セミナー室

表面加工玄米のヒト介入試験による機能性評価健康に良くておいしい新たな玄米に関する研究

Risa Araki

荒木 理沙

筑波大学医学医療系

Koichi Hashimoto

橋本 幸一

筑波大学医学医療系

Published: 2017-04-20

はじめに

欧米諸国と同様に,日本でも,2型糖尿病をはじめとした生活習慣病の増加と若年化が進んでいる(1)1) 内潟安子:東京女子医科大学雑誌,81, 154 (2011)..生活習慣病が国民医療費の35.2%,死亡数割合の55.3%を占める現状(2)2) 厚生労働省:平成26年厚生労働白書~健康・予防元年~, http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-02-1.pdf, 2014.において,これらの予防や改善は重要な課題である.生活習慣病は「食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒等の生活習慣が,その発症・進行に関与する疾患」と定義づけられている(3)3) 厚生省公衆衛生審議会:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申),http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0812/1217-4.html, 1996.が,医食同源という言葉があるように,食品が健康の維持増進や疾病予防に果たす役割は大きい.日本が世界に誇る長寿国となった背景にも,玄米などの未精製穀類を主食とし,魚や肉などの主菜,野菜や海藻などの副菜,そして汁物を組み合わせた伝統的な日本型の食事の影響があると考えられている.

玄米は,収穫された籾米から籾殻のみを除去した状態のコメであり,糠層(果皮,種皮,糊粉層),胚乳,胚芽で構成されている(4)4) 松尾孝嶺,山崎耕宇,星川清親,前田英三,清水正治:“稲学大成第1巻(形態編)”,農山漁村文化協会,1997, pp. 64–69..玄米から糠層と胚芽を一部残して除去した状態の米が分づき米,十分に除去した状態のコメが精白米(白米)である(図1図1■玄米の構造と精米過程(イメージ図)).

図1■玄米の構造と精米過程(イメージ図)

胚乳は約70%がデンプンで構成されているのに対し,糠層と胚芽には現代人に不足しがちな食物繊維やビタミン,ミネラルが豊富に含まれていることから,玄米は白米に比べて栄養価が高いとされている(5)5) 島田淳子,下村道子:“植物性食品I”,朝倉書店,東京,1994, pp. 1–6..また,玄米にはγ-オリザノールやγ-アミノ酪酸などの生体調節機能を有する成分も多く含まれている(6)6) P. D. Babu, R. S. Subhasree, R. Bhakyaraj & R. Vidhyalakshmi: Am. Eur. J. Agron., 2, 67 (2009)..これまでに,白米とのランダム化比較試験やコホート研究において,玄米によるメタボリックシンドロームの改善可能性(7)7) M. Kazemzadeh, S. M. Safavi, S. Nematollahi & Z. Nourieh: Int. J. Prev. Med., 5, 478 (2014).や,2型糖尿病の発症リスク低下(8)8) B. Wang, R. Medapalli, J. Xu, W. Cai, X. Chen, J. C. Hea & J. Uribarria: ESPEN J., 8, 15 (2013).などの効果が示唆されている.また,玄米に含まれる食物繊維について,排便促進効果(9)9) V. Vuksan, A. L. Jenkins, D. J. Jenkins, A. L. Rogovik, J. L. Sievenpiper & E. Jovanovski: Am. J. Clin. Nutr., 88, 1256 (2008).や体重減少効果(10)10) V. R. Trivedi, M. C. Satia, A. Deschamps, V. Maquet, R. B. Shah, P. H. Zinzuwadia & J. V. Trivedi: Nutr. J., 15, 3 (2016).が報告されているほか,マウスを用いた実験において,γ-オリザノールの高脂肪食に対する嗜好性低減効果や脂質代謝改善作用(11)11) C. Kozuka, K. Yabiku, S. Sunagawa, R. Ueda, S. Taira, H. Ohshiro, T. Ikema, K. Yamakawa, M. Higa, H. Tanaka et al.: Diabetes, 61, 3084 (2012).も明らかとなっている.したがって,玄米を主食として普及することは,生活習慣病の予防や改善を介した健康増進および医療費削減に貢献しうるものと期待される.

しかし,農林水産省の『食料品消費モニター調査』(12)12) 農林水産省:平成19年度食料品消費モニター第4回定期調査結果,http://www.maff.go.jp/j/heya/h_moniter/pdf/h1904.pdf, 2008.で「購入している米の種類」を玄米と回答した人は全体の18%に過ぎず,玄米食が普及していないのが現状である.玄米が主食として選択されにくい要因として,白米に劣る食味(13)13) 山本誠子,島田保子:調理科学,19, 144 (1986).や炊飯時間の長さ(14)14) 桒田寛子,寺本あい,治部祐里,田淵真愉美,渕上倫子:日本調理科学会誌,44, 137 (2011).が考えられる.すなわち,食味が良く炊飯時間が短い玄米を作ることができれば,嗜好性や利便性の高い健康食品として普及が拡大する可能性が期待される.そこで,玄米の栄養成分を保持しつつ,食味や吸水性が改善された玄米の開発を目指した検討が始まった.

表面加工玄米とは

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)では,全粒粉を配合した製パンの風味向上を図るため,穀粒の表面に微細な擦過傷をつけた全粒粉を製造する加工技術を開発した(15)15) 川原修司:食品科学工学会誌,60, 266 (2013)..この技術を玄米果皮に適用して作られたのが表面加工玄米である.

食品には,生命維持のために必要なエネルギー源や栄養素を補給する栄養機能(一次機能),味,におい,色,触感,形,大きさなど,おいしさに影響を及ぼす因子が含まれる感覚・嗜好機能(二次機能),健康の維持や向上に関与する生体調節機能(三次機能)の3つの機能があるとされている.表面加工玄米は,この一次機能,二次機能,三次機能のすべて(六次機能)の向上を目指して新規に開発された.

表面加工玄米の開発および機能性評価は,平成25~27年度の農研機構『機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト』の一課題として実施した.当プロジェクトは,健康の維持・増進作用が期待される農作物について,その機能性を科学的に解明することを目的としたものであり,筑波大学でのヒト介入試験実施に先立ち,原料米の品種選定や生育条件を茨城県農業総合センター,表面加工玄米の製造および供給システムの開発を(株)大和産業,基本的特性の評価を農研機構の食品研究部門が担当した.その結果,茨城県産コシヒカリを原料米,精米歩合を99.8%とした表面加工玄米が,食味,物性,流通に最適であることが確認された.

表面加工玄米の生可食部100 g中のエネルギーおよび栄養素含量は,未処理の玄米とほぼ同等に保持されている(16)16) 荒木理沙,松浦文奈,藤江敬子,中田由夫,鈴木浩明,橋本幸一:日本栄養・食糧学会誌,69, 249 (2016)..また,目視では未処理の玄米との判別が困難である(図2図2■炊飯前後の玄米と表面加工玄米)が,穀粒表面に擦過傷がある表面加工玄米(図3図3■玄米と表面加工玄米の果皮表面拡大図)は吸水速度が速く,浸漬時間,加水量,炊飯モードを同一とした条件で炊飯した場合の炊き上がりは玄米に比べて軟らかくなる(16)16) 荒木理沙,松浦文奈,藤江敬子,中田由夫,鈴木浩明,橋本幸一:日本栄養・食糧学会誌,69, 249 (2016)..通常,玄米は炊飯前に浸漬時間を設け,白米よりも多い加水量かつ玄米モードで炊飯する必要がある.一方,表面加工玄米は浸漬時間を設けずに炊飯することが可能であり,玄米と同等の加水量かつ白米モードで炊飯した場合に,食味の良い米飯となることが報告されている(17)17) T. Sasaki, T. Okunishi, I. Sotome & H. Okadome: Cereal Chem., 75, 525 (2015)..また,常食されている白米と同程度のかたさとなる炊飯条件で米飯を調製した場合,表面加工玄米は白米に比べて咀嚼回数が多く,咀嚼時間が長く,一噛み当たりの咬筋活動が大きく,嚥下までの総筋活動量が大きいことも報告されている(18)18) 神山かおる:日本咀嚼学会雑誌,26, 14 (2016).

図2■炊飯前後の玄米と表面加工玄米

図3■玄米と表面加工玄米の果皮表面拡大図

機能性表示食品制度と表面加工玄米

これまで,健康の維持・増進に役立つ旨の表示(機能性表示)が認められる食品は,国が個別に許可した特定保健用食品と,国の規格基準を満たした栄養機能食品の2つのみであったが,平成27年4月から,新たに機能性表示食品が追加された(19)19) 齋藤綾音:第3の制度「機能性表示食品」の概要と課題,立法と調査,368, 86 (2015)..新制度において,届出後の事後チェック制度の導入により,特定保健用食品では既許可品のなかった生鮮食品の機能性表示も可能となった(20)20) 消費者庁:機能性表示食品制度の施工状況について,http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2016/233/doc/20160920_shiryou1_1.pdf, 2016.ことは,農林水産物の機能性研究を後押しするものといえる.

日本は稲作に必要な水資源に恵まれており,米を主食とする食文化が育まれてきた.しかし,農林水産省による『米の消費に関する動向』では,米の一人当たりの年間消費量は昭和37年をピークに一貫して減少傾向にあり,米の需要量も毎年約8万トンずつの減少傾向にあることが明らかとなっている(21)21) 農林水産省:米をめぐる状況について,http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/kome_antei_torihiki/pdf/sankou1_150310.pdf, 2015..需要に対して作付けが超過した場合には,製品の価格が低下する.平成26年産米価格の大幅な低下を受け,平成27年には主食用米の超過作付けが解消された(21)21) 農林水産省:米をめぐる状況について,http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/kome_antei_torihiki/pdf/sankou1_150310.pdf, 2015.ものの,過剰米処理のための財政負担が増加するという課題は解決していない.環太平洋経済連携協定(TPP)が発効して安価な輸入米が国内に流通しても,政府による備蓄米の買い取りで,国産米価格への影響はないとされているが,国内の米生産農家にとって厳しい情勢となる可能性も否定はできない.輸入米との差別化を図り,国産米の輸出促進につなげるためにも,農業の高付加価値化は重要な課題である.われわれが着目する表面加工玄米について,臨床的なエビデンスを構築することができれば,国産米の付加価値が高まり,農業の国内活性化や輸出拡大に貢献しうるものと考えられる.

また,信頼性の高いエビデンスをもとに,表面加工玄米の機能性を表示して販売することができれば,すでに玄米を食事に取り入れている人だけでなく,これまで玄米の「何がどのように健康に良いのか」がわからず敬遠していた人も含め,消費者に表面加工玄米が選択される機会が増えると予測される.

自分自身の健康状態にあった健康食品を補完的に利用することは,健康づくりの一助となりうる.ただし,健康の維持・増進にあたっては,あくまで主食,主菜,副菜をそろえたバランスの良い食生活が基本となる.主食を表面加工玄米にすることで健康状態が改善した人は,それをきっかけに,主菜や副菜にも気を配るようになるかもしれない.さらに,表面加工玄米に限らず,機能性が表示されたさまざまな生鮮食品が食品売り場に並ぶようになれば,意識せずとも食事内容が良好に変化する可能性も考えられる.これらが国民の健康寿命の増進やQuality of Lifeの向上につながることが期待され,消費者にとっても,機能性表示食品制度は重要な意味をもつものと考えられる.

表面加工玄米の食べやすさに関する検討

表面加工玄米の普及拡大による健康増進を目指すには,表面加工玄米が消費者に受け入れられやすい食品であるかどうかを確認する必要がある.そこで,表面加工玄米を一定期間継続して食べ続けることが可能かどうかを検討するため,表面加工玄米と玄米を試験食とした探索的な2期2群ランダム化クロスオーバー試験を実施した(16)16) 荒木理沙,松浦文奈,藤江敬子,中田由夫,鈴木浩明,橋本幸一:日本栄養・食糧学会誌,69, 249 (2016)..この試験では,最初の4週間に表面加工玄米,次の4週間に玄米を摂取する「加工玄米–玄米群」と,摂取順序を逆にした「玄米–加工玄米群」の2群を設定し,40~64歳の健常男女10名(平均50.1±7.4歳,男性4名,女性6名)を,5名ずつ無作為にどちらかの群に割り付けた.期間中は,全員に同一機種のマイコン炊飯器を貸し出して各自で試験食を炊飯してもらい,原則として試験食摂取回数は週7回かつ1日1回以上として試験を行った.

この試験に参加した10名は,全員が研究参加以前に玄米を食べた経験があったが,ほぼ全員が玄米は好きでも嫌いでもないと答え,日常的に玄米を食べている人はいなかった.このような対象であっても,期間中の脱落者はなく,表面加工玄米,玄米ともにそれぞれ4週間ずつ食べ続けることができた.8週間の試験が終了した後,各期間の試験食がどちらだったのかを伏せた状態で,試験食に関する質問紙調査を行ったところ,被験者のほとんどが玄米のほうがかたく,表面加工玄米のほうがおいしく食べやすいと評価した.試験終了後に食べ続けることが可能だと思う期間についても,玄米に比べて表面加工玄米で長い傾向にあった.これらの結果から,表面加工玄米は,玄米と比較して食味が良く,長期間食べ続けられることが示唆された.

表面加工玄米の機能性に関する検討

前述のヒト介入試験(16)16) 荒木理沙,松浦文奈,藤江敬子,中田由夫,鈴木浩明,橋本幸一:日本栄養・食糧学会誌,69, 249 (2016).において,表面加工玄米を長期間食べ続けられることが明らかとなった.また,統計学的な差は認めなかったものの,加工玄米期にはほぼ全員の体重が減少し,女性に限定すると,玄米期に比べて加工玄米期の体重が有意に減少していた.肥満は生活習慣病の主な要因とされ(22)22) 吉池信男,西 信雄,松島松翠,伊藤千賀子,池田義雄,樫原英俊,吉永英世,小倉 浩,小峰慎吾ほか:肥満研究,6, 4 (2000).,減量は糖・脂質代謝改善に有効とされている(23)23) 徳永勝人,中村 正,久保正治,松澤佑次:日本内科学会誌,81, 95 (1992)..そこで,探索的検討に続いて,表面加工玄米を長期間食べ続けることが体重や糖・脂質代謝指標に及ぼす効果を検討することを目的とした12週間のランダム化並行群間比較試験(24)24) R. Araki, R. Ushio, K. Fujie, Y. Ueyama, Y. Nakata, H. Suzuki & K. Hashimoto: Clin. Nutr. ESPEN (2017), in press. DOI: 10.1016/j.clnesp.2017.01.015を行った.この試験では,軽度肥満(Body Mass Index 25.0 kg/m2以上30.0 kg/m2未満)かつ前糖尿病(空腹時血糖値100 mg/dL以上126 mg/dL未満,またはHbA1c 5.7%以上6.5%未満)の40歳以上65歳未満の男女を対象とした.参加基準を満たした42名を被験者として登録し,無作為に21名ずつ表面加工玄米群と白米群の2群に割り付けた.介入前と試験食摂取開始から6および12週後に体重,腹囲,血圧,糖・脂質代謝指標を測定し,介入期間中の試験食の摂取状況,排便回数などの情報も収集した.試験食は,表面加工玄米または白米とし,米飯200 gを1日2回摂取することとした.介入前に自己都合で辞退した表面加工玄米群の1名を除く41名をintention-to-treat(ITT)解析対象とし,得られたデータについて検討した.

その結果,介入前における男女比,年齢,体格,血圧,糖・脂質代謝指標は両群で差がなかった.期間中の試験食摂取量や身体活動量も両群間で差がなかったが,表面加工玄米群では,試験食摂取開始6週後および12週後の体重と腹囲が介入前に比べて有意に減少していた.これに対し,白米群では期間中を通して体重,腹囲はほとんど変動せず,変化量の群間差も顕著であった.表面加工玄米群の排便回数は介入前に比べて試験食摂取開始6週後および12週後に増加し,白米群に比べても多い傾向にあった.糖・脂質代謝指標のうち,中性脂肪濃度の変化量が表面加工玄米群で負,白米群で正の値を示したが,いずれの項目についても各群の期間中の変化および変化量の群間差を認めるにはいたらなかった.ただし,表面加工玄米群では,12週間でリポタンパク質プロファイルが白米群に比べて良好に変化しており,表面加工玄米を食べ続けることで,血中脂質の質が改善される可能性も示唆された.

2つのヒト介入試験において示唆された表面加工玄米の機能性について,その作用機序や関与成分を明確にするために,新たなヒト介入試験を計画した.表面加工玄米の機能性には,糠や胚芽に含まれる成分が関与しているものと推測されることから,3つめのヒト介入試験では,糠や胚芽を含む表面加工玄米,糠や胚芽の量が少ない7分づき米,糠や胚芽を全く含まない白米の3種類を試験食とし,機能性成分の量との関連も考慮した検討を行うこととした.また,測定項目に内臓脂肪面積や腸内細菌叢を加え,試験食摂取開始6および12週後における体格や糖・脂質代謝指標を介入前と比較するとともに,各指標の変化について3群間で比較を行った.ITT解析対象は,試験の参加基準を満たし,被験者として登録された155名のうち,自己都合により介入前に辞退した7分づき米群の2名,白米群の2名を除く表面加工玄米群52名,7分づき米群50名,白米群49名の計151名とした.この3群のランダム化並行群間比較試験においても,表面加工玄米を食べ続けることによる腹囲などの減少効果が得られており,現在詳細にデータを解析中である.

おわりに

これまでに実施したヒト介入試験(図4図4■表面加工玄米の機能性評価のためのヒト介入試験実施の流れ)の結果から,表面加工玄米に含まれる成分がヒトの健康増進に寄与する可能性が示唆されている(図5図5■表面加工玄米の特徴およびヒト介入試験結果のまとめ).われわれが表面加工玄米に期待する効果の一つは,機能性成分の供給源として,生体指標に直接的に作用することである.また,主食を表面加工玄米に置き換えることで満腹感が得られやすくなり,食事全体の量や主菜,副菜の選び方が変わるなど,食行動の改善につながる可能性も考えられる.さらに,健康に良い食品を食べているという意識や食べることの楽しさが自己効力感を向上させ,食事以外の健康行動を誘発する可能性も期待できる.このような複合的な効果を期待できるのが,生鮮食品の優れた点であり,機能性表示食品制度の対象となる食品に生鮮食品が含まれたことの意義は大きいと考えられる.

図4■表面加工玄米の機能性評価のためのヒト介入試験実施の流れ

図5■表面加工玄米の特徴およびヒト介入試験結果のまとめ

現在,表面加工玄米は,共同研究機関の(株)大和産業から,「やわらかい玄米®」として試験販売が開始されている.今後,表面加工玄米の効果を示す機序を解明し,機能性成分を特定したうえで,機能性表示食品の届出を目指していく予定である.

将来的には,表面加工玄米を用いたコンビニ弁当や冷凍・レトルト食品などの外食・中食産業への展開も視野に入れ,消費者が表面加工玄米を手軽に利用できる環境を作っていきたいと考えている.

Reference

1) 内潟安子:東京女子医科大学雑誌,81, 154 (2011).

2) 厚生労働省:平成26年厚生労働白書~健康・予防元年~, http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-02-1.pdf, 2014.

3) 厚生省公衆衛生審議会:生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申),http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0812/1217-4.html, 1996.

4) 松尾孝嶺,山崎耕宇,星川清親,前田英三,清水正治:“稲学大成第1巻(形態編)”,農山漁村文化協会,1997, pp. 64–69.

5) 島田淳子,下村道子:“植物性食品I”,朝倉書店,東京,1994, pp. 1–6.

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10) V. R. Trivedi, M. C. Satia, A. Deschamps, V. Maquet, R. B. Shah, P. H. Zinzuwadia & J. V. Trivedi: Nutr. J., 15, 3 (2016).

11) C. Kozuka, K. Yabiku, S. Sunagawa, R. Ueda, S. Taira, H. Ohshiro, T. Ikema, K. Yamakawa, M. Higa, H. Tanaka et al.: Diabetes, 61, 3084 (2012).

12) 農林水産省:平成19年度食料品消費モニター第4回定期調査結果,http://www.maff.go.jp/j/heya/h_moniter/pdf/h1904.pdf, 2008.

13) 山本誠子,島田保子:調理科学,19, 144 (1986).

14) 桒田寛子,寺本あい,治部祐里,田淵真愉美,渕上倫子:日本調理科学会誌,44, 137 (2011).

15) 川原修司:食品科学工学会誌,60, 266 (2013).

16) 荒木理沙,松浦文奈,藤江敬子,中田由夫,鈴木浩明,橋本幸一:日本栄養・食糧学会誌,69, 249 (2016).

17) T. Sasaki, T. Okunishi, I. Sotome & H. Okadome: Cereal Chem., 75, 525 (2015).

18) 神山かおる:日本咀嚼学会雑誌,26, 14 (2016).

19) 齋藤綾音:第3の制度「機能性表示食品」の概要と課題,立法と調査,368, 86 (2015).

20) 消費者庁:機能性表示食品制度の施工状況について,http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2016/233/doc/20160920_shiryou1_1.pdf, 2016.

21) 農林水産省:米をめぐる状況について,http://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/kome_antei_torihiki/pdf/sankou1_150310.pdf, 2015.

22) 吉池信男,西 信雄,松島松翠,伊藤千賀子,池田義雄,樫原英俊,吉永英世,小倉 浩,小峰慎吾ほか:肥満研究,6, 4 (2000).

23) 徳永勝人,中村 正,久保正治,松澤佑次:日本内科学会誌,81, 95 (1992).

24) R. Araki, R. Ushio, K. Fujie, Y. Ueyama, Y. Nakata, H. Suzuki & K. Hashimoto: Clin. Nutr. ESPEN (2017), in press. DOI: 10.1016/j.clnesp.2017.01.015