解説

エネルギー代謝におけるKEAP1-NRF2制御系と硫黄代謝の役割KEAP1-NRF2制御系によるミトコンドリアエネルギー代謝への寄与

The Role of KEAP1-NRF2 System and Sulfur Metabolism in Energy Production: Effects of KEAP1-NRF2 System on Mitochondrial Energy Production

Yusuke Kusano

草野 佑典

東北大学加齢医学研究所・遺伝子発現制御分野

東北大学耳鼻咽喉・頭頸部外科

Shohei Murakami

村上 昌平

東北大学加齢医学研究所・遺伝子発現制御分野

Hozumi Motohashi

本橋 ほづみ

東北大学加齢医学研究所・遺伝子発現制御分野

Published: 2023-04-01

太古の地球において,光合成を行うシアノバクテリアの大量増殖により大気中の酸素濃度が上昇し,その結果として酸素呼吸を行う真核生物が生まれた.酸素呼吸は,分子状酸素を利用することにより,高効率なエネルギー産生を可能としたが,同時に,生体分子の酸化障害,すなわち酸化ストレスが生じるという問題を含んでいた.ゆえに,好気的代謝を行う生物にとって,酸素に由来する酸化ストレス障害に対する生体防御機構は不可欠であり,その生体防御機構の破綻は生体に重篤な障害をもたらす.KEAP1 (Kelch-like ECH (erythroid cell-derived protein with CNC homology)-associated protein 1)-NRF2 (nuclear factor erythroid 2-related factor 2) 制御系は酸化ストレスに対する生体防御機構として発見され,酸化ストレス応答の要となっている.しかしながら,KEAP1-NRF2制御系は酸化ストレス制御以外にも,細胞の分化・増殖制御,炎症応答,抗老化など様々な生理学的プロセスにも貢献していることが報告されている.特に近年,生体のエネルギー代謝という観点からミトコンドリア機能の活性化効果が報告されており,ミトコンドリア機能障害に起因する疾患の治療薬開発に向けた標的としても注目されつつある.一方,ミトコンドリア機能制御という観点では,硫黄代謝,特にシステインの代謝がミトコンドリアでのエネルギー産生において,重要な役割を担っていることが示唆されている.興味深いことに,KEAP1-NRF2制御系は,細胞のシステインの取り込みと代謝を制御していることも明らかにされており,硫黄代謝を介してミトコンドリアのエネルギー代謝に関与していることが予想されている.そこで本稿では,KEAP1-NRF2制御系に依存したミトコンドリア機能制御について概説し,さらにミトコンドリアエネルギー代謝におけるKEAP1-NRF2制御系を介した硫黄代謝の重要性について考察する.

Key words: KEAP1-NRF2制御系; ミトコンドリア; エネルギー代謝; 超硫黄分子

KEAP1-NRF2制御系(図1, 2)

NRF2は,CNC転写因子群(ショウジョウバエの転写因子Cap’n’collarと相同するbZip型転写因子ファミリー)に属する転写因子であり,NRF2-ECH homology(Neh)1~6の6つの機能的ドメインによって構成される)(図1図1■NRF2とKEAP1の分子構造(1)1) M. Yamamoto, T. W. Kensler & H. Motohashi: Physiol. Rev., 98, 1169 (2018)..Neh1ドメインには,DNA結合に必要な塩基性領域と小MAF群因子とのヘテロ二量体形成に必要なbZip構造が含まれ,NRF2はNeh1ドメインを介して,同じbZip領域を持つ小MAF群因子とヘテロダイマーを形成し,抗酸化応答配列(Antioxidant Responsive Element, ARE)に結合することで,標的遺伝子の発現を活性化する.Neh2ドメインは,NRF2を抑制的に制御する分子であるKEAP1との結合に必要な領域であり,NRF2はNeh2ドメインのDLGとETGEモチーフを介してKEAP1と結合する.ETGEモチーフは,水素結合のみを利用しており,迅速な結合・解離を示す比較的弱い結合と考えられている.一方,ETGEモチーフは,水素結合と疎水性相互作用の両方に依存してKEAP1と結合しており,2段階の結合・解離を示し,強固な結合を呈すると考えられている.Neh3ドメインは,DNA依存性ATPaseであるCHD6と相互作用し,転写活性を調節すると報告されている(2)2) P. Nioi, T. Nguyen, P. J. Sherratt & C. B. Pickett: Mol. Cell. Biol., 25, 10895 (2005)..Neh4, Neh5ドメインは,転写活性化ドメインとして知られており,CREB binding protein(CBP)やp300といった転写共役因子が結合することにより,NRF2による転写活性化が促進する(1)1) M. Yamamoto, T. W. Kensler & H. Motohashi: Physiol. Rev., 98, 1169 (2018)..また,我々はNRF2による標的遺伝子の転写活性化には,メディエーターサブユニットの一つであるMED16がNeh4, Neh5ドメインに結合することが不可欠であり,MED16がその他の転写メディエーター因子を呼び込むことで,NRF2が転写活性化能を発揮することを報告している(3)3) H. Sekine, K. Okazaki, N. Ota, H. Shima, Y. Katoh, N. Suzuki, K. Igarashi, M. Ito, H. Motohashi & M. Yamamoto: Mol. Cell. Biol., 36, 407 (2016)..さらに我々は,グルココルチコイド受容体がNeh4とNeh5に結合することで,NRF2活性を抑制することも見出している(4)4) M. M. Alam, K. Okazaki, L. T. T. Nguyen, N. Ota, H. Kitamura, S. Murakami, H. Shima, K. Igarashi, H. Sekine & H. Motohashi: J. Biol. Chem., 292, 7519 (2017)..Neh6ドメインは,GSK3βによりリン酸化を受けるセリン残基を含み,NRF2はリン酸化を受けるとβ-TrCP-CUL1に依存したプロテアソームによる分解を受けることから,Neh6ドメインはKEAP1に依存しないNRF2の分解に関わっている(5)5) S. Chowdhry, Y. Zhang, M. McMahon, C. Sutherland, A. Cuadrado & J. D. Hayes: Oncogene, 32, 3765 (2013).

図1■NRF2とKEAP1の分子構造

(a) NRF2はNeh1~6の6つの機能的ドメインから構成される.NRF2はNeh1ドメインを介して,小MAF群因子と結合し,ヘテロダイマーとしてDNAに結合する.またNRF2はNeh2のDLGとETGEモチーフを介して,KEAP1のDCドメインと結合する.Neh6ドメインはKEAP1非依存的な分解に必要であり,GSK3βよってセリン残基(図中に表記)がリン酸化される.(b)KEAP1はBTB, IVR, DCドメインの3つの機能的ドメインから構成される.KEAP1はBTBドメインを介してホモダイマーを形成する.通常条件下では,DCドメインを介してNRF2と結合する.また親電子性物質や酸化ストレスによって修飾を受けるいくつかのシステイン残基も示した.CTR: C-terminal domain.

KEAP1は,broad complex tramtrack-bric-à-brac(BTB)ドメインと介在領域intervening region(IVR),double glycine repeat and COOH-terminal region(DC)ドメインの3つの機能的ドメインから構成される(図1図1■NRF2とKEAP1の分子構造).KEAP1はBTBドメインを介してホモダイマーを形成し,さらにCullin3(CUL3)やRING-box protein 1(RBX1)と複合体を形成することで,ユビキチンE3リガーゼ複合体として機能する(図2図2■KEAP1-NRF2制御系の概要).通常条件下においては,KEAP1はDCドメインを介して,NRF2のNeh2ドメインのDLGとETGEモチーフに結合し,NRF2をポリユビキチン化することで,NRF2がプロテアソーム依存的に分解される(図2図2■KEAP1-NRF2制御系の概要).したがって,通常条件下では,NRF2はKEAP1により抑制される.一方,親電子性物質や活性酸素種などの細胞内外からのストレスが加わると,KEAP1のいくつかの反応性の高いシステイン残基が,親電子性物質やその中間代謝産物,あるいは,活性酸素種によって修飾・酸化されることで,ユビキチンE3リガーゼ複合体の形成あるいは活性が障害され,NRF2はポリユビキチン化を免れる(図2図2■KEAP1-NRF2制御系の概要).その結果,安定化したNRF2は核内へ移行することで,第二相解毒酵素や抗酸化タンパク質,グルタチオン合成酵素といった種々の遺伝子発現を促進する.したがって,KEAP1が鋭敏なレドックスセンサーとして機能することで,KEAP1-NRF2制御系は外来性異物や酸化ストレスへ応答し,生体防御に寄与している.

図2■KEAP1-NRF2制御系の概要

通常条件では,NRF2はKEAP1-CUL3-RBX1によるE3ユビキチンリガーゼ複合体によりポリユビキチン化され,プロテアソームによって分解され,その活性は抑制されている.親電子性物質や酸化ストレスといったストレスが加わると,KEAP1のシステイン残基が修飾され,KEAP1-CUL3-RBX1によるE3ユビキチンリガーゼ複合体の形成あるいは活性が阻害される.その結果,分解を受けず安定化したNRF2が核内へ移行し,小MAF群因子(sMAF)とヘテロダイマーを形成して,様々な遺伝子発現を促進する.

NRF2活性化によるミトコンドリア機能制御

ミトコンドリアは好気呼吸におけるエネルギー代謝を行う場として重要なオルガネラである.ミトコンドリアでは,NADHとFADH2を基質として,電子を電子伝達系に受け渡すことで,ミトコンドリアの膜電位(プロトン勾配)を形成し,その膜電位を利用して,生体のエネルギー通貨とも呼ばれるATPの合成を高効率に行っている.ここで生じる電子は最終的に,呼吸鎖複合体IVで分子状酸素に受容されて水分子を生成する.しかしながら,ミトコンドリア機能が障害された場合,電子伝達系から漏れ出した一部の電子によって活性酸素種が発生し,酸化ストレスが惹起される.したがって,ミトコンドリアは活性酸素種の発生源となるという観点から,これまでKEAP1-NRF2制御系はミトコンドリア由来の活性酸素種による酸化ストレスに応答し,細胞防御的に機能していると考えられてきた(6~8)6) A. T. Dinkova-Kostova & A. Y. Abramov: Free Radic. Biol. Med., 88, 179 (2015).7) N. Esteras & A. Y. Abramov: Free Radic. Biol. Med., 189, 136 (2022).8) S. Kasai, S. Shimizu, Y. Tatara, J. Mimura & K. Itoh: Biomolecules, 10, 320 (2020)..しかしながら,近年,KEAP1-NRF2制御系はミトコンドリアのレドックス制御のみならず,エネルギー代謝制御にも寄与していることが報告されている.

NRF2活性化はミトコンドリアの生合成およびエネルギー産生にも寄与し,ミトコンドリア機能の増強効果があることが報告されている(6, 7)6) A. T. Dinkova-Kostova & A. Y. Abramov: Free Radic. Biol. Med., 88, 179 (2015).7) N. Esteras & A. Y. Abramov: Free Radic. Biol. Med., 189, 136 (2022)..例えば,NRF2はミトコンドリアの生合成に必要な転写因子nuclear respiratory factor-1(NRF-1)を直接転写促進させること(9)9) C. A. Piantadosi, M. S. Carraway, A. Babiker & H. B. Suliman: Circ. Res., 103, 1232 (2008).や,NRF2誘導剤によって,NRF-1の共役転写因子となるperoxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-α(PGC-1α)の転写が促進されること(10)10) R. D. Brose, G. Shin, M. C. McGuinness, T. Schneidereith, S. Purvis, G. X. Dong, J. Keefer, F. Spencer & K. D. Smith: Hum. Mol. Genet., 21, 4237 (2012).が報告されている.NRF2がPGC-1αを直接的な制御をすることは示されていないが,NRF2の下流でこれらのミトコンドリア生合成を促進する因子の発現が増強することにより,NRF2はミトコンドリアの生合成を促進させ,ミトコンドリア容量を増加させると考えられる.事実,骨格筋では運動によってミトコンドリア容量がNRF2依存的に増加し,NRF2欠損マウスにおいては運動によるミトコンドリア容量の増加が観察されないことが示されている(11)11) T. L. Merry & M. Ristow: J. Physiol., 594, 5195 (2016).

一方,NRF2欠損マウスの胎児線維芽細胞や神経の初代培養細胞を用いた実験では,野生型の細胞と比較して,ミトコンドリア膜電位が低下し,ATP産生が減少することが報告されている(12)12) K. M. Holmstrom, L. Baird, Y. Zhang, I. Hargreaves, A. Chalasani, J. M. Land, L. Stanyer, M. Yamamoto, A. T. Dinkova-Kostova & A. Y. Abramov: Biol. Open, 2, 761 (2013)..逆に,KEAP1発現抑制によってNRF2を活性化させた場合では,ミトコンドリア膜電位の上昇とATP産生の増加が観察されることから,NRF2はミトコンドリアでのエネルギー産生を促進させると考えられる.この分子機序として,最近のNRF2に関するトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析の結果では,呼吸鎖複合体構成因子やユビキノンのmRNA,タンパク質量がNRF2活性化によって増加することが報告されており(13~16)13) L. Gao, V. Kumar, N. N. Vellichirammal, S. Y. Park, T. L. Rudebush, L. Yu, W. M. Son, E. J. Pekas, A. M. Wafi, J. Hong et al.: J. Physiol., 598, 5427 (2020).14) H. Y. Cho, L. Miller-DeGraff, T. Blankenship-Paris, X. Wang, D. A. Bell, F. Lih, L. Deterding, V. Panduri, D. L. Morgan, M. Yamamoto et al.: Toxicol. Appl. Pharmacol., 364, 29 (2019).15) D. G. Ryan, E. V. Knatko, A. M. Casey, J. L. Hukelmann, S. Dayalan Naidu, A. J. Brenes, T. Ekkunagul, C. Baker, M. Higgins, L. Tronci et al.: iScience, 25, 103827 (2022).16) X. Zhang, L. Ye, H. Xu, Q. Zhou, B. Tan, Q. Yi, L. Yan, M. Xie, Y. Zhang, J. Tian et al.: Stem Cell Res. Ther., 12, 208 (2021).,NRF2はミトコンドリア電子伝達系関連因子を直接あるいは間接的に制御していることが示唆されている.また一方で,NRF2はミトコンドリア電子伝達系の基質となるNADHとFADH2の産生を促進する側面があることがわかっており,事実,NRF2欠損細胞ではこれら基質の供給が減弱する(7)7) N. Esteras & A. Y. Abramov: Free Radic. Biol. Med., 189, 136 (2022)..これに一致して,上述のトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析の結果も,NRF2活性化はNADHやFADH2の産生に関わる糖代謝・脂肪酸代謝関連酵素やクエン酸サイクル酵素の発現を増加させることを示唆している(13~16)13) L. Gao, V. Kumar, N. N. Vellichirammal, S. Y. Park, T. L. Rudebush, L. Yu, W. M. Son, E. J. Pekas, A. M. Wafi, J. Hong et al.: J. Physiol., 598, 5427 (2020).14) H. Y. Cho, L. Miller-DeGraff, T. Blankenship-Paris, X. Wang, D. A. Bell, F. Lih, L. Deterding, V. Panduri, D. L. Morgan, M. Yamamoto et al.: Toxicol. Appl. Pharmacol., 364, 29 (2019).15) D. G. Ryan, E. V. Knatko, A. M. Casey, J. L. Hukelmann, S. Dayalan Naidu, A. J. Brenes, T. Ekkunagul, C. Baker, M. Higgins, L. Tronci et al.: iScience, 25, 103827 (2022).16) X. Zhang, L. Ye, H. Xu, Q. Zhou, B. Tan, Q. Yi, L. Yan, M. Xie, Y. Zhang, J. Tian et al.: Stem Cell Res. Ther., 12, 208 (2021)..特に,NRF2活性化による脂肪酸酸化の亢進についてはよく解析がなされており,次項ではNRF2活性化による脂肪酸酸化への寄与について概説する.

NRF2活性化による脂肪酸酸化の促進(図3)

哺乳類において,脂肪酸はトリグリセリドとして脂肪細胞に貯蔵され,必要に応じて脂肪酸とグリセロールに分解され,遊離脂肪酸として血中に放出される.血中から細胞内に取り込まれた脂肪酸はミトコンドリアでβ酸化を受けて,最終的にアセチルCoAに変換され,クエン酸回路に入る.この過程において,脂肪酸はグルコースよりもNADH比としてFADH2を多く産生するため,ミトコンドリア呼吸鎖複合体IIにより依存したエネルギー産生がなされると考えられる.

我々は,骨格筋特異的にKEAP1を欠損させ,NRF2を活性化させたマウスを解析したところ,骨格筋のmyosin heavy chain(MHC)II陽性の速筋線維が減少し,MHC I陽性の遅筋が増加することで,持久力が向上することを発見した(17)17) T. Onoki, Y. Izumi, M. Takahashi, S. Murakami, D. Matsumaru, N. Ohta, S. M. Wati, N. Hatanaka, F. Katsuoka, M. Okutsu et al.: Redox Biol., 43, 101966 (2021)..この時,ミトコンドリア呼吸鎖複合体IIの構成因子であるsuccinate dehydrogenase(SDH)陽性となる筋線維が増加していたことから,このKEAP1欠損マウスでは脂肪酸酸化効率が上昇することで,持久力が向上していると考えられる.我々の結果と一致して,NRF2欠損マウスの心臓ではFADH2の産生能が減弱すること,そして,KEAP1発現抑制マウスのミトコンドリアでは脂肪酸刺激による酸素消費量が増加することが報告されており(18)18) M. H. Ludtmann, P. R. Angelova, Y. Zhang, A. Y. Abramov & A. T. Dinkova-Kostova: Biochem. J., 457, 415 (2014).,NRF2活性化は脂肪酸酸化を亢進させる作用があることが示唆されている.興味深いことに,NRF2を発現抑制した培養細胞やNRF2欠損マウスの肝臓では,脂肪酸をミトコンドリア内に取り込むために必要な酵素であり,脂肪酸酸化の律速酵素となるcarnitine palmitoyl-tansferase 1(CPT1)やCPT2の遺伝子発現が低下する(図3図3■KEAP1-NRF2制御系の脂肪酸酸化への関与(19, 20)19) S. Pang, D. A. Lynn, J. Y. Lo, J. Paek & S. P. Curran: Nat. Commun., 5, 5048 (2014).20) P. J. Meakin, S. Chowdhry, R. S. Sharma, F. B. Ashford, S. V. Walsh, R. J. McCrimmon, A. T. Dinkova-Kostova, J. F. Dillon, J. D. Hayes & M. L. Ashford: Mol. Cell. Biol., 34, 3305 (2014)..上述のトランスクリプトーム解析・プロテオーム解析では,NRF2活性化がCPT1あるいはCPT2の発現を上昇させることが示唆されており,特にCPT2はNRF2が結合しうるARE配列があると報告されている(13~15)13) L. Gao, V. Kumar, N. N. Vellichirammal, S. Y. Park, T. L. Rudebush, L. Yu, W. M. Son, E. J. Pekas, A. M. Wafi, J. Hong et al.: J. Physiol., 598, 5427 (2020).14) H. Y. Cho, L. Miller-DeGraff, T. Blankenship-Paris, X. Wang, D. A. Bell, F. Lih, L. Deterding, V. Panduri, D. L. Morgan, M. Yamamoto et al.: Toxicol. Appl. Pharmacol., 364, 29 (2019).15) D. G. Ryan, E. V. Knatko, A. M. Casey, J. L. Hukelmann, S. Dayalan Naidu, A. J. Brenes, T. Ekkunagul, C. Baker, M. Higgins, L. Tronci et al.: iScience, 25, 103827 (2022)..さらに,NRF2は,細胞膜やミトコンドリア膜に存在して脂肪酸の輸送に関わるCD36の遺伝子発現も直接促進させることが報告されている(21)21) A. Maruyama, S. Tsukamoto, K. Nishikawa, A. Yoshida, N. Harada, K. Motojima, T. Ishii, A. Nakane, M. Yamamoto & K. Itoh: Arch. Biochem. Biophys., 477, 139 (2008)..これに一致して,アテローム形成が促進するApoE欠損マウスのマクロファージでは,NRF2欠損によってCD36の発現低下とともに,低密度リポタンパク質の取り込みが減少する(22)22) T. E. Sussan, J. Jun, R. Thimmulappa, D. Bedja, M. Antero, K. L. Gabrielson, V. Y. Polotsky & S. Biswal: PLoS One, 3, e3791 (2008).

図3■KEAP1-NRF2制御系の脂肪酸酸化への関与

NRF2は脂肪酸酸化に関わる因子を直接転写制御することで,脂肪酸酸化を亢進させる.脂肪酸酸化の律速酵素であるCPT1やCPT2, 細胞膜やミトコンドリア外膜の脂肪酸輸送に関わるCD36などは,NRF2によって制御を受けていることが報告されている21)21) A. Maruyama, S. Tsukamoto, K. Nishikawa, A. Yoshida, N. Harada, K. Motojima, T. Ishii, A. Nakane, M. Yamamoto & K. Itoh: Arch. Biochem. Biophys., 477, 139 (2008).

このように,NRF2活性化は脂肪酸の取り込みと脂肪酸酸化を促進することにより,ミトコンドリアの膜電位形成に関与していると考えられる.

超硫黄分子によるミトコンドリアにおけるエネルギー代謝への寄与

最近,NADHやFADH2の他にミトコンドリアでのエネルギー産生に寄与する新たな因子として,「超硫黄分子(ポリスルフィド)」が報告されている.超硫黄分子とは,パースルフィド(RS-SH)やポリスルフィド(RS-Sn-H)といった,硫黄原子が直鎖状に連結した構造を含む硫黄代謝物やタンパク質のことを示す.その代表例として,システインパースルフィド(CysSSH)やグルタチオンパースルフィド(GSSH)が知られている.超硫黄分子は硫黄が連結した特殊な構造によって,求核反応・求電子反応の両者に反応性が高くなっており,特にCysSSHやGSSHはシステイン(CysSH)やグルタチオン(GSH)と比較して,酸化ストレスなどの求電子剤に対する反応性が高い(23)23) T. Ida, T. Sawa, H. Ihara, Y. Tsuchiya, Y. Watanabe, Y. Kumagai, M. Suematsu, H. Motohashi, S. Fujii, T. Matsunaga et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7606 (2014)..その生理学的機能としては抗酸化作用や抗炎症作用,シグナル伝達などが報告されており,近年,超硫黄分子は新たな生体内分子として注目を集めている(23~27)23) T. Ida, T. Sawa, H. Ihara, Y. Tsuchiya, Y. Watanabe, Y. Kumagai, M. Suematsu, H. Motohashi, S. Fujii, T. Matsunaga et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7606 (2014).24) R. Millikin, C. L. Bianco, C. White, S. S. Saund, S. Henriquez, V. Sosa, T. Akaike, Y. Kumagai, S. Soeda, J. P. Toscano et al.: Free Radic. Biol. Med., 97, 136 (2016).25) T. Akaike, T. Ida, F. Y. Wei, M. Nishida, Y. Kumagai, M. M. Alam, H. Ihara, T. Sawa, T. Matsunaga, S. Kasamatsu et al.: Nat. Commun., 8, 1177 (2017).26) T. Zhang, K. Ono, H. Tsutsuki, H. Ihara, W. Islam, T. Akaike & T. Sawa: Cell Chem. Biol., 26, 686 (2019).27) S. Kasamatsu: Antioxid. Redox Signal., 33, 1320 (2020)..超硫黄分子の産生に関わる酵素としては,これまでにcystathionine β-synthase(CBS)やcystathionine γ-lyase(CSE)が報告されている.両酵素はもともと,ホモシステイン(HomoCysSH)からのCysSH合成を担う酵素として知られており(図4図4■NRF2活性化と超硫黄分子によるミトコンドリアエネルギー代謝),CBSはHomoCysSHをシスタチオニン(Cystathionine)に変換し,CSEがCystathionineをCysSHに変換している.しかしながら,これら酵素はHomoCysSHやCysSHを基質として硫化水素(H2S, HS)を産生させる活性があることも示唆されており,ここで生じたH2Sが元となって化合物やタンパク質の酸化状態のチオール基(-SH)を超硫黄化(-SSH)すると考えられている(28~30)28) O. Kabil & R. Banerjee: J. Biol. Chem., 285, 21903 (2010).29) A. P. Landry, D. P. Ballou & R. Banerjee: ChemBioChem, 22, 949 (2021).30) H. Sasaki, H. Sato, K. Kuriyama-Matsumura, K. Sato, K. Maebara, H. Wang, M. Tamba, K. Itoh, M. Yamamoto & S. Bannai: J. Biol. Chem., 277, 44765 (2002).

図4■NRF2活性化と超硫黄分子によるミトコンドリアエネルギー代謝

細胞内のシステイン(CysSH)は2つの経路から供給される.シスチン/グルタミン酸トランスポーターxCTを介して,細胞外のシスチン(CysSSCys)を取り込み,CysSHへ還元する経路と,ホモシスチン(HomoCysSH)を基質として,CBSによりシスタチオニン(Cystathionine, Cth)に変換し,CSEを介してCysSHを合成する経路である.また,CARS2はCysSHを基質としてシステインパースルフィド(CysSSH)を合成する.SQORは硫化水素(HSH)を酸化すると同時に,電子をユビキノン(Q)へ受け渡すことで,ミトコンドリアの膜電位形成に関与していることが示唆されている.

また近年,システイニルtRNA合成酵素Cysteinyl-tRNA synthetase(CARS)にはCysSSH産生活性(cysteine persulfide synthase: CPERS)があると報告されている(25)25) T. Akaike, T. Ida, F. Y. Wei, M. Nishida, Y. Kumagai, M. M. Alam, H. Ihara, T. Sawa, T. Matsunaga, S. Kasamatsu et al.: Nat. Commun., 8, 1177 (2017)..CARSは,CysSHを対応するtRNAに付加してシステイニルtRNA(CysSH-tRNA)を合成する活性に加えて,CysSHを基質としてCysSSHを合成する活性を有することが明らかになった.興味深いことに,CARS2は,遊離CysSHからCysSSHを合成する一方,超硫黄化したシステイニルtRNA(CysSSH-tRNA)を合成し,リボソームの新生ポリペプチドにCysSSH残基を組み込むことが観察されている(25)25) T. Akaike, T. Ida, F. Y. Wei, M. Nishida, Y. Kumagai, M. M. Alam, H. Ihara, T. Sawa, T. Matsunaga, S. Kasamatsu et al.: Nat. Commun., 8, 1177 (2017)..哺乳類において,CARSは2つのアイソフォームを持ち,細胞質に局在するCARS1にもミトコンドリアに局在するCARS2にもCysSSH合成活性が検出されている.今のところ,CARS1によるCPERS活性による生体機能への影響は明らかとなっていないが,CARS2のCPERS活性は電子伝達系に関与し,ミトコンドリアのエネルギー産生に貢献することが示唆されている(25)25) T. Akaike, T. Ida, F. Y. Wei, M. Nishida, Y. Kumagai, M. M. Alam, H. Ihara, T. Sawa, T. Matsunaga, S. Kasamatsu et al.: Nat. Commun., 8, 1177 (2017)..CARS2欠損の培養細胞では,ミトコンドリア膜電位が野生型細胞と比較して大きく減少することが観察されている.このCARS2欠損の培養細胞に,野生型CARS2の発現を戻すとミコトンドリア膜電位は回復するが,CysSSH合成活性のみを減弱したCARS2変異体を発現しても膜電位は回復しない.この時,CARS2欠損の培養細胞ではCysSSHとGSSHが減少するが,野生型CARS2の発現誘導でその減少が回復し,CysSSH合成活性のみを減弱したCARS2変異体の発現誘導では回復しない.すなわち,CARS2によるCPERS活性,つまり,CARS2依存的に産生される超硫黄分子がミトコンドリアのエネルギー代謝に関与している可能性を示している.

超硫黄分子によるミトコンドリア膜電位形成の分子機序については複数の可能性が考えられる.ミトコンドリアで生成する超硫黄分子から,電子伝達系の活性に依存してHSが産生されることが観察されており(25)25) T. Akaike, T. Ida, F. Y. Wei, M. Nishida, Y. Kumagai, M. M. Alam, H. Ihara, T. Sawa, T. Matsunaga, S. Kasamatsu et al.: Nat. Commun., 8, 1177 (2017).,超硫黄分子が電子受容体として機能することが想定される.ここで,HSはミトコンドリア内膜に存在するsulfide quinone reductase(SQOR)により酸化され,その結果,電子がユビキノンに受け渡されることが報告されており(29)29) A. P. Landry, D. P. Ballou & R. Banerjee: ChemBioChem, 22, 949 (2021).,電子伝達系から超硫黄分子に渡された電子は,再びHSを介して電子伝達系に戻されると推察される.したがって,ミトコンドリア内超硫黄分子によって,電子伝達がより効率化されてミトコンドリア膜電位の形成が促進されると考えられる.この超硫黄分子による作用は,電子伝達系から漏れ出した電子による活性酸素種の発生を抑制すると考えられるため,ミトコンドリア内のタンパク質を酸化障害から保護する役割があるとも考えられる.さらに,ミトコンドリアタンパク質の超硫黄化を維持することがそれらの機能維持に必要である可能性もある.このようにさまざまな可能性も考えられるが,CARS2ヘテロ欠損マウスの肝臓や血清ではCysSSHの減少と共にHSやHSSの減少が観察されていることから,CARS2によるミトコンドリア膜電位の形成・維持には上記のCysSSHが電子受容体として機能し,SQORを介して電子を電子伝達系に戻すモデルが予想されている(図4図4■NRF2活性化と超硫黄分子によるミトコンドリアエネルギー代謝).このように,超硫黄分子を含む硫黄代謝物がミトコンドリアの膜電位形成およびエネルギー代謝に関与していると考えられる.

NRF2活性化による硫黄代謝制御を介したミトコンドリア膜電位形成の可能性(図4)

近年の報告から,KEAP1-NRF2制御系が硫黄代謝制御に関連していることが明らかになってきている.超硫黄分子の起源ともなるCysSHは,上述のCBSとCSEによりHomoCysSHから合成される経路と,シスチン/グルタミン酸トランスポーターxCT(Slc7a11)によって取り込まれるシスチン(CysSSCys)が細胞内で還元されてCysSHとなる経路の2つが知られている(図4図4■NRF2活性化と超硫黄分子によるミトコンドリアエネルギー代謝).興味深いことに,xCTはNRF2の標的遺伝子であることが示されており(30)30) H. Sasaki, H. Sato, K. Kuriyama-Matsumura, K. Sato, K. Maebara, H. Wang, M. Tamba, K. Itoh, M. Yamamoto & S. Bannai: J. Biol. Chem., 277, 44765 (2002).,CBSとCSEもNRF2の活性化によって発現量が増加し,そのプロモーター/エンハンサー領域にARE様配列があるため,NRF2の標的遺伝子であることが示唆されている(31)31) J. M. Hourihan, J. G. Kenna & J. D. Hayes: Antioxid. Redox Signal., 19, 465 (2013)..すなわち,NRF2活性化はCysSHの取り込み,そして,合成を促進し,CysSHの供給量を増大させると考えられる.外来異物や酸化ストレスへの曝露のような,NRF2が活性化される局面においては,解毒代謝及び抗酸化ストレスのためにGSHが必要となる.NRF2活性化はGSH合成における律速酵素glutamate-cysteine ligase(GCL)のサブユニットcatalytic subunit(GCLC)やmodifier subunit(GCLM)を発現上昇させ,GSHの合成を促進させることから,このNRF2活性化によるCysSHの供給増加は非常に理に叶っているといえる.一方で,上述のCARS2によるCysSSH合成活性を介したミトコンドリア膜電位形成の可能性を考えると,NRF2によるミトコンドリアによるエネルギー産生の亢進には,CysSHの供給量の増加が関与している可能性が考えられる.また,我々は,一部の細胞で前述のSQORがNRF2により直接発現誘導されることを見出しており,NRF2活性化によるミトコンドリア膜電位の上昇にSQORの発現上昇も寄与する場合があると考えられる(未発表データ).このように,KEAP1-NRF2制御系はCysSH代謝物制御に関連する遺伝子の発現制御を行うことで,ミトコンドリアエネルギー代謝に寄与すると考えられる.

おわりに

以上のように,KEAP1-NRF2制御系は従来知られていた酸化ストレス応答だけでなく,ミトコンドリアの生合成や電子伝達系,脂肪酸酸化にも寄与することで,ミトコンドリア機能を制御していることが示唆されている.またNRF2は,超硫黄分子の基質となるCysSHの取り込みや合成を促進することで,超硫黄分子の産生を増加させる.これは,これまで知られていたNRF2によるミトコンドリア活性化作用の一部が超硫黄分子により担われていることを意味する.特に,超硫黄分子は抗酸化作用や抗炎症作用が知られていることから,NRF2活性化が示す抗酸化作用や抗炎症作用の一部も,超硫黄分子の増加として理解できるかもしれない.

近年,このNRF2活性化によるミトコンドリア機能制御は疾患の治療という観点からも注目されている.例えば,アルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢・老化関連疾患において,NRF2活性化は病態の進行・増悪を抑制することが示唆されている(32, 33)32) N. Esteras, A. T. Dinkova-Kostova & A. Y. Abramov: Biol. Chem., 397, 383 (2016).33) A. Uruno, D. Matsumaru, R. Ryoke, R. Saito, S. Kadoguchi, D. Saigusa, T. Saito, T. C. Saido, R. Kawashima & M. Yamamoto: Mol. Cell. Biol., 40, e00467 (2020)..これら加齢・老化関連疾患はミトコンドリア機能障害が一つの主な原因であり,その結果として,酸化ストレスの蓄積,炎症応答誘導,エネルギー産生障害などが複合的に生じると考えられている.したがって,疾患の治療薬はこれらの現象全てを改善できるものが望ましく,NRF2活性化剤は理想的な治療薬であると期待される.事実,我々はKlotho欠損による早老モデルマウスに実験において,NRF2活性化が老化症状を改善させること(34)34) M. Zhao, S. Murakami, D. Matsumaru, T. Kawauchi, Y. I. Nabeshima & H. Motohashi: J. Biochem., 171, 579 (2022).,また,アルツハイマー病モデルマウスではNRF2活性化が病態・症状を緩和することを報告している(33)33) A. Uruno, D. Matsumaru, R. Ryoke, R. Saito, S. Kadoguchi, D. Saigusa, T. Saito, T. C. Saido, R. Kawashima & M. Yamamoto: Mol. Cell. Biol., 40, e00467 (2020)..さらに興味深いことに,超硫黄分子もこれら加齢・老化関連疾患と関連があると考えられており,加齢・老化した個体において超硫黄分子が低下すること(35)35) J. Zivanovic, E. Kouroussis, J. B. Kohl, B. Adhikari, B. Bursac, S. Schott-Roux, D. Petrovic, J. L. Miljkovic, D. Thomas-Lopez, Y. Jung et al.: Cell Metab., 30, 1152 (2019).,また特に,脳疾患ではタンパク質の超硫黄化の低下が病態の進行と関連していることと推察されている(36)36) D. Petrovic, E. Kouroussis, T. Vignane & M. R. Filipovic: Front. Aging Neurosci., 13, 674135 (2021)..したがって,NRF2活性化による超硫黄分子制御は今後の大きな課題の一つとなると予想される.

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