Kagaku to Seibutsu 54(6): 439-444 (2016)
生物コーナー
鞭毛・繊毛運動を担うモータータンパク質ダイニンの多様性
Published: 2016-05-20
© 2016 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2016 公益社団法人日本農芸化学会
鞭毛・繊毛は規則正しく波動運動を行う細胞器官である.高等動物では,精子の鞭毛や気管の繊毛がよく知られているが,このほかにも,体内のさまざまな部位に繊毛が生えていることが明らかになっている.たとえば,発生初期胚のノードと呼ばれる部位に生える繊毛はそこに局所的な水流を起こし,それによって心臓を含む体内臓器の左右性を決定していた(1, 2)1) S. Nonaka, Y. Tanaka, Y. Okada, S. Takeda, A. Harada, Y. Kanai, M. Kido & N. Hirokawa: Cell, 95, 829 (1998).2) S. Yoshiba, H. Shiratori, I. Y. Kuo, A. Kawasumi, K. Shinohara, S. Nonaka, Y. Asai, G. Sasaki, J. A. Bleo, H. Sasaki et al.: Science, 338, 226 (2012)..また,多くの体細胞は運動性のない繊毛(1次繊毛)をもち,それらは多様な細胞外シグナルを受容するセンサーとして働いていることもわかった(3)3) J. M. Gerdes, E. E. Davis & N. Katsanis: Cell, 137, 32 (2009)..この1次繊毛の構造と機能についてはすでに本誌で解説されているので(4)4) 猪子誠人,稲垣昌樹:化学と生物,51, 524 2013.,その詳細はそちらの記事を参照していただくこととして,ここでは,運動する鞭毛・繊毛に焦点を絞りその原動力を生みだす微小管モータータンパク質・ダイニンについて,最近の研究を含めて紹介する.
鞭毛は対称な屈曲運動を,繊毛は非対称な屈曲運動を行い,両者は一見違った運動形態を示す.しかし,ともに軸糸と呼ばれる同じ内部構造をもち,基本的に同じ機構で運動すると考えられている(5)5) 神谷 律:“太古からの9+2構造—繊毛の不思議—”,岩波書店,2012.(以下では,鞭毛・繊毛を鞭毛と略記する).図1A図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナスに電子顕微鏡を用いて観察した鞭毛横断面の模式図を示す.軸糸は9本の微小管(8の字型の周辺微小管)が2本の微小管(中心対微小管)を取り囲む「9+2」と呼ばれるよく保存された構造をもつ.周辺微小管上には内腕・外腕と呼ばれる2つの突起があり,そこにモータータンパク質・ダイニンが含まれている.ダイニンはATPの加水分解エネルギーを利用して隣り合う微小管の間に滑りを起こし,その滑りが時間的・空間的に制御されて規則正しい屈曲運動へと変換される.滑り運動の制御には,中心対微小管,スポーク(周辺微小管から中心対微小管に伸びる構造,図1A図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス),ネキシン(周辺微小管同士をつなげる構造,ダイニン制御複合体とも呼ばれる,図1A図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス)などの構造が関与すると考えられているが(6, 7)6) L. M. Alford, M. Wirschell, R. Yamamoto & W. S. Sale: “Dyneins,” edited by S. M. King, Elsevier, pp. 313–334, 2012.7) M. E. Porter: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 337–365, 2012.,詳しい機構はわかっていない.
このように複雑な構造をもつ鞭毛の運動・構築の機構を調べる際に威力を発揮するのが突然変異株である.私たちが実験に用いている緑藻クラミドモナス(図1B図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス)は核相nで増殖する.そのため,紫外線照射などによって導入された変異はそのまま表現形として現れやすく,突然変異株が得やすい.また,遺伝子の変異を解析するさまざまな方法が確立されており,変異部位の同定が比較的容易である(8)8) 福澤秀哉,久保雄昭:低温科学,67, 17 (2009)..変異株と野生株それぞれの鞭毛の運動性,構造,タンパク質組成を比較することにより,変異遺伝子産物の構造と鞭毛運動におけるそれらの機能の解析が可能となる.これらのことから,クラミドモナスは鞭毛研究のモデル生物として広く利用されている(9)9) T. Yagi & R. Kamiya: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 273–295, 2012..
クラミドモナスでは,内腕ダイニン,外腕ダイニン,それぞれを欠損した変異株が得られている.それらの運動性の解析から,両者は鞭毛運動において異なる機能をもつことが示唆されている.どちらの株も野生株より遊泳速度が遅いが,鞭毛の運動を詳しく調べたところ,2つの変異株には特徴的な違いが見られた.内腕の一部を欠損した株では,その鞭毛打頻度(1秒間の鞭毛打の回数)は正常だったが,鞭毛の屈曲する角度は野生株よりも浅くなり波形が異常になっていた.一方,外腕を欠失した株では,その波形は正常だったが,鞭毛打頻度が野生型より低下していた(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010..これらの結果から,内腕ダイニンは主に鞭毛の屈曲を維持し,外腕ダイニンは鞭毛打頻度を上昇させることが示唆された.
内腕ダイニンと外腕ダイニンは,その分子組成と微小管の滑り運動活性にも違いが見られた.複数のサブユニットから構成されるダイニン分子の中で,最も重要なものはモーター活性とATP加水分解活性をもつ重鎖(分子量500 kDa)である.外腕ダイニンは3本の重鎖と複数の中間鎖,軽鎖からなる3頭型の複合体である(11)11) S. M. King: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 209–243, 2012.(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス参照).一方,内腕ダイニンには少なくとも7種類の分子種(a–g)が見つかっている.そのうち,ダイニンfは2本の重鎖と複数の中間鎖,軽鎖をもつ双頭型の複合体であり,残りの6種類のダイニンはいずれも1本の重鎖と複数の軽鎖をもつ単頭型の複合体である(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010.(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス参照).鞭毛から抽出・精製したダイニンを用いて,その微小管モーター活性を顕微鏡下で調べたところ,それぞれのダイニンによる微小管滑り速度は外腕とそれぞれの内腕分子種で異なっていた(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010..これらのことから,鞭毛にはモーター活性が異なる多種類のダイニンが存在し,それらが協調して規則正しい屈曲運動を形成していると考えられた(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010..
電子顕微鏡を用いた鞭毛軸糸の構造解析により,多種類あるこれらのダイニンの軸糸長軸方向の配置が調べられている.その結果,外腕ダイニンに相当する位置には1種類の構造が24 nmの周期で並び(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス),内腕ダイニンに相当する位置には多種類の構造(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナスの構造1~7)が96 nmの周期で複雑に並んでいることがわかった(12)12) T. Ishikawa: “Dyneins” ed. by S. M. King, Elsevier, p. 245, 2012..それぞれの構造は,生化学的な解析から明らかになったダイニンa~gに相当するものと考えられたが,互いの対応が明らかになったのは,単独のダイニンの欠失変異株が存在する2つのダイニンだけだった(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナスの構造1:ダイニンf,構造4:ダイニンc).
クライオ電子線トモグラフィー法(クライオET法)により,さまざまな内腕ダイニン欠失株の軸糸構造を解析した結果,内腕ダイニンa~gの局在位置をすべて決定することができた(13)13) R. Kamiya & T. Yagi: Zoolog. Sci., 31, 633 (2014).(図1C図1■鞭毛・繊毛の構造と緑藻クラミドモナス参照).クライオ電子顕微鏡法では,生の試料を瞬間凍結して無染色で観察するため,化学固定を行う従来の電子顕微鏡法よりも生体に近い状態で試料を観察可能である.また,トモグラフィー法は,少しずつ観察角度を変えた多数の試料画像からその立体構造を再構築するものであり,試料を壊さずにその内部構造を画像化することができる(14)14) R. McIntosh, D. Nicastro & D. Mastronarde: Trends Cell Biol., 15, 43 (2005)..このCryo ET法を用いれば,各軸糸微小管の構造を個別に画像化することも可能である.そのような解析から,内腕ダイニンb, cが特定の微小管では欠落していることもわかった(15)15) K. H. Bui, T. Yagi, R. Yamamoto, R. Kamiya & T. Ishikawa: J. Cell Biol., 198, 913 (2012)..
クラミドモナスのゲノム遺伝子の解析からさらに多くのダイニンの存在が示唆された.クラミドモナスでは12種類のダイニン重鎖が見つかっていたが*13種類の外腕ダイニンの重鎖と8種類の内腕ダイニンの重鎖のほかに,鞭毛構成タンパク質を細胞体から鞭毛に向かって輸送するタイプの細胞質性ダイニンの重鎖が1種類(19)19) G. B. Witman: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 395-421, 2012.(図2図2■クラミドモナスとヒトのダイニン重鎖遺伝子産物の分子系統樹のDHC1B(DHC16)に相当する),あわせて12種類が同定されている..ゲノムには16種類の重鎖遺伝子(DHC1~DHC16)が見つかり(16, 17)16) E. F. Hom, G. B. Witman, E. H. Harris, S. K. Dutcher, R. Kamiya, D. R. Mitchell, G. J. Pazour, M. E. Porter, W. S. Sale, M. Wirschell et al.: Cytoskeleton, 68, 555 (2011).17) T. Yagi: Methods Cell Biol., 92, 1 (2009).,さらに4種類の重鎖の存在が示唆された.質量分析により,既知重鎖に対応する遺伝子をすべて同定したところ,重鎖が見つかっていない遺伝子はDHC3, DHC4, DHC11, DHC12であることがわかった(13)13) R. Kamiya & T. Yagi: Zoolog. Sci., 31, 633 (2014)..一方,すべてのダイニン重鎖遺伝子産物を分子系統解析したところ,それぞれのダイニンは外腕ダイニン,双頭型内腕ダイニン,単頭型内腕ダイニン,細胞質内の物質輸送に働く細胞質性ダイニンの4つのグループに分類できることがわかった(17)17) T. Yagi: Methods Cell Biol., 92, 1 (2009).(図2図2■クラミドモナスとヒトのダイニン重鎖遺伝子産物の分子系統樹).このうち,重鎖が見つかっていない遺伝子産物はいずれも単頭型内腕ダイニンに分類された(図2図2■クラミドモナスとヒトのダイニン重鎖遺伝子産物の分子系統樹中の*).
クラミドモナスのゲノムに存在する16種類の重鎖遺伝子産物(緑)とヒトのゲノムに存在する15種類の重鎖遺伝子産物(オレンジ)とをまとめた分子系統樹.それぞれの遺伝子は4つのグループに分類できた(右,青の4つ).鞭毛内に微量しか存在しないマイナーダイニンを(*)で示す.マイナーダイニン,DHC3, 4, 11にはそれぞれよく似たメジャーダイニンが見つかった.ごく最近,マイナーダイニンDHC12が単頭型内腕ダイニンに分類されることもわかった(八木,未発表).ヒトのダイニン重鎖遺伝子産物にはそれぞれよく似たクラミドモナス重鎖が見つかる.分子系統樹における所属グループから,未同定のヒト重鎖遺伝子産物の機能が推定できた(17)17) T. Yagi: Methods Cell Biol., 92, 1 (2009)..
では,これらの遺伝子の産物は実際に重鎖タンパク質として発現しているのだろうか? 特異的な抗体を作成してウェスタン解析を行ったところ,いずれも鞭毛軸糸に存在することがわかった.また,生化学的な解析から,それらはいずれも既知の重鎖よりも存在量が少ないマイナーダイニンであることがわかった(13)13) R. Kamiya & T. Yagi: Zoolog. Sci., 31, 633 (2014)..以上の結果,クラミドモナスのゲノムに存在するダイニン重鎖遺伝子の産物をすべて同定することができた.一つの生物のゲノムに存在する重鎖の全遺伝子が同定されたのはこれが初めてである(13)13) R. Kamiya & T. Yagi: Zoolog. Sci., 31, 633 (2014)..これにより,クラミドモナスの重鎖遺伝子と他の生物のダイニン重鎖遺伝子とを合わせて分子系統解析することにより,機能未知の重鎖遺伝子産物がどのようなタイプの重鎖であるかを推定することが可能となった(17)17) T. Yagi: Methods Cell Biol., 92, 1 (2009)..たとえば,ヒトのダイニンでは,ゲノムに存在する15種類の重鎖遺伝子のうち,外腕タイプは,クラミドモナスは3種類が存在するのに対して,5種類も存在することがわかった(図2図2■クラミドモナスとヒトのダイニン重鎖遺伝子産物の分子系統樹,「外腕ダイニン」グループ,オレンジ色(18)18) B. Wickstead & K. Gull: Traffic, 8, 1708 (2007).).
存在量の少ないマイナーダイニンは軸糸のどこに局在しているのだろうか? 間接蛍光抗体法によりその局在位置を調べたところ,それは鞭毛の根本にのみ局在していることがわかった(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010.(図3図3■クラミドモナス内腕ダイニンの局在パターン).一方,軸糸内の存在量が多い既知のメジャータイプのダイニンについてもその局在場所を調べた.その結果,局在場所によりそれらは2つのグループに分けられることがわかった.鞭毛の根本から先端まで一様に存在するグループと,根本の短い領域を除いた先端側に一様に存在するグループの2つである(10)10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010.(図3図3■クラミドモナス内腕ダイニンの局在パターン).興味深いことに,後者のタイプの局在領域はマイナーダイニンのそれとちょうど相互排他的な関係になっていた.
(左)各内腕ダイニンの軸糸長軸方向の局在パターン.局在位置には3つのパターンがあった.タイプ1: 軸糸長軸方向に一様に並ぶ,タイプ2: 軸糸の根本(約2 µm)に局在する,タイプ3: 根本以外に一様に局在し,タイプ2のダイニンと相互排他的な局在を示す.タイプ2に属するマイナーダイニンDHC3, DHC4の局在は蛍光抗体法による実験的証拠はまだ得られていないが,生化学的な解析から,この2つのダイニンも根本に局在することが示唆された.マイナーダイニンDHC12の局在はまだよくわかっていない.(右)間接蛍光抗体法で明らかになった,それぞれのタイプのダイニンの局在位置.
クライオET法を用いて軸糸上のダイニンの構造を詳しく観察したところ,根本とそれより先端では特定のダイニンの構造が異なることがわかった(15)15) K. H. Bui, T. Yagi, R. Yamamoto, R. Kamiya & T. Ishikawa: J. Cell Biol., 198, 913 (2012)..このことから,根本ではメジャーダイニンの代わりにマイナーダイニンが置き換わって存在している可能性が強く示唆された.鞭毛根本の短い領域に局在するダイニンが見つかったのはこれが初めてである*2ヒトの気管繊毛では,繊毛の根本側半分と先端側半分,それぞれの領域で外腕ダイニンが置き換わる例が知られているが(20)20) M. Fliegauf, H. Olbrich, J. Harvath, J. H. Wildhaber, M. A. Zariwala, M. Kennedy, M. R. Knowles & H. Omran: Am. J. Respir. Crit. Care Med., 171, 1343 (2005).,根本のごく短い領域(全長12 µmに対して2 µm)でダイニンが置き換わる例が観察されたのはクラミドモナスが初めてである..鞭毛は根本で生じた屈曲を先端に伝播させる.そのため,根本では長い鞭毛を屈曲させる際に大きな負荷がかかるはずである.根本にあるマイナーダイニンはこの負荷に抗して大きな力を出し,初期の屈曲形成に貢献しているのかもしれない.
鞭毛・繊毛には,性質が異なる多種類のダイニンがそれぞれ固有の位置に局在していることが明らかとなった.同じ微小管上でスピードが異なるダイニンが同時に働くと,互いに運動の邪魔になるのではないかと思うが,実際の鞭毛・繊毛運動ではそのようなことはなく,美しい波動運動が生み出されている.このような運動が生じるためにはダイニンを巧妙に制御する必要がある.鞭毛・繊毛運動の分子機構を理解するためには,新たに見いだされたマイナーダイニンを含む個々のダイニンの機能解析だけでなく,鞭毛内で多種類のダイニンの活性がどのようにして調節されているのか,その制御機構の解析も不可欠である.今後は,中心小管,スポーク,ネキシンによるダイニンモーターの制御の仕組みも解析していきたいと考えている.
Reference
3) J. M. Gerdes, E. E. Davis & N. Katsanis: Cell, 137, 32 (2009).
4) 猪子誠人,稲垣昌樹:化学と生物,51, 524 2013.
5) 神谷 律:“太古からの9+2構造—繊毛の不思議—”,岩波書店,2012.
6) L. M. Alford, M. Wirschell, R. Yamamoto & W. S. Sale: “Dyneins,” edited by S. M. King, Elsevier, pp. 313–334, 2012.
7) M. E. Porter: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 337–365, 2012.
8) 福澤秀哉,久保雄昭:低温科学,67, 17 (2009).
9) T. Yagi & R. Kamiya: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 273–295, 2012.
10) R. Kamiya: “Molecular Motors and Motility,” ed. by Y. Goldman & E. M. Ostrap, pp. 377–392, 2010.
11) S. M. King: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 209–243, 2012.
12) T. Ishikawa: “Dyneins” ed. by S. M. King, Elsevier, p. 245, 2012.
13) R. Kamiya & T. Yagi: Zoolog. Sci., 31, 633 (2014).
14) R. McIntosh, D. Nicastro & D. Mastronarde: Trends Cell Biol., 15, 43 (2005).
15) K. H. Bui, T. Yagi, R. Yamamoto, R. Kamiya & T. Ishikawa: J. Cell Biol., 198, 913 (2012).
17) T. Yagi: Methods Cell Biol., 92, 1 (2009).
18) B. Wickstead & K. Gull: Traffic, 8, 1708 (2007).
19) G. B. Witman: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 395-421, 2012.
*1 3種類の外腕ダイニンの重鎖と8種類の内腕ダイニンの重鎖のほかに,鞭毛構成タンパク質を細胞体から鞭毛に向かって輸送するタイプの細胞質性ダイニンの重鎖が1種類(19)19) G. B. Witman: “Dyneins,” ed. by S. M. King, Elsevier, pp. 395-421, 2012.(図2図2■クラミドモナスとヒトのダイニン重鎖遺伝子産物の分子系統樹のDHC1B(DHC16)に相当する),あわせて12種類が同定されている.
*2 ヒトの気管繊毛では,繊毛の根本側半分と先端側半分,それぞれの領域で外腕ダイニンが置き換わる例が知られているが(20)20) M. Fliegauf, H. Olbrich, J. Harvath, J. H. Wildhaber, M. A. Zariwala, M. Kennedy, M. R. Knowles & H. Omran: Am. J. Respir. Crit. Care Med., 171, 1343 (2005).,根本のごく短い領域(全長12 µmに対して2 µm)でダイニンが置き換わる例が観察されたのはクラミドモナスが初めてである.