Kagaku to Seibutsu 54(12): 901-908 (2016)
解説
消化管ムチンを介した微生物と宿主の相互作用
Interaction between Gut Microbes and Host through Intestinal Mucin
Published: 2016-11-20
消化管上皮細胞から分泌されるムチンは,消化管における微生物の感染防御,あるいは共生に重要な働きをもつことが知られている.ムチンは,コアタンパク質にO結合型糖鎖が高密度に付加した高分子の粘性糖タンパク質である.難分解性であり,基本的には消化管上皮を保護する機能をもつ生体防御物質であるが,腸内の共生細菌に栄養分と棲息環境を提供する共生因子でもある.ムチンのヘテロ糖鎖を利用するためのビフィズス菌のユニークな代謝経路の解明を中心に,ヘテロ糖鎖がかかわる消化管内の微生物と宿主の相互作用について,最近の研究の進展を基に解説する.
© 2016 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2016 公益社団法人日本農芸化学会
ムチンは,スレオニン,セリン,プロリンに富むコアタンパク質の側鎖の水酸基に,多数のO結合型糖鎖が付加した高分子の糖タンパク質のファミリーである.従来は,粘膜表面を覆う粘性糖タンパク質をムチンと呼んでいたが,さまざまな組織の細胞表面に局在する膜結合型のものもムチンに含められるようになった.ヒトでは,約20種類のムチン遺伝子が知られている.各組織におけるムチンの発現は,転写量の解析や免疫染色など手法により感度や特異度が異なるため報告により差異はあるが,消化管で発現しているものは約13種類である(表1表1■ヒト消化管で発現しているムチン).これらのうち,MUC2, MUC5AC, MUC5B, MUC6の4種は分泌型であり,粘膜表面でゲル層を形成する特性をもつ.一方,そのほかのムチンは膜結合型で,消化管上皮細胞ではアピカル側に発現し,グリコカリックスを形成する.
MUC1 | 膜結合型 | 胃(胃がんなど) |
MUC2 | 分泌型 | 小腸,大腸(特に杯細胞) |
MUC3A/B | 膜結合型 | 小腸,大腸 |
MUC4 | 膜結合型 | 胃,小腸,大腸 |
MUC5AC | 分泌型 | 胃(胃腺窩上皮細胞) |
MUC5B | 分泌型 | 食道(食道腺細胞) |
MUC6 | 分泌型 | 胃(幽門腺・噴門腺),十二指腸(Brunner腺) |
MUC12 | 膜結合型 | 胃,小腸,大腸 |
MUC13 | 膜結合型 | 小腸,大腸 |
MUC15 | 膜結合型 | 小腸,大腸 |
MUC17 | 膜結合型 | 胃,十二指腸,小腸,大腸 |
MUC20 | 膜結合型 | 大腸 |
MUC21 | 膜結合型 | 大腸 |
ムチンのゲル層は,胃では厚く全面を覆っているが,小腸では薄く断続的となり,大腸では再び厚く全面を覆うようになる.ヒトの場合,ゲル層の厚さは,胃と大腸では数百µmから1 mm近くになるとされている.胃では,粘膜の深部ではMUC6が,表層部ではMUC5ACが主に発現し,ゲル層を形成している.一方,小腸と大腸のゲル層の主成分はMUC2である.
高密度に糖鎖が付加しているムチンは,さまざまな分解酵素に対する耐性が高く,消化管内の微生物や宿主自身の分解酵素から上皮細胞を保護する役割を果たしている.事実,MUC2ノックアウトマウスでは,腸上皮細胞に細菌が直接接触するために炎症を惹起し,最終的に大腸がんを自然発症する(1)1) A. Velcich, W. Yang, J. Heyer, A. Fragale, C. Nicholas, S. Viani, R. Kucherlapati, M. Lipkin, K. Yang & L. Augenlicht: Science, 295, 1726 (2002)..
近年,MUC2は腸管の物理的なバリア機能をもつ一方で,腸内の共生細菌にとって格好の生息環境を提供していることがわかってきた.大腸のMUC2ゲル層は2層に分かれており,下層の厚さ100ミクロン前後の強固なゲル層と,上層の厚さ数百ミクロンの緩いゲル層で構成されている(図1A図1■大腸のMUC2ゲル層のモデル).MUC2は5174アミノ酸からなる巨大なタンパク質であり,中央のプロリン-スレオニン-セリン(PTS)ドメインに加えてvon Willebrand C(C)ドメイン,4つのvon Willebrand D(D1~D4)ドメイン,2つのCysDドメイン,システインノット(CK)ドメインを含む(図1B図1■大腸のMUC2ゲル層のモデル).杯細胞で生合成される過程で,N末端側にあるD3ドメインに存在するシステイン残基を介して三量体を,C末端側のCKドメインに存在するシステイン残基を介して二量体を形成する.これらの分子間ジスルフィド結合により,MUC2は二次元のシート構造を形成するモデルが提唱されている.さらに,CysD2ドメインに存在するリシン残基とグルタミン残基の側鎖のアミド基を介して,トランスグルタミナーゼ2(TGM2)依存的にイソペプチド結合が分子間で形成される.杯細胞の分泌小胞内では,低pH条件およびカルシウムイオンの存在下で高密度にパッケージングされた状態であるが,細胞外に分泌されると1,000倍以上の体積に膨潤して三次元の網目構造を取る(2~5)2) M. E. Johansson, M. Phillipson, J. Petersson, A. Velcich, L. Holm & G. C. Hansson: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 15064 (2008).5) V. Recktenwald & G. C. Hansson: J. Biol. Chem., (2016), in press.(図1B図1■大腸のMUC2ゲル層のモデル).
A: 健康な大腸では腸内細菌は強固な下層のゲル層に侵入できない.不健康な大腸では腸内細菌が上皮細胞に接触し炎症を引き起こす.B: MUC2のドメイン構造とムチンゲルの網目構造のモデル(2~5)2) M. E. Johansson, M. Phillipson, J. Petersson, A. Velcich, L. Holm & G. C. Hansson: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 15064 (2008).5) V. Recktenwald & G. C. Hansson: J. Biol. Chem., (2016), in press.
健全な下層のゲル層は,その網目構造のメッシュサイズにより,腸内細菌の侵入を完全に防いでいる.下層のゲル層は,時間経過とともに部分的なプロテオリシスを受けてさらに膨潤し,上層の緩いゲル層へと移行していく.この層が共生細菌にとって好適な生息環境となっている(図1A図1■大腸のMUC2ゲル層のモデル).
セリンやスレオニンの側鎖の水酸基に結合するO結合型糖鎖には,O-マンノース(O-Man),O-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc),O-フコース(O-Fuc),O-グルコース(O-Glc),O-ガラクトース(O-Gal)などさまざまな構造が知られているが,高等動物で最も普遍的な構造はN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)がα結合したもので,これをムチン型糖鎖と呼ぶ.細胞外へ分泌されるタンパク質や膜タンパク質にもまばらに見られるが,ムチンのPTSドメインにはこのタイプの糖鎖が高密度に付加しているのが特徴である.
ムチン型糖鎖は,α-GalNAcとそれに続くGal, GlcNAc, Fuc,シアル酸(Neu5Ac)などから構成されるヘテロ糖鎖である.ムチン型糖鎖のコア構造は8種類に分類されるが,消化管で発現している主要なコア構造はコア1~4である(図2図2■ムチン糖鎖のコア構造と末端構造).胃ムチンの糖鎖はコア1と2が主体であるが,ヒトの小腸・大腸ムチンではコア3が多い.一方,マウスやラットでは,小腸・大腸ムチンでもコア1や2が主要な構造であり,動物種によって違いがある.
コア構造の先にはさまざまな糖鎖抗原が付加するが(図2図2■ムチン糖鎖のコア構造と末端構造),コア構造と末端部の間には,1型糖鎖であればラクト-N-ビオース(Galβ1→3GlcNAc; LNB),2型糖鎖であればN-アセチルラクトサミン(Galβ1→4GlcNAc; LacNAc)のユニットが1~数個付加して糖鎖が伸長している場合もある.非還元末端の糖鎖構造は,いずれも難分解性であり,微生物や宿主自身の酵素による分解を最前線で防いでいるものと考えられる.しかし,後述のとおり共生細菌のなかにはこれらの糖鎖構造を分解する酵素をもつものが多く,ムチンは共生細菌の栄養分となることで共生に直接関与している.
腸内細菌が多く生息する消化管下部は,宿主により単糖や二糖類が吸収されているため,利用しやすい糖質は限られている.そのため,共生細菌には宿主由来のヘテロ糖鎖を利用する分解酵素経路を備えているものが多い.
糖質関連酵素データベースCAZy(http://www.cazy.org/)を俯瞰すると,いくつかの腸内細菌が宿主由来のヘテロ糖鎖に高度に適応した分解酵素系をもつことがわかる.腸内の善玉菌の代表であるビフィズス菌のうち,乳幼児の腸管に多く見られるBifidobacterium bifidum, B. longum subsp. infantis, B. longum subsp. longum, B. breve,ヒト腸内の最優勢属であるBacteroides属のB. fragilisとB. thetaiotaomicron,悪玉の常在菌であるClostridium perfringens,ヒト腸内のムチン分解菌として2004年に記載され,肥満や二型糖尿病の抑制にかかわっていることが示唆されているAkkermansia muciniphila(6, 7)6) M. Derrien, E. E. Vaughan, C. M. Plugge & W. M. de Vos: Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 54, 1469 (2004).7) E. Everard, C. Belzer, L. Geurts, J. P. Ouwerkerk, C. Druart, L. B. Bindels, Y. Guiot, M. Derrien, G. G. Muccioli, N. M. Delzenne et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 9066 (2013).について,完全なゲノム情報が得られている菌株を選び,ムチン糖鎖の分解にかかわる各Glycoside hydrolase(GH)ファミリーの遺伝子数をまとめた(表2表2■各種の腸内細菌がもつムチン糖鎖に対するグリコシダーゼ遺伝子数).B. bifidum JCM 1254は,ゲノム情報は公開されていないが,筆者らがドラフトゲノムを解読し,ムチン糖鎖分解酵素遺伝子を解析している株として表に加えた.
Species | Strain | GH33 | GH29 | GH95 | GH109 | GH110 | GH98 | GH89 | GH123 | GH101 | GH112 | GH129 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Sialidase | α-Fuc-ase | 1,2-α-Fuc-ase | α-GalNAc-ase | α-Gal-ase | Endo-AB-ase | α-GlcNAc-ase | β-GalNAc-ase | Endo-α-GalNAc-ase | LNB/GNB phosphorylase | Tn α-GalNAc-ase | ||
Bifidobacterium bifidum | PRL2010 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 |
Bifidobacterium bifidum | JCM 1254 | 3 (SiaBb2) (SiaBb1) (SiaBb3) | 1 (AfcB) | 1 (AfcA) | 0 | 1 (AgaBb) | 0 | 1 (AgnB) | 1 (SiaBb3) | 1 (EngBF) | 2 | 1 (NagBb) |
Bifidobacterium longum subsp. longum | JCM 1217=ATCC 15707 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 |
Bifidobacterium longum subsp. infantis | JCM 1222=ATCC 15697 | 2 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
Bifidobacterium breve | JCM 1192=ATCC 15700 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
Bacteroides fragilis | BOB25 | 5 | 9 | 4 | 2 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
Bacteroides thetaiotaomicron | VPI-5482 | 2 | 9 | 5 | 2 | 2 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 |
Clostridium perfringens | str. 13 | 2 | 3 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
Akkermansia muciniphila | ATCC BAA-835 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 |
GH33~GH123は,糖鎖の末端構造に作用するグリコシダーゼが含まれるファミリーである.GH101~GH129はムチン糖鎖基部のコア構造に作用する酵素,またはコア二糖の利用にかかわる細胞内の酵素である.コア構造と末端構造をつなぐLNBやLacNAc構造を分解するβ-ガラクトシダーゼ,β-N-アセチルグルコサミニダーゼ,ラクト-N-ビオシダーゼは,GH2, GH35, GH42, GH20などの大きなファミリーに含まれ,抽出が困難であるため,表から省略した.
生化学的に解析されていない酵素も多いので正確なところは明らかではないが,BacteroidesとAkkermansiaは糖鎖の末端部分を主に分解していることがうかがえる.B. bifidumとC. perfringensは,末端構造からコア構造までバランスよく分解酵素をもっている.一方,B. longum subsp. longumとB. breveは末端部分に作用する酵素をあまりもっていないが,コア構造に作用する酵素は備えている.このことは,共生細菌間で分解産物のやり取り(cross feeding)が行われていることを示唆する.
ムチン糖鎖に作用する酵素の多くは,ヒトミルクオリゴ糖の分解にもかかわる.これらについては,筆者の共同研究者らによる総説を参照していただきたい(8~10)8) K. Yamamoto: Biosci. Biotechnol. Biochem., 76, 1815 (2012).9) T. Katayama: Biosci. Biotechnol. Biochem., 80, 621 (2016).10) M. Kitaoka: Adv. Nutr., 3, 422S (2012)..
ムチン糖鎖の非還元末端に最も多い構造の一つはシアル酸の付加である.シアリダーゼはα2,3-, α2,6-, α2,8-結合などのシアル酸を切断する酵素である.細菌のシアリダーゼは古くからよく研究されており,初期には主に病原菌を対象に研究された.C. perfringensは,株によって異なるが,2つないし3つのシアリダーゼをもつ.これらは,かつては毒素の一つとされていたこともあるが,シアリダーゼそのものに毒素としての作用はなく病原性に必須ではない(11)11) M. Chiarezza, D. Lyras, S. J. Pidot, M. Flores-Díaz, M. M. Awad, C. L. Kennedy, L. M. Cordner, T. Phumoonna, R. Poon, M. L. Hughes et al.: Infect. Immun., 77, 4421 (2009)..
ヒトでは,消化管上部ではフコシル化糖鎖が多いのに対し,消化管下部ではシアリル化糖鎖が増加するため,消化管下部におけるムチン糖鎖の利用にはシアリダーゼは重要である.実際,ムチン資化能があるとされる主要な腸内細菌のゲノム中にはGH33に属するシアリダーゼ遺伝子がほぼ存在する(表2表2■各種の腸内細菌がもつムチン糖鎖に対するグリコシダーゼ遺伝子数).筆者らは,善玉腸内菌由来のシアリダーゼとして初めて,B. bifidumからSiaBb2を報告した(12)12) M. Kiyohara, K. Tanigawa, T. Chaiwangsri, T. Katayama, H. Ashida & K. Yamamoto: Glycobiology, 21, 437 (2011)..
一般的なシアリダーゼは,さまざまな結合のシアル酸に作用する広い特異性を有している.ところが,GH33のなかには,これらとは異なり,厳密なα2,3-結合特異性をもち,転移反応を触媒する酵素が2タイプ知られている.一つはトリパノソーマ原虫に見られるトランスシアリダーゼで,宿主糖鎖のα2,3-結合のシアル酸を切断して,遊離したシアル酸を自身の細胞表面に存在するGPIアンカーの側鎖に転移付加させる作用をもつ.このシアル酸の付加は,原虫にとって宿主免疫系からの回避に役立っている.もう一つの転移酵素は,分子内転移反応を触媒して,環状構造を有する2,7-anhydro-Neu5Acの形でシアル酸を遊離させる酵素である.このタイプのシアリダーゼは,北米産のヒルMacrobdella decoraから初めて発見され(13, 14)13) Y.-T. Li, H. Nakagawa, S. A. Ross, G. C. Hansson & S.-C. Li: J. Biol. Chem., 265, 21629 (1990).14) M. Y. Chou, S.-C. Li & Y.-T. Li: J. Biol. Chem., 271, 19219 (1996).,その後,Streptococcus pneumoniaからも報告された(15)15) H. Gut, S. J. King & M. A. Walsh: FEBS Lett., 582, 3348 (2008)..近年,腸内細菌の1種であるRuminococcus gnovusから,このタイプのトランスシアリダーゼが初めて報告された(16)16) L. E. Tailford, C. D. Owen, J. Walshaw, E. H. Crost, J. Hardy-Goddard, G. Le Gall, W. M. de Vos, G. L. Taylor & N. Juge: Nat. Commun., 6, 7624 (2015)..腸内で2,7-anhydro-Neu5Acを生成する本酵素の意義はまだ明らかではないが,遊離したシアル酸を独占的に利用するため,あるいは2,7-anhydro-Neu5Acが何らかのシグナル分子となっている可能性が考えられる.分子内トランスシアリダーゼと予想されるホモログ遺伝子は多くのグラム陽性腸内細菌にも見られ,メタゲノム解析によると,健常人よりも炎症性腸疾患の患者に本酵素をもつ菌の割合が多いと報告されている(16)16) L. E. Tailford, C. D. Owen, J. Walshaw, E. H. Crost, J. Hardy-Goddard, G. Le Gall, W. M. de Vos, G. L. Taylor & N. Juge: Nat. Commun., 6, 7624 (2015)..
シアル酸を含む抗原の一つにSda抗原がある(図2図2■ムチン糖鎖のコア構造と末端構造).血液型抗原として知られており,ヒト大腸で特に多く発現している.Sda抗原はシアリルルイスa抗原やシアリルルイスX抗原と前駆体を共有するため,正常組織で多く発現し,がん化に伴い減少することも知られている(17)17) T. Dohi & Y. I. Kawamura: Biochim. Biophys. Acta, 1780, 467 (2008)..非還元末端の分岐した3糖構造は,ガングリオシドGM2の末端と同じ構造であり,立体的にタイトなコンフォメーションを取る(18)18) Y. Zhang, S. Yamamoto, T. Yamaguchi & K. Kato: Molecules, 17, 6658 (2012)..そのため酵素による分解を受けにくく,高等動物のリソソームにおけるGM2の分解には,β-N-アセチルヘキソサミニダーゼに加えてGM2アクチベーターという活性化タンパク質が必要である(19, 20)19) Y.-T. Li, S.-C. Li, H. Ishida, M. Kiso, L. Raimondi, A. Bernardi & S. Sonnino: Methods Enzymol., 363, 242 (2003).20) H. Ashida & Y.-T. Li: Adv. Neurobiol., 9, 463 (2014)..これらの酵素・アクチベーターの作用によりGM2はGM3に分解され,その後シアリダーゼによりラクトシルセラミドに代謝される.
腸内細菌のシアリダーゼがSda抗原に作用するかどうかはほとんど調べられていないが,筆者らは,GM2からNeu5AcとGalNAcを遊離させるマルチドメイン酵素をB. bifidum JCM 1254から見いだした(投稿準備中).SiaBb3と命名した本酵素は,N末端側にGH123 β-N-アセチルガラクトサミニダーゼドメイン,C末端側にGH33シアリダーゼドメインを有する.本酵素は,界面活性剤やアクチベータータンパク質の非存在下でもGM2をラクトシルセラミドにまで分解した.両ドメインの機能欠失変異体を用いた解析から,GM2はまずシアリダーゼドメインによりアシアロGM2に分解され,次にβ-N-アセチルガラクトサミニダーゼドメインによりラクトシルセラミドに分解されることがわかった.これは,動物のリソソームにおける分解とは逆の順番である.GH123は,土壌細菌であるPaenibacillus属の1菌株から見つかった酵素(21)21) T. Sumida, K. Fujimoto & M. Ito: J. Biol. Chem., 286, 14065 (2011).により創設されたGHファミリーで,自然界においてはまれな酵素であるが,腸内細菌には比較的広く分布している(表2表2■各種の腸内細菌がもつムチン糖鎖に対するグリコシダーゼ遺伝子数).
α-結合のGlcNAcは生体内における分布が限られており,ヘパリンやヘパラン硫酸の繰り返し2糖構造(-4GlcNAcα1→4GlcAβ1-),胃および十二指腸の深部の腺粘液細胞から分泌されるムチン糖鎖の非還元末端のみに見られる.後者をα-GlcNAcキャップ構造と呼んでいる(図2図2■ムチン糖鎖のコア構造と末端構造).組織染色において,試料を過ヨウ素酸酸化処理することで初めてα-グルコースやα-マンノースに特異的なConAレクチン染色に陽性となる「パラドキシカルConA染色」で検出される構造として存在が知られていた(22)22) H. Ota, T. Katsuyama, K. Ishii, J. Nakayama, T. Shiozawa & Y. Tsukahara: Histochem. J., 23, 22 (1991)..その後,この構造がGlcNAcα1→4Galβ1-Rであることが明らかにされた(23, 24)23) H. Van Halbeek, G. J. Gerwig, J. F. Vliegenthart, H. L. Smits, P. J. Van Kerkhof & M. F. Kramer: Biochim. Biophys. Acta, 747, 107 (1983).24) K. Ishihara, M. Kurihara, Y. Goso, T. Urata, H. Ota, T. Katsuyama & K. Hotta: Biochem. J., 318, 409 (1996)..近年になって,この糖鎖の生理的意義が次々と明らかになった.Helicobacter pyloriは胃に感染し,胃潰瘍や胃がんを引き起こすことで知られているが,α-GlcNAcキャップ構造をもつ糖鎖は,H. pyloriの生育に必須な細胞膜成分であるコレステリルα-グルコピラノシドの生合成を阻害することで,H. pyloriの増殖を抑制する内因性の抗菌因子であることが明らかにされた(25)25) M. Kawakubo, Y. Ito, Y. Okimura, M. Kobayashi, K. Sakura, S. Kasama, M. N. Fukuda, M. Fukuda, T. Katsuyama & J. Nakayama: Science, 305, 1003 (2004)..また,α-GlcNAcキャップ構造の生合成に必要なα4GnTのノックアウトマウスは,胃前庭部に炎症が惹起され,H. pylori非依存的に分化型胃がんの発生率が高く,この糖鎖構造が腫瘍抑制因子であることも報告されている(26)26) F. Karasawa, A. Shiota, Y. Goso, M. Kobayashi, Y. Sato, J. Masumoto, M. Fujiwara, S. Yokosawa, T. Muraki, S. Miyagawa et al.: J. Clin. Invest., 122, 923 (2012)..
α-GlcNAcキャップ構造を分解する腸内細菌の酵素は,C. perfringens ATC C 10543から初めて同定された(27, 28)27) H. Ashida, K. Anderson, J. Nakayama, K. Maskos, C. W. Chou, R. B. Cole, S.-C. Li & Y.-T. Li: J. Biol. Chem., 276, 28226 (2001).28) H. Ashida, K. Maskos, S.-C. Li & Y.-T. Li: Biochemistry, 41, 2388 (2002)..本菌が生産する特異なエンド-β-ガラクトシダーゼは,GlcNAcα1→4Galβ1-R構造に作用してGlcNAcα1→4Galの2糖を遊離させる.本酵素はGH16に属し,同じファミリーのラミナリナーゼやリケナーゼなどのβ-グルカナーゼと共通する活性中心モチーフEXDX(X)Eをもつことから,両者は共通祖先酵素から派生したものと考えられるが,GH16のなかでβ-ガラクトシル基に作用する酵素は極めて少数派であり興味深い.
つづいて,ヒトのリソソームにおけるヘパラン硫酸分解にかかわるGH89 α-N-アセチルグルコサミニダーゼとの相同性により,C. perfringens ATC C 13124から初めてα-N-アセチルグルコサミニダーゼが構造決定され(29)29) E. Ficko-Blean, K. A. Stubbs, O. Nemirovsky, D. J. Vocadlo & A. B. Boraston: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 6560 (2008).,その後,GlcNAcα1→4Gal構造に特異的に作用する酵素であることを筆者らが報告した(30)30) M. Fujita, A. Tsuchida, A. Hirata, N. Kobayashi, K. Goto, K. Osumi, Y. Hirose, J. Nakayama, T. Yamanoi, H. Ashida et al.: J. Biol. Chem., 286, 6479 (2011)..GH89の酵素も自然界ではまれな酵素であるが,ムチン分解性の腸内細菌のゲノム中には候補遺伝子が多く見られ,B. bifidumもこれをもっている(31)31) Y. Shimada, Y. Watanabe, T. Wakinaka, Y. Funeno, M. Kubota, T. Chaiwangsri, S. Kurihara, K. Yamamoto, T. Katayama & H. Ashida: Appl. Microbiol. Biotechnol., 99, 3941 (2015)..胃ムチンは分泌量も多いため,大量に消化管下部に流れて腸内細菌の栄養源となっていることが考えられる.
H抗原(O型抗原)は,赤血球ではフコース転移酵素1(Fut1)により生合成されるが,唾液腺や消化管から分泌されるムチン糖鎖ではFut2(Se酵素)により生合成される.活性型のFut2をもつ分泌型の場合には,血液型と同じABH抗原をムチン糖鎖末端にも発現する(図2図2■ムチン糖鎖のコア構造と末端構造).消化管のフコシル化糖鎖は腸内細菌の存在により発現が誘導されることから,生体防御因子として生合成されていることがうかがえる.近年,フコシル化糖鎖生合成の調節メカニズムも明らかになりつつある(32, 33)32) J. M. Pickard, C. F. Maurice, M. A. Kinnebrew, M. C. Abt, D. Schenten, T. V. Golovkina, S. R. Bogatyrev, R. F. Ismagilov, E. G. Pamer, P. J. Turnbaugh et al.: Nature, 514, 638 (2014).33) Y. Goto, T. Obata, J. Kunisawa, S. Sato, I. I. Ivanov, A. Lamichhane, N. Takeyama, M. Kamioka, M. Sakamoto, T. Matsuki et al.: Science, 345, 1254009 (2014)..
一方,共生細菌はフコシル化糖鎖を積極的に利用している.H抗原のα1,2-結合のフコースに特異的に作用する1,2-α-L-フコシダーゼはB. bifidumより初めて同定されGH95が創設されたが(34)34) T. Katayama, A. Sakuma, T. Kimura, Y. Makimura, J. Hiratake, K. Sakata, T. Yamanoi, H. Kumagai & K. Yamamoto: J. Bacteriol., 186, 4885 (2004).,このファミリーに属する遺伝子はムチン分解性の腸内細菌に広く分布しており,数も多い(表2表2■各種の腸内細菌がもつムチン糖鎖に対するグリコシダーゼ遺伝子数).
A抗原とB抗原に対しては,Elizabethkingia meningosepticaと,Bacteroides fragilisおよびB. thetaiotaomicronから新奇の酵素が発見され,GH109とGH110がそれぞれ創設された(35)35) Q. P. Liu, G. Sulzenbacher, H. Yuan, E. P. Bennett, G. Pietz, K. Saunders, J. Spence, E. Nudelman, S. B. Levery, T. White et al.: Nat. Biotechnol., 25, 454 (2007)..Bacteroides属の2種はGH109の酵素ももつことから,A型とB型の両方を利用できそうである.一方,B. bifidumはGH110の酵素をもち,B抗原をH抗原に分解することができるが(36)36) T. Wakinaka, M. Kiyohara, S. Kurihara, A. Hirata, T. Chaiwangsri, T. Ohnuma, T. Fukamizo, T. Katayama, H. Ashida & K. Yamamoto: Glycobiology, 23, 232 (2013).,GH109の酵素はもっていない.GH27やGH36に含まれるα-ガラクトシダーゼやα-N-アセチルガラクトサミニダーゼがAB抗原に作用する可能性もあるが,酵素活性を調べた限り主要なビフィズス菌でA型物質を分解するものは見いだされない.どうやらビフィズス菌はA型を苦手にしているようである.
A型からB型,あるいはO型への遺伝的な変化は,A酵素の数塩基の置換により特異性が変化してB酵素となるか,塩基の欠失により不活性型酵素となることで起こった.このような血液型の多様性が生まれた原因として,過去にA型に感染する強力な病原体が存在して,これを免れることができるB型やO型の遺伝子頻度が増加したとする説が有力である.しかし筆者は,ビフィズス菌が腸内に定着しやすいB型やO型の乳児の生存率が,衛生状態のよくない太古の時代に僅かに高かったことから遺伝子頻度が増加したのではないか,すなわち,ビフィズス菌がA型からB型やO型への進化の原動力になったのではないかと密かに妄想している.
なお,C. perfringensはGH109やGH110の酵素をもっていないが,A型とB型の末端3糖を特異的に遊離させるGH98エンド-β-ガラクトシダーゼをもっていて(37)37) K. M. Anderson, H. Ashida, K. Maskos, A. Dell, S.-C. Li & Y.-T. Li: J. Biol. Chem., 280, 7720 (2005).,ほかの腸内細菌とは異なるユニークな戦略で血液型抗原を分解している.
Fut2が不活性型のホモ接合体の場合には非分泌型となり,ABH抗原はムチン糖鎖上に発現せず,前駆体はルイスaに変換される.ルイス抗原のα1,3/4-フコースに作用するフコシダーゼは,腸内細菌ではB. bifidumからGH29に属する酵素(AfcB)が初めて報告された(38)38) H. Ashida, A. Miyake, M. Kiyohara, J. Wada, E. Yoshida, H. Kumagai, T. Katayama & K. Yamamoto: Glycobiology, 19, 1010 (2009)..本酵素はα1,3-とα1,4-結合のフコースに特異的であったが,GH29にはα1,3/4のみならずα1,2-やα1,6-結合にも作用する基質特異性の広い酵素も含まれ,サブグループを形成している.いずれも,腸内細菌にはかなり広い分布をする酵素である.
ムチン型糖鎖のコア1構造に作用する酵素エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼは,肺炎連鎖球菌から発見され(39)39) V. P. Bhavanandan, J. Umemoto & E. A. Davidson: Biochem. Biophys. Res. Commun., 70, 738 (1976).,いくつかの非病原性の土壌菌などからも報告された(40~42)40) H. Iwase, I. Ishii, K. Ishihara, Y. Tanaka, S. Omura & K. Hotta: Biochem. Biophys. Res. Commun., 151, 422 (1988).42) H. Ashida, K. Yamamoto, T. Murata, T. Usui & H. Kumagai: Arch. Biochem. Biophys., 373, 394 (2000)..その後,本酵素がビフィズス菌に広く分布することが見いだされ,B. longum subsp. longumからEngBFが同定され,GH101が創設された(43)43) K. Fujita, F. Oura, N. Nagamine, T. Katayama, J. Hiratake, K. Sakata, H. Kumagai & K. Yamamoto: J. Biol. Chem., 280, 37415 (2005)..
本酵素によりムチンのコア1構造から遊離したガラクト-N-ビオース(Galβ1→3GalNAc; GNB)は,ヒトミルクオリゴ糖の主要成分であるラクト-N-テトラオース(Galβ1→3GlcNAcβ1→3Galβ1→4Glc)からラクト-N-ビオシダーゼ(LnbB)(44)44) J. Wada, T. Ando, M. Kiyohara, H. Ashida, M. Kitaoka, M. Yamaguchi, H. Kumagai, T. Katayama & K. Yamamoto: Appl. Environ. Microbiol., 74, 3996 (2008).により遊離したラクト-N-ビオース(Galβ1→3GlcNAc; LNB)と同じ経路でビフィズス菌の菌体に取り込まれ利用される.すなわち,GNB/LNBに特異的なABCトランスポーターで細胞内に輸送され(45)45) R. Suzuki, J. Wada, T. Katayama, S. Fushinobu, T. Wakagi, H. Shoun, H. Sugimoto, A. Tanaka, H. Kumagai, H. Ashida et al.: J. Biol. Chem., 283, 13165 (2008).,細胞内のGH112 GNB/LNBホスホリラーゼ(GLNBP)(46)46) M. Kitaoka, J. Tian & M. Nishimoto: Appl. Environ. Microbiol., 71, 3158 (2005).により加リン酸分解される(図3図3■ビフィズス菌B. bifidumの2つのムチンコア構造代謝経路(49)).GNBとLNBのβ1,3-ガラクトシル結合は一般的なβ-ガラクトシダーゼにより分解されないため,この2糖は選択的なビフィズス菌増殖因子として期待できる(47)47) M. Kiyohara, A. Tachizawa, M. Nishimoto, M. Kitaoka, H. Ashida & K. Yamamoto: Biosci. Biotechnol. Biochem., 73, 1175 (2009)..
EngBFの各種コア構造に対する特異性を詳細に調べたところ,コア1構造にほぼ特異的であった(48)48) H. Ashida, R. Maki, H. Ozawa, Y. Tani, M. Kiyohara, M. Fujita, A. Imamura, H. Ishida, M. Kiso & K. Yamamoto: Glycobiology, 18, 727 (2008)..コア1構造は主に胃ムチン糖鎖に見られることから,EngBFはGH89酵素と同様,胃から流れてきたムチンの利用にかかわることが示唆された.一方,大腸の主要なムチンであるMUC2の糖鎖は,コア3構造が多いことが知られている.そこで,EngBFのほかに関連する酵素はないかとB. bifidumのゲノムを探索したところ,EngBFと僅かな類似性を示す未知遺伝子nagBbが見いだされた.NagBbを大腸菌で発現させたところ,α-GalNAcが1残基付加したTn抗原に作用するという新奇の特異性をもつ酵素であり,GH129が創設された(49)49) M. Kiyohara, T. Nakatomi, S. Kurihara, S. Fushinobu, H. Suzuki, T. Tanaka, S. Shoda, M. Kitaoka, T. Katayama, K. Yamamoto et al.: J. Biol. Chem., 287, 693 (2012)..NagBbは菌体内酵素であるため,菌体外で各種酵素の作用により生じたTn抗原ペプチドが細胞内に取り込まれた後に機能するものと考えられる.ヒト大腸ムチンの糖鎖で最も量が多いのは,シアリル-ガラクトシル-コア3構造である.ビフィズス菌が菌体外にもつことがわかっているシアリダーゼ(SiaBb2)(12)12) M. Kiyohara, K. Tanigawa, T. Chaiwangsri, T. Katayama, H. Ashida & K. Yamamoto: Glycobiology, 21, 437 (2011).,ラクト-N-ビオシダーゼ(LnbB)(44)44) J. Wada, T. Ando, M. Kiyohara, H. Ashida, M. Kitaoka, M. Yamaguchi, H. Kumagai, T. Katayama & K. Yamamoto: Appl. Environ. Microbiol., 74, 3996 (2008).,β-ガラクトシダーゼ(BbgIII)(50)50) M. Miwa, T. Horimoto, M. Kiyohara, T. Katayama, M. Kitaoka, H. Ashida & K. Yamamoto: Glycobiology, 20, 1402 (2010).,β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(BbhI, BbhII)(50)50) M. Miwa, T. Horimoto, M. Kiyohara, T. Katayama, M. Kitaoka, H. Ashida & K. Yamamoto: Glycobiology, 20, 1402 (2010).の作用により,シアリル-ガラクトシル-コア3構造はTn抗原にまで分解されると考えられる(図3図3■ビフィズス菌B. bifidumの2つのムチンコア構造代謝経路(49)).NagBbはコア3構造の2糖にはほとんど作用しなかったが,大腸に最も多いシアリル-ガラクトシル-コア3構造の利用にかかわる酵素であることが強く示唆された.以上のとおり,ビフィズス菌は胃と腸の2種類のムチン糖鎖のコア構造を利用するための2つの代謝経路をもつことが明らかになった.
大量のゲノム情報が容易に得られるようになり,コンピューター上でさまざまな代謝経路の予測が可能になった.しかし,実際にその経路が働いているかどうかはウェットの実験が必要である.ビフィズス菌については,ほかのムチン分解性腸内細菌と比較すると,コア構造の利用性に分がありそうなことがわかってきた.今後は,Akkermansiaなどの有益と見られる共生細菌も含め,ムチン糖鎖分解経路を詳細に調べることで,新しいタイプのプレバイオティクスの開発につながることが期待される.
Reference
5) V. Recktenwald & G. C. Hansson: J. Biol. Chem., (2016), in press.
8) K. Yamamoto: Biosci. Biotechnol. Biochem., 76, 1815 (2012).
9) T. Katayama: Biosci. Biotechnol. Biochem., 80, 621 (2016).
10) M. Kitaoka: Adv. Nutr., 3, 422S (2012).
13) Y.-T. Li, H. Nakagawa, S. A. Ross, G. C. Hansson & S.-C. Li: J. Biol. Chem., 265, 21629 (1990).
14) M. Y. Chou, S.-C. Li & Y.-T. Li: J. Biol. Chem., 271, 19219 (1996).
15) H. Gut, S. J. King & M. A. Walsh: FEBS Lett., 582, 3348 (2008).
17) T. Dohi & Y. I. Kawamura: Biochim. Biophys. Acta, 1780, 467 (2008).
18) Y. Zhang, S. Yamamoto, T. Yamaguchi & K. Kato: Molecules, 17, 6658 (2012).
20) H. Ashida & Y.-T. Li: Adv. Neurobiol., 9, 463 (2014).
21) T. Sumida, K. Fujimoto & M. Ito: J. Biol. Chem., 286, 14065 (2011).
28) H. Ashida, K. Maskos, S.-C. Li & Y.-T. Li: Biochemistry, 41, 2388 (2002).
39) V. P. Bhavanandan, J. Umemoto & E. A. Davidson: Biochem. Biophys. Res. Commun., 70, 738 (1976).
41) J. Q. Fan, K. Yamamoto, H. Kumagai & T. Tochikura: Agric. Biol. Chem., 54, 233 (1990).
46) M. Kitaoka, J. Tian & M. Nishimoto: Appl. Environ. Microbiol., 71, 3158 (2005).