解説

糖質加水分解酵素の潜在的機能を活用した特殊オリゴ糖の合成

Synthesis of Unique Oligosaccharides Utilizing Potential Functions of Carbohydrate Hydrolases

Toshiyuki Nishio

西尾 俊幸

日本大学生物資源科学部生命化学科Department of Chemistry and Life Science, College of Bioresource Sciences, Nihon University ◇ 〒252-0880 神奈川県藤沢市亀井野1866 ◇ 1866 Kameino, Fujisawa-shi, Kanagawa 252-0880, Japan

Published: 2015-01-20

各種のグリコシダーゼに関する基質特異性の調査を通して新たに見いだされた糖構造認識能と糖転移作用を利用し,種々の特殊オリゴ糖の合成を試みた.その結果,α-グルコシダーゼ,α-マンノシダーゼ,β-グルコシダーゼが特定のデオキシ糖に対して示す認識能と糖転移作用を利用し,各種の部分デオキシオリゴ糖を合成することができた.また,β-フルクトフラノシダーゼの糖転移作用を利用してスクロースからN-アセチルグルコサミンにフルクトースを転移させ,N-アセチルスクロサミンを効率的に合成した.さらに,N-アセチルスクロサミンを原料として用い,β-フルクトフラノシダーゼやα-ガラクトシダーゼの糖転移作用を利用して新規なN-アセチルグルコサミン含有オリゴ糖を合成した.

はじめに

筆者は,リパーゼやグリコシダーゼなどの加水分解酵素の未知の基質特異性と転移作用を利用し,さまざまな特殊化合物の合成について検討してきた.ここでは,これまでにグリコシダーゼを用いて行ってきた研究について述べる.

糖質の最小単位である単糖類は,複数の不斉炭素原子を骨格としてもつポリヒドロキシアルデヒドあるいはケトンとして特定され,多くのジアステレオマーが存在し,自然界では一般に環状構造を形成して存在している.数個の単糖がグリコシド結合によって重合したものを少糖類(オリゴ糖類)と呼び,また,たくさんの単糖が重合してできた高分子ポリマーを多糖類と呼んでいる.自然界には,構造,結合様式,および重合度が異なる極めて多種多様な糖質が存在している.また,生物はこのような多様性に富む糖質を主に栄養源として効率良く利用するために,進化の過程でこれらの糖質に対して高い特異性と反応性を示す多くの種類の酵素を生産する能力を獲得していったと考えられる.

糖質に作用する酵素の中には,生物が糖質を栄養源として利用しやすくするために多糖やオリゴ糖のグリコシド結合を加水分解反応により切断する役割を担う一群の酵素がある.一般に,これらの糖質加水分解酵素は,構成単糖の構造,重合度,結合の位置や立体配置(α-およびβ-アノマー)の異なる各種糖質に対して高い識別能(基質特異性)を示す.たとえば,重合度や結合の位置・立体配置が同じ基質糖でも,構成単糖の種類が異なるものに対して作用する酵素は全く違うものとなる.また,同じ種類の単糖からなる糖質であっても,結合の立体配置が違うものであれば作用する酵素の種類は違うものとなる.しかし,すべてのものが厳密な特異性を示すということはなく,酵素によっては基質糖の構造認識やグリコシド結合の位置に関して多様性を示すものがある.また,酵素によっては,基質糖の濃度を高くすることにより糖供与体基質から受容体に糖残基を転移する糖転移反応を触媒するものがある.そこで,筆者らは,オリゴ糖類に対して高い加水分解活性を示す酵素であるエキソ型のグリコシダーゼ(注:このような酵素の総称として用いられる)を用い,本酵素の糖構造認識能の多様性と糖転移作用を利用した特殊オリゴ糖の合成について検討した.

ここでは,各種のグリコシダーゼが潜在的に有する糖構造認識能の調査を通して新たに見いだされた特異性と糖転移反応触媒機能を利用し,各種の特殊オリゴ糖の合成を試みた研究について紹介する(図1図1■研究方法の概略).

図1■研究方法の概略

特殊糖を構成糖として含むオリゴ糖の合成

自然界には,生物活性を示すさまざまなオリゴ糖や配糖体が存在している.これらの物質を構成している糖には,天然に豊富に存在している糖とは水酸基の立体配置が異なる希少糖や,部分的にメチル化あるいはデオキシ化されたものが多く見られる.このような特殊糖から構成されるオリゴ糖については,その機能に関する興味から化学合成が盛んに試みられてきたが,その工程には水酸基の位置選択的保護・脱保護,糖の部分修飾,およびグリコシレーション反応により生成したα-およびβ-アノマーの分離などの煩雑な操作が必要となるためにたいへんな困難を伴う.

近年,反応の位置特異性やアノマー特異性が高いグリコシルトランスフェラーゼやエキソ型のグリコシダーゼの糖転移反応や縮合反応を利用した酵素法によるオリゴ糖合成が,その簡便性から盛んに検討されるようになってきた.特にグリコシダーゼについては,各種微生物における生産性の高さや基質の単純さからその有用性が注目されている.現在までに見いだされているグリコシダーゼは,天然に豊富に存在する糖質に対して作用するものがほとんどである.一般にグリコシダーゼは基質グリコシドの非還元性末端単糖に対して厳密な認識能を示す.これらのことから,グリコシダーゼの糖転移反応を利用して合成できるオリゴ糖の種類は限られ,さまざまな希少糖や部分修飾糖を含むオリゴ糖の合成には利用できないと考えられる.しかし,起源の異なる種々のグリコシダーゼの中には,希少糖や部分的にメチル化あるいはデオキシ化された糖に適応できる潜在的な特異性を有し,かつ高い糖転移活性を示すものもあるのではないかと考え探索を試みた.さらに,それらの性質を利用して特殊構造オリゴ糖の合成を試みた.本研究を通じて得られた成果について,以下に紹介する.

1. 各種グリコシダーゼの糖構造認識能の調査

目的とするグリコシダーゼを探索するにあたり,各種生物由来のエキソ型のα-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20),α-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.24),α-ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22),およびβ-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)を対象として,これらの基質特異性を調べた.これらの酵素は,一般にオリゴ糖ばかりでなくアリールグリコシドのような配糖体に対しても高い活性を示すことから,基質グリコシドのアグリコン部分に対しては特異性が比較的低いと考えられる.そこで,これらのグリコシダーゼの基質特異性を調べるための基質としては,各種のD系列のモノメチル化単糖,モノデオキシ化単糖,および希少単糖にp-ニトロフェニル基(pNP)がグリコシド結合で結合した配糖体を用いた(図2A図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性).これらの発色基質についてはほとんどのものが市販されていないため,かなりの時間を費やすことになってしまったが,入手できないものはすべて有機化学的手法によって合成した(1~6)1) T. Nishio, Y. Miyake, K. Kubota, M. Yamai, S. Miki, T. Ito & T. Oku: Carbohydr. Res., 280, 357 (1996).2) T. Nishio, Y. Miyake, H. Tsujii, W. Hakamata, K. Kadokura & T. Oku: Biosci. Biotechnol. Biochem., 60, 2038 (1996).3) T. Nishio, T. Fujikura, N. Osada, W. Hakamata, J. Nakate & T. Oku: J. Appl. Glycosci., 44, 175 (1997).4) W. Hakamata, T. Nishio & T. Oku: J. Appl. Glycosci., 46, 459 (1999).5) W. Hakamata, T. Nishio & T. Oku: Carbohydr. Res., 324, 107 (2000).6) W. Hakamata, T. Nishio, R. Sato, T. Mochizuki, K. Tsuchiya, M. Yasuda & T. Oku: J. Carbohydr. Chem., 19, 359 (2000)..酵素活性の測定は,加水分解反応によりこれらの基質から遊離したp-ニトロフェノールを比色定量することによって行った.これらの基質のコンホメーションに関しては,1H-NMRにおけるピラノース環のビシナル水素原子間の結合定数の値から,若干のひずみは観測されたがいずれも4C1イス型構造であることを確認している.

図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性

(A)基質特異性評価に用いた各種の配糖体基質.(B)各種の配糖体基質に対する種々のグリコシダーゼの活性.

さまざまな生物由来の上記グリコシダーゼを,対応するpNP α-グリコシドのモノメチル化体,モノデオキシ化体,およびジアステレオマー体に至適pH条件下にて作用させ比活性を求めた.そして,対応するpNP α-グリコシドに対する比活性の値を100%として得られた値を比較した.また,有意な活性が見られた基質については,反応速度論的解析も行った.これらの実験結果からわかったことを以下に記載する.

Glycoside hydrolase family (GH) 31に分類されているAspergillus nigerのα-グルコシダーゼは,pNP α-グルコシドよりもその2-デオキシ体に対して高い活性を示した(図2B図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性-1).同様の特異性は,同ファミリーの米,フリントコーン,および甜菜由来のα-グルコシダーゼにも見られた.一方,Saccharomyces cerevisiaeGeobacillus stearothermophilus,およびミツバチのGH 13 α-グルコシダーゼについては,pNP α-グルコシド以外の基質に対して活性を示さなかった.各々のGH 31 α-グルコシダーゼの2-デオキシ体に対するKm値はpNP α-グルコシドに対する値よりも2.5~10.5倍高かったが,Vmax/Km値については大きな差は見られなかった(7)7) T. Nishio, W. Hakamata, A. Kimura, S. Chiba, A. Takatsuki, R. Kawachi & T. Oku: Carbohydr. Res., 337, 629 (2002).

ナタ豆のGH 38 α-マンノシダーゼは,pNP α-マンノシドと同程度の活性をその6-デオキシ体(pNP α-ラムノシド)に対して示した(図2B図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性-2).アーモンドのα-マンノシダーゼについても同様な特異性が見られ,両酵素ともpNP α-ラムノシドに対するKm値とVmax/Km値はpNP α-マンノシドに対するそれらの値とほぼ同じであった(2)2) T. Nishio, Y. Miyake, H. Tsujii, W. Hakamata, K. Kadokura & T. Oku: Biosci. Biotechnol. Biochem., 60, 2038 (1996)..このことから,これらの酵素はα-ラムノシダーゼであると言っても過言ではないと考えられる.

Mortierella vinaceaのGH 27 α-ガラクトシダーゼについては,活性は低いがpNP α-ガラクトシドの2-デオキシ体と6-デオキシ体(pNP α-フコシド),およびpNP α-ギュロシドに有意な活性を示した(図2B図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性-3).一方,同ファミリーのA. nigerのα-ガラクトシダーゼはpNP α-ガラクトシドの2-デオキシ体のみに高い活性を示し,そのKm値とVmax/Km値はpNP α-ガラクトシドに対する値と大きな差はなかった(5)5) W. Hakamata, T. Nishio & T. Oku: Carbohydr. Res., 324, 107 (2000).

GH 1に分類されているアーモンドのβ-グルコシダーゼは,pNP β-グルコシドの6-デオキシ体(pNP β-キノボシド)とpNP β-ガラクトシドの6-デオキシ体(pNP β-フコシド)に対して高い活性を示した(図2B図2■各種の基質誘導体とそれらに対するグリコシダーゼの活性-4).一方,GH 3に分類されているA. nigerのβ-グルコシダーゼは,pNP β-グルコシド以外の基質にはほとんど活性を示さなかった.アーモンドの酵素のpNP β-キノボシドとpNP β-フコシドに対するKm値は,pNP α-グルコシドに対する値と大きな差はなかった.特に,本酵素のpNP α-フコシドに対するkcat値は,pNP α-グルコシドに対する値より7倍以上も高かった.

以上のことから,上記のグリコシダーゼの多くは本来の基質以外にも特定のモノデオキシ体に対して高い活性を示すことが明らかとなった.また,モノデオキシ体に対する特異性は,ファミリーの違いによって異なる傾向が見られた.たとえば,GH 13のα-グルコシダーゼには非還元性末端グルコースのすべての水酸基が基質認識には必要であるが,GH 31のα-グルコシダーゼにとっては非還元性末端グルコースの2位の水酸基は活性を発現するためには重要でないことが推測される.また,A. nigerのα-グルコシダーゼのpNP α-グルコシドとその2-デオキシ体に対する作用の至適pHは1以上もかけ離れていた(8)8) M. Ogawa, T. Nishio, W. Hakamata, Y. Matsuishi, S. Hoshino, A. Kondo, M. Kitagawa, R. Kawachi & T. Oku: J. Appl. Glycosci., 51, 9 (2004)..このような事実から,各種グリコシダーゼのデオキシ糖基質に対する作用については,活性部位を構成するアミノ酸残基の空間的な配置と役割を含めさまざまな点から解析し考察することができる.しかし,本稿はグリコシダーゼを用いた特殊オリゴ糖の合成を本題としており,また,誌面の都合もあるので,ここではそれらの記述を控えさせてもらう.

ちなみに,筆者がこの研究に着手する以前にも,Aspergillus属糸状菌(9~11)9) K.-R. Roser & G. Legler: Biochim. Biophys. Acta, 657, 321 (1981).10) T. Mega & Y. Matsushima: J. Biochem., 94, 1637 (1983).11) B. W. Sigurskjold, B. Duns & K. Bock: Acta Chem. Scand., 45, 1032 (1991).Agrobacterium属細菌(12)12) M. N. Namchuk & S. G. Withers: Biochemistry, 34, 16194 (1995).のβ-グルコシダーゼ,大腸菌(13)13) J. D. McCarter, M. J. Adam & S. G. Withers: Biochem. J., 286, 721 (1992).や子羊小腸(14)14) A. River-Sagredo, F. J. Canada, O. Nieto, J. Jimenez-Barbero & M. Martin-Lomas: Eur. J. Biochem., 209, 415 (1992).のβ-ガラクトシダーゼ,および大麦のα-グルコシダーゼ(15)15) T. P. Frandsen, F. Lok, E. Migrorodskaya, P. Roepstoff & B. Svensson: Plant Physiol., 123, 275 (2000).に関し,特定のデオキシ基質に対する活性が調べられている.しかし,α-グリコシダーゼについては大麦の酵素以外には調べられておらず,また,上記のようなグリコシダーゼの部分修飾糖基質や希少糖基質に対する作用の網羅的調査は行われていなかった.

2. グリコシダーゼを用いた部分デオキシオリゴ糖の合成

2位や6位がデオキシ化された単糖を含むオリゴ糖は,微生物の生産する抗生物質や抗腫瘍物質などさまざまな生物活性配糖体化合物の構成成分として存在している.そこで,上記の結果をもとに,グリコシダーゼの糖転移作用を利用して2-および6-デオキシ糖を含むオリゴ糖の合成を試みた.酵素としては,高い2-デオキシ-α-グルコシダーゼ活性を示したA. niger由来のα-グルコシダーゼ,高いα-ラムノシダーゼ活性を示したナタ豆由来のα-マンノシダーゼ,高いα-キノボシダーゼ活性とα-フコシダーゼ活性を示したアーモンド由来のβ-グルコシダーゼを用いた.また,各々の酵素による糖転移反応は,糖供与体基質(pNPモノデオキシグリコシド)1当量と受容体糖基質(チオグリコシド)6当量を含む緩衝液とアセトニトリル(1 : 1, v/v)の混合溶媒中で行った.受容体糖基質としてチオグリコシドを用いたのは,合成されたオリゴ糖が配糖体の化学合成のための材料として使用できるようにするためである.また,生成したオリゴ糖の収率は,酵素反応液からシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後の糖供与体基質からのモル収率で表した.

これらの実験から,以下の結果が得られた.A. nigerのα-グルコシダーゼによって,非還元性末端に2-デオキシグルコース残基を有するイソマルトース誘導体を高収率で合成することができた(16)16) T. Nishio, C. Kanai, W. Hakamata, M. Ogawa, K. Nakajima, S. Hoshino, A. Matsuishi, R. Kawachi & T. Oku: Biosci. Biotechnol. Biochem., 67, 1024 (2003)..ナタ豆のα-マンノシダーゼによって,α-1,2-結合よりなるラムノビオース誘導体を高収率で合成することができた(17)17) T. Nishio, S. Hoshino, A. Kondo, M. Ogawa, Y. Matsuishi, M. Kitagawa, R. Kawachi & T. Oku: Carbohydr. Res., 339, 1389 (2004)..また,アーモンドのβ-グルコシダーゼによって,非還元性末端にキノボースとフコースを有しβ-1,4-結合よりなる2糖の誘導体をそれぞれ高収率で合成することができた.

以上の結果は,各種のエキソ型グリコシダーゼは特定の部分デオキシオリゴ糖合成のための有用なツールになることを示す.また,受容体糖基質を変えることにより,さらにバラエティーに富んだ部分デオキシオリゴ糖が合成できるのではないかと思われる.ちなみに,α-マンノシダーゼを使って合成したラムノビオース誘導体については,Pseudomonas属細菌などのグラム陰性菌の莢膜に存在する抗原性糖タンパク質の糖鎖の合成のためのビルディングユニットとして使用することができる.デオキシオリゴ糖合成の結果については,図3図3■グリコシダーゼを用いたデオキシオリゴ糖誘導体の合成にまとめて示した.

図3■グリコシダーゼを用いたデオキシオリゴ糖誘導体の合成

以前,筆者はより多様な基質糖構造認識能を有するグリコシダーゼを得るため,G. stearothermophilusのGH 13 α-グルコシダーゼを対象とし,遺伝子工学的手法を用いてその活性部位を形成する触媒残基以外のいくつかのアミノ酸をほかのアミノ酸に置換したミュータント酵素を多数作製して,上記配糖体基質に対するそれらの活性を調べた.しかし,糖構造認識能に変化が現れたミュータント酵素をいくつか作ることができたが,残念ながらいずれも活性は極めて低くオリゴ糖合成のツールとして使えるようなものはなかった(18)18) T. Nishio, W. Hakamata, M. Ogawa, K. Nakajima, Y. Matsuishi, R. Kawachi & T. Oku: J. Appl. Glycosci., 52, 153 (2005)..このことから,グリコシダーゼについては,基質の非還元性末端糖残基に関する特異性を変化させるのはかなり難しいのではないかと考えている.しかし,もっと多くの種類の基質糖誘導体を用いてさらに多くの生物由来のグリコシダーゼについて潜在的糖構造認識能を調べることにより,多種多様な特殊オリゴ糖の合成に使えるようなものが見つかるのではないかと思っている.

N-アセチルグルコサミンを含む特殊オリゴ糖の合成

近年の食用オリゴ糖の研究は,嗜好性からヒトの健康に及ぼす生理機能特性を対象とする方向に発展してきた.その過程で,特殊構造を有するいくつかの難消化性オリゴ糖に非・抗う蝕性,整腸効果,ミネラル吸収促進作用,血糖値調節作用などの有用生理機能特性が見いだされたことから,それらは機能性オリゴ糖と呼ばれ健康補助食品として使用されるようになった(19~21)19) T. Nakakuki: Trends Glycosci. Glycotechnol., 15, 57 (2003).20) T. Nakakuki: J. Appl. Glycosci., 52, 267 (2005).21) S. Patel & A. Goyal: World J. Microbiol. Biotechnol., 27, 1119 (2011)..フラクトオリゴ糖,パラチノース,ラクチュロースをはじめ,現在までに多くの種類の機能性オリゴ糖が酵素反応を利用して生産され使用されてきた.これらのオリゴ糖のほとんどは,グルコース,フルクトース,およびガラクトースの3種類の単糖から構成されている.それは,デンプン,スクロース,ラクトースなど,生物が大量に生産し安価に入手できる身近な糖質の利用を基盤として開発された経緯があるためである(22)22) T. Nakakuki: Pure Appl. Chem., 74, 1245 (2002)..また,このような糖質にかかわる酵素については以前から盛んに研究が行われ,さまざまな酵素について機能が解明され利用できるようになったことも理由の一つであろう.

一方,カニ・エビなどの甲殻類の殻などの主成分であるキチンを構成するN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)も自然界に大量に存在する身近な糖質の一つであるが,本単糖を含む機能性オリゴ糖の開発は国内外を通じて今まで積極的に行われてこなかった.しかし最近,特定の重合度のキチンオリゴ糖についてがんの進行を抑制する効果が確認され(23~27)23) K. Suzuki, T. Mikami, Y. Okawa, A. Tokoro, S. Suzuki & M. Suzuki: Carbohydr. Res., 151, 403 (1986).24) A. Tokoro, N. Takewaki, K. Suzuki, T. Mikami, S. Suzuki & M. Suzuki: Chem. Pharm. Bull. (Tokyo), 36, 784 (1988).25) A. Tokoro, M. Kobayashi, N. Tatewaki, K. Suzuki, Y. Okawa, T. Mikami, S. Suzuki & M. Suzuki: Microbiol. Immunol., 33, 357 (1989).26) M. Kobayashi, T. Watanabe, S. Suzuki & M. Suzuki: Microbiol. Immunol., 34, 413 (1990).27) K. Tsukada, T. Matsumoto, K. Aizawa, A. Tokoro, R. Naruse, S. Suzuki & M. Suzuki: Jpn. J. Cancer Res., 81, 259 (1990).,また,GlcNAcとガラクトースからなる各種のオリゴ糖が病原菌の腸管接着阻害効果や特定ビフィズス菌に対する増殖効果があることが明らかにされた(28~30)28) M. Nishimoto & M. Kitaoka: Biosci. Biotechnol. Biochem., 71, 2101 (2007).29) R. Thomas & T. Brooks: J. Med. Microbiol., 53, 833 (2004).30) R. Thomas & T. Brooks: J. Med. Microbiol., 55, 309 (2006)..これらのことから,アセチルアミノ糖を構成糖として含むホモおよびヘテロタイプのオリゴ糖の有用性が指摘されるようになった.GlcNAcを含む機能性オリゴ糖の開発が今まであまり行われてこなかったのは,原料となる本単糖が安価に入手できなかったことが原因の一つであると考えられる.しかし最近,GlcNAcが肌の老化防止や変形関節炎予防に効果を示すことが動物試験などを通じて明らかになった(31~33)31) Y. Tamai, K. Miyatake, Y. Okamoto, Y. Takamori, K. Sakamoto & S. Minami: Carbohydr. Polym., 54, 251 (2003).32) T. Mammone, D. Gan, C. Fthenakis & K. Marenus: J. Cosmet. Sci., 60, 423 (2009).33) C.-X. Tu, R.-X. Zhang, X.-J. Zhang & T. Huang: Arch. Dermatol. Res., 301, 549 (2009).ことからその需要が急激に増え,カニ殻キチンなどから酸加水分解により大量に生産されるようになり,比較的安価に入手できるようになってきた.最近は筆者も力を注いで研究しているが,キチンの酵素糖化についても多くの研究者により盛んに検討されるようになってきた.GlcNAcは哺乳類の母乳中にも比較的多く含まれ,生体の各所においてたいへん重要な働きをしている糖質である.

これらのことを踏まえ,筆者らはGlcNAcを構成糖として含む新しいタイプのオリゴ糖を機能性オリゴ糖として開発するため,それらをグリコシダーゼの糖構造認識能の多様性と糖転移作用を利用して合成することを検討している.ここでは,現在までに合成されたオリゴ糖について紹介する.

1. N-アセチルスクロサミンの合成

筆者らはまず,糖転移型のβ-フルクトフラノシダーゼ(β-フルクトシルトランスフェラーゼ,EC 2.4.1.99)の作用により,スクロースからフルクトースをGlcNAcに転移させることを試みた.糖転移型β-フルクトフラノシダーゼは,ラクトスクロースやフラクトオリゴ糖などの機能性オリゴ糖の合成に利用されている酵素である(34~42)34) K. Fujita, K. Hara, H. Hashimoto & S. Kitahata: Agric. Biol. Chem., 54, 2655 (1990).35) K. Mikuni, W. Qiong, K. Fujita, K. Hara, S. Yoshida & H. Hashimoto: J. Appl. Glycosci., 47, 281 (2000).36) M. Kawase, A. Pilgrim, T. Araki & K. Hashimoto: Chem. Eng. Sci., 56, 453 (2001).37) A. Pilgrim, M. Kawase, M. Ohashi, K. Fujita, K. Murakami & K. Hashimoto: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 758 (2001).38) H. Hidaka, M. Hirayama & N. Sumi: Agric. Biol. Chem., 52, 1181 (1988).39) M. Hirayama, N. Sumi & H. Hidaka: Agric. Biol. Chem., 53, 667 (1989).40) R. C. Fernández, B. G. Maresma, A. Juarez & J. Martinez: J. Chem. Technol. Biotechnol., 79, 268 (2004).41) P. T. Sangeetha, M. N. Ramesh & S. G. Prapulla: Process Biochem., 40, 1085 (2005).42) M. Kurakake, R. Masumoto, K. Maguma, A. Kamata, E. Saito, N. Ukita & T. Komaki: J. Agric. Food Chem., 58, 488 (2010)..スクロースを糖供与体基質とする本酵素の糖転移反応においてGlcNAcが良好な糖受容体基質として認識されるかどうか確認するため,スクロース含有培地で培養したコウジ菌(Aspergillus oryzae)の菌糸から抽出した部分精製酵素を用い実験を行った.コウジ菌由来の酵素を利用したのは,本菌がこの酵素を多く生産することと,生産されたオリゴ糖を将来的にプレバイオティクスとして開発するにあたり食品製造に利用されている微生物由来の酵素を使ったほうが良いと考えたからである.

その結果,高濃度のスクロースとGlcNAcが溶解した緩衝液にβ-フルクトフラノシダーゼの部分精製酵素を加え反応させ,反応生成物をシリカゲルのTLCで調べたところ,転移オリゴ糖と思われるスポットが一つ確認された.この化合物を精製してMSとNMRにより同定を行ったところ,スクロースのグルコース残基がGlcNAcに置換されたたいへん興味深い構造を有するN-アセチルスクロサミン(SucNAc)であることがわかった.このように,コウジ菌の糖転移型β-フルクトフラノシダーゼを使うことによってGlcNAcとフルクトースからなるオリゴ糖が簡単に合成できることがわかったので,機能性オリゴ糖としての用途開発を見据えてこのオリゴ糖の量産化について検討することにした.ちなみに,本オリゴ糖については,スクロースを原料として用いた8工程からなる有機合成法(43)43) F. W. Lichtenthaler, S. Immel & P. Pokinsky: Liebigs Ann., 1995, 1939 (1995).と,糖ヌクレオチド(UDP-GlcNAc)を基質として用いたスクロース合成酵素による酵素法(44)44) U. Römer, C. Rupprath & L. Elling: Adv. Synth. Catal., 345, 684 (2003).によってすでに合成されている.しかし,いずれの方法もSucNAcの安価な量産法としては不向きである.それに対し,安価なスクロースとGlcNAcを原料として用い,また,コウジ菌酵素を触媒として用いた上記の方法はSucNAcの量産化に対応できると考えられる.

コウジ菌の糖転移型β-フルクトフラノシダーゼが菌糸内に含まれる酵素であることから,SucNAcの量産化に向けて部分精製酵素を用いるのではなく,本酵素を含むアセトン処理乾燥菌糸を全細胞触媒として使用することにした.その理由として,菌糸を使うことにより酵素精製や反応液からの酵素の除去などの面倒な操作が省略できることと,菌糸そのものを固定化酵素担体として利用できるためである.糖転移型β-フルクトフラノシダーゼを含む菌糸をSucNAc合成に利用するにあたり,セライトを添加したスクロース含有培養液にコウジ菌の胞子懸濁液加え培養することにより菌糸とセライトからなる複合体を形成させ,それを洗浄した後に冷アセトン浸漬と減圧乾燥を施すことで軟質顆粒を作製した(図4図4■コウジキン菌糸を用いたN-アセチルスクロサミンの合成).電子顕微鏡写真から確認できるように,本顆粒中では菌糸とセライトが絡み合って内部に適度な隙間が形成されている.このような状態は反応溶液中で基質と菌体内酵素が接触しやすい環境をもたらし,高い酵素活性が発現できることを確認している.なお,アセトン処理により菌自体は死滅したが,菌体内の酵素の活性は失われていなかった.本顆粒を10%のスクロースと19.4%のGlcNAc(モル比;スクロース: GlcNAc=1 : 3)が溶解した緩衝液に添加し反応させることで,高い生成率でSucNAcを合成することができた(45)45) T. Hirano, T. Wada, S. Iwai, H. Sato, M. Noda, M. Juami, M. Nakamura, Y. Kumaki, W. Hakamata & T. Nishio: Carbohydr. Res., 353, 27 (2012)..当初,SucNAcは反応液からクロマトグラフィーによる精製を通じてスクロースから20%ほどのモル収率で得られていたが,改良の結果,現在では40%以上のモル収率で得ることができるようになった.

図4■コウジキン菌糸を用いたN-アセチルスクロサミンの合成

2. リアクターによるN-アセチルスクロサミンの連続生産

さらに簡易かつ効率的なSucNAcの量産法について検討するため,菌糸充填カラムリアクターを用いた連続生産を試みた.まず始めに,前述の菌糸–セライト軟質顆粒をカラム内に充填し,それに高濃度のスクロースとGlcNAcを含む緩衝液を通液させたが,適度な間隙がカラム内に形成されていないため粘性のある基質溶液を安定的に流すことができなかった.このことから,基質溶液を安定的に流すための適度な隙間をカラム内に確保するため,新たな菌糸固定化用担体の選定が必要となった.さまざまなものを菌糸固定化用担体の候補として考えたが,本研究では園芸用土壌改良材として市販されている安価な粒状の発泡性真珠岩粒であるパーライトを担体として用い菌糸の固定化を試みた.パーライトを菌糸固定化担体として選んだのは,リアクターカラム内に適度な隙間が確保できるだろうと考えたこと以外に,極めて軽くカラム充填に耐えうる物理的強度があり,多孔性であるためコウジ菌の胞子が着床して菌糸が表面で生育し固定化されると考えたからである.パーライトを加えたスクロース含有培地にコウジ菌の胞子懸濁液を加え緩やかに震盪培養してその表面に菌糸を固定化したまま増殖させた後,水洗,冷アセトン浸漬,つづいて減圧乾燥を行うことによって菌糸固定化担体を作製した(図5A図5■N-アセチルスクロサミンの量産).この乾燥菌糸固定化担体をカラム(ϕ2.5×18 cm)に充填し,これに10%スクロースと20%GlcNAcを含む緩衝液を通液させたところ,30日にわたって平均35 mg/mLのSucNAcを含む溶出液を安定的に得ることができた.このことから,菌糸中のβ-フルクトフラノシダーゼは少なくとも1カ月はSucNAc生成能を維持していることがわかった.このような小さなカラムリアクターでも,30日間の稼働で100 g弱のSucNAcを合成することができた.このことから,本製造方法は実用的なものであることが示された.

図5■N-アセチルスクロサミンの量産

(A)生産用カラムリアクター.(B)リアクターカラム溶出液からの簡易精製法.

次に,リアクターカラム溶出液中のSucNAcの簡易精製法を検討した.溶出液中には,SucNAc以外に過剰に加えたGlcNAc, 糖転移反応で遊離したグルコース,および僅かではあるが未反応のスクロースやその加水分解によって生じたグルコースやフルクトースが含まれている.SucNAcとGlcNAcはパン酵母(S. cereviciae)によって全く資化されないが,グルコース,フルクトース,およびスクロースはよく資化されることから,溶出液に酵母を加えて培養しこれらの夾雑糖を資化させて除去した.その後,培養上清を濃縮することにより結晶性の高いGlcNAcを晶出させ,SucNAc含量の高い溶液を得た.これを活性炭カラムクロマトグラフィーにかけてGlcNAcとSucNAcを分離した後,凍結乾燥を行ってSucNAc粉末を得た.さらに,これを熱エタノールに溶解した後に冷却することで本オリゴ糖を結晶化した.以上の操作(図5B図5■N-アセチルスクロサミンの量産)で,カラム溶出液からSucNAcを高収率で精製することができた.

上記の製造法と精製法により,大学研究室の狭い実験台の上でも,また,卒業研究の学生でも100 gスケールで簡単にSucNAcを簡単に作れるようになった(46)46) H. Sato, S. Yokochi, T. Kasama, T. Hirano, W. Hakamata & T. Nishio: J. Appl. Glycosci., 59, 153 (2012).

本オリゴ糖は,酸性条件下においてスクロースよりも安定であり,また,ラット小腸のスクラーゼや加水分解型β-フルクトフラノシダーゼでは分解されない難分解性のオリゴ糖である.この性質を生かし,本オリゴ糖のプレバイオティクスとしての有効性を評価するため,現在はビフィズス菌を含む各種腸内細菌の本オリゴ糖に関する資化・増殖性を調べている.最近,本実験においてたいへん興味深い結果が得られたが,それらについてはまた別の機会に紹介する.また,それとは別に,SucNAcを原料として用い新規なGlcNAc含有オリゴ糖の酵素利用合成にも取り組んでいる.次項では,SucNAcを原料として用いた新規オリゴ糖の合成について紹介する.

3. N-アセチルスクロサミンを原料として用いた新規オリゴ糖の合成

30%SucNAcを含む緩衝液に糖転移型β-フルクトフラノシダーゼを含む上記のA. oryzae菌糸軟質顆粒を添加し反応させることで,糖転移反応によりSucNAcのフルクトース残基にβ-2,1グリコシド結合でもう1分子のフルクトースが結合した3糖であるN-アセチル-1-ケストサミン(1-KesNAc)と,1-KesNAcの末端のフルクトース残基にβ-2,1グリコシド結合でさらにもう1分子のフルクトースが結合した4糖であるN-アセチルニストサミン(NysNAc)を効率良く合成することに成功した(47)47) T. Nishio, M. Juami, T. Wada, Y. Sugimoto, H. Senou, W. Komori, C. Sakuma, T. Hirano, W. Hakamata & M. Tashiro: Carbohydr. Res., 382, 108 (2013).図6図6■N-アセチルスクロサミンを原料として用いた新規オリゴ糖の合成).これらのオリゴ糖は,機能性オリゴ糖として使用されているフラクトオリゴ糖の1-ケストースとニストースに含まれるグルコース残基がGlcNAc残基に置き換わった新規な構造のオリゴ糖である.

図6■N-アセチルスクロサミンを原料として用いた新規オリゴ糖の合成

さらに,84%SucNAcと25%メリビオースを含む緩衝液にA. nigerのα-ガラクトシダーゼ(スミチームAGS,新日本化学工業株式会社)を添加し反応させることで,本酵素の糖転移反応によりSucNAcのGlcNAc残基にα-1,6グリコシド結合でガラクトースが結合した3糖であるN-アセチルラフィノサミン(RaffiNAc)を合成することに成功した(図6図6■N-アセチルスクロサミンを原料として用いた新規オリゴ糖の合成).この3糖は,機能性オリゴ糖として使用されているラフィノースに含まれるグルコース残基がGlcNAc残基に置き換わった新規な構造のオリゴ糖である.

これらの新規GlcNAc含有へテロオリゴ糖については,今後,量産方法について検討するとともに,諸性質の調査と用途の開発を行っていく予定である.

おわりに

グリコシダーゼは,オリゴ糖を単糖に分解することで,生物にとって糖質を利用しやすくする役割を担っている酵素である.上記で使用したα-およびβ-グルコシダーゼ,α-マンノシダーゼ,およびα-ガラクトシダーゼについては,自然界ではデオキシ糖を含む配糖体やオリゴ糖の合成にかかわることはおそらくないであろう.β-フルクトフラノシダーゼについても,自然界ではスクロースからフルクトースをGlcNAcに転移させるような反応は触媒していないであろう.従来から,酵素は基質特異性が高い故に利用価値があるとされ有用物質生産に使われてきた.しかし,反応特異性を残したまま潜在的にもっている未知の基質構造認識能を利用することによって,酵素に新たな利用価値を見いだすことができる.今後も,グリコシダーゼを含む種々の加水分解酵素の知られざる基質構造認識能と転移作用を利用し,さまざまな特殊化合物の合成を試みていくつもりである.

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