本書では，植物バイオテクノロジーの専門家たちがSDGsの理念に基づく日本発の最新技術とその研究成果を紹介しています．本書の特徴は時代と共に発展する技術の紹介から始まり，現在の技術がなぜあるのか，をわかりやすく記述している点です．食品編ではゲノム編集食品を中心に，実用化された例などを取り上げています．医薬品編では植物を医薬品生産の工場に作り替えた実例を紹介しています．本書を読むことで研究成果を実用化するための多様な戦略と植物バイオテクノロジーの可能性がわかるでしょう．

本間洋平氏（公益財団法人　園芸植物育種研究所）

目次

• はじめに―SDGs時代の植物バイオテクノロジー
• 【イントロダクション】
  • 1章　食品や医薬品のあり方が変わる背景
• 【食品編】
  • 2章　食の変化の歴史―果実やトマトを中心に
  • 3章　タンパク質危機を救う植物由来の代替肉
  • 4章　培養肉生産に果たす植物バイオテクノロジーの役割
  • 5章　トマトでつくる希少なタンパク質「ミラクリン」―酸っぱいものが甘くなる！
  • 6章　有害なグリコアルカロイドを含まないゲノム編集ジャガイモ
  • 7章　ゲノム編集で栄養価を最大限に―GABA高蓄積トマト
  • 8章　穂発芽しないコムギをめざして
  • 9章　アメリカで初めて商品化されたゲノム編集食品―Calyxt社の高オレイン酸ダイズ油Calyno
• 【医薬品編】
  • 10章　薬の歴史―植物科学とのつながりを紐解く
  • 11章　植物の有用成分を微生物でつくる
  • 12章　インターフェロンをつくるイチゴ―イヌの歯肉炎軽減剤
  • 13章　植物からワクチンをつくる―コメ型経口ワクチンの開発
  • 14章　パンデミックにも対応，植物由来のVLPワクチン
• 【社会編】
  • 15章　食品や医薬品への消費者の意識変化とこれから
• おわりに―SDGsに貢献する植物バイオテクノロジー