Kagaku to Seibutsu 63(3): 123-131 (2025)
解説
Aging Clockと老化制御
健康寿命の鍵を握る骨格筋とエピゲノムの関係
Regulation of Aging by the Epigenome: Skeletal Muscle, a Key to Healthy Life Span, and DNA Methylation
Published: 2025-03-01
どのような食生活や運動習慣をしてきたか,といった環境要因によって,私たちの身体は実際の年齢(暦年齢)よりも老けて見えることがある.過度なストレスを慢性的に受けると,皮膚や髪の毛の老化といった外見の変化にとどまらず,無自覚にも,脳や肝臓,膵臓,腎臓,骨,骨格筋などの生命維持に必須な臓器・組織を早く老化させてしまう.このことは,誕生してからの年数で決定される暦年齢とは異なり,身体を構成する臓器・組織レベルでの年齢(いわゆる,生物学的年齢)の増加が「老化」というプロセスの根底にあり,「生物学的年齢」を規定する仕組みを理解することこそが,「老化」を理解し制御する上で重要であることを示唆している.
Key words: 老化; Aging Clock(老化時計); DNAメチル化; 骨格筋; サルコペニア
© 2025 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2025 公益社団法人日本農芸化学会
近年,これまで「自然現象として決して抗うことができないもの」と認識されてきた「老化」というプロセスの実態が明らかになるに伴い,老化に積極的に介入するだけでなく,老化した臓器・組織を若い健康な状態に戻そうとする研究が隆盛を迎えている.一般的に,私たちが若い頃は健康であることが多いものの,年齢を重ねるにつれて,認知症や慢性腎臓病,骨粗鬆症,心血管疾患,がんなど,さまざまな疾患に罹患するリスクが急速に増大していく.これは加齢に伴って臓器や組織レベルで炎症が慢性化し(炎症老化:Inflammagingと呼ばれる),免疫機能の低下(免疫老化)や環境変化への適応応答機構が破綻していくことなどが一因となるが,その根底にある仕組みには依然として不明な点が多い.老化した組織・臓器を細胞レベルに落とし込んで考えてみると,健康な正常細胞の一部が異なった性質に変化していることがわかる.すなわち,①細胞増殖の低下,②DNA損傷の蓄積,③テロメア長の短縮,④細胞サイズの拡大,⑤炎症性サイトカインやケモカインなどの分泌因子の過剰放出(細胞老化関連分泌形質:Senescence-associated secretory phenotype; SASPの獲得),⑥活性酸素種(ROS)の過剰産生などを特徴とした「老化細胞」が,老化した組織・臓器において蓄積してくる(1, 2)1) L. Zhang, L. E. Pitcher, M. J. Yousefzadeh, L. J. Niedernhofer, P. D. Robbins & Y. Zhu: J. Clin. Invest., 132, e158450 (2022).2) S. Chaib, T. Tchkonia & J. L. Kirkland: Nat. Med., 28, 1556 (2022)..このような老化細胞は,p16Ink4aやp21Cip1などの細胞周期の停止に関わる遺伝子,老化関連β-ガラクトシダーゼ活性,γH2AXなどのDNA損傷マーカーなど,複数の老化細胞マーカーを組み合わせることによりこれまでに同定されてきた.p16Ink4a陽性の老化細胞を除去したマウスでは,個体寿命が延長することから(3)3) D. J. Baker, B. G. Childs, M. Durik, M. E. Wijers, C. J. Sieben, J. Zhong, R. A. Saltness, K. B. Jeganathan, G. C. Verzosa, A. Pezeshki et al.: Nature, 530, 184 (2016).,p16Ink4aを指標として,マウス生体レベルで老化細胞を可視化し,薬剤投与で老化細胞を特異的に除去できるレポーターマウス(p16-3MRマウス)が作出されており(4)4) M. Demaria, N. Ohtani, S. A. Youssef, F. Rodier, W. Toussaint, J. R. Mitchell, R. M. Laberge, J. Vijg, H. Van Steeg, M. E. Dolle et al.: Dev. Cell, 31, 722 (2014).,老化・寿命制御における老化細胞の機能・役割が詳細に解析されている.老化細胞は,他の細胞集団とは異なり,SASP因子(老化細胞由来の炎症促進因子)を過剰に放出するなどの特徴から,細胞外環境に影響を与えるとともに,健康な正常細胞にまでも細胞老化を誘発する.これはp16-3MRレポーターマウスを用いた解析から,マウス筋組織への老化細胞の移植がパラクリン的に宿主マウスの筋再生時の細胞老化を増強することからも示唆されている(5)5) V. Moiseeva, A. Cisneros, V. Sica, O. Deryagin, Y. Lai, S. Jung, E. Andres, J. An, J. Segales, L. Ortet et al.: Nature, 613, 169 (2023)..近年,セルソーティングとシングルセル解析技術の発展から,老化細胞には不均一性(heterogeneity)があること(細胞老化の元となる細胞が同じ場合であっても遺伝子発現パターンなどが異なる老化細胞が出現してくる)(5)5) V. Moiseeva, A. Cisneros, V. Sica, O. Deryagin, Y. Lai, S. Jung, E. Andres, J. An, J. Segales, L. Ortet et al.: Nature, 613, 169 (2023).,また,一部の老化細胞は,免疫チェックポイントタンパク質であるPD-L1(programmed death-ligand 1)を高発現しており,PD-L1陽性の老化細胞が加齢とともに蓄積することが示された(6, 7)6) T. W. Wang, Y. Johmura, N. Suzuki, S. Omori, T. Migita, K. Yamaguchi, S. Hatakeyama, S. Yamazaki, E. Shimizu, S. Imoto et al.: Nature, 611, 358 (2022).7) J. Majewska, A. Agrawal, A. Mayo, L. Roitman, R. Chatterjee, J. Sekeresova Kralova, T. Landsberger, Y. Katzenelenbogen, T. Meir-Salame, E. Hagai et al.: Nat. Cell Biol., 26, 1336 (2024)..CD8+ T細胞(細胞傷害性T細胞)によって免疫除去されやすいPD-L1陰性の細胞とは異なり,PD-L1陽性の老化細胞はCD8+ T細胞によって免疫除去されにくいという特性から,加齢に伴う免疫老化と相まって,老化細胞は加齢とともに蓄積されやすくなる.ヒト骨格筋においては,筋の損傷部位に局所的にp16Ink4aやSA-β-gal陽性の老化細胞が認められる.老齢マウスにおいても,筋損傷後の筋再生遅延に老化細胞の持続的蓄積が関与する可能性が示唆されているが,健康な野生型マウスにおいては,ある程度加齢しても骨格筋における老化細胞は蓄積しにくいようである(5)5) V. Moiseeva, A. Cisneros, V. Sica, O. Deryagin, Y. Lai, S. Jung, E. Andres, J. An, J. Segales, L. Ortet et al.: Nature, 613, 169 (2023)..一方で,運動によって誘導される骨格筋でのFAPs(Fibro-Adipogenic Progenitors,間葉系前駆細胞)の細胞老化は,筋再生に有益な役割を果たすという側面もあり(8)8) Y. Saito, T. S. Chikenji, T. Matsumura, M. Nakano & M. Fujimiya: Nat. Commun., 11, 889 (2020).,骨格筋での細胞老化には二面性があることは十分に留意したい.
身体を構成する種々の臓器や組織は単一の受精卵から発生しており,その臓器や組織の独自性(アイデンティティ)を決定しているのが,DNAメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティックな制御である.たとえば,骨格筋には骨格筋特有のエピジェネティックな情報(エピゲノム情報)が保有されており,骨格筋が肝臓に変化したり,肝臓が骨格筋に変化したりはしない.しかしながら,加齢とともに,これらの臓器・組織のエピゲノム情報は次第に失われていき(完全には失われず,若いときの情報を記憶している点も興味深い),臓器や組織のアイデンティティが掻き乱されていくこと(9)9) C. López-Otín, M. A. Blasco, L. Partridge, M. Serrano & G. Kroemer: Cell, 186, 243 (2023).,さらには,このようなエピゲノム情報の喪失が老化の原因になる(10)10) J. H. Yang, M. Hayano, P. T. Griffin, J. A. Amorim, M. S. Bonkowski, J. K. Apostolides, E. L. Salfati, M. Blanchette, E. M. Munding, M. Bhakta et al.: Cell, 186, 305 (2023)..この「エピジェネティックな情報の喪失が老化の原因になる」という概念は,「老化の情報理論」として,ハーバード大学のデイビッド・シンクレア教授らによって提唱されている(図1図1■老化とエピゲノム変化の概念図)(11)11) D. A. Sinclair & M. D. LaPlante: “Lifespan: Why we age—and why we don’t have to”, Atria books, Simon and Schuster, 2019..我々の身体を構成する体細胞のゲノムは,日々DNAの損傷と修復を繰り返している.このDNAの損傷と修復の過程で生じるエピゲノム変化が,老化を促進する一因になりうる(10)10) J. H. Yang, M. Hayano, P. T. Griffin, J. A. Amorim, M. S. Bonkowski, J. K. Apostolides, E. L. Salfati, M. Blanchette, E. M. Munding, M. Bhakta et al.: Cell, 186, 305 (2023)..また,最近の研究から,DNAメチル化が生じた5-メチルシトシン(5mC)の脱アミノ化と酸化損傷が,体細胞突然変異誘発の主な原因であること,さらには,このような体細胞突然変異の速度は,生物種の最大寿命と強い逆相関を示すことが報告されている(12)12) A. Cagan, A. Baez-Ortega, N. Brzozowska, F. Abascal, T. H. H. Coorens, M. A. Sanders, A. R. J. Lawson, L. M. R. Harvey, S. Bhosle, D. Jones et al.: Nature, 604, 517 (2022)..興味深いことに,エピゲノムが安定に保たれている生物は寿命が長い.実際,エピゲノムが安定なハダカデバネズミは,マウスよりも長寿である(13)13) L. Tan, Z. Ke, G. Tombline, N. Macoretta, K. Hayes, X. Tian, R. Lv, J. Ablaeva, M. Gilbert, N. V. Bhanu et al.: Stem Cell Reports, 9, 1721 (2017)..ヒトは齧歯類よりもさらに長寿であるが,最大寿命で補正すると,ヒトもハダカデバネズミもマウスも,みな概ね同じ速度で血液のDNAメチル化が加齢とともに変化している(14)14) C. Kerepesi, M. V. Meer, J. Ablaeva, V. G. Amoroso, S. G. Lee, B. Zhang, M. V. Gerashchenko, A. Trapp, S. H. Yim, A. T. Lu et al.: Nat. Commun., 13, 355 (2022)..さらに,DNAメチル化の変化は,あらゆる哺乳動物において,疾患発症や最大寿命と強い相関を示すことがわかってきた(15~19)15) A. T. Lu, A. Quach, J. G. Wilson, A. P. Reiner, A. Aviv, K. Raj, L. Hou, A. A. Baccarelli, Y. Li, J. D. Stewart et al.: Aging (Albany NY), 11, 303 (2019).16) K. Seale, S. Horvath, A. Teschendorff, N. Eynon & S. Voisin: Nat. Rev. Genet., 23, 585 (2022).17) A. T. Lu, Z. Fei, A. Haghani, T. R. Robeck, J. A. Zoller, C. Z. Li, R. Lowe, Q. Yan, J. Zhang, H. Vu et al.: Nat. Aging, 3, 1144 (2023).18) A. Haghani, C. Z. Li, T. R. Robeck, J. Zhang, A. T. Lu, J. Ablaeva, V. A. Acosta-Rodriguez, D. M. Adams, A. N. Alagaili, J. Almunia et al.: Science, 381, eabq5693 (2023).19) C. Z. Li, A. Haghani, Q. Yan, A. T. Lu, J. Zhang, Z. Fei, J. Ernst, X. W. Yang, V. N. Gladyshev, T. R. Robeck et al.: Sci. Adv., 10, eadm7273 (2024)..若齢マウスの健康な血液を伝播させた老齢マウス(3ヶ月間の併体結合)では,2ヶ月間の血管分離を行った後でも,血液や肝臓における臓器・組織レベルでの生物学的年齢が有意に低下することがDNAメチローム解析(ゲノム全体のDNAメチル化状態の網羅的解析)から示されており,若返った臓器・組織におけるエピジェネティックな情報は一定期間,記憶されるものであることが示唆される(20)20) B. Zhang, D. E. Lee, A. Trapp, A. Tyshkovskiy, A. T. Lu, A. Bareja, C. Kerepesi, L. K. McKay, A. V. Shindyapina, S. E. Dmitriev et al.: Nat. Aging, 3, 948 (2023)..また,若齢マウスの肝臓や肺において概日リズムを示す5mCのDNAメチル化部位が,加齢で変化する5mCのDNAメチル化部位と重複するため,概日リズムの異常もエピゲノムに影響を与えうる(21)21) G. Oh, S. Ebrahimi, M. Carlucci, A. Zhang, A. Nair, D. E. Groot, V. Labrie, P. Jia, E. S. Oh, R. H. Jeremian et al.: Nat. Commun., 9, 644 (2018)..実際に,概日リズム制御に重要な時計遺伝子Bmal1の全身欠損マウスでは,早期の老化と骨格筋萎縮を呈する(22)22) R. V. Kondratov, A. A. Kondratova, V. Y. Gorbacheva, O. V. Vykhovanets & M. P. Antoch: Genes Dev., 20, 1868 (2006)..最近,このBmal1の全身欠損による骨格筋萎縮は,骨格筋と脳におけるBmal1の発現回復によって抑制されること(興味深いことに,骨格筋と脳のどちらか一方におけるBmal1の発現回復ではBmal1全身欠損による骨格筋萎縮を改善しない),さらには,食事の摂取タイミングを調整したTime-restricted feedingによって,加齢性筋萎縮が抑制されることが報告された(23)23) A. Kumar, M. Vaca-Dempere, T. Mortimer, O. Deryagin, J. G. Smith, P. Petrus, K. B. Koronowski, C. M. Greco, J. Segales, E. Andres et al.: Science, 384, 563 (2024)..このように,時間栄養学的な観点からも筋老化制御の研究とその理解が進んでいる.
図1■老化とエピゲノム変化の概念図
DNA二本鎖切断は,エピゲノム変化(ヒストン修飾の変化など)を誘発し,骨格筋で免疫系の遺伝子の発現誘導が増強されるといった組織のidentityの喪失につながる.DNA二本鎖切断を誘発したマウスでは,DNAの損傷・修復後であっても,老化表現型の亢進が観察されることから,エピゲノム情報の喪失は老化の原因になりうると考えられている(10)10) J. H. Yang, M. Hayano, P. T. Griffin, J. A. Amorim, M. S. Bonkowski, J. K. Apostolides, E. L. Salfati, M. Blanchette, E. M. Munding, M. Bhakta et al.: Cell, 186, 305 (2023)..
これまで述べてきたように,加齢とともにDNAメチル化の状態は変化する(「Epigenetic drift」と呼ばれる(24)24) A. R. Mendelsohn & J. W. Larrick: Rejuvenation Res., 20, 430 (2017).).2013年,カリフォルニア大学のスティーブ・ホーバス教授は,DNAメチル化の状態が老化の状態を反映していることに気づき,さまざまな組織や細胞の老化の程度を推定可能な「DNAメチル化時計(現在最も有力とされるエピジェネティック・クロックの一つで,現在も改良が続いている)」を確立した(25)25) S. Horvath: Genome Biol., 14, 3156 (2013)..これが,世界で初めての「Aging clock(老化時計)」の誕生である(ホーバス老化時計と名付けられた).この発見は,老化研究において革新的なブレイクスルーをもたらすものであった.すなわち,血液や骨格筋などのDNAメチル化状態(Aging clockの一つ)を計測するだけで,科学的に生物学的年齢を計測することが可能となり,老化というプロセスを定量化できるようになったのである(26, 27)26) S. Horvath & K. Raj: Nat. Rev. Genet., 19, 371 (2018).27) D. A. Petkovich, D. I. Podolskiy, A. V. Lobanov, S. G. Lee, R. A. Miller & V. N. Gladyshev: Cell Metab., 25, 954 (2017)..現在では,DNAメチル化などのエピゲノムのデータにとどまらず,マルチオミクス解析と機械学習の発達とともに,トランスクリプトミクス(遺伝子発現変化),プロテオミクス(タンパク質発現変化),メタボロミクス(代謝物変化)などのオミクス解析を統合した多次元分析からさまざまなAging clockが確立され,確立されたAging clockを包括的に評価することで,生物学的年齢を計測する研究も展開されてきている.実際に最近の例としては,霊長類であるカニクイザルを対象にした研究から,2型糖尿病薬であるメトホルミン(後述のように,現在臨床で試験されている最も有望なアンチエイジング物質の一つ)が脳の老化を抑制し,カニクイザルのAging clock(マルチオミクス解析と機械学習をもとにグループが独自に確立した)を指標にすると,20 mg/kgのメトホルミンの3.3年間の投与(人間の約10年に相当する)は,脳を6年分若返らせる効果を発揮することがCell誌に報告された(28)28) Y. Yang, X. Lu, N. Liu, S. Ma, H. Zhang, Z. Zhang, K. Yang, M. Jiang, Z. Zheng, Y. Qiao et al.: Cell, 87, 6358 (2024)..このように数々のAging clockが確立されてきたことは,我々がAging clockを指標に組織・臓器レベルでの老化を自在に定量化し,老化を食い止める方法(寿命・健康寿命を制御する食品や医薬品はあるか? など)を自由に検証できることになったことを意味する.今後,このようなAging clockを指標に,より健康で長生きできる食習慣や運動習慣,医療的介入を科学的に評価・検証し,ヒトへと応用する研究が展開されていくことが期待される.
2023年Cell誌に掲載された老化の12個の特徴(9)9) C. López-Otín, M. A. Blasco, L. Partridge, M. Serrano & G. Kroemer: Cell, 186, 243 (2023).(2013年からの改訂版)とは別に,2024年Cell Metabolism誌に,現在臨床で試験されている最も有望なアンチエイジング効果を発揮しうる8つ介入方法・介入標的として①メトホルミン,②NAD+/サーチュイン,③グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1),④ラパマイシン,⑤スペルミジン,⑥老化細胞除去薬,⑦プロバイオティクス,⑧抗炎症薬が発表された(29)29) L. Guarente, D. A. Sinclair & G. Kroemer: Cell Metab., 36, 354 (2024)..詳細はCell Metabolism誌の総説をご覧いただきたいが,ここでは骨格筋萎縮との関係から,NAD+/サーチュイン,ラパマイシン,老化細胞除去薬について最近の知見と研究動向を概説する.
サーチュインファミリーであるSIRT1やSIRT6は,NAD+依存性のヒストン脱アセチル化酵素(エピジェネティック制御に関わる因子)であり,寿命制御に重要な役割を果たすことが報告されている(30)30) S. I. Imai & L. Guarente: NPJ Aging Mech. Dis., 2, 16017 (2016)..さまざまな組織において,加齢とともにNAD+量が枯渇することが老化の一因となる可能性が示唆されており,NAD+量を増加させる因子「NAD+ boosters」が注目を集めている.ワシントン大学の今井眞一郎教授らのグループは,ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)と呼ばれるNAD+前駆体の12ヶ月にわたる長期投与が,マウス骨格筋におけるミトコンドリア呼吸鎖機能を向上させるなど,顕著な抗老化作用を示すこと(31)31) K. F. Mills, S. Yoshida, L. R. Stein, A. Grozio, S. Kubota, Y. Sasaki, P. Redpath, M. E. Migaud, R. S. Apte, K. Uchida et al.: Cell Metab., 24, 795 (2016).,さらには,ヒトを対象とした臨床試験から,肥満あるいは過体重の閉経後女性において,250 mgのNMNの10週間投与によって骨格筋におけるインスリン感受性が向上したことが報告されている(32)32) M. Yoshino, J. Yoshino, B. D. Kayser, G. J. Patti, M. P. Franczyk, K. F. Mills, M. Sindelar, T. Pietka, B. W. Patterson, S. I. Imai et al.: Science, 372, 1224 (2021)..また,NMNの合成酵素であるNAMPT(Nicotinamide phosphoribosyltransferase)を骨格筋特異的に欠損したマウスでは,骨格筋内のNAD+量が劇的に低下し,筋萎縮を呈することから,骨格筋内NAD+は骨格筋量や機能の維持に重要といえる(33, 34)33) D. W. Frederick, E. Loro, L. Liu, A. Davila Jr., K. Chellappa, I. M. Silverman, W. J. Quinn 3rd, S. J. Gosai, E. D. Tichy, J. G. Davis et al.: Cell Metab., 24, 269 (2016).34) A. L. Basse, M. Agerholm, J. Farup, E. Dalbram, J. Nielsen, N. Ortenblad, A. Altintas, A. M. Ehrlich, T. Krag, S. Bruzzone et al.: Mol. Metab., 53, 101271 (2021)..現在,ハーバード大学のデイビッド・シンクレア教授らのグループは,NMNの長期投与によって哺乳動物における寿命延長効果,その効能における雌雄差に関する研究も実施しており(35)35) A. E. Kane, K. Chellappa, M. B. Schultz, M. Arnold, J. Li, J. Amorim, C. Diener, D. Zhu, S. J. Mitchell, P. Griffin et al.: bioRxiv. 2024.,Aging clockを指標にした臓器・組織レベルでの若返り効果の検証など,NMNの効能のより詳細な理解が待望される.
ラパマイシンは免疫抑制剤として臨床で使用されている化合物である.ラパマイシンは,キナーゼ複合体であるmTORC1の活性を阻害する役割があり(mTORC1が阻害されるとオートファジーが活性化する),栄養センサーとして細胞成長の制御を担っている.ラパマイシン投与によってマウスの寿命が延長することが報告されており,ラパマイシンによる寿命延長効果は,老齢期からのラパマイシン投与,あるいは,若齢期(成体早期)のみの一過性のラパマイシン投与によっても得られることが報告されてきた点は興味深い(36~38)36) D. E. Harrison, R. Strong, Z. D. Sharp, J. F. Nelson, C. M. Astle, K. Flurkey, N. L. Nadon, J. E. Wilkinson, K. Frenkel, C. S. Carter et al.: Nature, 460, 392 (2009).37) P. Juricic, Y. X. Lu, T. Leech, L. F. Drews, J. Paulitz, J. Lu, T. Nespital, S. Azami, J. C. Regan, E. Funk et al.: Nat. Aging, 2, 824 (2022).38) A. V. Shindyapina, Y. Cho, A. Kaya, A. Tyshkovskiy, J. P. Castro, A. Deik, J. Gordevicius, J. R. Poganik, C. B. Clish, S. Horvath et al.: Sci. Adv., 8, eabo5482 (2022)..mTORC1の活性化はタンパク質合成を促進し,細胞成長を正に制御することから,骨格筋においては,筋肥大との関係が研究されてきた(39)39) S. C. Bodine, T. N. Stitt, M. Gonzalez, W. O. Kline, G. L. Stover, R. Bauerlein, E. Zlotchenko, A. Scrimgeour, J. C. Lawrence, D. J. Glass et al.: Nat. Cell Biol., 3, 1014 (2001)..直感に反して,老齢マウスの骨格筋ではmTORC1の活性化が認められ(老齢筋では,タンパク質合成に対する抵抗性「アナボリックレジスタンス」が生じているためと考えられている),ラパマイシン投与は,加齢による骨格筋の機能低下を改善することが報告されている(40, 41)40) D. J. Ham, A. Borsch, S. Lin, M. Thurkauf, M. Weihrauch, J. R. Reinhard, J. Delezie, F. Battilana, X. Wang, M. S. Kaiser et al.: Nat. Commun., 11, 4510 (2020).41) D. J. Ham, A. Borsch, K. Chojnowska, S. Lin, A. B. Leuchtmann, A. S. Ham, M. Thurkauf, J. Delezie, R. Furrer, D. Burri et al.: Nat. Commun., 13, 2025 (2022)..実際に,遺伝学的にmTORC1を恒常的に活性化させたマウス骨格筋では,オートファジー機能が破綻し,筋疾患様の表現型を呈することが明らかにされており,慢性的かつ過剰なmTORC1の活性化は筋萎縮につながる(42)42) P. Castets, S. Lin, N. Rion, S. Di Fulvio, K. Romanino, M. Guridi, S. Frank, L. A. Tintignac, M. Sinnreich & M. A. Ruegg: Cell Metab., 17, 731 (2013)..しかしながら,ラパマイシン投与による筋量増加の効能に関しては,ラパマイシン投与がマウスの体重も低下させたため,体重補正を行わないと筋重量には差がなかった(体重補正を行うと有意に筋量が増加した)点に注意して理解する必要があるだろう.カロリー制限模倣薬として大きな感心を集めているラパマイシンであるが,近年の研究により,ラパマイシン投与とカロリー制限は異なる作用機序を通じて骨格筋機能を改善することが明らかにされた(41)41) D. J. Ham, A. Borsch, K. Chojnowska, S. Lin, A. B. Leuchtmann, A. S. Ham, M. Thurkauf, J. Delezie, R. Furrer, D. Burri et al.: Nat. Commun., 13, 2025 (2022)..従来のカロリー制限とカロリー制限模倣薬の作用機序の違いを深く理解することは,骨格筋機能の維持や改善に向けた新たな介入法の開発において重要であろう.
前述の老化細胞除去マウスの報告がなされて以来,さまざまな分野で老化細胞を除去する「senolysis(老化を意味する「sensecence」と分解を意味する「lysis」を合わせた造語)」の研究が脚光を浴びている(1, 2)1) L. Zhang, L. E. Pitcher, M. J. Yousefzadeh, L. J. Niedernhofer, P. D. Robbins & Y. Zhu: J. Clin. Invest., 132, e158450 (2022).2) S. Chaib, T. Tchkonia & J. L. Kirkland: Nat. Med., 28, 1556 (2022)..ダサチニブ(dasatinib)とケルセチン(quercetin)の混合剤(頭文字をとって「DQ」と呼ばれている)は,老化細胞除去による治療(Senolytics)が可能な有効成分として,現在動物実験にとどまらず,ヒトの加齢関連疾患などを対象とした臨床試験が進行している(1)1) L. Zhang, L. E. Pitcher, M. J. Yousefzadeh, L. J. Niedernhofer, P. D. Robbins & Y. Zhu: J. Clin. Invest., 132, e158450 (2022)..2022年にNature Aging誌に報告された骨格筋研究では,5 mg/kgのダサチニブと50 mg/kgのケルセチンの混合剤(DQ)を20ヶ月齢の老齢マウスに4ヶ月間投与(連続3日間,2週間ごとの投与)すると,老化による骨格筋での遺伝子発現変化を部分的に回復させ,さらには,中心核陽性筋線維数の増加(筋恒常性破綻の特徴)と筋力の低下を改善することが示され,加齢性の骨格筋の機能低下における老化細胞の関与が示唆された(43)43) X. Zhang, L. Habiballa, Z. Aversa, Y. E. Ng, A. E. Sakamoto, D. A. Englund, V. M. Pearsall, T. A. White, M. M. Robinson, D. A. Rivas et al.: Nat. Aging, 2, 601 (2022)..これらのSenolyticsによる老齢マウス骨格筋の形態と機能の改善は,他臓器の老化細胞が除去されたことが原因である可能性もあり,他臓器連関の観点にも焦点を当てた筋老化制御に関する詳細な仕組みの解明が待たれる.
老化と健康寿命制御の分野において大きな注目を集めているのが,我々の身体の大部分(体重の約40%)を占める「骨格筋」である.骨格筋は,運動器や代謝器官としての役割に加えて,内分泌器官として,肝臓や脂肪組織,骨,脳など,さまざまな他臓器に作用する生理活性物質(マイオカインと呼ばれる)を放出し,全身の恒常性維持に寄与している.多くの先進国において,ヒトの中間寿命が80代に突入し,加齢に伴う骨格筋の量と機能の低下である「サルコペニア(サルコペニアは「筋」を意味するSarco-と「萎縮」を意味する-peniaの造語である)」の社会的負荷が増大している(44)44) A. A. Sayer, R. Cooper, H. Arai, P. M. Cawthon, M. J. Ntsama Essomba, R. A. Fielding, M. D. Grounds, M. D. Witham & A. J. Cruz-Jentoft: Nat. Rev. Dis. Primers, 10, 68 (2024)..サルコペニアは,健康寿命の短縮や生存率の低下,二次的疾患への罹患率の上昇などをもたらし,寝たきりや転倒・骨折,要介護状態のリスク因子である.したがって,骨格筋の量と機能を維持することは,さまざまな臓器・組織の老化を食い止め,老化した臓器・組織の健康を増進させる上で重要である.2016年,世界保健機関(World Health Organization; WHO)は,国際疾病分類(ICD)においてサルコペニアを病的な状態として疾患と位置付けた.近年,このような骨格筋老化の病態を理解するためにさまざまな解析が実施され,特に,若齢者と高齢者,あるいは若齢動物と老齢動物を対象とした骨格筋のシングルセル解析やオミクス解析から,老化した骨格筋の特徴が明らかにされつつある(43, 45, 46)43) X. Zhang, L. Habiballa, Z. Aversa, Y. E. Ng, A. E. Sakamoto, D. A. Englund, V. M. Pearsall, T. A. White, M. M. Robinson, D. A. Rivas et al.: Nat. Aging, 2, 601 (2022).45) Y. Lai, I. Ramirez-Pardo, J. Isern, J. An, E. Perdiguero, A. L. Serrano, J. Li, E. Garcia-Dominguez, J. Segales, P. Guo et al.: Nature, 529, 154 (2024).46) V. R. Kedlian, Y. Wang, T. Liu, X. Chen, L. Bolt, C. Tudor, Z. Shen, E. S. Fasouli, E. Prigmore, V. Kleshchevnikov et al.: Nat. Aging, 4, 727 (2024)..これらの研究から,加齢とともに細胞老化・炎症シグナルが増大すること,骨格筋内の細胞集団の秩序が乱されてしまうこと,さらには,単一細胞/単一核レベルでの不均一性(heterogeneity)が増大すること,などが老化した骨格筋の特徴であると示された.単一核レベルでのオープンクロマチン領域の解析(snATAC-seq解析)から,老化した骨格筋では,Type IIb線維(速筋線維),筋サテライト細胞(筋幹細胞),間葉系前駆細胞(FAPs),脂肪細胞の核におけるクロマチンアクセッシビリティの不均一性(heterogeneity)が増大することが示され,エピゲノムの不安定性の増大が骨格筋細胞のアイデンティティの喪失を加速させるものと想像されている(45)45) Y. Lai, I. Ramirez-Pardo, J. Isern, J. An, E. Perdiguero, A. L. Serrano, J. Li, E. Garcia-Dominguez, J. Segales, P. Guo et al.: Nature, 529, 154 (2024)..このように骨格筋老化の特徴が包括的に明らかにされつつあるものの,骨格筋老化を引き起こす根本的な原因についての理解は不十分なのが現状である.
ヒトを対象にした研究から,高齢者の骨格筋は若齢者の骨格筋と比べて,DNAメチル化が増加することが分かってきた(47, 48)47) A. Zykovich, A. Hubbard, J. M. Flynn, M. Tarnopolsky, M. F. Fraga, C. Kerksick, D. Ogborn, L. MacNeil, S. D. Mooney & S. Melov: Aging Cell, 13, 360 (2014).48) D. C. Turner, P. P. Gorski, M. F. Maasar, R. A. Seaborne, P. Baumert, A. D. Brown, M. O. Kitchen, R. M. Erskine, I. Dos-Remedios, S. Voisin et al.: Sci. Rep., 10, 15360 (2020)..大規模なヒト骨格筋サンプル(3176検体)を用いたメタ解析などから,運動トレーニングによってDNAメチロームが若い状態に近づく(DNAメチル化レベルが低メチル化にシフトする)ことが明らかにされている(49~52)49) K. A. Murach, A. L. Dimet-Wiley, Y. Wen, C. R. Brightwell, C. M. Latham, C. M. Dungan, C. S. Fry & S. J. Watowich: Aging Cell, 21, e13527 (2022).50) S. Voisin, K. Seale, M. Jacques, S. Landen, N. R. Harvey, L. M. Haupt, L. R. Griffiths, K. J. Ashton, V. G. Coffey, J. M. Thompson et al.: Aging Cell, 23, e13859 (2024).51) P. P. Gorski, T. Raastad, M. Ullrich, D. C. Turner, J. Hallen, S. I. Savari, T. S. Nilsen & A. P. Sharples: FASEB J., 37, e22720 (2023).52) B. A. Ruple, J. S. Godwin, P. H. C. Mesquita, S. C. Osburn, C. G. Vann, D. A. Lamb, C. L. Sexton, D. G. Candow, S. C. Forbes, A. D. Fruge et al.: FASEB J., 35, e21864 (2021)..我々は,モデル動物であるマウスにおいても同様に,加齢とともに骨格筋のDNAメチル化が増加するかをDNAメチローム解析によって評価したところ,ヒトで報告されている現象と一致して,老齢マウス(26ヶ月齢)の骨格筋では,若齢マウス(3ヶ月齢)の骨格筋よりもDNAメチル化が有意に増加していることを見出した(図2図2■DNAメチル化の蓄積は骨格筋老化の特徴である)(53)53) M. Oyabu, Y. Ohira, M. Fujita, K. Yoshioka, R. Kawaguchi, A. Kubo, Y. Hatazawa, H. Yukitoshi, H. P. O. Quiroga, N. Horii et al.: iScience, (2025), in press..前述のとおり,DNAメチル化と老化との間には強い相関があることが報告されているが,DNAメチル化の増加が老化の原因になるのか,単に老化に伴う副次的な変化であるか(DNAメチル化と筋老化の因果関係)は依然として不明であった.そこで,骨格筋特異的なプロモーターを用いてde novoのDNAメチル化酵素(DNA methyltransferase3a; Dnmt3a)を骨格筋特異的に過剰発現させたマウス(骨格筋でのみDNAメチル化を増加させたエピゲノム改変マウス:Dnmt3a-Tgマウス)を新たに作出した(図2図2■DNAメチル化の蓄積は骨格筋老化の特徴である).すなわち,このDnmt3a-Tgマウスモデルを用いることで,これまでに不明であったDNAメチル化の蓄積というエピゲノム情報の破綻が,骨格筋機能や骨格筋老化に及ぼす影響を明らかにしようと考えた.DNAメチローム解析とトランスクリプトーム解析を行った結果,Dnmt3a-Tgマウスでは,骨格筋におけるDNAメチル化の増加と遺伝子発現の劇的な変化を伴って,速筋特異的な筋萎縮(サルコペニアの特徴)が生じていた.また,Dnmt3a-Tgマウスの骨格筋では,骨格筋老化の特徴である,Myh7陽性(Type I)筋線維の割合の増加,中心核陽性筋線維数の増加(筋恒常性破綻の特徴),オートファジー機能の低下,ミトコンドリアタンパク質発現の低下,代謝弾性の低下(特に,筋萎縮からの回復能)など,種々の老化に似た分子変化が誘発されていた(図3図3■DNAメチル化の蓄積は骨格筋を加齢様変容させる).加えて,Dnmt3a-Tgマウスの骨格筋では,老化細胞に特有な遺伝子群が強力に発現誘導されていることがわかった.さらに,トレッドミル試験による運動機能解析と筋重量測定を実施してみたところ,加齢に伴う骨格筋の量と機能の低下は,老齢のDnmt3a-Tgマウスでは加速しており,加齢に伴う骨格筋での慢性炎症が,老化とDNAメチル化の蓄積によって相乗的に増強されることがわかった.MyoAAVと呼ばれる筋指向性が高いAAVバリアント(54)54) M. Tabebordbar, K. A. Lagerborg, A. Stanton, E. M. King, S. Ye, L. Tellez, A. Krunnfusz, S. Tavakoli, J. J. Widrick, K. A. Messemer et al.: Cell, 184, 4919 (2021).を用いて,成体マウスの骨格筋に後天的にDnmt3aを過剰発現した場合においても,同様に筋萎縮と炎症性遺伝子の発現増加などが観察され,DNAメチル化と筋老化の関係性がより明確となった(53)53) M. Oyabu, Y. Ohira, M. Fujita, K. Yoshioka, R. Kawaguchi, A. Kubo, Y. Hatazawa, H. Yukitoshi, H. P. O. Quiroga, N. Horii et al.: iScience, (2025), in press..一方,「なぜDNAメチル化が蓄積すると骨格筋を加齢様変容させるのか?」という疑問に関しては未だに詳細が不明なままであり,今後,その疑問を紐解くことで,骨格筋老化の本質的な仕組みが解明されることが期待される.
前述のように,暦年齢とは異なる,臓器・組織レベルでの老化の仕組みについての理解が急速に進歩したことで,我々は老化というプロセスを「生物学的年齢」として科学的に計測し,定量・評価することが可能となった.理論的には,「生物学的年齢」を低下させることさえできれば,実際の年齢(暦年齢)よりも若々しい身体を手にすることができる.これは,生まれながらにして規定されているゲノムの情報としてではなく,DNAメチル化をはじめとするエピゲノム情報とその記憶が老化を制御している,という概念から期待されるものであり,老いに抗い,老化した臓器・組織を若い状態に戻すことも夢物語ではなくなってきた.近い将来,骨格筋をはじめとするさまざまな臓器・組織の老化プロセスの理解がさらに進展し,Aging clockを指標に老化を巧みに制御することが可能になれば,より健康で長生きできる健康長寿社会の実現につながることが期待される.
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