解説

食事中のステロイド一体どんな種類をどのくらい食べて,どこにいくのか?

Dietary Steroids: What Kind of Them Do You Eat, How Much, and Where Do They Go?

Masao Sato

佐藤 匡央

九州大学大学院農学研究院

Published: 2023-03-01

ステロイドと耳にすると,どんなイメージだろうか? ステロイド剤,ドーピング剤といった薬からのイメージ,摂取に気をつけなくてはいけないものといったイメージだろう.ステロイドは食事の中にも含まれている.ステロイドとはステロイド骨格をもった化合物の総称であり,コレステロールもステロイドである.食事のステロイドの代表はコレステロールであるが,植物ステロイドも同量ぐらい含まれている.このステロイドの他に,食品の保蔵および調理で酸化を受け,酸化ステロイドが生成し,それも摂取している.本稿では,コレステロール,植物ステロイド,その酸化物についての生体内での意義について解説する.

Key words: コレステロール; ステロイド腸管吸収; 酸化コレステロール; 植物ステロール

ステロイド骨格というのは図1図1■コレステロールの構造に示されているコレステロールの構造内AからDと記号が振られている部分がそれである.その基本骨格に水酸基が付くとステロールと言う名称となる.この水酸基はA環内の3位の炭素につくことが多く,電離しない.ステロイドは水に不溶なので,脂質に分類される.実は食事中に含まれるステロイドの大部分はステロールが大部分である.またステロールのなかにはB環の二重結合がないもの,つまり飽和している構造も発見される.それはスタノールと呼ばれている.

図1■コレステロールの構造

ほとんどのステロイドは3つの構造に分けられる.ステロイド骨格(AからDまでの4つの環でできている),側鎖20位の炭素以降の部分,官能基(コレステロールは3位に水酸基がβ位に付いている).

食事コレステロール(1)

食事中に多く含まれるコレステロールは動物性食品由来である.一部,植物では海苔などに加工される紅藻類にコレステロールが含まれている.コレステロールはその構造から800種類以上の異性体が想定できるが,実際には各動物体内での合成経路が同じなので,たった一種類しか存在しない.食事由来のコレステロールと体内で合成されるコレステロールは同構造である.

血清コレステロール濃度が高いと動脈硬化症の発症が促進されるため,コレステロールの摂取量が世界中で調査され,摂取基準が設けられてきた.日本人のコレステロールの摂取量の中央値は,令和元年国民健康栄養調査の結果から361 mg/日(男性),312 mg/日(女性)であることが報告されている.2015年に650 mg/日と摂取上限値が設定されていたが,2020年の「日本人の食事摂取基準」では,撤廃されている.この根拠は,食事のコレステロール量は,体内で合成されるコレステロール量の15%から30%程度であるからである.食事からコレステロールを多く摂取すると体内での合成が抑制される.基本的な考えとしては「摂取するなら作らない」である.コレステロール合成に関しては全ての有核細胞はその能力をもっており,全ての臓器の中で肝臓はコレステロールの合成量が多いと考えられている.脂質の腸管吸収に必要な,コレステロールを由来とする胆汁酸を合成するためであろう.コレステロールは細胞膜に必須な構成成分である.「摂取するなら作らない」方針であるため,体内のコレステロールホメオスタシスは消化器(小腸と肝臓)が握っている.コレステロールは脂溶性のため,胆汁酸およびリン脂質などの界面活性作用のある両親媒性の物質によってミセルという構造体の表層に位置する.コレステロールの構造の中で3位の水酸基が親水性だからである.ここから,小腸の粘膜の不攪拌水層(unstaired layer)にてミセルから放出される.ここまでの過程は食事中のステロイドはほぼ同じである.ここからの吸収・輸送はタンパク質が関与するのでステロイド構造自体の特異性が出る.あらゆるステロイドはNiemann-Pick C1-like 1(NPC1L1)という膜タンパク質に結合して,引き込まれる形で小腸上皮細胞内に取り込まれる(図2図2■食事ステロール類の吸収輸送(2)2) J. L. Betters & L. Yu: FEBS Lett., 584, 2740 (2010)..もう一つの経路は小腸上皮細胞膜への単純拡散である.小腸上皮細胞内で食事コレステロールはカイロミクロンと呼ばれるトリアシルグリセロールを多く含み,比重が軽いリポタンパク質に組み込まれ,腸管リンパ管に分泌される.腸管リンパ管は鎖骨下静脈を経て,大静脈に入り体内循環をする.水溶性の食品成分と違い肝臓を通過しないで体循環に入るので,脂溶性の物質は肝臓での異化を受けずにそのまま脳神経系以外の全身の細胞に配られる.全ての腸管吸収された食事ステロイドもこのルートをとっている.しかし,小腸上皮細胞はコレステロール摂取が過剰になると,コレステロール構造の3位の水酸基に脂肪酸が結合したコレステロールエステルというさらに脂溶性が増した分子となり,カイロミクロンのコア部分がトリアシルグリセロールとともにパッキングされ,分泌される.ヒトにおいてコレステロールエステルはアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ2(ACAT2)という酵素がコレステロールの3位水酸基にアシルCoAから脂肪酸を転移してつくられる.この分子は最終的には肝臓が受け入れることになる.

図2■食事ステロール類の吸収輸送

小腸上皮細胞ではステロール類は「一度入って出る」というルートがある.植物ステロールは効率よく排出される.

摂取コレステロールの問題に,鶏卵,とくに卵黄の摂取がある.鶏卵はコレステロールの高い食品である.鶏卵1個に250 mgのコレステロールを含んでいる.日本人の鶏卵の消費は世界第2位である.前述した日本人のほとんどの食事コレステロールの由来は鶏卵であることが考えられる.したがって,鶏卵が高コレステロール血症を引き起こすと考えられていた.しかし,最近の介入試験,疫学研究から,鶏卵の摂取は高コレステロール血症を引き起こさないと考えられている.これは「摂取するなら作らない」原則と,鶏卵のなかに,高コレステロール血症抑制作用を有する成分が含まれていると考えられているからである.その成分は,卵黄リン脂質と卵白タンパク質である.どちらの成分も食事コレステロールの吸収阻害が報告されている.これらの成分は脂質代謝を改善するため,抗肥満作用(3, 4)3) B. Shirouchi, K. Nagao, N. Inoue, T. Ohkubo, H. Hibino & T. Yanagita: J. Agric. Food Chem., 55, 7170 (2007).4) B. Shirouchi & R. Matsuoka: J. Oleo Sci., 68, 517 (2019).,抗脂肪肝作用(5, 6)5) M. Yin, R. Matsuoka, Y. Xi & X. Wang: Foods, 10, 1569 (2021).6) M. Ochiai, K. Misaki, T. Takeuchi, R. Narumi, Y. Azuma & T. Matsuo: J. Nutr. Sci. Vitaminol., 63, 111 (2017).も報告されている.

食事植物ステロール(7)

植物ステロールの化学構造はコレステロールの構造に似ているが,主に側鎖といわれる構造がコレステロールと違っている.食事中によく見られる植物ステロールには,カンペステロール,β-シトステロール,およびスティグマステロール(図3図3■代表的な植物ステロール)がある.食事中には植物ステロールの二重結合が飽和した植物スタノールも多く存在する.その構造のステロール環に二重結合がある.食事中によく見られる植物スタノールには,カンペスタノールとβ-シトスタノールがある.植物ステロールの食事源は,主にヒマワリ,トウモロコシ,オリーブ,大豆などの種子から作る植物油が多く,他には油脂を多く含んだナッツ類や小麦ふすまや小麦胚芽などの穀物などが供給源になっている.植物ステロールの摂取量は,先進諸国で調べられており,平均500 mg/日と見積もられる.日本人は大学生協食事の測定から400 mg/日の摂取量という1981年の報告がある.植物ステロール(スタノールを含む)の摂取量は前述したコレステロールの摂取量より多いか,同等ぐらいである.小腸管腔内でコレステロールを分散している胆汁酸ミセルにおいて,そこに植物ステロールが混在すると,コレステロールのミセルからの放出が低下し,コレステロールの上皮細胞への取り込みを低下させる.したがって,植物ステロールはコレステロール吸収抑制作用のある機能性食品成分として報告されている(8)8) A. Berger, P. J. Jones & S. S. Abumweis: Lipids Health Dis., 3, 5 (2004)..この効能を発揮させる場合の植物ステロールの摂取量は700~1,000 mg/日と見積もられる.日本人が現在食べている量の植物ステロールのおよそ2~3倍である.植物ステロール量を強化した油脂などが市販されている.小腸上皮細胞での植物ステロールの吸収は,コレステロールの吸収と同じ機構だが,ATP-binding cassette(ABC)G5およびG8という2つのタンパク質が共役してトランスポータとして働き,腸内腔側へ排泄される(図2図2■食事ステロール類の吸収輸送).コレステロールも同様に排泄されるが植物ステロールの方が多く排出する.この機構の発見により,血液中はもとより各臓器中の植物ステロール濃度はかなり低くなることがわかった.植物ステロールの腸管吸収は,コレステロールの吸収(~50%)よりもはるかに低い(<2%).この吸収された植物ステロールはコレステロールに混ざったまま細胞内(細胞膜)もしくは血清リポタンパク質内(表層)に存在するが,異化の速度はコレステロールとの構造相関度が高いほど遅い.体内の植物ステロールは最終的にはコレステロールの排出系である胆汁へと排出される.小腸上皮細胞と同様に肝臓にもABC G5/G8が発現しており,胆汁へコレステロールよりも植物ステロールの方を積極的に排出していると考えられている.血清植物ステロール濃度は,コレステロールの腸管吸収マーカとしての活用されている.この考えは植物ステロールが前述したように小腸上皮細胞に入るまではコレステロールと同じ挙動をとり,吸収され,血液中に運搬する挙動も同じである.NPC1L1阻害剤を用いて,コレステロールの吸収阻害をすると,血清中の植物ステロール濃度は低下することも,また腸管吸収マーカとして利用できることを支持している.

図3■代表的な植物ステロール

赤い線はコレステロールとの違い.

体内での植物ステロールには生理活性についての研究は多くなされている.しかし,動物実験も,疫学調査も上記のコレステロールとの関係から,植物ステロールを摂取したことにより体内のコレステロールが減少したことによるのか,植物ステロールが増えたことによるのかが分離できない状態である.一方で,植物ステロールの高蓄積には以下の2つの出来事が懸念されている.①植物ステロールの生体内の存在は細胞膜である.したがって細胞膜の性質が変わってしまうのではないかという懸念である.このことは培養細胞で証明されている.また,動物実験ではABCG5/8に変異があって植物ステロール易吸収性のラットでは,赤血球の変形能が下がることが報告されている(9)9) W. M. Ratnayake, M. R. L’Abbé, R. Mueller, S. Hayward, L. Plouffe, R. Hollywood & K. Trick: J. Nutr., 130, 1166 (2000)..しかし,これらのデータは健常人ではあり得ない濃度の研究である.実際,植物ステロール(1g/1,000kcalでかなり多い)を4週間摂取しても,赤血球の壊れやすさは変わらなかった報告がある.②植物ステロールもステロイドの一種であるため,ステロイドホルモンの代謝に干渉するのではないかという懸念である.これは,従来からの「内分泌攪乱物質」としての考えの延長上にある.これは,まだはっきりしない仮説である.

酸化コレステロール

食事中の酸化コレステロールは,コレステロールの貯蔵もしくは加工調理により生成する.私たちは,加工調理された動物性食品を摂取すると同時に,酸化コレステロールを摂取している.酸化コレステロールの構造分類は,3位に結合している水酸基を除いての酸素の付き方,その数,その位置である.3位の水酸基以外に結合している官能基は,水酸基,ケト基およびエポキシ基である.以前,筆者が所属する研究室で大学生協の食事中の酸化コレステロール量を測定したところ,酸化コレステロール量は摂取コレステロール量の0.8%程度であった(10)10) 市 育代,岩本昌子,友寄博子,佐藤匡央,池田郁男,今泉勝己:日本栄養・食糧学会誌,58, 145 (2005)..この食事酸化コレステロールを模するために,コレステロールをオーブンの中で150°C, 12時間加熱すると40%程度が酸化された.コレステロールは側鎖よりも7位周辺が酸化されたものが多い(図4図4■25-ヒドロキシコレステロールの構造).

図4■25-ヒドロキシコレステロールの構造

酸化コレステロールは,水酸基の結合位置の違いにより,それぞれ性質が違う.

生体内酸化コレステロールの発見は動脈硬化の病変部位からが最も多く議論されているので,加熱した酸化コレステロールを動脈硬化モデル動物に摂取させた実験が行われた.筆者も動脈硬化モデル動物に動脈硬化症の発症は認められなかった(11)11) M. Ando, H. Tomoyori & K. Imaizumi: Br. J. Nutr., 88, 339 (2002)..しかし,他に同モデル動物に酸化コレステロールを摂取させた報告(12)12) I. Staprans, X. M. Pan, J. H. Rapp, C. Grunfeld & K. R. Feingold: Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 20, 708 (2000).と,酸化コレステロールを含んだミセルをウサギの動脈に直接投与した報告(13)13) A. J. Brown & W. Jessup: Atherosclerosis, 142, 1 (1999).があり,どちらも酸化コレステロール摂取により動脈硬化症の発症が認められた.これらの報告を比較すると,摂取させている酸化コレステロールの組成,投与量および未同定の酸化コレステロールに大きな違いがあり,それらの影響で結果が異なったものと考えられる.しかし,これらの実験は,その量が大きく,現実に即さないと考えられる.このことからいえるのは食事で摂取される酸化コレステロールは生体内の代謝を撹乱する可能性があり,それには特定の分子種が存在し,悪くも良くも作用するかもしれないことである.問題は特定の分子種の同定である.酸化コレステロールが注目されるようになったのは,酸化コレステロールがLiver X Receptor(LXR)のリガンドとして考えられるようになったことである(14)14) J. Buñay, A. Fouache, A. Trousson, C. de Joussineau, E. Bouchareb, Z. Zhu, A. Kocer, L. Morel, S. Baron & J. A. Lobaccaro: Br. J. Pharmacol., 178, 3277 (2021)..LXRは脳,肝臓,小腸やマクロファージなど多くの脂質代謝に関連した疾病に関与する臓器に発現しており,脂質合成関連遺伝子などの転写因子,その中でも物質が結合して活性が上がる転写因子の核内受容体に分類されている.実際に制御している主な遺伝子は脂肪酸合成酵素とコレステロールを細胞外に搬出する主なタンパク質であるABCA1である.LXRは,結合して活性を上げ,体内で合成される物質(内因性リガンド)として,酸化コレステロールが発見されるまで,孤児(orphan)受容体として分類されていた.その後,22(R)-ヒドロキシコレステロール,24(S),25-エポキシコレステロール,24(S)-ヒドロキシコレステロール,25-ヒドロキシコレステロール,27-ヒドロキシコレステロールなどの生体内で見つかるコレステロール代謝物がこの内因性リガンドの候補物質となった.記載している順番で結合活性が高い.リガンド候補の酸化コレステロールはコレステロール中の酸化されている炭素の個所は全て,22以上であることから(図4図4■25-ヒドロキシコレステロールの構造),LXRのリガンドとなるにはコレステロールの構造上,側鎖の先端のほうの酸化が重要である.図5図5■日本人におけるコレステロール酸化物の摂取量10)にあるように食事中にあるのは25-ヒドロキシコレステロールのみ(もしかしたら,未同定の中に24(S),25-エポキシコレステロールがあるかもしれない)である.したがって,この稿では,25-ヒドロキシコレステロールの研究を追っていく.25-ヒドロキシコレステロールは食事中にも存在するが,体内で合成もされている.ラットを用いた吸収実験では,食事中の25-ヒドロキシコレステロールの見かけ上の吸収率は3%程度であり,多くはない(6)6) M. Ochiai, K. Misaki, T. Takeuchi, R. Narumi, Y. Azuma & T. Matsuo: J. Nutr. Sci. Vitaminol., 63, 111 (2017)..また,NPC1L1阻害剤での吸収率は,変わらないことから,NPC1L1を通して吸収されていない可能性がある(15)15) B. Shirouchi, Y. Furukawa, Y. Nakamura, A. Kawauchi, K. Imaizumi, H. Oku & M. Sato: Cardiovasc. Drugs Ther., 33, 35 (2019)..ヒト血清中の25-ヒドロキシコレステロールの濃度は4~5 ng/mL程度であり,血清中の中で見つかる13種類の酸化コレステロールの中では12番目ぐらいである.ほとんどの組織には25-ヒドロキシコレステロールは低濃度で存在し,食事からも,体内合成でも作られるため起源を決定的に示すことは困難であると考えられている.しかし,中でもこの25-ヒドロキシコレステロールはシトクロムP450 27A1(ステロール27-ヒドロキシルラーゼ,CYP27A1)により肝臓中のミトコンドリアで合成されことが有力とされている(16)16) U. Diczfalusy: Biochimie, 95, 455 (2013)..CYP27A1は,27-ヒドロキシコレステロールを主に作り出すため,25-ヒドロキシコレステロールはその副産物と考えられている.まだ他にも様々な酵素が25-ヒドロキシコレステロールを作り出すことが発見されている.まとめると,体内にある25-ヒドロキシコレステロールは食事由来のものと,酵素による体内合成のものがある.25-ヒドロキシコレステロールはLXRへの結合能は他のより低いものの,いくつかの別のメカニズムで,多くの薬理学的な作用が発見されている.コレステロール代謝が最も関わる抗動脈硬化症作用で研究が行われたが,近年注目されているのは25-ヒドロキシコレステロールが免疫調節剤であるということである(16)16) U. Diczfalusy: Biochimie, 95, 455 (2013)..25-ヒドロキシコレステロールはin vitroの系では多様なウイルスの感染を阻害し,とくに免疫細胞内のコレステロール代謝に影響を与えることによってウイルス融合を制限すると考えられている.この発見は,ウイルス感染の研究に新たなメカニズムを提供した.しかし,食事由来の25-ヒドロキシコレステロールがどの程度,このことに効果があるのかは未知である.

図5■日本人におけるコレステロール酸化物の摂取量10)

九州大学大学生協の19日分の食事を分析に用いた.このときの酸化コレステロールの総量は258±14 mg/日だった.

おわりに

私たちが摂取する食事にはステロイドが含まれている.コレステロールが代表格だが,植物由来のステロイドも分子種は様々だが,総量でコレステロールと同程度ぐらいの摂取がある.さらに,それらは加工調理を受け,酸化ステロイドに変化して,生理作用を及ぼす.この中に,生理作用の高いステロイドも発見されている.本稿では述べなかったが,酸化コレステロールも存在するなら酸化植物ステロールも存在する,さらに,それらがまた,腸内細菌の修飾を受けて別のステロイドに変化をする.ステロイドはステロイド骨格の微細な変化で,生体への影響が変わってしまう化合物群である.薬理学上では一大領域を形成しているが,食品機能学的にまだまだ,可能性のある領域である.

Reference

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