今日の話題

味幹細胞の同定と培養味幹細胞の探索から新規味蕾オルガノイドの作製まで

Ken Iwatsuki

岩槻

東京農業大学応用生物科学部食品安全健康学科

Wenwen Ren

モネル化学感覚センター

Peihua Jiang

モネル化学感覚センター

Eitaro Aihara

粟飯原 永太郎

シンシナティー大学

Published: 2016-07-20

内胚葉由来である味細胞は消化管の上皮細胞と同様に細胞死と再生を繰り返す細胞である.近年,消化管における幹細胞研究は近年飛躍的に進んだが,味幹細胞については不明な部分が多かった.しかし,2013年に味幹細胞・前駆細胞が同定されたことに端を発し,2014年にはオルガノイド培養系にて味幹細胞も消化管幹細胞と同様に培養できることが証明された.さらに同培養系を用いて単一の味幹細胞がさまざまな細胞に分化することが示された.このことで,これまで困難であった味細胞を用いた種々の呈味物質のスクリーニングや味細胞分化のメカニズム解析などへの応用が期待されている.本稿では,消化管および味細胞研究の最近の進展と今後の展望を示したい.

消化管とは口腔内から肛門までの食物の通り道を指す.消化管の上皮細胞は内胚葉由来であるが,口腔内の粘膜や歯は外胚葉由来であるため,舌上皮も外胚葉由来と混同されやすい.しかし,最近の系統追跡実験などから舌上皮に存在する味蕾やその構成細胞である味細胞は同じ内胚葉由来であるとわかってきた.これは生物が進化の過程において舌や味細胞を獲得した経緯を考えると納得できる.イソギンチャクやクラゲに代表される太古の時代に繁栄していた生物の消化管は単純な管であった.しかし,長い進化の過程でより安全に効率良く栄養を摂取する必要に迫られた生物が,複雑な消化管を発達させその最前線に味蕾を配置したと推定できる.実際,消化管には味細胞様細胞である内分泌細胞が存在し,甘味刺激を受けGLP-1やGIPなどのホルモンを分泌し,摂食後のインスリン放出に積極的にかかわっていることが報告されている(1)1) H. J. Jang, Z. Kokrashvili, M. J. Theodorakis, O. D. Carlson, B. J. Kim, J. Zhou, H. H. Kim, X. Xu, S. L. Chan, M. Juhaszova et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 15069 (2007).

一般的に味細胞は口腔内の舌上皮に埋まっている味蕾の中の細胞を指すが,口蓋や咽頭など舌以外にも存在することが知られている.口腔内に存在する味蕾は,タマネギのような形をしており,100~150個の味細胞を内包する.この味細胞を介して伝えられる感覚が味覚であり,うま味,甘味,苦味,酸味,塩味の5つに分けられ,5基本味と呼ばれている.それぞれの味は特定の味覚受容体を発現する5種類の味細胞によって感知され,味蕾の基底部に存在する神経を介して味情報が中枢(脳)まで伝えられる.味細胞は形態学的にI型,II型,III型,IV型に分けられるが(2)2) A. I. Farbman: Cell Tissue Kinet., 13, 349 (1980).図1図1■味蕾の構造とBrdU標識による細胞分裂する細胞の追跡実験左),この形態学的分類はそれぞれの型の味細胞が発現する選択的なマーカーとほぼ一致する.現在,II型細胞はGタンパク質共役型の味覚受容体を発現し,うま味,甘味,苦味を受容する細胞,III型細胞は酸味を受容する細胞であることがわかっている.I型味細胞は最も解析が遅れている細胞であり,味覚受容にどのようにかかわる細胞であるかはいまだ解明されていない.IV型味細胞は,味蕾の基底部近くに存在する細胞で,味幹細胞あるいは味前駆細胞であると考えられている.5基本味のうち,塩味受容細胞については受容体全容が明らかにされていないため確定的でない.

図1■味蕾の構造とBrdU標識による細胞分裂する細胞の追跡実験

左:味蕾の中には形態学的に分類されたI,II,III,IV型の4種類の味細胞が存在する.ほかの3種類の味細胞が紡錘形であるのに対し,IV型細胞は基底部にあり不定形である.このIV型細胞が味幹細胞あるいは前駆細胞と考えられていた.右:BrdUをマウスに投与し,それぞれ1日目,3日目,10日目に有郭乳頭切片を作製し,BrdUを取り込んだ細胞の移動部位を特定した.1日目に上皮の基底部に存在していたBrdU陽性細胞は,時間の経過とともに味蕾内外に移動し,10日目にはわずかな細胞しか味蕾内に留まらないが,味蕾内部に存在するBrdU陽性細胞は味細胞に分化する.最初にBrdU標識される細胞が存在する場所(つまり基底部)が幹細胞あるいは前駆細胞の存在する場所と推測できる.点線の部分が味蕾.

味細胞研究における最大の問題点は,培養細胞がないということであった.これまでに味細胞の培養系を確立したといういくつかの報告が存在するが,幹細胞が存在しすべての味細胞系列への分化が明確に観察できる培養系の報告はない.

生体内で分裂が盛んな場所に存在する細胞は,放射性同位元素(トリチウム)でラベルされたチミジンやチミジンのアナログであるBrdU(臭化デオキシウリジン)などにより標識されるため,オートラジオグラフィーや免疫染色により確認できる.こうして消化管基底部の幹細胞が多く存在するクリプト(陰窩)には,標識陽性細胞が多数存在し,時間の経過とともに絨毛の先端に向かって移動することがわかっていた.同様に味蕾についても,その基底部に増殖能が高い細胞が存在することがわかっていた.筆者らもBrdUによる標識実験を行い分裂の盛んな細胞の運命を追った.すると,味蕾の基底部に存在する多くの細胞はBrdU投与後1時間以内に標識され,それらの細胞はしだいに頂端側(apical側)に移動し10日後にはBrdU陽性細胞がほぼ消失するが(図1図1■味蕾の構造とBrdU標識による細胞分裂する細胞の追跡実験右),ごく一部のBrdU陽性細胞だけが味蕾内にとどまり,10日後には分化した味細胞となることがわかった.すなわち,味蕾基底部に存在したBrdU陽性細胞の中に味細胞になる幹細胞または前駆細胞が存在するもののその数は少ないことが推察された.よって,味蕾の幹細胞とそのほかの舌上皮に分化する運命である細胞との区別は不可能であるという結論に達した.

そこで,味蕾基底部に幹細胞が存在すると仮説を立て,味蕾基底部にのみ発現し,そのほかの舌上皮の基底部には存在しないマーカーを泥臭い方法で探した.まず,味蕾を含む領域と味蕾を含まない舌上皮とを分け,サブトラクション法やDNAマイクロアレイ法により前者のcDNAライブラリーの中で味蕾の基底部にしか発現しないマーカーの探索を始めた.すると,注目していた味蕾基底部にはWntリガンドやWntシグナルの下流に存在する転写因子であるLef1(図2A図2■Wnt-βカテニンシグナルは味細胞の発生部位や再生部位に選択的に活性化される),Wntの阻害因子などのWnt-βカテニンシグナル関連分子が選択的に発現していることがわかった.これらは初期発生や幹細胞の維持に重要な役割を果たす分子であり,味幹細胞が味蕾基底部に存在することが初めて示唆された.

図2■Wnt-βカテニンシグナルは味細胞の発生部位や再生部位に選択的に活性化される

A:Wnt-βカテニンシグナルの下流に存在する転写因子Lef1の味蕾基底部における発現.Lef1(矢印)をはじめ,Wnt関連分子の多くは成体マウスの味蕾の基底部に選択的に発現する.点線の部分が味蕾.B:妊娠12日目マウス舌上皮におけるWnt-βカテニンシグナルの可視化.上はコントロールマウス(Wt),下がTopgalマウス.X-gal染色によりTopgalマウス舌の味乳頭発生部位(矢印)には強いWnt活性があることがわかる.

幹細胞が存在すると想定していた味蕾基底部において,Wnt-βカテニンシグナル関連分子が発現していることがわかったが,実際にそれらのシグナルが伝達されているか,そのシグナルが何らかの機能と関連しているかは未知な領域であった.そこで筆者らは,Wnt-βカテニンシグナルがオンになっている細胞だけにβ-ガラクトシダーゼが発現するTopgalマウス(3)3) R. DasGupta & E. Fuchs: Development, 126, 4557 (1999).およびWnt-βカテニンシグナル経路の分子が欠失したノックアウトマウス(Lef1-KO, Wnt10b-KO)を導入し,味蕾周辺におけるWnt-βカテニンシグナル活性とその機能を調べた.その結果,胎児期では将来味蕾が形成される土台である味乳頭の発生時にWnt-βカテニンシグナルがオンになり,生後も味蕾周辺や味蕾内にWnt-βカテニンシグナルが入るのを確認した(図2B図2■Wnt-βカテニンシグナルは味細胞の発生部位や再生部位に選択的に活性化される).また,同シグナルが伝わらないと味乳頭の形成不全が起こることが明らかとなり,味乳頭の形成にWnt-βカテニンシグナルが必須であることが判明した(4)4) K. Iwatsuki, H. X. Liu, A. Gronder, M. A. Singer, T. F. Lane, R. Grosschedl, C. M. Mistretta & R. F. Margolskee: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 2253 (2007)..時期を同じくして,ほかのグループからも別の方法で味乳頭発生時におけるWnt-βカテニンシグナルの重要性が報告された(5)5) F. Liu, S. Thirumangalathu, N. M. Gallant, S. H. Yang, C. L. Stoick-Cooper, S. T. Reddy, T. Andl, M. M. Taketo, A. A. Dlugosz, R. T. Moon et al.: Nat. Genet., 39, 106 (2007)..当然,成体の味幹細胞の機能維持にWnt-βカテニンシグナルが重要であることは予想されたが,味細胞の培養系はおろか,内胚葉の幹細胞培養系すらない時代であり,それを証明する手段がなかった.

ここで味細胞の先祖である消化管の幹細胞の話をさせていただく.消化管の幹細胞は分裂が盛んな細胞が存在するクリプトに存在することは長いことわかっていた.2002年に大腸がんや消化管幹細胞を研究していたCleversらのグループはWnt-βカテニンシグナルの下流分子としてLgr5(Leucine-rich repeat-containing G protein-coupled receptor 5)が存在することを報告した(6)6) M. van de Wetering, E. Sancho, C. Verweij, W. de Lau, I. Oving, A. Hurlstone, K. van der Horn, E. Batlle, D. Coudreuse, A. P. Haramis et al.: Cell, 111, 241 (2002)..同グループはその後Lgr5がクリプトに発現することをLgr5–LacZおよびLgr5–EGFPIRESCreERT2ノックインマウスにより示した.また,後者をRosa26–LacZ Creレポーターマウスと掛け合わせたうえ,タモキシフェン投与による系譜追跡実験を行いLgr5陽性細胞はすべての上皮細胞に分化すること,Lgr5陽性細胞自体はその場にとどまることを示した(7)7) N. Barker, J. H. van Es, J. Kuipers, P. Kujala, M. van den Born, M. Cozijnsen, A. Haegebarth, J. Korving, H. Begthel, P. J. Peters et al.: Nature, 449, 1003 (2007)..これらの実験から,Lgr5陽性細胞が小腸と大腸において幹細胞のマーカーになると結論づけられた.消化管幹細胞のマーカーは不確かであったので,Lgr5の発見により消化管の幹細胞研究が飛躍的に進んだのはいうまでもなく,これが消化管幹細胞研究の新たな幕開けとなった.

しかしながら,ここでもう一つ消化管研究者には超えなければならないハードルが存在した.消化管上皮細胞に代表される内胚葉の細胞を培養することは困難であるという事実である.それゆえ,これまで研究者たちはがん細胞由来の株化細胞などを使って各上皮細胞の機能解析を試みてきた.しかし,これら株化細胞はがん細胞であるために生体内の細胞の本来の機能のごく一部しか反映することができないという問題があり,正常な生体内の組織内にある細胞と同様の挙動を示す細胞が求められていた.

ついに2009年,これまで待ち望まれていた幹細胞の3次元培養系を佐藤らが確立した(8)8) T. Sato, R. G. Vries, H. J. Snippert, M. van de Wetering, N. Barker, D. E. Stange, J. H. van Es, A. Abo, P. Kujala, P. J. Peters et al.: Nature, 459, 262 (2009)..同培養方法は,細胞外マトリックスであるマトリゲルの中にクリプトを入れ,WntアゴニストのR-Spondin,上皮増殖因子であるEGF,そして骨形成タンパク質(BMP)の阻害因子であるNogginなどを添加し培養し増殖を繰り返すクリプトを得るものであり,オルガノイド培養法と呼ばれている.特筆すべきは,同培養法の確立により,幹細胞の培養が可能になっただけではなく,幹細胞からさまざまな細胞が再生・分化する様子をin vitroにおいて観察できる点である.

現在までにオルガノイド培養できる組織として胃,小腸,大腸などの消化管が報告されているほか(9)9) M. M. Mahe, E. Aihara, M. A. Schumacher, Y. Zavros, M. H. Montrose, M. A. Helmrath, T. Sato & N. F. Shroyer: Curr. Protoc. Mouse. Biol., 3, 217 (2013).,肝臓,膵臓などもオルガノイド培養できると報告されている(10, 11)10) M. Huch, C. Dorrell, S. F. Boj, J. H. van Es, V. S. Li, M. van de Wetering, T. Sato, K. Hamer, N. Sasaki, M. J. Finegold et al.: Nature, 494, 247 (2013).11) M. Huch, P. Bonfanti, S. F. Boj, T. Sato, C. J. Loomans, M. van de Wetering, M. Sojoodi, V. S. Li, J. Schuijers, A. Gracanin et al.: EMBO J., 32, 2708 (2013).図3図3■消化管オルガノイドと味蕾オルガノイド).

図3■消化管オルガノイドと味蕾オルガノイド

左:消化管と味蕾はどちらも内胚葉由来であり,同じような培養条件でオルガノイドが形成される.右:2週間培養した味蕾オルガノイドをα-gustducin抗体(赤)およびCA4抗体(緑)で染色したもの.前者はII型味細胞に,後者はIII型味細胞に発現する分子であるが,味蕾オルガノイドでも再現性よくこれらの分子が発現する.bar: 100 μm

話を味細胞へ戻すが,上述の消化管幹細胞の特定とオルガノイド培養法の確立はわれわれ味細胞研究者を興奮させた.なぜなら,味幹細胞(つまり味細胞の幹細胞)は消化管と同様にWntの下流であるLgr5陽性細胞であることが推測されたからだ.当然のように,味幹細胞の探索はLgr5陽性細胞の探索から始まった(12)12) K. K. Yee, Y. Li, K. M. Redding, K. Iwatsuki, R. F. Margolskee & P. Jiang: Stem Cells, 31, 992 (2013)..まず,Lgr5陽性細胞は有郭乳頭のトレンチ部分(下部溝)と味蕾基底部に存在することが明らかにされた.つづいて,Lgr5陽性マーカーの系譜追跡により,Lgr5陽性細胞が味蕾内のI型,II型,III型すべての味細胞に分化しうることがわかった.加えて,トレンチ部分に存在していた細胞が時間経過とともに味蕾内の細胞に移動することが確認された.このように,消化管の幹細胞とほぼ同様に味蕾周辺のLgr5陽性細胞が幹細胞である可能性が高くなった.

そこで筆者らは早速,味幹細胞の培養,すなわち“味蕾オルガノイド”の培養に着手した.まず,味蕾周辺のLgr5–GFPあるいはLgr6–GFP陽性細胞よりオルガノイドの作製を試みたところ,たった一つのGFP陽性細胞より味蕾オルガノイドの形成が観察され,さらにすべての味細胞系列に分化する多分化能を併せ持っていることを証明することができた(図3図3■消化管オルガノイドと味蕾オルガノイド).興味深いことに,分化した細胞は甘味物質や苦味物質にも反応するということが明らかになった.つまり,味幹細胞を出発点とした味蕾オルガノイドの培養にて,味細胞の分化マーカーの発現だけでなく,機能する味細胞を作製することが証明できたのである(13)13) W. Ren, B. C. Lewandowski, J. Watson, E. Aihara, K. Iwatsuki, A. A. Bachmanov, R. F. Margolskee & P. Jiang: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 16401 (2014).

最近では,味蕾オルガノイドを用いた細胞周期の研究により,味蕾周辺の幹細胞にはいくつか種類があることがわかってきている(14)14) E. Aihara, M. M. Mahe, M. A. Schumacher, A. L. Matthis, R. Feng, W. Ren, T. K. Noah, T. Matsu-ura, S. R. Moore, C. I. Hong et al.: Sci. Rep., 5, 17185 (2015)..どの幹細胞が味細胞に最終的に分化する幹細胞なのか,味細胞以外に変化する場合はどのような性質の細胞に分化するのかなどは今後の課題である.Lgr5–GFPマウスからGFPシグナルの強弱により細胞を分取し,1細胞でのトランスクリプトーム解析も今後必要になるだろう.

味蕾オルガノイドを利用する場面は,今後,産官学問わず増えてくるであろう.というのも同培養系は,味覚受容や味細胞再生のメカニズム研究から,食品中の新規呈味物質や機能分子のスクリーニングまで幅広く用いることができる数少ないin vitro培養系であるからである.味蕾オルガノイドはin vitroの幹細胞培養系という点ではiPS細胞やES細胞と似ているが,multipotentであってもpluripotentではない.おそらく,味蕾オルガノイドは最初に存在していた味蕾の幹細胞の性質をそのまま引き継いでおり,分化系列を決める転写因子などを変化させない限り味蕾オルガノイドが胃や大腸の細胞に分化することはないだろう.そうであれば,味蕾オルガノイドは再生医療の安全なソースとしても魅力的である.味細胞は常に再生を繰り返す細胞である.毛髪や皮膚が高齢化に伴い再生能力が落ちるのと同様に,味細胞も年齢とともに再生スピードが遅くなり脱落する運命にあり,結果として味覚感度の低下を招くのではとわれわれは考えている.高齢化社会を迎えつつある日本において,生活の質(QOL)を維持・向上させることは喫緊の問題であり,いつまでも美味しく味わえる舌を維持するための味蕾オルガノイドに熱い視線が注がれる日がくるかもしれない.そのため,われわれは霊長類からの味蕾オルガノイド作製にも挑戦しているところである.

味幹細胞を追い求めて十数年になるが,ようやく味幹細胞が同定でき,多くの研究者が待ち望んだ培養方法も獲得できた.今後,味蕾オルガノイドから効率良く味細胞にするためのさまざまな条件が明らかになり,特定の味細胞へ分化誘導する方法も確立されるだろう.われわれの研究が,味蕾オルガノイドを活用した新たな美味しさの提案や,食品の開発につながればと願っている.

Acknowledgments

本文中の絵は中川織衣氏に描いてもらった.この場をお借りして御礼申し上げます.

Reference

1) H. J. Jang, Z. Kokrashvili, M. J. Theodorakis, O. D. Carlson, B. J. Kim, J. Zhou, H. H. Kim, X. Xu, S. L. Chan, M. Juhaszova et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 15069 (2007).

2) A. I. Farbman: Cell Tissue Kinet., 13, 349 (1980).

3) R. DasGupta & E. Fuchs: Development, 126, 4557 (1999).

4) K. Iwatsuki, H. X. Liu, A. Gronder, M. A. Singer, T. F. Lane, R. Grosschedl, C. M. Mistretta & R. F. Margolskee: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 2253 (2007).

5) F. Liu, S. Thirumangalathu, N. M. Gallant, S. H. Yang, C. L. Stoick-Cooper, S. T. Reddy, T. Andl, M. M. Taketo, A. A. Dlugosz, R. T. Moon et al.: Nat. Genet., 39, 106 (2007).

6) M. van de Wetering, E. Sancho, C. Verweij, W. de Lau, I. Oving, A. Hurlstone, K. van der Horn, E. Batlle, D. Coudreuse, A. P. Haramis et al.: Cell, 111, 241 (2002).

7) N. Barker, J. H. van Es, J. Kuipers, P. Kujala, M. van den Born, M. Cozijnsen, A. Haegebarth, J. Korving, H. Begthel, P. J. Peters et al.: Nature, 449, 1003 (2007).

8) T. Sato, R. G. Vries, H. J. Snippert, M. van de Wetering, N. Barker, D. E. Stange, J. H. van Es, A. Abo, P. Kujala, P. J. Peters et al.: Nature, 459, 262 (2009).

9) M. M. Mahe, E. Aihara, M. A. Schumacher, Y. Zavros, M. H. Montrose, M. A. Helmrath, T. Sato & N. F. Shroyer: Curr. Protoc. Mouse. Biol., 3, 217 (2013).

10) M. Huch, C. Dorrell, S. F. Boj, J. H. van Es, V. S. Li, M. van de Wetering, T. Sato, K. Hamer, N. Sasaki, M. J. Finegold et al.: Nature, 494, 247 (2013).

11) M. Huch, P. Bonfanti, S. F. Boj, T. Sato, C. J. Loomans, M. van de Wetering, M. Sojoodi, V. S. Li, J. Schuijers, A. Gracanin et al.: EMBO J., 32, 2708 (2013).

12) K. K. Yee, Y. Li, K. M. Redding, K. Iwatsuki, R. F. Margolskee & P. Jiang: Stem Cells, 31, 992 (2013).

13) W. Ren, B. C. Lewandowski, J. Watson, E. Aihara, K. Iwatsuki, A. A. Bachmanov, R. F. Margolskee & P. Jiang: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 16401 (2014).

14) E. Aihara, M. M. Mahe, M. A. Schumacher, A. L. Matthis, R. Feng, W. Ren, T. K. Noah, T. Matsu-ura, S. R. Moore, C. I. Hong et al.: Sci. Rep., 5, 17185 (2015).