解説

細胞分裂時における細胞小器官(オルガネラ)の分配機構細胞周期,次の主役はオルガネラ

Mechanisms of Organelle Inheritance during Cell Division

Yui Jin

Life Sciences Institute, Department of Cell and Developmental Biology, University of Michigan

Lois S. Weisman

Life Sciences Institute, Department of Cell and Developmental Biology, University of Michigan

Published: 2017-03-20

真核生物の細胞内には,膜で覆われた細胞内小器官(オルガネラ)が幾種も存在し,それぞれのオルガネラは細胞生育において必須な役割を果たしている.出芽酵母を用いた近年の研究から,細胞分裂時において,核/染色体のみならず,オルガネラも積極的に娘細胞へと分配されており,かつ,オルガネラ分配は細胞生育において重要であることが示されている.さらに,多くの真核生物においては,細胞分裂時に核膜の崩壊と同様に,ゴルジ体の構造が劇的に変化することから,細胞分裂時におけるオルガネラ分配制御は種を超えて存在することが強く示唆される.本稿においては,近年急速に理解が進んできた酵母におけるオルガネラ分配の分子機構を中心に解説する.

はじめに

動物,植物をはじめすべての真核生物は,細胞分裂時に細胞の設計図とも言える染色体を娘細胞に分配する.さらに染色体の分配を監視するチェックポイント機構が存在する.しかしながら染色体のみでは,細胞は生育できないことは容易に推察できる.つまり真核生物のアイデンティティーの一部とも言えるオルガネラも,細胞分裂時には娘細胞へ分配されなければならないと考えられる.この際,細胞内にランダムに配置しているオルガネラを細胞分裂時に「偶発的に」娘細胞に分配するわけではなく,巧妙な分子制御のもと,オルガネラを細胞骨格に沿って移動させることにより,「計画的に」娘細胞に分配するということが明らかになってきた.

多くの研究者は長年出芽酵母をモデル生物に細胞分裂時におけるオルガネラ分配を研究してきた.出芽酵母をモデルとして用いる利点の一つとして,細胞分裂の様式が非対称であり,この非対称性により,多くのオルガネラが細胞分裂時に娘細胞へと能動的に輸送されることが挙げられる.

MyosinV依存的なオルガネラ輸送

細胞分裂に伴って細胞骨格が再構築され,それに沿ってモータータンパク質がオルガネラ輸送を行っている.細胞の大きさが20~30 µmの直径をもつ哺乳類細胞においては,たとえば核周辺から細胞辺縁部への長距離輸送には,微小管が使われ,細胞膜近傍の短距離輸送にはアクチン繊維が使用される.一方,細胞の大きさが2~3 µmである酵母においては,ほとんどのオルガネラ輸送にはアクチン繊維,そしてアクチン繊維上を移動するミオシンモーターが使用されるという特徴がある.出芽酵母では,5型ミオシンモーター(Myosin V)に分類されるMyo2およびMyo4がオルガネラの輸送を担っている.Myo2は液胞,ミトコンドリア,ペロキシソーム,ゴルジ体,分泌小胞の輸送を,さらには紡錘体極の極性を制御している.Myo4は小胞体,さらにはASH1をはじめさまざまなmRNAを娘細胞に輸送する(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).

図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図

出芽酵母において,ゴルジ体,分泌小胞,ミトコンドリア,液胞,ペロキシソームはMyo2モータータンパク質によりアクチン繊維を通り,細胞分裂毎に娘細胞に運ばれる.Myo2は紡錘体極の極性制御にも関与している.もう一つのMyosin VであるMyo4は細胞分裂時に,小胞体,mRNAを娘細胞に運ぶ. Myo2輸送アダプターとして,ゴルジ体輸送にはYpt11,分泌小胞輸送にはYpt31/32とSec4とSec15(Exocyst),ミトコンドリア輸送にはYpt11とMmr1,液胞輸送にはVac17とVac8,ペロキシソーム輸送にはInp2とPex19,そして紡錘体極の極性にはKar9とBim1が働いている.Myo4輸送アダプターとして,小胞体輸送にはShe3, ASH1 mRNA輸送にはShe2とShe3が働いている.Myosin Vと直接結合する輸送アダプターを四角,直接結合しないアダプターを三角で示す.ミトコンドリアとペロキシソームの一部を母細胞へとどめる制御の模式を図左側に示している.母細胞での係留アダプターとして,ミトコンドリア係留にはNum1, Mdm36, Mfb1が働き,ペロキシソーム係留にはInp1とPex3が働いている.

Myo2, Myo4はそれぞれホモ二量体を形成し,アクチン上をマイナス端からプラス端に向かって移動するモータータンパク質である.Myosin VはN末端から,1)ATP加水分解をエネルギーとしてアクチン上を移動することができるモータードメイン,2)カルモジュリンやミオシン軽鎖が結合するIQモチーフ,3)二量体形成に重要と考えられているコイルド–コイル領域,4)そしてオルガネラ含む積荷に対する結合ドメインから構成される(図2図2■ミオシンモーターの構造).Myo2モーターは少なくとも6種類,Myo4モーターは2種類の積荷を輸送するが,個々の積荷の輸送は時空間的な差異が存在している.では,モータータンパク質はどのように複数の積荷を一つのドメインで認識し,積荷の輸送を時空間的に制御しているのだろうか? その答えはMyo2積荷結合ドメインの結晶構造解析と,それに続く個々のオルガネラ輸送に必要なアミノ酸の同定より明らかになってきた(図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位).またMyo2およびMyo4は積荷輸送の際に直接オルガネラ膜に結合するのではなく,膜に局在するアダプタータンパク質がオルガネラ膜とモータータンパク質をつなぐ役目を果たしている(図2図2■ミオシンモーターの構造).さらに積荷に応じて異なるアダプタータンパク質が存在する(表1表1■オルガネラ特異的輸送アダプター).これらアダプタータンパク質はオルガネラ膜とモータータンパク質の物理的なつなぎ止めとしての役割だけでなく,細胞周期に応じてさまざまな制御を受けることにより,オルガネラ輸送の時空間的な調節因子としての役割も務めている.ここからは個々のオルガネラ分配について詳細を解説したい.

図2■ミオシンモーターの構造

(A)ミオシンモーターはN末端側から,モータードメイン,IQモチーフ,コイルド-コイル,積荷結合ドメインの4つのドメインを有している.(B)ミオシンモーターMyo2による液胞輸送複合体の模式図を示す.ミオシンモーターは二量体を形成し,モータードメインにてアクチン繊維上を移動する.IQモチーフはミオシン軽鎖やカルモジュリンが結合する.コイルド–コイル領域は二量体形成に重要であると考えられている.積荷結合ドメインは,積荷特異的アダプタータンパク質を介してオルガネラを含む積荷に結合する.液胞輸送の場合,液胞アダプターであるVac17がMyo2積荷結合ドメインに直接結合し,さらに脂質修飾を介して液胞膜に局在しているVac8にも直接結合し,Myo2と液胞膜をつなげている.

図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位

Myo2のC末端側の積荷結合ドメインの結晶構造を示す.上図では,液胞輸送アダプターVac17の結合アミノ酸を青色,ミトコンドリア輸送アダプターMmr1の結合部位を赤色で示している.Vac17とMmr1が両方結合する部位を紫色で示している.分泌小胞輸送にかかわるSec15(Exocyst)の結合部位を緑色で示している. 下図は,上図を横軸に対して180度回転させた図であり,上図の裏側を表している.分泌小胞,ゴルジ体,ミトコンドリア輸送に関わるRab GTPase結合部位を黒線,紡錘対極の極性にかかわるKar9結合部位を紫線,ペソキシシーム輸送にかかわるInp2結合部位を緑線で囲っている.もう一つのペロキシソームアダプターPex19の結合に必要と同定されたアミノ酸は残基部位が表面にないため図では表していない.Rab GTPase結合領域,紡錘対極結合領域,ペロキシソーム結合領域は一部重複している.

表1■オルガネラ特異的輸送アダプター
Myosin V輸送アダプター積荷
Myo2Vac17 (Vac8)液胞
Mmr1, Ypt11ミトコンドリア
Inp2, Pex19ペロキシソーム
Ypt11 (Ret2)ゴルジ体
Ypt31/32, Sec4, Sec15分泌小胞
Kar9 (Bim1)紡錘体極
Myo4She3小胞体
She3 (She2)mRNA
ミオシンモーター,輸送アダプター,そして積荷を示す.括弧( )内に示したVac8, Ret2, Bim1, She2は直接ミオシンモーターには結合せず,それぞれVac17, Ypt11, Kar9, She3を介してミオシンモーターと複合体を形成する.

オルガネラ分配

1. 液胞分配

液胞は,ほかの生物種におけるリソソームに相当し,内腔の酸性度が高いオルガネラである.主にタンパク質などの高分子を加水分解し,アミノ酸の再利用および貯蓄の場として知られている.また細胞内のpHの調節にも大きく寄与している.成熟した,かつ機能的な液胞は細胞の生育に必須であり,細胞分裂時の液胞分配の重要性が示されている(1)1) Y. Jin & L. S. Weisman: eLife, 4, e08160 (2015)..液胞膜を観察すると,細胞分裂時には母細胞から娘細胞に向かってsegregation structureと呼ばれる長細い,かつ娘細胞へ分配途中の液胞の形態が観察される(図4図4■液胞輸送の経時的観察).液胞分配変異体においてはこのようなsegregation structureが見られず,液胞が分配されなかった娘細胞においては新規に液胞が生成される.液胞分配変異体スクリーニングにより液胞輸送に必要な遺伝子が単離,同定された(2)2) Y.-X. Wang, H. Zhao, T. Harding, D. Gomes De Mesquita, C. L. Woldringh, D. Klionsky, A. L. Munn & L. S. Weisman: Mol. Biol. Cell, 7, 1375 (1996)..前述したミオシンモーターであるMyo2,自身の脂質修飾を介して液胞膜にアンカーされているVac8,そしてMyo2とVac8を物理的につなげるアダプタータンパク質Vac17が同定され,少なくともこれら3つのタンパク質から構成される輸送複合体が液胞輸送に必要であることが明らかとなっている(3)3) L. S. Weisman: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 7, 243 (2006).図2図2■ミオシンモーターの構造).

図4■液胞輸送の経時的観察

液胞膜をGFPで可視化した酵母を用い,液胞輸送を経時的に観察した.液胞特異的ATPaseのV0サブユニットである膜タンパク質Vph1にGFPを融合させた.液胞が娘細胞に向かって輸送される途中のSegregation structureが観察される.

細胞周期G1期における液胞輸送の開始は,この輸送複合体形成を促進することで成り立っている.まず輸送複合体の一因子であるVAC17遺伝子の発現が上昇する.次にサイクリン依存性リン酸化酵素CDK/Cdc28によりVac17がリン酸化され,そのリン酸化によりMyo2との結合が促進されることが強く示唆されている(4)4) Y. Peng & L. S. Weisman: Dev. Cell, 15, 478 (2008).

液胞分配は開始だけでなく,娘細胞への輸送終了時においても分子的な制御を受けている.主には輸送複合体の解離であり,Vac17の分解が複合体解離の一要素である.Vac17はタンパク質の安定性にかかわるPESTドメイン(Pro, Glu, Ser, Thrを多く含む)をもち,このPESTドメインのリン酸化がVac17の分解制御に大きく関与している.リン酸化されたVac17は液胞輸送の終了した娘細胞内にてE3ユビキチンリガーゼDma1/Dma2によりユビキチン化修飾を受け,最終的にプロテアソーム複合体により分解される(5)5) R. G. Yau, Y. Peng, R. R. Valiathan, S. R. Birkeland, T. E. Wilson & L. S. Weisman: Dev. Cell, 28, 520 (2014).

CDK/Cdc28によるタンパク質へのリン酸基付加だけでなく,Ptc1によるタンパク質のリン酸基除去も液胞分配に重要であることが明らかになっている.Ptc1は液胞以外にもMyo2の積荷であるミトコンドリアとペロキシソームの分配に,さらにMyo4の積荷である小胞体,ASH1 mRNAの輸送にもかかわっている(6, 7)6) Y. Du, L. Walker, P. Novick & S. Ferro-Novick: EMBO J., 25, 4413 (2006).7) Y. Jin, P. Taylor Eves, F. Tang & L. S. Weisman: Mol. Biol. Cell, 20, 1312 (2009)..つまりPtc1が上位の分子制御機構において複数のオルガネラ輸送にかかわっていることを示唆している.Ptc1の標的分子や詳細な作用機序などは不明であるが,今後は液胞分配制御のみならず,Ptc1による複数のオルガネラ輸送を統括する上流の制御機構の解明が期待される.

2. ミトコンドリア分配

ミトコンドリアは脂質二重膜に囲まれたオルガネラであり,主としてATP産生を介して細胞内のエネルギー生産を担っている.ミトコンドリアは,このエネルギー生産にかかわる電子伝達系/酸化的リン酸化を担うタンパク質群の一部,および,ミトコンドリア内タンパク質翻訳にかかわるRNA群の一部を自身のゲノムにコードしている(8)8) B. Westermann: Biochim. Biophys. Acta, 1837, 1039 (2014)..またミトコンドリアは分裂/融合を繰り返すことによりダイナミックにその形態を変化させ,自身の機能を維持しているオルガネラである.

ミトコンドリア膜にはホスファチジルエタノールアミンを含む脂質生成を担う酵素群が局在し,各種脂質生成においても重要な役割を担っている.近年,ミトコンドリア膜は小胞体膜もしくは細胞膜と結合することによりミトコンドリア–小胞体間およびミトコンドリア–細胞膜間における脂質およびその前駆体の交換/伝達経路の存在が明らかになっている.ERMES(ER-Mitochondria Encounter Structure)複合体は,小胞体膜とミトコンドリア膜をつなげるタンパク質複合体であり(9)9) B. Kornmann, E. Currie, S. R. Collins, M. Schuldiner, J. Nunnari, J. S. Weissman & P. Walter: Science, 325, 477 (2009).,SMP(Synaptotagmin-like Mitochondrial-lipid binding Protein)ドメインを介して主に小胞体膜とミトコンドリア膜間の脂質輸送を担っている.興味深いことに,酵母もヒトも,ある条件化ではミトコンドリアDNAを有していない細胞でも生育が可能であることが知られている(10, 11)10) M. P. King & G. Attardi: Science, 246, 500 (1989).11) G. D. Clark-Walker: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 388 (1972)..つまり,小胞体膜や細胞膜への脂質供給がミトコンドリアを必須たるオルガネラにしている一要因とも考えられる.現在までに新規ミトコンドリア生成は観察されておらず,ミトコンドリアの娘細胞への分配は必須であると言える.

ミトコンドリアは,アクチン繊維に沿ってモータータンパク質Myo2により母細胞から娘細胞に輸送される.ミトコンドリア輸送にはミトコンドリア膜に局在する2つのアダプタータンパク質であるYpt11とMmr1がMyo2と結合し,この輸送複合体を介してミトコンドリアは母細胞から娘細胞に輸送される(12~14)12) T. Itoh, A. Watabe, E. A. Toh & Y. Matsui: Mol. Cell. Biol., 22, 7744 (2002).13) T. Itoh, E. A. Toh & Y. Matsui: EMBO J., 23, 2520 (2004).14) I. Chernyakov, F. Santiago-Tirado & A. Bretscher: Curr. Biol., 23, 1818 (2013).図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).Ypt11とMmr1を両方欠失した二重変異体は致死となることからもミトコンドリア分配輸送は細胞の生育にとって必須の過程である(13, 14)13) T. Itoh, E. A. Toh & Y. Matsui: EMBO J., 23, 2520 (2004).14) I. Chernyakov, F. Santiago-Tirado & A. Bretscher: Curr. Biol., 23, 1818 (2013).

Mmr1はミトコンドリア外膜に局在し,特に輸送途中のミトコンドリアにその局在が観察される.Myo2上のMmr1結合領域は,液胞特異的アダプタータンパク質Vac17の結合領域と重複している(図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位).さらに,in vitroでの解析の結果,Mmr1はMyo2への結合においてVac17と競合する.このMmr1とVac17のMyo2への結合における競合阻害は,結果的にin vivoにおける液胞とミトコンドリアの娘細胞への輸送競合に,さらには細胞分裂時に娘細胞へ分配される液胞とミトコンドリアの量を調節していることが明らかになっている(15)15) P. T. Eves, Y. Jin, M. Brunner & L. S. Weisman: J. Cell Biol., 198, 69 (2012).

Rab GTPaseであるYpt11は自身のGTPase活性を通じてモータータンパク質Myo2と結合する.また,Myo2上のYpt11結合領域はMmr1結合領域とは異なる(図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位).興味深いことにYpt11はMmr1とは異なり小胞体膜に主に局在している.小胞体膜に存在するタンパク質がどのようにミトコンドリア分配にかかわっているか長年不明であった.しかし近年,強制的にミトコンドリアに局在させたYpt11はミトコンドリア分配にかかわるが,小胞体膜にのみ局在させたYpt11はミトコンドリア分配には関与しないという実験結果が報告されている.このことから,一部のYpt11はミトコンドリアにも存在し機能していることが示唆される(16)16) A. Lewandowska, J. Macfarlane & J. M. Shaw: Mol. Biol. Cell, 24, 1185 (2013)..Mmr1, Ypt11ともにミトコンドリア輸送/分配に重要な働きをしているが,なぜ2つのアダプタータンパク質が存在しているのか? またMmr1, Ypt11が同時にMyo2に結合しているのか,あるいは個々に独立して働いているのかは,未解明である.

細胞分裂時において,興味深いことに,ミトコンドリアはモータータンパク質Myo2を介し能動的に娘細胞に輸送されるだけでなく,母細胞に一部のミトコンドリアを積極的にとどめる分子機構(ミトコンドリア係留-retention)が存在している.ミトコンドリアに局在するNum1, Mdm36, Mfb1が母細胞におけるミトコンドリア係留に大きく関与することが報告されている(17~21)17) L. L. Lackner, H. Ping, M. Graef, A. Murley & J. Nunnari: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, E458 (2013).18) T. Klecker, D. Scholz, J. Fortsch & B. Westermann: J. Cell Sci., 126, 2924 (2013).19) N. Kondo-Okamoto, K. Ohkuni, K. Kitagawa, J. M. Mccaffery, J. M. Shaw & K. Okamoto: Mol. Biol. Cell, 17, 3756 (2006).20) W. M. Pernice, J. D. Vevea & L. A. Pon: Nat. Commun., 7, 10595 (2016).21) M. Hammermeister, K. Schodel & B. Westermann: Mol. Biol. Cell, 21, 2443 (2010).図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).Num1は母細胞にあるミトコンドリアの末端に局在し,Mdm36と結合する.Num1-Mdm36はミトコンドリア分裂にかかわるダイニン様タンパク質であるDnm1に結合しており,ミトコンドリアの係留とその分裂の関係性が示唆されている.また,Num1-Mdm36経路とは独立してMfb1もミトコンドリアの母細胞への係留に関与している.Mfb1は主に母細胞のミトコンドリアに偏在し,その局在がミトコンドリア係留に重要である.今後は,Num1-Mdm36とMfb1がどのように協調してミトコンドリアの係留を制御するのかについての解明が期待される.

1990年代に,Mmm1, Mdm10, Mdm12, Mdm20, Gem1, Mdm34など,ミトコンドリア分配/形態変化にかかわる分子として同定された遺伝子群の多くはモータータンパク質Myo2非依存的に働くことがわかっていたが,詳細な制御機構は長らく不明であった.興味深いことに,それら一群の遺伝子は,最終的に上記で述べたERMES複合体と,その複合体制御因子であることがわかった(9, 22, 23)9) B. Kornmann, E. Currie, S. R. Collins, M. Schuldiner, J. Nunnari, J. S. Weissman & P. Walter: Science, 325, 477 (2009).22) B. Kornmann, C. Osman & P. Walter: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 14151 (2011).23) A. Murley, L. L. Lackner, C. Osman, M. West, G. K. Voeltz, P. Walter & J. Nunnari: eLife, 2, e00422 (2013)..ERMES複合体は,脂質輸送のみならず,ミトコンドリア分裂,さらにはミトコンドリアDNA複製にもかかわっており,ミトコンドリア輸送/係留と合わせて協調的に働いていることが強く示唆される.

3. ペロキシソーム分配

ペロキシソームは脂質一重膜で囲まれたオルガネラであり,脂質生成にかかわる代謝の場として重要な働きをしている.ペロキシソーム形成/成熟は複雑な過程を経ることが知られている.まず少なくとも2種類のペロキシソーム前駆体が小胞体より作り出され,それらが融合することで機能的なペロキシソーム膜透過装置複合体が完成する.その後,ペロキシソーム内腔で働くさまざまなタンパク質が細胞質からこの膜透過装置を介しペロキシソーム内腔に入っていく.これらの過程を経て最終的に機能的なペロキシソームが完成する.このペロキシソーム成熟過程は1細胞周期よりも長い時間が必要である.つまり,機能的な成熟ペロキシソームを娘細胞に分配する機構は細胞生育にとって非常に重要であると考えられる.実際に出芽酵母において成熟したペロキシソームはモータータンパク質Myo2によりアクチン繊維に沿って娘細胞に運ばれる(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).

ペロキシソーム輸送において,Myo2と結合するInp2がアダプタータンパク質として同定されている.Inp2は一回膜貫通型のペロキシソーム膜タンパク質であり,Myo2に直接結合する.Myo2上のInp2結合領域は,上記で述べたYpt11を含むRab GTPase結合領域と重複しており(24)24) A. Fagarasanu, F. D. Mast, B. Knoblach, Y. Jin, M. J. Brunner, M. R. Logan, J. N. Glover, G. A. Eitzen, J. D. Aitchison, L. S. Weisman et al.: J. Cell Biol., 186, 541 (2009).図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位),細胞内においてペロキシソーム輸送とほかのオルガネラ輸送との間にMyo2を介した競合阻害の存在が示唆される.

Inp2に加え,ペロキシソームタンパク質であるPex19もモータータンパク質Myo2に結合し,ペロキシソーム輸送に関与している(25)25) M. Otzen, R. Rucktaschel, S. Thoms, K. Emmrich, A. M. Krikken, R. Erdmann & I. J. Van Der Klei: Traffic, 13, 947 (2012)..Myo2上にあるInp2とPex19結合領域は異なっており,これら二つのタンパク質が同時にモータータンパク質Myo2に結合しペロキシソーム輸送にかかわっていることが推察される.

ペロキシソーム分配において,液胞輸送のような輸送終了制御の存在は不明であったが,液胞の輸送終了を制御するE3ユビキチンリガーゼであるDma1/Dma2の変異体において,ペロキシソーム輸送終了に影響が見られた.このことから,ペロキシソーム輸送においても液胞輸送終了と同様にユビキチン/プロテアソーム分解制御を介した分子機構の存在が強く示唆されている.

さらにミトコンドリア係留と同様に,細胞分裂時において一部のペロキシソームを母細胞に留める制御も存在している.このペロキシソーム係留にかかわる因子として,Inp1とPex3が同定されている(26~28)26) M. Fagarasanu, A. Fagarasanu, Y. Y. Tam, J. D. Aitchison & R. A. Rachubinski: J. Cell Biol., 169, 765 (2005).27) J. M. Munck, A. M. Motley, J. M. Nuttall & E. H. Hettema: J. Cell Biol., 187, 463 (2009).28) B. Knoblach, X. Sun, N. Coquelle, A. Fagarasanu, R. L. Poirier & R. A. Rachubinski: EMBO J., 32, 2439 (2013).図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).Inp1はペロキシソーム膜に局在するタンパク質であり,Inp1変異体ではすべてのペロキシソームが娘細胞に輸送される.Pex3は小胞体から輸送されるペロキシソーム膜タンパク質であり,ペロキシソーム形成に関与している.興味深いことに,ペロキシソーム係留においては,小胞体に局在するPex3と,ペロキシソーム膜にあるPex3がInp1を挟む形で結合することにより,ペロキシソームを母細胞の表層に存在する小胞体に係留していることが示唆されている(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).またInp1はペロキシソーム分裂にかかわるPex25, Pex30, Vps1と結合することが明らかになっており,ミトコンドリア係留と同様に,ペロキシソーム係留とその分裂の関係性が示唆される.

4. ゴルジ体分配,ゴルジ体由来の分泌小胞輸送

分泌小胞は,厳密に言えばオルガネラではないが,オルガネラであるゴルジ体由来であり,輸送に関してオルガネラ輸送と共通点も多いことから本稿でも紹介する.ゴルジ体由来の分泌小胞は名のとおり,細胞外に分泌されるタンパク質を内包した小胞であり,輸送先は細胞膜である.さらに,小胞膜は細胞増殖/分裂時の細胞膜の供給源でもある.出芽酵母の場合は,細胞成長点である娘細胞の先端,および細胞分裂面に向かって分泌小胞の移動が起こる.つまり分泌小胞輸送が阻害されると細胞は増殖/分裂できずに死に至る.小胞輸送の一連の経路は4つの粗過程,1)小胞形成,2)小胞膜輸送,3)小胞膜の目的地膜(細胞膜)へのつなぎ止め(tethering),4)小胞膜と目的地膜(細胞膜)の融合,の過程に分割できる.

ゴルジ体からの分泌小胞の形成は,Rab GTPaseであるYpt31/32(Rab11)のGTPase活性が必須であり,またGTP結合型Ypt31/32はモータータンパク質Myo2に結合する.つまりMyo2はゴルジ体から小胞が完全に形成される前からこれらオルガネラ膜にYpt31/32を介して存在していることが示唆されている(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).さらに,Sec4 Rab GTPase(Rab8/11)はゴルジ体からの分泌小胞の形成後の分泌小胞輸送にかかわっている.Sec4もまたMyo2に結合することにより,小胞輸送時におけるアダプタータンパク質として働いている.興味深いことにこれらRab GTPaseであるYpt31/32とSec4は,Myo2上の同じ場所に結合する(29~31)29) Z. Lipatova, A. A. Tokarev, Y. Jin, J. Mulholland, L. S. Weisman & N. Segev: Mol. Biol. Cell, 19, 4177 (2008).30) F. H. Santiago-Tirado, A. Legesse-Miller, D. Schott & A. Bretscher: Dev. Cell, 20, 47 (2011).31) Y. Jin, A. Sultana, P. Gandhi, E. Franklin, S. Hamamoto, A. R. Khan, M. Munson, R. Schekman & L. S. Weisman: Dev. Cell, 21, 1156 (2011).図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位).また,ミトコンドリア輸送にかかわっているYpt11もこのRab GTPase結合領域に結合し,Ret2(COPIサブユニット)を介してゴルジ体の分配にもかかわっていることが示唆されている(32)32) S. Arai, Y. Noda, S. Kainuma, I. Wada & K. Yoda: Curr. Biol., 18, 987 (2008)..これらのことから,Rab GTPaseであるYpt11, Ypt31/32, Sec4は自身のもつGTPase活性によりMyo2に順次結合/解離し,細胞膜へのゴルジ体由来の小胞輸送を制御していると考えられている.

さらにSec4は小胞輸送だけでなく,小胞膜と細胞膜のつなぎ止め(tethering)およびその膜融合にもかかわっている.このtetheringにはSec15を含む8つのタンパク質から成るExocyst複合体が必須である.Myo2はSec15を介してExocyst複合体と結合し,その結合は酵母の生育に必須である(31)31) Y. Jin, A. Sultana, P. Gandhi, E. Franklin, S. Hamamoto, A. R. Khan, M. Munson, R. Schekman & L. S. Weisman: Dev. Cell, 21, 1156 (2011)..またSec15はSec4とも直接結合することが知られており,分泌小胞輸送,tethering時におけるMyo2–Sec4–Sec15の三者複合体の形成が示唆される(図3図3■Myo2モータータンパク質の積荷結合ドメインの結晶構造と,各オルガネラ結合部位).これらのことから,Myo2は小胞形成,輸送,tethering,膜融合のすべてのステップに存在し各ステップを機能的につなげ,小胞輸送に大きく寄与していると考えられる.

5. 紡錘体極

紡錘体極は,核/染色体の分裂時に2つに別れた微小管形成中心であり,核/染色体分配の方向性を決定している.Myo2は,アダプタータンパク質であるKar9とともに,娘細胞側の紡錘体極の極性を決定している.実際には,娘細胞側の紡錘体極より伸びた微小管プラス末端に結合するBim1(EB1)にKar9が結合し,そのKar9に直接結合したMyo2がアクチン繊維に沿って微小管プラス末端を娘細胞側に輸送することで紡錘体極の極性を決定している(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).Kar9は2つに別れた片方の紡錘体にのみ局在し,この偏在には,CDK/Cdc28とそのサイクリンパートナーであるClb4によるKar9のリン酸化が重要であることが示されている(33, 34)33) D. Liakopoulos, J. Kusch, S. Grava, J. Vogel & Y. Barral: Cell, 112, 561 (2003).34) H. Maekawa & E. Schiebel: Genes Dev., 18, 1709 (2004).

6. 小胞体分配

小胞体は,翻訳された膜タンパク質および分泌タンパク質が細胞質から隔離される場である.タンパク質の翻訳は小胞体の膜上でのリボソームにより行われ,翻訳された膜/分泌タンパク質は膜透過装置Sec複合体(トランスロコン)を通過し小胞体内腔に入る.また小胞体内腔にてタンパク質は脂質修飾を受ける.

出芽酵母において小胞体は細胞内の位置から2つに分けられる.一つは核膜と密接につながっている核型小胞体である.もう一つは核から遠い場所に,そして細胞膜ともつながっている細胞表層に存在している小胞体である(図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).出芽酵母では核膜崩壊が起こらないため,核型小胞体の分配は核/染色体分配と密接にかかわっている.一方,細胞表層型小胞体の分配にはもう一つ別のミオシンモーターMyo4とアダプタータンパク質She3が必要である.表層型小胞体はMyo4とShe3によって娘細胞の成長先端にまでアクチン繊維に沿って運ばれる(35, 36)35) K. L. Fehrenbacher, D. Davis, M. Wu, I. Boldogh & L. A. Pon: Mol. Biol. Cell, 13, 854 (2002).36) P. Estrada, J. Kim, J. Coleman, L. Walker, B. Dunn, P. Takizawa, P. Novick & S. Ferro-Novick: J. Cell Biol., 163, 1255 (2003).図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).

Myo4-She3により運ばれた小胞体は,次に娘細胞の成長先端につなぎ止められ,その後,小胞体はアクチン繊維から解離した後,娘細胞の増大に伴って成長先端から娘細胞表層全体に広がっていく.小胞体のアクチンからの解離は,Polarisome複合体,Slt2リン酸化酵素,Ptc1脱リン酸化酵素の下流で起こる(6, 37, 38)6) Y. Du, L. Walker, P. Novick & S. Ferro-Novick: EMBO J., 25, 4413 (2006).37) X. Li, Y. Du, S. Siegel, S. Ferro-Novick & P. Novick: Mol. Biol. Cell, 21, 1772 (2010).38) X. Li, S. Ferro-Novick & P. Novick: Mol. Biol. Cell, 24, 3145 (2013).

実は,She3は小胞体輸送のアダプターではあるが,She3と小胞体膜との結合はいまだ確認されていないため,どのようにMyo4-She3が表層型小胞体膜を認識しているかはいまだ不明である.

7. mRNA輸送

さまざまな遺伝子のmRNAが娘細胞に分配/輸送されることが知られている.その内で最も解析の進んでいる遺伝子がASH1である.Ash1タンパク質はGAT A様転写制御因子であり,娘細胞の核内において酵母接合型(性別)の変換にかかわるDNA切断酵素Hoの転写を抑制している.

ASH1 mRNAはMyo2とは別のミオシンモーターMyo4により娘細胞へと輸送される.アダプターとしては,小胞体輸送にもかかわっているShe3と,ASH1 mRNAに直接結合するRRM(RNA Recognition Motif)型のRNA結合タンパク質であるShe2が知られている(39~42)39) R. M. Long, W. Gu, E. Lorimer, R. H. Singer & P. Chartrand: EMBO J., 19, 6592 (2000).40) F. Bohl, C. Kruse, A. Frank, D. Ferring & R. P. Jansen: EMBO J., 19, 5514 (2000).41) P. A. Takizawa, J. L. Derisi, J. E. Wilhelm & R. D. Vale: Science, 290, 341 (2000).42) D. Niessing, S. Huttelmaier, D. Zenklusen, R. H. Singer & S. K. Burley: Cell, 119, 491 (2004).図1図1■オルガネラ分配(輸送と係留)の模式図).Myo4単独では二量体を形成できず,2つのMyo4,2つのShe3,そして4つのShe2により安定的にアクチン上を移動する複合体を形成する(43, 44)43) S. Chung & P. A. Takizawa: J. Cell Biol., 189, 755 (2010).44) E. B. Krementsova, A. R. Hodges, C. S. Bookwalter, T. E. Sladewski, M. Travaglia, H. L. Sweeney & K. M. Trybus: J. Cell Biol., 195, 631 (2011).

輸送中のASH1 mRNAからのタンパク質への翻訳は抑制されており,Ash1タンパク質を娘細胞にのみ偏在させる機構の一部でもある(45~47)45) K. Irie, T. Tadauchi, P. A. Takizawa, R. D. Vale, K. Matsumoto & I. Herskowitz: EMBO J., 21, 1158 (2002).46) W. Gu, Y. Deng, D. Zenklusen & R. H. Singer: Genes Dev., 18, 1452 (2004).47) N. Paquin, M. Menade, G. Poirier, D. Donato, E. Drouet & P. Chartrand: Mol. Cell, 26, 795 (2007)..つまりASH1遺伝子発現制御は,mRNA輸送中および母細胞における翻訳抑制に加えて,娘細胞での翻訳活性化という正負の両方の制御が非常に重要になってくる.娘細胞においては,輸送後のASH1 mRNAがリボソームをリクルートし小胞体上での翻訳を開始すると考えられるが,時空間的な分子制御の詳細は不明である.She2結合ドメインを欠失したShe3変異体は,mRNA輸送に異常が生じるが,表層型小胞体輸送には影響がないという研究報告があり(36)36) P. Estrada, J. Kim, J. Coleman, L. Walker, B. Dunn, P. Takizawa, P. Novick & S. Ferro-Novick: J. Cell Biol., 163, 1255 (2003).,mRNA輸送と小胞体輸送は独立した経路であると示唆されているが,今後はより詳細なmRNA輸送,小胞体輸送,そしてリボソーム上での翻訳開始の関連性の検証が期待される.

おわりに

本稿においては,アダプタータンパク質の存在を軸に,個々のオルガネラ輸送について解説してきたが,実はアダプタータンパク質を介した制御だけでなく,ミオシンモータータンパク質自身の制御の存在も示唆されている.ミオシンやキネシンなどのモータータンパク質は,アクチンや微小管などの細胞骨格上を移動している際の構造と,積荷にもアクチンや微小管にも結合していないモータータンパク質の構造とは,大きく構造が異なる(48)48) J. Liu, D. W. Taylor, E. B. Krementsova, K. M. Trybus & K. A. Taylor: Nature, 442, 208 (2006)..そしてこの構造変化がモータータンパク質の活性に深く関与することがin vitroの解析から示唆されている.モータータンパク質単独ではモータードメインと,積荷結合ドメインが結合し,その結果,モータードメインのATP加水分解の阻害,さらに積荷結合ドメインにおける積荷との結合が阻害される.逆に,細胞骨格上にて積荷を運搬する際には,モータードメインと積荷結合領域の結合が外れ,積荷結合領域は積荷に結合しつつ,モータードメインはATP加水分解が可能になり,細胞骨格上の移動が可能になる(49)49) X. D. Li, R. Ikebe & M. Ikebe: J. Biol. Chem., 280, 17815 (2005)..つまりモータータンパク質の構造変化と,積荷への結合は密接にかかわっていることが示唆される.

また近年,ミトコンドリア分配の章で記述したERMES複合体を皮切りに小胞体との結合を中心としたオルガネラ間の物理的な結合,さらにオルガネラ間の膜/脂質輸送の存在が明らかになってきた(50)50) M. J. Phillips & G. K. Voeltz: Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 17, 69 (2016)..現在のところ任意の2つのオルガネラ間の結合と,その2つのオルガネラ分配の関係性については未解明であるが,前述したモータータンパク質の構造変化を含めた統合的な機構の解明が期待される.

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