解説

ATP-graspリガーゼによって生産される環状ペプチド多様な構造を生み出す生合成システム

Cyclic Peptides Produced by ATP-grasp Ligase: Biosynthetic System that Produces Various Structures

Shinya Kodani

小谷 真也

静岡大学学術院農学領域

Published: 2022-10-01

バクテリアやカビは多種多様な二次代謝産物を生産する.その中に,生合成の特徴からリボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチドという名前で呼ばれるペプチドがある.その生合成において,リボソームで翻訳され生産されるペプチドが酵素による修飾を受け,異常アミノ酸の合成や環化が起こる.近年,この中に,ATP-graspリガーゼによって修飾を受け,エステルまたはイソペプチド結合の形成を通して環化されるペプチドの一群(graspetides)があることが知られてきた.このペプチドの中には,強力なプロテアーゼ阻害活性を有するものがあり,注目を集めている.近年,ゲノムマイニングによって広くバクテリアが,このクラスのペプチドの生合成遺伝子クラスターを有していることが明らかとなり,分子内結合の架橋パターンによって分類がなされている.同時に,異宿主生産等の手法で,graspetideの生産および構造決定がなされるようになってきた.最近の知見を交えながら,その生合成と,それを利用した環状ペプチド生産に関して解説する.

Key words: 環状ペプチド; ATP-graspリガーゼ; 異宿主生産; リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド; 二次代謝

環状ペプチドgraspetideの生合成

リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド(RiPPs: Ribosomally synthesized and post-translationally modified peptides)はバクテリアやカビによって生産されるペプチドでリボソーム翻訳系によって生合成される天然物の総称である.20以上のクラスに分けられ,その中には,ランチペプチド,チオペプチドなど多様な構造を有するペプチドが含まれる.基本的に,RiPPsのベースとなるペプチドのアミノ酸配列は,ゲノムやプラスミドにコードされた前駆体ペプチドのアミノ酸配列と同じであるため,ポリケタイドのような他の天然物に比べて,遺伝情報から化学構造を予測しやすい.NCBI等のデータベースにおいて,バクテリアやカビのゲノム情報は飛躍的に増えており,ゲノムマイニングによる新たな天然物化学のターゲットとしてRiPPsは注目を集めている.そのRiPPsの中に,ATP-graspリガーゼによって生産される環状ペプチドの一群がある.一般的に,ATP-grasp酵素とは,ATP-graspモチーフ(複数のドメインからなる包み込むようなATP結合部位)をもつ酵素の総称であり,このモチーフを有し,化学結合の形成を触媒する酵素をATP-graspリガーゼと呼称する.このRiPPs生合成に関与するATP-graspリガーゼはエステルまたはイソペプチド結合の形成反応を触媒する.このクラスのペプチドは,ωエステル含有ペプチドという名前が提唱されたが(1)1) H. Lee, M. Choi, J. U. Park, H. Roh & S. Kim: J. Am. Chem. Soc., 142, 3013 (2020).,後にgraspetideという名前が付けられた(2)2) M. Montalban-Lopez, T. A. Scott, S. Ramesh, I. R. Rahman, A. J. van Heel, J. H. Viel, V. Bandarian, E. Dittmann, O. Genilloud, Y. Goto et al.: Nat. Prod. Rep., 38, 130 (2021).

このクラスのペプチドの生合成遺伝子は,基本的に前駆体ペプチド遺伝子およびATP-graspリガーゼ遺伝子を最低限含んでいる(図1図1■Graspetideの生合成).その生合成は非常にシンプルであり,まず,40–100残基程度のアミノ酸からなる前駆体ペプチドがリボソームにより生合成される.N末端側のリーダーペプチドはATP-graspリガーゼ認識部位となっている.C末端側のコアペプチドにおいてATP-graspリガーゼの働きにより分子内結合が生じる.このクラスのペプチドにおいて,ATP-graspリガーゼの働きにより形成される結合は,エステル結合(ラクトン)または,イソペプチド結合(ラクタム)の2種類が知られている.図1図1■Graspetideの生合成のように,酸性アミノ酸(アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)の側鎖のカルボキシル基と,セリンまたはスレオニンの水酸基の間でエステル結合が生じる.また,同様に酸性アミノ酸の側鎖カルボキシル基と,リジンの側鎖アミノ基が反応すると,イソペプチド結合が生じる.コアペプチドの部分にこれらの分子内結合が複数導入されることで,多様な架橋パターンを有する環状ペプチドを作り出す.また,遺伝子クラスターによっては,リーダーペプチドを切除するプロテアーゼや,細胞外に排出するためのトランスポーターの遺伝子が存在する場合もある.

図1■Graspetideの生合成

前駆体ペプチドはN末端側にリーダーペプチド,C末端側にコアペプチドの2つの領域を持つ.リーダーペプチドは修飾酵素の認識部位であり,修飾はコアペプチドで起きる.

マリノスタチン(marinostatin)の発見とその生合成

Graspetideに分類されるペプチドの発見は,化合物レベルでは生合成が明らかになる以前からなされている.歴史的に最初のgraspetideはmarinostatin(図2図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造)であると考えられる.Marinostatinは,1986年に報告された海洋性細菌のAlgicola sagamiensis B-10-31株(当初はAlteromonas sp.とされていたが後に再分類された)が生産する12残基の環状ペプチドで,分子内エステル結合を2つ含み,セリンプロテアーゼの中でも特にサブチリシンを強く阻害する(3, 4)3) C. Imada, S. Hara, M. Maeda & U. Simidu: Nippon Suisan Gakkaishi, 52, 1455 (1986).4) C. Imada, M. Maeda, S. Hara, N. Taga & U. Simidu: J. Appl. Bacteriol., 60, 469 (1986)..その構造の特徴として,N末端から3番目のThrと9番目のAspおよび8番目のSerと11番目のAspの間において分子内エステル結合を2つ含有することがあげられる(図2図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造).プロテアーゼの阻害に関しては,分子内エステル結合の重要性が示唆されていたが,化学合成によって全合成がなされ(5)5) M. Taichi, T. Yamazaki, T. Kimura & Y. Nishiuchi: Tetrahedron Lett., 50, 2377 (2009).,その阻害様式について研究が行われている.構造活性相関の研究により(6)6) M. Taichi, T. Yamazaki, K. Kawahara, D. Motooka, S. Nakamura, S. Harada, T. Teshima, T. Ohkubo, Y. Kobayashi & Y. Nishiuchi: J. Pept. Sci., 16, 329 (2010).,3番目のThrと9番目のAspの間のエステル結合が阻害活性に必須であり,2つのエステル結合が存在することにより,より強い阻害活性を示すことが示された.marinostatin-subtilisin複合体の結晶構造の解析が行われ,その阻害は,酵素の基質結合部位の6つのポケットS4からS2′(S4, S3, S2, S1, S1′, S2′)に1番目のPheから6番目のTyrまでが結合して起こることが示唆された.Marinostatinの生合成遺伝子に関しては,1998年に海洋細菌Pseudoalteromonas sagamiensisのゲノムからクローニングされ,配列も報告されたが(7)7) K. Miyamoto, H. Tsujibo, Y. Hikita, K. Tanaka, S. Miyamoto, M. Hishimoto, C. Imada, K. Kamei, S. Hara & Y. Inamori: Biosci. Biotechnol. Biochem., 62, 2446 (1998).,この時点では,どのような生合成でエステル結合の形成が行われるか不明であった.筆者らは,この生合成遺伝子クラスター(前駆体ペプチド遺伝子mstAとATP-graspリガーゼmstBの2つの遺伝子,図3A図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター)をクローニングし,大腸菌で発現生産を行い,これらがmarinostatinの生合成遺伝子であることを証明した(8)8) K. Unno, H. Nakagawa & S. Kodani: Biosci. Biotechnol. Biochem., 85, 97 (2021).

図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造

青丸の囲いはエステル結合,赤丸の囲いはイソペプチド結合を示す.

図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター

黒が前駆体遺伝子,青がエステル結合を形成するATP-graspリガーゼ遺伝子,赤がイソペプチド結合を形成するATP-graspリガーゼ遺伝子,(D)microviridin Bの生合成経路,MdnCによって分子内に2つのエステル結合が生じ,MdnBによって1つのイソペプチド結合が生じる.

シアノバクテリアによって生産されるミクロビリジン(microviridin)類

シアノバクテリアは,毒成分のmicrocystinをはじめとして,多様なペプチド性の化合物を生産することが知られている.その中でも,graspetideに分類されるmicroviridin類は,三環性ペプチドであり,プロテアーゼ阻害活性のあるものが多数報告されている.最初のmicroviridinは,シアノバクテリアMicrocystis viridisから1990年に単離され(9)9) M. O. Ishitsuka, T. Kusumi, H. Kakisawa, K. Kaya & M. M. Watanabe: J. Am. Chem. Soc., 112, 8180 (1990).,その後多様なシアノバクテリアから類縁ペプチドであるmicroviridin類の単離が報告されている(10~15)10) T. Okino, H. Matsuda, M. Murakami & K. Yamaguchi: Tetrahedron, 51, 10679 (1995).11) H. J. Shin, M. Murakami, H. Matsuda & K. Yamaguchi: Tetrahedron, 52, 8159 (1996).12) M. Murakami, Q. Sun, K. Ishida, H. Matsuda, T. Okino & K. Yamaguchi: Phytochemistry, 45, 1197 (1997).13) T. Rohrlack, K. Christoffersen, P. E. Hansen, W. Zhang, O. Czarnecki, M. Henning, J. Fastner, M. Erhard, B. A. Neilan & M. Kaebernick: J. Chem. Ecol., 29, 1757 (2003).14) V. Reshef & S. Carmeli: Tetrahedron, 62, 7361 (2006).15) K. Fujii, K. Sivonen, E. Naganawa & K.-i. Harada: Tetrahedron, 56, 725 (2000)..構造の特徴は,分子内にエステル結合を2つ,イソペプチド結合を1つ含む三環性であることである(図2図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造).その後,microviridin Bが1995年に報告されエラスターゼに対して強力な阻害活性を持つことが示された(10)10) T. Okino, H. Matsuda, M. Murakami & K. Yamaguchi: Tetrahedron, 51, 10679 (1995).

一方で,microviridin類の生合成遺伝子に関しては長らく不明であった.2008年に,ほぼ同じ時期に2つの研究室から報告があり,microviridin Bの生合成遺伝子クラスターが,シアノバクテリアMicrocystis aeruginosaのゲノムから,およびmicroviridin Kの生合成遺伝子クラスターがシアノバクテリアPlanktothrix agardhiiのゲノムから発見された(16, 17)16) N. Ziemert, K. Ishida, A. Liaimer, C. Hertweck & E. Dittmann: Angew. Chem. Int. Ed., 47, 7756 (2008).17) B. Philmus, G. Christiansen, W. Y. Yoshida & T. K. Hemscheidt: ChemBioChem, 9, 3066 (2008)..それによって,microviridin BおよびKが,リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチドの生合成システムで合成されることが明らかとなった.Microviridin Bの生合成遺伝子クラスターには,前駆体ペプチド遺伝子mdnA, 2つのATP-graspリガーゼ遺伝子mdnBおよびmdnC,アセチルトランスフェラーゼ遺伝子mdnD,およびABCトランスポーター遺伝子mdnEを含む5つの遺伝子が含まれていた(図3B図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター(16)16) N. Ziemert, K. Ishida, A. Liaimer, C. Hertweck & E. Dittmann: Angew. Chem. Int. Ed., 47, 7756 (2008)..2つのリガーゼ酵素であるMdnBとMdnCは,分子内に2種類の結合(2つのエステル結合と1つのイソペプチド結合)を形成するための修飾酵素であった(18)18) T. K. Hemscheidt: Methods Enzymol., 516, 25 (2012)..興味深いことに,この2つの酵素は,それぞれ形成する結合が違う.MdnCは,分子内に2つのエステル結合を形成するが,MdnBは,イソペプチド結合を形成する(図3D図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター(19)19) K. Li, H. L. Condurso, G. Li, Y. Ding & S. D. Bruner: Nat. Chem. Biol., 12, 973 (2016)..さらに,アセチルトランスフェラーゼ遺伝子MdnDがN末端をアセチル化する.ABCトランスポーターMdnEは,細胞外への排出及び,プロセシングに不可欠であることが示された(20)20) A. R. Weiz, K. Ishida, K. Makower, N. Ziemert, C. Hertweck & E. Dittmann: Chem. Biol., 18, 1413 (2011)..また,in vitroでのmicroviridin類縁ペプチドの合成の実験が行われ,非天然型のmicroviridinが合成可能であることが示されている(20~24)20) A. R. Weiz, K. Ishida, K. Makower, N. Ziemert, C. Hertweck & E. Dittmann: Chem. Biol., 18, 1413 (2011).21) N. Ziemert, K. Ishida, A. Weiz, C. Hertweck & E. Dittmann: Appl. Environ. Microbiol., 76, 3568 (2010).22) Y. Zhang, K. Li, G. Yang, J. L. McBride, S. D. Bruner & Y. Ding: Nat. Commun., 9, 1780 (2018).23) M. N. Ahmed, E. Reyna-Gonzalez, B. Schmid, V. Wiebach, R. D. Sussmuth, E. Dittmann & D. P. Fewer: ACS Chem. Biol., 12, 1538 (2017).24) E. Reyna-Gonzalez, B. Schmid, D. Petras, R. D. Sussmuth & E. Dittmann: Angew. Chem. Int. Ed., 55, 9398 (2016)..また,メタゲノムアプローチをベースにフォスミドライブラリシステムを使用して新しいmicroviridinの生産が行われた(25)25) D. Gatte-Picchi, A. Weiz, K. Ishida, C. Hertweck & E. Dittmann: Appl. Environ. Microbiol., 80, 1380 (2014).

構造を比較してみるとmarinostatinとmicroviridin Bは,非常に類似している(図2図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造).Microviridin Bが2つのエステル結合,1つのイソペプチド結合を含むのに対し,marinostatinはエステル結合のみを分子内に含む.2つのペプチドの構造を比較してみるとイソペプチド結合を形成する部位のアミノ酸が,marinostatinではリジンではなく,イソペプチド結合を形成しないアルギニンとなっている.また,生合成遺伝子クラスターを見ると,Microviridin Bの遺伝子クラスターでは,ATP-graspリガーゼを2つ含み,それぞれのリガーゼが,エステル結合およびイソペプチド結合をそれぞれ形成する(図3B図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター).一方で,marinostatinのクラスターではATP-graspリガーゼを1つのみ含み,エステル結合のみを形成する(図3A図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター).淡水産シアノバクテリアと海洋細菌の間で,非常に類似した化合物および遺伝子クラスターが存在するのは興味深い.前駆体ペプチドとATP-graspリガーゼは,共進化を遂げてきたと考えられており,環境中での役割に興味が持たれる.これまでの研究で,microviridin Jに関してシアノバクテリアの捕食者であるミジンコの脱皮を阻害する活性が示されており,防御物質の可能性が示唆されている(26)26) T. Rohrlack, K. Christoffersen, M. Kaebernick & B. A. Neilan: Appl. Environ. Microbiol., 70, 5047 (2004).

ゲノムマイニングに基づく新しいミクロビリジン(microviridin)様ペプチドの異宿主生産

これまで,microviridin類は,分離源としてシアノバクテリアからのみ単離されている.近年のゲノムマイニング研究で,microviridin型ペプチドの生合成遺伝子クラスターは,シアノバクテリアのみならず,プロテオバクテリア,バクテロイデスのゲノムに広く分布していることが示された(23)23) M. N. Ahmed, E. Reyna-Gonzalez, B. Schmid, V. Wiebach, R. D. Sussmuth, E. Dittmann & D. P. Fewer: ACS Chem. Biol., 12, 1538 (2017)..すなわち,生合成遺伝子クラスターを有しているということは潜在的に生産する可能性があるということである.一般的に二次代謝産物の遺伝子は休眠遺伝子であることが多く,研究室での培養条件で発現しないことが多い.そこで,筆者らのグループは,海洋性プロテオバクテリアGrimontia marinaのmicroviridinタイプの生合成遺伝子に着目した.遺伝子クラスターは5つの遺伝子(grmA-grmE図3C図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター)からなっている(27)27) K. Unno, I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 104, 5293 (2020)..すなわち,前駆体ペプチド遺伝子grmA, 2つのATP-graspリガーゼ遺伝子grmBおよびgrmC,トランスポーター関連遺伝子grmDおよびgrmEから構成される.前駆体ペプチド,2つのATP-graspリガーゼという組み合わせは,microviridinの生合成遺伝子クラスターと同じであり,アセチル化酵素は含まれていなかった.このことから,microviridin様のペプチドの生産が期待された.この海洋性プロテオバクテリアG. marinaは,マリンブロス培地で良好な生育を示す.筆者らは,培養後,菌体,ろ液をHPLCで分析を行ったが,graspetideの生産は見られなかった.そこで,この遺伝子クラスター(5.8kbp)をPCRで増幅し,発現ベクターに組み込んで,大腸菌で発現生産を行った.その結果,大腸菌の異宿主生産においては,目的とする新規ペプチドgrimoviridinが生産された(27)27) K. Unno, I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 104, 5293 (2020)..NMRを用いた構造決定を行ったところ,その構造は,microviridin様の三環構造であった(図2図2■Marinostatin, microviridin B, grimoviridinの化学構造).Grimoviridinのプロテアーゼ阻害活性を調べたところ,キモトリプシンを弱く阻害し,トリプシンを強く阻害した.

これまで報告されてきたmicroviridin類と新たに得られたmicroviridinの構造活性相関を表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関に示した(9~15, 17, 21, 24, 25, 27)9) M. O. Ishitsuka, T. Kusumi, H. Kakisawa, K. Kaya & M. M. Watanabe: J. Am. Chem. Soc., 112, 8180 (1990).10) T. Okino, H. Matsuda, M. Murakami & K. Yamaguchi: Tetrahedron, 51, 10679 (1995).11) H. J. Shin, M. Murakami, H. Matsuda & K. Yamaguchi: Tetrahedron, 52, 8159 (1996).12) M. Murakami, Q. Sun, K. Ishida, H. Matsuda, T. Okino & K. Yamaguchi: Phytochemistry, 45, 1197 (1997).13) T. Rohrlack, K. Christoffersen, P. E. Hansen, W. Zhang, O. Czarnecki, M. Henning, J. Fastner, M. Erhard, B. A. Neilan & M. Kaebernick: J. Chem. Ecol., 29, 1757 (2003).14) V. Reshef & S. Carmeli: Tetrahedron, 62, 7361 (2006).15) K. Fujii, K. Sivonen, E. Naganawa & K.-i. Harada: Tetrahedron, 56, 725 (2000).17) B. Philmus, G. Christiansen, W. Y. Yoshida & T. K. Hemscheidt: ChemBioChem, 9, 3066 (2008).21) N. Ziemert, K. Ishida, A. Weiz, C. Hertweck & E. Dittmann: Appl. Environ. Microbiol., 76, 3568 (2010).24) E. Reyna-Gonzalez, B. Schmid, D. Petras, R. D. Sussmuth & E. Dittmann: Angew. Chem. Int. Ed., 55, 9398 (2016).25) D. Gatte-Picchi, A. Weiz, K. Ishida, C. Hertweck & E. Dittmann: Appl. Environ. Microbiol., 80, 1380 (2014).27) K. Unno, I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 104, 5293 (2020)..三環性構造に関与しているアミノ酸は,T-X1-K-X2-P-S-D-X3-(D or E)-(D or E)のように保存されている(表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関).この配列のうち,X1, X2, X3のアミノ酸は,microviridin類縁体ごとに異なっている(表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関).イソペプチド結合に関しては,すべてのmicroviridinで保持されている.エステルの形成に関与する水酸基を有するアミノ酸は,TおよびSであるが,ところどころ,エステルが開環した類縁体がみられる.例えば,microviridin Fは2つのエステル結合が両方とも開環している.それとともにプロテアーゼへの阻害活性も失われている.比較してみると,microviridin Eは類似の構造でエステル結合を1つ保持しているが阻害活性を有している.このことから,T-D間のエステル結合の形成が阻害活性に非常に重要なことがわかる.また,阻害活性に関して,環状部分のアミノ酸配列(表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関)でX1のアミノ酸が重要であることが示唆されている.すなわち,X1の部位に疎水性アミノ酸が入るとエラスターゼおよびキモトリプシンへの阻害活性が強くなり,塩基性アミノ酸が入ると,トリプシンに対する阻害活性が強くなる(表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関).阻害機序の解明を目的として,microviridin Jに関して,トリプシンとの共結晶の構造が解析されている(28)28) A. R. Weiz, K. Ishida, F. Quitterer, S. Meyer, J. C. Kehr, K. M. Muller, M. Groll, C. Hertweck & E. Dittmann: Angew. Chem. Int. Ed., 53, 3735 (2014)..特に,X1の部位のArgがトリプシンの基質結合部位のS1ポケットに入り込んだ状態で結合し,基質との競合阻害の様式で阻害することが示されている.筆者らの異宿主生産したgrimoviridin(gdn)もまた,X1の部位がArgであり,トリプシンに対して強い阻害活性を示しており,この説を裏付ける(表1表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関).Grimoviridinはシアノバクテリア由来以外で初めて異宿主生産されたmicroviridinタイプのペプチドであり(27)27) K. Unno, I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 104, 5293 (2020).,類似した遺伝子クラスターはプロテオバクテリア,バクテロイデスのゲノムに広く分布してことを考えると(23)23) M. N. Ahmed, E. Reyna-Gonzalez, B. Schmid, V. Wiebach, R. D. Sussmuth, E. Dittmann & D. P. Fewer: ACS Chem. Biol., 12, 1538 (2017).,異宿主生産によって,さらにこのグループの新たなペプチドの開発が期待される.

表1■Microviridins(mdn)A-Mおよびgrimoviridin(gdn)の構造活性相関
Est: エステル結合有,OH: エステル結合無,Me-E: 側鎖カルボキシル基メチル化*
*メチル化の機構に関しては不明である.

Graspetideの生合成に基づく分類

2020年に,バクテリアのゲノムに分布するATP-grasp酵素の生合成遺伝子クラスターに関して,ゲノムマイニングを行い,graspetideが大まかに12グループに分類できることが示された(1)1) H. Lee, M. Choi, J. U. Park, H. Roh & S. Kim: J. Am. Chem. Soc., 142, 3013 (2020)..その分類をベースにして,Rameshらは,さらに多くのバクテリアのゲノムから生合成遺伝子クラスターの分類を行い,graspetideを24のグループに分類を拡大した(29)29) S. Ramesh, X. Guo, A. J. DiCaprio, A. M. De Lio, L. A. Harris, B. L. Kille, T. V. Pogorelov & D. A. Mitchell: ACS Chem. Biol., 16, 2787 (2021)..その内,架橋パターンの明らかとなっているグループを図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループに示した.グループ1はmicroviridin類が含まれ,シアノバクテリア,プロテオバクテリア,バクテロイデスに広く分布する.グループ2はin vitro生産されたplesiocin(30)30) C. Lee, H. Lee, J. U. Park & S. Kim: Biochemistry, 59, 285 (2020).を含むグループである.Plesiocinは海洋性の粘液細菌Plesiocystis pacificaのゲノムに見出されたATP-graspリガーゼを用いて生産された.Plesiocinの構造決定は,化学分解とMS/MSを用いた化学分析によってなされた.非常に興味深いことに2つのエステルによる二環構造が形成され,その二環構造が4つタンデムに形成されるという特異な構造を有している(図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループ).Plesiocinはエラスターゼとキモトリプシンに対して特異的な阻害活性を有する(30)30) C. Lee, H. Lee, J. U. Park & S. Kim: Biochemistry, 59, 285 (2020)..また,グループ3には,真正細菌Bacillus thuringiensis serovar huazhongensisのATP-graspリガーゼを用いて生産されたthuringinin(31)31) H. Roh, Y. Han, H. Lee & S. Kim: ChemBioChem, 20, 1051 (2019).が含まれる.このペプチドのエステルの架橋パターンも化学分析によって決定がなされた.さらに,グループ4, 5, 6のペプチド(OEP4-1, OEP5-1, OEP6-1,図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループ)に関して,それぞれのペプチドに関してin vitro生産がなされ,ペプチドの架橋パターンの決定が行われた(1)1) H. Lee, M. Choi, J. U. Park, H. Roh & S. Kim: J. Am. Chem. Soc., 142, 3013 (2020)..また,プロテオバクテリアLysobacter antibioticusの生合成遺伝子クラスターを利用して,グループ16に属するペプチドthatisinのin vitro生産が行われ,NMRを用いた構造解析により,架橋パターンの決定が行われた(29)29) S. Ramesh, X. Guo, A. J. DiCaprio, A. M. De Lio, L. A. Harris, B. L. Kille, T. V. Pogorelov & D. A. Mitchell: ACS Chem. Biol., 16, 2787 (2021).

図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループ

青がエステル結合,赤がイソペプチド結合を示す.

グループ7および11のgraspetideの異宿主生産

ATP-grasp酵素は,グループごとに架橋パターンもそれぞれ特有のパターンを示すことから,架橋パターンの決定は,ATP-grasp酵素の性質を明らかにしていくうえで非常に重要な課題と考える.そこで,筆者らのグループは,エステルおよびイソペプチド結合の架橋パターンが未決定であるグループ7の構造決定を試みた.グループ7の生合成遺伝子クラスターはプロテオバクテリアに広く分布していた.その中でも,海洋性プロテオバクテリアMarinomonas fungiaeのゲノムの中に典型的な遺伝子クラスターを見出した(32)32) I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 105, 7241 (2021)..まず,M. fungiaeをマリンブロスで培養を行ったが,この遺伝子クラスターに由来すると思われるペプチドは検出されなかった.この遺伝子クラスターには,graspetideの生合成に必須である前駆体ペプチド,ATP-grasp酵素の2つの遺伝子が含まれる.さらに,非常に近接して機能未知の2つの遺伝子が同じ向きに並んで存在し,クラスターを形成しているように見えた.そこで,この4つの遺伝子をすべてPCRで増幅し,発現ベクターに組み込んだ.大腸菌に形質転換を行い,IPTGを用いて強制的に共発現させ,目的とするペプチドmarinomonasinを生産することに成功した(33)33) K. Unno & S. Kodani: Microbiol. Res., 244, 126669 (2021)..2つの機能未知の遺伝子は欠損させても,marinomonasinは生産され,さらに形質転換体のHPLCプロファイルが変化しなかったことから,少なくとも大腸菌細胞内では機能していないと思われるが,M. fungiaeの菌体内で発現を行えば,活性が発現する可能性はあるかもしれない.得られたmarinomonasinの構造決定はNMRを用いて行った.その結果,分子内に,2つのイソペプチド結合と,1つのエステル結合を含んでいることが明らかとなった(図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループ(32)32) I. Kaweewan, H. Nakagawa & S. Kodani: Appl. Microbiol. Biotechnol., 105, 7241 (2021)..遺伝子クラスターには,ATP-grasp酵素は1つしか含まれていないため,ATP-grasp酵素MarBは,イソペプチド結合2つと,エステル結合1つを形成する二機能性の酵素であることが示された.また,筆者らはグループ11のgraspetideの異宿主生産にも取り組んでいる.グループ11のgraspetideの生合成遺伝子クラスターは放線菌に広く分布している.そこで,放線菌Streptomyces prunicolorの生合成遺伝子クラスターを用いて異宿主生産を行った.遺伝子クラスターは前駆体ペプチドpruA, ATP-grasp酵素pruBの2つの遺伝子を含み,非常に小さく,約1200bpである.また放線菌のゲノムはGC含量が非常に高く,大腸菌のコドンの使用頻度に合わせてコドンの最適化を行ったうえで,遺伝子クラスター全長の化学合成を行った.遺伝子クラスターを発現ベクターに組み込み,大腸菌で発現生産を行ったところ,目的とするペプチドprunipeptin(33)33) K. Unno & S. Kodani: Microbiol. Res., 244, 126669 (2021).が得られた.分子量から,prunipeptinでは2つの脱水が起き,二環性の構造であることが示唆された.prunipeptinに関して,NMRを用いて構造決定を試みたが,非常にブロードなシグナルを与えたために,NMRを用いた構造決定はできなかった.そこで,プラスミドに部位特異的変異を導入し,エステル及び,イソペプチド結合に関与する可能性のあるアミノ酸をアラニンに1つずつ置換し,ペプチドの生産実験を行った.すなわち,エステルおよびイソペプチド結合を形成するためには,側鎖にカルボキシル基,水酸基,アミノ基が必要である.分子内結合に関与するアミノ酸をアラニンに置換した場合,それらの官能基がないため,環化反応が起きない.分子内結合に関与しないアミノ酸をアラニンに置換した場合,環化反応が起き,2つ脱水が起きた二環性のアラニンバリアントペプチドが得られる.その結果から,環構造に関与しているアミノ酸の同定に成功し,エステル結合,イソペプチド結合を1つずつ含んでいることが示唆された(図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループ(33)33) K. Unno & S. Kodani: Microbiol. Res., 244, 126669 (2021)..最終的にアルカリ加水分解によるエステルの開裂後,CID-MSをおこない,フラグメンテーション解析によって架橋パターンを推定した.prunipeptinの生合成を行うATP-grasp酵素PruBもまた,分子内においてイソペプチド結合とエステル結合1つずつを形成する二機能性の酵素であることが示された(33)33) K. Unno & S. Kodani: Microbiol. Res., 244, 126669 (2021).

Graspetideのグループごとの分子内結合の架橋パターン

分類されたgraspetideの24グループのうち分子内結合の架橋パターンが決定されているもの(9つのグループ)に関して図4図4■これまで分子内架橋パターンが決定されているgraspetideのグループにまとめているので,再度参照してほしい.分子内にエステル結合,イソペプチド結合を含むのは,グループ1, 5, 7, 11である.この中で,グループ1のmicroviridinの生合成において,2つの異なるATP-graspリガーゼ(図3D図3■ (A) marinostatin, (B)microviridin B, (C) grimoviridinの生合成遺伝子クラスター)がエステル結合(MdnCにより形成),イソペプチド結合(MdnBにより形成)をそれぞれ受け持って触媒する.一方で,グループ5, 7, 11のgraspetideの生合成系には1つしかATP-graspリガーゼが含まれておらず,これらは1つの酵素で異なる2つ種類の分子内結合を形成する能力のある二機能性酵素であり,その作用機序に興味が持たれる.これまでに提唱されているATP-graspリガーゼの作用機序(1)1) H. Lee, M. Choi, J. U. Park, H. Roh & S. Kim: J. Am. Chem. Soc., 142, 3013 (2020).は以下である(図5図5■ATP-graspリガーゼによる結合のエステル結合形成メカニズム).(1)リーダーペプチドがATP-grasp酵素により認識され,コアペプチド部分がATP-grasp酵素の活性中心に入り込む.(2)ATPを用いて,グルタミン酸(またはアスパラギン酸)のカルボキシル基がリン酸化される.(3)セリン(またはスレオニン)の水酸基がリン酸化されたカルボキシル基を求核攻撃して,エステル結合が形成される.最近の研究で,グループ2のATP-grasp酵素PsnBの基質ペプチドとATPの共結晶のX線結晶解析が行われ,213番目に位置するArgがリン酸化を起こす酸性アミノ酸(グルタミン酸またはアスパラギン酸)の側鎖を認識していることが示された(34)34) I. Song, Y. Kim, J. Yu, S. Y. Go, H. G. Lee, W. J. Song & S. Kim: Nat. Chem. Biol., 17, 1123 (2021).

図5■ATP-graspリガーゼによる結合のエステル結合形成メカニズム

リーダーペプチドが認識され,コアペプチドが活性部に入り込む.その後,グルタミン酸(E)の側鎖がリン酸化される.脱リン酸化とともにスレオニン(T)とのエステル結合が形成される.

Graspetideの今後の展望

以前には,microviridinに代表とされるgraspetideは培養した微生物の代謝産物として得られるのみであった.最近のゲノムマイニング研究によって,通常の状態では生産されないgraspetideがin vitroまたはin vivoで生産できるようになってきた.広くバクテリアに見出されるgraspetideの前駆体ペプチド遺伝子とATP-graspリガーゼ遺伝子は,共進化を遂げてきたと考えられる.遺伝子レベルで存在しても,ホストのバクテリアは通常の状態ではgraspetideを生産しておらず,ホストにとっての生理学的役割は不明である.しかしながら,異宿主生産で合成できるという事実は,その遺伝子クラスターは機能を有しているということを意味しており,その生理学的な役割に興味が持たれる.また,未知のgraspetideを生産する可能性のある生合成遺伝子は数多く残されており,それらを利用して新たなgraspetideの構造決定及び,生理活性が今後明らかとなっていくことが期待される.

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