解説

キク科山菜に含まれる機能性成分野生植物として生き抜いてきた山菜の化学戦略を利用する

The Functional Ingredients in Asteraceae Edible Wild Plants: Using the Chemical Strategy of Edible Wild Plants

Shota Uesugi

上杉 祥太

公益財団法人岩手生物工学研究センター

Published: 2023-10-01

日常的に私たちの食卓に並ぶ野菜や果物は,含まれる成分と期待される機能性に関する知見が蓄積されている.一方,食される季節や地域が限定される山菜は,機能性に関する研究例が少ない.山菜は,特に中山間において食文化や地域産業に密接に関わる重要な資源である.またそれには留まらず,山菜は特異な二次代謝産物を豊富に産生し,高付加価値化や用途拡大に役立つ優れた機能性を持つ素材として近年注目されている.この特有の物質生産能は,野生植物として生き抜いてきた山菜の化学的な生存戦略と捉えることができる.本稿では,山菜が担う多面的な役割に触れながら,筆者らの成果を中心としたキク科山菜の新しい機能性を紹介する.

Key words: 山菜; キク科; 機能性成分

はじめに

筆者らは,岩手県の農林水産物を中心として,優れた機能性を持つ素材を探索している.酵素や培養細胞等を用いたアッセイにより機能性を評価したり,注目する有用成分がある場合には,LC-MS等の機器分析により定量することで有用素材を見つけ出す.このような研究を進めるにあたり,サンプルの質と数の両面で充実した探索源を整備することが重要となる.我々のグループでは,岩手県で栽培や収穫が行われるものを中心とした独自の農林水産物抽出物ライブラリーを構築し,機能性研究に活用してきた.岩手県は,全国では2位,本州では最大の県土面積を誇る(四国4県と同等).農業や畜産業が盛んであることに加え,県土の約8割を森林が占めているため林産物が豊富であり,三陸の広大な海が育む水産資源にも恵まれている.一方,生産や加工の過程では,廃棄されるのみの未利用資源も生じている.また,中山間地域においては,高齢化やそれに伴う耕作放棄地の増加が問題となっている.農林水産物の高付加価値化や用途拡大は,生産者の収入増加や土地の有効活用に繋がるものであり,素材が持つ健康機能性はそれを実現するための重要なツールとなる.高齢化が急速に進み社会保障費の増加が深刻な現代社会においては,医療機関や医薬品に頼るだけではなく,機能性を持つ食品やサプリメント,日用品等を適切に活用して,心身の健康を維持・改善することが求められる.こうした背景も踏まえ,岩手県の農林水産物に含まれる成分や機能性に関する研究が行われてきた(1, 2)1) 木村賢一:バイオサイエンスとインダストリー,66, 377 (2008).2) 木村賢一:FOOD Style 21, 24, 19 (2020)..筆者らも独自の抽出物ライブラリーと多様な機能性評価系を駆使して,有用な機能性を持つ特徴的な素材の探索を行っており,森林が多い岩手県らしさのある素材として「山菜」に注目した.我々が機能性スクリーニングを実施すると,山菜には多様かつ優れた機能性が検出されることが多い.しかし,採取可能な時期や地域が限られていることもあり,研究例が乏しいのが現状である(3)3) 名取貴光,中川裕子,桜林ひかる,福井 智,野田聖子,窪島愛華,戸澤一宏,仲尾玲子:日本食品保蔵科学会誌,41, 91 (2015)..山菜は地域産業にも貢献し得る素材であることから,筆者らは機能性成分研究に取り組んできた.

山菜

一般に「山菜」(edible wild plants)とは,野山に自生する野生植物のうち,食用にできるものとされる.この定義にしたがうと,年間を通して山菜は存在するが,春の山菜が最も馴染み深いのではないだろうか.雪解けとともに顔を出し春の訪れを告げるフキノトウのほか,タラの芽,ウド,ウルイ,コゴミ,コシアブラなどが時期をずらして旬を迎える.2013年に登録されたユネスコ無形文化遺産「和食;日本人の伝統的な食文化」においても,見た目と香りで季節感を感じさせてくれる山菜は,欠かせない食材の一つである.特に雪深い地域の人々にとって,厳しい冬が終わり春の訪れを知らせてくれる山菜の存在は格別なものであり,野山で採取した山菜は農作物が少ない春の貴重な収入源でもある.また,春になると各地で山菜をテーマとしたイベントが開催され,地域の活性化にも貢献する.コロナ禍においては,屋外でできる趣味として山菜採りをする人が増えたり,外食を避ける中で普段とは違う気分を楽しめる食材として山菜を取り入れる消費者が増えているという話も聞く.近年,日本に自生し古くから有用植物として用いられてきたものを「和ハーブ」と呼び注目されているが,特有の香りを持つ山菜はまさに和ハーブの代表的な存在である.山菜は季節感だけでなく,さまざまな特別な役割を持った我が国独自の食材である(4)4) 齋藤暖生:森林科学,80, 22 (2017).

キク科植物の二次代謝産物生産能とその利用

山菜の中には,キク科(Asteraceae)に分類されるものがいくつかあり,例えば,春を告げる代表的な山菜であるフキノトウ(Petasites japonicus)は,キク科フキ属に分類される.キク科植物は,二次代謝産物として独自の特徴的な骨格の化合物を産生する能力を持つことが知られる.その代表例が,2015年のノーベル医学・生理学賞の受賞対象となった,キク科ヨモギ属のクソニンジン(Artemisia annua)が産生するartemisininである.Artemisininは,分子内にendoperoxideを持つ三環性セスキテルペンラクトンであり,抗マラリア薬として用いられてきた.また,虫除けで用いられる除虫菊は,キク科ヨモギギク属のシロバナムシヨケギク(Tanacetum cinerariifolium)であり,活性成分としてピレスロイド系化合物を生産する.天然ピレスロイドは,特徴的なシクロプロパンカルボン酸骨格を持つ菊酸を構成単位とするエステルであり,昆虫に選択的な毒性を示すことから,安全かつ効果の高い殺虫剤として蚊取線香などに利用されてきた.そのほか食品に関連するものとして,キク科ステビア属のStevia rebaudianaには,砂糖の150~300倍程度の甘味を持つステビオシド(ステビオール配糖体)が含まれ,低カロリーの天然甘味料として用いられる.以上の例のように,キク科植物には生体分子と相互作用する特有の物質を生産するものが存在し,多様な用途で人類の健康と暮らしに貢献してきた.

キク科フキ属植物

フキ・フキノトウは,数少ない日本原産の食用植物の一つであり,山菜や野菜として古くから食されてきた.花蕾であるフキノトウと,葉柄(一般にフキとして食される部分)と葉身(緑の葉の部分)からなるフキは,地下茎で繋がっている.フキの根茎は,「蜂斗菜」という名称で生薬としても用いられてきた.国内に自生するフキ属植物はP. japonicusのみとされ,非常に大きなフキとして知られるアキタブキやその一種であるラワンブキは亜種(P. japonicus subsp. giganteus)と位置付けられている.その他には,セイヨウフキ(P. hybridus),タイワンブキ(P. tricholobus),ニオイカントウ(P. fragrans)など,世界には合計15種のフキ属植物が存在する(5)5) 関原成妙,品川 明:会誌食文化研究,15, 37 (2019).

フキ・フキノトウ(P. japonicus)の機能性については,多数の報告がある(6)6) M. Hiemori-Kondo: J. Clin. Biochem. Nutr., 67, 10 (2020)..ポリフェノールが豊富であり,多様な機能性が知られるクロロゲン酸やカフェオイルキナ酸類のほか,抗アレルギー作用を持つ特有のフキノール酸なども含まれている.また,特有のテルペノイドも含み,bakkenolide類の抗炎症作用や抗アレルギー作用(7, 8)7) K.-P. Lee, S. Kang, S.-J. Park, Y.-W. Choi, Y.-G. Lee & D.-S. Im: J. Ethnopharmacol., 148, 890 (2013).8) S. Y. Park, M. H. Choi, G. Park & Y.-W. Choi: Int. J. Mol. Med., 41, 1683 (2018).,petasin類の糖代謝・脂質代謝改善作用(9~11)9) Y. Adachi, Y. Kanbayashi, I. Harata, R. Ubagai, T. Takimoto, K. Suzuki, T. Miwa & Y. Noguchi: J. Nat. Prod., 77, 1262 (2014).11) L. Guo, J. S. Kang, Y. H. Park, B. I. Je, Y. J. Lee, N. J. Kang, S. Y. Park, D. Y. Hwang & Y. W. Choi: Food Funct., 11, 5664 (2020).等が報告されている.動物レベルでの効果を示した研究も多く,機能性素材としての実用性も優れていると言える.一方,機能性を担う成分や,それらの作用機序や構造活性相関等の分子機構については未解明な点が残されているのが現状である.

フキ・フキノトウの免疫調節作用

筆者らは機能性評価系として,岩手大学や広島大学等との共同研究により,数種の遺伝子変異酵母株を用いた機能性素材探索を行ってきた(12)12) K. Kimura: J. Antibiot., 72, 579 (2019)..この評価系は,ヒトの疾患にも関与する遺伝子変異により特定のストレス下で正常な生育ができない酵母株を利用し,その生育を回復させる活性を目視で検出できるポジティブスクリーニング系である.そのため,毒性が強い物質を除外できるほか,安価,簡便,短時間で有望なサンプルを選抜することが可能である.このうち,Ca2+シグナル伝達に関わる遺伝子変異株(YNS17株)は,高濃度(0.3 M)CaCl2存在下で増殖が停止するが,ヒトにおいても多様な疾患に関与するCa2+シグナル伝達の一部を阻害すると増殖が回復するという性質を持つ(13, 14)13) M. Mizunuma, D. Hirata, K. Miyahara, E. Tsuchiya & T. Miyakawa: Nature, 392, 303 (1998).14) A. Shitamukai, M. Mizunuma, D. Hirata, H. Takahashi & T. Miyakawa: Biosci. Biotechnol. Biochem., 64, 1942 (2000)..この系を用いることで,抗アレルギー作用を持つ久慈産琥珀由来のkujigamberol(15)15) K. Kimura, Y. Minamikawa, Y. Ogasawara, J. Yoshida, K. Saitoh, H. Shinden, Y. Q. Ye, S. Takahashi, T. Miyakawa & H. Koshino: Fitoterapia, 83, 907 (2012).,糖尿病態改善作用を持つセリ科野菜由来のfalcarindiol(16)16) J. Yoshida, H. Seino, Y. Ito, T. Nakano, T. Satoh, Y. Ogane, S. Suwa, H. Koshino & K. Kimura: J. Agric. Food Chem., 61, 7515 (2013).など,Ca2+シグナルが関与する病態に対して動物レベルでも効果を示す成分がこれまでに見出されている.

農林水産物抽出物ライブラリーから,Ca2+シグナル伝達に関わる遺伝子変異酵母株の生育を回復させるものをスクリーニングした結果,フキとフキノトウが最も明瞭な生育回復活性を示した.活性物質を単離精製し構造解析を行った結果,bakkenolide Bであると同定した.単離したbakkenolide BがYNS17株において濃度依存的な生育回復活性を示すことを確認した.本系においては,高濃度Ca2+非存在下でも生育回復活性を示す偽陽性が見られることもあるため,CaCl2を含まない条件での活性を調べたところ,bakkenolide Bは生育回復活性を示さなかった.このことから,bakkenolide Bの活性には確かにCa2+が寄与していることがわかった.Ca2+シグナル伝達には多数の因子があり,主要な経路の一つとしてCalcineurin経路が存在する(17, 18)17) J. Liu, J. D. Farmer Jr., W. S. Lane, J. Friedman, I. Weissman & S. L. Schreiber: Cell, 66, 807 (1991).18) E. V. Rothenberg & S. B. Ward: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 9358 (1996)..T細胞では,この経路の活性化によりinterleukin-2等の炎症性サイトカインが産生し,アトピー性皮膚炎等の炎症に関与する(図1図1■Calcineurin経路を介したIL-2産生と疾患).本経路への作用の有無を検証することを目的とし,Li感受性を利用した実験を行った.酵母においては,CalcineurinがLiの細胞外排出に寄与する.そのため,Li存在下でCalcineurin経路が阻害されると,Liを細胞外に排出できなくなり致死となる(19)19) T. Nakamura, T. Ohmoto, D. Hirata, E. Tsuchiya & T. Miyakawa: Mol. Gen. Genet., 251, 211 (1996)..この現象を利用し,0.16 M LiClを含むYPD培地で培養した野生株に対してbakkenolide Bを作用させたところ,阻止円を生じたことから,この物質がCalcineurinまたはその経路を阻害することが強く示唆された.以上のように,酵母を駆使したスクリーニングと作用点推定により,bakkenolide Bの作用が明らかとなってきたため,続いてヒト細胞株を用いた作用の検証に着手した.

図1■Calcineurin経路を介したIL-2産生と疾患

ヒトT細胞株であるJurkatは,ホルボールエステルであるPMAとCa2+イオノフォアであるionomycinで刺激すると,Calcineurin経路が活性化しinterleukin-2を産生するため,本経路の解析でよく用いられる(20~22)20) K. Ishiguro, T. Ando, O. Maeda, N. Ohmiya, Y. Niwa & H. Goto: Eur. J. Immunol., 37, 2309 (2007).21) P. Suauam, B.-E. Yingyongnarongkul, T. Palaga, T. Miyakawa & C. Yompakdee: PLoS One, 10, e0136804 (2015).22) Q.-M. T. Ngo, H.-S. Lee, V. T. Nguyen, J. A. Kim, M. H. Woo & B. S. Min: Phytochemistry, 141, 147 (2017)..Bakkenolide Bで前処理することにより,このように刺激したJurkatのinterleukin-2の遺伝子発現とタンパク質産生がともに濃度依存的に抑制された.このinterleukin-2タンパク質産生抑制作用のIC50は,6.3 µMであった.Bakkenolide Bの既報の生物活性と比較すると,Leeらにより報告されたRBL-2H3におけるLPSによるCOX-2及びiNOSの発現抑制活性はIC50=25.6 µM(7)7) K.-P. Lee, S. Kang, S.-J. Park, Y.-W. Choi, Y.-G. Lee & D.-S. Im: J. Ethnopharmacol., 148, 890 (2013).,Parkらにより報告されたマウスミクログリアにおけるLPSによる炎症性サイトカイン(interleukin-1β, interleukin-6, TNF-α)の産生抑制活性はIC50=20~40 µM(8)8) S. Y. Park, M. H. Choi, G. Park & Y.-W. Choi: Int. J. Mol. Med., 41, 1683 (2018).であり,今回のものはこれらより強い活性であった.Calcineurinは脱リン酸化酵素であるが,試験管レベルの酵素反応においてbakkenolide BはCalcineurinの酵素活性自体を阻害しなかったことから,細胞内では他のメカニズムで本経路を阻害していると考えられる.また,bakkenolide Bにはアセチル基とアンゲロイル基からなる2つのエステル側鎖が存在するが,これらを欠いた類縁物質であるbakkenolide Aもフキ・フキノトウから見出されている.Bakkenolide Aの活性を調べたところ,YNS17株における生育回復活性は示さず,Jurkatにおけるinterleukin-2産生抑制活性も弱かった(IC50=24.6 µM).したがって,bakkenolide類に共通の骨格(バッカン骨格)が活性に必須であり,エステル側鎖の存在により顕著に増強されるということが示された(図2図2■Ca2+シグナル伝達経路に対するbakkenolide類の活性(23)23) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, H. Takahashi, Y. Kudo, K. Kimura, H. Yamada & A. Yano: Biosci. Biotechnol. Biochem., 85, 2153 (2021).

図2■Ca2+シグナル伝達経路に対するbakkenolide類の活性

フキ・フキノトウの脂肪蓄積抑制作用

フキ・フキノトウの抽出物には,抗肥満作用があることが複数の論文で報告されている(24~26)24) T. Watanabe, K. Hata, K. Hiwatashi, K. Hori, N. Suzuki & H. Itoh: Biosci. Biotechnol. Biochem., 74, 499 (2010).25) E. M. Ahn, G. Asamenew, H. W. Kim, S. H. Lee, S.-M. Yoo, S.-M. Cho, Y.-S. Cha & M.-S. Kang: Nutrients, 12, 1261 (2020).26) M. Hiemori-Kondo & M. Nii: Biosci. Biotechnol. Biochem., 84, 621 (2020)..本植物にはポリフェノールが非常に豊富に含まれることから,それが活性に関与しているとの推測もなされてきたが,活性成分については明確な報告がなかった.そこでまず,ポリフェノールの寄与を検証するため,乾燥させたフキノトウのメタノール抽出物とヘキサン抽出物を作製し,総ポリフェノール含量とマウス脂肪前駆細胞3T3-F442Aにおける脂肪蓄積抑制活性を比較することで,それらの相関を調べた.その結果,総ポリフェノール含量はメタノール抽出物のほうが4倍程度多かった一方で,脂肪蓄積抑制活性はヘキサン抽出物のほうが強かった.このことから,総ポリフェノールの多さだけでは活性を説明できず,低極性の活性成分が存在することが示唆された.フキ・フキノトウに多く含まれる低極性成分としては,前項で紹介したbakkenolide B等のテルペノイドが知られる.実際,フキ・フキノトウに含まれるテルペノイドであるS-petasinが,細胞レベルで脂肪蓄積を抑制することが報告されている(10)10) L. Guo, K. Li, Z. W. Cui, J. S. Kang, B. G. Son & Y. W. Choi: Food Funct., 10, 4396 (2019)..しかしながら,文献に記載されているデータによると,フキ・フキノトウに含まれるS-petasinの含量は非常に少なく,それだけでは抽出物の活性を説明できないことが判明し,主たる活性成分は他に存在することが強く示唆された.Shibataらは,フキ・フキノトウの主たるテルペノイドとして,bakkenolide Bのほか,bakkenolide A, fukinone, isopetasinを報告している(27)27) H. Shibata & S. Shimizu: Agric. Biol. Chem., 42, 1427 (1978)..加えて,S-petasinと類縁のpetasinがエネルギー代謝のセンサーとして機能するAMP-activated protein kinase(AMPK)を活性化する成分として報告されていた(9)9) Y. Adachi, Y. Kanbayashi, I. Harata, R. Ubagai, T. Takimoto, K. Suzuki, T. Miwa & Y. Noguchi: J. Nat. Prod., 77, 1262 (2014)..そこで,これら5化合物に着目し,脂肪蓄積抑制活性を調べた結果,2 µMの濃度でpetasinのみが強い活性(IC50=0.95 µM)を示すことを見出した(図3図3■Petasinによる脂肪滴形成阻害作用).HPLCで定量を行った結果,上記で用いたフキノトウのヘキサン抽出物1 g中には,petasinが107.82 mg含まれていた.ヘキサン抽出物による脂肪蓄積抑制活性のIC50は3.15 µg/mLであり,この中に含まれるpetasinの濃度は1.07 µMと算出される.これは,petasin単独でのIC50と同等(0.95 µM)であることから,細胞レベルでの脂肪蓄積抑制作用を担う成分がpetasinであると結論付けた.

図3■Petasinによる脂肪滴形成阻害作用

Petasinの構造活性相関について情報を得ることを目的とし,類縁化合物であるisopetasin並びにpetasolとの活性比較を行った.2 µMにおけるこれら3化合物の活性を測定すると,petasinのみが脂肪蓄積を抑制したことから,11–12位の二重結合とangeloylエステルの両方を持つことが活性に必須であることが明らかとなった(図3図3■Petasinによる脂肪滴形成阻害作用).

脂肪前駆細胞が成熟脂肪細胞に分化すると,peroxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ),CCAAT/enhancer-binding protein α(C/EBPα),adipocyte protein 2(aP2)等がマーカータンパク質として発現上昇する(28)28) E. D. Rosen, C.-H. Hsu, X. Wang, S. Sakai, M. W. Freeman, F. J. Gonzalez & B. M. Spiegelman: Genes Dev., 16, 22 (2002)..Petasinは,脂肪蓄積を抑制するのと同等の濃度で,これらのmRNA発現を抑制した.この作用も,3種の類縁物質のうちpetasinのみが示した.脂肪細胞分化においては,多数の因子が関与することから,それを抑制する分子メカニズムも多様である.例えば,コーヒー抽出物(29, 30)29) R. Aoyagi, M. Funakoshi-Tago, Y. Fujiwara & H. Tamura: Biol. Pharm. Bull., 37, 1820 (2014).30) C. Maki, M. Funakoshi-Tago, R. Aoyagi, F. Ueda, M. Kimura, K. Kobata, K. Tago & H. Tamura: PLoS One, 12, e0173264 (2017).や,食用ほおずきの一種Physalis peruvianaに含まれるwithanolide類(31)31) M. Kumagai, I. Yoshida, T. Mishima, M. Ide, K. Fujita, M. Doe, K. Nishikawa & Y. Morimoto: J. Nat. Med., 75, 232 (2021).は,分化の初期段階(insulin, dexamethasone, IBMX刺激による分化開始段階)に作用させるだけで,成熟脂肪細胞への分化を完全に抑制することが報告されている.一方,petasinはそれらとは異なり,初期段階における作用のみでは分化を十分に抑制することができず,むしろ後期段階(insulin刺激による成熟段階)だけに作用させることで効果的に抑制することが判明した.分化後期段階においては,脂肪酸合成と脂肪滴の肥大化が進行する.前述のように,petasinは動物レベルでAMPKを活性化することが報告されている(9)9) Y. Adachi, Y. Kanbayashi, I. Harata, R. Ubagai, T. Takimoto, K. Suzuki, T. Miwa & Y. Noguchi: J. Nat. Prod., 77, 1262 (2014)..AMPKが活性化(リン酸化)されると,糖代謝や脂質代謝が改善される.AMPKの活性化を抗リン酸化AMPK抗体を用いたwestern blottingにより評価した結果,petasinのみが明確にリン酸化を促進し,isopetasinとpetasolには活性が見られなかった.AMPKは,脂肪細胞分化における脂質合成に寄与し,acetyl-CoA carboxylase 1(ACC1),fatty acid synthase(FAS),stealoyl-CoA desaturase 1(SCD1)のような主要因子の発現を調節する(32)32) Q. Wang, S. Liu, A. Zhai, B. Zhang & G. Tian: Biol. Pharm. Bull., 41, 985 (2018)..PetasinはこれらのmRNA発現も抑制したことから,脂質合成を抑制することで脂肪滴の蓄積を抑えるものと考えられた(33)33) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, A. Shiraishi, M. Suzuki, K. Kimura, Y. Shiono & A. Yano: Fitoterapia, 157, 105130 (2022).

以上より,フキノトウは脂肪蓄積を抑制するpetasinを含有し,抗肥満作用を有する素材として有望であることが明らかとなった.ところが,フキ・フキノトウを利用する際に注意が必要な成分として,肝毒性等が知られるピロリジジンアルカロイドが存在する(34~36)34) I. Hirono, H. Mori, K. Yamada, Y. Hirata, M. Haga, H. Tatematsu & S. Kanie: J. Natl. Cancer Inst., 58, 1155 (1977).35) I. Hirono, M. Haga, M. Fujii, S. Matsuura, N. Matsubara, M. Nakayama, T. Furuya, M. Hikichi, H. Takanashi, E. Uchida et al.: J. Natl. Cancer Inst., 63, 469 (1979).36) T. Chen, N. Mei & P. P. Fu: J. Appl. Toxicol., 30, 183 (2010)..農林水産省では,平成27~29年に市販のフキ・フキノトウを対象としたピロリジジンアルカロイドの含有実態調査を実施し,結果を公表している(37)37) 農林水産省:フキのピロリジジンアルカロイド類の含有実態調査結果,https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/attach/pdf/pyrrolizidine_alkaloids-8.pdf.日本における古くからの食経験の中で,フキ・フキノトウを食べたことによると考えられる健康被害は報告がない.しかし,乾燥粉末やエキスとして濃縮したものを食品素材として利用する場合には,ピロリジジンアルカロイドの過剰摂取とならないようにする必要がある.そこで,汎用される6種の有機溶媒を用いてフキノトウの抽出物を作製し,petasinとピロリジジンアルカロイド(petasitenine, neopetasitenine, senkirkine)の含量を定量した.その結果,petasinは抽出溶媒の極性が低いほど抽出効率が高い傾向が見られ,特にヘキサンを用いるとエキス中のpetasin含量が10.78%にまで濃縮されることがわかった.一方,総ピロリジジンアルカロイドは,メタノール,ブタノール,ヘキサンで抽出した場合が比較的低含量であることが示された(33)33) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, A. Shiraishi, M. Suzuki, K. Kimura, Y. Shiono & A. Yano: Fitoterapia, 157, 105130 (2022)..以上より,食品素材やスキンケア素材の作製でも用いられる無極性溶媒であるヘキサンを用いることで,petasin含量が最大で,かつピロリジジンアルカロイド含量が低く抑えられたエキスが得られることが明らかとなった.海外においては,petasinを含む西洋フキP. hybridusの葉を原料とした超臨界二酸化炭素抽出物(Ze 339)がアレルギー性鼻炎の治療に用いられている(38, 39)38) M. Blosa, J. Uricher, S. Nebel, C. Zahner, V. Butterweck & J. Drewe: Pharmaceuticals (Basel), 14, 180 (2021).39) U. Kodjadjiku, B. Nägele, C. Halbsguth & V. Butterweck: Fitoterapia, 153, 104986 (2021)..超臨界二酸化炭素は,ヘキサンと同様に無極性の溶媒として振る舞うため,petasinのような低極性成分の抽出に適していると同時に,高極性のピロリジジンアルカロイドの含量を低減することができると考えられる.

キク科コウモリソウ属植物

同じくキク科に分類される山菜として,コウモリソウ属(Cacalia)のモミジガサ(C. delphiniifolia)とヨブスマソウ(C. hastata)がある.これらは,岩手県や秋田県を中心に春の代表的な山菜として親しまれており,それぞれシドケ,ボウナとも呼ばれる.特有の風味があり,5月頃に食される人気の高い山菜である.コウモリソウ属植物は,世界に約80種が存在するとされる(40)40) M.-L. Zhang, J.-J. Zhang, C.-H. Huo, Y.-C. Gu & Q.-W. Shi: Chem. Biodivers., 7, 105 (2010)..他に和名があるものとしては,カニコウモリ(C. adenostyloides),ミミコウモリ(C. auriculata),ヤマタイミンガサ(C. yatabei)などがある.(コウモリソウ属の学名はCacaliaが用いられてきたが,現在はParasenecioが採用されている.しかしながらあまり定着しておらず,現在もCacaliaとして記載されている場合が多いようである.本稿では,筆者らが発表した論文(41)41) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, Y. Takahashi, K. Shindo, K. Kimura & A. Yano: Biosci. Biotechnol. Biochem., 86, 1462 (2022).における記載に合わせCacaliaに統一した.)

コウモリソウ属においては,成分研究が古くから行われており,特徴的なフラノエレモフィラン骨格を有するセスキテルペノイドが含まれることが知られる(40)40) M.-L. Zhang, J.-J. Zhang, C.-H. Huo, Y.-C. Gu & Q.-W. Shi: Chem. Biodivers., 7, 105 (2010)..一方,それらの生物活性については報告が極めて少ない.モミジガサには,主たるテルペノイドとしてフラノエレモフィラン骨格を持つcacalolが含まれる.Shindoらにより強力な脂質過酸化抑制作用(42)42) K. Shindo, M. Kimura & M. Iga: Biosci. Biotechnol. Biochem., 68, 1393 (2004).が報告されたほか,Liuらによる乳がん細胞に対する増殖抑制作用等の報告(43)43) W. Liu, E. Furuta, K. Shindo, M. Watabe, F. Xing, P. R. Pandey, H. Okuda, S. K. Pai, L. L. Murphy, D. Cao et al.: Breast Cancer Res. Treat., 128, 57 (2011).がある.また,筆者らのグループではモミジガサに含まれるビサボラン型セスキテルペノイドである3,6-epidioxy-1,10-bisaboladiene(EDBD)の抗がん作用についても研究を進めてきた.EDBDは,artemisininと同じく分子内にendoperoxideを持ち,細胞に対して酸化ストレスを誘導する.また,マウス異種移植モデルを用いたin vivo実験において,EDBDの投与によりメラノーマの腫瘍増殖が抑制されることも見出した(44, 45)44) K. Nishikawa, N. Aburai, K. Yamada, H. Koshino, E. Tsuchiya & K. Kimura: Biosci. Biotechnol. Biochem., 72, 2463 (2008).45) K. Kimura, Y. Sakamoto, N. Fujisawa, S. Uesugi, N. Aburai, M. Kawada, S. Ohba, T. Yamori, E. Tsuchiya & H. Koshino: Bioorg. Med. Chem., 20, 3887 (2012)..このように,コウモリソウ属山菜も機能性成分の探索源として有望であると考えられた.

モミジガサとヨブスマソウのメラニン産生抑制作用

前述の農林水産物抽出物ライブラリーから,食品素材だけでなく,スキンケア素材として有望なものの探索も行っている.スキンケア関連の機能性の一つとして,メラニン産生抑制活性がある.マウスメラノーマ細胞B16F10は,メラニン産生能を持つため細胞自体が黒色であるが,それを抑制する成分を作用させると黒色化が抑制される.すなわち,メラニン形成におけるいずれかの過程を阻害する成分を作用機序にかかわらず簡便に検出できるため,スキンケア製品において重要な機能性である美白効果を持つ素材の発見に繋がる.本評価系で,我々の農林水産物抽出物ライブラリーの一部を調べた結果,モミジガサとヨブスマソウがメラニン産生を抑制することを見出した.これらを含むコウモリソウ属植物によるメラニン産生抑制作用に関する論文報告は存在しなかった.ところが,特許を調査すると,ヨブスマソウのメラニン産生抑制活性に関するものが既にあり,その活性成分としてpetasinが同定されていた(46)46) 池本 敦,上松 仁:小眼球症関連転写因子抑制剤,メラニン産生抑制剤,化粧品組成物及び抗ガン剤,特開2014-198683 (2014)..上述したように我々はフキ・フキノトウからpetasinを単離していたため活性を調べたところ,確かにメラニン産生抑制活性が確認された.したがって,petasinがモミジガサやヨブスマソウのメラニン産生抑制物質であると当初考えられた.そこで,HPLCを用いて抽出物に含まれるpetasinの含量測定を試みたところ,ヨブスマソウのごく一部のロットに検出されるのみで,モミジガサにはまったく含まれなかった.Petasinを含まないサンプルもメラニン産生を抑制したことから,モミジガサとヨブスマソウには,明らかに未報告の活性成分が存在することが判明した.活性を示した抽出物には,モミジガサのPeak A,ヨブスマソウのPeak B及びCが共通して含まれていたことから,これらが活性に寄与していると予想し,単離,構造解析を行った(図4図4■モミジガサとヨブスマソウのメラニン産生抑制成分).その結果,モミジガサのPeak Aはcacalol,ヨブスマソウのPeak B, Cはそれぞれdehydrocacalohastin, cacalohastinであることが明らかとなった.単離したこれら3化合物は,いずれもメラニン産生抑制活性を有していた.化合物名を見てわかるように,これらはコウモリソウ属(Cacalia)に特徴的な物質であり,フラノエレモフィラン骨格を有している.汎用される既存の天然由来メラニン産生抑制成分としては,コウジ酸やアルブチンがあり,これらはそれぞれ0.5, 1 mM程度でメラニン産生を抑制した.一方,モミジガサとヨブスマソウから見出した3種の活性成分は,10~30 µM程度で抑制したことから,既存成分よりも低濃度で作用することが明らかとなった(41)41) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, Y. Takahashi, K. Shindo, K. Kimura & A. Yano: Biosci. Biotechnol. Biochem., 86, 1462 (2022).

図4■モミジガサとヨブスマソウのメラニン産生抑制成分

以上より,山菜であるモミジガサとヨブスマソウが,有望なスキンケア向け美白素材としての可能性を持つことを見出したため,これらについても抽出溶媒の検討を行った.メタノール,エタノール,酢酸エチル,ヘキサンを用いて抽出物を作製し,活性成分の含量を測定した結果,溶媒の極性が低いほど含量が高いことがわかった.モミジガサとヨブスマソウの双方において,ヘキサン抽出物中には活性成分が約1割を占めており,簡便な方法で濃縮エキスを作製可能であることが明らかとなった(41)41) S. Uesugi, M. Hakozaki, Y. Kanno, Y. Takahashi, K. Shindo, K. Kimura & A. Yano: Biosci. Biotechnol. Biochem., 86, 1462 (2022).

おわりに

本稿では,キク科山菜には多様かつ優れた機能性が存在することを述べてきた.オリザ油化(株)では,愛知県産フキの葉身と葉柄を原料とした抗アレルギー作用が期待される食品向け機能性素材を販売している.ごく最近,(株)サティス製薬からは,秋田ふきのフキノトウを原料とした肌の皮脂バランスを整えるスキンケア製品向け機能性素材も上市された.機能性素材としての実用性はもちろんのこと,日本独自の伝統食材ならではの魅力も活かされている.また,本稿で脂肪蓄積抑制作用を紹介したpetasinについては,2021年にHeishimaらにより,電子伝達系複合体I阻害活性によるがんのエネルギー代謝を標的とした極めて優れた抗がん作用が報告された(47)47) K. Heishima, N. Sugito, T. Soga, M. Nishikawa, Y. Ito, R. Honda, Y. Kuranaga, H. Sakai, R. Ito, T. Nakagawa et al.: J. Clin. Invest., 131, e139933 (2021)..山菜であるフキ・フキノトウが,実用的な機能性素材や薬の原料としていま改めて注目されている.

このように野生植物の薬効を利用するということは,太古の時代から経験的に行われてきた.それが「本草学」として発展し,中国における最古の薬物書「神農本草経」などで植物の分類とその薬効や利用法が体系化され,現在の生薬学の礎となっている(48)48) 斉藤和季:“植物はなぜ薬を作るのか”,文藝春秋,2017..すなわち,歴史的には植物学と医学は密接に関わっており,医者は植物が持つ薬効を駆使して人々を救ってきた.地球上には22~26万種の植物種が存在するとされるが,含有成分の薬効や機能性が研究されたものはそのうちの10%程度と言われている.多くの宝がまだまだ植物の中に眠っており,今後もpetasinのようにインパクトのある優れた機能性成分が植物から見つかることが大いに期待される.

我々が普段食べている野菜や果物の多くは,元々は野生であったものが人類によって栽培化されたものである.作物が栽培化する過程では「栽培化症候群(domestication syndrome)」と呼ばれるさまざまな形質の変化が起こるが,二次代謝の多様性喪失もその一つとされる.生産性とともに美味しさ(食べやすさ)が追求されるため,苦味や渋味,不快な香り等が少ないものが選抜されることが多いのがその一因である.一方で,このような成分こそが植物の生存戦略であり,病原菌の感染,虫や動物による食害,紫外線の影響等を防ぐために備えていると考えられる(49)49) 黒柳正典:“人の暮らしを変えた植物の化学戦略”,築地書館,2020..また栽培作物は,生産者により管理されたストレスが少ない環境で生きるため,わざわざ労力をかけて防御物質としての二次代謝産物を作る必要性が少ない.このような人類の手による選抜を受けずに野生植物として生きてきた山菜は,特異な二次代謝産物を生産する高い能力をいまも失わず持ち続けている.この物質生産能のおかげで特有の風味が生まれ,私たちに季節感を与えてくれる食材として古くから活躍してきた.今後も山菜に秘められた未知の力を発掘し,健康や地域の活性化に役立てていきたい.

Acknowledgments

本稿で紹介した研究は,公益財団法人岩手生物工学研究センター・生物資源研究部(矢野 明研究部長),岩手大学農学部・天然物生化学研究室(木村賢一教授)をはじめとする皆様にご協力いただき行われたものです.また,本研究は科学研究費補助金(19K14046, 21K13508)の助成を受けて実施されました.この場を借りて,深く御礼申し上げます.

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