解説

脂質代謝を包括的に制御する転写因子SREBP活性を低下させる低分子化合物
食品由来成分によるSREBP活性の調節メカニズム

小髙 愛未

東京農業大学応用生物科学部農芸化学科

井上

東京農業大学応用生物科学部農芸化学科

Published: 2024-03-01

SREBP(Sterol-regulatory element-binding protein)は脂質代謝を包括的に制御する転写因子である.脂肪酸およびコレステロール合成に関与する酵素群の遺伝子発現を制御しており,生体内の脂質代謝制御において中心的な役割を担っている.肥満や脂肪肝さらにはII型糖尿病状態では,肝臓におけるSREBP-1cの過剰な活性化が起きており,その抑制は症状を改善することから,SREBP-1cの活性抑制はこれらの疾患の治療標的として期待されている.近年,SREBP活性を抑制する生体成分や天然由来の低分子化合物が報告されており,本稿では細胞におけるSREBP活性制御機構に加え,それらの化合物の作用機序を紹介する.

Key words: 脂質代謝; SREBP; 低分子化合物

SREBP

SREBPは脂質代謝を包括的に制御する転写因子であり,3種類のアイソフォーム-1a,-1c,-2が存在する.SREBP-1cは脂肪酸合成を,SREBP-2はコレステロール合成を,SREBP-1aは両方の合成に関与する酵素群の遺伝子発現を制御しており,生体内の脂質代謝制御において中心的な役割を担っている(1~3)1) C. Yokoyama, X. Wang, M. R. Briggs, A. Admon, J. Wu, X. Hua, J. L. Goldstein & M. S. Brown: Cell, 75, 187 (1993).2) X. Wang, R. Sato, M. S. Brown, X. Hua & J. L. Goldstein: Cell, 77, 53 (1994).3) H. Shimano, J. D. Horton, I. Shimomura, R. E. Hammer, M. S. Brown & J. L. Goldstein: J. Clin. Invest., 99, 846 (1997)..SREBPはプロセシングとよばれるタンパク質分解機構によりその活性が制御されている(図1図1■SREBPのプロセシングの抑制プロセシングによる活性化機構と低分子化合物の作用点).不活性型の前駆体として合成されたSREBPは,プロセシングによりN末端側が切り離され,転写活性化能を獲得する.SREBPプロセシングの進行は,細胞内ステロールの変動により制御されることが知られている.SCAP(SREBP cleavage-activating protein)は小胞体膜タンパク質であり,小胞体膜上のコレステロールセンサーとして機能している.コレステロールが豊富に存在する状態では,前駆体SREBPはSCAPおよびInsig(Insulin-induced gene)と三者複合体を形成し,小胞体膜上に留まっている.細胞内(小胞体膜上)コレステロール量が減少するとSCAPの立体構造が変化し,SREBP/SCAP複合体がInsigから解離する.SREBP/SCAP複合体はCOPII(Commom coated protein II)小胞複合体を介してゴルジ体へと輸送される.COPII小胞は,積み荷タンパク質を選択的に取り込んで,小胞体からゴルジ体などへの輸送を担う膜小胞である.Sar1-GTPが小胞体膜に結合した後,Sec23/24ヘテロダイマーがリクルートメントされる.Sec24はSCAPのような積み荷タンパク質と結合し,COPII小胞が形成され小胞体膜から出芽する.ゴルジ体へと輸送されたSREBP/SCAP複合体は,そこでセリンプロテアーゼS1P(Site-1 protease)およびS2P(Site-2 protease)による二段階の切断を受ける.これにより転写活性化能をもつN末端側が切り離され,成熟体として細胞質へと放出される.SREBPが切断・活性化されるこの一連の流れを,プロセシングとよぶ(4)4) J. L. Goldstein, R. A. DeBose-Boyd & M. S. Brown: Cell, 124, 35 (2006).

図1■SREBPのプロセシングの抑制プロセシングによる活性化機構と低分子化合物の作用点

SREBP-1cとインスリンシグナル

マウス肝臓において,SREBP-1c mRNAや成熟体タンパク質は摂食時に発現が誘導され,脂肪酸合成系の遺伝子発現が亢進し,de novo脂肪酸合成が促進する.摂食時のSREBP-1c発現の誘導はインスリンが関与していると考えられているが,その作用は多様で複雑である(図2図2■インスリンによるSREBP-1c活性制御).SREBP-1cはAktにより直接リン酸化を受けることでSCAP-SREBP複合体のSec23/24への親和性を上昇させ,プロセシングを亢進する.また,インスリン刺激によるGSK3βの活性抑制はGSK3βによる核内型SREBPのリン酸化を低下させる.これによりFbw7を介したポリユビキチン化が抑制され,核内型SREBPタンパク質のプロテアソーム経路による分解が阻害される.さらに,ERK1/2による核内型SREBPsのリン酸化は転写活性を上昇させる(5)5) J. Inoue & R. Sato: Biomol. Concepts, 4, 417 (2013).

図2■インスリンによるSREBP-1c活性制御

また,mTORC1阻害剤であるラパマイシンによってインスリンによるSREBP-1タンパク質の誘導が阻害されることから,その誘導にはAkt/mTORC1経路が関与していると考えられている.実際に,マウス線維芽細胞ではTSC1/2欠失によってmTORC1を活性化すると,SREBP-1c発現が上昇する.しかしながら肝臓細胞では予想に反して,恒常的なmTORC1の活性化は,SREBP-1cの発現を低下させる.これは恒常的なmTORC1の活性化がおそらくはIRS1の発現を低下させ,その結果としてAktシグナルを減弱させることが原因であると考えられる.通常の肝臓では,インスリン刺激により肝臓特異的なアイソフォームであるInsig2aの発現が抑制されることでSREBP-1のプロセシングが亢進すると考えられており,恒常的なmTORC1活性化条件下でのAktシグナルの減弱は高レベルのInsig2a発現を維持し,それによりSREBP-1の活性化が起こらない可能性が考えられる(5)5) J. Inoue & R. Sato: Biomol. Concepts, 4, 417 (2013).

SREBP活性を抑制する低分子化合物

SREBP活性を抑制する生体成分や低分子化合物に関する多くの報告がある.本稿では,生体成分として多価不飽和脂肪酸(PUFA)を,低分子化合物としては筆者らが発見してきた食品由来成分を中心に,それらの作用機構に着目して紹介する.表1表1■SREBP活性を抑制する低分子化合物とその作用機構には化合物のまとめを,図3図3■SREBP活性を抑制する低分子化合物の構造には構造式を示した.

表1■SREBP活性を抑制する低分子化合物とその作用機構

図3■SREBP活性を抑制する低分子化合物の構造

PUFAは肝臓における脂肪酸合成の強力な阻害作用を有しており,その作用は様々な段階でSREBP活性を抑制することに起因する.SREBP-1cの転写抑制,RNA安定性の低下,プロセシング抑制,活性型SREBPの分解である.転写抑制に関しては,SREBP-1cの転写を活性化する核内受容体LXRのアンタゴニストとして作用する.また,SREBP-1cの転写はセルフレギュレーションされることから,自身の転写活性の低下は転写レベルでの発現抑制につながる.また,Insig-1のプロテアソーム経路を介した分解を抑制することによりプロセシングを抑制する(6)6) P. Ferré, F. Phan & F. Foufelle: Biochem. J., 478, 3723 (2021).

SREBP活性を抑制する食品由来成分の探索

筆者らはこれまでに,脂肪酸合成酵素(FAS)遺伝子プロモーター領域を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイにより,SREBP活性を抑制する食品由来成分を探索してきた.FAS遺伝子はSREBP-1cの標的遺伝子であり,SREBP-1cによる制御を強く受けることから用いた.その結果,様々な成分がFAS遺伝子プロモーター活性を抑制し,解析した全ての成分がSREBP活性を抑制していたが,その作用機構は多岐にわたっていた.以下,我々が同定した食品由来成分に加え,SREBP活性を抑制する低分子化合物について作用機構に分類して紹介する.

前駆体SREBPタンパク質の分解促進

1. Sulforaphane

ブロッコリー由来のイソチオシアネートであるSulforaphaneは,前駆体SREBPのユビキチン–プロテアソーム経路を介した分解を促進する.この分解はSCAPの非存在下にも起こることに加え,これまでにSulforaphaneにより活性化されることが報告されているKeap1-Nrf2経路を介さずに起きる.また,Sulforaphane処理により,SREBPのC末端側がポリユビキチン化を受ける.すなわち,上述のこれまで知られていた活性型SREBPのユビキチン化部位とは異なる部位が修飾されることが示されている(7)7) S. Miyata, M. Kodaka, A. Kikuchi, Y. Matsunaga, K. Shoji, Y. C. Kuan, M. Iwase, K. Takeda, R. Katsuta, K. Ishigami et al.: Sci. Rep., 12, 8715 (2022).

2. Isoxanthohumol

ホップに含まれるIsoxanthohumolは,前駆体SREBPのユビキチン–プロテアソーム経路を介した分解を促進する.コレステロール添加条件では,Isoxanthohumolは前駆体SREBPを分解しないが,一方でSulforaphaneは分解する.コレステロール添加はSREBP/SCAP複合体を小胞体へ留めることから考えると,Sulforaphaneは小胞体で,Isoxanthohumolはゴルジ体またはその輸送過程で分解されると考えられる(8)8) J. Inoue, S. Miyata, M. Shimizu & R. Sato: Biosci. Biotechnol. Biochem., 82, 1591 (2018).

SREBP/SCAP複合体の小胞体–ゴルジ体輸送の阻害

1. Xanthohumol

ホップに含まれるXanthohumolは,Sec23/24に結合し,SREBPのCOP II小胞への取り込みを阻害することでSREBP/CSAP複合体の小胞体–ゴルジ体輸送を妨げ,プロセシングを抑制する.また,食事誘発性肥満モデルマウスへのXanthohumolの混餌は,肝臓におけるSREBP活性化を抑制し,さらに肥満や脂肪肝を改善した(9)9) S. Miyata, J. Inoue, M. Shimizu & R. Sato: J. Biol. Chem., 290, 20565 (2015).

2. Fatostatin

ジアリルチアゾール誘導体であるFatostatinは,SCAPに結合し,SREBP/SCAP複合体の小胞体–ゴルジ体輸送を妨げることでプロセシングを抑制する.Fatostatinを投与した肥満ob/obマウスでは体重増加,血糖値の上昇,肝臓での脂肪蓄積が抑制された(10)10) S. Kamisuki, Q. Mao, L. Abu-Elheiga, Z. Gu, A. Kugimiya, Y. Kwon, T. Shinohara, Y. Kawazoe, S. Sato, K. Asakura et al.: Chem. Biol., 16, 882 (2009).

3. Betulin

Betulinはシラカバの樹皮から抽出・単離できる五環式トリテルペンである.BetulinはSCAPに結合してInsigとの相互作用を強め,プロセシングを阻害することでSREBP-1c,-2の活性を低下させ,コレステロールと脂肪酸の生合成を低下させる.Betulinを投与したマウスでは食事誘発性肥満が改善され,血清および組織中の脂質含量が減少し,インスリン抵抗性が改善した.さらに,アテローム性動脈硬化が改善した(11)11) J. J. Tang, J. G. Li, W. Qi, W. W. Qiu, P. S. Li, B. L. Li & B. L. Song: Cell Metab., 13, 44 (2011).

4. Pectolinarigenin

PectolinarigeninはSREBP前駆体のゴルジ体への輸送を阻害することによって活性型SREBPを低下させ,細胞内脂質を減少させる.SREBPの輸送を阻害する詳細なメカニズムや個体レベルでの効果はまだ不明である(12)12) Y. Zhang, C. Wan, Z. Song, W. Meng, S. Wang & Z. Lan: Biosci. Biotechnol. Biochem., 86, 1220 (2022).

プロセシング抑制(メカニズム未解明)

1. Dipyridamole

前立腺癌において,フルバスタチンはHMG-CoA還元酵素(HMGCR)を阻害することにより腫瘍特異的アポトーシスを誘導するが,SREBP-2のフィードバック反応により,HMGCRや他の脂質代謝遺伝子のさらなる活性化を引き起す.しかし,抗血小板薬であるDipyridamoleを投与しフルバスタチン誘導性のSREBP-1,2のプロセシングを抑制することで,フルバスタチン誘導性の前立腺癌細胞のアポトーシスが増強された(13, 14)13) A. Pandyra, P. J. Mullen, M. Kalkat, R. Yu, J. T. Pong, Z. Li, S. Trudel, K. S. Lang, M. D. Minden, A. D. Schimmer et al.: Cancer Res., 74, 4772 (2014).14) J. Longo, P. J. Mullen, R. Yu, J. E. Leeuwen, M. Masoomian, D. T. S. Woon, Y. Wang, E. X. Chen, R. J. Hamilton, J. M. Sweet et al.: Mol. Metab., 25, 119 (2019).

2. 4′-Hydroxyflavanone, Allyl isothiocyanate

4′-Hydroxyflavanoneやワサビ由来成分であるAllyl isothiocyanateはSREBP-1, 2のプロセシングを抑制することによりそれぞれの標的遺伝子の発現を低下させる(15, 16)15) S. Miyata, J. Inoue, M. Shimizu & R. Sato: FEBS Lett., 586, 1778 (2012).16) S. Miyata, J. Inoue, M. Shimizu & R. Sato: Biosci. Biotechnol. Biochem., 80, 1006 (2016).

3. SI-1(SREBP-1 inhibitor-1)

SREBP-1は肝細胞がん細胞の増殖や転移を促進することが知られている.それらを阻害する目的で開発されたSI-1は,肝細胞がんMHCC97-H細胞においてSREBP-1の標的遺伝子の発現とグルコース取り込みを低下させ,EMT関連指標タンパク質の発現を抑制した.さらに,SI-1はラジオ波焼灼療法(RFA)による肝細胞がんの抗腫瘍効果を増強した(17)17) X. Z. Zou, J. F. Hao & X. H. Zhou: Front. Oncol., 11, 796152 (2021).

4. MSI-1(Ma’s SREBP-1 inhibitor-1)

肺扁平上皮がん(LUSC)ではSREBP-1が高発現しており,抗がん剤耐性に関与する.天然物のデータベースをスクリーニングすることにより同定されたMSI-1はSREBP-1と相互作用することで,肺扁平上皮がん由来NCI-H226細胞においてSREBP-1の標的遺伝子の発現とグルコース取り込みを低下させ,EMT関連指標タンパク質の発現を抑制した.さらに,MSI-1は,抗腫瘍剤に対するLUSC細胞の感受性を高めた(18)18) D. B. Ma, X. Y. Liu, H. Jia, Y. Zhang, Q. Jiang, H. Sun, X. Li, F. Sun, Y. Chai, F. Feng et al.: Front. Pharmacol., 13, 895744 (2022).

5. DHG(ドコサヘキサエン酸(DHA),グルコサミン,アミノ酸の結合体)

ドコサヘキサエン酸(DHA),グルコサミン,アミノ酸の結合体(DHG)は,GLUTを阻害することでグルコース取り込みを低下させた.また,DHGはSREBP-2のタンパク量を減少させるが,AMPKのリン酸化を誘導することでSREBPの活性を低下させることが示唆された(19)19) T. Furuta, Y. Mizukami, L. Asano, K. Kotake, S. Ziegler, H. Yoshida, M. Watanabe, S. Sato, H. Waldmann, M. Nishikawa et al.: ACS Chem. Biol., 14, 1860 (2019).

SCAPに結合し分解

1. KK-052(ビタミンD3誘導体)

ビタミンD3代謝産物25(OH)D3は,ビタミンD受容体(VDR)を介した本来の活性とは無関係にSCAPに結合し,SCAPとSREBPの分解を促進することで脂肪酸の生合成を低下させる.このことから,VDR活性を持たず25(OH)D3より強力なSREBP/SCAP抑制活性を示すビタミンD誘導体としてKK-052を有機合成した.KK-052は,SCAPとSREBP2のタンパク量を低下させるとともに,SREBP2の標的遺伝子の発現を低下させ,肥満マウスにおいて肝臓中の脂質を低下させた(20)20) F. Kawagoe, A. Mendoza, Y. Hayata, L. Asano, K. Kotake, S. Mototani, S. Kawamura, S. Kurosaki, Y. Akagi, Y. Takemoto et al.: J. Med. Chem., 64, 5689 (2021).

2. Lycorine

SCAPと結合する低分子化合物Lycorineは,SQSTM1を介したオートファジー非依存性リソソーム分解経路でSCAP分解を誘導することにより,SREBP-1,2のタンパク量を低下させた.その結果,SREBP-1,2の下流遺伝子の発現を抑制し,細胞内脂質の量が減少した.また,マウスにおいて食事性肥満および高脂血症,肝脂肪症,インスリン抵抗性を改善した(21)21) Z. G. Zheng, S. T. Zhu, H. M. Cheng, X. Zhang, G. Cheng, P. M. Thu, S. P. Wang, H. J. Li, M. Ding, L. Qiang et al.: Autophagy, 17, 1592 (2021).

活性型SREBPタンパク質の分解促進

1. Chrysin

プロポリス由来成分であるChrysinは,成熟体SREBP-1,-2のタンパク質分解を促進することでそれぞれの標的遺伝子の発現を低下させ,コレステロールおよび脂肪酸のde novo合成を抑制した(22)22) M. Iwase, K. Watanabe, M. Shimizu, T. Suzuki, Y. Yamamoto, J. Inoue & R. Sato: Biosci. Biotechnol. Biochem., 83, 1740 (2019).

その他

1. Artepillin C

プロポリスの主要な成分の一つであるArtepillin Cは,CREBに直接結合し,肝糖新生に重要なCREB-CRTC2相互作用を阻害することでSREBP1の転写を抑制する.Artepillin Cを投与した肥満マウスでは,高脂血症とインスリン抵抗性が改善した.さらにArtepillin Cより高いCREB-CRTC2結合阻害活性を示す誘導体A57を開発した(23)23) Y. Chen, J. Wang, Y. Wang, P. Wang, Z. Zhou, R. Wu, Q. Xu, H. You, Y. Liu, L. Wang et al.: Nat. Commun., 13, 246 (2022).

おわりに

本稿では,SREBP活性を抑制する低分子化合物について紹介した.類似の構造を有してSREBP活性を抑制する化合物でも,その作用機構は異なる場合があった.さらに解析を進め,それぞれの化合物の直接の標的因子を同定することができれば,化合物の構造と活性の相関について分子レベルでの統一的な理解ができるかもしれない.また,これらをリード化合物として,より活性の強い化合物を合成することで,治療薬としての可能性を高めるだけでなく,作用機構の解明にもプラスに働くことが期待される.

SREBPは発見から30年以上経過しており,いまも活発に研究が続けられている.脂質代謝のマスターレギュレーターとしてだけでなく,がんの増殖,小胞体ストレス,免疫反応,炎症反応,オートファジーなど様々な生理反応に関与していることが明らかにされている.SREBP活性の抑制を作用機序とした医薬品や機能性表示食品の実現に向けて解析を進めていきたい.

Reference

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19) T. Furuta, Y. Mizukami, L. Asano, K. Kotake, S. Ziegler, H. Yoshida, M. Watanabe, S. Sato, H. Waldmann, M. Nishikawa et al.: ACS Chem. Biol., 14, 1860 (2019).

20) F. Kawagoe, A. Mendoza, Y. Hayata, L. Asano, K. Kotake, S. Mototani, S. Kawamura, S. Kurosaki, Y. Akagi, Y. Takemoto et al.: J. Med. Chem., 64, 5689 (2021).

21) Z. G. Zheng, S. T. Zhu, H. M. Cheng, X. Zhang, G. Cheng, P. M. Thu, S. P. Wang, H. J. Li, M. Ding, L. Qiang et al.: Autophagy, 17, 1592 (2021).

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23) Y. Chen, J. Wang, Y. Wang, P. Wang, Z. Zhou, R. Wu, Q. Xu, H. You, Y. Liu, L. Wang et al.: Nat. Commun., 13, 246 (2022).