Kagaku to Seibutsu 54(2): 123-129 (2016)
セミナー室
植物のDNA損傷応答
Published: 2016-01-20
© 2016 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2016 公益社団法人日本農芸化学会
移動の自由のない植物は,高温や乾燥などさまざまな環境ストレスの影響を常に受けている.これら環境ストレスは,細胞内で活性酸素を発生させ,DNAを傷つけることが知られている(1, 2)1) A. Baxter, R. Mittler & N. Suzuki: J. Exp. Bot., 65, 1229 (2014).2) A. Barzilai & K. Yamamoto: DNA Repair (Amst.), 3, 1109 (2004)..また,紫外線や放射線,土壌中に含まれるアルミニウムや重金属,さらには病原菌感染などによってもDNAが損傷を受けることや(3~7)3) A. Ciccia & S. J. Elledge: Mol. Cell, 40, 179 (2010).7) J. Song & A. F. Bent: PLoS Pathog., 10, e1004030 (2014).,通常のDNA複製の過程でもしばしば損傷が起こることから,植物は内的・外的要因により常にDNA損傷を受けていると考えられている.
動物には,p53を中心としたDNA損傷応答機構が存在し,DNA修復や細胞周期停止,アポトーシスによる細胞死などを制御していることが知られている(8)8) L. M. Rozan & W. S. El-Deiry: Cell Death Differ., 14, 3 (2007)..このような応答機構が働くことで,軽微なDNAの損傷は修復され,致命的なDNA損傷に対しては細胞を積極的に死滅させることで,変異が入った遺伝情報が親から子へ伝わるのを防いでいる.植物も同様にDNAに損傷が与えられると,DNA修復や細胞周期停止などが起こることが知られているが,核内DNA倍加の誘導など,ほかの生物で見られないような植物独自の応答機構の存在も明らかにされつつある(9)9) K. O. Yoshiyama, K. Sakaguchi & S. Kimura: Biology (Basel), 2, 1338 (2013)..さらには,p53をはじめ動物のDNA損傷応答に重要な因子の多くが,植物ゲノムに存在していないことからも(10)10) F. A. Hoeberichts & E. J. Woltering: BioEssays News Rev. Mol. Cell. Dev. Biol., 25, 47 (2003).,植物はほかの生物とは異なる応答機構をもつと考えられる.
本稿では,動物と植物がDNA損傷に対してどのように応答するのか,それぞれの応答機構について紹介するとともに,移動の自由のない植物が,外部環境の変化に適応するために,進化の過程で獲得してきた植物独自のDNA損傷応答機構についても最近の知見を含め解説する.
DNAは常に損傷を受けており,正常な代謝活動においても一日あたり数万から数十万箇所でDNAに損傷が生じている(11)11) T. Lindahl & D. E. Barnes: Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol., 65, 127 (2000)..現在までに,DNAは数多くの要因により損傷を受けることが知られている.たとえば,自然発生的なヌクレオチドの水酸化や酸化などの修飾により,染色体の構造に変化を生じることにより損傷が引き起こされることや(12)12) T. Helleday, S. Eshtad & S. Nik-Zainal: Nat. Rev. Genet., 15, 585 (2014).,DNA複製の過程においても,複製エラーや複製フォークの進行阻害によりDNA損傷が誘発される.また,紫外線照射によっても,隣接したピリミジン塩基同士が共有結合することでチミン二量体を形成し,DNA複製を妨げることも知られている(13)13) T. A. Slieman & W. L. Nicholson: Appl. Environ. Microbiol., 66, 199 (2000)..そして,細胞内に蓄積した活性酸素によりDNAが損傷を受けることや(1, 2)1) A. Baxter, R. Mittler & N. Suzuki: J. Exp. Bot., 65, 1229 (2014).2) A. Barzilai & K. Yamamoto: DNA Repair (Amst.), 3, 1109 (2004).,X線,ガンマ線などの放射線照射(14)14) J. Ward: “DNA Damage and Repair: Nature of lesions formed by ionizing radiation,” ed. by J. A. Nickoloff & M. F. Hoekstra, Humana press, 1998, 2, p. 65.,さらには,ブレオマイシン,ゼオシンなどの化学物質(15, 16)15) J. Berdy: “Bleomycin-type antibiotics: Amino Acid and Peptide Antibiotics,” ed. by J. Berdy, CRC Press, 1980, p. 459.16) N. Fulcher & R. Sablowski: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 20984 (2009).などの暴露によっても,DNAの二本鎖切断が起きることが知られている.
最近では,土壌中に含まれる過剰なアルミニウムやホウ素によってもDNA損傷が引き起こされることが報告されている(4~6)4) V. M. Achary, S. Jena, K. K. Panda & B. B. Panda: Ecotoxicol. Environ. Saf., 70, 300 (2008).6) T. Sakamoto, Y. T. Inui, S. Uraguchi, T. Yoshizumi, S. Matsunaga, M. Mastui, M. Umeda, K. Fukui & T. Fujiwara: Plant Cell, 23, 3533 (2011)..アルミニウムは植物に対して毒性を示し,特に,根の成長を著しく阻害する.また,酸性土壌ではアルミニウムが毒性の強いイオン(Al3+)として溶け出すことで,作物の生育に影響を及ぼすことから世界的に大きな問題となっている.興味深いことに,DNA損傷応答にかかわるATR(ATM and Rad3-related)を欠損したシロイヌナズナ変異株は,アルミニウムに対して耐性を示すことが報告されている(5)5) M. A. Rounds & P. B. Larsen: Curr. Biol., 18, 1495 (2008)..そのことから,アルミニウムによる根の成長阻害にDNA損傷応答経路が重要な役割を果たしていると考えられる.また,ホウ素は植物にとって必須な栄養素であるが,一方で,過剰なホウ素はDNA損傷を引き起こし,植物の成長を著しく阻害することが報告されている(6)6) T. Sakamoto, Y. T. Inui, S. Uraguchi, T. Yoshizumi, S. Matsunaga, M. Mastui, M. Umeda, K. Fukui & T. Fujiwara: Plant Cell, 23, 3533 (2011)..最近の研究により,染色体構造の維持にかかわるコンデンシンII複合体を欠損したシロイヌナズナ変異株では,過剰なホウ素に対して高感受性を示すことが報告されている(6)6) T. Sakamoto, Y. T. Inui, S. Uraguchi, T. Yoshizumi, S. Matsunaga, M. Mastui, M. Umeda, K. Fukui & T. Fujiwara: Plant Cell, 23, 3533 (2011)..そして,コンデンシンIIの変異株では損傷DNAが過剰に蓄積していることから,コンデンシンII複合体が損傷DNAを修復する役割,もしくは,ホウ素暴露によるDNA損傷から,ゲノムDNAを保護する役割を果たしていると考えられている(6)6) T. Sakamoto, Y. T. Inui, S. Uraguchi, T. Yoshizumi, S. Matsunaga, M. Mastui, M. Umeda, K. Fukui & T. Fujiwara: Plant Cell, 23, 3533 (2011)..
さらに,病原菌の感染によってもDNA損傷が誘導されることが知られている(7)7) J. Song & A. F. Bent: PLoS Pathog., 10, e1004030 (2014)..植物病原細菌Pseudomonas syringae pv. tomato (Pst)strain DC3000 (Pst DC3000)を植物に感染させると,感染8時間後にはすでに損傷DNAの蓄積が観察される(7)7) J. Song & A. F. Bent: PLoS Pathog., 10, e1004030 (2014)..また,病原菌が植物に感染すると植物ホルモンのサリチル酸が増加することが知られているが,植物にサリチル酸を処理するだけでもDNA損傷が引き起こされることから(17)17) S. Yan, W. Wang, J. Marqués, R. Mohan, A. Saleh, W. E. Durrant, J. Song & X. Dong: Mol. Cell, 52, 602 (2013).,病原菌感染によるサリチル酸の蓄積がDNA損傷を引き起こしていると考えられる.しかしながら,サリチル酸がどのようにDNA損傷を引き起こしているのかはいまだ明らかにされていない.
染色体DNAが損傷を受けると,真核生物ではATM (ataxia telangiectasia mutated)とATRという2つのセンサーキナーゼが損傷部位に結合する.これら2つのタンパク質の構造や機能は進化の過程で高く保存されており(18~22)18) M. E. Gallego & C. I. White: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 1711 (2001).22) K. Culligan, A. Tissier & A. Britt: Plant Cell, 16, 1091 (2004).,ATMはDNA二本鎖切断(DNA double-strand breaks; DSBs)を認識し,ATRは染色体の複製阻害(複製フォークの停止など)やヌクレオチドの傷害,DNA一本鎖切断(DNA single-strand breaks; SSBs)などを認識することで,DNA修復や細胞周期の進行阻害,アポトーシスによる細胞死などのDNA損傷応答を作動させる(23)23) B. B. Zhou & S. J. Elledge: Nature, 408, 433 (2000)..そして,損傷応答の初期に,これらセンサータンパク質は修飾タンパク質とともにDNA損傷部位に集合し,DNA損傷応答にかかわる分子やDNA修復を担当する分子が集まる足場を形成する(24, 25)24) R. T. Abraham: Genes Dev., 15, 2177 (2001).25) L. Zou & S. J. Elledge: Science, 300, 1542 (2003)..動物細胞や酵母の場合,損傷部位に結合したATRやATMはDNA損傷のエフェクターキナーゼである別のプロテインキナーゼCHK1とCHK2をリン酸化し,活性化する(26~29)26) S. Matsuoka, G. Rotman, A. Ogawa, Y. Shiloh, K. Tamai & S. J. Elledge: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 10389 (2000).29) H. Zhao & H. Piwnica-Worms: Mol. Cell. Biol., 21, 4129 (2001)..さらに,動物細胞の場合,p53という転写因子がDNA損傷応答の中心的役割を担っており,ATR, ATM, CHK1, CHK2により活性化されることで,DNA修復や細胞周期停止,アポトーシスにかかわる多くの標的遺伝子の発現を誘導している(8, 30, 31)8) L. M. Rozan & W. S. El-Deiry: Cell Death Differ., 14, 3 (2007).30) S. Y. Shieh, M. Ikeda, Y. Taya & C. Prives: Cell, 91, 325 (1997).31) S. Y. Shieh, J. Ahn, K. Tamai, Y. Taya & C. Prives: Genes Dev., 14, 289 (2000)..
植物にもATRとATMが存在し,構造や機能が高く保存されている.シロイヌナズナのATRの欠損変異株はDNA複製阻害剤であるヒドロキシ尿素(HU)やアフィディコリン,UV-B照射に対して非常に高い感受性を示すが,DSBを引き起こすガンマ線照射に対してはさほど高い感受性を示さない(22)22) K. Culligan, A. Tissier & A. Britt: Plant Cell, 16, 1091 (2004)..逆に,ATMの欠損変異株は,ガンマ線照射やメチルメタンスルホン酸(MMS)によりDSBを引き起こすと著しい生育阻害が引き起こされるが,UV-B照射ではさほど影響が見られないことが報告されている(21)21) V. Garcia, H. Bruchet, D. Camescasse, F. Granier, D. Bouchez & A. Tissier: Plant Cell, 15, 119 (2003)..このことから,植物でもATRは複製阻害などを認識し,ATMはDSBを認識していると考えられる.さらに,DSBが起こると多くの遺伝子の発現が誘導されるが,主にATMがその遺伝子発現誘導にかかわっていることが明らかにされている(32)32) K. M. Culligan, C. E. Robertson, J. Foreman, P. Doerner & A. B. Britt: Plant J., 48, 947 (2006)..
一方で,植物はCHK1やCHK2, p53のような動物のDNA損傷応答に重要な因子のオルソログをもっていないことが知られている(10)10) F. A. Hoeberichts & E. J. Woltering: BioEssays News Rev. Mol. Cell. Dev. Biol., 25, 47 (2003)..しかし,進化の過程で獲得した植物独自のDNA損傷応答機構が存在し,それにより,DNA修復や細胞周期停止以外にも核内DNA倍加の誘導や幹細胞の細胞死などのさまざまな損傷応答が引き起されることが明らかにされつつある.
それでは,CHK1, CHK2, p53などをもたない植物細胞はDNA損傷に対してどのように応答しているのだろうか? 植物ではSOG1 (Suppressor of gamma response 1)と呼ばれる,植物特異的な転写因子が,DNA損傷応答の中心的な役割を果たしていることが明らかにされている(図1図1■植物のDNA損傷応答機構).SOG1はN末端領域にDNAへの結合に必要なNAC(NAM, ATAF, and CUC2)ドメインを含み,C末端領域に転写制御領域をもっている(33)33) K. Yoshiyama, P. A. Conklin, N. D. Huefner & A. B. Britt: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 12843 (2009)..SOG1は分裂組織で強く発現しているが,DNA損傷を受けても発現量やタンパク質の細胞内局在に変化は見られない(34)34) K. O. Yoshiyama, J. Kobayashi, N. Ogita, M. Ueda, S. Kimura, H. Maki & M. Umeda: EMBO Rep., 14, 817 (2013)..しかしながら,DNA損傷が起きると,活性化されたATMがSOG1のC末端領域に存在する複数のSQ(セリン-グルタミン)モチーフをリン酸化することにより,SOG1を活性化することが報告されている(34)34) K. O. Yoshiyama, J. Kobayashi, N. Ogita, M. Ueda, S. Kimura, H. Maki & M. Umeda: EMBO Rep., 14, 817 (2013)..活性化されたSOG1は,その下流でDNA修復や細胞周期停止などにかかわる数百種類に及ぶ遺伝子の発現を誘導する(33)33) K. Yoshiyama, P. A. Conklin, N. D. Huefner & A. B. Britt: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 12843 (2009)..シロイヌナズナのATMやSOG1の欠損変異株では,DNA損傷を与えてもこれら遺伝子の発現誘導は見られないことから(32, 33)32) K. M. Culligan, C. E. Robertson, J. Foreman, P. Doerner & A. B. Britt: Plant J., 48, 947 (2006).33) K. Yoshiyama, P. A. Conklin, N. D. Huefner & A. B. Britt: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 12843 (2009).,植物細胞ではATMとSOG1がDNA損傷応答の主要なシグナル経路として働いていると考えられる.一方,もう一つのセンサーキナーゼであるATRも,DNA損傷下においてSOG1と遺伝学的に相互作用していることが示されている(33)33) K. Yoshiyama, P. A. Conklin, N. D. Huefner & A. B. Britt: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 12843 (2009)..また,最近の研究で,ATRがSOG1をリン酸化することも報告されている(35)35) C. A. Sjogren, S. C. Bolaris & P. B. Larsen: Plant Cell, 27, 2501 (2015)..そして,SOG1を欠損した変異株では,細胞周期停止などのDNA損傷応答がほとんど起きなくなることから,植物ではSOG1転写因子がDNA損傷応答の多くの部分を担っていると考えられる.
多くの真核生物では,DNA損傷が起こると損傷箇所を修復する時間を確保するために,細胞周期のさまざまなステージでその進行を停止(もしくは遅延)させる.これは,ゲノムや染色体の恒常的な安定性維持だけでなく,損傷した染色体が娘細胞に伝わるのを防ぐための非常に大切な機構となる.ほとんどの真核生物では,DNA損傷が起きると細胞周期進行に必須なサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害することにより,細胞周期を停止させることが知られている(36)36) M. Löbrich & P. A. Jeggo: Nat. Rev. Cancer, 7, 861 (2007)..動物では,CHK1, CHK2がM期CDKの活性化因子であるCDC25をリン酸化することにより,その活性を低下させる(36)36) M. Löbrich & P. A. Jeggo: Nat. Rev. Cancer, 7, 861 (2007)..さらに,p53がCDK阻害因子であるp21の発現を誘導することにより,CDK活性を阻害し細胞周期を停止させることが知られている(8, 36)8) L. M. Rozan & W. S. El-Deiry: Cell Death Differ., 14, 3 (2007).36) M. Löbrich & P. A. Jeggo: Nat. Rev. Cancer, 7, 861 (2007)..
植物でもDNA損傷が起きると,CDKの活性を阻害することにより細胞周期の進行が抑制されるが,その制御機構はほかの真核生物と異なる.シロイヌナズナも動物,酵母と同様にCDC25に構造が似た遺伝子をもっている.しかしながら,変異株などを使った解析などから細胞周期制御にはかかわっていないと考えられており,むしろヒ素代謝に関与しているという報告がなされている(37)37) O. P. Dhankher, B. P. Rosen, E. C. McKinney & R. B. Meagher: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 5413 (2006)..また,DNA損傷を受けるとCDK活性の阻害に働くキナーゼWEE1の遺伝子発現が増加する(38)38) K. De Schutter, J. Joubès, T. Cools, A. Verkest, F. Corellou, E. Babiychuk, E. Van Der Schueren, T. Beeckman, S. Kushnir, D. Inzé et al.: Plant Cell, 19, 211 (2007)..シロイヌナズナでは,WEE1タンパク質は細胞周期のS期に蓄積することで,S期の進行を遅延させることが知られている(39)39) T. Cools, A. Iantcheva, A. K. Weimer, S. Boens, N. Takahashi, S. Maes, H. Van den Daele, G. Van Isterdael, A. Schnittger & L. De Veylder: Plant Cell, 23, 1435 (2011)..また,WEE1を欠損した変異株では,複製阻害を引き起こす薬剤HUに対して高い感受性を示すことから(38)38) K. De Schutter, J. Joubès, T. Cools, A. Verkest, F. Corellou, E. Babiychuk, E. Van Der Schueren, T. Beeckman, S. Kushnir, D. Inzé et al.: Plant Cell, 19, 211 (2007).,WEE1はDNA複製時の細胞周期の進行阻害に働いていると考えられている.しかしながら,動物や酵母ではWEE1がCDKの14番目のトレオニン残基(Thr14),15番目のチロシン残基(Tyr15)をリン酸化することでCDKの活性を阻害しているが(40)40) N. Watanabe, M. Broome & T. Hunter: EMBO J., 14, 1878 (1995).,シロイヌナズナのCDKのThr14とTyr15に変異を導入してもDNA損傷に対する感受性に影響を及ぼさないことが報告されていることから(41)41) N. Dissmeyer, A. K. Weimer, S. Pusch, K. de Schutter, C. L. Alvim Kamei, M. K. Nowack, B. Novak, G. L. Duan, Y. G. Zhu, L. de Veylder et al.: Plant Cell, 21, 3641 (2009).,植物のWEE1はCDKのThr14とTyr15のリン酸化とは異なる方法により,細胞周期の進行阻害に働いていると考えられる.
また,植物細胞はDNAに損傷を受けると,CDKを活性化するM期サイクリンの発現量を速やかに低下させることで(42)42) S. Adachi, K. Minamisawa, Y. Okushima, S. Inagaki, K. Yoshiyama, Y. Kondou, E. Kaminuma, M. Kawashima, T. Toyoda, M. Matsui et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 10004 (2011).,M期への進行を抑制する.また,植物はほかの真核生物がもっていないB型CDK (CDKB1, CDKB2)を進化の過程で獲得してきたが,シロイヌナズナではDNA損傷が起きるとCDKB2タンパク質がATR, SOG1依存的に速やかに分解されることが報告されている(42)42) S. Adachi, K. Minamisawa, Y. Okushima, S. Inagaki, K. Yoshiyama, Y. Kondou, E. Kaminuma, M. Kawashima, T. Toyoda, M. Matsui et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 10004 (2011)..CDKB2はG2期からM期で強く発現していることから,CDKB2タンパク質が分解されることによりG2/M期でのCDK活性が低下し,M期への進行が阻害されていると考えられる.さらに,最近の研究により,CDK阻害因子であるいくつかのSIAMESE-RELATED (SMR)ファミリー遺伝子もDNA損傷後に発現誘導されることが報告されている(43)43) D. Yi, C. L. Alvim Kamei, T. Cools, S. Vanderauwera, N. Takahashi, Y. Okushima, T. Eekhout, K. O. Yoshiyama, J. Larkin, H. Van den Daele et al.: Plant Cell, 26, 296 (2014)..そして,SMR5, SMR7遺伝子の誘導には,DNA損傷により活性化したSOG1が直接関与していることが示されている(43)43) D. Yi, C. L. Alvim Kamei, T. Cools, S. Vanderauwera, N. Takahashi, Y. Okushima, T. Eekhout, K. O. Yoshiyama, J. Larkin, H. Van den Daele et al.: Plant Cell, 26, 296 (2014)..smr5 smr7二重欠損変異株では,DNA損傷を与えても細胞分裂が部分的に抑制されないことから,SMRの発現誘導もDNA損傷後の細胞周期の停止に重要な役割を果たしていると考えられる(43)43) D. Yi, C. L. Alvim Kamei, T. Cools, S. Vanderauwera, N. Takahashi, Y. Okushima, T. Eekhout, K. O. Yoshiyama, J. Larkin, H. Van den Daele et al.: Plant Cell, 26, 296 (2014)..
さまざまな要因によりDNA損傷が起きると,損傷を受けた細胞はDNAを修復し生存するか,アポトーシスにより細胞死を起こすかを選択する.この選択はDNAの損傷の程度によって決定され,修復不可能な損傷の場合には細胞死が引き起こされる.動物ではp53がこの選択を担っており,重篤なDNA損傷が起きるとp53がリン酸化されることにより活性化され,アポトーシス関連遺伝子の発現を制御することにより細胞死を引き起こしている(44)44) K. H. Vousden & X. Lu: Nat. Rev. Cancer, 2, 594 (2002)..
一方,植物ではDNAが損傷を受けると,幹細胞などの特定の細胞でのみ細胞死が引き起こされることが報告されている(図2図2■DNA損傷に対するシロイヌナズナの根の応答).ガンマ線や化学物質によりDSBを引き起こすと,根端分裂組織や花分裂組織に存在する幹細胞で細胞死が起きる(45, 46)45) N. Fulcher & R. Sablowski: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 20984 (2009).46) T. Furukawa, M. J. Curtis, C. M. Tominey, Y. H. Duong, B. W. Wilcox, D. Aggoune, J. B. Hays & A. B. Britt: DNA Repair (Amst.), 9, 940 (2010)..幹細胞は自己を増殖するとともに,その一部を分化させることによりさまざまな組織,器官を作るという非常に重要な役割をもっていることから,DNA損傷により傷ついた染色体を娘細胞に伝えることを防ぐために細胞死を引き起こしていると考えられている.そして,DNA損傷応答に必要なATMやATR, SOG1を欠損したシロイヌナズナ変異株では,DNA損傷後の幹細胞の細胞死が引き起こされないことから(45, 46)45) N. Fulcher & R. Sablowski: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 20984 (2009).46) T. Furukawa, M. J. Curtis, C. M. Tominey, Y. H. Duong, B. W. Wilcox, D. Aggoune, J. B. Hays & A. B. Britt: DNA Repair (Amst.), 9, 940 (2010).,DNA損傷応答経路が幹細胞の細胞死の誘導に重要な役割を果たしていると考えられる.また,新生タンパク質の合成を阻害するシクロヘキシミド(cycloheximide)を処理すると,ガンマ線照射を行っても細胞死が引き起こされないことから(46)46) T. Furukawa, M. J. Curtis, C. M. Tominey, Y. H. Duong, B. W. Wilcox, D. Aggoune, J. B. Hays & A. B. Britt: DNA Repair (Amst.), 9, 940 (2010).,DNA損傷シグナルの下流で何らかのタンパク質が幹細胞およびその周辺で新規に合成されることにより,細胞死を誘導していると予想される.興味深いことに,最近,筆者らはDNA損傷剤と同時に植物ホルモンのオーキシンを加えると幹細胞の細胞死が抑制されることを明らかにしている(未発表).このことから,幹細胞の細胞死にオーキシンが深く関与していると予想されるが,ATM, ATR, SOG1の下流でどのようにオーキシンシグナルが変化することで,幹細胞の細胞死を引き起こしているのかはいまだ明らかにされていない.
上で説明したとおり,DNA損傷が起きると幹細胞の細胞死が引き起こされるが,幹細胞が死んだままでは植物の発生が停止してしまい,そのままでは個体を維持することが難しい.そこで植物は,新しい幹細胞を作り出すことで,植物の発生を持続可能にするための独自のメカニズムを備えている.
植物の根の幹細胞は,静止中心(quiescent center; QC)と呼ばれる細胞を取り囲むように存在し,幹細胞ニッチを形成している.通常,QC細胞自身はほとんど分裂を行わず,周りの幹細胞の恒常性の維持に寄与している.しかしながら,DNA損傷により幹細胞の細胞死が引き起こされると,普段分裂を行わないQC細胞が突如分裂を開始し,新しい幹細胞の再生を始めることが知られている(47)47) J. Heyman, R. P. Kumpf & L. De Veylder: Trends Cell Biol., 24, 443 (2014)..興味深いことに,筆者らは,ATMやATR, SOG1を欠損した変異株では,DNA損傷を与えてもQC細胞の分裂がほとんど起こらないことを見いだしている(未発表).このことから,DNA損傷応答経路がQC細胞の分裂に重要な役割を果たしていると考えられる.
また,最近の研究により,植物ホルモンのブラシノステロイドがQC細胞の分裂に重要な役割を果たしていることが報告されている.たとえば,ブラシノステロイド受容体であるbri1変異株ではQC細胞の分裂が抑えられ,逆に,恒常的にブラシノステロイドシグナルが活性化しているbes1-D変異株ではQC細胞の分裂が活性化していることが示されている(48)48) M. P. González-García, J. Vilarrasa-Blasi, M. Zhiponova, F. Divol, S. Mora-García, E. Russinova & A. I. Caño-Delgado: Development, 138, 849 (2011)..また,ブラシノステロイドシグナルを抑制した植物では,DNA損傷後のQC細胞の分裂が阻害されることで,根の幹細胞の再生が起こらないことが報告されている(49)49) J. Vilarrasa-Blasi, M. P. González-García, D. Frigola, N. Fàbregas, K. G. Alexiou, N. López-Bigas, S. Rivas, A. Jauneau, J. U. Lohmann, P. N. Benfey et al.: Dev. Cell, 30, 36 (2014)..このことから,DNA損傷後のQC細胞の分裂が幹細胞の再生に必須であると考えられる.また,QC細胞の分裂を制御する因子としてERF115転写因子が単離されている(50)50) J. Heyman, T. Cools, F. Vandenbussche, K. S. Heyndrickx, J. Van Leene, I. Vercauteren, S. Vanderauwera, K. Vandepoele, G. De Jaeger, D. Van Der Straeten et al.: Science, 342, 860 (2013)..ERF115を過剰発現させた形質転換体ではQC細胞の分裂が活性化し,逆に,抑制した植物体ではQC細胞の分裂が起きない(50)50) J. Heyman, T. Cools, F. Vandenbussche, K. S. Heyndrickx, J. Van Leene, I. Vercauteren, S. Vanderauwera, K. Vandepoele, G. De Jaeger, D. Van Der Straeten et al.: Science, 342, 860 (2013)..そして,ERF115の遺伝子発現はブラシノステロイドによりQC細胞で誘導されることから(50)50) J. Heyman, T. Cools, F. Vandenbussche, K. S. Heyndrickx, J. Van Leene, I. Vercauteren, S. Vanderauwera, K. Vandepoele, G. De Jaeger, D. Van Der Straeten et al.: Science, 342, 860 (2013).,ERF115はブラシノステロイドシグナルの下流で働くことでQC細胞の分裂を促進していると考えられる.DNA損傷が起きると,いくつかのブラシノステロイド関連遺伝子の発現が活性化するが(32)32) K. M. Culligan, C. E. Robertson, J. Foreman, P. Doerner & A. B. Britt: Plant J., 48, 947 (2006).,DNA損傷シグナルとブラシノステロイドとの関係についてはいまだ明らかにされていない.
シロイヌナズナなどの植物では,シュート頂や根端に存在する分裂組織で細胞分裂を行うことにより細胞を増殖させる.それらの細胞はやがて分裂を停止し,細胞伸長を開始する.この過程で通常の細胞周期は核内DNA倍加周期(M期をスキップし,DNA複製のみを繰り返す周期)へと移行する(51, 52)51) N. Takahashi, T. Kajihara, C. Okamura, Y. Kim, Y. Katagiri, Y. Okushima, S. Matsunaga, I. Hwang & M. Umeda: Curr. Biol., 23, 1812 (2013).52) N. Takahashi & M. Umeda: Plant Signal. Behav., 9, e29396 (2014)..植物細胞はDNAに重篤な損傷を受けると通常の細胞周期からDNA倍加への移行のタイミングを早めることが知られている(42, 53)42) S. Adachi, K. Minamisawa, Y. Okushima, S. Inagaki, K. Yoshiyama, Y. Kondou, E. Kaminuma, M. Kawashima, T. Toyoda, M. Matsui et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 10004 (2011).53) N. Takahashi, T. Lammens, V. Boudolf, S. Maes, T. Yoshizumi, G. De Jaeger, E. Witters, D. Inzé & L. De Veylder: EMBO J., 27, 1840 (2008)..たとえば,シロイヌナズナの培養細胞にDSB誘導剤であるゼオシンを処理すると,通常の細胞周期からDNA倍加周期へと転換することにより核DNA量が増加することが観察されている(42)42) S. Adachi, K. Minamisawa, Y. Okushima, S. Inagaki, K. Yoshiyama, Y. Kondou, E. Kaminuma, M. Kawashima, T. Toyoda, M. Matsui et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 10004 (2011)..つまり,DNA損傷が起きると細胞増殖を抑えると同時に,DNA倍加を誘導することで細胞死を起こさずに,細胞伸長を促進していると考えられる.
植物細胞はDNA損傷を受けると,通常の細胞周期からDNA倍加周期への移行を促進する因子であるCCS52A1遺伝子の発現を誘導する(42)42) S. Adachi, K. Minamisawa, Y. Okushima, S. Inagaki, K. Yoshiyama, Y. Kondou, E. Kaminuma, M. Kawashima, T. Toyoda, M. Matsui et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 10004 (2011)..CCS52A1はE3ユビキチンリガーゼであるAPC/C (Anaphase promoting complex/cyclosome)の活性化にかかわる因子で,M期サイクリンなどの分解を促進することによりDNA倍加を引き起こす(54~57)54) Z. Larson-Rabin, Z. Li, P. H. Masson & C. D. Day: Plant Physiol., 149, 874 (2009).57) N. Zielke, S. Querings, C. Rottig, C. Lehner & F. Sprenger: Genes Dev., 22, 1690 (2008)..シロイヌナズナの根では,細胞分裂領域と分化・伸長領域との間に存在する移行領域でCCS52A1遺伝子の発現が観察され,その遺伝子発現は植物ホルモンであるサイトカイニンにより制御されていることが報告されている(51)51) N. Takahashi, T. Kajihara, C. Okamura, Y. Kim, Y. Katagiri, Y. Okushima, S. Matsunaga, I. Hwang & M. Umeda: Curr. Biol., 23, 1812 (2013)..興味深いことに,最近,筆者らはDSBが起きると,根の移行領域でいくつかのサイトカイニンの生合成遺伝子の発現が誘発されることを明らかにしている(未発表).そして,この発現誘導にはATMとSOG1が関与していることを見いだした.また,サイトカイニン生合成にかかわる遺伝子に欠損がある変異株では,DNA損傷による根でのDNA倍加の誘導が抑えられることから,サイトカイニンの生合成がDNA損傷による根でのDNA倍加の誘導に必要であると考えられる.このことから,DSBが起こるとATM, SOG1を介してサイトカイニン合成,そのシグナル経路の活性化,CCS52A1遺伝子の転写誘導が起きることにより,最終的に根でのDNA倍加が促進されると考えられる.
近年,地球規模で発生する干ばつや熱波,豪雨などの異常気象により,農作物に甚大な被害がもたらされるといった報告が頻繁にされている.そして,このような高温や乾燥などの環境ストレスは,細胞内で活性酸素を発生させることで,染色体DNAを傷つけることから,今後,植物のDNA損傷応答機構の理解がさらに進むことにより,植物の環境ストレスに対する応答能の制御や機能改善の研究が進むことが期待される.さらには,DNA損傷ストレスに強い植物を作製することにより,地球環境変動に耐えうる農作物を作出するための技術開発への波及効果も考えられる.
また,最近になって,植物のDNA損傷応答において中心的な役割を果たしているSOG1転写因子が発見され,植物独自のDNA損傷応答機構の実像が少しずつ明らかにされつつある.DNA損傷が起きると,植物ホルモンのサイトカイニンやオーキシンなどのシグナルが変化することにより,DNA倍加の誘導や幹細胞の細胞死が起こることや,病原菌の感染応答にもDNA損傷応答経路が重要な役割を果たしていることから,ほかの真核生物とは異なる植物独自のDNA損傷応答機構を進化の過程で獲得されてきたと考えられる.今後は,DNA損傷が起きた時にSOG1転写因子がどのような因子を制御しているかが明らかにされることで,植物のDNA損傷応答の理解がさらに進むことが期待される.
Reference
1) A. Baxter, R. Mittler & N. Suzuki: J. Exp. Bot., 65, 1229 (2014).
2) A. Barzilai & K. Yamamoto: DNA Repair (Amst.), 3, 1109 (2004).
3) A. Ciccia & S. J. Elledge: Mol. Cell, 40, 179 (2010).
4) V. M. Achary, S. Jena, K. K. Panda & B. B. Panda: Ecotoxicol. Environ. Saf., 70, 300 (2008).
5) M. A. Rounds & P. B. Larsen: Curr. Biol., 18, 1495 (2008).
7) J. Song & A. F. Bent: PLoS Pathog., 10, e1004030 (2014).
8) L. M. Rozan & W. S. El-Deiry: Cell Death Differ., 14, 3 (2007).
9) K. O. Yoshiyama, K. Sakaguchi & S. Kimura: Biology (Basel), 2, 1338 (2013).
10) F. A. Hoeberichts & E. J. Woltering: BioEssays News Rev. Mol. Cell. Dev. Biol., 25, 47 (2003).
11) T. Lindahl & D. E. Barnes: Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol., 65, 127 (2000).
12) T. Helleday, S. Eshtad & S. Nik-Zainal: Nat. Rev. Genet., 15, 585 (2014).
13) T. A. Slieman & W. L. Nicholson: Appl. Environ. Microbiol., 66, 199 (2000).
14) J. Ward: “DNA Damage and Repair: Nature of lesions formed by ionizing radiation,” ed. by J. A. Nickoloff & M. F. Hoekstra, Humana press, 1998, 2, p. 65.
15) J. Berdy: “Bleomycin-type antibiotics: Amino Acid and Peptide Antibiotics,” ed. by J. Berdy, CRC Press, 1980, p. 459.
16) N. Fulcher & R. Sablowski: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 20984 (2009).
18) M. E. Gallego & C. I. White: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 1711 (2001).
20) P. Bundock & P. Hooykaas: Plant Cell, 14, 2451 (2002).
22) K. Culligan, A. Tissier & A. Britt: Plant Cell, 16, 1091 (2004).
23) B. B. Zhou & S. J. Elledge: Nature, 408, 433 (2000).
24) R. T. Abraham: Genes Dev., 15, 2177 (2001).
25) L. Zou & S. J. Elledge: Science, 300, 1542 (2003).
29) H. Zhao & H. Piwnica-Worms: Mol. Cell. Biol., 21, 4129 (2001).
30) S. Y. Shieh, M. Ikeda, Y. Taya & C. Prives: Cell, 91, 325 (1997).
31) S. Y. Shieh, J. Ahn, K. Tamai, Y. Taya & C. Prives: Genes Dev., 14, 289 (2000).
32) K. M. Culligan, C. E. Robertson, J. Foreman, P. Doerner & A. B. Britt: Plant J., 48, 947 (2006).
35) C. A. Sjogren, S. C. Bolaris & P. B. Larsen: Plant Cell, 27, 2501 (2015).
36) M. Löbrich & P. A. Jeggo: Nat. Rev. Cancer, 7, 861 (2007).
40) N. Watanabe, M. Broome & T. Hunter: EMBO J., 14, 1878 (1995).
44) K. H. Vousden & X. Lu: Nat. Rev. Cancer, 2, 594 (2002).
45) N. Fulcher & R. Sablowski: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106, 20984 (2009).
47) J. Heyman, R. P. Kumpf & L. De Veylder: Trends Cell Biol., 24, 443 (2014).
52) N. Takahashi & M. Umeda: Plant Signal. Behav., 9, e29396 (2014).
54) Z. Larson-Rabin, Z. Li, P. H. Masson & C. D. Day: Plant Physiol., 149, 874 (2009).
57) N. Zielke, S. Querings, C. Rottig, C. Lehner & F. Sprenger: Genes Dev., 22, 1690 (2008).