解説

乳酸発酵とD-アミノ酸生産

Lactic Fermentation and D-Amino Acid Production

Yuta Mutaguchi

牟田口 祐太

秋田県立大学生物資源科学部応用生物科学科Department of Biotechnology, Faculty of Bioresource Sciences, Akita Prefectural Universiy ◇ 〒010-0195 秋田県秋田市下新城中野字街道端西241-438 ◇ 241-438 Kaidobata-Nishi, Nakano Shimoshinjo, Akita-shi, Akita 010-0195, Japan

Taketo Ohmori

大森 勇門

大阪工業大学工学部生命工学科Department of Biomedical Engineering, Faculty of Engineering, Osaka Institute of Technology ◇ 〒535-8585 大阪府大阪市旭区大宮5-16-1 ◇ 5-16-1 Ohmiya, Asahi-ku, Osaka-shi, Osaka 535-8585, Japan

Toshihisa OHshima

大島 敏久

大阪工業大学工学部生命工学科Department of Biomedical Engineering, Faculty of Engineering, Osaka Institute of Technology ◇ 〒535-8585 大阪府大阪市旭区大宮5-16-1 ◇ 5-16-1 Ohmiya, Asahi-ku, Osaka-shi, Osaka 535-8585, Japan

Published: 2015-01-01

近年,多くの生物細胞にさまざまなD-アミノ酸が遊離や結合状態で存在し,L-アミノ酸とは異なる生理機能を持つことがわかってきている.加えて,多くの食品素材にもD-アミノ酸が見出されており,その食品機能の解明と食品産業への応用展開が注目されている.本稿では食品中D-アミノ酸の分析方法,代表的発酵食品である食酢中のD-アミノ酸分析によって明らかとなった乳酸菌のD-アミノ酸生産への関与,および乳酸菌から見出されたD-アミノ酸代謝関連酵素の酵素学的特徴について紹介する.

はじめに

食品に関係するアミノ酸と言えば,昆布の旨味成分であり化学調味料として広く利用されているグルタミン酸(Glu,モノナトリウム塩)が一番に挙げられる.このGluには鏡像異性体(光学異性体とも言う)であるL-GluとD-Gluが存在するが,旨味をもつのはL-Gluであり,D-Gluにはほぼ呈味性がない(表1表1■L-アミノ酸とD-アミノ酸の味の違い).Gluを含む20種類のタンパク質構成アミノ酸のうち,不斉炭素を分子内にもたないGly以外はすべてL体およびD体の鏡像異性体をもち,Gluと同様にL-アミノ酸とD-アミノ酸は異なる味を呈することが以前から知られている.たとえばD-アラニン(D-Ala),D-フェニルアラニン(D-Phe),D-セリン(D-Ser),D-トリプトファン(D-Trp),D-ロイシン(D-Leu),D-バリン(D-Val)などは,それらのL型アミノ酸とは異なり,かなり強い甘味性をもち,D-Alaは砂糖の3倍,D-Pheは5倍,D-Trpは35倍甘く,カニや甘エビの甘さはD-Alaに由来するという報告もある(3,4)3) 野平博之:“光学活性体—その有機工業化学”,朝倉書店,1989, p. 17.4) M. Kawai, Y. Sekine-Hayakawa, A. Okiyama & Y. Ninomiya: Amino Acids, 43, 2349 (2012)..しかし,タンパク質を構成するアミノ酸はL型のアミノ酸のみであること,また,たとえD-アミノ酸が存在したとしても,L-アミノ酸と分別定量することが困難であったことから,食品に関するアミノ酸研究は長年L-アミノ酸を対象に行われ,D-アミノ酸はほとんど注目されてこなかった.このことから,栄養学,食品学などにおける基礎および応用研究には膨大な成果の蓄積があるL-アミノ酸とは対照的に,D-アミノ酸に関する研究は極めて少なく,食品や食材の呈味性,保存性,香気性などに対するD-アミノ酸の役割は最近までほとんど不明であった.しかし,近年の分析技術の進歩により,試料中の微量なD-アミノ酸をL-アミノ酸と分離して分析することが容易となったことから,多くの生物細胞や食品素材にさまざまなD-アミノ酸が遊離や結合状態で存在することが次第に明らかとなり,またそれらの生理機能が注目されている(5,6)5) M. Katane & H. Homma: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3108 (2011).6) T. Nishikawa: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3169 (2011)..私たちはD-アミノ酸の栄養素としての機能(第一次機能)に加えて,呈味性,保存性,香気性などの機能(第二次機能)や健康維持・改善,老化防止などの機能(第三次機能)を向上した新規食品の開発・実用化への展開を図ることを主な目的として,食品におけるD-アミノ酸の研究を行っている.そして,この目的を達成するために,さまざまな発酵食品(飲料を含む)と発酵微生物,発酵食品の素材となる穀類,野菜,果実などにおけるD-アミノ酸含量と動態の解析,食品における機能の解析,D-アミノ酸の生合成や分解代謝系の解析,それらに関与する酵素の生化学的機能解析と遺伝子レベルでの制御機構の解析などに取り組んでいる.その研究過程で,乳酸菌が発酵食品中のD-アミノ酸生産に大きく関わっていることを見いだしており,乳酸菌が関与する食品においてD-アミノ酸が新規機能をもちうるのかについて注目している.本稿では発酵食品と乳酸菌に関連するD-アミノ酸についての最近の研究の進展について紹介する.

表1■L-アミノ酸とD-アミノ酸の味の違い
アミノ酸L型の味D型の味
Ala甘味1強甘
Val苦味or無味強甘
Leu苦味強甘
Ile苦味甘味
Ser微甘強甘
Thr微甘(後味悪い)弱甘
Cys苦味or甘味甘味or苦味or酸味
Met苦味甘味
Phe微苦甘味
Trp苦味強甘
Tyr微苦or無味甘味
Pro弱甘微苦
Gln弱旨味甘味
Asn苦味or無味弱甘
Glu·Na旨味微甘or無味
Asp·Na微苦無味
Lys·HCl弱甘→苦味弱甘
Arg·HCl微苦(後味良し)弱甘
His苦味甘味
甘味を呈するアミノ酸をグレー色で示す.文献1,2より改変.

D-アミノ酸の微量分析法

食品中には,一般に分析対象のD-アミノ酸(µMレベル)と比較して,かなり高濃度のL-アミノ酸(数百µMからmMレベル)やアミノ酸以外のさまざまな夾雑成分が存在する.食品や食材中のD-アミノ酸の機能や動態を解明するためには,まず高濃度存在するL-アミノ酸と種々のD-アミノ酸を分離し,正確に定量分析することが必要である.現在D, L-アミノ酸の分離分析には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法,ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)法,キャピラリー電気泳動(CEP)法,酵素法が主に利用されている.ここでは,食品などに含まれるD-アミノ酸の分析に好都合なHPLC法について以下に概説する.

現在,HPLCを用いたD-アミノ酸の分析には原理が異なる2つの分析法が主に利用されている.一つは,試料に蛍光誘導体化剤o-フタルアルデヒド(OPA)とキラル誘導体化剤N-アシル-L-システインを加えてDおよびL-アミノ酸をジアステレオマー蛍光誘導化し,これをODSカラムによる逆相クロマトグラフィーで分離定量する方法である(7,8)7) A. Hashimoto, T. Nishikawa, T. Oka, K. Takahashi & T. Hayashi: J. Chromatogr. A, 582, 41 (1992).8) H. Brückner, R. Wittner & H. Godel: J. Chromatogr. A, 476, 73 (1989)..われわれは本法をUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)に応用し,分析対象となるD-アミノ酸の種類に応じて,N-アシル-L-システインとしてN-アセチル-L-システイン(NAC)とN-ブチルオキシカルボニル-L-システイン(NBC)を使い分けることで,食品試料中の16種類のD-アミノ酸をµMレベルで定量している(図1図1■D, L-アミノ酸のジアステレオマー蛍光誘導体化とUPLCによる一斉分析).ただし,D, L-プロリンはこの方法では蛍光誘導化されないため,分析はできない.加えて,D, L-リジンおよびD, L-システインはD型とL型の分離条件を設定することが困難である.また,実際に食品中のD-アミノ酸を分析する際には,食品中にアミノ酸以外に蛍光誘導体化される物質(第一級アミノ基をもつ物質)が存在し,溶出時間が標準のD-アミノ酸のそれに類似する偽ピークを生じることもある.そこで,われわれは市販のブタ腎臓由来の低基質特異性のD-アミノ酸酸化酵素を試料に加え,基質となるD-アミノ酸のピークを消失させることにより偽ピークと区別している.

図1■D, L-アミノ酸のジアステレオマー蛍光誘導体化とUPLCによる一斉分析

o-フタルアルデヒド(OPA)と(A)N-アセチル-L-Cys(NAC),または(B)N-ブチルオキシカルボニル-L-Cys(NBC)を利用してD, L-アミノ酸を誘導体化する.(C)OPA-NAC誘導体化アミノ酸と(D)OPA-NBC誘導体化アミノ酸をUPLCによって分離した際のクロマトグラム.OPA-NACを用いて分離したDおよびL-アミノ酸(緑枠内)と,OPA-NBCを用いて分離したDおよびL-アミノ酸(黒枠内)の分析結果を照合し,合計32種類のDおよびL-アミノ酸の分析を行った.

もう一方の分析法は,浜瀬らの開発した2次元HPLC法である(9)9) Z. Long, N. Nimura, M. Adachi, M. Sekine, T. Hanai, H. Kubo & H. Homma: J. Chromatogr. B Biomed. Sci. Appl., 761, 99 (2001)..この方法ではまず,NBD-F(4-fluoro-7-nitro-2,1,3-benzoxadiazole)によって蛍光誘導体化したアミノ酸を一次元目のODSカラムを用いた逆相クロマトグラフィーにて,D型とL型で区別せずに種類のみで分離し,その溶出を検出器でモニターして各アミノ酸を含む画分を分取する.続いて,二次元目のキラルカラムを用いた逆相クロマトグラフィーにて,一次元目に分離された特定のNBD-D, L-アミノ酸を分離定量する.また,NBD以外にも類似の誘導体試薬を用いる二次元分析法がほかにも報告されている.この方法は自動化され,食品や生体試料中の19種類のD, L-アミノ酸を一度に高精度に分析可能な点で優れている.しかし,OPAとN-アシル-L-システインを用いた方法と比べ,分析にかなり長時間を要し,二台のHPLCの制御に複雑なコンピュータ制御を行う必要がある.2つのHPLCによるD-アミノ酸分析法のどちらを用いるかは,分析に求められる精度や感度,時間,分析対象の試料中のD-アミノ酸の種類などを考慮する必要がある.

また,HPLCやUPLCによる分析は,食品中の多くのD-アミノ酸をL-アミノ酸とともに一斉分析するには適しているが,装置が高価であり,測定も容易ではない.そこでD-アミノ酸を基質とする酵素反応を利用し,分光学的に測定可能な生成物に変換することで簡便に定量を行う酵素法が開発されている.たとえばD-Ser特異的に作用するD-セリンデヒドラターゼにより,D-Serをピルビン酸に変換後,それを乳酸脱水素酵素によりNADHとともに反応をさせ,340 nmでの吸光度の減少から測定する方法や(10)10) T. Ito, K. Takahashi, T. Naka, H. Hemmi & T. Yoshimura: Anal. Biochem., 371, 167 (2007).,われわれが開発したアスパラギン酸ラセマーゼとアスパラギン酸脱水素酵素の共役反応を利用する分光学的分析法(11)11) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, H. Sakuraba, K. Yoneda, K. Doi & T. Ohshima: Anal. Biochem., 409, 1 (2011).などが挙げられる.酵素法は特定のD-アミノ酸であれば簡便,安価に分析できる点で優れているが,複数のD-アミノ酸の一斉分析には適さない.

以上のような分析法を駆使し,前述したとおり,われわれは食品,特に微生物が関与するさまざまな発酵食品中のD-アミノ酸の存在,発酵工程における生産性変化(動態)や酵素レベルでの生産機構と調節機構などを解析し,D-アミノ酸の食品における新規機能を明らかにする取り組みを数年前より開始した.またその成果を基に,D-アミノ酸による呈味,保存,保健などの食品機能の改善への応用展開を目指している.そのために,さまざまな発酵食品を対象にD-アミノ酸の分析を進めてきたが,次項では食酢のD-アミノ酸についての解析結果を紹介する.

食酢におけるD-アミノ酸の分析

醸造酢は,米,麦,コーンなどの穀類,果実,野菜などを原料として酢酸発酵によって製造される.たとえば米酢は,米を材料にまず麹菌によってデンプンを糖化した後,アルコール発酵(酒精発酵)が行われ,最後に酢酸発酵によりエタノールが酢酸に変換され製造される.われわれは,原料や製造法の異なる10種類の食酢中の16種類のDおよびL-アミノ酸(合計32種)の分析を行った(図2図2■10種類の食酢中D-アミノ酸の分析結果).その結果,甘熟玄米黒酢樽熟成品と乳酸発酵純トマト酢に,D-アミノ酸が高濃度含まれることがわかった.特に乳酸発酵純トマト酢は純トマト酢よりもD-アミノ酸濃度が顕著に高いことから,乳酸発酵がD-アミノ酸の生産に関与することが示唆された.そこで,乳酸発酵純トマト酢の生産段階のうち,どの工程において,D-アミノ酸が生産されるかを分析した(図3図3■乳酸発酵純トマト酢の製造過程5段階における試料中のD-アミノ酸分析).その結果,酵母が関与する酒精発酵と酢酸菌が関与する酢酸発酵の工程では,D-アミノ酸の濃度は低いままであったが,乳酸菌が関与する乳酸発酵工程の後にD-アミノ酸濃度が顕著に増加し,またその種類も増えることがわかった.これにより,D-アミノ酸の生産に乳酸菌が大きく関わることが明確になった(12)12) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, H. Akano, K. Doi & T. Ohshima: SpringerPlus, 2, 691 (2013)..そこで,発酵食品などから分離された代表的な乳酸菌11種類における細胞内外のD-アミノ酸濃度の分析を行った.その結果,Lactobacillus plantarumLactobacillus salivariusなどの乳酸菌が,D-Ala,D-Asp,D-GluといったD-アミノ酸を細胞内外に高濃度生産することがわかった.特に,分析したほとんどすべての乳酸菌がD-Alaを高濃度生産した.また,菌体内のD-Alaの割合{100×D-Ala濃度/(D-Ala濃度+L-Ala濃度)}を見ると,Lactococcus lactiで92.3%,L. salivariusで89.6%と非常に高値であり,L-Alaよりもはるかに高濃度のD-Alaが生産されていることが明らかになった.さらに,生産されるD-アミノ酸の種類や割合は乳酸菌ごとにかなり異なることが判明した.いずれにせよ,種類の異なる食酢のアミノ酸分析により,乳酸菌がD-アミノ酸の生産に大きく関わるという重要な知見が得られた.乳酸菌は漬物,ヨーグルト,日本酒,熟れずしなど多くの発酵食品の製造や,ヒトの常在細菌として健康にも深く関わっている.それゆえに,乳酸菌が生産するD-アミノ酸が発酵食品特有の呈味性や保存性,ヒトの健康維持などに関与している可能性が考えられ,種々の食品機能とD-アミノ酸の関係に興味がもたれる.そこで,われわれは乳酸発酵食品中のD-アミノ酸の動態や食品機能との関連を解明するために,乳酸菌のD-アミノ酸代謝関連酵素の研究を進めた.

図2■10種類の食酢中D-アミノ酸の分析結果

図3■乳酸発酵純トマト酢の製造過程5段階における試料中のD-アミノ酸分析

乳酸菌におけるD-アミノ酸代謝関連酵素の機能解析

乳酸菌がD-Ala,D-Asp,D-Gluといった特異的なD-アミノ酸を高生産することが,どのような生理的意義をもっているかを知るために,われわれはD-アミノ酸の合成や分解に関与するD-アミノ酸代謝関連酵素の検索と機能解析を進めた.これらの結果から,D-アミノ酸の生理的機能の解明だけでなく,D-アミノ酸の生産調節による食品の機能改善への応用展開が期待できる.

乳酸菌のD-アミノ酸代謝関連酵素として,ラセマーゼ,アミノ基転移酵素,脱水素酵素,酸化酵素,脱水酵素などが予想された.そこで,①乳酸菌のゲノム情報(データベースから)と②乳酸菌の菌体抽出液中の酵素活性情報(活性の検出)からD-アミノ酸代謝関連酵素の検索を行った.前者の場合では,推定遺伝子の大腸菌でのクローニングと発現産物の酵素化学的特徴や調節機能の解析,後者では検出された酵素活性を指標に,培養細胞の抽出液から目的酵素の精製を行って機能解明を進めるストラテジーを取った.

1. ‌ゲノム情報から見いだしたD-アミノ酸代謝関連酵素の機能解析

既知のゲノム情報を基にデータベースを用いて乳酸菌におけるD-アミノ酸代謝関連酵素を検索した.その結果,アラニンラセマーゼ(AlaR),プロリンラセマーゼ(ProR),グルタミン酸ラセマーゼ(GluR),D-アミノ酸アミノ基転移酵素(D-AAT)に相同性がある遺伝子を乳酸菌ゲノムに見いだした.そのうち,AlaRとProRの遺伝子を常法に従い大腸菌で発現させ,発現酵素タンパク質をニッケルアフィニティクロマトグラフィーで高度に精製することに成功し,それらの触媒活性などの酵素化学的特徴を解析した.その結果,前者はD-AlaあるいはL-Alaのラセミ化を,後者はD-ProあるいはL-Proのラセミ化をそれぞれ触媒する特異的なAlaRおよびProRであることが明らかになった.次にそれぞれの酵素の特徴の詳細を示す.

まず,乳酸菌Lactobacillus antriのProRは分子質量150 kDaでホモ四量体構造をとり,これまで唯一構造が知られている原生生物Trypanosoma cruzi由来ProRがとる二量体構造(分子質量80 kDa)とは異なっていた(13)13) N. Chamond, C. Gregoire, N. Coatnoan, C. Rougeot, L. H. Freitas-Junior, J. F. da Silveira, W. M. Degrave & P. Minoprio: J. Biol. Chem., 278, 15484 (2003)..また,L-およびD-プロリンとL-およびD-ヒドロキシプロリンを基質とし,ほかのアミノ酸には全く活性を示さず,高い基質特異性を示した.本酵素は45°C,pH 6.0で最大活性を示し,55°Cで30分間の加熱処理後も失活しないことから,高い安定性を有している.そして,T. cruzi由来ProRと同様に,本酵素もPLP酵素の特異的阻害剤であるヒドロキシルアミンで阻害されないことから,PLP非依存性であることが予想された.

次に乳酸菌Bifidobacterium longumおよびL. salivarius由来AlaRの諸性質について述べる.両酵素の遺伝子の塩基配列から予想されるアミノ酸配列を比較したところ,B. longum由来AlaRのアミノ酸配列はL. salivarius由来AlaRのそれと33%の低い相同性しか示さなかった.両AlaR遺伝子を大腸菌で発現後,精製した酵素を用いて基質特異性を調べた結果,B. longumL. salivarius由来の両酵素はAla以外にもSerに対して低いラセマーゼ活性を示した.B. longum由来AlaRは活性の至適pHが6.5,至適温度が30°Cであり,40°Cで30分間処理した場合の残存活性は50%であった.一方,L. salivarius由来AlaRは活性の至適pHが8.0,至適温度は30°Cであり,50°Cで30分間処理した場合でも約70%の高い残存活性を保持していたことから,B. longumのものよりも高い熱安定性を有することが示された.B. longum由来AlaRの分子質量は79.7 kDa,L. salivarius由来AlaRのそれは72.1 kDaであり,両酵素ともにホモ二量体構造をとる.反応速度論的解析から,B. longum由来AlaRおよびL. salivarius由来AlaRのL-Alaに対するKm値は,それぞれ25.2 mMと5.33 mMであり,kcat/Km値はそれぞれ8.39×103 M−1·s−1および6.50×104 M−1·s−1と算出された.B. longumKm値は既知のE. coli由来AlaR(0.97 mM)やCorynebacterium glutamicum由来AlaR(5.01 mM)(14,15)14) U. Strych, H. C. Huang, K. L. Krause & M. J. Benedik: Curr. Microbiol., 41, 290 (2000).15) T. Oikawa, A. Tauch, S. Schaffer & T. Fujioka: J. Biotechnol., 125, 503 (2006).Km値を含めて考えても,相対的に大きい値と言える.両酵素活性はヒドロキシルアミンにより顕著な阻害を受けることから,PLPを補酵素とすると予想できる.さらに,両酵素とも種々の二価金属イオン(10 mM)添加によって阻害を受けたが,その阻害効果はB. longum由来AlaRにおいて特に顕著であった.これらの乳酸菌の菌体内のD-Alaの割合{100×D-Ala濃度/(D-Ala濃度+L-Ala濃度)}は,B. longumが21.3%であるのに対して,L. salivariusでは89.6%であることがわかっており,このD-Ala生産量の違いと,上に記載した酵素化学的特徴の違いには,どのような関連があるのかに関しては今のところ全く不明である.

次に乳酸菌のゲノム情報から第3のD-アミノ酸代謝酵素として,既知のBacillus sp.由来D-AATとアミノ酸配列レベルで35%の相同性を示す遺伝子を乳酸菌L. salivariusに見いだし,この遺伝子産物の機能解析を行った(16)16) J. Kobayashi, Y. Shimizu, Y. Mutaguchi, K. Doi & T. Ohshima: J. Mol. Catal., B Enzym., 94, 15 (2013).D-AATと推定される遺伝子(UniPlotID: Q1WRM6)を常法に従い大腸菌にて発現させ,ニッケルアフィニティクロマトグラフィーの分離操作のみにより均一に精製した後,この精製酵素が高いD-AAT活性をもつことを確認した.本酵素の分子質量はゲルろ過クロマトグラフィー法で約56.5 kDaと算出され,サブユニットのそれはSDS-PAGE法で約31.5 kDaと算出されたことから,このD-AATは既知のBacillus sphaericus由来D-AATと同様にホモ二量体構造をとることがわかった.また,PLP酵素特異的阻害剤のヒドロキシルアミン(70 µM)やペンシラミン(100 µM)の添加によって酵素活性は完全に失われたこと,スペクトル分析において420 nm付近に現れるPLP酵素特有のピークが水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元処理によって消滅したことから,本酵素も既知のD-AATと同様にPLP依存性酵素であることがわかった.さらに,定量解析の結果から補酵素PLPはサブユニット1 mol当たりに0.91 mol含まれていた.L. salivarius由来D-AATは60°Cで最大活性を示し,40°Cで30分間のインキュベートでは失活しないが,45°C以上の高温では失活が認められた.このD-AAT反応の至適pHは6.0で,pH 5.5~10.0の広いpH領域で80%以上の残存活性を示した.また,反応速度論的解析から,L. salivarius D-AATの反応は典型的なPing-Pong機構で進行することを確認し,D-Alaに対するKm値は1.05 mM,α-ケトグルタル酸に対するKmは3.78 mM,Vmaxは24.7 units·mg−1·min−1であると算出された.α-ケトグルタル酸をアミノ基受容体としたときのD-Alaのアミノ基供与体としての相対活性を100%とすると,D-アロイソロイシン(D-allo-Ile)を供与体としたときの活性は104%であり,D-Alaよりも高い活性を示した.そのほかにも,D-α-アミノ酪酸,D-Met,D-Leu,D-Valをアミノ基供与体とすることから,本酵素が特徴的なアミノ基供与体の特異性を示すことが明らかとなった.一方,アミノ基受容体の特異性では,α-ケトグルタル酸に対する相対活性を100%とすると,α-ケト酪酸に対して401%,グリオキシル酸に対して222%,インドール3-ピルビン酸に対して203%の相対活性を示し,α-ケトグルタル酸よりも2~4倍高い活性を示した.そのほかにもα-ケト吉草酸が103%,3-メチル-2-ケト酪酸が102%,4-ヒドロキシフェニルピルビン酸が101%の相対活性を示し,既知の酵素と比較して,アミノ基受容体の特異性が低いことがわかった.すなわち,乳酸菌由来の本酵素の基質特異性は既知のBacillus属菌由来D-AAT17)17) K. Yonaha, H. Misono, T. Yamamoto & K. Soda: J. Biol. Chem., 250, 6983 (1975).とかなり異なることから,新しいD-ATTであると言える.

このほかに,老川や吉村の2つの研究グループでも,日本酒発酵の発酵工程から分離された乳酸菌(Lactobacillus sakeiなど)(18)やワインの製造工程から単離された乳酸菌Oenococcus oeni(19)19) S. Kato, H. Hemmi & T. Yoshimura: J. Biochem., 152, 505 (2012).などのゲノム情報を基にアミノ酸ラセマーゼホモログが多数同定され,上記と同様に大腸菌で発現させたタンパク質の機能解析から,AlaRやGluR,アスパラギン酸ラセマーゼ,リジンラセマーゼ,ヒスチジンラセマーゼ(HisR)が見いだされている.その中で,HisRはゲノム情報におけるアミノ酸配列の相同性からはAlaRと推定された遺伝子であったが,大腸菌での発現産物の機能解析から,実はAlaRではなく,PLPを補酵素とする新規アミノ酸ラセマーゼ,HisRであることが明らかになった.

2. ‌酵素活性を指標としたD-アミノ酸代謝関連酵素の探索と機能解析

乳酸菌Lactobacillus otakiensisの細胞内外のD-アミノ酸分析を行ったところ,この菌がD-Ala,D-Asp,D-Gluに加え,他の乳酸菌とは異なりD-Leu,D-Val,D-allo-IleといったD-分岐鎖アミノ酸を顕著に生産することを見いだした(図4A図4■(A) L. otakiensis JCM 15040および(B) L. buchneri JCM 1115の培養液中D-分岐鎖アミノ酸濃度の経時変化20)).このようなD-分岐鎖アミノ酸の生産とそれに関与する酵素についてはこれまで全く知見がなかったので,その解明を進めた.まずL. otakiensisを培養して得た菌体を破砕し,調製した粗抽出液より分岐鎖アミノ酸ラセマーゼ(BCAA-R)活性を指標として,硫酸アンモニウム分画,疎水性やイオン交換などの4種のカラムクロマトグラフィー,調製用電気泳動を用いた段階的な分離操作により酵素を高度に精製した.組換え体からの精製ではなかったので,酵素の精製は容易ではなかったが(精製倍率:4270倍,収率:1.27%),SDS電気泳動法で確認されるタンパク質バンドが主な2本(分子質量90 kDaおよび50 kDa相当)になるまで精製を行った.これらの2種類のタンパク質バンドを電気泳動後のゲルから切り出し,N末端アミノ酸配列をそれぞれ決定した後,Protein–Protein-BLASTを用いてGeneBankデータベースから相同性の高いタンパク質を検索した.その結果,90 kDaタンパク質のN末端アミノ酸配列は,Lactobacillus buchneriをはじめとする2つの菌株がもつX-prolyl-dipeptidylaminopeptidaseと推定されるタンパク質の配列と同一であることがわかった.一方,50 kDaタンパク質のN末端アミノ酸配列と高い相同性を示すものとして,L. buchneriのγ-aminobutyrate aminotransferase(γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ,GABA-AT)と推定されるタンパク質を見いだした.L. otakiensisの精製されたBCAA-Rの活性はPLP依存性を示すので,BCAA-Rをコードする遺伝子は,一次構造において特徴的なPLP結合サイトを有する推定GABA-AT遺伝子と予想し,PLP結合サイトを有しない90 kDaタンパク質の遺伝子は除外した.また,L. buchneri JCM 1115の増殖に伴う培養液中D-分岐鎖アミノ酸の経時的濃度分析を行ったところ,L. otakiensisの場合と同様に,生育とともにD-分岐鎖アミノ酸濃度の顕著な増大が認められた(図4B図4■(A) L. otakiensis JCM 15040および(B) L. buchneri JCM 1115の培養液中D-分岐鎖アミノ酸濃度の経時変化20)).そこでL. buchneri JCM 1115のGABA-AT推定遺伝子を常法に従って大腸菌BL21(DE3)で発現させ,その細胞抽出液から,タグ領域の切断を含む2段階のニッケルアフィニティクロマトグラフィーによって均一な精製標品を得た.この酵素の分子質量はゲルろ過クロマトグラフィー法で200 kDaと算出され,サブユニットの分子質量はアミノ酸配列から49,422 Daと算出されたので,本酵素はホモ四量体構造をとることが判明した.多くのアミノ酸ラセマーゼが一量体またはホモ二量体構造をとることから,本酵素はラセミ化反応を触媒する酵素としては珍しいサブユニット構造をとることがわかった.また,PLP酵素の特異的阻害剤であるヒドロキシルアミン,フェニルヒドラジン,アミノオキシ酢酸によって著しく反応が阻害されたことから,本酵素がPLPを補酵素とすることを確認した.本酵素はIle,Leu,Valに加え,2-アミノ酪酸,ノルバリン,ノルロイシンなどの非極性アミノ酸に対して幅広くラセマーゼ活性を示すのに対して,Gluなどの極性アミノ酸にはほとんど活性を示さないことから,報告例のない新規アミノ酸ラセマーゼであることが推測できた(表2表2■イソロイシン2-エピメラーゼの基質特異性20)).特に本酵素反応では,L-IleとD-allo-Ile間の異性化反応に対する活性が最も高く,この点から本酵素はイソロイシン2-エピメラーゼであると言える.至適pHはL-IleからD-allo-Ileへの反応でpH 5.0,逆反応でpH 6.0と酸性側に認められ,Proラセマーゼを例外とした多くのアミノ酸ラセマーゼの最適pHがアルカリ性側のpH 8.0付近に認められることを考えると,特徴的であると言える.本酵素のL-IleおよびD-allo-Ileに対するKm値はそれぞれ5.00 mMと13.2 mMであり,kcat/Km値はそれぞれ101 s−1·mM−1および71.4 s−1·mM−1と算出された.一方,一般的なラセマーゼ反応の平衡定数(Keq)はHoldaneの式(kcat/Km値の比)では1となり,平衡状態では光学異性体が同量のラセミ体になるのに対し,イソロイシン2-エピメラーゼのそれはKeq=101/71.4=1.41と1よりかなり大きく,L-IleからD-allo-Ileへの反応に偏っている.これらの酵素化学的解析から,本酵素はα-アミノ酸のα-炭素における光学異性の相互置換を触媒する異性化酵素として,多くの特徴的な性質をもつ新規酵素であることが判明した(20)20) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, T. Wakamatsu, K. Doi & T. Ohshima: J. Bacteriol., 195, 5207 (2013)..改めて,ここで見いだした新規イソロイシン2-エピメラーゼのアミノ酸配列を基にデータベースを用いてホモログ遺伝子を検索すると,Lactobacillus属やLeuconostoc属にGABA-ATと推定されている相同性の高いホモログ遺伝子が多数見いだせるので,これらの乳酸菌にイソロイシン2-エピメラーゼの類似酵素が広く存在することが予想できる.今後,この酵素の生理的機能の解析により,乳酸菌などにおけるD-アミノ酸代謝の特異的な機能の解明が進むことが期待される.

図4■(A) L. otakiensis JCM 15040および(B) L. buchneri JCM 1115の培養液中D-分岐鎖アミノ酸濃度の経時変化20)

表2■イソロイシン2-エピメラーゼの基質特異性20)
LDDL
基質
L型)
比活性
(µmol·mg−1·min−1
相対活性
(%)
基質
D型)
比活性
(µmol·mg−1·min−1
相対活性
(%)
Ile149±4100allo-Ile221±0100
Nva183.4±3.356Nva183±483
Nle274.1±2.850Val131±759
Val71.7±4.148Nle116±352
Abu347.7±2.332Met93.7±2.642
Leu44.2±1.030Abu66.3±1.930
Phe35.7±0.424Leu54.8±2.125
Met32.0±0.521Ile44.5±2.020
allo-Ile27.8±1.419Phe13.6±0.56
Ser9.58±0.476Ser4.91±0.072
Ala3.95±0.553Ala4.43±0.132
1 Nva: ノルバリン,2 Nle: ノルロイシン,3 Abu: 2-アミノ酪酸.

おわりに

われわれが行った種々の発酵食品におけるD-アミノ酸分析や,多くのD-アミノ酸代謝酵素の酵素化学的特徴の解析から,乳酸菌がD-アミノ酸生産に強く関与していることが見えてきたと言える.しかし,乳酸発酵食品における味や保存性などの二次機能とD-アミノ酸の関係が明確になったとはいまだ言い難い状況である.今後,これまでに見いだしたD-アミノ酸代謝関連酵素の発現量や発現調節機構などの遺伝子レベルでの解析を行い,D-アミノ酸代謝関連酵素の制御によるD-アミノ酸の生産調節を可能にすることで,乳酸発酵食品におけるD-アミノ酸の新たな機能(二,三次機能)の開発に応用できることを期待している.その場合,ここで取り上げたD-アミノ酸の合成反応を行うラセマーゼやアミノ基転移酵素だけでなく,D-アミノ酸を基質とする脱水素酵素,酸化酵素,脱水酵素などの分解系に主に機能する酵素に関しても,分子レベルでの機能解析やその代謝産物のメタボロミクスなどの解析が重要になると考えられる.

近年,老川らのグループは141種類の日本酒について,D-およびL-アミノ酸の濃度分析を行い,生酛,山廃,長期熟成といった仕込み方法で醸造された日本酒にはD-Asp,D-Ala,D-Gluが多く含有されていること,またそれら3種のD-アミノ酸が含まれる日本酒では官能評価試験において好評価が得られることを明らかにし,日本酒の味にD-アミノ酸が関係していることを示している(21)21) K. Okada, Y. Gogami & T. Oikawa: Amino Acids, 44, 489 (2013)..さらに,この成果を踏まえた新たな動きとして,生酛から単離したこれらの3種のD-アミノ酸を著量生産する乳酸菌株を利用して,D-アミノ酸含量を増強したお酒(商品名「にごりん」)が菊正宗株式会社から2012年に発売されている.キリン協和フーズ株式会社からも,乳酸発酵を利用した商品ではないが,D-アミノ酸を強化することで,熟成によって生じる独特の旨味を再現した食品調味料(こく味調味料)が2013年に発売されている.

一方,哺乳類におけるD-Aspと生殖機能の成熟・維持の関係や,D-Serと記憶に関連する精神疾患の関係など,D-アミノ酸の新しい特異的機能が次第に明らかにされおり,私たちが食事を通して摂取するD-アミノ酸がもつ機能についても,近い将来明らかになることが予想される.このように,D-アミノ酸研究は食品におけるD-アミノ酸の新規機能の解明や,食品添加物としての実用化といった新たな段階に入りつつあることが伺える.

Acknowledgments

本稿にて紹介したわれわれの研究成果は「生研センターイノベーション創出事業」の助成を受けて得られたものである.

Reference

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4) M. Kawai, Y. Sekine-Hayakawa, A. Okiyama & Y. Ninomiya: Amino Acids, 43, 2349 (2012).

5) M. Katane & H. Homma: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3108 (2011).

6) T. Nishikawa: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3169 (2011).

7) A. Hashimoto, T. Nishikawa, T. Oka, K. Takahashi & T. Hayashi: J. Chromatogr. A, 582, 41 (1992).

8) H. Brückner, R. Wittner & H. Godel: J. Chromatogr. A, 476, 73 (1989).

9) Z. Long, N. Nimura, M. Adachi, M. Sekine, T. Hanai, H. Kubo & H. Homma: J. Chromatogr. B Biomed. Sci. Appl., 761, 99 (2001).

10) T. Ito, K. Takahashi, T. Naka, H. Hemmi & T. Yoshimura: Anal. Biochem., 371, 167 (2007).

11) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, H. Sakuraba, K. Yoneda, K. Doi & T. Ohshima: Anal. Biochem., 409, 1 (2011).

12) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, H. Akano, K. Doi & T. Ohshima: SpringerPlus, 2, 691 (2013).

13) N. Chamond, C. Gregoire, N. Coatnoan, C. Rougeot, L. H. Freitas-Junior, J. F. da Silveira, W. M. Degrave & P. Minoprio: J. Biol. Chem., 278, 15484 (2003).

14) U. Strych, H. C. Huang, K. L. Krause & M. J. Benedik: Curr. Microbiol., 41, 290 (2000).

15) T. Oikawa, A. Tauch, S. Schaffer & T. Fujioka: J. Biotechnol., 125, 503 (2006).

16) J. Kobayashi, Y. Shimizu, Y. Mutaguchi, K. Doi & T. Ohshima: J. Mol. Catal., B Enzym., 94, 15 (2013).

17) K. Yonaha, H. Misono, T. Yamamoto & K. Soda: J. Biol. Chem., 250, 6983 (1975).

18) 老川典夫:BIOINDUSTRY, 31, 33 (2014).

19) S. Kato, H. Hemmi & T. Yoshimura: J. Biochem., 152, 505 (2012).

20) Y. Mutaguchi, T. Ohmori, T. Wakamatsu, K. Doi & T. Ohshima: J. Bacteriol., 195, 5207 (2013).

21) K. Okada, Y. Gogami & T. Oikawa: Amino Acids, 44, 489 (2013).