解説

酵母に見いだした新規な抗酸化酵素「N-アセチルトランスフェラーゼMpr1」

A Novel Antioxidative Enzyme “N-Acetyltransferase Mpr1” Found in Yeast

高木 博史

Hiroshi Takagi

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 ◇ 〒630-0192 奈良県生駒市高山町8916番地5

Graduate School of Biological Sciences, Nara Institute of Science and Technology ◇ 8916-5 Takayamacho, Ikoma-shi, Nara 630-0192, Japan

那須野

Ryo Nasuno

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 ◇ 〒630-0192 奈良県生駒市高山町8916番地5

Graduate School of Biological Sciences, Nara Institute of Science and Technology ◇ 8916-5 Takayamacho, Ikoma-shi, Nara 630-0192, Japan

Published: 2015-02-25

微生物から高等生物まで広く存在する「N-アセチルトランスフェラーゼ」は,さまざまな基質をアセチル化することで,多くの重要な細胞機能の制御に関与している.筆者らは,環状の二級アミンであるプロリンアナログ(L-アゼチジン-2-カルボン酸,シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン)を基質とする新規のN-アセチルトランスフェラーゼMpr1を酵母Saccharomyces cerevisiaeに見いだした.また,Mpr1がアルギニン合成を亢進することで一酸化窒素の生成を誘導し,酵母の酸化ストレス耐性に寄与する新しいタイプの「抗酸化酵素」であることを明らかにした.さらに,X線結晶構造解析により,Mpr1のユニークな立体構造と反応機構の解明にも成功した.本稿では,Mpr1の分子構造と生理的役割について概説する.また,Mpr1の酵素特性や生理機能に基づく応用研究の成果も紹介する.

はじめに

N-アセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.-)は,基質のアミノ基にアセチルCoAのアセチル基を転移させる酵素である.これまでにタンパク質やアミノ酸,ポリアミン,アミノグリコシド系抗生物質などさまざまな物質を基質とするN-アセチルトランスフェラーゼが発見されており,その生理機能も多岐にわたっている(1)1) D. A. Evans: Pharmacol. Ther., 42, 157 (1989)..特に,真核生物の多くのタンパク質では,本酵素が翻訳と同時にアミノ末端のアミノ酸のアセチル化を行うと考えられており,その生物学的意義が注目されている.また,本酵素はヒストンやチューブリンのアミノ末端または特定部位のリジン残基をアセチル化することで,遺伝子発現の活性化,微小管の寿命などに関与しており,対応する脱アセチル化酵素(デアセチラーゼ)とともに細胞機能の制御に重要な役割を担っている(2)2) C. Choudhary, C. Kumar, F. Gnad, M. L. Nielsen, M. Rehman, T. C. Walther, J. V. Olsen & M. Mann: Science, 325, 834 (2009).

筆者らは,酵母Saccharomyces cerevisiaeにおけるプロリンの生理機能を解析する過程で,プロリンの毒性アナログとして知られ,環状の二級アミンであるL-アゼチジン-2-カルボン酸(AZC)を基質とする新規のN-アセチルトランスフェラーゼ(Mpr1)を偶然見いだした.また,その後の研究でMpr1が酵母の細胞内において,酸化ストレス下でアルギニン合成を亢進することで一酸化窒素(NO)の生成を誘導し,最終的には酵母の新規な酸化ストレス耐性機構に寄与していることを明らかにした.さらに最近,X線結晶構造解析と速度論的解析により,Mpr1の立体構造と反応機構を解明することに成功した.本稿では,酵母に見いだしたMpr1の分子特性と生理的役割,特にMpr1がアルギニン合成を介して関与する新しい抗酸化機構について概説する.また,Mpr1の立体構造ならびに反応機構の特徴,既知のN-アセチルトランスフェラーゼとの類似点・相違点などを解説する.さらに,Mpr1の酵素特性や生理機能に基づく,産業酵母の育種,有用物質の生産,バイオテクノロジーへの応用についても紹介する.

Mpr1は環状二級アミンを基質とする新規なN-アセチルトランスフェラーゼである

酵母S. cerevisiaeは,真核生物のモデルとして基礎科学への多大なる貢献だけでなく,製パンや各種アルコール飲料,バイオエタノールなどの生産に用いられ,発酵・醸造産業上において極めて有用な微生物である.酵母の発酵生産過程は細胞にとってストレス環境であり,エタノール,高温,冷凍,乾燥,浸透圧,酸など多様なストレスにさらされている.このようなストレスを連続的または複合的に受けると,タンパク質など生体高分子の変性・失活とともに,ミトコンドリア膜の損傷に起因する活性酸素種(ROS)の生成・蓄積によって,生育阻害や細胞死が引き起こされ,酵母の有用機能(エタノール,炭酸ガス,味・風味成分の生成)が制限されてしまう(3)3) R. V. Pérez-Gallardo, L. S. Briones, A. L. Díaz-Pérez, S. Gutiérrez, J. S. Rodríguez-Zavala & J. Campos-García: FEMS Yeast Res., 13, 804 (2013)..したがって,発酵生産性の向上には,酵母に優れたストレス耐性,特に強い抗酸化能を付与することが重要である.

筆者らは,植物や細菌において浸透圧調節物質(適合溶質)として知られているアミノ酸のプロリンが(4) 4) 高木博史:蛋白質核酸酵素,53, 249 (2008).,トレハロースやグリセロールと同様に,冷凍後の酵母の細胞生存率の低下を防ぐことを見いだした(5)5) H. Takagi, F. Iwamoto & S. Nakamori: Appl. Microbiol. Biotechnol., 47, 405 (1997)..そこで,ストレス下におけるプロリンの生理機能を解析する目的で,プロリンの毒性アナログであるAZCに対する耐性を指標に,プロリン蓄積変異株のスクリーニングを行った.その結果,変異が入ったプロリン合成系の遺伝子(6)6) Y. Morita, S. Nakamori & H. Takagi: Appl. Environ. Microbiol., 69, 212 (2003).とは別に,S. cerevisiae Σ1278b株由来のゲノムから細胞にAZC耐性を付与する遺伝子MPR1(sigma 1278b gene for L-proline analogue resistance)を単離した(7)7) H. Takagi, M. Shichiri, M. Takemura, M. Mohri & S. Nakamori: J. Bacteriol., 182, 4249 (2000)..興味深いことに,MPR1の発現はAZC耐性には関与するが,細胞内のプロリン含量に影響はなかった.MPR1は推定アミノ酸配列からN-アセチルトランスフェラーゼをコードしていると考えられ,実際にAZCを基質としてMPR1産物(Mpr1)の活性を測定したところ,明確なアセチル化活性が得られた(8)8) M. Shichiri, C. Hoshikawa, S. Nakamori & H. Takagi: J. Biol. Chem., 276, 41998 (2001)..AZCはプロリンと競合して新生ポリペプチド鎖に取り込まれると,タンパク質は正しいフォールディングを形成できずに変性・凝集し,細胞毒性を引き起こすと考えられている(9,10)9) C. Franzblau & F. Troxler: J. Biol. Chem., 250, 1464 (1975).10) K. Bessonov, V. V. Bamm & G. Harauz: Phytochemistry, 71, 502 (2010)..Mpr1はAZCのアミノ基にアセチル基を転移し,タンパク質への取り込みを防ぐことで,細胞にAZC耐性を付与していると考えられた(図1図1■AZCの毒性発現機序とMpr1によるAZCの解毒).

図1■AZCの毒性発現機序とMpr1によるAZCの解毒

AZCはタンパク質合成の際,プロリンと競合して新生タンパク質に取り込まれ,異常タンパク質の蓄積により細胞毒性を発揮する.Mpr1はAZCのアミノ基をアセチル化することで,タンパク質への取り込みを妨げていると考えられる.

MPR1はΣ1278b株の14番染色体のサブテロメア付近に存在するが,10番染色体のサブテロメア付近にも1コピー存在する(MPR2).両者のDNA配列は1塩基だけ異なり,その結果85番目のアミノ酸残基に違いがあるが(Mpr1: Gly, Mpr2: Glu),機能的な差異は観察されていない(7)7) H. Takagi, M. Shichiri, M. Takemura, M. Mohri & S. Nakamori: J. Bacteriol., 182, 4249 (2000)..Mpr1はそのアミノ酸配列から,Gcn5-related N-acetyltransferase(GNAT)スーパーファミリーに属すると考えられた(7)7) H. Takagi, M. Shichiri, M. Takemura, M. Mohri & S. Nakamori: J. Bacteriol., 182, 4249 (2000)..GNATスーパーファミリーには,ヒストンタンパク質やポリアミン,アミノ酸,セロトニン,アミノグリコシド系抗生物質などさまざまな化合物を基質とするタンパク質が含まれるが(11)11) M. W. Vetting, L. P. S de Carvalho, M. Yu, S. S. Hegde, S. Magnet, S. L. Roderick & J. S. Blanchard: Arch. Biochem. Biophys., 433, 212 (2005).,これらの基質のほとんどは一級アミンであり,環状の二級アミンを基質とするN-アセチルトランスフェラーゼはこれまで報告がない.一方in vitroでの解析から,Mpr1はAZCと同様に環状二級アミンであるプロリンアナログのシス-4-ヒドロキシ-L-プロリン(CHOP)を基質にすることも判明した(12)12) B. T. Hoa, T. Hibi, R. Nasuno, G. Matsuo, Y. Sasano & H. Takagi: J. Biosci. Bioeng., 114, 160 (2012)..以上の結果は,Mpr1が極めて珍しい基質特異性を有する新規なN-アセチルトランスフェラーゼであることを示している(図2図2■Mpr1(上段)と既知のGNATスーパーファミリー酵素(下段)の基質特異性).

図2■Mpr1(上段)と既知のGNATスーパーファミリー酵素(下段)の基質特異性

Mpr1はアルギニン合成を亢進し,新規な酸化ストレス耐性機構に関与する

AZCは,自然界ではスズランなど一部の植物に存在するだけで,酵母の細胞内には検出されていない(13,14)13) L. Fowden: Biochem. J., 64, 323 (1956).14) L. Fowden & M. Bryant: Biochem. J., 71, 210 (1959)..では,Mpr1の細胞内基質および生理機能とは一体何か? 筆者らはS. cerevisiae Σ1278bの野生型株(MPR1/2保持)とMPR1/2の破壊株をさまざまな培養条件で比較したところ,MPR1/2破壊株が過酸化水素や高温処理などの酸化ストレスに対して感受性になることを見いだした(15)15) M. Nomura & H. Takagi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 101, 12616 (2004).図3A図3■Mpr1依存的な抗酸化作用とそのメカニズム).また,冷凍やエタノールなどのストレスに対してもMpr1が細胞保護効果を示すことがわかった(16,17)16) X. Du & H. Takagi: J. Biochem., 138, 391 (2005).17) X. Du & H. Takagi: Appl. Microbiol. Biotechnol., 75, 1343 (2007)..その後の遺伝学的解析から,酵母が酸化ストレスの一種である高温にさらされると,Mpr1依存的に合成されるアルギニンが細胞のストレス耐性に関与することを見いだした(18)18) A. Nishimura, T. Kotani, Y. Sasano & H. Takagi: FEMS Yeast Res., 10, 687 (2010)..さらに最近では,アルギニンからジフラビンタンパク質Tah18依存的にNOが発生すること,またNOがシグナル分子として酸化ストレス耐性に寄与するメカニズムを明らかにした(19)19) A. Nishimura, N. Kawahara & H. Takagi: Biochem. Biophys. Res. Commun., 430, 137 (2013)..酵母においてアルギニン合成を介した抗酸化機構はこれまで報告がなく,Mpr1は新規な抗酸化機構の鍵酵素とも言える.

図3■Mpr1依存的な抗酸化作用とそのメカニズム

(A)野生型株(WT)とMPR1/2破壊株(Δmpr1/2)の生育.(B)MPR1ARG2ARG8各遺伝子の破壊株の生育.各株を最少培地にて培養した.(C)Mpr1依存的なアルギニン合成と抗酸化機構.Mpr1は,N-アセチルグルタミン酸,N-アセチルグルタミルリン酸,N-アセチルグルタミン酸-γ-セミアルデヒドのいずれかを供給し,アルギニン合成に寄与する.Glu:グルタミン酸,GP:グルタミルリン酸,GSA:グルタミン酸-γ-セミアルデヒド,Orn:オルニチン,Arg:アルギニン.

Mpr1の細胞内基質については,まだ同定されていないが,遺伝学的な解析からアルギニン合成系の中間代謝物であるN-アセチルグルタミン酸,N-アセチルグルタミルリン酸,N-アセチルグルタミン酸-γ-セミアルデヒドのいずれかを,Mpr1が直接的または間接的に生成することが明らかとなっている(18)18) A. Nishimura, T. Kotani, Y. Sasano & H. Takagi: FEMS Yeast Res., 10, 687 (2010).図3B, C図3■Mpr1依存的な抗酸化作用とそのメカニズム).Arg2(N-アセチルグルタミン酸シンターゼ)とArg6(N-アセチルグルタミン酸キナーゼ)は最終産物のアルギニンにより強いフィードバック阻害を受けるが(20)20) K. Pauwels, A. Abadjieva, P. Hilven, A. Stankiewicz & M. Crabeel: Eur. J. Biochem., 270, 1014 (2003).in vitroの解析からMpr1の酵素活性はアルギニンによる阻害を受けないことがわかっている.Mpr1がArg6,もしくはその下流の酵素と同様の生成物を供給する場合,Mpr1依存的なアルギニン合成経路はアルギニンによるフィードバック阻害を受けないと考えられる.細胞が酸化ストレス条件に置かれた場合,アルギニン欠乏でないにもかかわらず,細胞保護のためにアルギニンを合成する必要がある.このような状況では,フィードバック阻害を受けないMpr1を介してアルギニンを合成することで,ストレス耐性を獲得するのではないか? つまり,既知のアルギニン合成系は通常時に,Mpr1依存的なアルギニン合成系はストレス応答時に,それぞれ目的別に機能しているのではないか? そうだとすると,この機構は細胞の生存戦略として合理的であると言える.一方,Mpr1の生成物が上記のいずれであったとしても,Arg2やArg6,Arg5などのアルギニン合成系の酵素はミトコンドリアに局在すると報告されているため(21)21) J. C. Jauniaux, L. A. Urrestarazu & J. M. Wiame: J. Bacteriol., 133, 1096 (1978).,Mpr1もミトコンドリアへの局在が予想された.GFPを用いた細胞内局在の観察を行ったところ,Mpr1は細胞質以外にミトコンドリアにも存在することが示された(18)18) A. Nishimura, T. Kotani, Y. Sasano & H. Takagi: FEMS Yeast Res., 10, 687 (2010)..Mpr1の一次構造には明確なミトコンドリア移行シグナルは存在しない.また,GFPをMpr1のアミノ末端に融合するとAZC耐性を示さず,液胞に局在したことから,アミノ末端側は酵素機能の発現や細胞内局在に関与すると考えられる.最初に基質として同定したAZCは,培地から細胞内に取り込まれた後,細胞質のMpr1がアセチル化し,解毒するのであろうが,酸化ストレスなどの生理的条件では,Mpr1はミトコンドリア内のアルギニン合成系酵素との相互作用も含め,その機能や局在が厳密に制御されている可能性がある.

興味深いことに,Mpr1は同じS. cerevisiaeの中でも,ゲノム解析が行われたS288C系統株や清酒酵母にはオルソログ遺伝子が存在しないが,近縁種のSaccharomyces paradoxus(Spa Mpr1)や分裂酵母Schizosaccharomyces pombe(Ppr1)には保存されており,AZCアセチル化活性を有している(22,23)22) Y. Kimura, S. Nakamori & H. Takagi: Yeast, 19, 1437 (2002).23) M. Nomura, S. Nakamori & H. Takagi: J. Biochem., 133, 67 (2003)..また,Kluyveromyces lactisCandida albicansWickerhamia fluorescensなど多くの酵母やカビのゲノム上にはMPR1と相同性の高いDNA配列が存在しており,これらの菌ではAZCアセチル化活性も検出された(24,25)24) M. Wada, K. Okabe, M. Kataoka, S. Shimizu, A. Yokota & H. Takagi: Biosci. Biotechnol. Biochem., 72, 582 (2008).25) T. Kotani & H. Takagi: FEMS Yeast Res., 8, 607 (2008)..したがって,MPR1は共通の祖先遺伝子に由来しており,このようなMpr1依存的な酸化ストレス耐性機構は真菌類に広く保存されている可能性がある.酵母においてMpr1は,既知の抗酸化酵素のようにROSに直接作用するのではなく,プロリンやアルギニン代謝に関与することでROSレベルを制御していることから,既存の抗酸化システムのバックアップとして機能しているのかもしれない.

Mpr1はユニークな立体構造と反応機構を有している

上述したように,Mpr1はユニークな基質特異性を有している.また,Mpr1にはGNATスーパーファミリーに保存される配列モチーフは存在するものの(11,25)11) M. W. Vetting, L. P. S de Carvalho, M. Yu, S. S. Hegde, S. Magnet, S. L. Roderick & J. S. Blanchard: Arch. Biochem. Biophys., 433, 212 (2005).25) T. Kotani & H. Takagi: FEMS Yeast Res., 8, 607 (2008).,一次構造全長にわたって相同性があり,かつ立体構造が明らかなタンパク質は報告されていない.したがって,Mpr1は新規な立体構造を有するタンパク質であり,特に基質認識部位の構造や認識様式は独特なものであると予想された.実際に,X線結晶構造解析によりMpr1の構造決定を試みたところ,基質フリーの構造を1.9 Åの分解能で,また基質の一つであるCHOPとの複合体構造を2.3 Åの分解能で,それぞれ決定することに成功した(26)26) R. Nasuno, Y. Hirano, T. Itoh, T. Hakoshima, T. Hibi & H. Takagi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 11821 (2013)..Mpr1は8本のβ-ストランドと6本のα-へリックスから成り,既知のGNATスーパーファミリーのタンパク質のフォールディングとよく似た構造であった.超遠心分離により溶液中での会合状態を解析したところ,Mpr1は溶液中で二量体を形成しており,これもほかのGNATタンパク質と類似していた.Daliサーバー(27)27) L. Holm & P. Rosenström: Nucleic Acids Res., 38 (Web Server), W545 (2010).を用いて,立体構造の類似性が高いタンパク質を探索すると,Mpr1は真核生物よりも細菌由来のN-アセチルトランスフェラーゼに類似していることが明らかになった.

複合体構造中のCHOPは隣接した2本のβ-ストランドの間の領域に結合しており,Asn135の側鎖アミド,およびAsn125とLeu173の主鎖アミドとCHOPのカルボキシル基が結合していた(図4A図4■Mpr1の立体構造).またPhe138の主鎖アミドは,水分子を介してCHOPのアミノ基と相互作用していた.Asn135Ala変異体は基質に対するKm値が約20倍上昇し,Asn135Asp変異体では酵素活性が検出できなくなったこと,さらに反応溶液のpHを酸性側にシフトさせることで基質に対するKm値が上昇したことから,Mpr1はAsn135とそれを含む領域により,基質のカルボキレートアニオンを認識・結合していると考えられた(図5A図5■Mpr1(A)および既知のGNATタンパク質(B)の反応機構).一方,CHOPのγ炭素原子とTyr75の疎水性側鎖がファンデルワールス相互作用していることも示唆された.予想に反することではあるが,これらのことはMpr1による基質の環状構造の認識はそれほど厳密なものではなく,むしろカルボキシル基の認識が基質結合により重要であることを示している.

図4■Mpr1の立体構造

(A)Mpr1-CHOP-アセチルCoA三者複合体モデルの活性中心.いくつかのアミノ酸残基とアセチルCoA, CHOPをスティックモデルで示す.(B)Mpr1および既知GNATタンパク質(ribosomal protein acetyltransferase(2CNS),aminoglycoside N-acetyltransferase(1M4Iおよび1B87),serotonin N-acetyltransferase(1CJW),glucosamine-6-phosphate N-acetyltransferase(1I1D),histone acetyltransferase(1FY7),mycothiol synthase(1OZP),推定acetyltransferase(4H89))のβ-バルジ構造.Mpr1のPhe138を含むβ-ストランド(緑),推定acetyltransferase(4H89)のβ-ストランド(赤),およびその他のGNATタンパク質のβ-ストランド(黒)に相当する領域をそれぞれリボンモデルで示す.(C)Phe65残基の周辺構造.Phe65および周辺の疎水性残基をスティックモデルで示す.

図5■Mpr1(A)および既知のGNATタンパク質(B)の反応機構

点線は水素結合を,矢印は電子移動をそれぞれ示す.

つづいて,Mpr1のアセチルCoA結合部位を予測するため,Enterococcus faecium由来のアミノグリコシド6′-N-アセチルトランスフェラーゼの立体構造(PDB ID code: 1B87)(28)28) L. E. Wybenga-Groot, K. Draker, G. D. Wright & A. M. Berghuis: Structure, 7, 497 (1999).とMpr1の構造を重ね合わせて,Mpr1-CHOP-アセチルCoAの三者複合体モデルを構築した.1B87はアセチルCoAとの複合体構造が決定されているタンパク質の中でMpr1と構造が最も類似しており,会合状態もMpr1と同様に二量体である(29)29) D. L. Burk, N. Ghuman, L. E. Wybenga-Groot & A. M. Berghuis: Protein Sci., 12, 426 (2003)..Mpr1-CHOP複合体におけるCHOP周辺の領域,7本のβ-ストランドと4本のα-へリックスを含むこの領域は,1B87における相当する領域と重なっており,特にアセチルCoA周辺の構造は一致の程度が高い.GNATタンパク質にはモチーフAからDまでの配列が保存されており,そのうちモチーフAはアセチルCoAのピロリン酸部分と相互作用することでアセチルCoAとの結合に寄与すると考えられている.構築した三者複合体の構造では,アセチルCoAのピロリン酸部分がMpr1のモチーフAと相互作用すると予測されたことから,三者複合体モデルはおおむね正しい構造であると考えられた(図4A図4■Mpr1の立体構造).

三者複合体モデルから,Phe138の主鎖,Asn178とTrp185の側鎖はアセチルCoAのカルボニル基と相互作用可能な距離にある.多くのGNATタンパク質では,活性中心にある疎水性残基(Mpr1ではPhe138)の主鎖アミドとTyr残基(Mpr1ではTyrではなくTrp185)が触媒残基として機能している(図5B図5■Mpr1(A)および既知のGNATタンパク質(B)の反応機構(11)11) M. W. Vetting, L. P. S de Carvalho, M. Yu, S. S. Hegde, S. Magnet, S. L. Roderick & J. S. Blanchard: Arch. Biochem. Biophys., 433, 212 (2005)..すなわち,疎水性側鎖の主鎖アミドは,β-ストランド中にβ-バルジと呼ばれる隆起構造を形成し,この構造を中心としたオキシアニオンホールと呼ばれるポケットにより,アセチル化反応の正四面中間体の酸素原子の負電荷を安定化し,反応を触媒する.一方,Tyr残基は側鎖の水酸基が反応生成物であるCoAチオレートアニオンをプロトン化することで反応を触媒する.これらのことから,Mpr1でもPhe138とTrp185が触媒として機能している可能性があった.三者複合体モデルから,Phe138の主鎖アミドはアセチルCoAのカルボニル酸素原子との相互作用が予測され,触媒として機能すると考えられたが,興味深いことにこの領域はβ-バルジ構造を形成していなかった(図4B図4■Mpr1の立体構造).Trp185はMpr1ホモログ間で保存されておらず,pKa値からTrp側鎖のインドール基がチオレートをプロトン化することは困難であるため,Trp185は触媒残基ではないと考えられた.一方,Phe138,Trp185と同様に,アセチルCoAのカルボニル基近傍に位置していたAsn178はMpr1ホモログ間で完全に保存されていた.さらに,Asn178Ala変異体はkcat値が著しく低下したこと,Asn178Asp変異体では酵素活性が検出できなくなったことから,Asn178は反応生成物であるCoAチオレートアニオンの安定化により反応を触媒していると結論づけた(図5A図5■Mpr1(A)および既知のGNATタンパク質(B)の反応機構).

筆者らは以上の考察に基づき,Mpr1の触媒反応機構を提唱した(26)26) R. Nasuno, Y. Hirano, T. Itoh, T. Hakoshima, T. Hibi & H. Takagi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 11821 (2013).図5A図5■Mpr1(A)および既知のGNATタンパク質(B)の反応機構).まず,Asn172とLeu173の主鎖アミド,およびAsn135の側鎖アミドにより,基質のカルボキシル基が認識・結合される.基質がアセチルCoAのカルボニル炭素に求核攻撃し,生成した正四面中間体がPhe138の主鎖アミド窒素原子によって安定化される.中間体の分解後に生成するCoAチオレートアニオンはAsn178の側鎖アミドにより安定化され,最終的に水分子によりプロトン化されて反応が完了する.Asn残基を触媒として用いるN-アセチルトランスフェラーゼはこれまで報告がなく,Mpr1は新規の反応機構を有していると言える.

Mpr1と既知のGNATタンパク質を反応機構という点で比較すると,環状二級アミンを基質とするために,Mpr1が基質認識そのものではなく,触媒機構を進化・最適化させてきた可能性が見えてくる.一般に,二級アミンは一級アミンよりも求核性が高い.さらに,環状の二級アミンでは鎖状の二級アミンと比べて嵩高い置換基が固定されるため,求核性を示す非共有電子対周辺の立体障害が少ない.つまり,環状二級アミンは一級アミンに比べて極めて高い求核性を有していると考えられる.Mpr1の触媒機構は既知のGNATタンパク質に比べて,効率が良くないようにも思える.CoAチオレートのプロトン化ではなく,安定化という間接的な方法を採用し,またβ-バルジ構造の欠落により,オキシアニオンホールの形成,つまりは正四面中間体の安定化による触媒能も低下している可能性がある.これは求核性の高い基質を扱ううえで,生体内で機能を発揮するため適度に調節された反応速度を維持するために,あえて効率の悪い触媒機構を採用するという進化の結果ではないだろうか?

Mpr1は産業酵母のストレス耐性を向上させる

Mpr1はバイオテクノロジーの面でも興味深い酵素である.筆者らは清酒酵母やパン酵母でMpr1を発現させると,エタノール,高温乾燥などのストレス耐性が向上することを見いだしており(30,31)30) K. Iinoya, T. Kotani, Y. Sasano & H. Takagi: Biotechnol. Bioeng., 103, 341 (2009).31) Y. Sasano, S. Takahashi, J. Shima & H. Takagi: Int. J. Food Microbiol., 138, 181 (2010).,各種の発酵生産(パン類,酒類,バイオエタノールなど)に用いる産業酵母のストレス耐性向上への応用が期待される.たとえば,パン酵母は製パン過程において,冷凍,乾燥,高濃度ショ糖などの細胞内のROSレベルが上昇する酸化ストレス環境にさらされており,発酵能(炭酸ガスの発生)が制限されている.したがって,パン酵母に高度な酸化ストレス耐性を付与することにより,有用な菌株の開発が可能になる(32)32) 高木博史:日本食品微生物学会雑誌,31, 185 (2014).

これまでにゲノミックPCRの結果から,国内で製造されているほとんどのパン酵母はMPRに相同性のあるDNA断片を有していることが判明している(未発表).また,パン酵母の10番染色体にMPRを1コピー保持しており,その塩基配列はS. cerevisiae Σ1278b株のMPR2と一致していた(31)31) Y. Sasano, S. Takahashi, J. Shima & H. Takagi: Int. J. Food Microbiol., 138, 181 (2010)..ドライイーストの製造には優れた高温乾燥耐性を備えたパン酵母が必要である.そこで,高温乾燥条件下におけるMPR2産物(Mpr2)の役割を解析するために,各菌株の細胞生存率と細胞内ROSレベルを測定した(図6A, B図6■野生型および変異型Mpr1がパン酵母に及ぼす影響).その結果,パン酵母のMPR2破壊株(Δmpr2)は,親株よりも高温乾燥処理後の生存率が約30%低下し,ROSレベルは親株よりも約40%高かった(31)31) Y. Sasano, S. Takahashi, J. Shima & H. Takagi: Int. J. Food Microbiol., 138, 181 (2010)..さらに,Mpr2の製パン過程における役割を調べる目的で,高温乾燥処理後の酵母を用いて調製したパン生地の発酵力(炭酸ガス発生量)を測定した(図6C図6■野生型および変異型Mpr1がパン酵母に及ぼす影響).その結果,高温乾燥処理後のΔmpr2株は発酵力が親株の約65%にまで低下していたことから,Mpr2は高温乾燥処理などの酸化ストレス下で細胞内のROSレベルの上昇を防ぐことで,パン酵母を高温乾燥処理から保護しているものと考えられた(31)31) Y. Sasano, S. Takahashi, J. Shima & H. Takagi: Int. J. Food Microbiol., 138, 181 (2010).

図6■野生型および変異型Mpr1がパン酵母に及ぼす影響

高温乾燥後(37°C,4時間)の細胞生存率(A),細胞内ROSレベル(B),野生型株(WT)の値を100%としたときの相対発酵力(C, D).Δmpr2MPR2破壊株,K63R:Lys63Arg変異型Mpr1発現株,F65L:Phe65Leu変異型Mpr1発現株.

筆者らはMpr1の構造を決定する以前から,エラープローンPCRを用いたMPR1へのランダム変異導入により,野生型酵素よりも過酸化水素やエタノール処理後のROSレベルを低下させ,生存率を向上させるMpr1変異体(Lys63Arg, Phe65Leu)を取得しており(30)30) K. Iinoya, T. Kotani, Y. Sasano & H. Takagi: Biotechnol. Bioeng., 103, 341 (2009).,特にPhe65Leu変異体では温度安定性が著しく向上していた.Phe65は疎水性の領域に埋まっており,Phe65Leuでは側鎖サイズの変化によりこの領域でのパッキングがより強固なものとなり,結果的に熱安定性が向上したと考えられた(26)26) R. Nasuno, Y. Hirano, T. Itoh, T. Hakoshima, T. Hibi & H. Takagi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 11821 (2013).図4C図4■Mpr1の立体構造).次に,各Mpr1変異体を発現するパン酵母を「セルフクローニング法」で作製し,その特性を解析した(31)31) Y. Sasano, S. Takahashi, J. Shima & H. Takagi: Int. J. Food Microbiol., 138, 181 (2010)..実用パン酵母(2倍体株)から分離した各1倍体株の染色体上に存在する野生型MPR2を相同組換えにより変異型MPR1(Lys63ArgまたはPhe65Leu)に置換した.各1倍体を接合して作製した2倍体は予想どおりAZC耐性が向上していた.各菌株の高温乾燥処理後の生存率を測定したところ,各変異体発現株は野生型株に比べて約40~80%増加していた(図6A図6■野生型および変異型Mpr1がパン酵母に及ぼす影響).さらに,高温乾燥処理後の菌株を用いてパン生地を調製し,その発酵力を測定した(図6D図6■野生型および変異型Mpr1がパン酵母に及ぼす影響).Mpr1変異体発現株では,高温乾燥処理後の発酵力が野生型株の1.5~1.8倍に増加しており,特に安定性の向上したPhe65Leu変異体を発現する株が高い発酵力を示した.以上の結果から,Mpr1変異体をパン酵母で発現させることで,高温乾燥耐性が著しく向上し,パン生地中の発酵力も増加することが示された.今後,構造情報に基づいた分子設計とランダム変異の組み合わせにより,酵素機能(活性,安定性)がさらに向上したMpr1変異体を創製し,発現させることで,パン酵母のみならずさまざまな産業酵母のストレス耐性の向上が期待できる.

おわりに

Mpr1は,上記で述べた産業酵母の育種への応用以外にも,さまざまなバイオテクノロジーへの展開が可能である.Mpr1は転写因子や膜タンパク質ではなく,ユニークな基質特異性を有する可溶性酵素であるため,ほかの酵母(33)33) O. P. Ishchuk, C. A. Abbas & A. A. Sibirny: J. Ind. Microbiol. Biotechnol., 37, 213 (2010).や微生物,高等生物の細胞内でも機能すると考えられる.MPR1とAZCを組み合わせることで,酵母や植物の形質転換系における新しい選択マーカーシステムとして利用できることも判明した(34~36)34) K. Ogawa-Mitsuhashi, K. Sagane, J. Kuromitsu, H. Takagi & K. Tsukahara: Yeast, 26, 587 (2009).35) X. H. Zhang, H. Takagi & J. M. Widholm: Plant Cell Rep., 22, 615 (2004).36) F. Y. Tsai, X. H. Zhang, A. Ulanov & J. M. Widholm: J. Exp. Bot., 61, 2571 (2010)..また,Mpr1の基質CHOPに関しても,独創的な試みを行っている.抗腫瘍剤や香粧品の原料として期待されているCHOPの安定性と溶解性を改善し,プロドラッグとしての有用性を評価する目的で,土壌細菌のL-プロリンcis-4-ヒドロキシラーゼとMpr1を大腸菌内で共過剰発現させ,培地に添加したプロリンからCHOPを経由して「N-アセチルCHOP」を生産させることに成功した(37)37) T. M. H. Bach, R. Hara, K. Kino, I. Ohtsu, N. Yoshida & H. Takagi: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 247 (2013)..さらに,酵母とヒトの遺伝子や生命現象には共通点が多いため,Mpr1はヒトにおける酸化ストレスと病気(炎症,動脈硬化,糖尿病,免疫疾患,がんなど)との関連性を調べる研究に貢献できるかもしれない.

筆者の一人(高木)とMpr1との出会いはまさに偶然であった.AZC耐性クローンの中からMPR1遺伝子を発見したとき,また酵母の細胞抽出液にAZCアセチル化活性を検出したときの興奮は今も鮮明に覚えている.最近では,プロリンからアルギニン,NOと新たな代謝系への関与と生理機能が明らかになるとともに,もう一人の筆者(那須野)の頑張りもあり,困難を極めた立体構造を決定することができ,「化学と生物」の醍醐味を味わっている.Mpr1は研究に大切な「オリジナリティー」と「セレンディピティ」を兼ね備えた酵素であり,今後も基礎科学・産業利用の両面での貢献を目指した研究を進めていきたい.

Acknowledgments

本研究は福井県立大学生物資源学部,奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科で行われたものであり,文献に記載した研究室の教員スタッフ,博士研究員,研究技術員,大学院生,学部生の皆様に深く感謝いたします.また,共同研究者として,Mpr1の立体構造解析でご指導いただいた福井県立大学生物資源学部の日竎隆雄教授・伊藤貴文助教,奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科の箱嶋敏雄教授・平野良憲助教,パン酵母の生地発酵試験を行っていただいた京都大学微生物科学寄附研究部門の島 純教授(現・龍谷大学法学部および農学研究所教授),N-アセチルCHOPを合成いただいた慶応大学先端生命科学研究所の松尾 剛特任講師,L-プロリンcis-4-ヒドロキシラーゼ遺伝子を分与いただいた早稲田大学先進理工学部の木野邦器教授にそれぞれ御礼申し上げます.本研究は,科学研究費補助金(基盤(C)12660084,基盤(B)15380076,基盤(B)18380062,基盤(B)22380061,基盤(A)25252065,挑戦的萌芽25660058),生物系特定産業技術研究支援センター「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」「イノベーション創出基礎的研究推進事業」,および長瀬科学技術振興財団,エリザベス・アーノルド富士財団などの助成を受けましたことを記して深謝いたします.

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