セミナー室

木材腐朽担子菌のゲノム・ポストゲノム解析から植物細胞壁と分解酵素の共進化を考える

Chiaki Hori

千明

独立行政法人理化学研究所環境資源科学研究センターバイオマス工学研究部門セルロース生産研究チーム ◇ 〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町一丁目7番22号

Cellulose Production Research Team, Biomass Engineering Research Division, Center for Sustainable Resource Science, RIKEN ◇ 1-7-22 Suehiro-cho, Tsurumi-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 230-0045, Japan

Kiyohiko Igarashi

五十嵐 圭日子

東京大学大学院農学生命科学研究科 ◇ 〒113-8657 東京都文京区弥生一丁目1番1号

Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo ◇ 1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8657, Japan

Masahiro Samejima

鮫島 正浩

東京大学大学院農学生命科学研究科 ◇ 〒113-8657 東京都文京区弥生一丁目1番1号

Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo ◇ 1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8657, Japan

Published: 2015-05-20

陸上で最も多くの炭素が蓄積されている植物細胞壁は,化石資源の乏しいわが国が循環型社会を構築するために欠かせない生物資源(バイオマス)であると言える.しかしながら,植物細胞壁の主要成分であるセルロース,ヘミセルロース,リグニンは,お互いに水を排除しながら複雑なマトリックスを形成して固体となり,多くの生物による分解・資化を妨げるようにデザインされている.一方で担子菌の一種である木材腐朽菌は,菌体外酵素を利用することで,この難分解性の植物細胞壁を栄養源として生きている.近年,木材腐朽菌による植物細胞壁成分の分解機構を理解するために,多くの木材腐朽菌の全ゲノム配列情報が取得されているが,その結果,褐色・白色といった腐朽菌に特徴的な木材の分解様式に遺伝情報がどのようにかかわっているのかという理解が進むとともに,植物と腐朽菌の進化が「植物細胞壁と分解酵素の攻防」で表現されることが明らかとなってきている.本稿では,筆者らがかかわってきた木材腐朽担子菌のゲノム・ポストゲノム解析の動向について解説すると同時に,細胞壁を壊されないように進化する植物と,より強力な分解力を手に入れようとする腐朽菌の「いたちごっこ」を紹介したい.

木材腐朽菌が生産する分解酵素に関する研究の背景

木材腐朽菌研究の歴史は,古くは1800年代後半にまでさかのぼることができる.主に担子菌類に分類される木材腐朽菌によって木が分解されると,腐朽後に材が白くなる「白色腐朽菌」と褐色になる「褐色腐朽菌」があることが経験的に知られていたが,1878年にHartig(1)1) R. Hartig: “Die Zersetzungserscheinungen des Holzes der Nadelholzbaume und der Eiche in Forstlicher, Botanischer und Chemischer Richtung," Springer, 1876.は「Zersetzungserscheinungen des Holzes(木材の腐朽状態)」の中で,腐朽された木材の色が「白色」と「赤色」に分類されることに触れており,これが現在の「白色腐朽菌」と「褐色腐朽菌」の分類につながっていると考えられている(図1図1■白色腐朽菌(左)および褐色腐朽菌(右)によって腐朽された木材).その後1900年代に入ると,さまざまな腐朽菌において木材の組織(細胞壁)がどのように壊されるのかが顕微鏡観察されるとともに,腐朽前後の木材成分の差から,腐朽過程において各腐朽菌がどのような成分を分解しているのかが詳細に調べられた.その結果,褐色腐朽菌では腐朽初期におけるセルロースとヘミセルロースの急激な低分子化が起こっているがリグニンがほとんど分解されていないこと,白色腐朽菌ではセルロース,ヘミセルロース,リグニンがほぼ均一に分解されていくことが明らかとなった(2)2) J. J. Worrall, S. E. Anagnost & R. A. Zabel: Mycologia, 89, 199 (1997).

図1■白色腐朽菌(左)および褐色腐朽菌(右)によって腐朽された木材

1980年前後になると石油危機を契機として,腐朽菌が生産するセルロース・ヘミセルロースなどの糖質分解活性およびリグニン分解活性についてモデル培養系を使って調査されるようなった.特にリグニン分解能力が高く,分生胞子を形成することから実験に用いやすい白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumにおいて研究が進められた.そのようななか,1983年にリグニン分解酵素:リグニンペルオキシダーゼ(LiP)が本菌から見いだされたことは,最も重要な発見であると考えられる(3)3) M. Tien & T. K. Kirk: Science, 221, 661 (1983)..次いで,マンガンイオン依存性ペルオキシダーゼ(MnP)が発見され,それ以前から知られていたラッカーゼとともに,リグニン分解関連酵素がさまざまな木材腐朽菌から単離・特性解析された(4)4) P. Kersten & D. Cullen: Fungal Genet. Biol., 44, 77 (2007)..また,ペルオキシダーゼに過酸化水素を供給する酵素についても探索が行われた結果,グルコース酸化酵素,脂質酸化酵素,グリオキサル酸化酵素(GLOX),メタノール酸化酵素,ピラノース酸化酵素をはじめとした酸化酵素についての研究も同時に進められた(4)4) P. Kersten & D. Cullen: Fungal Genet. Biol., 44, 77 (2007)..1980年代になると分子生物学的解析が可能となり,分解酵素をコードする遺伝子の単離とアミノ酸配列の決定,さらに変異導入された酵素の解析などによって触媒残基が解明された.さらに1990年代以降になると代表的な酵素の立体構造が明らかにされることにより,これら分解酵素の理解が分子レベルで進んだ.これらのことを受け,それまでは基質特異性によって分類されていたセルロースやヘミセルロースなどの多糖の分解に関与する糖質関連酵素(Carbohydrate-Active enZymes; CAZymes)(5)5) B. L. Cantarel, P. M. Coutinho, C. Rancurel, T. Bernard, V. Lombard & B. Henrissat: Nucleic Acids Res., 37(Database), D233 (2009).が,アミノ酸配列から予測される疎水性クラスターに基づいて各CAZyファミリーに分類されることとなった.一方,リグニン分解に関連する酵素については,当初真菌由来酸化的リグニン分解酵素(Fungal Oxidative Lignin Enzymes; FOLy)データベース(6)6) A. Levasseur, F. Piumi, P. M. Coutinho, C. Rancurel, M. Asther, M. Delattre, B. Henrissat, P. Pontarotti, M. Asther & E. Record: Fungal Genet. Biol., 45, 638 (2008).に遺伝子配列情報が登録されていたが,現在はCAZyデータベース内の補助活性(AA)ファミリーにカテゴリー化されている(7)7) A. Levasseur, E. Drula, V. Lombard, P. M. Coutinho & B. Henrissat: Biotech. Biofuels, 6, 41 (2013)..最近見いだされた多糖溶解性モノオキシゲナーゼ(LPMO)(8~11)8) G. Vaaje-Kolstad, B. Westereng, S. J. Horn, Z. Liu, H. Zhai, M. Sørlie & V. G. H. Eijsink: Science, 330, 219 (2010).9) R. J. Quinlan, M. D. Sweeney, L. Lo Leggio, H. Otten, J.-C. N. Poulsen, K. S. Johansen, K. B. R. M. Krogh, C. I. Jørgensen, M. Tovborg, A. Anthonsen et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 15079 (2011).10) C. M. Phillips, W. T. Beeson IV, J. H. Cate & M. A. Marletta: ACS Chem. Biol., 6, 1399 (2011).11) B. Westereng, T. Ishida, G. Vaaje-Kolstad, M. Wu, V. G. H. Eijsink, K. Igarashi, M. Samejima, J. Ståhlberg, S. J. Horn & M. Sandgren: PLoS ONE, 6, e27807 (2011).およびセロビオース脱水酵素(CDH)に加えて最近発見された新規ピロロキノリンキノン(PQQ)依存性糖酸化酵素といった糖分解に関与する酸化還元酵素についてもAAファミリーに分類されている(12)12) H. Matsumura, K. Umezawa, K. Takeda, N. Sugimoto, T. Ishida, M. Samejima, H. Ohno, M. Yoshida, K. Igarashi & N. Nakamura: PLoS ONE, 9, e104851 (2014).

2000年代になると,ゲノムの全塩基配列をDNAシーケンサーで解読し,既知タンパク質や転写産物配列との類似性およびエキソン・イントロン境界の規則性から,得られたゲノム配列中に存在する全遺伝子を予測することが可能となった.同時に,DNAマイクロアレイや質量分析器の発達により,トランスクリプトームおよびプロテオームといった網羅的な発現情報を取得することがポストゲノム解析として可能となった.2004年にはこれら技術が木材腐朽菌分野に用いられ,白色腐朽菌P. chrysosporiumの全ゲノム配列情報が,木材腐朽菌として初めて公開された(13)13) D. Martinez, L. F. Larrondo, N. Putnam, M. D. S. Gelpke, K. Huang, J. Chapman, K. G. Helfenbein, P. Ramaiya, J. C. Detter, F. Larimer et al.: Nat. Biotechnol., 22, 695 (2004)..それ以降の技術発達により,ゲノムおよびポストゲノム解析が加速され,現在では20種以上の腐朽菌のゲノム情報が報告されており(14)14) R. Riley, A. A. Salamov, D. W. Brown, L. G. Nagy, D. Floudas, B. W. Held, A. Levasseur, V. Lombard, E. Morin, R. Otillar et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 9923 (2014).,さらには今後1,000種以上の菌類のゲノム情報を取得することが米国エネルギー省JGIを中心として計画されている(15)15) I. V. Grigoriev, R. Nikitin, S. Haridas, A. Kuo, R. Ohm, R. Otillar, R. Riley, A. Salamov, X. Zhao, F. Korzeniewski et al.: Nucleic Acids Res., 42(D1), D699 (2014).

白色腐朽菌のゲノム・ポストゲノム解析

ほかの腐朽菌に先駆けて白色腐朽菌のモデル菌であるP. chrysosporiumの全ゲノム解析が米国農務省(USDA)の先導で1999年から始まり,その配列解析の結果が2004年に公表された(13)13) D. Martinez, L. F. Larrondo, N. Putnam, M. D. S. Gelpke, K. Huang, J. Chapman, K. G. Helfenbein, P. Ramaiya, J. C. Detter, F. Larimer et al.: Nat. Biotechnol., 22, 695 (2004)..その中にはリグニン分解に関連すると考えられる10個のLiPおよび5個のMnPを含む17個のペルオキシダーゼ遺伝子の存在が明らかとなった.加えて,GLOXをはじめとした18個の酸化酵素遺伝子の存在も予測された.驚くべきごとに,セルロースやヘミセルロースなどの木材多糖の分解に関与すると推測されるCAZymesが240個以上,その中でも糖質加水分解酵素(GH)遺伝子を166個も保有することが予測された.当菌から単離されたリグニン分解酵素の裏づけがされた一方,糖質分解酵素についてはより多くの代謝系を保有していることが示唆された.さらに,機能が明らかとなっていない機能未知酵素を多くコードしていることも明らかとなり,木材腐朽菌がほかの生物と比較して特徴的な分解酵素を利用することで,ほかの生物に分解できない植物細胞壁を効率よく分解していることが推測された.

翌年の2005年には,セルロースを炭素源としたときに本菌が生産する菌体外タンパク質についての全分泌タンパク質解析(セクレトーム解析)が行われた(16)16) A. Vanden Wymelenberg, G. Sabat, D. Martinez, A. S. Rajangam, T. T. Teeri, J. Gaskell, P. J. Kersten & D. Cullen: J. Biotechnol., 118, 17 (2005)..その結果48種類のタンパク質が同定され,そのうち32個がGHファミリーに属することが明らかとなった.セルロース分解にかかわる酵素として,GHファミリー6または7に属するセロビオハイドロラーゼおよびエンドグルカナーゼといったセルラーゼに加えて,CDHやLPMOなどの酸化還元酵素が検出された.これらセルロース分解関連酵素と同時に,さまざまなヘミセルロース分解酵素が生産されていることも明らかになった.一方,グルコースを炭素源とした標準リグニン分解培養系でのセクレトーム解析結果も報告されたが(17)17) A. Vanden Wymelenberg, P. Minges, G. Sabat, D. Martinez, A. Aerts, A. Salamov, I. Grigoriev, H. Shapiro, N. Putnam, P. Belinky et al.: Fungal Genet. Biol., 43, 343 (2006).,この培養系ではLiP, MnPおよびGLOXのほかに,多くのヘミセルラーゼやペクチナーゼ,プロテアーゼが検出されたが,セルラーゼは検出されなかったことから,リグニン分解時と多糖分解時では異なる酵素系が用いられていることが示唆された.さらに木粉を炭素源とした培養系でのセクレトーム解析および次世代DNAシーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析から,一連の分解酵素の多くが木質バイオマスを分解する過程で生産されていることが示された(18~20)18) A. Abbas, H. Koc, F. Liu & M. Tien: Curr. Genet., 47, 49 (2005).19) S. Sato, F. Liu, H. Koc & M. Tien: Microbiology, 153, 3023 (2007).20) S. Sato, F. A. Feltus, P. Iyer & M. Tien: Curr. Genet., 55, 273 (2009).

木材中に存在するまたは生成されるほかの成分に対するP. chrysosporiumの応答に着目した比較セクレトーム解析結果においても興味深い現象がいくつか報告されている.リグニン代謝産物の一つと考えられるバニリンを添加すると,本菌によるGLOXやMnPといったリグニン分解関連酵素の生産が上昇することが明らかとなった(21)21) M. Shimizu, T. Fujii, S. Masuo, K. Fujita & N. Takaya: Proteomics, 9, 7 (2009)..またわれわれは,セルロース分解性培養系にキシランやデンプンを添加した場合に,本菌による多糖の認識・分解において相互に影響を与えることを明らかにしている(22,23)22) C. Hori, K. Igarashi, A. Katayama & M. Samejima: FEMS Microbiol. Lett., 321, 14 (2011).23) C. Hori, H. Suzuki, K. Igarashi & M. Samejima: Appl. Environ. Microbiol., 78, 3770 (2012)..すなわち,デンプンを添加すると,セルロースおよびヘミセルロース分解酵素の生産が減少するが,キシランを添加するとキシラン分解酵素だけでなく,CDHやLPMOなどのセルロース分解に関与すると考えられている糖酸化酵素の生産が増加することを示した(表1表1■二次元電気泳動法により決定されたキシラン存在下でP. chrysosporiumが生産する量が増加するタンパク質スポット(C:セルロース培地,CX:セルロース+キシラン培地)).これら網羅的な発現応答の結果は,本菌が木材分解過程でさまざまな物質を認識し,その状況に合わせて分解酵素の生産制御を行っていることを示しており,木材腐朽菌の木材分解について基本となる情報が次々と明らかにされている.

表1■二次元電気泳動法により決定されたキシラン存在下でP. chrysosporiumが生産する量が増加するタンパク質スポット(C:セルロース培地,CX:セルロース+キシラン培地)
ファミリー機能(遺伝子名)CCX相対値*
GH10エンドキシラナーゼ(xyn10C)5.6
GH10エンドキシラナーゼ(xyn10C)CXのみ
GH10エンドキシラナーゼ(xyn10C)CXのみ
GH10エンドキシラナーゼ(xyn10C)CXのみ
GH10エンドキシラナーゼ(xyn10C)CXのみ
GH28エンドポリガラクチュロナーゼ(epg28A)2.6
AA9可溶性多糖モノオキシゲナーゼ(GH61C)CXのみ
AA9可溶性多糖モノオキシゲナーゼ(GH61C)2.1
CE15グルクロノイルエステラーゼ2.1
AA3/AA8セロビオース脱水素酵素2.1
* Cに対するCXのタンパク質スポットの蛍光強度の相対値を表す.

モデル白色腐朽菌P. chrysosporiumのようにセルロースおよびヘミセルロース,リグニンを同時に分解するグループに対し,セルロースを残してリグニンを優先的に分解する白色腐朽菌は選択的リグニン分解菌と呼ばれるグループが存在する(24)24) R. A. Blanchette: Annu. Rev. Phytopathol., 29, 381 (1991)..2012年に白色腐朽菌の中でも特に選択的リグニン分解菌として研究が進んでいるCeriporiopsis subvermisporaの全ゲノム配列が明らかにされP. chrysosporiumとの比較ゲノム解析が行われた(25)25) E. Fernandez-Fueyo, F. J. Ruiz-Dueñas, P. Ferreira, D. Floudas, D. S. Hibbett, P. Canessa, L. F. Larrondo, T. Y. James, D. Seelenfreund, S. Lobos et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 5458 (2012).C. subvermisporaは,ゲノム上に13個のMnP遺伝子を有していることが明らかとなり,P. chrysosporiumの5個と比較して多くのMnP遺伝子を保有していることがわかった.さらに,従来のLiP,MnPおよび多機能型ペルオキシダーゼとは基質特異性が異なる高い酸化能力をもつペルオキシダーゼ遺伝子を有していたことから,このような酵素系の違いが両菌によるリグニン分解様式の違いを与えると推測された.一方,糖質分解酵素に関しては,両菌が保有している遺伝子には大きな違いはないが,木粉培地におけるトランスクリプトームおよびセクレトーム解析結果から,セルロースやヘミセルロース分解にかかわると考えられる酵素の転写,翻訳,分泌のレベルで異なっていることが明らかとなった.さらに,木紛培地における経時的なセクレトーム解析により,本菌は木材分解初期からリグニン分解酵素を高発現する一方,糖質分解酵素の生産は経時的に増加することが明らかとなった(26)26) C. Hori, J. Gaskell, K. Igarashi, P. Kersten, M. Mozuch, M. Samejima & D. Cullen: Appl. Environ. Microbiol., 80, 2062 (2014).図2図2■木紛培地においてリグニン選択分解白色腐朽菌C. subvermisporaが生産する菌体外タンパク質の経時発現量変化のクラスター解析).これらのことから,C. subvermisporaではP. chrysosporiumと比較して,MnPを代表としたリグニン分解関連酵素遺伝子の発現が分解初期から高いことが,本菌による選択的リグニン分解様式を決定していると考えられた.

図2■木紛培地においてリグニン選択分解白色腐朽菌C. subvermisporaが生産する菌体外タンパク質の経時発現量変化のクラスター解析

褐色腐朽菌のゲノム・ポストゲノム解析

2009年に褐色腐朽菌Postia placentaの全ゲノム塩基配列が解読され,前述した白色腐朽菌P. chrysosporiumとのゲノムワイドな比較解析が行われた(27)27) D. Martinez, J. Challacombe, I. Morgenstern, D. Hibbett, M. Schmoll, C. P. Kubicek, P. Ferreira, F. J. Ruiz-Duenas, A. T. Martinez, P. Kersten et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 1954 (2009)..その結果,褐色腐朽菌P. placentaは,リグニン分解にかかわるLiPやMnPだけでなく,結晶性セルロースを分解するために必要なGHファミリー6や7のセロビオハイドロラーゼ,さらにはセルロース吸着ドメインをコードする遺伝子をもたないことが明らかとなった.その翌年には,P. placentaP. chrysosporiumと比較してヘミセルロース分解酵素を多く生産するが,セルロース分解にかかわる酵素をほとんど生産しないことが示された(28)28) A. Vanden Wymelenberg, J. Gaskell, M. Mozuch, G. Sabat, J. Ralph, O. Skyba, S. D. Mansfield, R. A. Blanchette, D. Martinez, I. Grigoriev et al.: Appl. Environ. Microbiol., 76, 3599 (2010)..これらセルラーゼを生産しない特徴と鉄酸化酵素の生産性が高かった結果は,金属イオンと過酸化水素の存在でヒドロキシルラジカルが生成され(フェントン反応:Fe2++H2O2→Fe3++OH·+OH),さまざまな植物細胞壁成分を分解できるという既往の研究結果を裏付けるものであった.さらに2012年に報告された褐色腐朽菌ナミダタケ(Serpula lacrymans)のゲノムワイドな解析においても,鉄酸化酵素による活性酸素種を介した初発の分解後にエンドグルカナーゼやキシラナーゼなどの糖質加水分解酵素による主鎖分解が進むことが提唱された(29)29) D. C. Eastwood, D. Floudas, M. Binder, A. Majcherczyk, P. Schneider, A. Aerts, F. O. Asiegbu, S. E. Baker, K. Barry, M. Bendiksby et al.: Science, 333, 762 (2011).

上述した代表的な白色腐朽菌および褐色腐朽菌の成功例を受け,P. chrysosporiumP. placentaC. subvermisporaなどの多くの木材分解能力の高い腐朽菌が属する担子菌,ハラタケ網,サルノコシカケ目に属する11種の腐朽菌について比較ゲノム解析およびセクレトーム解析が行われた(30)30) C. Hori, J. Gaskell, K. Igarashi, M. Samejima, D. Hibbett, B. Henrissat & D. Cullen: Mycologia, 105, 1412 (2013).表2表2■11種の白色・褐色腐朽菌ゲノムにコードされている主な糖質分解に関連する酵素ファミリーの遺伝子数).上述したように,褐色腐朽菌は結晶性セルロースを分解するために必要なGHファミリー6や7のセロビオヒドロラーゼ,セルロース吸着ドメインに加えて,GHファミリー9セルラーゼをコードする遺伝子を保有していないこと,GH45セルラーゼ遺伝子数が少ないことが明らかとなった.また,セルロース分解にかかわる酸化還元酵素に関しては,褐色腐朽菌ではCDH遺伝子を保有していないこと,また,LPMOについては褐色腐朽菌では平均保有遺伝子数が3個であるのに対して,白色腐朽菌では平均16個の遺伝子を保有していた.実際に,木粉培地でのセクレトーム解析を行ったところ,GH6,GH7,CDH,LPMOは白色腐朽菌においてのみ同定された.ヘミセルロース分解についても,褐色腐朽菌と比較して白色腐朽菌ゲノム中に保有している遺伝子数が多いファミリーとして,GHファミリー79β-グルクロニダーゼ,GHファミリー74グルカナーゼ,GHファミリー10キシラナーゼ,さらに,キシラン分解に関与する糖質エステラーゼ(CE)ファミリー1および15が挙げられた.これらのことから,セルロースだけでなく,ヘミセルロース分解においても褐色腐朽菌と比較して,白色腐朽菌は多様な酵素群を利用していることが明らかとなった.注目すべきは,セクレトーム解析において白色腐朽菌では検出されず,褐色腐朽菌で検出された唯一の酵素がキノン還元酵素であったことだ.キカイガラタケ目に属する褐色腐朽菌キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)において,リグニン代謝産物であるヒドロキノン–キノン酸化還元サイクリングによって過酸化水素の供給とFe3+を還元することが提唱されており,キノン還元酵素が重要な働きをする可能性が示唆されている(31)31) A. Vanden Wymelenberg, J. Gaskell, M. Mozuch, S. S. Bondurant, G. Sabat, J. Ralph, O. Skyba, S. D. Mansfield, R. A. Blanchette, I. V. Grigoriev et al.: Appl. Environ. Microbiol., 77, 4499 (2011)..したがって,このようなキノンを介した木材分解システムが広く褐色腐朽菌に存在する可能性が示された.

表2■11種の白色・褐色腐朽菌ゲノムにコードされている主な糖質分解に関連する酵素ファミリーの遺伝子数
菌名GH*PLCECBMLPMOCDH
35679101112253035374574798115120
褐色腐朽菌Fomitopsis pinicola1219000202010222030110240
Wolfiporia cocos91800040202241030110120
Postia placenta72200040203191020110120
平均値9.3200003.302051.751.302.701101.330
白色腐朽菌Bjerkandera adusta9191514021143328122322281
Ganoderma spp131813190323723112322183161
Phlebia brevispora82314180212434111222283121
Dichomitus squalens819141250322332113322172151
Trametes versicolor132214160514223111242234181
Ceriporiopsis subvermispora7181312613111221824216491
Phanerochaete carnosa112417161313422213133273111
Phanerochaete chrysosporium11191716121232225152312151
平均値102014.616.30.42.91.32.33.52.42.61.410.11.932.3242.9161
* GH:糖質加水分解酵素,PL:多糖リアーゼ,CE:糖質エステラーゼ,CBM:糖質結合モジュール,LPMO:可溶性多糖モノオキシゲナーゼ,CDH:セロビオース脱水素酵素.

木材腐朽菌の樹種選択性に関するゲノム・ポストゲノム解析

木材腐朽菌の種類によって分解しやすい樹種が異なることはよく知られており,一般的に,多くの白色腐朽菌が広葉樹を中心として分解するのに対し,褐色腐朽菌は針葉樹を分解することから,分解樹種の選択性に傾向があることが指摘されている.実際にモデル白色・褐色腐朽菌を用いたセクレトーム解析にて,針葉樹または広葉樹を炭素源とした場合に生産される菌体外酵素の違いが報告されている(32)32) S. Mahajan & E. R. Master: Appl. Microbiol. Biotechnol., 86, 1903 (2010)..特に,針葉樹の樹種選択性に着目した解析については,P. chrysosporiumの近縁種である針葉樹分解性の白色腐朽菌Phanerochaete carnosaを用いたカナダのグループによっていくつか報告がなされている.なかでも,セルロースや木粉培地でのセクレトーム解析結果において,糖質分解酵素ではGHファミリー2のマンノシダーゼ,リグニン分解酵素ではMnPが生産されることが,P. chrysosporiumと比較して特徴的であった(33)33) H. Suzuki, J. Macdonald, K. Syed, A. Salamov, C. Hori, A. Aerts, B. Henrissat, A. Wiebenga, P. A. Vankuyk, K. Barry et al.: BMC Genomics, 13, 444 (2012)..リグニン分解酵素の中でも,LiPは過酸化水素存在下で直接的にリグニン基質を分解するのに対し,MnPはメディエターであるMnイオンを介してリグニンを分解することが知られている.これら酵素が広葉樹と比較して針葉樹に特徴的なヘミセルロース(マンナン)や針葉樹に特徴的なリグニン(グアイアシル基が多く密度が高いリグニン)を分解するのに適しているために,本菌が針葉樹分解を達成している可能性が示唆されている.さらに,P. chrysosporiumとの比較ゲノム解析により,抽出物質の分解に関連するシトクロムP450モノオキシゲナーゼ遺伝子を多く保有していることが明らかとなり,抽出物質の分解能の差異も針葉樹分解にかかわっている可能性が示唆された(34)34) C. Hori, T. Ishida, K. Igarashi, M. Samejima, H. Suzuki, E. Master, P. Ferreira, F. J. Ruiz-Duenas, B. Held, P. Canessa et al.: PLoS Genetics, 10, e1004759 (2014)..ほかの例として,伐採直後の抽出物質を豊富に含む針葉樹にいち早くコロニーを形成することが知られている白色腐朽菌Phlebiopsis giganteaについてもゲノム・ポストゲノム解析が行われた.その結果,植物細胞壁の主成分を分解する酵素群であるAAファミリーおよびCAZyファミリーをコードする遺伝子数はほかの白色腐朽菌とほとんどほとんど一緒である一方で,抽出成分を分解する酵素をコードする遺伝子数のパターンが違うこと(図3図3■18種類の木材腐朽菌が保有する糖質関連酵素およびリグニン分解関連酵素ファミリーの遺伝子数の主成分解析),また脂質代謝関連酵素の発現増加が観察された(35)35) D. Floudas, M. Binder, R. Riley, K. Barry, R. A. Blanchette, B. Henrissat, A. T. Martínez, R. Otillar, J. W. Spatafora, J. S. Yadav et al.: Science, 336, 1715 (2012).

図3■18種類の木材腐朽菌が保有する糖質関連酵素およびリグニン分解関連酵素ファミリーの遺伝子数の主成分解析

上部グループに白色腐朽菌または下部グループに褐色腐朽菌に分布した.このことは糖質関連酵素およびリグニン分解関連酵素が各々のグループで特徴が似ているということを示している.

木材腐朽菌が保有する分解酵素の分子進化

全31種の真菌類に対して分子系統学的な比較ゲノム解析を行った結果が報告された(36).まずゲノム上の木材分解関連酵素遺伝子の数を比較したところ,白色腐朽菌が複数のクラスII(真菌類の分泌型)ペルオキシダーゼ(POD)遺伝子を保有していることが特徴として挙げられた.PODの分子進化解析を行ったところ,リグニン分解酵素遺伝子としてMnPが担子菌によって獲得されたことを契機として,白色腐朽菌はそれらを拡張することによりリグニン分解能力を獲得し,その一方で褐色腐朽菌は,それらリグニン分解にかかわる遺伝子が進化過程で欠損したことが明らかとなった(図4図4■リグニン分解にかかわるPODの分子時計解析に各種グルカナーゼおよびPOD遺伝子の存在有無を調べた系統樹).さらに,分子時計解析によって,MnPが発生した時期とPODが増加した担子菌ハラタケ亜門ハラタケ網が進化した時期が一致する(約2.9億年前)ことが明らかとなった(図4図4■リグニン分解にかかわるPODの分子時計解析に各種グルカナーゼおよびPOD遺伝子の存在有無を調べた系統樹).この時期は古生代における石炭紀からペルム紀へ移行する時期であり,これまで古生物学において推測されていた石炭紀の終焉と白色腐朽菌によるリグニン分解能力の獲得が,真菌の比較ゲノム解析からも検証されることとなった.この結果から,木材腐朽菌の木材を分解する能力が地球の炭素循環に深くかかわっていることが理解できるであろう.

図4■リグニン分解にかかわるPODの分子時計解析に各種グルカナーゼおよびPOD遺伝子の存在有無を調べた系統樹

図中系統樹の数はそのクレードが分かれた年代(単位100万年)を表している.また,各菌におけるクラスIIペルオキシダーゼの遺伝子数を学名略称の下に書いた.オレンジ色のバーはそれぞれGHファミリー16のエンドグルカナーゼ,GHファミリー6または7のセロビオヒドロラーゼ,GHファミリー74のキシログルカナーゼ,およびクラスIIペルオキシダーゼの分布である.Floudasら(35)35) D. Floudas, M. Binder, R. Riley, K. Barry, R. A. Blanchette, B. Henrissat, A. T. Martínez, R. Otillar, J. W. Spatafora, J. S. Yadav et al.: Science, 336, 1715 (2012).のデータを和名を変換し,さらに各酵素の分布を追加した.

次に各31種類の真菌類が,β-1,4-グルカナーゼ遺伝子(GHファミリー5, 6, 7, 74)をゲノム中に保有しているかどうかを調べた.図4図4■リグニン分解にかかわるPODの分子時計解析に各種グルカナーゼおよびPOD遺伝子の存在有無を調べた系統樹に示すように,主に非晶性のセルロースを分解するGHファミリー5に属するエンドグルカナーゼは,担子菌類,子嚢菌類ともに広く分布しているのに対して,結晶性セルロースを分解できるセロビオヒドロラーゼ(GHファミリー6および7)をコードする遺伝子は,ツボカビ門やプクシニア菌亜門の一部,さらに前述のとおりサルノコシカケ目の中の褐色腐朽菌では欠損していた.興味深いことに,GHファミリー74に属するキシログルカナーゼの分布はさらに狭くなっており,担子菌類ではハラタケ綱にはあるがアカキクラゲ綱にはなく,子嚢菌類ではチャワンタケ亜門の中の一部の菌類のみが遺伝子を保有していた.一方,これら酵素の基質であるβ-1,4-グルカンが植物の進化においていつ獲得されてきたかを調べると,藻類はすでにセルロースを合成しており,高結晶性のセルロースを含むものが存在していること,また,キシログルカンについては,陸上植物においてセルロースを架橋するようになった(37)37) C. Kremer, F. Pettolino, A. Bacic & A. Drinnan: Planta, 219, 1023 (2004).ことから,β-1,4-グルカナーゼを保有する菌類の分布と,植物中の細胞壁成分の植物の進化的な分布には,相関があると考えられた.図4図4■リグニン分解にかかわるPODの分子時計解析に各種グルカナーゼおよびPOD遺伝子の存在有無を調べた系統樹に示すようにファミリー74に属するキシログルカナーゼの分布と比較してリグニン分解酵素を保有する菌類はさらに少なくなっているが,初期の陸上植物であるコケ類はリグニン様の芳香族化合物を含有しているだけであり,それ以降の植物はリグニンを含有している(37)37) C. Kremer, F. Pettolino, A. Bacic & A. Drinnan: Planta, 219, 1023 (2004)..これらのことを考慮すると,植物が細胞壁中に新しい構造をもつと,それを分解する酵素を真菌が進化させるという「いたちごっこ」の共進化関係にあるように感じられる.全ゲノム配列が解析される菌種が爆発的に増える中で,植物細胞壁とそれを分解する菌類の共進化のプロセスが明らかになっていくことが期待される.

Acknowledgments

本稿で紹介した筆者らの研究結果は,主に米国農務省林産研究所のDan Cullen博士,米国クラーク大学のDavid Hibbett教授との共同研究による成果である.この場を借りて厚く御礼申し上げる.

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