解説

イネのゲノム編集―その動向と展望―イネの遺伝子を狙いどおりに改変

The Recent Trends and Prospects in Genome Editing of Rice: Precise Modification of Rice Genome

雑賀 啓明

Hiroaki Saika

農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門遺伝子利用基盤研究領域先進作物ゲノム改変ユニット

土岐 精一

Seiichi Toki

農業・食品産業技術総合研究機構生物機能利用研究部門遺伝子利用基盤研究領域先進作物ゲノム改変ユニット

横浜市立大学木原生物学研究所植物分子育種科学部門

Published: 2017-09-20

ゲノム編集は標的遺伝子を狙って改変することができる技術であり,新しい育種技術(New Plant Breeding Techniques)の一つに分類される.ゲノム編集技術は,人工制限酵素と呼ばれる,標的遺伝子を切断できるように人為的に設計したヌクレアーゼの研究開発が近年急速に進展したことにより,さまざまな生物種で広く利用されるようになった.図1に示すとおり,ゲノム編集技術は,標的変異(targeted mutagenesis)と標的組換え(gene targeting; GT)の2つの方法に大別される.OECDの報告書では,標的変異をSDN (site-directed nucleases)-1(報告書ではZFN-1と表記),GTによって1~数塩基の小さい変異が導入されるものをSDN-2, 遺伝子発現カセットなど大きな変異が導入されるものをSDN-3と分類している(1).本稿では,最も重要な穀物の一つであり,かつゲノム編集の論文が多数発表されているイネに焦点を絞り,ゲノム編集研究の現状と今後の見通しについて概説する.

標的変異

1. 人工制限酵素

標的変異は,人工制限酵素を用いて標的遺伝子にDNA二重鎖切断(DNA double strand breaks; DSBs)を誘導し,その修復過程で生じる誤り(ここでは,元の塩基配列と異なる配列に修復されることを指す)を利用して標的遺伝子に挿入や欠失などさまざまな変異を導入する技術である(1)図1図1■ゲノム編集の種類).これまでに,人工制限酵素として,既存のメガヌクレアーゼを改変した改変型メガヌクレアーゼ,DNA結合ドメインとヌクレアーゼドメインを融合したZFNsやTALENs,元来は細菌の免疫システムであり,標的遺伝子を認識するRNA分子(guide RNA; gRNA)とDNA切断酵素(Cas9)の複合体であるCRISPR/Cas9などが報告されている(2)2) H. Puchta & F. Fauser: Plant J., 78, 727 (2014).が,人工制限酵素ベクターの構築の容易さ,および標的配列に対する切断活性の高さなどから,TALENsやCRISPR/Cas9が広く利用されている.一方,上記の人工制限酵素以外にも,PPRタンパク質(3)3) Y. Yagi, M. Shirakawa & T. Nakamura: Nature, (2015), Sponsor feature.やArgonauteタンパク質(4)4) B. Enghiad & H. Zhao: ACS Synth. Biol., 6, 752 (2017).を利用した人工制限酵素の開発が試みられており,今後の進展が期待される.

2. イネにおけるCRISPR/Cas9を用いた標的変異

イネでは,アグロバクテリウムを利用した遺伝子導入法が広く利用されている.すなわち,完熟種子や未熟胚由来のカルスにアグロバクテリウムを感染させることで外来遺伝子を導入し,形質転換に成功した細胞塊を抗生物質などの薬剤を用いて選抜して,そこから植物体を再分化させる方法である.標的変異においても,このスキームに従い,カルスに人工制限酵素発現ベクターを形質転換し,変異が導入された細胞を含むカルス塊から植物体へ再生させる.人工制限酵素によって標的変異が生じるイベントと選抜マーカーの導入によって薬剤耐性が付与されるイベントは独立した事象であるため,標的変異に成功した細胞自身に薬剤耐性などの選抜形質が付与される実験系でない限り,形質転換に成功した細胞すべてに標的変異を導入できるわけではない(5, 6)5) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Cell Physiol., 56, 41 (2015).6) A. Nishizawa-Yokoi, T. Cermak, T. Hoshino, K. Sugimoto, H. Saika, A. Mori, K. Osakabe, M. Hamada, Y. Katayose, C. Starker et al.: Plant Physiol., 170, 653 (2016)..よって,標的変異に成功した再分化個体を効率よく獲得するためには,より多くの標的変異細胞が含まれる形質転換カルス塊を作出する必要がある.標的遺伝子や標的配列によっても異なるが,当室で開発したイネに最適化したCRISPR/Cas9ベクターを用いれば,10系統程度の独立した形質転換カルスを準備することで,標的変異に成功した個体を問題なく得ることができ,また,形質転換当代の植物体で,標的遺伝子の両アリルに変異が導入された系統を得ることも可能である(5, 7, 8)5) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Cell Physiol., 56, 41 (2015).7) M. Mikami, S. Toki & M. Endo: Plant Cell Rep., 34, 1807 (2015).8) M. Mikami, S. Toki & M. Endo: Plant Mol. Biol., 88, 561 (2015)..これまでに,標的遺伝子を破壊することにより,品質や収量,耐病性などの農業形質を改変したイネが多数作出されている.

CRISPR/Cas9はgRNAを簡便にデザインすることが可能であるため,非常に汎用性が高い人工制限酵素である.また,ほかの人工制限酵素とは異なり,複数のgRNAを同時に発現させることによって,複数の異なる標的配列を切断することが可能であるため,一度のゲノム編集実験により,複数の標的遺伝子を改変した個体を容易に作出することが可能である.複数のgRNAを同時に発現させる一番単純な方法は,複数のgRNA発現カセットをベクター上に用意することであるが,Golden Gate cloning法やGibson assembly法など,ベクター構築を容易にする方法が開発されている(9)9) X. L. Ma, Q. L. Zhu, Y. L. Chen & Y. G. Liu: Mol. Plant, 9, 961 (2016)..また,複数のgRNAを連結して発現させ,そのトリミングにtRNAのプロセシングシステムや自己切断機能をもつribozymeのシステムを応用し,一つの転写単位で複数のgRNAを生産できるようなベクター構築システムも開発されている(9)9) X. L. Ma, Q. L. Zhu, Y. L. Chen & Y. G. Liu: Mol. Plant, 9, 961 (2016)..一方,gRNAは100 nt程度の短いRNA分子であることから,通常,U6のようなRNAポリメラーゼIII型の転写調節を利用して発現させる.それに対し,gRNAとCas9を一つの転写単位として,RNAポリメラーゼII型のシステムを利用して発現させることで,イネの標的変異に成功したことが報告されている(10)10) X. Tang, X. L. Zheng, Y. P. Qi, D. W. Zhang, Y. Cheng, A. T. Tang, D. F. Voytas & Y. Zhang: Mol. Plant, 9, 1088 (2016)..この方法では,gRNAの発現にも組織特異性をもたせることが可能になる.

図1■ゲノム編集の種類

Cas9によるDNA切断には,Cas9タンパク質自体が標的配列近傍に存在するproto-spacer adjacent motif(PAM)配列を認識することが必要である.よって,PAM配列がCRISPR/Cas9による標的配列の自由度を制限する主要因となっている.PAM配列は細菌の種類によって異なることから,別の細菌に由来するCRISPR/Cas9を利用することで認識できる標的配列の幅を広げることが可能である.これまでに,イネにおいてゲノム配列を切断できることが報告されているCRISPRシステムを表1表1■イネで利用可能なCas9およびCpf1の比較に示した.特に,FnCpf1においては,SpCas9やSaCas9とは異なり,PAM配列にグアニンが含まれず,標的配列として利用できる選択肢が広くなっただけではなく,突出末端が形成されることからDNA断片をDSBs部位に挿入する頻度を上げることができると期待される.また,SpCas9においては,アミノ酸置換によりPAM配列が改変された変異型タンパク質の作出に成功しており,イネにおいても,従来とは異なるPAM配列(5′-NGA-3′,5′-NGCG-3′)を有する標的配列に変異を導入できることが報告されている(13)13) X. X. Hu, C. Wang, Y. P. Fu, Q. Liu, X. Z. Jiao & K. J. Wang: Mol. Plant, 9, 943 (2016)..このような研究が進むことによって,将来的にはPAM配列の制限を受けない変異型Cas9タンパク質を開発することができると期待される.

表1■イネで利用可能なCas9およびCpf1の比較
SpCas9SaCas911)11) H. Kaya, M. Mikami, A. Endo, M. Endo & S. Toki: Sci. Rep., 6, 26871 (2016).FnCpf112)12) A. Endo, M. Masafumi, H. Kaya & S. Toki: Sci. Rep., 6, 38169 (2016).
由来とする細菌Streptococcus pyogenesisStaphylococcus aureusFrancisella novicida
PAM配列5′-NGG-3′5′-NNGRRT-3′5′-TTN-3′
DSBsの位置PAMから3塩基目PAMから3塩基目PAMから18番目と23番目の塩基
DSBsの切断面平滑末端平滑末端5′突出の粘着末端
Cas9タンパク質の大きさ1368a.a.1053a.a.1307a.a.

3. off-target変異

人工制限酵素のうち,特にCRISPR/Cas9は,標的遺伝子以外の相同性が高い配列を切断することがあり,標的遺伝子以外の配列に意図しない変異(off-target変異)が導入されることが報告されている.

Cas9タンパク質は,2つのDNA切断ドメインが二本鎖DNAのそれぞれの鎖を切断することによりDSBsを誘導する.Cas9のDNA切断ドメインのうち片方の活性を欠失させることで,一方の鎖のみを切断し,ニック(nick)を導入するnickaseとして機能させることが可能である.そこで,Cas9 nickaseと隣接する2カ所の異なる鎖の配列を認識するgRNAを設計することにより,DNA鎖の両側にニックを導入でき,結果的にDSBsを誘導することができる.この方法では,Cas9 nickaseが2カ所の塩基配列を認識することにより,標的部位の認識特異性を上げることができる.イネにおいても,Cas9 nickaseの利用によりoff-target変異を抑えることができると報告されている(14)14) M. Mikami, S. Toki & M. Endo: Plant Cell Physiol., 57, 1058 (2016)..一方,Cas9タンパク質の立体構造情報をもとに,DNA鎖との結合能力を改変した変異タンパク質を作出することで,ヒト細胞においてoff-target変異を抑制したことが報告されている(15, 16)15) I. M. Slaymaker, L. Y. Gao, B. Zetsche, D. A. Scott, W. X. Yan & F. Zhang: Science, 351, 84 (2016).16) B. P. Kleinstiver, V. Pattanayak, M. S. Prew, S. Q. Tsai, N. T. Nguyen, Z. Zheng & J. K. Joung: Nature, 529, 490 (2016)..現在のところ,この方法については,植物への適用例は報告されていない.

off-target変異は,人工制限酵素のDNA認識能の特異性が低い場合や,DNA認識能の特異性が高い適切な人工制限酵素でも大過剰量や長期間適用することにより生じることが報告されている.そのため,人工制限酵素を組織または時期特異的に機能させる方法も開発されている.たとえば,シロイヌナズナでは,組織特異的に人工制限酵素を働かせて標的変異個体を獲得した例が報告されている(9)9) X. L. Ma, Q. L. Zhu, Y. L. Chen & Y. G. Liu: Mol. Plant, 9, 961 (2016).が,イネではまだそのような報告はない.一方,off-target変異を逆に利用し,一つのgRNAを用いて複数の類似遺伝子を破壊することも可能であり,イネで相同性が高い3個の遺伝子を同時に破壊することに成功している(5)5) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Cell Physiol., 56, 41 (2015).

なお,特にイネのような自殖可能な植物においては,自殖や戻し交雑などにより,遺伝的背景を原系統に近づけることが可能である.また,一般的に,ヒトの遺伝子治療など標的遺伝子以外に変異が導入されることが許容されない場合と異なり,農作物の育種においては生育などの表現型に変化が生じていなければoff-target変異が許容される可能性が考えられる.

上述のとおり,イネにおいては自殖または交配が容易であるため,後代個体の中から標的遺伝子に変異が入っているが外来遺伝子を含まない個体(null segregant)を得ることができる.一方,複数の植物において,物理的導入法により人工制限酵素遺伝子のDNA, mRNAやタンパク質を細胞内に直接導入し,標的変異に成功した例が報告されている.たとえば,PEG法を用いてタバコのプロトプラストにTALENsのmRNAやタンパク質を直接導入することで,標的変異に成功したことが報告されている(17, 18)17) S. Luo, J. Li, T. J. Stoddard, N. J. Baltes, Z. L. Demorest, B. M. Clasen, A. Coffman, A. Retterath, L. Mathis, D. F. Voytas et al.: Mol. Plant, 8, 1425 (2015).18) T. J. Stoddard, B. M. Clasen, N. J. Baltes, Z. L. Demorest, D. F. Voytas, F. Zhang & S. Luo: PLOS ONE, 11, e0154634 (2016)..また,イネ,コムギ,トウモロコシなどの複数の植物種において,PEG法やパーティクルボンバードメント法によりin vitroで形成したCas9タンパク質とgRNAとの複合体を細胞内に直接導入し,標的変異を誘導できることも報告されている(19~21)

プロトプラストを用いる方法では,個々の細胞を独立に扱うことが可能であるため,薬剤などによる形質転換細胞の選抜を経ずとも,標的変異に成功した細胞や個体を得ることが可能である.また,プロトプラストにDNAを導入する方法では,人工制限酵素遺伝子の一過的発現により,植物ゲノム中に外来遺伝子を挿入せずに標的変異を誘導することが可能である.さらに,人工制限酵素のmRNAやタンパク質を細胞に直接導入する方法では,導入に用いるmRNAやタンパク質の量を厳密に制御できるため,DNAを導入した場合と比較して短期間で効果的な量の人工制限酵素を機能させることが可能であり,off-target変異の抑制にも有効である.一方,イネのプロトプラスト形質転換法は培養期間が長く,熟練した操作が必要であることから,ソマクローナル変異の軽減と実験系の汎用化が課題である.

標的変異によって導入される変異は,DSBsの修復過程において生じる誤りの結果である.DSBsの修復経路は複数存在し,細胞が由来する組織や細胞周期,生じた損傷の種類によって,DSBsの修復経路が異なる.現時点では,DSBs修復の選択を人的に操作する実験系はなく,標的遺伝子に導入される変異のパターンも予測できないが,一般的には,人工制限酵素を用いてDSBsを導入した場合,欠失や挿入は生じやすいが,塩基置換は生じにくい.特にCRISPR/Cas9による標的変異では,1~数塩基程度の欠失や挿入が高頻度で生じる.したがって,標的変異では標的遺伝子を破壊することがほとんどであり,アミノ酸置換などによりタンパク質機能が改変されることはまれである.植物の体細胞において,DSBsの修復機構のうち最も主導的に機能するのは,切断されたDNA末端をそのまま結合する非相同末端結合経路(NHEJ)である.たとえば,この経路の最終酵素であり,切断末端を結合する機能を有するDNA Ligase4が欠損したイネ変異体では,野生型と比較してTALENsによる標的変異頻度が向上し,導入される欠失長が長くなることが報告されている(6)6) A. Nishizawa-Yokoi, T. Cermak, T. Hoshino, K. Sugimoto, H. Saika, A. Mori, K. Osakabe, M. Hamada, Y. Katayose, C. Starker et al.: Plant Physiol., 170, 653 (2016)..また,標的遺伝子に数塩基以上の欠失が生じていた場合,欠失配列の両端に数塩基程度の短い相同配列(マイクロホモロジー)が存在していることが多く,欠失にはマイクロホモロジー介在末端結合経路が関与していることが示唆されている(6)6) A. Nishizawa-Yokoi, T. Cermak, T. Hoshino, K. Sugimoto, H. Saika, A. Mori, K. Osakabe, M. Hamada, Y. Katayose, C. Starker et al.: Plant Physiol., 170, 653 (2016)..したがって,このような経路を抑制または活性化することで導入される変異のスペクトラムを改変できるかもしれない.一方,人工制限酵素によって隣接する2カ所にDSBsを誘導することにより,その間を欠失させることが可能である.代謝系の酵素遺伝子には遺伝子クラスターを形成しているものもあり,2カ所を切断することによりそのようなクラスターを一度に欠失させることが可能である.これまでに,イネにおいて,245 kbもの長鎖配列を欠失させることに成功したことが報告されている(22)22) H. Zhou, B. Liu, D. P. Weeks, M. H. Spalding & B. Yang: Nucleic Acids Res., 42, 10903 (2014).

一方,イネにおいて,Cas9 nickaseとDNA修復経路の一つである塩基除去修復経路の酵素シトシンデアミナーゼを融合した人工酵素を用いることにより,標的配列のシトシンをチミンに変換し,目的の塩基置換を誘導することに成功したことが複数のグループから報告された(23~2523) J. Li, Y. Sun, J. Du, Y. Zhao & L. Xia: Mol. Plant, 10, 526 (2017).24) Y. Lu & J. K. Zhu: Mol. Plant, 10, 523 (2017).25) Z. Shimatani, S. Kashojiya, M. Takayama, R. Terada, T. Arazoe, H. Ishii, H. Teramura, T. Yamamoto, H. Komatsu, K. Miura et al.: Nat. Biotechnol., 35, 441 (2017).).現在のところ,この方法は標的変異によって積極的に塩基置換を誘導する唯一の方法であるが,シトシンのみを改変することから,ほかの塩基を改変する技術開発が望まれる.

標的組換え

1. GTとは

GT技術は,標的遺伝子を含む配列と相同な鋳型DNAを利用し,標的遺伝子と鋳型DNA間の相同組換え(homologous recombination; HR)により,鋳型DNAが有する変異を標的遺伝子にコピーする技術である(図1図1■ゲノム編集の種類).この技術では鋳型DNA上の変異がそのままコピーされるため,標的変異とは異なり,目的どおりに標的遺伝子を改変することが可能である.イネのGTは日本が初めて成功例を報告しており(26)26) R. Terada, H. Urawa, Y. Inagaki, K. Tsugane & S. Iida: Nat. Biotechnol., 20, 1030 (2002).,現在も世界を大きくリードしている.筆者らは,これまでにGTによって除草剤耐性イネ(27)27) M. Endo, K. Osakabe, K. Ono, H. Handa, T. Shimizu & S. Toki: Plant J., 52, 157 (2007).やアミノ酸高蓄積イネ(28)28) H. Saika, A. Oikawa, F. Matsuda, H. Onodera, K. Saito & S. Toki: Plant Physiol., 156, 1269 (2011).などの育種素材となりうる系統を作出することに成功している.一方,イネ以外の顕花植物においては,GTによって内在性遺伝子を改変した報告は少なく,イネが最も進んでいると言える.

2. GT細胞の選抜法

GTは,その選抜法により,標的遺伝子特異的選抜法とポジティブ・ネガティブ選抜法の2種類に大別される.前者はGTによって標的遺伝子に目的の変異を導入することで,改変された標的遺伝子自身が選抜マーカーになりうる場合に利用できる.たとえば,除草剤の標的遺伝子に対して,GTによって除草剤耐性型の変異を導入することで,除草剤耐性形質を指標にGTに成功した細胞を直接獲得することが可能である(27)27) M. Endo, K. Osakabe, K. Ono, H. Handa, T. Shimizu & S. Toki: Plant J., 52, 157 (2007)..しかしながら,この方法は,選抜マーカーとなりうる遺伝子と変異の組み合わせでなければ使用することはできない.それに対し,後者は,形質転換に成功した細胞に薬剤耐性などを付与するポジティブ選抜マーカー遺伝子と,鋳型DNAがゲノムの目的外の部位に挿入された細胞の生育を抑制するネガティブ選抜マーカーの2種類を利用する方法であり,原理的にはあらゆる遺伝子に適用可能である(図2図2■ポジティブ・ネガティブ選抜法を用いたGTのスキーム).ポジティブ・ネガティブ選抜法によるGTの場合,ポジティブ選抜マーカー遺伝子は標的遺伝子内部またはその近傍に挿入されるが,同時に相同配列上の変異も標的遺伝子に導入することが可能である.そこで,ポジティブ・ネガティブ選抜法によるGTとポジティブ選抜マーカーの除去を組み合わせることで,標的遺伝子に必要最小限の変異だけを導入することが可能である(図3図3■GTとマーカー除去を利用した変異導入スキーム).これまでに,イネにおいては,バクテリオファージのCre/loxを用いたシステム(29)29) R. Terada, M. Nagahara, K. Furukawa, M. Shimamoto, K. Yamaguchi & S. Iida: Plant Biotechnol., 27, 29 (2010).,昆虫のトランスポゾンpiggyBac (30)30) A. Nishizawa-Yokoi, M. Endo, N. Ohtsuki, H. Saika & S. Toki: Plant J., 81, 160 (2015).やDSBs修復の一つである単鎖アニーリング(SSA)を利用したシステム(31)31) 雑賀啓明:JATAFFジャーナル4, 59 (2016).などが利用されている.Cre/loxは,さまざまな生物で広く使用されているマーカー除去システムであり,部位特異的組換え酵素Creが30 bp程度のloxP配列を認識して,タンデムに重複したloxP配列の内部を離脱させる.この方法では,loxP配列が宿主ゲノム中に残存することから,loxP配列をイントロンや遺伝子間領域にもたせるなどの工夫が必要となる.一方,piggyBacトランスポゾンにおいて,transposaseであるPBaseは,トランスポゾン特異的逆位末端配列に囲まれた配列を,宿主ゲノムに存在する「TTA A」の塩基配列に挿入,離脱させる.よって,ポジティブ選抜マーカーの両側にトランスポゾン特異的逆位末端配列を配置しておき,宿主ゲノム中の「TTA A」配列にポジティブ選抜マーカーを挿入することにより,PBaseを用いて余分な変異を残さずにマーカーを除去することが可能である.また,SSAを利用した方法では,ポジティブ選抜マーカーの両側にタンデム重複配列と制限酵素の認識配列を配置する.GT後に制限酵素によりDSBsを誘導し,生じた単鎖の重複配列がアニーリングすることにより,重複配列内部を脱離させることができ,piggyBacと同様に余分な変異を残さずにマーカーを除去することが可能である.この方法は,原理的にはどのような配列でも応用可能であり,piggyBacより汎用性が高い方法であるが,DSBs部位でSSAを効率よく誘導する技術は確立されていないため,その効率はpiggyBacに劣る.以上のように,標的遺伝子特異的選抜法はSDN-2型の変異,ポジティブ・ネガティブ選抜法はSDN-2型,または3型の変異を導入することが可能である(図1図1■ゲノム編集の種類).

図2■ポジティブ・ネガティブ選抜法を用いたGTのスキーム

図3■GTとマーカー除去を利用した変異導入スキーム

3. GTの高効率化

一般的に,高等植物においては,GTの効率は標的変異に比べてはるかに低く,通常の遺伝子導入の10−3~10−6の頻度でしか生じないことが報告されている(32)32) S. Iida & R. Terada: Curr. Opin. Biotechnol., 15, 132 (2004)..GTの効率は,①標的遺伝子の鋳型となる外来DNAの効果的な供給,②外来DNAと標的遺伝子との効率的なHR,③GTに成功した細胞を取りこぼさずに選抜することの大きく3つの要因によって決定され(33)33) H. Saika & S. Toki: Jpn. Agric. Res. Q., 43, 81 (2009).,それぞれの要因からGT効率を改善する研究が取り組まれている.なお,イネにおいては,高効率かつ汎用的な遺伝子導入システムや形質転換細胞の選抜システムが開発されてきたため,一定の労力は必要となるが,大量の形質転換細胞(およそ10 g程度のカルス)を準備すればGT細胞を得ることは十分可能である.また,イネカルスは培養中に盛んに細胞分裂を繰り返しているため,DSBsが生じやすい条件にあると考えてられている.これらのことから,イネはほかの植物に比べて,GTが生じやすく,かつGT細胞をロスせずに獲得できるような条件の最適化がなされてきた数少ない植物種であるといえる.

3.1 鋳型DNAの供給

動物細胞や微生物では,物理的導入法によって外来DNAを導入するため,鋳型DNAの細胞への供給効率は高い.一方,上述のとおり,高等植物,特にイネにおいては,アグロバクテリウムを用いた遺伝子導入が主流である.アグロバクテリウム法は,物理的導入法と比較して,外来DNAが大きく再編成せずに宿主ゲノムに導入されるメリットがあるが,その効率は高いとは言えない.これまでに,高効率なイネのアグロバクテリウム形質転換系を用いることで,GT細胞を効率的に獲得できることが報告されている(34)34) K. Ozawa, Y. Wakasa, Y. Ogo, K. Matsuo, H. Kawahigashi & F. Takaiwa: Plant Cell Physiol., 53, 755 (2012)..また,われわれはアグロバクテリウム形質転換に高感受性を示すイネ品種を見いだしている(35)35) H. Saika & S. Toki: Plant Cell Rep., 29, 1351 (2010).ので,それをGTの材料として使用することも興味深い.

核内に導入された外来DNAは,その一部がゲノムに挿入されるが大部分が内在性のヌクレアーゼにより分解されてしまう.すなわち,GTが成功するチャンスは,外来核酸が核内に存在するわずかな期間しかない.これを解決するために,鋳型となる外来DNAを一度ゲノムに挿入し,それを必要に応じて切り出してGTの鋳型として使用するin planta GT法がシロイヌナズナで報告された(36)36) F. Fauser, N. Roth, M. Pacher, G. Ilg, R. Sanchez-Fernandez, C. Biesgen & H. Puchta: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 7535 (2012)..この方法では,必要なタイミングで鋳型DNAを供給することができること,標的配列の切断と鋳型DNAの供給を同調できること,対象とする植物細胞すべてに鋳型DNAが保持されていることなどのメリットがある.この方法のポイントはどのような方法で鋳型DNAを効率よく切り出すか,GTに成功した細胞をどのように濃縮するかである.この方法が利用できれば,煩雑な形質転換実験を省略することが可能であるため,今後の汎用化が期待される技術である.また,タバコ,トマトなどにおいては,核内で自己増殖するジェミニウイルスベクターを用いることで,鋳型DNAを効率的に供給し,GT頻度の向上に成功している(37~39).イネを宿主とするジェミニウイルスベクターを利用すれば,同様にGT頻度の改善は可能であると期待される.

3.2 HR効率

GT効率を最も決定づけるのはHR効率であると考えられている.HRはDSBs修復経路の一つであるため,イネ,シロイヌナズナ,タバコ,トマト,ワタなどの植物を含むさまざまな生物において,人工制限酵素による標的遺伝子の切断によってGT効率が改善することが報告されている.イネにおいても,人工制限酵素の利用によって,また,人工制限酵素とDNA Ligase4の欠損を組み合わせることによって,GTによる点変異導入の効率化に成功している(40, 41)40) M. Endo, M. Mikami & S. Toki: Plant Physiol., 170, 667 (2016).41) Y. W. Sun, X. Zhang, C. Y. Wu, Y. B. He, Y. Z. Ma, H. Hou, X. P. Guo, W. M. Du, Y. D. Zhao & L. Q. Xia: Mol. Plant, 9, 628 (2016)..人工制限酵素の利用が容易になった現在,上記に加えてさまざまな植物においてGTの成功例が相次いで報告されるのではないかと予想される.また,ニワトリにおいてはDNAの切断に加え,exonucleaseによる切断されたDNAの削り込みやRecQ helicaseによるDNAヘリックスの巻き戻しを誘導することで,GT効率が飛躍的に向上することが示されている(42)42) K. Kikuchi, H. I. Abdel-Aziz, Y. Taniguchi, M. Yamazoe, S. Takeda & K. Hirota: J. Biol. Chem., 284, 26360 (2009)..イネにおいても,ORFの途中に変異が挿入されているため機能的ではない選抜マーカーをモデル標的遺伝子として同様のGT実験を行い,DNAの切断と切断末端のプロセシングを促進することにより,GT効率が向上することが示されている(43)43) 土岐精一,武田俊一,廣田耕志,刑部敬史:“遺伝的に改変された細胞を製造する方法”,特許第5773403号..今後は,これらの方法が,SDN-3型のGTにも有効であるかを検証する必要がある.

3.3 GT細胞の選抜

通常,GTでは,多数の非形質転換細胞やGTベクターがランダム挿入した細胞から,低頻度で生じたGT細胞を効率的に選抜することが求められる.ポジティブ・ネガティブ選抜法を用いたGTにおいては,cell-autonomousに作用するネガティブ選抜システムがGT細胞の濃縮に重要である.これまで,イネのGTにおいて,ネガティブ選抜マーカーとして汎用的に使われているのはジフテリア毒をコードするDT-A遺伝子である(44)44) R. Terada, H. Asao & S. Iida: Plant Cell Rep., 22, 653 (2004)..しかし,ジフテリア毒は細胞毒性が高いがゆえに,ゲノムに挿入されていないDT-A遺伝子の一過的発現により,形質転換細胞を過剰に死滅させていることが懸念される.そこで,コンディショナルなネガティブ選抜マーカーとして毒性の低い5-フルオロシトシンを毒性の高い5-フルオロウラシルに代謝するcodA遺伝子を用いる方法(45)45) K. Osakabe, A. Nishizawa-Yokoi, N. Ohtsuki, Y. Osakabe & S. Toki: Plant Cell Physiol., 55, 658 (2014).,ポジティブ選抜マーカーであるnptIIの働きをアンチセンス法により抑制するanti-nptII法(46)46) A. Nishizawa-Yokoi, S. Nonaka, K. Osakabe, H. Saika & S. Toki: Plant Physiol., 169, 362 (2015).などが開発されている.

また,イネのアグロバクテリウム形質転換法において,T-DNAのゲノムへの挿入にはNHEJが関与していることが示唆されている(47)47) A. Nishizawa-Yokoi, S. Nonaka, H. Saika, Y. I. Kwon, K. Osakabe & S. Toki: New Phytol., 196, 1048 (2012)..NHEJを欠損させるまたは抑制することにより,GTベクターのゲノムへのランダム挿入が減少し,GT細胞を効率よく獲得できると期待される.

ゲノム編集生物の規制

日本において,遺伝子組換え生物は,2004年2月に施行された遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(通称カルタヘナ法)に従い,規制される.一方,ゲノム編集によって作出した生物(特にSDN-1)には,必ずしもカルタヘナ法で定める遺伝子組換え生物等に該当しない可能性がある事例もあると考えられる.

これまでに,農林水産省(48)48) 新たな育種技術研究会:ゲノム編集技術等の新たな育種技術(NPBT)を用いた農作物の開発・実用化に向けて,http://www.affrc.maff.go.jp/docs/commitee/nbt/pdf/siryo3.pdf, 2015.や環境省(49)49) 中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会:遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)の施行状況の検討について,http://www.env.go.jp/council/12nature/y120-32/mat02.pdf, 2016.の委員会において,ゲノム編集生物に関する議論がなされており,研究開発段階におけるカルタヘナ法などの規制対応を適正に推進することや技術を利用する者に対して規制当局に事前に相談をするように周知することなどが提言されている.また,全国大学等遺伝子研究支援施設連絡協議会の声明(50)50) 全国大学等遺伝子研究支援施設連絡協議会:ゲノム編集技術を用いて作成した生物の取り扱いに関する声明・見解・方針,http://www1a.biglobe.ne.jp/iden-kyo/genome-editing1.html, 2014.や日本学術会議の報告書(51)51) 日本学術会議:植物における新育種技術(NPBT : New Plant Breeding Techniques)の現状と課題,http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-h140826.pdf, 2014.においても,ゲノム編集技術を用いて作出した生物を適切に管理することが必要であると提言している.しかしながら,日本においては,ゲノム編集によって作出された生物の規制について,統一的な見解が出されていないのが現状である.また,世界各国においても同様の議論がなされているが,国によってその対応が異なる(52)52) 農林水産技術会議事務局:NPBTを巡るGM規制等の動向について,http://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/attach/pdf/NPBT1-1.pdf, 2016..ゲノム編集生物の規制について,世界各国である程度調和がとれた方針が定まらない限り,ゲノム編集生物の輸出入などは個別の対応をとる必要があり,産業利用の一つの障壁になるのではないかと懸念される.

人工制限酵素の知的財産権

ゲノム編集のカギとなる人工制限酵素は欧米を中心として開発されてきた経緯があり,ゲノム編集を用いて改良した農作物を実用化する際にはその許諾が必要となる.しかしながら,CRISPR/Cas9については,その知的財産権を巡って裁判が行われているところであり,権利者は明確になってはいない.CRISPR/Cas9の知的財産権については,ブロード研とMIT,カリフォルニア大とウィーン大,ヴィリニュス大など複数のグループから出願されている状態であり,今後の動向が注目される(53)53) K. J. Egelie, G. D. Graff, S. P. Strand & B. Johansen: Nat. Biotechnol., 34, 1025 (2016).

CRISPR/Cas9の農業分野への利用については,DuPont社やMonsanto社が戦略的に実施許諾の権利を収集していることが公表されている.特に,DuPont社は,カリフォルニア大発のベンチャー企業であるカリブー・バイオサイエンシス社やヴィリニュス大からCRISPR/Cas9の農業分野への利用について排他的ライセンスの許諾を受けている.2016年4月には,アメリカ農務省からCRISPR/Cas9を利用して開発したモチ性トウモロコシが規制対象外であるという返答を受け,5年以内に米国内の農家が優良なモチ性トウモロコシ品種を利用できるようにすることを発表,また同年9月には,国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)とCRISPR/Cas9を用いた品種育成の共同研究を実施することを発表するなど,積極的な取り組みが進められている.一方,Monsanto社はMITやブロード研究所からCRISPR/Cas9やCRISPR/Cpf1に関する非排他的ライセンスの許諾を受けた.今後もゲノム編集にかかわる新技術が発表されれば,大手農薬・種苗メーカーは,権利の獲得に動くものと予想される.このような状況を鑑みると,日本においてはクロスライセンスを視野に入れた強みのある要素技術の開発とその権利化を進めるとともに,日本独自のゲノム編集技術を開発することが重要ではないかと思われる.

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