因子により,内分泌系が制御されることで,雌において本来パターン化されている生得的な産卵関連行動が,寄生カニで惹起・誘導されるのだろうか.

トランスクリプトーム解析から見るインテルナ

インテルナは宿主の主な消化器官である肝膵臓に巻き付くように存在し,19世紀の発見以来,宿主の体液から栄養を吸収し,生殖器であるエクステルナに栄養を供給するための構造であるとされている(9, 10, 16)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001)..また,宿主制御もインテルナから放出される因子によると考えられている(9, 10, 16)9) J. T. Høeg: “Microscopic Anatomy of Invertebrates Volume 9: Crustacea Wiley-Liss, 1992, p313.10) J. T. Høeg: J. Mar. Biol. Assoc. U. K., 75, 517 (1995).16) J. Bresciani & J. T. Høeg: J. Morphol., 249, 9 (2001)..インテルナには,栄養吸収器官も老廃物を捨てるための排泄器官もない.枝分かれした根や菌糸のような構造の特徴を考えると,インテルナ自体が栄養を吸収し,老廃物を捨て,宿主制御を行う上で最適な構造となっていると考えられる.色素や抗体の透過性からみると,インテルナの表層のキチン層では,高分子の物質の透過は制限されるものの,低分子の物質は自由に出入りできる.したがって,インテルナで発現する低分子の分泌タンパク質(ペプチド)の解析は,寄生性フジツボにおける栄養吸収・栄養の輸送・宿主制御の概略を知るうえで重要である.

本稿では,ヤツフクロムシとイソガニの系で,インテルナ特異的に高発現する遺伝子群の中で,N末端にシグナルペプチドを持つ分泌タンパク質,および膜貫通領域を持つ膜タンパク質をコードするグループの解析結果を基に,インテルナの働きを考えてみたい(Wong, Okano et al., 投稿準備中).もちろん,トランスクリプトームのアノテーションはホモロジー検索に基づき,ホモログにはオルソログもパラログも存在する.配列が似ているから同じ機能を持つと考えるのは,明らかに言い過ぎである.以下の解析に基づく機能的な推定は,インテルナでの栄養の搾取,エクステルナへの栄養の輸送,および宿主制御に関する一つの作業仮説(図5図5■インテルナ機能のモデル)として紹介させていただきたい.

図5■インテルナ機能のモデル

生物(細胞)の主要なエネルギー源はグルコースである.カニの体液中には,トレハロースに加え,グルコースも十分量存在する(31)31) Q. Shi & J. S. Chung: Gene, 536, 105 (2014)..寄生性フジツボでもGLUT4ファミリーに属するグルコースを輸送する受動的ユニポーターホモログ(32)32) R. Li, J.-Z. Tian, M.-R. Wang, L.-N. Zhu & J.-S. Sun: Biol. Open, 6, 1279 (2017).が,インテルナでもエクステルナでもきわめて高発現している.カニ体液中のグルコースが寄生性フジツボの細胞外液に達し,インテルナとエクステルナのすべての細胞がグルコーストランスポーターを使ってグルコースを細胞内に取り込むことで,エネルギー源とすると考えるのは妥当だろう(図5図5■インテルナ機能のモデル上).解糖系の酵素もそろって高発現している.また,インテルナでもエクステルナでも,グリコーゲンの形で貯蔵するための遺伝子群は発現している.

面白いのはトレハロースである.トレハロースは哺乳類以外で一般的にみられるグルコースの貯蔵形態で,昆虫ではエネルギー源として確立している(33, 34)33) K. Liu, Y. Dong, Y. Huang, J. L. Rasgon & P. Agre: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 17504 (2013).34) E. Shukla, L. J. Thorat, B. B. Nath & S. M. Gaikwad: Glycobiology, 25, 357 (2015)..カニ体液中の主要な糖でもある(31)31) Q. Shi & J. S. Chung: Gene, 536, 105 (2014)..インテルナには3種のトレハローストランスポーターが特異的に高発現している一方,不思議なことにトレハラーゼ(34)34) E. Shukla, L. J. Thorat, B. B. Nath & S. M. Gaikwad: Glycobiology, 25, 357 (2015).はほとんど発現していない.インテルナで,グルコースに分解できないトレハロースを,せっせと取り込むのはなぜなのだろうか.トレハローストランスポーターもGLUTファミリーに属し,受動輸送体でトレハロースの濃度勾配により輸送する.そこで,トレハローストランスポーターは,体液側からルーメン側へのトレハロースの効率的な移動のために存在する可能性がある.事実,エクステルナでは,分泌性トレハラーゼは高発現しているものの,トレハローストランスポーターは発現していない.このことから,トレハロースはエクステルナ近傍に運ばれ,そこで分解されて,グルコースとして取り込まれると思われる.インテルナはせっせと使わないトレハロースを素通りさせ,エクステルナに供給するのである(図5図5■インテルナ機能のモデル上).

インテルナでは,分泌性,および膜貫通型消化酵素,分泌性のトリアシルグリセロールリパーゼやフォスフォリパーゼA2が特異的に高発現している.また,膜貫通型脂質トランスポーターも高発現している.したがって,インテルナが,カニの体液中に存在するタンパク質,脂質を低分子化して取り込む消化吸収装置として働くと想定するのは問題ないだろう(図5図5■インテルナ機能のモデル上左).

圧倒的に発現量が多かったのは3種のビテロゲニン(35)35) Z. Wu, L. Yang, Q. He & S. Zhou: Front. Cell Dev. Biol., 8, 593613 (2021).ホモログであった.これらはfpkm値が5桁,またはそれに近い発現量を持ち,インテルナ発現遺伝子群の中でもトップクラスの発現量であった.インテルナはビテロゲニンを生産するための構造と言っても過言ではない.したがって,ビテロゲニン群はインテルナからエクステルナへの脂質,アミノ酸および無機イオンなどの輸送を担う本体と思われる(図5図5■インテルナ機能のモデル上右).興味深いのは,寄生性フジツボのビテロゲニンはカニ型(36)36) J.-C. Avarre, E. Lubzens & P. J. Babin: BMC Evol. Biol., 7, 3 (2007).ではなくむしろ昆虫に近いこと,エクステルナを除去すると,2種類のビテロゲニンホモログは激減するのに対し,残りの1種は変化しないことである(Takizawa and Okano,未発表).3種のビテロゲニンホモログの機能解析は,インテルナの働きの一端を明らかにする上で有用であると思われる.

甲殻類における主要なホルモンは,脂溶性のMF(methyl farnesol,昆虫の幼若ホルモンに相当)とエクダイソン(37)37) K. Toyota, F. Yamane & T. Ohira: Front. Endocrinol., 11, 475 (2020).,およびペプチドホルモン(38)38) 長澤寛道:“生物有機化学—生物活性物質を中心に— 第2版”,東京化学同人,2019, p. 102.である.インテルナ特異的に発現するホルモン関連遺伝子は,興味深いことに栄養・生殖・脱皮などとの関連が強いCHH(crustacean hyperglycemic hormone)(39)39) H. Chen, J. Toullec & C. Lee: Front. Endocrinol., 11, 578958 (2020).,インスリン様ペプチド(40)40) A. Mizoguchi & N. Okamoto: Front. Physiol., 4, 217 (2013).,ニューロパーシン(41)41) S. P. Yang, J.-G. He, C. B. Sun & S. F. Chan: FEBS Open Bio, 4, 976 (2014).,低分子JH結合タンパク質(42)42) R. Suzuki, Z. Fujimoto, T. Shiotsuki, W. Tsuchiya, M. Momma, A. Tase, M. Miyazawa & T. Yamazaki: Sci. Rep., 1, 133 (2011).,エクダイソンと結合する可能性のあるMD-2ドメインタンパク質(43)43) S. H. Choi, J. Kim, A. Gonen, S. Viriyakosol & Y. I. Miller: Biochem. Biophys. Res. Commun., 470, 877 (2016).などであった(図5図5■インテルナ機能のモデル中央).これらがインテルナ内部のシグナリングとして機能するのか,それとも宿主コントロールのための生物間シグナルなのか,または両方で働くのかは興味深い(図5図5■インテルナ機能のモデル).

最後に

その特異さが強調されることが多い寄生現象だが,海洋環境下では一般的な共生現象・生物間相互作用のひとつである.ただし,寄生性フジツボを含め,多くの海洋寄生生物が宿主内にいるとき,その寄生は眼に見えない.いわゆる研究しにくい生物の典型ではあるが,海洋生態系や生物分布の重大な制限要因となっている可能性は大いにある.逆にこの困難さを乗り越える技術的な進歩があれば,大きく発展する可能性のある興味深い研究分野であることを,最後に指摘しておきたい.

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