Kagaku to Seibutsu 61(9): 445-452 (2023)
セミナー室
植物のマンガン・亜鉛・カドミウムの吸収・分配・蓄積機構クロストークの理解とカドミウムの蓄積低減策
Published: 2023-09-01
© 2023 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2023 公益社団法人日本農芸化学会
植物は生育に必要な様々な無機栄養素(ミネラル)を土壌から吸収し,必要とする器官へと分配し,利用する機能を備えている.土壌から根へのミネラルの吸収,根から地上部への転流,各器官への分配,老化器官からの再転流,葉緑体や液胞など細胞内小器官への輸送など,各輸送過程において植物は様々な輸送体タンパク質を使い分けている.しかし土壌環境条件や施肥等により土壌から植物へのミネラルの可給性は大きく変化するため,植物は常に必須栄養素の過不足に対処する必要がある.また土壌中には植物の必須元素だけでなく,植物にとって有害な元素も存在し,カドミウム(Cd)やヒ素(As)など一部の有害元素は必須元素の輸送体を介して吸収・蓄積してしまうことがわかってきた.したがって植物の必須元素や有害元素の輸送メカニズムを理解することは,農作物の生産性や栄養価,安全性に直結する.本稿では,必須元素のうちマンガン(Mn)と亜鉛(Zn),有害元素としてCdに注目し,輸送機構やその調節機構,植物種間の違い,微量必須元素と有害元素輸送のクロストークについて,主にイネ科のモデル植物で私たちの主食でもあるイネにおける新知見を中心に概説し,コメの栄養価を高めCd蓄積を低減する新たな方策についても紹介する.
マンガン(Mn)と亜鉛(Zn)は植物の微量必須元素であり,いずれも乾燥重量あたり数十mg/kg程度を必要とする(1)1) 米山忠克,長谷川 功,関本 均(編):“新植物栄養・肥料学 改訂版”,朝倉書店,2023..Mnは葉緑体中の光化学系II複合体内において4つのMn, 5つの酸素,1つのカルシウム原子から成るMnクラスターを構成し,光合成における水の分解と酸素の発生を担う活性中心として機能している.Mn-スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)はミトコンドリアやペルオキシソームに局在し活性酸素の除去に機能する.またMnはTCA回路のリンゴ酸デヒドロゲナーゼやリグニン合成に必要なペルオキシダーゼ等いくつかの酵素の活性化にも関与する(1)1) 米山忠克,長谷川 功,関本 均(編):“新植物栄養・肥料学 改訂版”,朝倉書店,2023..Znは多種多様なタンパク質において基質結合部位や立体構造の保持のために使われている.その中にはDNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼ,複数のリボソームタンパク質,Znフィンガーと呼ばれる構造で特定のDNA配列に結合する転写調節因子などが含まれており,Znが不足すると細胞は複合的な機能不全に陥る(1)1) 米山忠克,長谷川 功,関本 均(編):“新植物栄養・肥料学 改訂版”,朝倉書店,2023..こうした特徴から,Mnは光合成の活発な成葉に比較的多く,Znは細胞分裂・細胞伸長が盛んな若い器官に多く集められる.
カドミウム(Cd)はイタイイタイ病の原因物質として知られる有害元素である.イタイイタイ病では,上流の鉱山廃水に含まれていた高濃度のCdによって下流域の水田が汚染され,そのコメを食べた人々にCdの蓄積毒性による腎障害とカルシウムの吸収阻害,そして重度の骨粗鬆症が生じた.現代ではこれほど重度のCd汚染が放置されることはほとんど無くなったが,軽度~中度の汚染は世界各地に広がっている.高濃度のCdは植物の生育も阻害するが,実際の農地で問題になるのは植物の生育障害を引き起こすような重度の汚染では無く,軽度の汚染であっても食品としてヒトが摂取し続けた場合の蓄積毒性である.食品中のCd濃度には国際的な基準値が決められており,日本でもこれにならって,玄米および精米の場合には0.4 ppm以下と定められている.また日本や東アジアの人々のCd摂取源としては主食であるコメが最も多いため,Cd蓄積の少ない新品種の開発やCdを低減する栽培法などの研究が国内外とも盛んに行われている(1)1) 米山忠克,長谷川 功,関本 均(編):“新植物栄養・肥料学 改訂版”,朝倉書店,2023..
土壌のMn, Zn, Cdはいずれも主に二価の陽イオン(Mn2+,Zn2+,Cd2+)として土壌水分中に溶出し,植物はこれらのイオンを根に発現する輸送体タンパク質を介して吸収する.イネが栽培される水田環境では,湛水によって空気が遮断されるため土壌が還元状態となり,好気的な畑土壌に比べてMnの溶解度が100~1000倍も増加する.多くの植物種にとってはMnが過剰な状態となるが(2)2) P. Wang, N. Yamaji, K. Inoue, K. Mochida & J. F. Ma: New Phytol., 226, 156 (2020).,イネは余剰なMnを積極的に吸収して葉に蓄積する性質を持つ.一方ZnとCdは湛水条件では硫黄と結合し不溶性の硫化亜鉛(ZnS),硫化カドミウム(CdS)を形成するため植物が吸収しにくくなる(コラム参照).また水田に生育するイネは根の構造にも特徴がある.多くの植物種は,根の内皮細胞にカスパリー線(細胞間隙を水や溶質が通過できないようにするバリア構造)が形成されるため,土壌からのミネラルの吸収(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路)は,表皮細胞付近に発現する輸送体によって細胞内に取り込んだ後,シンプラスト(原形質連絡で繋がった細胞膜内の領域)を通って内皮細胞まで運ばれる経路,または内皮細胞の手前までアポプラスト(細胞壁や細胞間隙から成る細胞膜外の領域)を通過して内皮細胞に発現する輸送体によって細胞内に取り込む経路で行われる.イネの根では(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路),内皮細胞だけでなく外皮細胞(表皮のすぐ内側の皮層細胞)にもカスパリー線様のアポプラストバリアが形成され,外皮と内皮の間の皮層細胞の多くが崩壊して地上部から根に空気を送り届けるための破性通気組織となるため,皮層細胞の大部分でシンプラストの連絡が失われる.このためミネラルの吸収は,外皮細胞と内皮細胞の両方に背中合わせに局在する取込み型輸送体と排出型輸送体のペアによって行われていることが次第に明らかになってきた(3)3) J. Che, N. Yamaji & J. F. Ma: New Phytol., 219, 513 (2018)..
イネの根のMn吸収のほとんどは外皮と内皮に発現する2種類の輸送体OsNramp5とOsMTP9が担っている(4, 5)4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).5) D. Ueno, A. Sasaki, N. Yamaji, T. Miyaji, Y. Fujii, Y. Takemoto, S. Moriyama, J. Che, Y. Moriyama, K. Iwasaki et al.: Nat. Plants, 1, 15170 (2015)..OsNramp5は遠心側(土壌側),OsMTP9は向心側(中心柱側)の細胞膜に極性局在し,OsNramp5がMnを根圏から外皮細胞に取り込み,OsMTP9が通気組織のアポプラストへと排出,さらにOsNramp5が内皮細胞にMnを取り込み,OsMTP9が導管に通じる中心柱のアポプラストへと排出することで効率的なMn吸収を実現している(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路).OsNramp5, OsMTP9ともに遺伝子発現レベルは根圏のMn濃度に影響を受けず,またOsMTP9のタンパク質レベルは根圏のMnが多い方が増加する.このためイネは溶存Mnが多くなる湛水条件下においてより多くのMnを吸収する(2, 4, 5)2) P. Wang, N. Yamaji, K. Inoue, K. Mochida & J. F. Ma: New Phytol., 226, 156 (2020).4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).5) D. Ueno, A. Sasaki, N. Yamaji, T. Miyaji, Y. Fujii, Y. Takemoto, S. Moriyama, J. Che, Y. Moriyama, K. Iwasaki et al.: Nat. Plants, 1, 15170 (2015)..OsNramp5のオーソログHvNramp5がオオムギからも見つかっており(図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹),OsNramp5と同様にMn吸収に重要な役割をしている(6)6) D. Wu, N. Yamaji, M. Yamane, M. Kashino-Fujii, K. Sato & J. F. Ma: Plant Physiol., 172, 1899 (2016)..しかし畑作物のオオムギの根は外皮のカスパリー線や通気組織を形成せず,HvNramp5は根の表皮細胞の細胞膜に極性無しに局在する.また遺伝子発現レベルもイネOsNramp5と比べて数倍低い.同じ濃度のMnを与えた場合,イネのMn吸収はオオムギよりも数倍多くなるが,こうした根の構造や輸送体の組織局在性,発現レベルの違いが要因であろうと考えられる(6)6) D. Wu, N. Yamaji, M. Yamane, M. Kashino-Fujii, K. Sato & J. F. Ma: Plant Physiol., 172, 1899 (2016)..酸性土壌ではMnの溶解度が増し,しばしば植物にMn過剰害がみられるが,酸性土壌に適応した植物であるソバでは,FeNramp5によって積極的にMnを吸収し,葉に多量のMnを蓄積することが明らかになっている(7)7) K. Yokosho, N. Yamaji & J. F. Ma: Plant Cell Physiol., 62, 600 (2021)..一方,シロイヌナズナなどの一部の双子葉植物は,OsNramp5やHvNramp5, FeNramp5に相同なNramp輸送体のサブグループを欠いており,代わりに別のサブグループに属すAtNramp1が主にMnの吸収を担っている (図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹,ナンバリングが植物種間で異なることに注意)(8)8) R. Cailliatte, A. Schikora, J.-F. Briat, S. Mari & C. Curie: Plant Cell, 22, 904 (2010)..AtNramp1は根の全ての細胞層に発現し(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路),Mn欠乏条件下で発現が増加することから,Mnが少ない環境でのMn吸収に重要だが,Mn過剰条件ではあまり吸収に寄与しない(8)8) R. Cailliatte, A. Schikora, J.-F. Briat, S. Mari & C. Curie: Plant Cell, 22, 904 (2010)..またatnramp1遺伝子破壊株にソバFeNramp5を導入した実験では,FeNramp5の方がより高いMn吸収能を示した(7)7) K. Yokosho, N. Yamaji & J. F. Ma: Plant Cell Physiol., 62, 600 (2021)..植物種ごとに基質親和性や輸送活性,遺伝子発現応答が異なるMn輸送体を使い分けていると考えられる.他方,イネOsMTP9の相同遺伝子については,キュウリのCsMTP9が根の内皮細胞の向心側に極性局在し,Mn排出輸送活性を持つことが報告されているが(9)9) M. Migocka, A. Papierniak, A. Kosieradzka, E. Posyniak, E. Maciaszczyk-Dziubinska, R. Biskup, A. Garbiec & T. Marchewka: Plant J., 84, 1045 (2015).,その他の植物種で根のMn吸収に関与するかどうかは明らかでない.
Nramp(natural-resistance-associated macrophage protein)輸送体ファミリー(図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹)は,二価の金属陽イオンの輸送体として知られている(一部のイネ科植物にみられるNrat1のみ例外的にAl3+イオンを輸送する)(10)10) J. Xia, N. Yamaji, T. Kasai & J. F. Ma: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 18381 (2010)..これまでに述べた,OsNramp5, HvNramp5, FeNramp5, AtNramp1はいずれもMn2+だけでなくCd2+の輸送活性を持つ(4, 6~8)4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).6) D. Wu, N. Yamaji, M. Yamane, M. Kashino-Fujii, K. Sato & J. F. Ma: Plant Physiol., 172, 1899 (2016).8) R. Cailliatte, A. Schikora, J.-F. Briat, S. Mari & C. Curie: Plant Cell, 22, 904 (2010)..またOsNramp5, AtNramp1については二価鉄イオン(Fe2+)も輸送する(4, 8)4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).8) R. Cailliatte, A. Schikora, J.-F. Briat, S. Mari & C. Curie: Plant Cell, 22, 904 (2010)..このため,少なくともイネOsNramp5とオオムギHvNramp5については遺伝子破壊株や発現抑制株を用いた解析から,MnだけでなくCdの主要な吸収経路となっていることが明らかになった(4, 6)4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).6) D. Wu, N. Yamaji, M. Yamane, M. Kashino-Fujii, K. Sato & J. F. Ma: Plant Physiol., 172, 1899 (2016)..すなわち,植物は必須微量元素Mnの輸送体を介して有害元素Cdも吸収してしまう(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路).また最近,イネのOsNramp1,シロイヌナズナのAtNramp6(図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹)もMnおよびCdの吸収に関与していることが報告されたが(11, 12)11) J. D. Chang, S. Huang, N. Yamaji, W. Zhang, J. F. Ma & F. J. Zhao: Plant Cell Environ., 43, 2476 (2020).12) L. Li, Z. Zhu, Y. Liao, C. Yang, N. Fan, J. Zhang, N. Yamaji, L. Dirick, J. F. Ma, C. Curie et al.: Plant J., 110, 1564 (2022).,OsNramp5やAtNramp1に比べて寄与は小さい.他方,CDF(cation diffusion facilitator)輸送体ファミリーに属すMn排出輸送体OsMTP9についてはMn2+のみを輸送し,Cd2+やFe2+の輸送活性を持たない(5)5) D. Ueno, A. Sasaki, N. Yamaji, T. Miyaji, Y. Fujii, Y. Takemoto, S. Moriyama, J. Che, Y. Moriyama, K. Iwasaki et al.: Nat. Plants, 1, 15170 (2015)..OsNramp5等の取り込み輸送体と共役し,Cdの排出を担う輸送体はまだ同定されていない(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路,ただしキュウリCsMTP9はCdも輸送するとされている)(9)9) M. Migocka, A. Papierniak, A. Kosieradzka, E. Posyniak, E. Maciaszczyk-Dziubinska, R. Biskup, A. Garbiec & T. Marchewka: Plant J., 84, 1045 (2015)..
植物の根のZn吸収は,主にZIP(Zn-regulated transporter, iron-regulated transporter(IRT)-like protein)輸送体ファミリーが担うと考えられているが,例えばシロイヌナズナに13,イネに12あるZIP輸送体のうちどれが根のZn吸収の主要な輸送体であるかは明確でない(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路).シロイヌナズナのFe吸収の主要な輸送体であるAtIRT1はFeの他にMn, Zn, Cd, Coも輸送するが,その輸送能はFeや他の栄養素の状態に応じて複雑に調節されている(13)13) J. Spielmann, V. Cointry, F. Devime, S. Ravanel, J. Neveu & G. Vert: Plant J., 112, 1252 (2022)..イネのOsZIP9は低Zn条件下で遺伝子発現が誘導され,oszip9遺伝子破壊株ではZn吸収が大きく低下することから,少なくとも低Zn環境下では主要な吸収経路の1つであると考えられる(14)14) S. Huang, A. Sasaki, N. Yamaji, H. Okada, N. Mitani-Ueno & J. F. Ma: Plant Physiol., 183, 1224 (2020)..OsZIP9はZnのみを輸送し,Fe, Mn, Cd等の輸送には関与しない.OsZIP9は根の外皮細胞と内皮細胞に発現するが,OsNramp5の様に遠心側に極性局在するかどうかは明らかになっていない(14)14) S. Huang, A. Sasaki, N. Yamaji, H. Okada, N. Mitani-Ueno & J. F. Ma: Plant Physiol., 183, 1224 (2020)..また取り込み輸送体であるZIPと共役して働くZn排出輸送体についても同定されていない(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路).
植物細胞に取り込まれた余剰な必須元素や有害元素の一部は,液胞膜上の輸送体を介して液胞に貯蔵あるいは隔離される.CDF輸送体ファミリーに属すイネのOsMTP8.1およびOsMTP8.2は液胞膜に局在し,細胞質のMnを液胞に輸送する(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路).両遺伝子は葉や根で発現し変異株,特に二重変異株は過剰なMnに対して著しい感受性を示し生育が不良となる.イネは水田環境で過剰に存在するMnを積極的に吸収し,主に成熟葉の液胞に貯蔵することでMn過剰害を生じることなく生育できる(15, 16)15) Z. Chen, Y. Fujii, N. Yamaji, S. Masuda, Y. Takemoto, T. Kamiya, Y. Yusuyin, K. Iwasaki, S. Kato, M. Maeshima et al.: J. Exp. Bot., 64, 4375 (2013).16) Y. Takemoto, Y. Tsunemitsu, M. Fujii-Kashino, N. Mitani-Ueno, N. Yamaji, J. F. Ma, S. Kato, K. Iwasaki & D. Ueno: Plant Cell Physiol., 58, 1573 (2017)..シロイヌナズナのAtMTP8も根の液胞へMnを輸送し,その変異体は過剰なMn存在下でFe欠乏感受性を示す(17)17) S. Eroglu, B. Meier, N. von Wiren & E. Peiter: Plant Physiol., 170, 1030 (2016)..
ZnおよびCdの液胞への輸送にはHMA(heavy metal ATPase)ファミリーの輸送体が関与する.HMAには二価イオンのZn2+やCd2+を輸送するサブグループと一価の銅イオンCu+を輸送するサブグループがある(図3図3■HMA輸送体の分子系統樹).Zn2+とCd2+を輸送するイネOsHMA3の変異体は過剰なZnおよびCdに対して感受性を示す.Zn欠乏条件に変えるとOsHMA3によって根の液胞に蓄えられたZnは直ちに放出されてシュートに移行するが,変異体ではそのようなバッファー機能は失われていた(18)18) H. Cai, S. Huang, J. Che, N. Yamaji & J. F. Ma: J. Exp. Bot., 70, 2717 (2019)..またOsHMA3は種子のCd蓄積性が大きく異なるイネ品種間のQTL(量的形質遺伝子座)解析によっても見出された.一部のCd高蓄積イネ品種では,OsHMA3の機能が欠損しており根の液胞にCdを隔離できなくなったため,より多くのCdが地上部に転流し,茎葉や可食部のCd蓄積が大幅に増加することが明らかになった(19)19) D. Ueno, N. Yamaji, I. Kono, C. F. Huang, T. Ando, M. Yano & J. F. Ma: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 16500 (2010)..オオムギのHvHMA3も同様な働きがあり,遺伝子プロモーター領域へのトランスポゾン様配列の挿入によって根のHvHMA3発現が2倍に増加したオオムギ系統では種子のCd蓄積が数分の1以下に低減された(20)20) G. J. Lei, M. Fujii-Kashino, D. Z. Wu, H. Hisano, D. Saisho, F. Deng, N. Yamaji, K. Sato, F. J. Zhao & J. F. Ma: Nat. Food, 1, 489 (2020)..またシロイヌナズナのAtHMA3も液胞にZnやCd,さらにコバルトや鉛を輸送し,Zn過剰やCdへの耐性に重要な働きをしている(21)21) M. Morel, J. Crouzet, A. Gravot, P. Auroy, N. Leonhardt, A. Vavasseur & P. Richaud: Plant Physiol., 149, 894 (2009)..なお,最も一般的に用いられているシロイヌナズナCol-0系統はAtHMA3遺伝子の機能が欠損しており(21)21) M. Morel, J. Crouzet, A. Gravot, P. Auroy, N. Leonhardt, A. Vavasseur & P. Richaud: Plant Physiol., 149, 894 (2009).,Col-0を用いたCd輸送や耐性の研究も数多く報告されているが,その解釈には注意を要する.
イネの根から地上部へのMnの転流には前述のOsMTP9が重要な働きを担っている (図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路)(5)5) D. Ueno, A. Sasaki, N. Yamaji, T. Miyaji, Y. Fujii, Y. Takemoto, S. Moriyama, J. Che, Y. Moriyama, K. Iwasaki et al.: Nat. Plants, 1, 15170 (2015)..OsMTP9は内皮細胞の向心側にも局在するため,内皮のカスパリー線を越えて中心柱のアポプラストへと排出されたMnはそのまま導管に積み込まれると考えられる.実際に野生型のイネでは根に吸収されたMnはほとんど根に留まることなく速やかに地上部に転流されるが,OsMTP9の遺伝子破壊株では多くのMnが根に残留し,地上部への転流が大きく減少した(5)5) D. Ueno, A. Sasaki, N. Yamaji, T. Miyaji, Y. Fujii, Y. Takemoto, S. Moriyama, J. Che, Y. Moriyama, K. Iwasaki et al.: Nat. Plants, 1, 15170 (2015)..シロイヌナズナや他の多くの植物種では,Mnの根の導管への積み込みに関わる輸送体は同定されていない.
イネのZnおよびCdの地上部への転流に関しては,Mnの場合のOsMTP9に相当するような排出輸送体は同定されていないが,根の内鞘細胞(内皮細胞の内側に接する細胞層)の細胞膜に局在するOsHMA2 (図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路,図3図3■HMA輸送体の分子系統樹)(22)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013).の寄与が大きい.OsHMA2の変異体では,根から地上部へのZnおよびCdの転流が大きく減少した(23)23) N. Satoh-Nagasawa, M. Mori, N. Nakazawa, T. Kawamoto, Y. Nagato, K. Sakurai, H. Takahashi, A. Watanabe & H. Akagi: Plant Cell Physiol., 53, 213 (2012)..なお,HMA(Heavy Metal ATPase)は一般に排出型の輸送体として知られているが,OsHMA2に関して我々は,酵母に発現させた場合に後述のAtHMA4とは逆にCd感受性を示し酵母細胞内のCdが増加すること,シンプラスト輸送経路である篩管に隣接する細胞で働いていること,イネ変異体において導管液中のZn濃度が変化しないことから一般のHMAとは異なり,取り込み型の輸送体であろうと考えている(22)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013)..シロイヌナズナのZnおよびCdの転流には2つの輸送体AtHMA4とAtHMA2が関与している(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路,図3図3■HMA輸送体の分子系統樹).AtHMA4は酵母等を用いた実験では細胞内のZnやCdを排出する輸送活性がみられる.植物体では根の内鞘細胞の細胞膜に発現し,変異株では根から地上部へのZnおよびCdの転流が減少し,過剰なZnやCdに感受性を示す.すなわちAtHMA4は内鞘細胞からZnおよびCdをアポプラストに排出することで導管に積み込む役割を担っている(24)24) D. Hussain, M. J. Haydon, Y. Wang, E. Wong, S. M. Sherson, J. Young, J. Camakaris, J. F. Harper & C. S. Cobbett: Plant Cell, 16, 1327 (2004)..またシロイヌナズナの近縁種でZnおよびCdの超集積植物として知られるArabidopsis halleriでは,AtHMA4のオーソログAhHMA4遺伝子がゲノム上で3コピーに増えて著しく高発現し,超集積性の要因となっている(25)25) M. Hanikenne, I. N. Talke, M. J. Haydon, C. Lanz, A. Nolte, P. Motte, J. Kroymann, D. Weigel & U. Kramer: Nature, 453, 391 (2008)..AtHMA2については,AtHMA4との二重変異体はAtHMA4単独の変異体よりもさらにZnおよびCdの地上部への転流が減少し,より強い感受性を示すが,AtHMA2の輸送活性や本来の生理的役割については十分に理解されていない(24)24) D. Hussain, M. J. Haydon, Y. Wang, E. Wong, S. M. Sherson, J. Young, J. Camakaris, J. F. Harper & C. S. Cobbett: Plant Cell, 16, 1327 (2004)..イネとシロイヌナズナのOsHMA3とAtHMA3,またOsHMA2とAtHMA2はそれぞれ類似した役割を担うが,図3図3■HMA輸送体の分子系統樹に示すようにそれぞれのオーソログ関係は明確でない.またイネ科植物はAtHMA4に相当する遺伝子を持たない(OsHMA4は別のサブグループに属し,Zn/Cdではなく銅の輸送体である).
導管を通って地上部に吸い上げられた水は各器官の蒸散量にしたがって分配される.しかし導管流に乗って運ばれるミネラルの各器官の要求量は必ずしも蒸散量と一致しないため,輸送体を介したミネラル分配のコントロールが必要になる.双子葉植物の場合そのような分配制御は,主に維管束に沿って発現する輸送体によってミネラルを木部から篩部へと移し替えることで実現されると考えられているが(26)26) N. Yamaji & J. F. Ma: Plant Physiol., 187, 1929 (2021).,具体的な知見は少なくMn/Zn/Cdの分配に関わる輸送体ははっきりしない.一方イネなどの単子葉植物では,節において著しく維管束系を発達させ集約的なミネラルの分配制御を行っていることが明らかになってきた(26, 27)26) N. Yamaji & J. F. Ma: Plant Physiol., 187, 1929 (2021).27) N. Yamaji & J. F. Ma: Curr. Opin. Plant Biol., 39, 18 (2017)..イネのMnの分配制御にはOsNramp3が重要な役割を担う (図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹)(28)28) N. Yamaji, A. Sasaki, J. X. Xia, K. Yokosho & J. F. Ma: Nat. Commun., 4, 2442 (2013)..OsNramp3は節において,葉に続く肥大維管束の木部と,より上位の節に続く分散維管束の篩部に発現し,Mnの維管束間輸送を行う.ところがMn過剰条件では,OsNramp3タンパク質は数時間のうちに細胞膜から小胞に取り込まれ分解される.この結果OsNramp3はあたかも環境条件に応じてMnの行き先を切り替えるスイッチの様に機能し,低Mn条件では維管束間輸送によってMnを蒸散の多い成熟葉ではなく上位の節に続く新葉や穂へと優先的に分配するが,高Mn条件ではタンパク質が分解されることで維管束間輸送を止め,余剰なMnを蒸散にしたがって成熟葉により多く分配する(28)28) N. Yamaji, A. Sasaki, J. X. Xia, K. Yokosho & J. F. Ma: Nat. Commun., 4, 2442 (2013)..なおOsNramp3はOsNramp5とは基質特異性が異なり,Mnのみを輸送しFeやCdの輸送活性を持たない (図2図2■Nramp輸送体の分子系統樹)(28)28) N. Yamaji, A. Sasaki, J. X. Xia, K. Yokosho & J. F. Ma: Nat. Commun., 4, 2442 (2013)..また葉のアポプラストの過剰なMnは,Mn-ニコチアナミンキレート複合体の輸送体であるOsYSL6によって細胞内に取り込まれ(29)29) A. Sasaki, N. Yamaji, J. Xia & J. F. Ma: Plant Physiol., 157, 1832 (2011).,前述のOsMTP8.1/8.2によって液胞に隔離される.
節におけるZnの分配にはOsZIP3とOsHMA2が関与する(22, 30)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013).30) A. Sasaki, N. Yamaji, N. Mitani-Ueno, M. Kashino & J. F. Ma: Plant J., 84, 374 (2015)..OsZIP3は葉に続く肥大維管束の木部に発現し,OsHMA2はより上位の節に続く分散維管束の篩部に発現する.したがってZnはOsZIP3とOsHMA2によって維管束間輸送され,Mnとは異なりいったん節に蓄積した後,専ら発達中の新葉や穂へと分配される(22, 30)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013).30) A. Sasaki, N. Yamaji, N. Mitani-Ueno, M. Kashino & J. F. Ma: Plant J., 84, 374 (2015)..また節の維管束や節に付随する腋芽に発現するOsZIP4が発達中の腋芽へのZn分配に寄与していることも明らかになった(31)31) S. Mu, N. Yamaji, A. Sasaki, L. Luo, B. Du, J. Che, H. Shi, H. Zhao, S. Huang, F. Deng et al.: Plant J., 105, 786 (2021)..このうちOsZIP3とOsZIP4はCdの輸送には関与せず,肥大維管束におけるCdの輸送経路は明らかになっていないが,OsHMA2はCdの分配にも主要な経路となっており,CdはZnと同様に節に蓄積し,専ら発達中の新葉や穂へと分配される(22)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013)..イネの節では金属結合タンパク質メタロチオネイン(OsMT2b, 2c)も高発現しており,それらの変異体では節のZn蓄積が増加し,穂や種子のZnが減少したことから,節に蓄積し維管束間輸送されるZnの流動性の維持に関与していると考えられる(32)32) G. J. Lei, N. Yamaji & J. F. Ma: New Phytol., 229, 1007 (2021)..また節の柔組織では,FeやZn等のキレート化合物ムギネ酸を細胞質から液胞に輸送する輸送体OsVMTも発現しており,その変異体では液胞に運ばれなかったムギネ酸が細胞質中に増加し,結果として節に蓄積するFeやZnの転流を促し,種子中のFeおよびZnの蓄積が約2倍に増加した.OsVMT変異体はイネの収量性には影響しないことから,コメのFeやZnの含量を増やし栄養価を向上させる遺伝子として応用が期待できる(33)33) J. Che, K. Yokosho, N. Yamaji & J. F. Ma: Plant Physiol., 181, 276 (2019)..
これまで述べてきたように,植物は微量必須元素であるMnとZnの吸収・根から地上部への転流・地上部での分配・液胞への貯蔵の各過程において様々な輸送体タンパク質を使い分けており,MnとZnの間のクロストークはあまりない.ところが有害元素Cdは輸送の各過程でMnやZnの輸送体に便乗していることが明らかになってきた.イネの場合には根のCd吸収のほとんどはMnの輸送体OsNramp5によって行われ,地上部への転流と節での分配,液胞への隔離はそれぞれZnの輸送体OsHMA2とOsHMA3によって行われる.ではこうした知見を活かしてコメ可食部のCd蓄積を低減するにはどうすれば良いだろう? OsNramp5の遺伝子破壊株は,Cdをほとんど吸収しなくなるが,同時にMn欠乏によって成育が悪化し(4)4) A. Sasaki, N. Yamaji, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Cell, 24, 2155 (2012).,また理由は不明だがゴマ葉枯れ病に罹病しやすくなる(34)34) M. Kuramata, T. Abe, H. Tanikawa, K. Sugimoto & S. Ishikawa: J. Exp. Bot., 73, 6475 (2022)..最近,TILLINGと呼ばれる狙った遺伝子の変異を迅速に見つけ出す手法で見出されたOsNramp5に1アミノ酸置換が生じた変異アリルは,弱い輸送活性を保持しておりMn欠乏を緩和しつつ種子のCd蓄積を約半分に減らせることが報告された(34)34) M. Kuramata, T. Abe, H. Tanikawa, K. Sugimoto & S. Ishikawa: J. Exp. Bot., 73, 6475 (2022)..OsHMA3のオオムギの相同遺伝子HvHMA3については,前述の通り遺伝子プロモーターへのトランスポゾン様配列の挿入によって発現が増加した系統が見つかっており,効果的にオオムギのCd蓄積を低減可能になっている(20)20) G. J. Lei, M. Fujii-Kashino, D. Z. Wu, H. Hisano, D. Saisho, F. Deng, N. Yamaji, K. Sato, F. J. Zhao & J. F. Ma: Nat. Food, 1, 489 (2020)..イネではOsHMA3の高発現系統は見つかっていないが,遺伝子組換えによってOsHMA3を恒常的に高発現させると種子のCd蓄積を大幅に低減でき,また結果としてZnやFeの蓄積には影響しない(19)19) D. Ueno, N. Yamaji, I. Kono, C. F. Huang, T. Ando, M. Yano & J. F. Ma: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 16500 (2010)..またCdの転流・分配経路であるOsHMA2遺伝子のプロモーターを用いてOsHMA3を発現させた場合もより効率的に種子のCd蓄積を低減できる(35)35) J. F. Shao, J. Xia, N. Yamaji, R. F. Shen & J. F. Ma: J. Exp. Bot., 69, 2743 (2018)..一方OsHMA2の変異体では種子へのCd分配が減少するものの,Znの転流・分配経路でもあるため,発達中の器官がZn欠乏となるため生育や種子収量が減少し,そのまま農業生産に用いることはできない(22)22) N. Yamaji, J. Xia, N. Mitani-Ueno, K. Yokosho & J. F. Ma: Plant Physiol., 162, 927 (2013)..
最近我々は,種子のCd蓄積が少ないイネ品種を用いたQTL解析から,その原因がOsNramp5遺伝子の重複であることを見出した(36)36) E. Yu, W. Wang, N. Yamaji, S. Fukuoka, J. Che, D. Ueno, T. Ando, F. Deng, K. Hori, M. Yano et al.: Nat. Food, 3, 597 (2022)..この遺伝子重複によってOsNramp5の遺伝子発現とタンパク質レベルは2倍に増加し,根のMnとCdの吸収は増加するものの,Mnとは異なり,Cdの地上部への転流は大きく減少した.正確なメカニズムは解明されていないものの,未同定の根のCd排出輸送体(図1図1■イネおよびシロイヌナズナの 根のMn, Zn, Cd輸送経路)において増加した細胞質中のMnがCdの輸送を阻害しているのではないかと推測している(36)36) E. Yu, W. Wang, N. Yamaji, S. Fukuoka, J. Che, D. Ueno, T. Ando, F. Deng, K. Hori, M. Yano et al.: Nat. Food, 3, 597 (2022)..この重複したOsNramp5遺伝子をイネ品種コシヒカリに導入したところ,コメの収量性や食味形質に影響することなくCd蓄積のみを約1/3に低減することができた(36)36) E. Yu, W. Wang, N. Yamaji, S. Fukuoka, J. Che, D. Ueno, T. Ando, F. Deng, K. Hori, M. Yano et al.: Nat. Food, 3, 597 (2022)..現在この方法は遺伝子組換えによらないものとしては最も効果的なコメのCd低減法であり,栽培品種に導入することで現実的なほとんどの栽培環境においてCd蓄積を国際基準以下に低減できるものと考えている.
Reference
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