解説

コリネ型細菌が生み出すバイオ化学品多様性の拡大コリネ型細菌を利用した近年の化学品生産研究動向

Increasing Diversity of the Bio-Based Chemicals Produced by Corynebacterium glutamicum: The Recent Trend of Research in the Production of Chemicals by Corynebacterium glutamicum

久保田

Takeshi Kubota

地球環境産業技術研究機構(RITE)

将行

地球環境産業技術研究機構(RITE)

奈良先端科学技術大学院大学

Published: 2017-09-20

コリネ型細菌を利用して生産できる化学品の多様性が広がっている.従来の主流はアミノ酸類だったが,その後,アルコール類,有機酸類の生産報告が増え,さらに近年では有機ジアミン類や,毒性が強いためこれまで微生物による生産は不可能と考えられてきた芳香族化合物までもが数十g/Lレベルで生産可能となっている.本稿ではコリネ型細菌を用いた化学品生産の事例を取り上げて解説する.

はじめに

コリネ型細菌(Corynebacterium glutamicum)は1950年代に日本においてグルタミン酸生産菌として単離されて以来,各種アミノ酸や核酸生産に利用されてきた有用工業微生物である.近年,同菌はアミノ酸や核酸以外の化学品生産にも応用展開が進んでおり,工業用生産宿主としての潜在能力の高さをうかがうことができる.化学品生産に直接かかわる応用研究だけでなく,遺伝子発現解析などの基礎研究も精力的に行われており,日本,ドイツ,韓国そして中国などの研究機関から数多くの論文が発表されてきた.コリネ型細菌を対象にした遺伝子組換え技術が確立されたこともあり,現在は多様な代謝産物を大量に生産させることに成功している.本解説では近年報告のあった,さまざまな化学品をターゲットとした生産研究について横断的に解説し,コリネ型細菌で生産実績のある化学品のレパートリーの広さを紹介する.

化学品の生産研究において生産物の価値を明確にすることが重要である.そのためまず生産対象となる化学品の用途を説明する.そして,従来の生産例,生産においてキーポイントとなる遺伝子組換えや培養条件,目的物質の生産到達濃度,さらに研究グループもできるだけ紹介する.具体的には2010年代を中心にコリネ型細菌を用いて生産された化学品の報告(主に学術論文)を抜粋し,代謝経路から大きく4つのグループに分類した(図1図1■コリネ型細菌を利用した化学品生産マップ).すなわち,1. グルタミン酸から派生する物質,2. リジンから派生する物質,3. ホスホエノールピルビン酸から派生する物質,4. ピルビン酸から派生する物質について順に解説を進める.

図1■コリネ型細菌を利用した化学品生産マップ

グルコースを糖源として各目的生産物へ至る簡易代謝経路を示した.青字は派生元となる化合物,赤字は本稿で紹介した目的生産物を表している.

グルタミン酸から派生する化学品群

グルタミン酸から派生するアミノ酸類についての最近の生産事例はドイツ・Bielefeld大学のWendischらのレビューにまとめられている(1)1) V. F. Wendisch, J. M. Jorge, F. Pérez-García & E. Sgobba: World J. Microbiol. Biotechnol., 32, 105 (2016)..ここではそれを参考にいくつかの生産例を紹介する(図2図2■グルタミン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子).

図2■グルタミン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子

gadB: Glutamate decarboxylase, nags: N-Acetylglutamate synthase, argJ: Ornithine acetyltransferase, argB: N-Acetylglutamate kinase, argC: N-Acetyl-gamma-glutamyl-phosphate reductase, argD: N-Acetylornithine aminotransferase, argF: Ornithine transcarbamoylase, argG: Argininosuccinate synthetase, argH: Argininosuccinate lyase, ocd: Ornithine cyclodeaminase, speC: Ornithine decarboxylase.

γ-アミノ酪酸(GABA)は脊椎動物の脳内で働く抑制性の神経伝達物質としてよく知られている.また,GABAは環化させることで2-ピロリドンに変換可能であり,さらに,これを開環重合させることによりポリアミド(ナイロン4)が生成可能である.ナイロン4は活性汚泥中の微生物によって分解可能とされているため,生分解性ナイロンとして注目されている.GABAはグルタミン酸から脱炭酸酵素Glutamate decarboxylase(GAD)による1段階の反応で生合成可能である.これまでGADを発現させた大腸菌などで,グルタミン酸を基質としてGABAを生産させた例があったが,近年コリネ型細菌を用いてグルコースから直接に生産する例が相次いで報告された(2~4)2) N. Okai, C. Takahashi, K. Hatada, C. Ogino & A. Kondo: AMB Express, 4, 20 (2014).3) J. W. Choi, S. S. Yim, S. H. Lee, T. J. Kang, S. J. Park & K. J. Jeong: Microb. Cell Fact., 14, 21 (2015).4) J. M. Jorge, C. Leggewie & V. F. Wendisch: Amino Acids, 48, 2519 (2016)..コリネ型細菌は内在性GADをもたないが,大腸菌やLactobacillus brevisは対応する遺伝子を保有する.神戸大学のOkaiらはグルタミン酸供給を高める遺伝子破壊に加え,大腸菌由来のGADを発現させることで,120時間で31 g/LのGABAの生産を報告した(2)2) N. Okai, C. Takahashi, K. Hatada, C. Ogino & A. Kondo: AMB Express, 4, 20 (2014)..また,多くの微生物のGADの反応至適pHは4付近と比較的低いのに対して,コリネ型細菌の生育が良好なpHは7付近である.そこで韓国・KAISTのChoiらは大腸菌で報告された,活性pH範囲の広い変異型GADを利用してpH 6の条件および最適なビオチン濃度の条件下でGABAを生産させ,72時間で39 g/Lの生産に成功している(3)3) J. W. Choi, S. S. Yim, S. H. Lee, T. J. Kang, S. J. Park & K. J. Jeong: Microb. Cell Fact., 14, 21 (2015).

グルタミン酸からアルギニンまでは8段階の反応がある.それらの反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の多くは一つのarg遺伝子クラスターとして存在する.グルタミン酸から5段階の反応によりまずオルニチンが作られる.1番目と5番目の反応はargJ遺伝子がコードする酵素Ornithine acetyltransferase(OAT)が両方とも触媒するとされてきたが,1番目の反応を触媒する酵素N-Acetylglutamate synthase(NAGS)は別の遺伝子cg3035がコードしていることが近年,報告された(5)5) K. Petri, F. Walter, M. Persicke, C. Rückert & J. Kalinowski: BMC Genomics, 14, 713 (2013)..次いでargF遺伝子がコードする酵素Ornithine transcarbamoylase(OTC)によりオルニチンの末端アミノ基にカルバモイル基(–CONH2)が付加されることでシトルリンが形成される.さらにATPを利用してアスパラギン酸を付加した後にアルギニンが形成される.アルギニンはオルニチンやシトルリンなどとともにアンモニア解毒剤,肝機能促進剤として使われる.これまでに中国・Sun Yat-sen大学のJiangらや韓国・Sangji大学のHwangらがコリネ型細菌を利用してそれぞれ24 g/Lと14 g/Lのオルニチン生産を報告している(6, 7)6) L. Y. Jiang, S. G. Chen, Y. Y. Zhang & J. Z. Liu: BMC Biotechnol., 13, 47 (2013).7) G. H. Hwang & J. Y. Cho: J. Ind. Microbiol. Biotechnol., 41, 573 (2014)..最近,KAISTのKimらはNADPHの供給量を高める改変と,argオペロンの抑制性レギュレーターであるargR遺伝子の破壊によりグルコースから40時間で52 g/Lのオルニチンの生産を達成した(8)8) S. Y. Kim, J. Lee & S. Y. Lee: Biotechnol. Bioeng., 112, 416 (2015).

一方,シトルリン生産について,Bielefeld大学のEberhardtらはargRの破壊にArgininosuccinate synthetaseをコードするargG遺伝子の破壊を重ねて,基本的なシトルリン生産株を構築した.また,argB遺伝子がコードするN-Acetylglutamate kinaseはアルギニンからフィードバック阻害を受けるため,その阻害耐性型の酵素をコードするargBFBRとさらにargF(OTCをコードする)を高発現させた.これにより24時間で7.7 g/Lのシトルリン生産を報告した(9)9) D. Eberhardt, J. V. Jensen & V. F. Wendisch: AMB Express, 4, 85 (2014)..また,中国・Nanjing工業大学のHaoらは同じくargRargGを破壊したうえに,さらにargJ(OATをコードする)を高発現させることで,85時間で8.5 g/Lのシトルリン生産を報告している(10)10) N. Hao, J. Mu, N. Hu, S. Xu, M. Yan, Y. Li, K. Guo & L. Xu: J. Ind. Microbiol. Biotechnol., 42, 307 (2015).

また,アルギニンの高生産はKAISTのParkらによって報告されている.アルギニン生合成遺伝子群の発現を抑制する制御因子argR, farR遺伝子の破壊,ペントースリン酸経路を利用したNADPH供給量の最適化,グルタミン酸排出体遺伝子の破壊,さらに生産関連遺伝子の高発現のためなどにプロモーターの変更を行った.この株にグルコースとスクロースを糖源として与えることで,72時間で93 g/Lのアルギニン生産を報告した(11)11) S. H. Park, H. U. Kim, T. Y. Kim, J. S. Park, S. S. Kim & S. Y. Lee: Nat. Commun., 5, 4618 (2014).

プロリンは飼料添加物や医薬原料,化粧品添加物などとして用いられる.また,近年はプロリン自体がアルドール反応を触媒する活性をもつことがわかり,非金属の不斉触媒としても注目されている.プロリンの生産経路は一般的にグルタミン酸から3つの反応と一つの自発反応により構成される.1990年代に田辺製薬株式会社のMasudaらはグラム陰性桿菌のSerratia marcescensを用いて4日でスクロースから100 g/Lのプロリン生産を報告しているが(12)12) M. Masuda, S. Takamatu, N. Nishimura, S. Komatsubara & T. Tosa: Appl. Biochem. Biotechnol., 43, 189 (1993).,近年,コリネ型細菌を用いて,別の経路を利用したプロリン生産の報告があった.こちらはオルニチンからアンモニア脱離を伴った環化反応を利用しており,Ornithine cyclodeaminase(OCD)がそれを触媒する.Bielefeld大学のJensenらはPseudomonas putida由来のOCDをコリネ型細菌で高発現させることにより,30時間で13 g/Lの生産性を示した(13)13) J. V. Jensen & V. F. Wendisch: Microb. Cell Fact., 12, 63 (2013).

プトレシンは4炭素鎖の両端にアミノ基をもち,後述のカダベリンと同様にポリアミドの原料物質となりうる.これを化学的に合成するにはアクリロニトリルにシアン化物を添加することでサクシノニトリルに変換した後,水素化することで製造できる.しかし生体内ではアミノ酸の分解によって容易に生じ,多くの生物がそれを生合成できる.プトレシン生合成経路は2つあり,アルギニンからアグマチンを介した2段階の反応と,オルニチンからspeC遺伝子がコードするOrnithine decarboxylase(ODC)による脱炭酸反応を介した生産経路である.なお,グルコースからの場合は後者の経路を利用したほうが40倍収率が高いとの報告がある(14)14) J. Schneider & V. F. Wendisch: Appl. Microbiol. Biotechnol., 88, 859 (2010)..プトレシン生産株はODCを過剰に発現させ,かつオルニチンからアルギニンへ向かう反応を触媒する酵素OTCをコードする遺伝子argFを削除すると作れるが,その株はアルギニン要求性になってしまう.そこでBielefeld大学のSchneiderらは合成プロモーターを用いてargFの発現量を調節し,OTC活性を必要最小限にとどめた株を構築した.この株は生育にアルギニンを要求せず,34時間で19 g/Lのプトレシンを生産した実績をもつ(15)15) J. Schneider, D. Eberhardt & V. F. Wendisch: Appl. Microbiol. Biotechnol., 95, 169 (2012).

リジンから派生する化学品

コリネ型細菌を利用して商業生産される代表的なアミノ酸のもう一つはリジンである.リジンの生合成経路はアスパラギン酸を経由する.グルタミン酸同様にリジンの生産濃度は報告されているだけでも100 g/Lを超えるため,これから派生する物質も高生産を期待できる(図3図3■リジンから派生する化学品とその主な用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子).

図3■リジンから派生する化学品とその主な用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子

ldcC: Lysine decarboxylase, lysDH: Lysine dehydrogenase, proC: Pyrroline 5-carboxylate reductase, davB: Lysine 2-monooxygenase, davA: 5-Aminovalelamidase.

カダベリンは5炭素鎖の両端にアミノ基をもち,ポリアミドの原料としてそのまま用いることができる.たとえばコハク酸など,両端にカルボキシル基をもつ化合物と重合させることが可能であり,それはバイオマス由来ポリマーとなる.カダベリンは,リジンの脱炭酸により比較的容易に生合成できるため過去に複数の微生物での生産報告がある.しかしリジンの高生産菌としても有名なコリネ型細菌を宿主として用いれば,より高生産が期待できる.ドイツ・Braunschweig工科大学のKindらはリジン排出体をコードする遺伝子lysEの削除と,大腸菌由来の脱炭酸酵素Lysine decarboxylaseおよびカダベリン排出体と考えられているトランスポーターをコードする遺伝子cg2893をともに高発現させることによって50時間で88 g/Lのカダベリン生産に成功した(16)16) S. Kind, S. Neubauer, J. Becker, M. Yamamoto, M. Volkert, G. Abendroth, O. Zelder & C. Wittmann: Metab. Eng., 25, 113 (2014)..Kindらはさらに研究を進め,それを用いたポリマー合成まで行った.植物油由来のセバシン酸(炭素数10で,両末端がジカルボン酸となる化合物)と重合させることで100%バイオポリアミドPA5.10を作成した.なお,得られたポリマーは既存の6,6ナイロンなどと同程度の性能を示したと報告している.

ピペコリン酸はプロリンの5員環を6員環に置き換えた構造をもつ環状アミノ酸であり,免疫抑制剤やペプチド系抗生物質生産の前駆体として用いられる.ピぺコリン酸は,リジンから3段階の反応によって生産可能である.まず,lysDH遺伝子がコードするLysine dehydrogenaseにより,リジンから末端アルデヒド構造をもつ化合物が作られる.これが自発的に自己環化し,さらにproC遺伝子がコードするPyrroline 5-carboxylate reductaseにより還元されることでピペコリン酸となる.Bielefeld大学のPérez-Garcíaらはリジン生産株に対してSilicibacter pomeroyi由来のlysDHと内在性のproCを高発現させることでグルコースから1.8 g/Lのピペコリン酸生産に成功した(17)17) F. Pérez-García, P. Peters-Wendisch & V. F. Wendisch: Appl. Microbiol. Biotechnol., 100, 8075 (2016).

5-アミノ吉草酸は両端に官能基をもつ,いわゆるω-アミノ酸に分類されるためポリマー原料として期待でき,また,自己環化させることでC5モノマーとして利用しやすくなる.5-アミノ吉草酸はdavB遺伝子がコードするLysine 2-monooxygenaseおよびdavA遺伝子がコードする5-Aminovaleramidaseによる2段階でリジンから合成できる.両酵素を発現させた大腸菌での生産報告があるがその生産性は低かった.KAISTのShinらはコリネ型細菌のリジン高生産株をベースにP. putida由来のdavAdavBを発現させることで5-アミノ吉草酸の基本的な生産に成功したが,その生産菌の培養液中には副生成物として5-アミノ吉草酸の代謝物であるグルタル酸が顕著に蓄積していた.この反応を触媒する酵素は当初,コリネ型細菌では見つかっていなかったが,その酵素を新たに見いだし,対応する遺伝子gabTを破壊することで副生成物を抑えることに成功した.これにより150時間で33 g/Lの5-アミノ吉草酸を生産した(18)18) J. H. Shin, S. H. Park, Y. H. Oh, J. W. Choi, M. H. Lee, J. S. Cho, K. J. Jeong, J. C. Joo, J. Yu, S. J. Park et al.: Microb. Cell Fact., 15, 174 (2016)..また,興味深いことに,ほぼ同時期にドイツ・Saarland大学のRohlesらも5-アミノ吉草酸の生産を報告している.こちらもP. putida由来のdavAdavBを用い,独自にgabTを見つけ出し破壊することで生産性を向上させた.さらにリジンの排出体遺伝子lysEの破壊を重ねることで,50時間で28 g/Lの生産性を達成した(19)19) C. M. Rohles, G. Giesselmann, M. Kohlstedt, C. Wittmann & J. Becker: Microb. Cell Fact., 15, 154 (2016).

ホスホエノールピルビン酸から派生する化学品群

解糖系で作られるホスホエノールピルビン酸はペントースリン酸経路から供給されるエリスロース4-リン酸と結合し3-デオキシ-D-アラビノペプツロソン酸7-リン酸(DAHP)となる.DAHPからコリスミ酸までの代謝経路はシキミ酸経路と呼ばれ,大半の微生物や植物は有しているが動物には存在しない.シキミ酸経路では炭素6員環の形成から一つずつ二重結合が追加され,最後にコリスミ酸からのピルビン酸の脱離に伴って芳香環が完成する.そのためこの経路からは主に芳香族化合物が生産される(図4図4■ホスホエノールピルビン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子).芳香族アミノ酸であるトリプトファン,チロシン,フェニルアラニンもこのシキミ酸経路を通して生合成される.シキミ酸経路に炭素源を集中させるためには初発の酵素である,DAHP synthaseの活性を高めることが必須である.そしてこの酵素の基質となるホスホエノールピルビン酸とエリスロース4-リン酸の供給が重要となる.

図4■ホスホエノールピルビン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子

aroG, aroF: 3-Deoxy-D-arabinoheptulosonate 7-phosphate (DAHP) synthase, aroB: 3-Dehydroquinate synthase, aroD: 3-Dehydroquinate dehydratase, aroE: Shikimate dehydrogenase, aroK: Shikimate kinase, aroA: 5-Enolpyruvylshikimate 3-phosphate synthase, aroC: Chorismate synthase, pabAB: 4-Amino-4-deoxychorismate synthase, pabC: 4-Amino-4-deoxychorismate lyase, ubiC: Chorismate lyase, pobA: 4-Hydroxybenzoate 3-hydroxylase, dca: 4-Hydroxybenzoate decarboxylase, trpEG: Anthranilate synthase, trpD: Anthranilate phosphoribosyltransferase, trpC: Indole-3-glycerol phosphate synthase/phosphoribosylanthranilate isomerase, trpAB: Tryptophan synthase, vioA: Tryptophan oxidase, vioB, vioE: Violacein biosynthesis protein, vioD: Protodeoxyviolaceinate monooxygenase, vioC: Violacein synthase.

シキミ酸は日本のシキミ(樒)の実から発見されたもので,環状構造かつ光学活性点を3つ有するためキラルビルディングブロックとして有用な化合物である.また,インフルエンザの感染初期に処方されるタミフルを化学合成する際の出発物質としての需要がある.現在シキミ酸はトウシキミ(八角)の実から抽出されることが主流となっているが,その収率は極めて低い.発酵生産による大量供給の手段が確立されればインフルエンザの流行にも対応可能だと期待できる.シキミ酸はシキミ酸経路の中央に位置しており,シキミ酸を代謝するShikimate kinaseをコードする遺伝子aroKの破壊により若干培養液中に蓄積する.この生産濃度を高めるため,筆者らの研究グループである地球環境産業技術研究機構(RITE)のKogureらはホスホエノールピルビン酸の供給を高める改変と,フィードバック阻害を受けない大腸菌由来の変異型DAHP synthaseを導入した.さらに複数の遺伝子の強化,副生経路遺伝子の破壊を重ねることでシキミ酸高生産株を構築した.この菌を高密度に培養槽に充填し,増殖させない条件下で生産させた(RITEバイオプロセス)ところ,48時間で141 g/Lもの高い生産濃度を達成したことを報告した(20)20) T. Kogure, T. Kubota, M. Suda, K. Hiraga & M. Inui: Metab. Eng., 38, 204 (2016).

ここで筆者らの研究グループが開発した「RITEバイオプロセス」(増殖非依存型バイオプロセス)の紹介を簡単にさせていただく.微生物による従来型の物質生産方法では分裂増殖に依存して生産を行うため,細胞分裂の「場」と「時間」を必要とする.そのため化学反応と比較して生産性が極めて低い場合が多かった.RITEバイオプロセスでは以下の手順によってこの問題を解決している.まず,微生物細胞を大量に培養する.次に得られた細胞を反応器に充填し,原料を投入して増殖を抑制した状態で物質を生産させる.このように,あたかも”化学触媒”のように微生物細胞を利用することによって短時間に多量の有用化学品を生産できるようになる.従来型の「増殖依存型」に比べてRITEバイオプロセスが有利な点は,1. 高い生産性を示す(高収量,省スペース,短時間),2. 反応器内の細胞を繰り返し物質生産に利用できるため,生産コストを大幅に下げられる,3. 発酵阻害物質や生産物毒性の影響を受けにくいなどが挙げられる.これまでにバイオ燃料や有機酸などの化学品の高効率生産実績があり,本稿でもこの技術を応用した例をいくつか紹介した.

4-アミノ安息香酸(4-ABA)はカルボキシル基とアミノ基を併せ持つ芳香族化合物である.芳香環上に2つ以上の官能基を有する化合物は医薬品のビルディングブロックとしてだけでなくポリマーの原料としても有望である.特にパラ位に置換基を有する場合は直鎖上の芳香族ポリマーとなり,高耐熱,高強度,高耐久性,そして耐薬品性等,産業上有用な特徴を付与することができる.4-ABAはこのような構造的特徴をもつため高機能な芳香族ポリマーの原料となりうる.4-ABAは代謝経路上で葉酸の前駆体であり,コリスミ酸からpabAB遺伝子がコードする4-Amino-4-deoxychorismate synthase,およびpabC遺伝子がコードする4-Amino-4-deoxychorismate lyaseによる2段階の反応で生産可能である.これまでSaccharomyces cerevisiaeや大腸菌での生産報告例があるが,その生産濃度は十分ではなかった.RITEの筆者らはスクリーニングを行い,Corynebacterium callunae由来のpabABXenorhabdus bovienii由来のpabCを用いた場合に最も高い生産濃度を示すことを見いだした.これらをプラスミドで導入し,さらにシキミ酸経路の遺伝子の発現強化と,副生経路遺伝子の破壊により4-ABA高生産株を構築した.この株は48時間で43 g/Lの4-ABA生産に至った(21)21) T. Kubota, A. Watanabe, M. Suda, T. Kogure, K. Hiraga & M. Inui: Metab. Eng., 38, 322 (2016).

フェノールは殺菌作用を示す薬剤として古くから使用されてきた.また,フェノールとホルムアルデヒドを原料として熱硬化性のフェノール樹脂を合成することができる.このフェノール樹脂は優れた耐熱性や機械特性,電気絶縁性,耐燃性などの特徴を示すため,自動車部品,回路基板,そして木材加工接着材など広範な用途に適用できる.フェノールは単純な構造だが,それ自体が強力なタンパク質変性作用を示すためこれまで微生物を用いた発酵生産研究はほとんど進んでいなかった.フェノールはチロシンを経由した生産も可能だが,コリスミ酸から4-ヒドロキシ安息香酸(4-HBA)を中間体として2段階でも生産可能である.それぞれubiC遺伝子がコードするChorismate lyaseとdca遺伝子がコードする4-Hydroxybenzoate decarboxylaseによって触媒される.RITEではDAHP synthaseをコードするaroG, P. putida由来のubiC, E. coli由来のdcaを高発現させることでグルコースからフェノールを24時間で0.8 g/L生産できることを報告した(22)22) H. Yukawa & M. Inui: US patent 2013/0273624 A1 (2013)..現在,フェノール生産技術に関してさらなる改良にも成功しており,早期商用化を目指した応用研究を進めている.また,フェノールの前駆体である4-HBA自体も液晶ポリマーの原料として需要が見込まれる.RITEでは4-HBAを高濃度に生産させる技術の開発にも成功している(論文準備中).

プロトカテク酸はベンゼンの3置換体でこちらもポリマー原料として有望であり,また,医薬品や香料の原料としても用いられる.4-HBAの芳香環上に新たに水酸基を一つ導入することで生産可能である.神戸大学のOkaiらはコリネ型細菌内在のpobA遺伝子がコードする4-Hydroxybenzoate 3-hydroxylaseを利用し,大腸菌由来のubiCをコリネ型細菌のフェニルアラニン高生産株(ATC C 21420株)に発現させることでプロトカテク酸生産を試みた.その結果,96時間で1.1 g/Lのプロトカテク酸が培養液中に蓄積した(23)23) N. Okai, T. Miyoshi, Y. Takeshima, H. Kuwahara, C. Ogino & A. Kondo: Appl. Microbiol. Biotechnol., 100, 135 (2015).

ビオラセインは青紫色を呈し,バイオ色素(染色剤)として使用できるだけでなく,抗腫瘍薬や抗ウイルス薬となり得る重要な生理活性をもつことが知られている.ビオラセインは2分子のトリプトファンからなる主骨格をもつが,コリネ型細菌によるトリプトファンの高生産は信州大学のIkedaらによる研究(24)24) M. Ikeda & R. Katsumata: Appl. Environ. Microbiol., 65, 2497 (1999).によって古くから知られているため,ビオラセインも高生産が期待できる.中国・Dalian Polytechnic大学のSunらはトリプトファン高生産株にChromobacterium violaceum由来のvio遺伝子群をプラスミドで導入した.培養条件などの最適化により115時間で5.4 g/Lのビオラセインの生産に成功した(25)25) H. Sun, D. Zhao, B. Xiong, C. Zhang & C. Bi: Microb. Cell Fact., 15, 148 (2016).

ピルビン酸から派生する化学品

グルコースからピルビン酸までは嫌気的に進行できるが,大量のグルコースを代謝するにはNADの枯渇が問題となる.そのため効率よく目的物質を生産させるためにはNADの再生がキーポイントとなる.以下に紹介した化学品は生産経路上でNADHを消費してNADを再生できるよう代謝設計されているため,高生産が達成できている(図5図5■ピルビン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子).

図5■ピルビン酸から派生する化学品とその用途,それぞれの酵素をコードする遺伝子

ldhA: Lactate dehydrogenase, alaD: Alanine dehydrogenase, ilvBN: Acetohydroxy acid synthase, ilvC: Acetohydroxy acid isomeroreductase, ilvD: Dihydroxy acid dehydratase, leuDH: Leucine dehydrogenase.

乳酸の重合体であるポリ乳酸(PLA)はポリエステルの1種で,現在最も研究が進んでいる生分解性プラスチックである.しかし耐久性や耐熱性が低く,用途に制限があった.生体内ではL-乳酸が主流であるため,発酵法ではこれまでポリ-L-乳酸に関する研究がほとんどであった.しかしポリL-乳酸とポリD-乳酸とを等量混合したステレオコンプレックス型ポリ乳酸(SC-PLA)は単体ポリマーよりも高い融点をもつことが知られており,純粋なD-乳酸生産の需要が高まった.乳酸は石油からも合成できるが,この合成物はラセミ体となるため,SC-PLAの合成には適さない.光学的に純粋なD-またはL-乳酸生産は微生物発酵が得意とするところである.

ピルビン酸をL-乳酸に変換する内在性酵素を破壊し,D-乳酸選択的に生成する遺伝子を導入することで光学的に純粋なD-乳酸の生産が可能である.RITEのTsugeらは解糖系上流の5つの遺伝子を高発現させ,さらにLactobacillus delbrueckii由来のLactate dehydrogenaseをコードする遺伝子をプラスミドで発現させることで,D-乳酸の生産株を構築した.この株を用いて嫌気条件下でRITEバイオプロセスを行うと,80時間で195 g/LのD-乳酸が生産できた(26)26) Y. Tsuge, S. Yamamoto, N. Kato, M. Suda, A. A. Vertès, H. Yukawa & M. Inui: Appl. Microbiol. Biotechnol., 99, 4679 (2015).

アラニンは炭素数3の光学活性体として医薬原料としての利用価値がある.また,甘味を示すため食品添加物としても使用されている.グルコースからの発酵生産例は大腸菌を用いた114 g/L(48 h)の生産報告例がある(27)27) X. Zhang, K. Jantama, J. C. Moore, K. T. Shanmugam & L. O. Ingram: Appl. Microbiol. Biotechnol., 77, 355 (2007)..ピルビン酸に対してアミノ基の転移反応によりアラニンを生成できるが,コリネ型細菌内在性のアミノ基転移酵素はアミノ基供与体としてグルタミン酸またはアスパラギン酸を要求する(28)28) T. Jojima, M. Fujii, E. Mori, M. Inui & H. Yukawa: Appl. Microbiol. Biotechnol., 87, 159 (2010)..そこでRITEのYamamotoらはLysinibacillus sphaericus由来のAlanine dehydrogenaseを利用した.この酵素はNADHを利用して無機アンモニアを直接ピルビン酸に導入することができ,これによりアミノ基供与体としてのグルタミン酸またはアスパラギン酸を必要とせず,かつNADの再生が可能となった.この酵素をコードする遺伝子をプラスミドで高発現させ,解糖系上の4つの遺伝子の発現強化およびピルビン酸,ホスホエノールピルビン酸を消費する酵素をコードする遺伝子をそれぞれ削除することによりアラニン高生産株を作製した.この株を用いて嫌気条件下,RITEバイオプロセスを行うことで,48時間で216 g/Lのアラニン生産に成功した(29)29) S. Yamamoto, W. Gunji, H. Suzuki, H. Toda, M. Suda, T. Jojima, M. Inui & H. Yukawa: Appl. Environ. Microbiol., 78, 4447 (2012).

バリンは分岐鎖アミノ酸の1種で,医薬品や化粧品の原料のほか,食品または飼料添加物としての需要もある.また,筋肉の維持および増量に重要な役割をすることが示唆されている.バリンはピルビン酸から4段階の酵素反応によって作られる.ピルビン酸からTCAサイクルおよび酢酸へと流れる経路を遮断し,ピルビン酸の供給を増やした株を使用することで,26 g/Lのバリン生産が達成できたが,この株は生産時に酢酸またはエタノールを要求した.そこでStuttgart大学のBuchholzらはピルビン酸をAcetyl-CoAに変換する酵素をコードする遺伝子のプロモーターを変更し,発現量を調節することで要求性の回避を試みた.この株にプラスミドでバリン生産酵素遺伝子を発現させることで,87 g/Lもの高いバリンの蓄積を示した(30)30) J. Buchholz, A. Schwentner, B. Brunnenkan, C. Gabris, S. Grimm, R. Gerstmeir, R. Takors, B. J. Eikmanns & B. Blombach: Appl. Environ. Microbiol., 79, 5566 (2013).

一方,全く別のアプローチでバリンの高生産を達成した報告もある.内在性のバリン生合成経路ではNADHではなくNADPHが消費される.そこでRITEのHasegawaらは,まず2-アセト乳酸を2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸に変換する酵素Acetohydroxy acid isomeroreductase(AHAIR, ilvCがコードする)に着目し,補酵素特性の変換を試みた.補酵素としてNADHまたはNADPHを要求する他種の還元酵素のアミノ酸配列をそれぞれ比較することで置換すべき部位を推定し,実際にAHAIRに3カ所のアミノ酸置換を導入することにより反応時に要求する補酵素をNADPHからNADHに改変することに成功した.次にアラニン生産の場合と同じ発想で,グルタミン酸を消費するアミノ基転移酵素の代わりにNADHと無機アンモニアを利用する酵素(leuDHがコードする)を採用した.これによりグルコースからバリンまでの代謝経路でNADがうまく再生されるようになり,グルコース消費量とバリン生産量が劇的に改善された.このことは,NADの再生(NADH/NAD比のバランス)が嫌気条件下でのバリン生産において主たる律速要因であったことを強く示唆している.さらに,アナログ耐性株を解析することでピルビン酸を2-アセト乳酸に変換する酵素(ilvBNがコードする)に対するフィードバック阻害を回避できるアミノ酸置換を見いだした.これらの改良を加えた生産株を構築し,上述と同様に嫌気条件下でRITEバイオプロセスを行うことにより48時間で227 g/Lという高生産を達成した(31)31) S. Hasegawa, K. Uematsu, Y. Natsuma, M. Suda, K. Hiraga, T. Jojima, M. Inui & H. Yukawa: Appl. Environ. Microbiol., 78, 865 (2012).

おわりに

今回示した多くの化学品の生産事例から,コリネ型細菌の工業用生産宿主としての潜在能力の高さをうかがうことができる(表1表1■本稿で紹介した化学品のまとめ).本稿では主に世界の研究機関から発表された論文報告をもとにさまざまな化学品の生産について,われわれ筆者らの研究グループであるRITEの研究事例も含めて,近年の研究動向を紹介した.しかし実際はコリネ型細菌を用いた生産技術開発の発展は,菌の発見も含めて協和醱酵工業株式会社(現 協和発酵キリン株式会社)や味の素株式会社などの大手発酵関連企業による長年の貢献によるところが大きい.これによって現在では有用物質の発酵生産における同菌の産業的価値はゆるぎないものとなっている.工業用生産宿主としての有利な特徴を生かし,今後も研究機関と企業それぞれにおいて新たな化学品生産への挑戦は続くと考えられる.特に細胞に対して強毒性を示す化学品や,より複雑な分子構造またはより長い代謝経路を必要とする化学品の生産技術開発が進むと期待している.

表1■本稿で紹介した化学品のまとめ
中間体化学品主な用途生産濃度(g/L)時間(h)報告機関発表年
グルタミン酸GABAポリマー38.672KAIST2015
オルニチン栄養補助剤51.540KAIST2015
シトルリン栄養補助剤8.585Nanjing工業大学2015
アルギニン栄養補助剤92.572KAIST2014
プロリン飼料添加物12.730Bielefeld大学2013
プトレシンポリマー19.034Bielefeld大学2012
リジンカダベリンポリマー88.050Braunschweig工科大学2014
ピペコリン酸医薬原料1.8不明Bielefeld大学2016
5-アミノ吉草酸ポリマー33.1150KAIST2016
ホスホエノールピルビン酸シキミ酸医薬原料141.248RITE2016
4-アミノ安息香酸ポリマー43.148RITE2016
フェノールポリマー0.824RITE2013
プロトカテク酸ポリマー1.196神戸大学2015
ビオラセイン医薬原料5.4115Dalian Polytechnic大学2016
ピルビン酸D-乳酸ポリマー195.480RITE2015
アラニン医薬原料216.448RITE2012
バリン飼料添加剤227.348RITE2012

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