解説

酵母の複合型糖鎖加水分解酵素の産業応用へ向けて

Properties of Yeast Endo-β-N-acetylglucosaminidase and Its Application

千葉 靖典

Yasunori Chiba

独立行政法人産業技術総合研究所糖鎖創薬技術研究センター ◇ 〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1

Glycomedicine Technology Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) ◇ 1-1-1 Umezono, Tsukuba-shi, Ibaraki 305-8568, Japan

Published: 2015-03-20

抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品の開発は年々加速しており,それに伴いタンパク質の翻訳後修飾をどのように制御していくかが一つの課題となっている.特に糖鎖修飾はその薬効や安全性に影響するため,医薬品として適した糖鎖構造の解明が急がれている.そのためには均一な糖鎖構造を有するタンパク質の生産技術と評価技術が必要となる.しかし細胞を用いて均一な糖タンパク質評品を生産することは現段階では困難であるため,糖鎖加水分解酵素の糖転移反応を用いて生産することが検討されている.われわれが単離した酵母由来の糖鎖加水分解酵素は,二分岐複合型糖鎖を切断する活性を有しており,糖鎖の改変(リモデリング)に有効であると考えられた.

はじめに

糖タンパク質は酵母などの微生物からヒトまで真核生物に見られるほか,近年ではいくつかの細菌でも報告されている.その糖鎖の機能はタンパク質の物性や安定性,生体内でのプロテアーゼ耐性などに影響するだけでなく,高次構造形成のための折り畳みにも必要である.またタンパク質間の相互作用の制御や,細胞表面の糖鎖認識タンパク質(レクチン)と結合し,細胞間のシグナル伝達などを起こすことも知られている.

抗体やホルモン,サイトカインなど,ヒト体内で合成され生理機能を有するタンパク質は医薬品として利用されており,現在「生物製剤」や「バイオ医薬品」という名で呼ばれている.その多くには糖鎖が付加しており,体内での薬効や安定性,体内動態に糖鎖構造が影響することがあるため,これらの糖鎖構造を制御する技術が求められている.本解説では,糖タンパク質のN-型糖鎖を切断する酵素,エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase)について概説する.特にわれわれがクローニングした酵母由来のENGaseの特性を紹介するとともに,ENGaseの産業利用を目指した研究開発についても考察する.

ENGaseとは

ENGaseはアスパラギン結合(N-)型糖鎖の還元末端に存在するキトビオースの間を切断する酵素である.微生物からヒトまでさまざまな生物に見いだされるこの酵素は,その配列からグリコシルハイドロラーゼ(GH)ファミリーのうちGH18とGH85に分類されている.これまでにArthrobacter protophormiae由来のEndo-A(1)1) K. Takegawa, S. Yamaguchi, A. Kondo, H. Iwamoto, M. Nakoshi, I. Kato & S. Iwahara: Biochem. Int., 24, 849 (1991).Streptococcus pneumoniae由来のEndo-D(2)2) N. Koide & T. Muramatsu: J. Biol. Chem., 249, 4897 (1974).,Flavobacterium meningosepticum由来のEndo-F(3)3) J. H. Elder & S. Alexander: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 4540 (1982).Streptomyces plicatus由来のEndo-H(4)4) P. W. Robbins, R. B. Trimble, D. F. Wirth, C. Hering, F. Maley, G. F. Maley, R. Das, B. W. Gibson, N. Royal & K. Biemann: J. Biol. Chem., 259, 7577 (1984).,イネ由来のEndo-Os(5)5) M. Maeda & Y. Kimura: Glycoconj. J., 22, 310 (2005).,毛カビMucor hiemalis由来のEndo-M(6)6) K. Fujita, K. Kobayashi, A. Iwamatsu, M. Takeuchi, H. Kumagai & K. Yamamoto: Arch. Biochem. Biophys., 432, 41 (2004).,担子菌由来のEndo-FV(7)7) T. Hamaguchi, T. Ito, Y. Inoue, T. Limpaseni, P. Pongsawasdi & K. Ito: Glycobiology, 20, 420 (2010).など,数多く報告されている.また哺乳類の細胞中のENGaseについても精力的に研究が進められている.新生タンパク質は小胞体内で糖鎖修飾を受け,その後正しい構造に折り畳まれる(フォールディング)が,正しくフォールディングされなかった糖タンパク質は,小胞体から細胞質に輸送され,プロテアソームで分解を受ける.この分解系は小胞体関連分解(ERAD)と呼ばれるが,ENGaseはペプチド:N-グリカナーゼ(PNGase)と協同して,分解されるべきタンパク質から糖鎖を切断・分解することで,ERADにおいて重要な生理的機能を示すことが示唆されている(8)8) T. Suzuki & Y. Funakoshi: Glycoconj. J., 23, 291 (2006)..さらに糸状菌Tricoderma atrovirideにおいてはENGaseがERADに関与している可能性を示唆する論文もある(9)9) G. Tzelepis, A. Hosomi, T. J. Hossain, H. Hirayama, M. Dubey, D. F. Jensen, T. Suzuki & M. Karlsson: Biochem. Biophys. Res. Commun., 449, 256 (2014)..しかしながら他の微生物由来のENGaseについては,ほかの糖質関連酵素と協同して外部の糖鎖を切断し,炭素源として取り込んで利用することが予想されるものの,その生理的な機能は依然不明な点が多い.

一方,ENGaseの中にはキトビオースの間を切断する分解活性のほか,糖鎖を転移するトランスグリコシレーション活性を示すものがある.これは糖タンパク質のN-結合型糖鎖に作用して糖鎖を切り出し,その糖鎖をアクセプターである糖質や複合糖質に転移する反応である(図1図1■ENGaseの加水分解反応とトランスグリコシレーション反応).この反応を利用することで,目的の糖鎖構造に置換することができるため,ENGaseは複合糖質糖鎖の修飾,非天然のネオグライコプロテインの調製,糖タンパク質の糖鎖部分の均一化等に有用な酵素であると言える.

図1■ENGaseの加水分解反応とトランスグリコシレーション反応

主要な生理活性を示す糖タンパク質が有するN-型糖鎖は,その構造から大きく高マンノース型,混成型および複合型に大別される.ENGaseは全般的に高マンノース型糖鎖によく反応するが,複合型糖鎖を切断する活性を示すENGaseは,Endo-M(6)6) K. Fujita, K. Kobayashi, A. Iwamatsu, M. Takeuchi, H. Kumagai & K. Yamamoto: Arch. Biochem. Biophys., 432, 41 (2004).,Endo-S(10)10) M. Collin & A. Olsén: EMBO J., 20, 3046 (2001).,Endo-F2(11)11) A. L. Tarentino, G. Quinones, L. M. Changchien & T. H. Plummer, Jr.: J. Biol. Chem., 268, 9702 (1993).,Endo-F3(11)11) A. L. Tarentino, G. Quinones, L. M. Changchien & T. H. Plummer, Jr.: J. Biol. Chem., 268, 9702 (1993).などに限られている.

Endo-Mはその諸性質が詳しく調べられており,その基質特異性は高マンノース型のMan8GlcNAc2に対する活性を100%とした際に,複合型2分岐糖鎖に対して4.4%の切断活性を示す(6)6) K. Fujita, K. Kobayashi, A. Iwamatsu, M. Takeuchi, H. Kumagai & K. Yamamoto: Arch. Biochem. Biophys., 432, 41 (2004)..一方,PA糖鎖を利用した酵素活性測定においては,アシアロ3分岐,アシアロ4分岐に対する活性は検出されていない.またコアフコースが付加した2分岐PA化糖鎖も切断できない.Endo-SやEndo-F3はコアフコースが付加した糖鎖を切断することが示されている(10,11)10) M. Collin & A. Olsén: EMBO J., 20, 3046 (2001).11) A. L. Tarentino, G. Quinones, L. M. Changchien & T. H. Plummer, Jr.: J. Biol. Chem., 268, 9702 (1993).

酵母由来のENGase

前述のとおり,ENGaseは微生物から哺乳類までさまざまな生物に存在するが,酵母ではその活性が確認されていなかった.最もよく知られた出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeにはPNGaseが存在するものの,ENGaseのオルソログ遺伝子は確認されない.また分裂酵母Schizosaccharomyces pombe,タンパク質生産などで使われるメタノール資化性酵母Pichia pastorisなどでも相同性の高い遺伝子は見られなかった.

われわれは,酵母を用いてヒト型糖鎖を有する糖タンパク質を生産するため,いくつかの酵母などの遺伝子改変を行い,ヒト型糖鎖を有するさまざまな糖タンパク質の生産を試みてきた(12~14)12) Y. Chiba, M. Suzuki, S. Yoshida, A. Yoshida, H. Ikenaga, M. Takeuchi, Y. Jigami & E. Ichishima: J. Biol. Chem., 273, 26298 (1998).13) K. Amano, Y. Chiba, Y. Kasahara, Y. Kato, M. K. Kaneko, A. Kuno, H. Ito, K. K. Kobayashi, J. Hirabayashi, Y. Jigami et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 3232 (2008).14) H. Akeboshi, Y. Kasahara, D. Tsuji, K. Itoh, H. Sakuraba, Y. Chiba & Y. Jigami: Glycobiology, 19, 1002 (2009)..その際に用いていたのがメタノール資化性酵母Ogataea minuta株である(14,15)14) H. Akeboshi, Y. Kasahara, D. Tsuji, K. Itoh, H. Sakuraba, Y. Chiba & Y. Jigami: Glycobiology, 19, 1002 (2009).15) K. Kuroda, K. Kobayashi, Y. Kitagawa, T. Nakagawa, H. Tsumura, T. Komeda, D. Shinmi, E. Mori, K. Motoki, K. Fuju et al.: Appl. Environ. Microbiol., 74, 446 (2008)..このO. minuta株はメタノールを唯一の炭素源として生育が可能な酵母であり,P. pastorisと同様にアルコールオキシダーゼのプロモータを利用してタンパク質生産をすることができる.われわれがこの酵母株を用いてヒト糖転移酵素の発現を行っていた際に,基質として用いていた二分岐複合型糖鎖(GlcNAc2Man3GlcNAc2-Asn-Fmoc; 以下NGA2-Asn-Fmocと省略)が一部切断される現象が見いだされた.切断された基質を確認すると,還元末端側のキトビオース間が切断を受け,GlcNAc-Asn-Fmocが遊離していた.このことから,O. minutaの菌体内には複合型糖鎖を分解するENGase活性が存在していることが示唆されたため,同じように複合型糖鎖を切断する活性を有するEndo-Mの遺伝子配列を参考にしてクローニングを試みた.その結果,O. minuta NBRC10746株からENGase遺伝子を単離し,オープンリーディングフレームが2,319 bpからなる塩基配列を決定した.推定される分子量は87 kDaであり,この酵素をEndo-Omと命名した(16)16) S. Murakami, Y. Takaoka, H. Ashida, K. Yamamoto, H. Narimatsu & Y. Chiba: Glycobiology, 23, 736 (2013).

Endo-Omは,従来知られているENGaseのどの配列とも相同性は低く,Endo-Mともアミノ酸レベルで33.9%の同一性であった.相同性検索の結果,N末端側領域にほかのENGaseと相同性の高い領域が存在するものの,C末端側の配列には相同性の高い配列は見られず,また特徴的なモチーフも確認されなかった.Endo-Mをはじめとする多くのENGaseとの相同性より,Endo-OmのN末端側領域に存在するGlu196,Asn194,Tyr231などが触媒に関与していると考えられた.

さらに検索を続けると,いくつかの酵母(Candida parapolymorphaPichia anomalaZygosaccharomyces rouxii)に相同性の高い遺伝子が確認されたため,これらの酵母を取り寄せ,O. minutaとともに細胞抽出液の活性測定を行った.その結果,上記4種の酵母では複合型糖鎖を分解する活性が確認できたが,S. cerevisiaeP. pastorisでは活性が確認できなかった.なぜ特定の酵母だけがなぜこのENGase活性を保持するのかはいまだ不明である.特にメタノール資化性酵母で比較的類縁と考えられるP. pastorisにはENGaseが存在せず,O. minutaC. parapolymorphaに存在することは非常に興味深い.われわれはこれらの酵母のENGaseの遺伝子のクローニングも行い,それぞれの組換え酵素を酵母と大腸菌で発現し,その諸性質の解明を行った.それぞれの酵素は菌名の頭文字をとってEndo-Cp,Endo-Pa,Endo-Zrと命名した(16)16) S. Murakami, Y. Takaoka, H. Ashida, K. Yamamoto, H. Narimatsu & Y. Chiba: Glycobiology, 23, 736 (2013)..これらの酵素の活性中心と考えられるN末端側は比較的保存されており,またEndo-Mにおいて活性に重要とされているアミノ酸残基も保存されていた(図2図2■酵母由来ENGaseの活性中心近傍のアミノ酸配列比較).酵母由来のENGaseの特徴と諸性質を表1表1■酵母由来ENGaseの諸性質にまとめた.

図2■酵母由来ENGaseの活性中心近傍のアミノ酸配列比較

網掛はEndo-Mで活性に特に重要と報告されているアミノ酸残基を示している.

表1■酵母由来ENGaseの諸性質
EnzymeEndo-OmEndo-CpEndo-PaEndo-Zr
StrainOgataea minutaCandida parapolymorphaPichia anomalaZygosaccharomyces rouxii
ORF2,319 bp2,238 bp1,971 bp1,920 bp
アミノ酸配列772 AA745 AA656 AA639 AA
Accession no.AB762085EFW94296CAC69142XP_002495262
Endo-Omとの相同性53.9%42.5%30.6%
推定分子量87,39886,50076,05073,105
推定pI5.595.616.066.69
至適温度50°C60°C40°C40°C
至適pH5.55.55.0–5.54.5–5.0
加水分解反応の基質特異性High-mannose-type: +++High-mannose-type: ++++High-mannose-type: ++High-mannose-type: +++
Hybrid-type: +Hybrid-type: +Hybrid-type: +Hybrid-type: +
Complex-type: +Complex-type: +Complex-type: +Complex-type: +
2価イオンの影響Fe2+, Cu2+, Zn2+で阻害Cu2+で阻害Fe2+, Ni2+, Cu2+, Zn2+で阻害Fe2+, Ni2+, Cu2+, Zn2+で阻害
トランスグリコシレーション活性ありありありND

Endo-Omの諸性質の解明

まずEndo-Omの遺伝子(OmENG1)の破壊株(Δeng1)を構築した.親株と比較してこの破壊株は生育に影響が見られず,また薬剤耐性や温度感受性でも表現型を示さなかった.一方で,グルコースやメタノールを炭素源とした培地でもOmENG1遺伝子は転写されており,また酵素活性も確認されていることから,この酵素は通常の条件ではO. minutaの生育や増殖に必須ではないことが示唆された.O. minutaにおけるENGaseの生理的意義についてはさらに詳細な検討が必要であり,現在解析を進めている.

さて,取得したOmENG1遺伝子をアルコールオキシダーゼプロモータの下流に接続し,このプラスミドを用いてO. minuta Δeng1株を形質転換した.グリセロールを炭素源とする培地で培養後,メタノールを炭素源とした培地に切り替えて誘導培養を行い,菌体抽出液からN末端に付加したタグを利用してEndo-Omの精製を行った.得られた酵素を用いて,Endo-Omの諸性質を検討したところ,N-型糖鎖に対してエンド型で作用することが確認された.至適温度は50°C,至適はpH 5.5であり,0.5 M NaCl存在下では安定であるが,Endo-Omを低塩濃度の緩衝液で透析などを行うと白濁し沈殿してしまうという現象が観察された.このことから,Endo-Omを利用して低塩濃度化での酵素反応を行う場合や,結晶構造解析の条件検討を行う際に問題が起きる可能性が考えられた.

前述のとおり,われわれはEndo-Omを含め酵母由来のENGase遺伝子をクローニングし,その解析を行っている.その中で,Endo-Cpの比活性はEndo-Omに比較して1/4程度と低いものの,至適温度はEndo-Omより10°C高く,また低塩濃度でも凝集沈殿が起きないことを見いだした.ENGaseのファミリーはN末端側領域に触媒残基などを含む相同領域をもつことから,相同性がほとんどないC末端側の領域は酵素の安定性に関与していると考えた.そこで,N末端側をEndo-Omの配列,C末端側をEndo-Cpの配列としたキメラ酵素を作製したところ,二分岐複合型糖鎖分解活性を保持した酵素活性が確認された.現在このキメラ酵素の諸性質の検討を進めており,より安定化されたENGaseとして利用できるのではないかと考えている.

次に糖鎖構造について基質特異性の解析を行った(16)16) S. Murakami, Y. Takaoka, H. Ashida, K. Yamamoto, H. Narimatsu & Y. Chiba: Glycobiology, 23, 736 (2013)..基質特異性については,市販のピリジルアミノ(PA)化糖鎖を利用し,さまざまな糖鎖構造を切断させることで基質認識機構を考察した(表2表2■Endo-Omの基質特異性のまとめ).PA-trimannosyl core(M3B)を切断する活性を100%とした際に,M5A以外の高マンノース型糖鎖には100%以上の切断活性を示す一方,混成型には10%程度,二分岐複合型の糖鎖については3〜37%の活性を示した.還元末端のGlcNAcにα-1,6結合でフコースが結合した二分岐複合型糖鎖やバイセクティングGlcNAcを有する二分岐複合型糖鎖,四分岐複合型糖鎖には活性を示さなかった.興味深いことに,α-1,3結合したマンノース側が分岐した三分岐複合型糖鎖には酵素活性を示さないものの,α-1,6結合したマンノース側が分岐した三分岐複合型糖鎖には二分岐複合型糖鎖と同等の活性を示した.これらの結果から考察すると,Endo-Omの基質認識はα-1,3で分岐したマンノース側の糖鎖構造に依存しており,α-1,6分岐側の構造にはさほど影響を受けないことが示唆される.また二分岐複合型糖鎖に対する活性を比較すると,ガラクトース,シアル酸が付加されていくにつれその活性が低下する.おそらくα-1,3で分岐したマンノース側の糖鎖を認識する領域のポケットが小さいためではないかと推察される.現在,Endo-Omの立体構造解析を検討しており,今後高次構造が明らかになり,基質の認識機構が解明されれば,構造改変により基質特異性を変化させることができるかもしれない.

表2■Endo-Omの基質特異性のまとめ

ところで,前述のとおり,この酵素はFmoc化アガラクト二分岐複合型糖鎖(NGA2-Asn-Fmoc)を切断可能なことがわかっている.この基質と糖鎖構造部分が同一なPA化基質(GlcNAc2Man3GlcNAc2-PA)を比較したところ,PA化基質に対する活性は1/100程度であった.PA化糖鎖は還元末端側のGlcNAcが還元アミノ化され開環していることから,Endo-Omは基質となるN-結合型糖鎖の還元末端側GlcNAcの環状構造を認識している可能性が示唆された.

実際にEndo-Omは糖タンパク質糖鎖を切断することは可能なのだろうか? われわれは高マンノース型糖鎖を有するリボヌクレアーゼ(RNase)Bと複合型糖鎖を有するトランスフェリンに対してEndo-Omを作用させ,SDS-PAGEでの移動度の差で糖鎖の切断を確認した(図3図3■変性/非変性タンパク質の糖鎖に対するEndo-Omの加水分解活性).RNaseBについては,熱変性の有無にかかわらず糖鎖が切断された.一方トランスフェリンの場合,非変性条件では半分程度しか糖鎖が切断されず,変性条件下では若干の切れ残りは見られるものの,ほとんどのトランスフェリンの糖鎖が切断されていた.また反応時にシアリダーゼを共存させることにより,非変性条件下でも変性条件時と同じ程度まで切断されていた.トランスフェリンには,シアル酸が付加した二分岐複合型糖鎖と三分岐複合型糖鎖が85 : 15の割合で存在するという報告がある.今回使用したトランスフェリンの糖鎖が同様と考えると,高マンノース型糖鎖や比較的短い複合型糖鎖を好むEndo-Omの基質特異性を反映した結果と考えられる.また一部の切れ残りは三分岐複合型が付加したトランスフェリンではないかと考えている.

図3■変性/非変性タンパク質の糖鎖に対するEndo-Omの加水分解活性

それぞれのタンパク質はそのまま(Non-denaturing)および熱変性(Denaturing)し,酵素反応を行い,その移動度の変化をSDS-PAGEで確認した.

また抗体についてもその糖鎖が切断できるかどうかを検討した.最後の章で述べるO. minutaの糖鎖欠損株で発現した組換えヒト化抗体に対してEndo-Omをin vitroで作用させたところ,糖鎖が切断されることを確認した.一方,CHO細胞由来の組換えヒト化抗体についてはその糖鎖は切断できなかった.酵母由来の抗体は高マンノース型であるのに対し,CHO細胞由来の抗体はコアフコースを有する二分岐複合型糖鎖であるため,Endo-Omでは切断できなかったものと考えられた.コアフコースを欠損した抗体はその抗体依存性細胞障害(ADCC)活性が向上することが知られており,コアフコースを合成する遺伝子(FUT8)を欠損したCHO細胞による抗体生産が進められている(17)17) N. Yamane-Ohnuki, S. Kinoshita, M. Inoue-Urakubo, M. Kusunoki, S. Iida, R. Nakano, M. Wakitani, R. Niwa, M. Sakurada, K. Uchida et al.: Biotechnol. Bioeng., 87, 614 (2004)..このような抗体に対してEndo-Omがどのように作用するのか興味深い.いずれにしても,糖鎖構造によって反応性は変化するものの,Endo-Omは糖タンパク質にも作用し,糖鎖を切断できることが確認された.これは後述する糖ペプチドや糖タンパク質の糖鎖を改変する際に重要な意義をもつことになる.

トランスグリコシレーションによる糖鎖転移

多くの糖質分解酵素において,基質のグリコシド結合を分解して糖が遊離する加水分解活性のほかに,遊離した糖を適当な水酸基をもつ化合物に転移する糖転移(トランスグリコシレーション)活性が存在することが知られている.トランスグリコシレーションは糖鎖切断反応の特殊な例と考えられる.すなわち,グリコシド結合が切断された後,水分子をアクセプターとするのが加水分解反応,水分子の代わりに化合物の水酸基がアクセプターとなるのがトランスグリコシレーション反応である.基質の非還元末端側から糖を一つずつ遊離するエキソ型のグリコシダーゼのトランスグリコシレーション反応はよく知られており,糖鎖や配糖体などの合成に利用されている.一方,ENGaseのようなエンド型のトランスグリコシレーション反応については近年さまざまな研究が進められ,同様にトランスグリコシレーション反応が進行することが確認されている.

われわれはEndo-Omにおいてもトランスグリコシレーション反応が起こることを見いだした(16)16) S. Murakami, Y. Takaoka, H. Ashida, K. Yamamoto, H. Narimatsu & Y. Chiba: Glycobiology, 23, 736 (2013)..二分岐複合型糖鎖(NGA2-Asn-Fmoc)を基質としてEndo-Omを作用させると,アクセプターを加えない場合には加水分解物が確認される.一方アクセプターとして大過剰のp-ニトロフェニル-β-グルコシド(pNP-Glc)を反応系に加えると,加水分解物以外に新たな産物が確認された(図4図4■酵母由来ENGaseのトランスグリコシレーション活性の検出).これを分取し,質量分析計で確認したところ,切断された複合型糖鎖がpNP-Glcに転移した分子量に相当するシグナルが確認された.同様にほかの酵母由来のENGaseでも検討を行ったところ,Endo-Cp,Endo-Paは転移物が確認されたが,Endo-Zrでは確認できなかった.Endo-ZrはもともとENGaseとしての比活性が低いことから,その反応性の低さから転移物が確認できなかったと考えている.

図4■酵母由来ENGaseのトランスグリコシレーション活性の検出

(上)pNP-グルコースをアクセプターとして添加すると,グルコースに糖鎖が転移される.(下)4.3分付近に新たなピークが観察された.質量分析の結果より予想どおりのトランスグリコシレーション産物であることが確認された.

トランスグリコシレーション反応を利用した糖鎖改変

糖鎖は「細胞の顔」とも言われ,細胞の状態を反映してその糖鎖構造が変化することが知られており,細胞間の相互作用やシグナル伝達にも関与することがある.糖鎖はまたタンパク質の洋服のようなものとも言える.人間の場合に置き換えると,寒いときには厚手のコートを羽織るようにすれば寒さから身を守ることができる.また人ごみの中で待ち合わせる際には,できるだけわかりやすい目立つ洋服を着ることも必要となる.タンパク質に話を戻すと,糖鎖はタンパク質の親水性を向上させる役割や,また血中での安定性やプロテアーゼ耐性を増加させ,外界のストレスから身を守るための機能を有する.またある種の糖タンパク質糖鎖は,その特徴的な構造を利用することで体内にあるその糖鎖レセプターやレクチンと結合し,タンパク質の生体内での代謝や輸送,細胞内への取り込みに関与することが知られている.この機能をうまく活用することで,特定の糖鎖を付加したタンパク質を効率よく標的臓器や細胞に送達させることができるようになる.現在利用されているバイオ医薬品においてもその糖鎖機能は重要であるため,糖鎖構造を制御する技術が産業界から求められている.

ENGaseはトランスグリコシレーション活性を有するため,そのN-型糖鎖付与技術に近年期待が高まっている.たとえば,生理活性ペプチドに糖鎖を付加させることで血中安定性を向上させるといった研究が報告されている(18)18) K. Haneda, M. Tagashira, E. Yoshino, M. Takeuchi, T. Inazu, K. Toma, H. Iijima, Y. Isogai, M. Hori, S. Takamatsu et al.: Glycoconj. J., 21, 377 (2004)..また糖タンパク質の糖鎖の付け替えも期待されている.前述のADCC活性のように,抗体医薬品においてはその糖鎖構造が生体内での活性に影響することが知られている.糖鎖改変によりその機能を向上させることができれば,より有用な抗体医薬品の開発につながると考えられる.そして実際に,抗体に対してENGaseを作用させトランスグリコシレーション反応により均一化された糖鎖を有する抗体を作製した例などが近年報告されている(19)19) W. Huang, J. Giddens, S. Q. Fan, C. Toonstra & L. X. Wang: J. Am. Chem. Soc., 134, 12308 (2012)..またENGaseを動物細胞内に発現させ,その糖鎖構造を三糖までの短いN-型糖鎖に改変した例も報告されている(20)20) L. Meuris, F. Santens, G. Elson, N. Festjens, M. Boone, A. Dos Santos, S. Devos, F. Rousseau, E. Plets, E. Houthuys et al.: Nat. Biotechnol., 32, 485 (2014).

トランスグリコシレーションを効率よく行うためには,加水分解活性が抑制されたENGaseが必要となる.Endo-Mにおいてはその触媒機構としてsubstrate-assisted catalysisが推察されている(21)21) M. Umekawa, W. Huang, B. Li, K. Fujita, H. Ashida, L. X. Wang & K. Yamamoto: J. Biol. Chem., 283, 4469 (2008)..これは基質となるN-型糖鎖の還元末端側から数えて2つ目のGlcNAcの2-アセトアミド基が求核基となって反応が進むというものである.そしてこのオキサゾリン環の形成に関与すると考えられるEndo-MのAsn175をAlaやGlnに置換することで,その加水分解活性が抑制されることが報告されている(21)21) M. Umekawa, W. Huang, B. Li, K. Fujita, H. Ashida, L. X. Wang & K. Yamamoto: J. Biol. Chem., 283, 4469 (2008)..この酵素を含め,トランスグリコシレーションを行うために改変された酵素は「グライコシンターゼ」と呼ばれており,またEndo-Mのグライコシンターゼはすでに販売されている.この酵素とドナーとなるオキサゾリン化された糖鎖,ならびにアクセプター分子を混合することで,トランスグリコシレーション反応が効率よく進むことがわかっている.オキサゾリン化糖鎖の合成も水溶液中で簡便にできるような技術が開発されており(22)22) M. Noguchi, T. Tanaka, H. Gyakushi, A. Kobayashi & S. Shoda: J. Org. Chem., 74, 2210 (2009).,これらの技術を組み合わせることでトランスグリコシレーション反応の効率が大幅に向上するようになった.

糖鎖を転移するためにはドナーとなるオキサゾリン化糖鎖の大量調製が必要となる.NGA2-Asn-Fmoc糖鎖については,切断後にイオン交換カラムを用いることで糖鎖部分の回収を容易にした.還元末端側をオキサゾリン化する反応については,前述のとおり優れた方法が開発されているのでそれを活用した.その後のオキサゾリン化糖鎖の精製は通常ゲルろ過が利用されているが,ゲルろ過は大量調製には不適なため,活性炭カラムを利用したオキサゾリン化試薬の除去とオキサゾリン化糖鎖の精製法を構築した.

Endo-Omの場合,Endo-MのAsn175に相当する残基はAsn194であり,これをGlnに置換したN194Q変異酵素を作製し,発現を行った.オキサゾリン化された二分岐複合型を調製,これをドナーとし,9残基からなるGlcNAc付加ペプチドをアクセプターとしてトランスグリコシレーション反応を行ったところ,効率よく反応が進むことが確認された(図5図5■Endo-Om N194Qのトランスグリコシレーション反応).Endo-Omの二分岐複合型糖鎖NGA2-Asn-Fmocに対するKm値,kcat値は,それぞれ5.5 mM,5.9 s−1程度と高いことがわかっている.このことから,Endo-Omのトランスグリコシレーション反応では基質濃度を高くすることで反応効率を上げることができると考えられた.実際に図5図5■Endo-Om N194Qのトランスグリコシレーション反応に示したとおり,ドナーとアクセプターの濃度を上げることにより生成する糖ペプチドの量を向上させることができた.Asn194はEndo-Mと同様,糖鎖の活性化に重要な残基であり,またこの置換体N194Qはトランスグリコシレーションに有効であることが確認された.

図5■Endo-Om N194Qのトランスグリコシレーション反応

50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6),0.05% Triton X-100中で,ペプチド(9アミノ酸)+GlcNAcとオキサゾリン化2分岐複合型糖鎖を混合し,ビーズに固定化した酵素(Endo-Om N194Q)を添加.30°C,30分〜3時間反応で反応を行った.

さらに,糖タンパク質の糖鎖改変についても検討を進めている.抗体のFc領域をモデルとし,その配列をコードする遺伝子をO. minutaを利用して発現した.野生型のO. minutaを用いて発現した抗体のFc領域の糖鎖切断を試みたが,その糖鎖は切断できなかった.これはO. minutaの糖鎖に酵母特有の糖鎖修飾が起こるためであり,その糖鎖合成の鍵となるα-1,6マンノース転移酵素遺伝子(OCH1)を破壊した株で発現した抗体Fc領域については,Endo-OmやEndo-Mでの糖鎖の切断が確認された(図6図6■O. minuta野生型(WT)およびΔoch1株で生産したFc領域のN-glycanの加水分解).現在のところFc領域に糖鎖が転移されることを確認されており,さらに効率よく転移する条件を検討している.

図6■O. minuta野生型(WT)およびΔoch1株で生産したFc領域のN-glycanの加水分解

(左)O. minutaのα-1,6マンノース転移酵素(OCH1)遺伝子を破壊することで,トリマンノシルコアのα-1,3結合マンノースの分岐構造が欠失する.(右)分岐構造が欠失することにより,Endo-OmやEndo-MなどのENGaseが糖鎖を切断できるようになった.

これらの分子については,糖タンパク質バイオ医薬品の開発に向けてその糖鎖構造との機能相関を検討するためのツールとして利用可能である.また質量分析や高速液体クロマトグラフィー,キャピラリー電気泳動での分析などにおいて,分析結果の再現性や定量性を担保するための校正用キャリブレーターとして利用したいと考えている.

おわりに

バイオ医薬品は1970年代から開発が進み,CHO細胞による組換え体の生産技術が確立して,抗体医薬品の製造などが行われている.さらにバイオ医薬品製造のための宿主として,糖鎖改変細胞(酵母,昆虫細胞,植物細胞など)やトランスジェニック生物(カイコ,植物,動物など)の開発も行われてきた.そして現在は,バイオ医薬品の製造において糖鎖構造をコントロールするための技術開発が進められている.その一つとして,ENGaseを活用した均一な糖タンパク質を作製する技術開発が期待されているわけである.ENGaseを用いたトランスグリコシレーションは基礎研究の段階から実用化の段階へ進みつつあるが,まだまだ課題も多い.まず,実用化のためには材料となる糖鎖,タンパク質,そしてENGaseやグライコシンターゼを安価に大量調製することが重要である.糖鎖については天然物からの抽出と精製のほか,化学的に糖鎖を全合成する技術開発も進められている.アクセプターとなるペプチドについては,化学法によるGlcNAc付加ペプチドの効率的な合成法の開発が行われており,われわれの研究グループでも46アミノ酸からなる糖ペプチドの合成に成功している(未公開データ).またわれわれはタンパク質を大量に生産可能なO. minuta株を有しており,アクセプタータンパク質の発現が可能である.Endo-OmについてはO. minutaのほか,大腸菌での発現も検討しており,今後はさらにより大量かつ安価に生産できるよう培養条件や精製法を検討する予定である.またトランスグリコシレーション反応を効率よく行うための条件検討や,ラージスケールでの反応に対応した酵素反応系を構築することも重要であると考えている.

Acknowledgments

本研究を推進するにあたり,ご指導いただきました石川県立大学・山本憲二教授,近畿大学・芦田 久教授,ならびに共同研究でご指導いただきました企業の皆様に感謝申し上げます.本研究は産業技術総合研究所で行われたものであり,研究室のメンバー,ならびにご指導いただきました(故)地神芳文先生,成松 久先生に御礼申し上げます.また本研究の一部は,科学技術振興機構・研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)により実施されました.

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