解説

グルタチオン代謝とチオールケミストリー病態との関係,創薬標的としての価値

Glutathione Metabolism and Thiol Chemistry

渡辺 文太

Bunta Watanabe

京都大学化学研究所 ◇ 〒611-0011 京都府宇治市五ケ庄

Institute for Chemical Research, Kyoto University ◇ Gokasho, Uji-shi, Kyoto 611-0011, Japan

平竹

Jun Hiratake

京都大学化学研究所 ◇ 〒611-0011 京都府宇治市五ケ庄

Institute for Chemical Research, Kyoto University ◇ Gokasho, Uji-shi, Kyoto 611-0011, Japan

Published: 2015-05-20

生体内還元物質であるグルタチオン(GSH)は,活性酸素種の除去(抗酸化)や,求電子的な化合物,重金属など生体異物(毒物)の解毒の最前線に立つ極めて重要な分子であり,酸化ストレスを介してがん化学療法から薬剤耐性,生活習慣病に至るまで,病態と深くかかわる.GSH生合成は,律速基質であるCysの供給に大きく依存しており,近年,GSH代謝やCys供給(Cys availability)にかかわる酵素やトランスポーターが,抗がん剤などの重要な創薬ターゲットとして注目されている.本稿では,GSHの代謝を概観したあと,GSHのもつチオールの化学にフォーカスし,GSHの代謝異常と病態の複雑な関係,GSH代謝やCys availabilityにかかわるタンパク質とその活性制御が有用な創薬につながる可能性について解説する.

グルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly; GSH)は,高等動植物から微生物まで,生物界に広く分布する天然の抗酸化物質であり,細胞内には0.5〜10 mMもの高濃度で含まれ,非タンパク質性のチオールの大部分を占める化合物である.GSHは構成アミノ酸であるCysのチオールの化学的反応性により,それ自身が活性酸素種(O2·−,H2O2,·OH等)を還元的に消去するほか,glutathione peroxidase(GPx)やglutathione S-transferase(GST)の補酵素としてH2O2や過酸化脂質,内在性あるいは外来の求電子的な化合物の解毒代謝に極めて重要な働きをしている(1,2)1) A. Meister & M. E. Anderson: Annu. Rev. Biochem., 52, 711 (1983).2) N.-E. Huseby, E. Sundkvist & G. Svineng: “Glutathione and Sulfur Amino Acids in Human Health and Disease,” ed. by R. Masella & G. Mazza, Wiley, 2009, p. 93..GSHは原料アミノ酸であるGlu, CysおよびGlyから,細胞質にある2種類のATP依存性リガーゼによって2段階で生合成される.すなわち,glutamate-cysteine ligase(GCL)(EC 6.3.2.2)により,GluとCysからγ-Glu-Cysを生成したのち(反応1),glutathione synthetase(GS)(EC 6.3.2.3)によって,γ-Glu-CysとGlyからγ-Glu-Cys-GlyすなわちGSHの生合成が完了する(反応2).

  1. (1) Glu+Cys+ATP→γ-Glu-Cys+ADP+Pi
  2. (2) γ-Glu-Cys+Gly+ATP→γ-Glu-Cys-Gly+ADP+Pi

GCLは,最終産物であるGSHによるフィードバック阻害を受けるため,第1段階目がGSH生合成の律速段階となっている.また,後述するように,Cysの血中濃度は10 µM程度と低く,GSHの律速基質である.そのため,細胞のGSHレベルを決める2大要因は,GCLの活性とCysの供給(Cys availability)にあり,そのいずれもが,GSH生合成の第1段階にかかわる.さらに,この段階は,GSHの構造的特徴であるγ-グルタミル結合を形成する反応であり,この結合は通常のペプチダーゼやプロテアーゼでは切断できず,限られた酵素[γ-glutamyl transpeptidase(GGT)およびγ-glutamyl cyclotransferase(GGCT)]によってのみ切断を受けることがGSH代謝の特徴である(後述).

細胞質で合成されたGSHは活性酸素種や求電子的化合物と反応し,自身は酸化型グルタチオン(GSSG)やグルタチオン包合体(GS-X)となる.GSSGは,NADPHを補酵素としてglutathione reductase(GR)によってGSHへと還元され再利用されるが,同時に,これらすべてのGSH誘導体(GSH,GSSGおよびGS-X)は,ABCトランスポーターの一種であるmultidrug resistant protein-1および2(MRP1およびMRP2)によってATPを使って細胞外へと能動輸送(排出)され,いったん細胞外に出たGSHは,再び細胞内に戻ることはない.これは,GSHが細胞膜を透過しないのと,細胞外からGSHを直接取り込むトランスポーターが通常の細胞にはほとんど存在しないためである.そのかわり,多くの細胞では,細胞膜の外側にアンカーしたGGTをもち,これが細胞外GSHの分解と再取り込みの初発段階を担っている.すなわち,細胞外のGSHは,GGTによってγ-グルタミル結合が切断されGluとCys-Glyに加水分解されたのち,dipeptidase(DP)によってさらに加水分解を受け,いったん,構成アミノ酸(Glu, Cys, Gly)にまで分解されてから,それぞれアミノ酸トランスポーターを介して細胞に取り込まれ,再びATPを使ってGSHへと再合成される.ちなみに,GGTは,GSHのγ-グルタミル基をアミノ酸やジペプチドへと転移させ,γ-グルタミルアミノ酸やペプチド(γ-Glu-AAs)を生成する転移活性が強く,その生理的役割にはいまだに議論のあるところではある.しかし,いずれにせよ,GSH代謝のポイントは,細胞内で合成されたGSHは,細胞外へと一方的に能動輸送され,細胞外のGSHはそのままの形では細胞に取り込まれず,必ずGGTによる分解を受け,いったん,構成アミノ酸になってから取り込まれ,ATPを使って再合成されること,また,γ-グルタミル結合は通常のペプチダーゼやプロテアーゼでは分解できないため,GGTが細胞外におけるGSHの分解を一手に担っている点である.このサイクルは,主として肝臓で合成されたGSHが血中をめぐり,末梢へと運ばれ,そこで利用されるサイクルでもある.

血中のGSH濃度は5〜25 µMで,細胞内GSH濃度の約1/400に過ぎない.しかも,腎臓をはじめとする上皮組織に高発現するGGTのおかげで,GSHの代謝回転速度は極めて速く,血中GSHの半減期は数分と言われている.このように,エネルギーを使って合成しては壊すことを高速で繰り返すGSH代謝は,一見すると不経済とも思えるが,高速で代謝回転することにより,限られた量のCysの時間あたりのモル数を増大させ,酸化ストレスや生体異物解毒に柔軟に対応する生体の巧妙な仕組みと言えよう.GSH代謝を概観すると図1図1■高等動物の細胞におけるグルタチオン代謝のようになる.

図1■高等動物の細胞におけるグルタチオン代謝

GSH: glutathione, GSSG: glutathione disulfide, GS-X: glutathione-S-conjugates, GCL: glutamate-cysteine ligase, GS: glutathione synthetase, GPx: glutathione peroxidase, GST: glutathione S-transferase, GR: glutathione reductase, MRP: multidrug resistant protein, GGT: γ-glutamyl transpeptidase, DP: dipeptidase, ASC: Na+-dependent neutral amino acid transporter (alanine–serine–cysteine transporter), xc: glutamate cystine antiporter system xc.

GSH代謝とチオールケミストリー

さて,GSHが非タンパク性のチオール(Cys)の最大のストックで,Cysは必須アミノ酸ではないにもかかわらず,その血中濃度が低く抑えられている(約10 µM)のはなぜだろうか? その答えの一つは,チオールのpKaにある.すなわち,CysのSHのpKaは8.45で(3)3) G. E. Clement & T. P. Hartz: J. Chem. Educ., 48, 395 (1971).,生理的条件下(pH 7.4)で比較的容易に解離しチオラートアニオンを生じる.これは,構造上,正に帯電したα-アミノ基(–NH3+)の存在によるところが大きい.電子豊富なチオラートアニオンは,Fe3+やCu2+などのレドックス活性な金属イオンを介して,酸素(O2)を1電子還元し,スーパーオキシドO2·−をはじめとする活性酸素種を作り出し,自身はチイルラジカルとなってラジカル反応を誘起するため,毒性が強い.また,還元性の強いチオラートアニオンは,タンパク質のS–Sを還元的に開裂することも,Cysが毒性を示す一因である.一方,GSHはCysのN末がアシル化(γ-グルタミル化)され,正に帯電したα-アミノ基がないぶん,SHは解離しにくく(pKa=8.93)(4)4) D. L. Rabenstein: J. Am. Chem. Soc., 95, 2797 (1973).,反応性の低い安全なチオールとなっている.そのため,遊離Cysの濃度を低く抑え,代わりにGSHを安全なCysプールおよび輸送形態として利用し,必要に応じてGSHからCysを切り出し利用しているのは生体の妙と言える.したがって,GSHからCysを切り出す過程で欠かせないγ-グルタミル結合の開裂,すなわちGGTによるGSHの加水分解は,細胞へのCys供給の要の一つとなっていることは容易に予想できる.事実,酸化ストレスが亢進すると,その適応反応としてGSHの生合成が亢進するが,生合成酵素のGCLに加えて,GGTが高発現する傾向が見られる(5)5) H. Zhang, H. J. Forman & J. Choi: Methods Enzymol., 401, 468 (2005)..これは,前述したように,細胞のGSHレベルを決める2大要因が,GCLの活性とCys availabilityにあるからである.その意味では,GGTは,抗酸化すなわちanti-oxidant酵素と位置づけられる.

ところで,最も始末の悪いチオールは,GSHがGGTによって加水分解され生じるCys-Glyである.このジペプチドは,Cys部分のN末が正に帯電したアミノ基であることに加え,C末のカルボキシ基がグリシンによってブロックされ,近傍に負電荷をもたない.したがって,そのSHは非常に解離しやすく,pKaは6.4にまで下がる(6)6) W. P. Jencks & J. Rgenstein: “CRC Handbook of Biochemistry,” ed. by H. A. Sober, 1968, p. J150..すなわち,生理的条件下で容易にチオラートに解離するCys-GlyのSHは,反応性の高いたいへん危険なチオールであり,これがむやみに生じると,O2·−を発生させ,それが不均化してH2O2などの活性酸素種を生じ,これが脂質過酸化など,さまざまな酸化ストレス障害を引き起こす(7)7) A.-A. Stark, E. Zeiger & D. A. Pagano: Carcinogenesis, 14, 183 (1993)..実は,これこそがGGTによるGSH代謝と病態との接点の一つである(図2図2■チオールのpKaとpro-oxidant効果).その意味で,GGTは,酸化ストレスを亢進させてしまうpro-oxidant酵素という側面を持ち併せており,このGGTのもつ二面性とその生理的役割については,改めて議論する.

図2■チオールのpKaとpro-oxidant効果

生理的条件下でチオラートアニオンを生じやすいpKaの低いチオールほど,Fe3+やCu2+などのレドックス活性な金属イオンを介して酸素を1電子還元し,活性酸素種を生じる傾向が強い(pro-oxidant効果).GSHは最も安全なチオールだが,GGTによって加水分解を受けて生じるCys-Glyは最も危険なチオールである.

一方,ジスルフィドであるcystineは,SHの解離がないため安全なCys源である.通常,cystineの血中濃度は40〜70 µM程度であり,GSHの血中濃度(5〜25 µM)より高い.そのため,細胞,特にグリオーマやリンパ腫などのがん細胞にとってcystineは重要なCys源となっており,その取り込みは細胞内のGSHレベルや酸化ストレス耐性に大きな影響を与える.この機能を担うタンパク質がsystem xcと呼ばれるトランスポーターである(図1図1■高等動物の細胞におけるグルタチオン代謝).

このように,生体の酸化ストレスや異物解毒の最前線に立つGSHは,独特の代謝経路を有しているうえ,チオールのもつ高い反応性ゆえに,一歩間違えると諸刃の剣のように作用する.したがって,その微妙な代謝バランスを支える酵素群やトランスポーターは,GSH代謝を介して細胞の酸化ストレス状態や解毒代謝機能に多大な影響を与える.以下,それらGSH代謝にかかわる重要な酵素やタンパク質について,その創薬的価値を中心に解説する.

γ-Glutamyl Transpeptidase(GGT)とその生理的意義

GGTは大小2つのサブユニットからなる糖タンパク質(Mr 68,000)で,大サブユニットN末端の疎水性領域を,細胞膜の外側にアンカーする形で発現する膜結合型の酵素である.したがって,活性中心は細胞の外側にあり,細胞外のGSHを分解する.分泌および吸収機能をもつ上皮細胞に多く発現しており,とりわけ腎臓の近位尿細管の頂端側に高発現している.酵素活性は小サブユニット(Mr 22,000)にあり,N末端のThr381を求核触媒残基として,γ-グルタミル酵素中間体(γ-Glu-O-E)を経る2段階のピンポン機構で,GSHの分解を行う.このとき,γ-グルタミル酵素中間体が加水分解を受けるとGluとCys-Glyを生じるが(反応3),アミノ酸やジペプチド(AAs)などのacceptor基質があるとγ-グルタミル基を転移し,γ-Glu-AAsを生じる強い転移活性がある(反応4)(8)8) J. Hiratake, H. Suzuki, K. Fukuyama, K. Wada & H. Kumagai: “Handbook of Proteolytic Enzymes,” ed. by N. D. Rawlings & G. S. Salvesen, Academic Press, 2013, p. 3713.

  1. γ-Glu-Cys-Gly+E-OH→γ-Glu-O-E+Cys-Gly
  2. (3) γ-Glu-O-E+H2O→Glu
  3. (4) γ-Glu-O-E+AAs→γ-Glu-AAs

Acceptor基質としては,Cys-Glyに類似したL-X-Gly(X=Met, Gln, Ala, Glyなど)というジペプチドを好むが,cystineは例外的に非常によいacceptor基質である(Km=30 µM)(9)9) G. A. Thompson & A. Meister: Biochem. Biophys. Res. Commun., 71, 32 (1976)..この事実が,GGTの生理的役割はGSHの加水分解か転移反応かについて議論の余地を残している.

GGTは,細胞外でGSHを分解するほぼ唯一の酵素で,GSHの加水分解によりGluとCys-Glyを生成,後者はさらにDPによって加水分解を受け,CysとGlyを生成,それらアミノ酸は細胞に取り込まれ,再びGSHが再合成される.また,細胞外に排出されたグルタチオン抱合体(GS-X)はGGTによって加水分解を受け,最終的にmercapturic acid[N-Ac-Cys(X)]として体外に排出される(図1図1■高等動物の細胞におけるグルタチオン代謝).そのため,GGTは,血中のGSHからCysを切り出し細胞にCysを供給する酵素であると同時に,異物代謝にかかわる酵素としても重要で,その意味で,GGTは抗酸化酵素(anti-oxidant酵素)と考えることができる.事実,多くのがん細胞でGGTが高発現すること,細胞増殖が旺盛で転移活性の高いがん細胞ほどGGTを高発現する傾向があり,また,シスプラチン等の抗がん剤に対する抵抗性を獲得したがん種でGGT活性が高まることが知られている(10,11)10) M. H. Hanigan: Adv. Cancer Res., 122, 103 (2014).11) A. Pompella, V. De Tata, A. Paolicchi & F. Zunino: Biochem. Pharmacol., 71, 231 (2006)..これらの事実は,がん細胞で高発現するGGTが細胞外のGSHを分解,Cysを取り込むサルベージ装置として働いており,Cys availabilityが向上しGSHレベルが上昇することで,がんの悪性度が増すと考えられている.

ところで,GGTは肝機能を調べる鋭敏なマーカー酵素で,人間ドックでも必須の検査項目である(γ-GTP).これは,アルコールや薬物などで肝細胞が傷害を受けるとGGTが血中に漏れ出てくるものであるが,血中に漏れ出てきたGGTは,果たしてどうなるのであろうか? 疫学的研究によると,血中のGGTレベルは,心筋梗塞や心不全などの心血管疾患と非常に強い正の相関があり,独立した危険因子であることが繰り返し報告されている(12)12) J. E. Mason, R. D. Starke & J. E. Van Kirk: Prev. Cardiol., 13, 36 (2010)..この異様に高い相関には,何らかの因果関係が潜んでいるのではないかと考えるのは当然で,その有力な仮説の一つに,GSHの分解で生じたCys-Glyによるpro-oxidant効果が提唱されている(7,13)7) A.-A. Stark, E. Zeiger & D. A. Pagano: Carcinogenesis, 14, 183 (1993).13) S. Dominici, A. Paolicchi, E. Lorenzini, E. Maellaro, M. Comporti, L. Pieri, G. Minotti & A. Pompella: BioFactors, 17, 187 (2003)..すなわち,Cys-Glyの活性チオールがFe3+などの金属イオンを介して酸素を1電子還元し活性酸素種を発生させることで,脂質の過酸化が進行,アテローム性動脈硬化症を引き起こすというものである(13,14)13) S. Dominici, A. Paolicchi, E. Lorenzini, E. Maellaro, M. Comporti, L. Pieri, G. Minotti & A. Pompella: BioFactors, 17, 187 (2003).14) M. Emdin, A. Pompella & A. Paolicchi: Circulation, 112, 2078 (2005)..事実,動脈の粥腫(アテローム,プラーク)にはGGTが高発現しており,そこで脂質の過酸化が進行している.もともと,GGTは膜結合性の酵素であり,大サブユニットのN末端には疎水性領域があるため,血中に漂うGGTは,リポタンパクのLDLなどと容易に結合し(15)15) A. Paolicchi, M. Emdin, C. Passino, E. Lorenzini, F. Titta, S. Marchi, G. Malvaldi & A. Pompella: Atherosclerosis, 186, 80 (2006).,その場で血中のGSHを分解,発生したCys-Glyのpro-oxidant効果によってLDL脂質の過酸化が引き起こされる.そして,酸化ストレスを受けたプラークでは,その適応反応としてさらなるGGTが発現し,それが悪循環を引き起こす.すなわち,いったん制御を外れたGGTは,そのpro-oxidant効果という負の側面のため酸化ストレスの暴走を引き起こし,これが動脈のアテロームで起こっているイベントだというのである.この酸化ストレス連鎖のシナリオは,Cysを得るためGSHを分解するというGGTの生理的役割と,GSHの加水分解生成物Cys-Glyのチオールケミストリーを考えると,かなりの説得力がある.

GGTによるpro-oxidant効果は,意外なところにも関係している.胃がんを引き起こすHelicobacter pyloriの病原性因子の一つが,実はGGTであり(16)16) K. Shibayama, K. Kamachi, N. Nagata, T. Yagi, T. Nada, Y. Doi, N. Shibata, K. Yokoyama, K. Yamane, H. Kato et al.: Mol. Microbiol., 47, 443 (2003).,胃壁上皮細胞の細胞死を引き起こす過程で胃がんを誘発する.そのメカニズムの一つが興味深い.H. pylori GGTの引き起こす細胞のアポトーシスやネクローシスは,保護作用をもつはずのGSHの添加により大きく増大し,細胞死に先立って,細胞外のH2O2濃度が上昇し,脂質過酸化が見られる.H. pylori GGTとGSHが共存するとH2O2レベルが上昇するが,後述するGGTの阻害剤acivicinの添加により,H2O2の上昇が抑えられ,細胞死自体も抑制される(17)17) B. Flahou, F. Haesebrouck, K. Chiers, K. Van Deun, L. De Smet, B. Devreese, I. Vandenberghe, H. Favoreel, A. Smet, F. Pasmans et al.: Cell. Microbiol., 13, 1933 (2011).H. pylori GGTは,免疫系やサイトカインの産生,細胞増殖のシグナル伝達などに広く影響を与えることが指摘されているが,その根底に,GSHの加水分解によって生じるCys-Glyのpro-oxidant効果や,GSHそのものが分解され減少することで生じる酸化ストレスという化学的現象がかかわっていると考えるのは,極めて魅力的である.

GGTがanti-oxidant酵素として抗がん剤耐性やがん悪性化にかかわる可能性や,全く逆のpro-oxidant効果によりさまざまな病態に関係するGGTの二面性は,創薬ターゲットとしての価値を予想させるのに十分である.1970年代から現在も使い続けられている天然物acivicinは,GGTの活性中心と反応し,酵素を不可逆的に阻害するため便利なGGT阻害剤ではあるが,その本来の標的は,Glnを加水分解し,広く生合成の窒素源として使うglutamine amidotransferaseであるため,毒性が極めて強い.そこで,われわれは,反応機構依存的にGGTを阻害する,ホスホン酸ジエステル型の不可逆的阻害剤を合成した(18)18) L. Han, J. Hiratake, A. Kamiyama & K. Sakata: Biochemistry, 46, 1432 (2007)..そのうち,GGsTopと名づけた阻害剤は,GSHの構造をうまくミミックし,GGTの活性中心によく適合するため,ヒトGGTに対する阻害活性がacivicinの100倍以上もある(図3図3■GGT阻害剤GGsTopと阻害機構).そこで,急性腎不全のモデルであるラット腎臓の虚血再灌流実験において,GGsTopを5分前に静脈内投与しておくと,濃度依存的に,GGT活性の上昇とO2·−の発生および脂質過酸化が抑えられ,腎臓の酸化ストレス障害が大きく軽減された(19)19) S. Yamamoto, B. Watanabe, J. Hiratake, R. Tanaka, M. Ohkita & Y. Matsumura: J. Pharmacol. Exp. Ther., 339, 945 (2011)..これは,虚血再灌流時の酸化ストレスに応答して高発現するGGTの活性を抑制することでGSHの分解を防ぎ,同時に,pro-oxidant効果をもつCys-Glyの発生が抑えられたためと思われる.さらに,GGsTopは,喘息モデルマウスにおいて,喘息症状を緩和するのにも効果を発揮した(20)20) M. Tuzova, J.-C. Jean, R. P. Hughey, L. A. S. Brown, W. W. Cruikshank, J. Hiratake & M. Joyce-Brady: Frontiers in Pharmacol., 5, 1 (2014) DOI: 10.3389/fphar.2014.00179..すなわち,肺上皮被覆液(lung lining fluid; LLF)には多量のGSHが含まれ,酸化ストレスに曝される肺上皮細胞(粘膜)を保護しているが,GGsTopを気管内投与しLLF内のGGT活性を抑制することでGSHの分解を防ぎ,炎症時に亢進する酸化ストレスに対する保護効果を維持したことが喘息症状の緩和につながったと考えられる(21)21) M. Joyce-Brady & J. Hiratake: Curr. Enz. Inhibit., 7, 71 (2011)..Acivicinとは異なり,GGsTopには全く毒性がなく,極めて選択性の高いGGT阻害剤であることが示された.このように,GGTによるグルタチオンの代謝異常は,GSHの枯渇に加えて,Cys-Glyによるpro-oxidant効果というダブルパンチで酸化ストレスをもたらすと考えられ,その特異的阻害剤GGsTopは,グルタチオンの代謝亢進による酸化ストレスを軽減する非常に有望な薬剤である.

図3■GGT阻害剤GGsTopと阻害機構

ホスホン酸ジエステル型阻害剤のGGsTopは,GGTの活性中心Thr381と反応機構依存的に反応し,ホスホニル化することでGGTを不可逆的に失活させる.ヒトGGTに対する阻害活性は,従来の阻害剤acivicinの100倍以上である.

興味深いことに,GGsTopをヒト皮膚線維芽細胞に与えると,成熟I型コラーゲンの産生が大きく亢進すると同時に,弾性線維であるエラスチンの産生も2倍に亢進した(22)22) 湯浅(小島)明子,林 倫子,韓 立友,渡辺文太,平竹潤,湯浅 勲:日本香粧品学会誌,36, 93 (2012)..これは,anti-oxidant酵素であるGGTを阻害することでCysの供給が滞り,一時的にGSHレベルが減少,これが引き金となって抗酸化ストレス応答が引き起こされたものと考えられるが,皮膚のマトリックスタンパク質産生が亢進することは,皮膚美容科学的には極めて好都合なことである.そこで,このGGT阻害剤のヒトでの効能と安全性を詳細に調べ,2012年,GGsTopを新しいアンチエイジング化粧品成分「ナールスゲン」として実用化するに至った(23)23) 科学技術振興機構:「研究成果を社会に還元するための戦略」,JST News, 6月号,p. 8 (2012)..現在,ナールスゲンは,15社あまりの化粧品メーカーの20アイテムを超える製品に使われている.

シスチン–グルタミン酸アンチポーターSystem xcとその生理的役割

Cystineの取り込みは,細胞内のCysレベルを維持し,GSHの生合成を支える重要なプロセスの一つで,近年,特にがん細胞の生存や増殖,転移活性などの悪性度や治療抵抗性との関係で大きく注目されているCys供給ルートである.System xcと呼ばれるトランスポーターは,1分子のGlu放出に伴って1分子のcystineを取り込むアニオン性アミノ酸アンチポーターで,トランスポート活性を担うxCTと,膜への輸送・局在をつかさどる重鎖4F2hcがS–S結合でつながった2量体を形成している(図4図4■シスチン–グルタミン酸アンチポーターxcおよびその阻害剤).ヒトの健常組織での発現は限られているが(脳,免疫組織),グリオーマ,リンパ腫,膵臓がんや,多くのがん幹細胞で高発現し,がん細胞が血中のシスチンを取り込み,高レベルの細胞内グルタチオンを維持することで酸化ストレスを回避する最も重要なCys供給ルートとなっている.そのため,system xcは,Cys飢餓を誘導しGSH枯渇によってがん細胞の生存や増殖,転移,再発を阻止するための,またとない創薬ターゲットである(24,25)24) M. Lo, Y.-Z. Wang & P. W. Gout: J. Cell. Physiol., 215, 593 (2008).25) J. Lewerenz, S. J. Hewett, Y. Huang, M. Lambros, P. W. Gout, P. W. Kalivas, A. Massie, I. Smolders, A. Methner, M. Pergande et al.: Antioxid. Redox Signal., 18, 522 (2013)..xCT阻害剤として,ibotenate, L-quisqualateや(S)-4-carboxyphenylglycineに代表されるGluアナログ(24,25)24) M. Lo, Y.-Z. Wang & P. W. Gout: J. Cell. Physiol., 215, 593 (2008).25) J. Lewerenz, S. J. Hewett, Y. Huang, M. Lambros, P. W. Gout, P. W. Kalivas, A. Massie, I. Smolders, A. Methner, M. Pergande et al.: Antioxid. Redox Signal., 18, 522 (2013).が多数報告されているが,いずれも中枢神経毒性が強い.一方,sulfasalazineという炎症性大腸炎やリューマチの治療薬として過去に開発された抗炎症剤が,system xcを阻害し,リンパ腫の生育を阻害することがスクリーニングにより再発見され(26)26) P. W. Gout, A. R. Buckley, C. R. Simms & N. Bruchovsky: Leukemia, 15, 1633 (2001).,現在,最も広く細胞アッセイに使われている.ところが,最近になって,RAS変異腫瘍細胞に対して選択毒性のある化合物をスクリーニングする過程で見つかってきたerastinという化合物が,system xcを強く阻害し,腫瘍細胞のcystine取り込みを阻止することで酸化ストレスに対する脆弱性を引き起こし,結果としてFe3+依存的に細胞死(ferroptosis)を引き起こすことが判明し,erastinが新しいsystem xc阻害剤のリード化合物になりうることが示された(27)27) S. J. Dixon, K. M. Lemberg, M. R. Lamprecht, R. Skouta, E. M. Zaitsev, C. E. Gleason, D. N. Patel, A. J. Bauer, A. M. Cantley, W.-S. Yang et al.: Cell, 149, 1060 (2012).

図4■シスチン–グルタミン酸アンチポーターxcおよびその阻害剤

Cystine–Glu antiporter xcは,1分子のGluとの交換により細胞外のcystine1分子を取り込むアンチポーターで,がん細胞へのCys供給ルートとして重要である.CD44スプライスバリアント(CD44v8-10)は,xCTと相互作用し膜に安定化させることでcystineの取り込みを促進する.

System xcをめぐる最も興味深い発見は,がん幹細胞の表面マーカータンパク質として注目されているCD44のスプライスバリアントCD44v8-10が,消化器がんなどにおいて治療抵抗性の原因となる酸化ストレス回避機構を強める機能をもつことが明らかになったことである(28)28) T. Ishimoto, O. Nagano, T. Yae, M. Tamada, T. Motohara, H. Oshima, M. Oshima, T. Ikeda, R. Asaba, H. Yagi et al.: Cancer Cell, 19, 387 (2011)..もともと,CD44はヒアルロン酸を主なリガンドとする細胞接着分子であり,がんの浸潤,転移に深く関与するタンパク質であるが,そのスプライスバリアントCD44v8-10が発現しているがん細胞では,酸化ストレスが低下している.そのメカニズムとして,細胞膜にあるxCTと相互作用し,その安定性を高めていることが判明した(図4図4■シスチン–グルタミン酸アンチポーターxcおよびその阻害剤).すなわち,xCTの細胞膜での安定性を高めることで,cystine取り込みを促進,細胞のGSH生合成を促進することで,細胞の酸化ストレスを回避,治療抵抗性や悪性度の増大につながることが示され,cystine取り込みをつかさどるsystem xcががん治療においていかに重要なファクターであるかを示すものとして注目に値する.したがって,有効なsystem xc阻害剤は,がん幹細胞を直接叩くことで再発を防ぎ,がんの根本的治療に至る可能性を秘めた,極めて価値のある化合物となろう.しかし,スクリーニングで偶然見つかった化合物をもとに構造活性相関研究が進んでいるのが現状である.これほど創薬的価値の高いターゲットであるから,確かな分子設計の指針に基づいた論理的な阻害剤開発が望まれるところである.

γ-Glutamyl Cyclotransferase(GGCT)とその生理的意義

γ-グルタミル結合を切断する酵素はGGTだけではない.1970年代からMeisterらの先駆的研究により,細胞内でγ-グルタミルアミノ酸を分解するγ-glutamyl cyclotransferase(GGC T)という酵素の存在が報告されていた(1)1) A. Meister & M. E. Anderson: Annu. Rev. Biochem., 52, 711 (1983)..しかし,GGC Tの真の生理的意義や重要性は長らくのあいだ不明で,半ば忘れられたような存在だった.ところが,プロテオーム解析によってがん細胞のマーカータンパクとして見いだされた機能未知のC7orf24(29)29) S. Kageyama, H. Iwaki, H. Inoue, T. Isono, T. Yuasa, M. Nogawa, T. Maekawa, M. Ueda, Y. Kajita, O. Ogawa et al.: Proteomics Clin. Appl., 1, 192 (2007).が,実はGGC Tそのものであり(30)30) A. J. Oakley, T. Yamada, D. Liu, M. Coggan, A. G. Clark & P. G. Board: J. Biol. Chem., 283, 22031 (2008).,siRNAによりGGC Tの発現を抑制すると,がん細胞の増殖や運動性,浸潤性も抑制される(29,31)29) S. Kageyama, H. Iwaki, H. Inoue, T. Isono, T. Yuasa, M. Nogawa, T. Maekawa, M. Ueda, Y. Kajita, O. Ogawa et al.: Proteomics Clin. Appl., 1, 192 (2007).31) D. Uejima, K. Nishijo, Y. Kajita, T. Ishibe, T. Aoyama, S. Kageyama, H. Iwaki, T. Nakamura, H. Iida, T. Yoshiki et al.: Anticancer Res., 31, 1297 (2011).というきわめて興味深い発見により,俄然,注目に値する酵素となった.しかし,このGGC Tという酵素,いったい何を基質として,どんな生理的意義をもった酵素なのか,いまだはっきりとしない.GGC TのX線結晶構造解析からわかったことは(30)30) A. J. Oakley, T. Yamada, D. Liu, M. Coggan, A. G. Clark & P. G. Board: J. Biol. Chem., 283, 22031 (2008).,活性中心には触媒残基であるGlu98が保存されており,これが一般塩基・酸触媒としてα-アミノ基による分子内求核置換反応を進行させγ-グルタミル結合を切断,5-oxoprolineを生成すること,また,Arg30が基質C末端のカルボキシ基を認識していることである(図5図5■γ-Glutamyl cyclotransferase(GGCT)の触媒機構と推定基質).これを考慮すると,GGC Tはγ-グルタミル結合のC末側直近にα-カルボキシ基のないGSHは基質とせず,GSH生合成の中間体γ-Glu-Cysか,一般的なアミノ酸がγ-グルタミル化したジペプチドγ-Glu-AAということになる.では,そのγ-Glu-AAを供給しているものは何かという問題に行き当たる.1970年代にMeisterらが,GGTの触媒するγ-グルタミル転移活性をもとに,アミノ酸(特にcystine)を取り込み,それを代謝・活用する回路として提唱したγ-グルタミルサイクルは,現在では,その根拠があいまいで反証も多く,あまり信じられていない学説だが,GGTのacceptor基質としてcystineが極めて良好な基質であること,その転移生成物γ-Glu-cystineはα-カルボキシ基をもち,十分にGGC Tの基質となること,GGC Tのγ-Glu-AAに対する基質特異性は,GGTのacceptor基質特異性と類似するという指摘は,GGTのγ-グルタミル転移反応によって生じたγ-Glu-cystineの分解にGGC Tがかかわり,cystineを遊離する結果,細胞のCys availabilityに寄与するため,がん細胞でGGC Tが高発現し,その発現抑制が増殖の低下につながるというシナリオを捨て難いものとしている.ちなみに,GGC Tは,γ-グルタミルサイクルを形成する6つの酵素(GCL, GS, GGT, DP, GGC Tおよび5-oxoprolinase)のうちで,唯一,遺伝的欠損症が報告されていない酵素でもある.また,GGC Tには全く未知の機能,たとえば,γ-グルタミル化されたアシルキャリアタンパク質の脱γ-グルタミル化にかかわる可能性も示唆されており(30)30) A. J. Oakley, T. Yamada, D. Liu, M. Coggan, A. G. Clark & P. G. Board: J. Biol. Chem., 283, 22031 (2008).,GGC Tはがん化学療法の魅力的な創薬ターゲットとなる可能性が高い.現在のsiRNAを用いた遺伝子の発現抑制は,siRNAの体内動態がよくないため,やはり低分子化合物による効果的なGGC T活性阻害技術の開発が望まれる.

図5■γ-Glutamyl cyclotransferase(GGCT)の触媒機構と推定基質

GGCTの触媒残基はGlu98であり,これが一般塩基・酸触媒としてγ-グルタミル結合を切断,5-oxoproline生成する.Arg30がγ-グルタミル結合のC末側直近のカルボキシ基を認識するため,γ-グルタミルアミノ酸,たとえばγ-Glu-Cysやγ-Glu-cystineなどが基質と考えられる.

おわりに

GSHのもつ広範な好ましい生理作用には誰しも異論はないだろう.しかし,その代謝の制御が外れた場合に何が起こりうるかに目を向け,チオールの化学という切り口で,病態との関連性を紹介した.Cys-Gly生成によるpro-oxidant効果は仮説の段階ではあるが,かなり説得力のある考え方であり,グルタチオン代謝系酵素の創薬的価値は高い.また,独特の代謝経路を高速で回転させているグルタチオン代謝の要はCys availabilityにあると言っても過言ではない.がん細胞はもともと異常な酸化ストレス状態にあり,それに対処するため,基本代謝を総動員してでも高レベルのGSHをキープする必要がある.そのため,system xcをはじめとして,Cys availabilityを上げるさまざまな「装置」を駆使して生き残りを賭けているのが実状で,この「装置」を標的にすることでがんという異常な酸化ストレス状態にある細胞のみを自滅に追い込む戦略も可能だろう.グルタチオン代謝とCys availabilityをベースに,副作用の少ない新たながん治療薬につながることを期待している.

Reference

1) A. Meister & M. E. Anderson: Annu. Rev. Biochem., 52, 711 (1983).

2) N.-E. Huseby, E. Sundkvist & G. Svineng: “Glutathione and Sulfur Amino Acids in Human Health and Disease,” ed. by R. Masella & G. Mazza, Wiley, 2009, p. 93.

3) G. E. Clement & T. P. Hartz: J. Chem. Educ., 48, 395 (1971).

4) D. L. Rabenstein: J. Am. Chem. Soc., 95, 2797 (1973).

5) H. Zhang, H. J. Forman & J. Choi: Methods Enzymol., 401, 468 (2005).

6) W. P. Jencks & J. Rgenstein: “CRC Handbook of Biochemistry,” ed. by H. A. Sober, 1968, p. J150.

7) A.-A. Stark, E. Zeiger & D. A. Pagano: Carcinogenesis, 14, 183 (1993).

8) J. Hiratake, H. Suzuki, K. Fukuyama, K. Wada & H. Kumagai: “Handbook of Proteolytic Enzymes,” ed. by N. D. Rawlings & G. S. Salvesen, Academic Press, 2013, p. 3713.

9) G. A. Thompson & A. Meister: Biochem. Biophys. Res. Commun., 71, 32 (1976).

10) M. H. Hanigan: Adv. Cancer Res., 122, 103 (2014).

11) A. Pompella, V. De Tata, A. Paolicchi & F. Zunino: Biochem. Pharmacol., 71, 231 (2006).

12) J. E. Mason, R. D. Starke & J. E. Van Kirk: Prev. Cardiol., 13, 36 (2010).

13) S. Dominici, A. Paolicchi, E. Lorenzini, E. Maellaro, M. Comporti, L. Pieri, G. Minotti & A. Pompella: BioFactors, 17, 187 (2003).

14) M. Emdin, A. Pompella & A. Paolicchi: Circulation, 112, 2078 (2005).

15) A. Paolicchi, M. Emdin, C. Passino, E. Lorenzini, F. Titta, S. Marchi, G. Malvaldi & A. Pompella: Atherosclerosis, 186, 80 (2006).

16) K. Shibayama, K. Kamachi, N. Nagata, T. Yagi, T. Nada, Y. Doi, N. Shibata, K. Yokoyama, K. Yamane, H. Kato et al.: Mol. Microbiol., 47, 443 (2003).

17) B. Flahou, F. Haesebrouck, K. Chiers, K. Van Deun, L. De Smet, B. Devreese, I. Vandenberghe, H. Favoreel, A. Smet, F. Pasmans et al.: Cell. Microbiol., 13, 1933 (2011).

18) L. Han, J. Hiratake, A. Kamiyama & K. Sakata: Biochemistry, 46, 1432 (2007).

19) S. Yamamoto, B. Watanabe, J. Hiratake, R. Tanaka, M. Ohkita & Y. Matsumura: J. Pharmacol. Exp. Ther., 339, 945 (2011).

20) M. Tuzova, J.-C. Jean, R. P. Hughey, L. A. S. Brown, W. W. Cruikshank, J. Hiratake & M. Joyce-Brady: Frontiers in Pharmacol., 5, 1 (2014) DOI: 10.3389/fphar.2014.00179.

21) M. Joyce-Brady & J. Hiratake: Curr. Enz. Inhibit., 7, 71 (2011).

22) 湯浅(小島)明子,林 倫子,韓 立友,渡辺文太,平竹潤,湯浅 勲:日本香粧品学会誌,36, 93 (2012).

23) 科学技術振興機構:「研究成果を社会に還元するための戦略」,JST News, 6月号,p. 8 (2012).

24) M. Lo, Y.-Z. Wang & P. W. Gout: J. Cell. Physiol., 215, 593 (2008).

25) J. Lewerenz, S. J. Hewett, Y. Huang, M. Lambros, P. W. Gout, P. W. Kalivas, A. Massie, I. Smolders, A. Methner, M. Pergande et al.: Antioxid. Redox Signal., 18, 522 (2013).

26) P. W. Gout, A. R. Buckley, C. R. Simms & N. Bruchovsky: Leukemia, 15, 1633 (2001).

27) S. J. Dixon, K. M. Lemberg, M. R. Lamprecht, R. Skouta, E. M. Zaitsev, C. E. Gleason, D. N. Patel, A. J. Bauer, A. M. Cantley, W.-S. Yang et al.: Cell, 149, 1060 (2012).

28) T. Ishimoto, O. Nagano, T. Yae, M. Tamada, T. Motohara, H. Oshima, M. Oshima, T. Ikeda, R. Asaba, H. Yagi et al.: Cancer Cell, 19, 387 (2011).

29) S. Kageyama, H. Iwaki, H. Inoue, T. Isono, T. Yuasa, M. Nogawa, T. Maekawa, M. Ueda, Y. Kajita, O. Ogawa et al.: Proteomics Clin. Appl., 1, 192 (2007).

30) A. J. Oakley, T. Yamada, D. Liu, M. Coggan, A. G. Clark & P. G. Board: J. Biol. Chem., 283, 22031 (2008).

31) D. Uejima, K. Nishijo, Y. Kajita, T. Ishibe, T. Aoyama, S. Kageyama, H. Iwaki, T. Nakamura, H. Iida, T. Yoshiki et al.: Anticancer Res., 31, 1297 (2011).