解説

植物性食品の保健機能活用の現状と展望
機能性食品中の植物性成分とは?

Current Status and Prospects of Functional Use of Plant Foods: What are the Plant-Derived Ingredients in Functional Foods?

Nao Inoue

井上 奈穂

佐賀大学農学部

Published: 2024-04-01

筆者の取り組んでいる「植物性機能性成分による病態発症改善機能に関する研究」の最終的な到達目標は大きくふたつある.ひとつは,異物である植物性成分に対する生体の応答やそれによってもたらされる代謝変動の解析から,生命現象のより詳細な理解を目指すことである.もうひとつは,食機能に関する基礎的研究の成果を人々が日々の暮らしに活用できるように社会還元を目指すことである.本稿では,後者にフォーカスして,保健機能食品(特定保健用食品および機能性表示食品)における機能性関与成分として市場で活用されている植物性機能性成分について,その現状を紹介し,今後の展望についても考察したい.

Key words: 植物性機能性成分; 保健機能; 特定保健用食品; 機能性表示食品

特定保健用食品における植物由来機能性成分の活用の現状

特定保健用食品(1)1) 消費者庁:特定保健用食品とは,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_200602_01.pdf, 2023.とは,「食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し,その摂取により当該特定の保健の目的に期待できる旨の表示を行うもの」とされている.特定保健用食品として食品を販売するには,その表示について消費者庁長官の許可を受けなければならないことが健康増進法第43条第1項に定められている.また表示の許可に当たっては,食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受ける必要もある.2023年12月29日現在で特定保健用食品として継続承認されているものは1058品目に上る(2)2) 消費者庁:特定保健用食品許可(承認)品目一覧,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses, 2023.

2023年10月2日時点で取得したデータ(2)2) 消費者庁:特定保健用食品許可(承認)品目一覧,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses, 2023.における継続承認中1054品目について,素材の種類別に分類してみると,「植物性(藻類,酢酸を含む)」が729品目,「動物性」が236品目,「その他(菌類,ミネラル,ビタミン,アミノ酸)」が89品目であった.表示許可分類11項目別の内訳は,図1図1■継続承認中の特定保健用食品における植物性食品活用の現状に示すとおりである.

図1■継続承認中の特定保健用食品における植物性食品活用の現状

2023年10月2日時点のデータより集計(許可累計1852品目のうち,継続承認中1054品目について).カラム横の数字は,総品目数(植物性品目数,動物性品目数,その他品目数).

機能性関与成分の観点から集計したところ,1054品目中に計1137成分が含まれ,その種類別の割合は,植物性68%,動物性21%,その他11%であった.機能性成分の活用状況としては,図2図2■継続承認中の特定保健用食品における植物性機能性成分活用の現状に示すとおり,植物性食品中の上位2つである食物繊維類(全体の39%)およびポリフェノール類(全体の12%)の合計で,機能性関与成分1137成分中の半分以上を占めていることがわかる.食物繊維類のなかでは,「難消化性デキストリン(図3図3■特定保健用食品中の代表的植物性機能性成分)」が大半を占めており,全体の32%を占める.難消化性デキストリンはトウモロコシやジャガイモのデンプンを原料とし,それらに酸や熱などを加えて加工することで,ヒトの消化酵素では切断できないβ-1, 2結合やβ-1, 3結合ができることから,水溶性食物繊維として広く利用されているものである.難消化性デキストリンの生理機能は多岐にわたり,日本のみならずアメリカのFDAでもGRAS(“Generally Recognized As Safe”の略)と認められた安全性の高い素材であるため(3)3) U. S. Food and Drug: Determination of the Generally Recognized As Safe (GRAS) Status of Resistant Dextrin, Administration, https://www.fda.gov/media/161882/download, 2023.,多数の特定保健用食品や次項で述べる機能性表示食品にも多数利用されている.ポリフェノール類としては19種の成分が利用されており,そのなかで最も多く利用されているのが「茶カテキン(全体の4%,図3図3■特定保健用食品中の代表的植物性機能性成分)」である.茶カテキンを含む特定保健用食品は全て飲料であり,「コレステロールが高めの方に」あるいは「体脂肪が気になる方に」の商品として継続承認中である.植物性食品中の上位3番目のオリゴ糖類としては5種の成分が利用されており,そのなかで最も多く利用されているのが「コーヒー豆マンノオリゴ糖(全体の4%,図3図3■特定保健用食品中の代表的植物性機能性成分)」である.コーヒー豆マンノオリゴ糖も茶カテキン同様飲料として商品化されているケースがほとんどであるが,コーヒー豆に含まれるという特性を活かして,スティックタイプの粉末飲料(いわゆるインスタントコーヒー)としても継続承認されている.

図2■継続承認中の特定保健用食品における植物性機能性成分活用の現状

2023年10月2日時点のデータより集計(許可累計1852品目のうち,継続承認中1054品目について).機能性関与成分(1054品目中の1137成分)を種類別に集計.

図3■特定保健用食品中の代表的植物性機能性成分

動物性機能性成分の内訳上位3つはペプチド類(全体の11%),多糖類(全体の4%),オリゴ糖類(全体の4%)である.ペプチド類のなかで半分近くを占めているのが「サーデンペプチド(バリルチロシン)」であり,トクホ全体の5%を占める.ジペプチドであるサーデンペプチドは「血圧が高めの方」への商品として許可を受けてから20年以上が経過するが,いまだに新商品も生まれている.

その他に分類される機能性成分の内訳上位3つは菌類(全体の6%),ミネラル類(全体の5%),アミノ酸類(全体の1%)である.菌類としてほとんどを占めているのが「乳酸菌(Lactobacillus, Bifidobacterium)」で,全体の5%になる.そのほとんどが「おなかの調子を整える」「便通改善」などで利用されており,特定の保健機能を期待する場合のみならず,老若男女問わず,摂取する年代も幅広く,日常的に摂取する機会が多い製品の代表格である.

植物性,動物性,その他それぞれに特徴はあるが,品目数においても,機能性関与成分数においても,植物由来成分が全体の7割近くを占め,特定保健用食品への活用が特に進んでいることがわかる.

機能性表示食品における植物由来機能性成分の活用の現状

従来,機能性を表示することができる食品は,これまで国が個別に許可した特定保健用食品と国の規格基準に適合した栄養機能食品(栄養機能を表示するための基準が定められている栄養成分は現在20種類)に限られていた.それに加えて,機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし,消費者が商品の正しい情報を得て選択できるように新設されたものが機能性表示食品(4)4) 消費者庁:機能性表示食品について,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/, 2023.である.機能性表示食品は特定保健用食品とは異なり,国が安全性や機能性の審査は行わないため,事業者は自らの責任において国の定めるルールに則って,食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売以前に消費者庁長官に届け出れば,機能性を表示することができる.機能性を謳う以上,臨床試験あるいはシステマティックレビューによって機能性の科学的根拠を説明する必要はあるが,特定保健用食品同様,疾病に罹患していない方に対する健康の維持および増進に役立つ旨を表示することができるため,年々届出件数は増加している.2023年12月29日現在で機能性表示食品として届出されているものは7789品目に上り,そのうち販売中は3358品目である(5)5) 消費者庁:機能性表示食品の届出情報検索,https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/, 2023.

2023年9月20日時点で取得したデータ(5)5) 消費者庁:機能性表示食品の届出情報検索,https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/, 2023.において,機能性表示食品として届出されているものは7484品目に上り,そのうち販売中は3200品目である.これら販売中商品3200品目を素材の種類別に分類すると,「植物性(藻類,酢酸,クエン酸を含む)」が2994件,「動物性」が585件,「その他(菌類,アミノ酸等)」が389件である.なお,機能性表示食品は特定保健用食品とは異なり,複数の機能性成分を添加し,複数の機能性を謳うことができるため,図4図4■販売中の機能性表示食品における植物性素材活用の現状に示すとおり,26項目の機能性表示に対して,のべ3968件が集計された.植物性素材活用の観点から機能性表示項目別に件数を集計すると,「肥満・脂肪の燃焼関連」「血糖値関連」「血中中性脂肪関連」「血圧関連」の上位4項目中の植物性食品由来件数で全体の3割強を占めていることがわかる.

図4■販売中の機能性表示食品における植物性素材活用の現状

2023年9月20日時点のデータより集計(届出7484品目のうち,販売中3200品目について).カラム横の数字は,総件数(植物性件数,動物性件数,その他件数).

機能性関与成分の観点から集計したところ,3200品目中に計4130成分が含まれ,その種類別の割合は,植物性73%,動物性17%,その他10%であった.機能性成分の活用状況としては,図5図5■販売中の機能性表示食品における植物性機能性成分活用の現状に示すとおり,植物性食品中の上位3つであるポリフェノール類(全体の28%),アミノ酸類(全体の13%),テルペノイド類(カロテノイド含む,全体の11%)の合計で,機能性関与成分4130成分中の半分以上を占めていることがわかる.ポリフェノール類のなかで最も利用されているのはフラボノイドの一種である「ポリメトキシフラボン(図6図6■機能性表示食品中の代表的植物性機能性成分)」で,全体の3%を占める.ポリメトキシフラボンはラオスやタイに自生するショウガ科植物であるブラックジンジャー(黒生姜)から抽出された機能性成分で,もともと,ブラックジンジャーは伝統医学で炎症,潰瘍などの疾患や症状の治療に広く用いられていた(6)6) J. Huang, T. Tagawa, S. Ma & K. Suzuki: Nutrients, 14, 3845 (2022)..ポリメトキシフラボンはブラックジンジャー以外にも一般的に柑橘類の果皮に多く含まれることが知られており,「体脂肪低下」「脂肪の消費」「筋力維持」などに効果的な機能性成分として利用されている.アミノ酸類のなかでは,「γ-アミノ酪酸(GABA,図6図6■機能性表示食品中の代表的植物性機能性成分)」が大半を占めており,全体の11%を占めている(これは機能性表示食品の機能性関与成分4130のなかで最も多い数である).GABAは主に抑制性の神経伝達物質として機能する物質であり(7)7) S. B. Sarasa, R. Mahendran, G. Muthusamy, B. Thankappan, D. R. F. Selta & J. Angayarkanni: Curr. Microbiol., 77, 534 (2020).,ヒトの脳などの生体内にも含まれている.植物性食品にも天然のGABAは存在するが,天然に含まれる量はごく微量であるため,機能性食品素材としてはコメや大麦,サトウキビなどの原料から乳酸菌発酵などにより生産され,「血圧」「睡眠」「ストレス緩和」などの多様な機能性が利用されている.テルペノイド類のなかで最も利用されているのは「ルテイン(図6図6■機能性表示食品中の代表的植物性機能性成分)」で,全体の4%を占める.そもそもルテインは体内ではゼアキサンチンとともに眼球内の黄斑部や水晶体,皮膚などに多く存在し,活性酸素除去などの抗酸化作用を発揮しているが,加齢と共に眼球内のルテインも減少することが報告されている(8)8) M. Mrowicka, J. Mrowicki, E. Kucharska & I. Majsterek: Nutrients, 14, 827 (2022)..ルテインは緑黄色野菜に多く含まれるが,日常の食事で十分量補うことは困難であるため,マリーゴールドなどの黄色の花弁などから抽出されたものが「目や眼の保護」「ピント調節」などに効果的な機能性食品素材して利用されている.

図5■販売中の機能性表示食品における植物性機能性成分活用の現状

2023年9月20日時点のデータより集計(届出7484品目のうち,販売中3200品目について).機能性関与成分(3200品目中の4130成分)を種類別に集計.

図6■機能性表示食品中の代表的植物性機能性成分

動物性機能性成分の内訳上位3つは脂質(全体の7%),たんぱく質(全体の4%),ペプチド類(全体の3%)である.脂質のなかで最も多くを占めるのは「ドコサヘキサエン酸(DHA)」で,全体の3%である.ω3脂肪酸の一種であるDHAは「血中中性脂肪」「認知機能」などに効果的な機能性成分として利用されている.DHAはエイコサペンタエン酸(EPA)同様,医薬品としても用いられるほどの機能性食品素材であり,現在,そのほとんどが魚油やクリルオイルから抽出,精製されたものである.近年,オーランチオキトリウムやシゾキトリウムなどの微細藻類から抽出したDHAを含む機能性表示食品も現れており,市場が活発化するのかも含め,注目すべき機能性成分のひとつと言える.

その他に分類される機能性成分の内訳上位3つは菌類(全体の7%),アミノ酸類(全体の2%),その他(全体の1%)である.菌類のほとんどを占めるのが「乳酸菌(Lactobacillus, Bifidobacterium,有胞子性乳酸菌,プラズマ乳酸菌,植物性乳酸菌)」で,全体の7%になる.機能性表示食品の場合,特定保健用食品とは異なり,おなかの調子を整えるなどの「腸内環境改善」のみではなく,「肥満・脂肪の燃焼」「認知機能」「睡眠」「ストレス軽減やストレス緩和」「免疫機能」など非常に多岐にわたる機能性が報告され利用されている.乳酸菌は株や由来によっても機能性が異なる点は非常に興味深い.

機能性表示食品も特定保健用食品同様,品目数,機能性関与成分数いずれにおいても,植物由来成分が全体の7割以上を占め,多種多様な植物由来機能性成分が機能性表示食品として利用されていることがわかる.

今後の展望

以上述べたように,既に多種多様な食品成分の機能性が保健機能食品に活用されている.しかしながらin vitro実験系によるスクリーニングとin vivo実験系による機能性評価を組み合わせた研究により,有望な機能性成分が多数報告されている.

例えば,特定保健用食品および機能性表示食品において,動物由来ペプチドを含む商品は243品目と多数存在し,機能性表示も11項目と多岐にわたっているが,植物由来ペプチドは9品目・2項目と活用事例が少ない状況である.一方で基礎研究においては,豆類・穀類・イモ類・種実類などの様々な植物性素材から機能性ペプチドが多数報告され(9)9) H. Fan, H. Liu, Y. Zhang, S. Zhang, T. Liu & D. Wang: Journal of Future Foods, 2, 143 (2022).,なかでも大豆由来ペプチドの研究報告が多い(10)10) D. Das, M. E. Kabir, S. Sarkar, S. B. Wann, J. Kalita & P. Manna: Int. J. Biol. Macromol., 194, 276 (2022)..筆者らも,ヒト由来肝臓モデルHepG2細胞を用いたin vitro実験における動脈硬化促進性バイオマーカーであるApo B100分泌能および放射性同位体14Cラベル酢酸からの脂質合成能を指標としたスクリーニング系と,肥満モデル動物OLETFラットを用いたin vivo実験系を組み合わせた評価系を構築し,分離大豆タンパク質から5段階の分画を経て,脂質低下作用を有する新規ジペプチド3種(Lys-Ala, Val-Lys, Ser-Tyr)を同定することに成功している(図7図7■脂質低下作用を有する大豆由来ジペプチドの検索(11)11) N. Inoue, K. Nagao, K. Sakata, N. Yamano, P. E. R. Gunawardena, S. Y. Han, T. Matsui, T. Nakamori, H. Furuta, K. Takamatsu et al.: Lipids Health Dis., 10, 85 (2011)..そのうちSer-Tyrに関しては,他の研究者から,マウス脳内のノルアドレナリン系増強作用等もその後報告されている(12)12) T. Ichinose, K. Moriyasu, A. Nakahata, M. Tanaka, T. Matsui & S. Furuya: Biosci. Biotechnol. Biochem., 79, 1542 (2015).

図7■脂質低下作用を有する大豆由来ジペプチドの検索

またキノコ類は,特定保健用食品および機能性表示食品において,ブナハリタケ由来成分・マッシュルーム由来成分・カイコハナサナギタケ由来成分・エノキタケ由来成分の活用にとどまっているが,古くからメディカルマッシュルームという言葉が知られているように,これまで多種多様な研究報告がなされている(13)13) A. Fontes, J. Ramalho-Santos, H. Zischka & A. M. Azul: Eur. J. Clin. Invest., 52, e13667 (2022)..筆者らも,東北地方で野生種が食されているムキタケ(Panellus serotinus)について,共同研究者による菌床栽培技術開発による安定供給可能化をうけて,その機能性評価を行った(図8図8■ムキタケ(Panellus serotinus)による肥満誘発性病態改善作⽤).その結果,in vitroで炎症誘導転写調節因子nuclear factor kappa Bの活性化機構を阻害する作用が見いだされ,in vivoで肥満糖尿病モデルマウスに対して,炎症性および抗炎症性アディポサイトカインの産生バランス調節を介して病態改善作用を発揮することを報告した(14, 15)14) N. Inoue, M. Inafuku, B. Shirouchi, K. Nagao & T. Yanagita: Lipids Health Dis., 12, 18 (2013).15) K. Nagao, N. Inoue, M. Inafuku, B. Shirouchi, T. Morooka, S. Nomura, N. Nagamori & T. Yanagita: J. Nutr. Biochem., 21, 418 (2010).

図8■ムキタケ(Panellus serotinus)による肥満誘発性病態改善作⽤

チャノキ(Camellia sinensis)の葉,いわゆる茶は,ガレート型カテキンやメチル化カテキンなどの機能性を有するポリフェノール類を含むことから,特定保健用食品および機能性表示食品として多数商品化されている.一般的に,野菜や果実などの可食部に含まれるポリフェノール類などの機能性成分は生鮮食品や加工食品としてその存在が知られているが,非可食部であり,果実等の収穫後にほとんどが廃棄される樹木の葉にもポリフェノール類をはじめとした機能性成分が含まれていることが様々な研究により報告されている(16)16) T. Bhattacharya, P. S. Dey, R. Akter, M. T. Kabir, M. H. Rahman & A. Rauf: Exp. Gerontol., 150, 111352 (2021)..筆者らも,当時,果実収穫後に廃棄物として処理されていたブルーベリー葉にフラボノールグリコシドやプロアントシアニジンが含まれることに注目し,その有効利用法の探索を目指して研究を行った(図9図9■ブルーベリー葉抽出物の機能性評価に関する研究(17, 18)17) H. Sakaida, K. Nagao, K. Higa, B. Shirouchi, N. Inoue, F. Hidaka, T. Kai & T. Yanagita: Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2335 (2007).18) N. Inoue, K. Nagao, S. Nomura, B. Shirouchi, M. Inafuku, H. Hirabaru, N. Nakahara, S. Nishizono, T. Tanaka & T. Yanagita: Biosci. Biotechnol. Biochem., 75, 2304 (2011)..その結果,肝臓における脂肪酸合成を抑制し,β酸化を亢進することで,肥満ラットにおいて脂質低下作用を発揮することを示した.また,ブルーベリー葉抽出物がアンジオテンシン変換酵素の阻害活性を有することを示し,本態性高血圧モデルSHRの血圧上昇を抑制することも示した.

図9■ブルーベリー葉抽出物の機能性評価に関する研究

以上のように,植物由来素材の機能性に関する基礎研究によって,活性本体や場合によっては作用機序の詳細まで明らかになっている機能性関与成分の候補が多数存在する.また,その供給源として,これまで廃棄物として処理されていた(食経験がなかった)ものや,栽培技術開発により安定供給が可能になったものなど,注目されてこなかった素材にも新たな商品開発への活用の可能性が期待される.

Reference

1) 消費者庁:特定保健用食品とは,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_200602_01.pdf, 2023.

2) 消費者庁:特定保健用食品許可(承認)品目一覧,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses, 2023.

3) U. S. Food and Drug: Determination of the Generally Recognized As Safe (GRAS) Status of Resistant Dextrin, Administration, https://www.fda.gov/media/161882/download, 2023.

4) 消費者庁:機能性表示食品について,https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/, 2023.

5) 消費者庁:機能性表示食品の届出情報検索,https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/, 2023.

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10) D. Das, M. E. Kabir, S. Sarkar, S. B. Wann, J. Kalita & P. Manna: Int. J. Biol. Macromol., 194, 276 (2022).

11) N. Inoue, K. Nagao, K. Sakata, N. Yamano, P. E. R. Gunawardena, S. Y. Han, T. Matsui, T. Nakamori, H. Furuta, K. Takamatsu et al.: Lipids Health Dis., 10, 85 (2011).

12) T. Ichinose, K. Moriyasu, A. Nakahata, M. Tanaka, T. Matsui & S. Furuya: Biosci. Biotechnol. Biochem., 79, 1542 (2015).

13) A. Fontes, J. Ramalho-Santos, H. Zischka & A. M. Azul: Eur. J. Clin. Invest., 52, e13667 (2022).

14) N. Inoue, M. Inafuku, B. Shirouchi, K. Nagao & T. Yanagita: Lipids Health Dis., 12, 18 (2013).

15) K. Nagao, N. Inoue, M. Inafuku, B. Shirouchi, T. Morooka, S. Nomura, N. Nagamori & T. Yanagita: J. Nutr. Biochem., 21, 418 (2010).

16) T. Bhattacharya, P. S. Dey, R. Akter, M. T. Kabir, M. H. Rahman & A. Rauf: Exp. Gerontol., 150, 111352 (2021).

17) H. Sakaida, K. Nagao, K. Higa, B. Shirouchi, N. Inoue, F. Hidaka, T. Kai & T. Yanagita: Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2335 (2007).

18) N. Inoue, K. Nagao, S. Nomura, B. Shirouchi, M. Inafuku, H. Hirabaru, N. Nakahara, S. Nishizono, T. Tanaka & T. Yanagita: Biosci. Biotechnol. Biochem., 75, 2304 (2011).