バイオサイエンススコープ

国際的に認知される日本の国菌

Eiji Ichishima

一島 英治

Published: 2015-03-20

日本の国菌

「和食,日本人の伝統的な食文化」は2013年12月4日ユネスコ(国連教育科学文化機関)の第8回政府間委員会で「無形文化遺産に登録」されることが決まった.この背景には,長年の日本人の平均寿命(2012年は84歳.内訳,女性は87.0歳[世界第1位],男性は80.0歳[世界第8位](2014年の世界保健統計による))ならびに健康寿命の世界首位の実績が注目されていることであろう.

日本を代表する生物をみる.国花はサクラ(桜,櫻)(「古来,花王と称せられ,日本の「国花」とし,古くは「花」といえば,桜を指している」(『広辞苑』)),「国鳥」はキジ(雉,雉子)(1947年日本鳥類学会により選定),「名産魚」はアユ(鮎,香魚,年魚),「国蝶」はオオムラサキ(1957年日本昆虫学会指定),そして微生物の「国菌」(1~4)1) 一島英治:学士会会報,836, 135 (2002).2) 一島英治:日本醸造協会誌,99, 83 (2004).3) 一島英治:“麴”,法政大学出版局 (2007).4) E. Ichishima: “Unique Enzymes of Aspergillus Fungi Used in Japanese Bioindustries,” Nova Science Publishers, Inc., 2012.はコウジカビ(別名,コウジキン=麴菌))(2006年日本醸造学会認定(5)5) 日本醸造協会:http://www.jozo.or.jp/koujikinnituite2.pdf)である.

コウジカビの学名はAspergillus oryzaeである.コウジカビは不完全世代のみで存在し,有性生殖をしないことから,不完全菌類に分類されていたのだが,系統的には子嚢菌の一群に属す.2005年,日本の多くの研究者の協力によりゲノム情報の解析(6)6) M. Machida, K. Asai, M. Sano, T. Tanaka, T. Kumagai, G. Terai, K. Kusumoto, T. Arima, O. Akita, Y. Kashiwagi, K. Abe, K. Gomi, H. Horiuchi, K. Kitamoto, T. Kobayashi, M. Takeuchi et al.: Nature, 438, 1157 (2005).が完了した.

真核細胞で真菌類のコウジカビの生物学的な魅力は,強固な生体防御機構を備える分生子と旺盛な繁殖力をほこる菌糸,そして水分環境の変化により起こす「分化」の形態変化にある.先端成長により伸ばす菌糸は重力を感知し,匍匐して菌糸を伸ばす基底菌糸と気中に垂直に伸びる柄足細胞の気中菌糸の2形態がある.気中菌糸は先端に膨らんだ大きな頂嚢とその表面に徳利状のフィアライドを形成し,その先端に数珠状の分生子を着生する.コウジカビの細胞は多核細胞が特色である.

和食とコウジカビ

和食つくりに必須な下記の発酵食品の製造はいずれも「麴つくり」から始まる.コウジカビは和名で,このうちキコウジカビは日本酒(清酒),味醂,甘酒,醬油,味噌,食酢などの製造に用いられるAspergillus oryzaeと,醬油,味噌などの製造に用いられるAspergillus sojaeがある.前者は,デンプンの分解に優れている.後者は,タンパク質ならびにヘミセルロースの分解に優れている.

クロコウジカビ(別名,クロコウジキン=黒麴菌)については,1901年,乾環により泡盛麴から分離され,東京化学会に報告されたAspergillus luchuensisが嚆矢である.これらの遺伝子DNA解析の結果から,2013年にプライオリテイに基づき「Aspergillus luchuensis」は国際的に認められた(7)7) S.-B. Hong, M. Lee, D.-H. Kim, J. Varga, J. C. Frisvad, G. Perrone, K. Gomi, O. Yamada, M. Machida, J. Houbraken & R. A. Samson: PLoS ONE, 8, e63769 (2013)..クロコウジカビを用いた特産品には蒸留酒があり,青木淳一の『博物学の時間』(8)8) 青木淳一:“博物学の時間 大自然に学ぶサイエンス”,東京大学出版会,2013.によると,奄美大島以南は植物の旧熱帯区で,鹿児島県に属す奄美大島までは焼酎,それより南の沖縄県では泡盛となる.

コウジカビAspergillus oryzaeならびに醬油コウジカビAspergillus sojaeは,強い発がん性化合物アフラトキシンの生産用培地で培養してもアフラトキシンは検出されない(9)9) H. Murakami, S. Takase & T. Ishii: J. Gen. Appl. Microbiol., 13, 323 (1967)..また,遺伝子レベルにおける解析の結果からも,アフラトキシン生合成系は欠失していることが明白になっている(10,11)10) M. Tominaga, Y. H. Lee, R. Hayashi, Y. Suzuki, O. Yamada, K. Sakamoto, K. Gotoh & O. Akita: Appl. Environ. Microbiol., 72, 484 (2006).11) H. Matsushima, P. K. Chang, J. Yu, K. Abe, D. Bhatnagar & T. E. Cleveland: Appl. Microbiol. Biotechnol., 55, 585 (2001)..コウジカビならびに醬油コウジカビの安全性は確認されている.

わが国の酒の記録は正史『日本書紀』(720年,養老4)に八醞の酒(=古事記の八鹽折の酒),そして奈良朝時代(8世紀前期)に編纂された『播磨国風土記』に,神代にさかのぼってカビによる酒の記載がある.米飯に「カビ」が生えたものは,古く「加無太知」または「加牟多知」と呼ばれた.いまの麴である.

天地と久しきまでに萬代に
 仕へまつらむ黒酒白酒を

(文室智努眞人 万葉集 巻19–4275. 新番号4299)

文室智努眞人は長屋王(天武天皇の孫.高市皇子の子.684–729)の子,知奴王で,淳仁朝の天平宝字5年(761)に姓(文室智奴麻呂)を賜った.黒酒,白酒は禁裏にて天子の代替りの神事・大嘗会の神酒である.平成の今日に伝わっている.白酒は白濁の酒(醴), 黒酒はシソ科(APG体系,旧クマツヅラ科)の落葉小高木,臭木(久佐木)の根の蒸し焼灰を加え,酸を中和した酒である.

日本酒(清酒)には飲んでよく,風呂の湯に混ぜてよい「美肌効果」をもたらすエチル-α-D-グルコシドがある.この成分は日本酒(清酒)中,エタノール,グルコースに次いで第3番目に多い.この成分はコウジカビの転移酵素α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20)により,発酵醪中の小糖類であるマルトオリゴ糖やデンプン分解物であるデキストリン成分の非還元性末端から構成糖のグルコースをエタノールに転移してできる.エチル-α-D-グルコシドには荒れ肌の誘発を抑制する効果が見られる(12)12) 広常正人:日本醸造協会誌,99, 836 (2004).

醬という泥状の調味料から澄んだ醬油への移行は,信州の禅僧,覚心(1208~1298)が建長6(1254)年に中国から径山寺味噌の製法を持ち返り,紀州湯浅で村人に教える過程で発酵槽中にたまった液で食物を料理するとおいしいことを発見したのが「溜り醬油(=溜り)」のはじまりである.『鹿苑日録』の「日用三昧」の天文5(1536)年,「漿油をネサス」という記録が最も古い(13)13) 川上行蔵:“日本料理事物起源”,小出昌洋編,岩波書店,2006..「醬油」という言葉の初出は室町時代の慶長2(1597)年平井易林刊行の国語辞書『節用集』易林本である.

醬油が出現するまで,液体調味料の王座に君臨していたのは煎酒(13)13) 川上行蔵:“日本料理事物起源”,小出昌洋編,岩波書店,2006.であった.『料理物語』(1643)によると,「削り節1升に,梅干17, 8個,寒仕込みの清酒2升,水少々に味噌少々.これを火に懸けて1升に煎じ,濾して冷やして」作る.この煎酒の見られる古文書は『松屋(久松)茶会記』(弘治3(1574)年4月24日)にたどり着く.それ以前には煎酒はない.煎酒は文化・文政(徳川第11代将軍家斉治下の後半期)の頃から省みられなくなった.工業的に作られる醬油に負けたのであった.

醬油中の旨味の主要成分はグルタミン酸であることを有働繁三(1899~1972)が明らかにした(1932).火入れ処理を施された新鮮な醬油は鮮やかな赤色と特有の芳香「火香」がある.この芳香成分はホモフラネオール(4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)-フラノン,HEMF))である.味噌にも含まれるホモフラネオールは強い抗酸化性をもち,胃がんの発生を抑制し,放射線障害を予防する効果をもつ機能性香気成分としても知られている.醬油の特色あるほかの香気成分は4-エチル-グアイアコール(4-エチル-2-メトキシフェノール)がある.高級な醸造醬油の特徴的な香気成分である.さらに,魚や肉の生臭みを消す消臭効果をもつ香気成分メチオノール(3-(メチルチオ)-1-プロパノール)がある.そして,面白いことに,醬油の中にはマツタケ特有の香気成分である1-オクテン-3-オール((3R)-(−)-1-オクテン-3-オール)が存在する.

大東亜戦争(別名,太平洋戦争)の最終期(1945),長崎の原爆患者の治療にあたった秋月辰一郎は,ワカメの味噌汁は原爆の被害あるいは後遺症の軽減に寄与した可能性を示した.後年,広島大学の伊藤明弘らは,実験動物による研究から,被ばくした放射性物質(131I, 134Cs)の排泄に味噌食は効果のあることを明らかにした.

おのみさは,著書『麴のレシピ―からだに「いいこと」たくさん』(14)14) おのみさ:“麴のレシピ―からだに「いいこと」たくさん”,池田書店,2010.に―麴は神様からの贈り物―と記している.

麴つくりがもたらした独創的な思考

「国酒」と言われる日本酒(清酒)(『SAKÉ』(15)15) H. Akiyama: “SAKÉ. The Essence of 2000 Years of Japanese Wisdom gained from Brewing Alcoholic Beverages from Rice,” International edition, translated by T. Inoue, Brewing Society of Japan, 2010.)造りの基本には,種麴の特性を見抜き,その性質を酒造りの場で発現させてきた酒造技術がある.日本酒造りの秘伝は,「一麴,二酛,三造り」,にある.醬油の醸造においても重要工程は,「一麴,二櫂,三火入れ」,である.しかも,これらの日本酒(清酒),醬油,味噌などの醸造には,いずれも複数の微生物(の酵素)を巧妙に利用している特色がある.「麴は酵素の宝庫」と言われる由縁である.この醸造の複雑な技術を導き出してきた考え方の基本には,特色ある日本文化を支えている思考の一端を担っているものがある.

文字の表現についてみると,麥偏からなる漢字の「麴」は,国字では米偏からなる「糀」で表現されている.中国,朝鮮で酒造に用いられる麴は「麯子(=餅麴)」で,麯子の内部に生育するカビはクモノスカビRhizopusやケカビMucorである(16)16) 上田誠之助:“日本酒の起源―カビ・麹・酒の系譜”,八坂書房,1999..だが,わが国の麴の形態は,すでに10世紀に成立した『延喜式』の「造酒司」の中に見られるように,「糵(もやし,よねのもやし)」(17)17) 坂口謹一郎:“日本の酒”,岩波書店,2007.の字は「散麴」を意味する.蒸したコメを原料にして散麴をつくるものこそ,米粒(コメ)に相性の良い微生物Aspergillus oryzaeである.国字「糀」の文字による表現の中に,わが国の風土の中で捉えた微生物制御についての独創的な考え方の実践を表した科学技術の象徴を捉えることができる.

ちなみに,ここでコウジカビがもたらした世界を先導した科学研究をたどってみる.

高峰譲吉(1854~1922)は,消化酵素剤「タカジアスターゼ(商標登録名は,タカヂアスターゼ)」の発明(1894)・開発(1895)と,副腎髄質ホルモン「アドレナリン」(別名,エピネフリン)の単離結晶化に成功した(1900).アドレナリンは止血剤,強心剤に利用されている.今日,世界で100年以上の間利用されている薬は3種で,タカジアスターゼ,アドレナリン,ほかはアスピリン(商標登録1899,アセチルサリチル酸)である.1996年刊行のケンブリッジ大学出版局の『Biotechnology』(18)18) J. E. Smith: “Biotechnology,” 3rd edition, Cambridge University Press, 1996, p.73.によると,1896年はコムギフスマに生育させた菌類Aspergillus oryzaeからの消化酵素剤タカジアスターゼはヨーロッパに最初の近代的な微生物酵素工業技術をもたらした年と,記されている.最近,石田三雄により高峰譲吉の詳細な伝記『ホルモンハンター―アドレナリンの発見』(19)19) 石田三雄:“ホルモンハンター―アドレナリンの発見”,京都大学学術出版会,2012.が上梓された.

醬油の特有の香気成分メチオノールを発見した赤堀四郎(1900~1992)(20)20) 赤堀四郎,金子武夫:日本化学会誌,57, 832 (1936).は,高峰の発明したタカジアスターゼ中のα-アミラーゼ(タカアミラーゼA(21,22)21) S. Akabori, B. Hagihara & T. Ikenaka: Proc. Jpn. Acad., 27, 350 (1951).22) S. Akabori, B. Ikenaka & B. Hagihara: J. Biochem., 41, 577 (1954).,EC 3.2.1.1)の大河研究を先導した.赤堀は外国では入手しやすい動物の臓器は日本では手に入りにくいこと,そしてタカジアスターゼは高峰譲吉の発明であり,酵素原末は三共(株)で製造されていて,入手しやすいことなどから,コウジカビの生産する酵素タカアミラーゼAに注目し,この酵素研究を日本人の手で解決したいと考えたことによる.

江上不二夫(1910~1982)らはタカジアスターゼからリボ核酸(RNA)のグアニン塩基の3′-側に特異性のあるリボヌクレアーゼT1(RNase T1, EC 3.1.27.3)を発見した(1957).この酵素はリボ核酸の構造決定に大きな貢献をもたらした.いっぽう,安藤忠彦(1924~2002)はタカジアスターゼから1本鎖DNAに特異的に作用するアスペルギルス・ヌクレアーゼS1(Nuclease S1, EC 3.1.30.1)を発見した(1966).ヌクレアーゼS1について,レイモンド・W・ベックは組換えDNA実験で重要な役割を果たしたと『微生物学の歴史Ⅰ–Ⅱ(原題・微生物学年代記とその歴史的背景)』(23)23) レイモンド・W・ベック(嶋田甚五郎,中島秀喜監訳):“微生物学の歴史I–II”,朝倉書店,2004.の1966年のP項に紹介している.

クエン酸生産性の高いクロコウジカビ(別名,クロコウジキン)は耐酸性の酵素の生産に優れている.新奇産業用酵素の展開は,北原覚雄によるデンプン糖化酵素グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)の発見(1949),上田誠之助による生デンプン分解性のグルコアミラーゼの発見(1956),吉田文彦の酸性プロテアーゼ(EC 3.4.23.18)の発見(1954)などがある.これらの酵素はいずれも国際酵素委員会承認のEC番号を得ている.

チロシナーゼは特有の2酵素反応(モノフェノール・モノオキシゲナーゼ(EC 1.14.18.1)ならびにカテコール・オキシダーゼ(EC 1.10.3.1))を触媒し,次いで起こる逐次反応により高分子黒色色素・メラニンが形成する.コウジカビのチロシナーゼはコウジ酸(麴酸,5-ヒドロキシ-2(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)により拮抗的(競争的)に阻害される.コウジ酸は齋藤賢道によりコウジカビの蒸米培養中に発見され(1907),薮田貞次郎(1888~1977)により単離,命名,構造決定された(1924).「Kojic Acid」として『The Merck Index』に記載されている.コウジ酸は抗生物質である.コウジ酸に抗酸化作用,美白作用などの機能があることから,工業的な生産,利用が行われている.

先述したα-グルコシダーゼの産物に,日本酒(清酒)には量的に少ないのだが,非発酵性糖が存在する.麻生 清らによる世界初の発見(1954)であるコウジビオース(kojibiose, 2-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコピラノース)や,ニゲロース(nigerose, 3-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコース,別名サケビオース)がある.『Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology』(1997)に紹介されている.

糖鎖工学分野は日米欧の若い研究者がしのぎを削る領域である.千葉靖典ら(24)24) Y. Chiba, M. Suzuki, S. Yoshida, A. Yoshida, H. Ikenaga, M. Takeuchi, Y. Jigami & E. Ichishima: J. Biol. Chem., 273, 26298 (1998).Aspergillus-α-1,2-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.113, mannosyl-oligosaccharide1,2-α-mannosidase)遺伝子(msdS)のcDNAを酵母菌の小胞体で発現滞留するように遺伝子操作し,酵母の細胞内で糖タンパク質にヒト型の糖鎖形成の導入に初めて成功した(1998).

国菌の国際化

ロジャー・パルバース(Roger Pulvers,1944~,元 東京工業大学教授・世界文明センター長,2013まで)はアメリカ生まれ,ハーバード大学大学院修了,オーストラリア国籍,京都在住で,世界的にまれな,「日本と日本人の優れた特質と独自性について発信し続けている人」である.彼の著書に『もし,日本という国がなかったら』(25)25) R. Pulvers(坂野由紀子訳):“もし,日本という国がなかったら”,集英社インターナショナル,2011.がある.その,248頁に,「日本人の知らない,高峰譲吉の世界的な業績」の項があり,その頁の後ろから4行目に「国菌」の記載がある.

「タカジアスターゼは麴を生育する過程で作られたジアスターゼ(消化剤)です.麴は醬油や味噌を作るときに使われる菌です.ラテン名は「Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリザエ)」で,日本の「国菌」に指定されています.国花ならよその国にもあるが,国菌のある国は日本だけなのではないかと思います.

タカジアスターゼを抽出する方法を発明したのは高峰譲吉です.ぼくが飲んでいるものが日本の科学者に発明された製品だとは,ぼくも母も思いもよりませんでした.」

ロジャー・パルバースは,宮沢賢治の英語翻訳にも数多く携わり,その功績から第18回宮沢賢治賞(2008),第19回野間文芸翻訳賞(2013)を受賞している.さらに,近著に,『驚くべき日本語』(26)26) R. Pulvers(早川敦子訳):“驚くべき日本語”,集英社インターナショナル,2014.がある.ロジャー・パルバースの上記2著書(25,26)25) R. Pulvers(坂野由紀子訳):“もし,日本という国がなかったら”,集英社インターナショナル,2011.26) R. Pulvers(早川敦子訳):“驚くべき日本語”,集英社インターナショナル,2014.は,一般向けの英文著書からの日本語への翻訳本である.したがって,「国菌」コウジカビ(別名,麴菌)もようやく,国際的になってきたと言える.ご同慶の至りである.

Acknowledgments

「国菌」という言葉が多くの人びとの目に触れるようになったのは,東京大学名誉教授・学士院会員の故 松井正直先生のお薦めにより一文(1)1) 一島英治:学士会会報,836, 135 (2002).をまとめたことによる.謹んで感謝いたします.また,本稿は東京農工大学副学長・大学院連合農学研究科・千葉一裕先生のお薦めによる.深く感謝いたします.

Reference

1) 一島英治:学士会会報,836, 135 (2002).

2) 一島英治:日本醸造協会誌,99, 83 (2004).

3) 一島英治:“麴”,法政大学出版局 (2007).

4) E. Ichishima: “Unique Enzymes of Aspergillus Fungi Used in Japanese Bioindustries,” Nova Science Publishers, Inc., 2012.

5) 日本醸造協会:http://www.jozo.or.jp/koujikinnituite2.pdf

6) M. Machida, K. Asai, M. Sano, T. Tanaka, T. Kumagai, G. Terai, K. Kusumoto, T. Arima, O. Akita, Y. Kashiwagi, K. Abe, K. Gomi, H. Horiuchi, K. Kitamoto, T. Kobayashi, M. Takeuchi et al.: Nature, 438, 1157 (2005).

7) S.-B. Hong, M. Lee, D.-H. Kim, J. Varga, J. C. Frisvad, G. Perrone, K. Gomi, O. Yamada, M. Machida, J. Houbraken & R. A. Samson: PLoS ONE, 8, e63769 (2013).

8) 青木淳一:“博物学の時間 大自然に学ぶサイエンス”,東京大学出版会,2013.

9) H. Murakami, S. Takase & T. Ishii: J. Gen. Appl. Microbiol., 13, 323 (1967).

10) M. Tominaga, Y. H. Lee, R. Hayashi, Y. Suzuki, O. Yamada, K. Sakamoto, K. Gotoh & O. Akita: Appl. Environ. Microbiol., 72, 484 (2006).

11) H. Matsushima, P. K. Chang, J. Yu, K. Abe, D. Bhatnagar & T. E. Cleveland: Appl. Microbiol. Biotechnol., 55, 585 (2001).

12) 広常正人:日本醸造協会誌,99, 836 (2004).

13) 川上行蔵:“日本料理事物起源”,小出昌洋編,岩波書店,2006.

14) おのみさ:“麴のレシピ―からだに「いいこと」たくさん”,池田書店,2010.

15) H. Akiyama: “SAKÉ. The Essence of 2000 Years of Japanese Wisdom gained from Brewing Alcoholic Beverages from Rice,” International edition, translated by T. Inoue, Brewing Society of Japan, 2010.

16) 上田誠之助:“日本酒の起源―カビ・麹・酒の系譜”,八坂書房,1999.

17) 坂口謹一郎:“日本の酒”,岩波書店,2007.

18) J. E. Smith: “Biotechnology,” 3rd edition, Cambridge University Press, 1996, p.73.

19) 石田三雄:“ホルモンハンター―アドレナリンの発見”,京都大学学術出版会,2012.

20) 赤堀四郎,金子武夫:日本化学会誌,57, 832 (1936).

21) S. Akabori, B. Hagihara & T. Ikenaka: Proc. Jpn. Acad., 27, 350 (1951).

22) S. Akabori, B. Ikenaka & B. Hagihara: J. Biochem., 41, 577 (1954).

23) レイモンド・W・ベック(嶋田甚五郎,中島秀喜監訳):“微生物学の歴史I–II”,朝倉書店,2004.

24) Y. Chiba, M. Suzuki, S. Yoshida, A. Yoshida, H. Ikenaga, M. Takeuchi, Y. Jigami & E. Ichishima: J. Biol. Chem., 273, 26298 (1998).

25) R. Pulvers(坂野由紀子訳):“もし,日本という国がなかったら”,集英社インターナショナル,2011.

26) R. Pulvers(早川敦子訳):“驚くべき日本語”,集英社インターナショナル,2014.