解説

D-アミノ酸残基を含むペプチドおよびタンパク質:新規精密検出法の開発タンパク質に含まれるD-アミノ酸の検出方法

D-Amino Acid Residues in Peptides and Proteins—Development of Novel Precise Detection System: Detection Method of D-Amino Acids in Proteins

Tetsuya Miyamoto

宮本 哲也

北里大学薬学部生体分子解析学教室

Hiroshi Homma

本間

北里大学薬学部生体分子解析学教室

Published: 2017-12-20

生体のタンパク質を構成するアミノ酸はすべてL体であるというのが,科学の常識であった.しかし近年,加齢や老化に伴って,種々のタンパク質中のアミノ酸残基が非酵素的に異性化し,D-アミノ酸残基が形成されることが明らかとなっている.さらに,これらは疾病との関連が指摘されており,新規のバイオマーカーとしても期待されている.しかしながら,ペプチドやタンパク質中のD-アミノ酸残基を正確に検出するのは,一筋縄ではいかない.本稿では,ペプチドおよびタンパク質中に含まれるD-アミノ酸残基の検出方法について,一般的な手法から最新の手法について解説する.

遊離型D-アミノ酸とタンパク質結合型D-アミノ酸

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸には,グリシンを除いてD体およびL体の光学異性体が存在する.このうち生体を構成するアミノ酸はL体のみであると考えられてきた.例外的に,リボソーム非依存的に合成される細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカンやペプチド性抗生物質にD-アミノ酸残基が含まれることは古くから知られていた.しかし,近年の微量分析技術や光学分割技術の進歩に伴って,微生物,植物および動物に至るさまざまな生物種において,予想以上に多くのD-アミノ酸が遊離型,あるいはペプチドおよびタンパク質結合型として存在していることが明らかとなってきた.

遊離型としては,D-セリン(D-Ser)とD-アスパラギン酸(D-Asp)がヒトを含めた哺乳類のさまざまな組織において高濃度で存在しており,重要な生理機能を担っていることが明らかとなっている.D-Serはとりわけ,大脳皮質や海馬に高濃度で存在しており,L-グルタミン酸(L-Glu)のコアゴニストとしてイオンチャネル型受容体であるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のグリシン結合部位に結合してNMDA受容体を活性化し,神経伝達を調節していることが明らかとなっている(1, 2)1) T. Nishikawa: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3169 (2011).2) H. Wolosker: Mol. Neurobiol., 36, 152 (2007)..NMDA受容体は,学習や記憶といった高次脳機能において非常に重要な働きを有しており,統合失調症をはじめとする精神疾患との結びつきが非常に強いと考えられている.そのため,脳内におけるD-Serの生理機能および分子機構の解明,引いては臨床研究が進められている.D-Aspは脳,松果体,下垂体および精巣などに多量に存在しており,たとえば,松果体ではメラトニン合成および分泌の抑制(3, 4)3) Y. Takigawa, H. Homma, J. A. Lee, T. Fukushima, T. Santa, T. Iwatsubo & K. Imai: Biochem. Biophys. Res. Commun., 248, 641 (1998).4) S. Ishio, H. Yamada, M. Hayashi, S. Yatsushiro, T. Noumi, A. Yamaguchi & Y. Moriyama: Neurosci. Lett., 249, 143 (1998).,下垂体前葉ではプロラクチンの分泌促進(5, 6)5) Z. Long, J. A. Lee, T. Okamoto, N. Nimura, K. Imai & H. Homma: Biochem. Biophys. Res. Commun., 276, 1143 (2000).6) G. D’Aniello, A. Tolino, A. D’Aniello, F. Errico, G. H. Fisher & M. M. Di Fiore: Endocrinology, 141, 3862 (2000).,下垂体後葉ではオキシトシン・バソプレッシンの産生調節(7)7) H. Wang, H. Wolosker, J. Pevsner, S. H. Snyder & D. J. Selkoe: J. Endocrinol., 167, 247 (2000).,精巣ではテストステロン産生の亢進(8~10)8) Y. Nagata, H. Homma, J. A. Lee & K. Imai: FEBS Lett., 444, 160 (1999).9) Y. Nagata, H. Homma, M. Matsumoto & K. Imai: FEBS Lett., 454, 317 (1999).10) M. M. Di Fiore, A. Santillo, S. Falvo, S. Longobardi & G. C. Baccari: Int. J. Mol. Sci., 17, 1127 (2016).など,種々のホルモンやステロイドの産生調節を担っている(11)11) M. Katane & H. Homma: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3108 (2011).

一方,ペプチドおよびタンパク質結合型のD-アミノ酸に関しても,研究が進展している(12, 13)12) L. Bai, S. Sheeley & J. V. Sweedler: Bioanal. Rev., 1, 7 (2009).13) C. Ollivaux, D. Soyez & J. Y. Toullec: J. Pept. Sci., 20, 595 (2014)..結合型のD-アミノ酸は,その生成過程により3種類に分けることができる.1つ目は,ペプチドあるいはタンパク質として合成された後,酵素的にアミノ酸残基が異性化されたもの,2つ目は,非酵素的に異性化されたものがある.前者の例として,クモ毒であるω-アガトキシンは46番目のSer(14)14) S. D. Heck, C. J. Siok, K. J. Krapcho, P. R. Kelbaugh, P. F. Thadeio, M. J. Welch, R. D. Williams, A. H. Ganong, M. E. Kelly, A. J. Lanzetti et al.: Science, 266, 1065 (1994).,イモ貝類が分泌するコノトキシンでは44番目のフェニルアラニン(Phe)(15)15) O. Buczek, D. Yoshikami, G. Bulaj, E. C. Jimenez & B. M. Olivera: J. Biol. Chem., 280, 4247 (2005).,カモノハシが生産する蹴爪毒であるDLP-2(defensin-like peptide-2)(16)16) C. M. Whittington, J. M. Koh, W. C. Warren, A. T. Papenfuss, A. M. Torres, P. W. Kuchel & K. Belov: J. Proteomics, 72, 155 (2009).では2番目のメチオニン(Met)が特異的にD体となっている.これらのD-アミノ酸残基は,上述のようにイソメラーゼによる酵素的な異性化で生じ,それぞれペプチドの受容体への結合と生理活性発現に不可欠である.一方,後者の例として,老化組織あるいは病変組織中のさまざまなタンパク質にD-アミノ酸残基が含まれており,最近注目されている.たとえば,水晶体のα-クリスタリン(17, 18)17) N. Fujii, Y. Kaji, N. Fujii, T. Nakamura, R. Motoie, Y. Mori & T. Kinouchi: Chem. Biodivers., 7, 1389 (2010).18) N. Fujii, Y. Kaji & N. Fujii: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3141 (2011).,脳内のβ-アミロイド(19)19) A. E. Roher, J. D. Lowenson, S. Clarke, C. Wolkow, R. Wang, R. J. Cotter, I. M. Reardon, H. A. Zurcher-Neely, R. L. Heinrikson, M. J. Ball et al.: J. Biol. Chem., 268, 3072 (1993).および動脈や皮膚のエラスチン(20~22)20) J. T. Powell, N. Vine & M. Crossman: Atherosclerosis, 97, 201 (1992).21) N. Fujii, S. Tajima, N. Tanaka, N. Fujimoto, T. Takata & T. Shimo-Oka: Biochem. Biophys. Res. Commun., 294, 1047 (2002).22) S. Ritz-Timme, I. Laumeier & M. J. Collin: Br. J. Dermatol., 149, 951 (2003).などの特定部位にD-Asp残基が見いだされており,それぞれ白内障,アルツハイマー病,動脈硬化および皮膚硬化との関連が指摘されている.これらのD-Asp残基は,加齢による非酵素的な異性化で生成されるとされ,経年的にD-Asp残基が増加していく.これによって,タンパク質本来の構造,あるいは機能を失うことが,種々の疾患の一因ではないかと考えられている.このように,ペプチドおよびタンパク質結合型のD-アミノ酸は,加齢を避けることのできないわれわれにとって,健康維持や疾患の治療に密接に関係するといえる.

3つ目として,D-アミノ酸が通常のタンパク質合成反応によって取り込まれる可能性も考えることができる.D-アミノ酸がtRNAと結合すること(23~25)23) R. Calendar & P. Berg: J. Mol. Biol., 26, 39 (1967).24) J. Soutourina, P. Plateau & S. Blanquet: J. Biol. Chem., 275, 32535 (2000).25) T. Takayama, T. Ogawa, M. Hidaka, Y. Shimizu, T. Ueda & H. Masaki: Biosci. Biotechnol. Biochem., 69, 1040 (2005).,さらにはin vitroにおいて,翻訳系でD-アミノ酸残基を含むペプチドの合成が可能であることが報告されている(26, 27)26) Y. Goto, H. Murakami & H. Suga: RNA, 14, 1390 (2008).27) T. Fujino, Y. Goto, H. Suga & H. Murakami: J. Am. Chem. Soc., 135, 1830 (2013)..また,種々の生物から抽出した可溶性高分子画分中から有意の結合型D-アミノ酸が検出されたという報告(28)28) Y. Nagata, T. Fujiwara, K. Kawaguchi-Nagata, Y. Fukumori & T. Yamanaka: Biochim. Biophys. Acta, 1379, 76 (1998).があったことから,タンパク質は,必ずしもL-アミノ酸のみで構成されているとは限らないと考えられた.そこで,精製したタンパク質中にD-アミノ酸残基が含まれるかどうかを精査する必要があった.

D-アミノ酸残基の検出法

ペプチドおよびタンパク質中のD-アミノ酸残基の検出には,いくつかの手法が報告されており,アミノ酸配列に依存的な分析法と非依存的な分析法に大別される.前者は,タンパク質をまずトリプシンなどのプロテアーゼによって酵素消化するのが一般的であり,これに続いて,得られたペプチド断片をエドマン分解してD-アミノ酸残基を検出する方法(29)29) T. Iida, H. Matsunaga, T. Santa, T. Fukushima, H. Homma & K. Imai: J. Chromatogr. A, 813, 267 (1998).,あるいは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(30)30) Y. Sadakane, T. Yamazaki, K. Nakagomi, T. Akizawa, N. Fujii, T. Tanimura, M. Kaneda & Y. Hatanaka: J. Pharm. Biomed. Anal., 30, 1825 (2003).やタンデム質量分析計(MS/MS)(31~33)31) H. Maeda, T. Takata, N. Fujii, H. Sakaue, S. Nirasawa, S. Takahashi, H. Sasaki & N. Fujii: Anal. Chem., 87, 561 (2015).32) S. V. Serafin, R. Maranan, K. Zhang & T. H. Morton: Anal. Chem., 77, 5480 (2005).33) E. Sachon, G. Clodic, C. Galanth, M. Amiche, C. Ollivaux, D. Soyez & G. Bolbach: Anal. Chem., 81, 4389 (2009).を用いてD-アミノ酸残基を含むペプチドを選択する方法がある.たとえば,HPLCを用いる場合は,D-アミノ酸残基を含むペプチドがすべてL-アミノ酸からなるペプチドと保持時間が異なることを利用する.また,MS/MSを用いる場合,D-アミノ酸残基を含むペプチドとすべてL-アミノ酸からなるペプチドとで生じるフラグメントイオンが異なることを利用して同定を行う.したがって,これらの解析には,すべてL-アミノ酸からなるペプチドの標品が必要となる.そのほかにも,最初の酵素消化においてD-アミノ酸残基を特異的に認識して切断する酵素を用いて,これに続く2次元電気泳動およびLC-MS/MSにより同定する方法も報告されている(34)34) K. Sakai-Kato, T. Kinouchi, H. Fujii, K. Imai & N. Utsunomiya-Tate: Amino Acids, 36, 125 (2009)..ただし,酵素の基質特異性から解析可能なアミノ酸の種類は限られる.一度,D-アミノ酸残基を含む部位が特定できた場合は,この配列を特異的に認識する抗体を用いて定性的に検出することが可能となる(35, 36)35) D. Yang, N. Fujii, T. Takata, T. Shimo-Oka, S. Tajima, Y. Tanaka & T. Saito: Mol. Vis., 9, 200 (2003).36) K. Aki, N. Fujii, T. Saito & N. Fujii: Mol. Vis., 18, 996 (2012)..これによって,D-アミノ酸含有タンパク質の,細胞あるいは組織内における局在を調べることができる.

一方で,後者は,タンパク質を酸加水分解して,得られた遊離のアミノ酸についてD体とL体を光学分割することで,タンパク質にどの程度の割合でD-アミノ酸残基が含まれていたかを定量する方法である.したがって,タンパク質を構成するアミノ酸すべての分析に適応可能である.このような検出法は,古生物学における年代測定(37)37) G. A. Goodfriend: Nature, 357, 399 (1992).,歯の象牙質を用いた身元不明死体の年齢推定(38)38) S. Otani & T. Yamamoto: J. Forensic Sci., 55, 1630 (2010).,環境試料中のアミノ酸の測定(39)39) 工藤潤也,高野淑識,金子竹男,小林憲正:分析化学,52, 35 (2003).などに幅広く一般的に利用されている.この方法の詳細については後述する.以上のように,D-アミノ酸残基を正確に検出するのは,そう容易ではなく,いくつかの技術を組み合わせる必要がある.

0時間外挿法によるD-アミノ酸残基の検出

筆者らは,アミノ酸配列に関係なくD-アミノ酸残基が検出できる,熱塩酸による加水分解物を光学分割して得られたD-アミノ酸含量を加水分解時間の0時間に外挿して求める方法(以降,0時間外挿法と呼ぶ)を用いた.この方法では,加水分解による経時的な遊離アミノ酸のラセミ化の分を取り除けば,タンパク質の真のD-アミノ酸含量が得られるという前提がある.筆者らが,実際に行った分析方法の概要を図1図1■0時間外挿法によるD-アミノ酸残基の解析に示した.まず,6 M塩酸の気相中,110°Cでタンパク質を加水分解し,得られたアミノ酸をNBD-F(4-fluoro-7-nitrobenzofurazan)を用いて蛍光誘導体化した.蛍光誘導体化されたアミノ酸(NBD-アミノ酸)を,HPLCを用いて逆相系のODS(オクタデシルシリル化シリカゲル)カラムにより各種のアミノ酸へと分離し,それぞれのアミノ酸を分取した.続いて,得られた画分をそれぞれ,キラルカラムを用いてD体およびL体へと分離することで,定量を行った.各加水分解処理時間に得られた総アミノ酸量に対するD-アミノ酸量の割合(D/(DL))をプロットして,0時間へ直線回帰した切片がタンパク質に含まれているD-アミノ酸含量とした.

図1■0時間外挿法によるD-アミノ酸残基の解析

タンパク質を塩酸加水分解し,得られたアミノ酸を蛍光誘導体化する.蛍光誘導体化アミノ酸を,HPLCを用いてODSカラムで各種アミノ酸へと分離し,続いて,キラルカラムにより,D体とL体へと分離する.各加水分解処理時間に得られたD/(DL)をプロットし,0時間へ直線回帰することでD-アミノ酸含量を求める.

最初に,市販されている遊離L-アミノ酸を用いてモック実験を行った.得られた0時間外挿値(D-アミノ酸含量)は,ほぼ0%であるか,あるいは,製品の実測値と一致していることを確認した(40)40) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 38, 1377 (2010).図2図2■加水分解処理中のD-アミノ酸含量の経時変化).続いて,大腸菌体内で合成し,精製した大腸菌β-ガラクトシダーゼにおいて,D-アミノ酸残基が含まれるかどうかを,モック実験と同じ種類のアミノ酸について解析を行った. ただし,β-ガラクトシダーゼの精製は,Hisタグを利用したアフィニティークロマトグラフィーを用いた.仮に,タンパク質中にD-アミノ酸残基が含まれていた場合,そのタンパク質の機能や構造に影響を与えている可能性が考えられるため,これによる精製過程での排除を防ぐためである. 0時間外挿法による解析の結果,驚くことに,β-ガラクトシダーゼには,0.5~4%程度のD-アミノ酸残基が含まれているという結果が再現性良く得られた(40)40) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 38, 1377 (2010).図2図2■加水分解処理中のD-アミノ酸含量の経時変化).さらに,40残基からなるペプチド(ヒト由来のウロコルチン)を大腸菌体内で合成し,同様の精製法で得られたサンプルからも,0.5~1.5%のD-アミノ酸が再現性良く検出された(40)40) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 38, 1377 (2010)..加水分解処理中のアミノ酸のラセミ化反応速度を反映する回帰直線の傾きは,遊離L-アミノ酸における傾きとタンパク質加水分解における傾きとでほぼ一致していたため(図2図2■加水分解処理中のD-アミノ酸含量の経時変化),ペプチドから遊離したL-アミノ酸のラセミ化の分は,0時間へ外挿することにより取り除かれていることを実際に確認した.つまり,0時間外挿値には,加水分解処理により遊離したL-アミノ酸のラセミ化によって生じたD-アミノ酸は含まれず,タンパク質中に含まれるD-アミノ酸残基の含量を反映しているのではないかと考えられた.

図2■加水分解処理中のD-アミノ酸含量の経時変化

遊離L-アミノ酸およびβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)の回帰直線.文献40をもとに改変.

0時間外挿法の問題点

このように,大腸菌体内で合成されたタンパク質に相当量のD-アミノ酸が含まれている可能性が明らかになったため,筆者らは,0時間外挿法により得られるD-アミノ酸含量には,分析過程におけるアーティファクト(人工的に生成するD-アミノ酸)が含まれる余地がないかをさらに検証した.分析過程において最も異性化が起きやすいと考えられるのは,タンパク質の塩酸加水分解処理のステップである.塩酸加水分解処理によりペプチドおよびタンパク質から遊離したアミノ酸にはラセミ化反応が起こるが,前述したように,このラセミ化反応によって生成したD-アミノ酸の分は0時間外挿することによって解消できているはずである.そこで,加水分解の初期にペプチドからアミノ酸が遊離する前のペプチドの状態でアミノ酸の異性化(D-アミノ酸残基の生成)が起きる可能性を検証した.

この検証のために,最も単純なモデルであるジペプチド(L-Ala-L-Phe, L-Phe-L-Ala)を用いて,一過的にジペプチドエナンチオマー(D体を含むジペプチド)が生じるかどうかを調べた(41)41) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Watanabe, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 48, 2683 (2016)..アミノ酸が遊離する前のペプチドを捉えるために,短時間(0.5~2時間)の塩酸加水分解処理を行った後,NBD-Fを用いて蛍光誘導体化し,ODSカラムを用いたHPLCにより各ジペプチドジアステレオマーを分離し,続いてキラルカラムで各々のジペプチドエナンチオマーに分離して,定量を行った.

L-Ala-L-Pheに短時間の加水分解処理をした試料をODSカラムにより分析すると,遊離したAlaとPhe,未分解のL-Ala-L-Phe,および配列が反転したL-Phe-L-Alaが検出された(ジペプチドを塩酸加水分解処理すると,ジケトピペラジンという環状構造を介して配列が反転することが知られている(42)42) S. Steinberg & J. L. Bada: Science, 213, 544 (1981).).さらに,微量ではあるものの,ジペプチドジアステレオマー(D-Ala-L-PheあるいはL-Ala-D-Phe)が検出された.これに加えて,配列が反転したジペプチド(L-Phe-L-Ala)に対するジアステレオマー(D-Phe-L-AlaあるいはL-Phe-D-Ala)が極めて微量ではあるが確認された.

さらに,上記のジペプチドジアステレオマー画分をキラルカラムを用いて光学分割すると,その大部分がL-Ala-D-Pheであり,僅かではあるがD-Ala-L-Pheも検出された.また,配列が反転したジペプチド(L-Phe-L-Ala)に対するジアステレオマー(D-Phe-L-AlaあるいはL-Phe-D-Ala)画分中にも,D-Phe-L-AlaとL-Phe-D-Alaがそれぞれ生成されていることが確認された.図3図3■L-Ala-L-Pheの加水分解におけるジペプチド異性体の生成経路に上記ジペプチド異性体の生成経路をまとめた.なお,L-Phe-L-Alaの加水分解処理においても同様の結果が得られ,主にC末端が異性化したL-Phe-D-Alaが検出された.以上より,塩酸加水分解処理中にアミノ酸が遊離する前のペプチドの状態でペプチドの異性化,つまりD-アミノ酸残基の生成が起きていることが明らかとなった.

図3■L-Ala-L-Pheの加水分解におけるジペプチド異性体の生成経路

L-Ala-L-Pheは,主にC末端が異性化したL-Ala-D-Pheとなる.さらに,反転によりD-Phe-L-Alaが生じる.一方,L-Ala-L-Pheの反転により生じたL-Phe-L-Alaも主にC末端が異性化したL-Phe-D-Alaとなる.さらに,反転によりD-Ala-L-Pheが生じる.したがって,D-Phe生成量がD-Ala生成量よりも多くなる.なお,ボックスの大きさは,各ペプチドの割合を反映している.文献41をもとに改変.

さらに,L-Ala-L-PheおよびL-Phe-L-Alaに対して0時間外挿法を用いて解析を行うと,0時間外挿値は0を示さず,C末端側にあるアミノ酸残基の値のほうがより大きい値を示した.これらの結果は,前述したペプチドエナンチオマー分析の結果とよく一致している(41)41) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Watanabe, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 48, 2683 (2016)..すなわち,加水分解処理において,ペプチド中のアミノ酸殘基は,C末端側でより異性化が起きやすく,したがって, 0時間外挿値には,加水分解処理中にペプチド内で生成された人工的なD-アミノ酸残基も含まれてしまうことが明らかとなった.

重塩酸加水分解を用いたD-アミノ酸残基の検出法の開発

前述したように,0時間外挿法では加水分解処理時にペプチド内で生成した人工的なD-アミノ酸も検出されてしまうため,ペプチド・タンパク質に含まれる真のD-アミノ酸含量を正確に定量することができない.遊離のアミノ酸であれ,ペプチド・タンパク質に含まれるアミノ酸残基であれ,アミノ酸がラセミ化,あるいは異性化する際には,α水素がいったん外れ,溶媒である水中の水素が再び結合するという過程を経る.そこで,古くにはManning(43)43) J. M. Manning: J. Am. Chem. Soc., 92, 7449 (1970).が加水分解に3HCl(トリチウム標識塩酸)中で,Goodlettら(44)44) D. R. Goodlett, P. A. Abuaf, P. A. Savage, K. A. Kowalski, T. K. Mukherjee, J. W. Tolan, N. Corkum, G. Goldstein & J. B. Crowther: J. Chromatogr. A, 707, 233 (1995).やLiardonら(45)45) R. Liardon, S. Ledermann & U. Ott: J. Chromatogr. A, 203, 385 (1981).は重塩酸(DCl)中で加水分解を行うことで,加水分解中にラセミ化(または異性化)したアミノ酸をトリチウムや重水素で標識した.ペプチド・タンパク質の加水分解を重塩酸の気相中で行うと,ラセミ化(または異性化)したアミノ酸はα水素が重水素で置換されるため,分子質量が1大きくなる(図4図4■重塩酸加水分解による人工的D-アミノ酸の重水素ラベル).一方で,ペプチド・タンパク質にもともと含まれているD-アミノ酸残基の多くは,基準の分子質量のD-アミノ酸として検出される(図4図4■重塩酸加水分解による人工的D-アミノ酸の重水素ラベル).筆者らはこの原理に基づいて,重塩酸加水分解とアミノ酸光学分割のためにキラルカラムを備えたLC-MS/MSを組み合わせた分析システムを構築した.すなわち,タンパク質を重塩酸気相中で加水分解し,生じたアミノ酸をNBD-Fによる蛍光誘導体化後,ODSカラムを用いて各アミノ酸に分離・回収し,キラルカラムを備えたLC-MS/MSに導入するシステムである.実際に,化学合成ペプチドD-Ala-L-Ala-L-Alaからペプチド内在性のD-Alaと加水分解により生じた人工的なD-Alaとを区別することができ,本システムにより内在性のD-アミノ酸残基を正確に定量できることを確認した(46)46) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Chem. Biodivers., 7, 1644 (2010).

図4■重塩酸加水分解による人工的D-アミノ酸の重水素ラベル

タンパク質の重塩酸加水分解により,一部のアミノ酸残基は遊離した後,あるいはペプチド中でα水素が重水素(D)に置換されるため,分子質量が1大きくなる.一方,タンパク質内在性のD-アミノ酸残基の分子質量は変わらない.

続いて,前述のように0時間外挿法によりD-アミノ酸が含まれていると判断されていたβ-ガラクトシダーゼ(大腸菌体内で合成後,精製したもの)を試料として,本方法による解析を行った.試料を6 M重塩酸気相中,110°Cで加水分解処理し,3種類のD-アミノ酸(Ala, Leu, Phe)を対象に測定を行った.その結果,各D-アミノ酸は分子質量+1のみで検出され,基準の分子質量では検出されなかった(47)47) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: J. Pharm. Biomed. Anal., 116, 105 (2015)..したがって,試料のβ-ガラクトシダーゼには内在性のD-アミノ酸残基は含まれていないことが明らかとなった.前述した0時間外挿法を用いて得られた値は,すべて加水分解処理によって生じた人工的なD-アミノ酸であったと考えられる.

新規D-アミノ酸残基検出法の応用

次に,タンパク質中にD-アミノ酸残基を含有すると示唆されていたニワトリ卵白由来のオボアルブミンを試料として,本分析システムを用いて実際にD-アミノ酸残基が含まれているかどうかを実験的に検証した.オボアルブミンは,卵白タンパク質の主要成分であり,未受精卵の保存中および受精卵の発生過程で熱安定型のS-オボアルブミンになることが知られている(48~50)48) M. B. Smith & J. F. Back: Nature, 193, 878 (1962).49) M. B. Smith & J. F. Back: Aust. J. Biol. Sci., 18, 365 (1965).50) H. Hatta, M. Nomura, N. Takahashi & M. Hirose: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 2021 (2001)..熱安定型S-オボアルブミンへの遷移の原因は,卵殻からの二酸化炭素の放出によって,pHが上昇することにあると言われており,アルカリ処理をすればin vitroにおいてもS-オボアルブミンが形成される(49, 50)49) M. B. Smith & J. F. Back: Aust. J. Biol. Sci., 18, 365 (1965).50) H. Hatta, M. Nomura, N. Takahashi & M. Hirose: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 2021 (2001)..熱安定型S-オボアルブミンのX線結晶構造解析により,タンパク質表面に露出しているSer164, Ser236, Ser320が特異的にそれぞれD体として存在している可能性があることが見いだされた(51)51) M. Yamasaki, N. Takahashi & M. Hirose: J. Biol. Chem., 278, 35524 (2003).図5a図5■S-オボアルブミンに含まれるD-Ser残基).そこで,オボアルブミン中に実際にD-Ser残基が含まれているかどうかを検証した.

図5■S-オボアルブミンに含まれるD-Ser残基

(a) S-オボアルブミンの立体構造.Ser164, 236, 320がD体として存在.文献51を参照.(b)S-オボアルブミンのD-Ser含量の経時変化.オボアルブミンに含まれる38残基のSerのうち3残基分(7.9%)と一致.文献52を参照.

ニワトリ卵白由来のオボアルブミンを穏やかなアルカリ条件下(pH 9.5),37°Cで数日間保温することで,S-オボアルブミンへの遷移を促した.保温時間の異なる各サンプルを解析すると,7日目まで経時的にD-Ser含量が増加していることが明らかとなった(図5b図5■S-オボアルブミンに含まれるD-Ser残基).7日目以降のD-Ser含量は約8%であり,これはX線結晶構造解析から示唆されていた3残基分のD-Ser含量(7.9%)とよく一致していた(52)52) T. Miyamoto, N. Takahashi, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: J. Pharm. Biomed. Anal., 116, 145 (2015)..したがって,本分析システムによって,実際のD-アミノ酸含有タンパク質においても正確な定量が可能であることを実証した.

今後の展開

本解説では,ペプチド・タンパク質中のD-アミノ酸残基の検出および定量について,従来から一般的に使用されてきた0時間外挿法に問題があることを明らかとし,正確なD-アミノ酸残基の定量が可能であるアミノ酸の重水素ラベルを用いた新規の検出・定量法について述べてきた.近年,加齢および老化に伴う生体内ペプチドおよびタンパク質の異性化がさまざまな疾病に関連することが明らかになりつつあり,新たなバイオマーカーとしても期待されている.興味深いことに,タンパク質におけるアミノ酸残基の異性化は,タンパク質のさらされている環境(紫外線,温度およびpHなど)と密接に関係がある.実際にわれわれは,任意に選んだ数種類のタンパク質をアルカリ条件下(pH 9.5)にさらしておくことで,3種類のタンパク質(カルボニックアンヒドラーゼ,リゾチーム,α-アミラーゼ)において,D-アミノ酸残基(D-Ala, D-Ser)が生成することを明らかとした(52)52) T. Miyamoto, N. Takahashi, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: J. Pharm. Biomed. Anal., 116, 145 (2015)..したがって, D-アミノ酸残基を含むペプチドおよびタンパク質は予想以上に多く存在している可能性があり,これらの発見のためのツールとして,重水素ラベルを利用した本分析システムは,その一端を十分に担うことができると考えている.現在この技術は,九州大学の浜瀬らによって,2次元HPLCとMS/MSを組み合わせた,より高感度な分析システムとして利用されている(53, 54)53) S. Ishigo, E. Negishi, Y. Miyoshi, H. Onigahara, M. Mita, T. Miyamoto, H. Masaki, H. Homma, T. Ueda & K. Hamase: Chromatography, 36, 45 (2015).54) C. Ishii, T. Miyamoto, S. Ishigo, Y. Miyoshi, M. Mita, H. Homma, T. Ueda & K. Hamase: Chromatography, 38, 65 (2017)..実際,D-Asp, D-Glu,およびD-プロリン(D-Pro)の分析が可能となり,穏やかなアルカリ条件下で保存されたヒト血清アルブミンやヒトリゾチームなどにおいて,D-AlaやD-Ser以外にD-AspやD-Pro残基が形成されていることが明らかとなった(54)54) C. Ishii, T. Miyamoto, S. Ishigo, Y. Miyoshi, M. Mita, H. Homma, T. Ueda & K. Hamase: Chromatography, 38, 65 (2017)..今後は,タンパク質構成アミノ酸に対応するすべてのD-アミノ酸残基の分析が可能となり,生体サンプルにおいてD-アミノ酸含有ペプチドおよびタンパク質の網羅的な解析が可能となるであろう.その結果として,D-アミノ酸残基形成の生理的意義の解明,および新たなバイオマーカーの発見が期待される.

Acknowledgments

本稿で紹介しました研究は,東京大学大学院農学生命科学研究科分子育種学研究室に所属していたときに行われたものです.正木春彦先生をはじめ,スタッフの皆様,また,共同研究者の浜瀬健司先生(九州大学大学院薬学研究院)に深く感謝申し上げます.

Reference

1) T. Nishikawa: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3169 (2011).

2) H. Wolosker: Mol. Neurobiol., 36, 152 (2007).

3) Y. Takigawa, H. Homma, J. A. Lee, T. Fukushima, T. Santa, T. Iwatsubo & K. Imai: Biochem. Biophys. Res. Commun., 248, 641 (1998).

4) S. Ishio, H. Yamada, M. Hayashi, S. Yatsushiro, T. Noumi, A. Yamaguchi & Y. Moriyama: Neurosci. Lett., 249, 143 (1998).

5) Z. Long, J. A. Lee, T. Okamoto, N. Nimura, K. Imai & H. Homma: Biochem. Biophys. Res. Commun., 276, 1143 (2000).

6) G. D’Aniello, A. Tolino, A. D’Aniello, F. Errico, G. H. Fisher & M. M. Di Fiore: Endocrinology, 141, 3862 (2000).

7) H. Wang, H. Wolosker, J. Pevsner, S. H. Snyder & D. J. Selkoe: J. Endocrinol., 167, 247 (2000).

8) Y. Nagata, H. Homma, J. A. Lee & K. Imai: FEBS Lett., 444, 160 (1999).

9) Y. Nagata, H. Homma, M. Matsumoto & K. Imai: FEBS Lett., 454, 317 (1999).

10) M. M. Di Fiore, A. Santillo, S. Falvo, S. Longobardi & G. C. Baccari: Int. J. Mol. Sci., 17, 1127 (2016).

11) M. Katane & H. Homma: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3108 (2011).

12) L. Bai, S. Sheeley & J. V. Sweedler: Bioanal. Rev., 1, 7 (2009).

13) C. Ollivaux, D. Soyez & J. Y. Toullec: J. Pept. Sci., 20, 595 (2014).

14) S. D. Heck, C. J. Siok, K. J. Krapcho, P. R. Kelbaugh, P. F. Thadeio, M. J. Welch, R. D. Williams, A. H. Ganong, M. E. Kelly, A. J. Lanzetti et al.: Science, 266, 1065 (1994).

15) O. Buczek, D. Yoshikami, G. Bulaj, E. C. Jimenez & B. M. Olivera: J. Biol. Chem., 280, 4247 (2005).

16) C. M. Whittington, J. M. Koh, W. C. Warren, A. T. Papenfuss, A. M. Torres, P. W. Kuchel & K. Belov: J. Proteomics, 72, 155 (2009).

17) N. Fujii, Y. Kaji, N. Fujii, T. Nakamura, R. Motoie, Y. Mori & T. Kinouchi: Chem. Biodivers., 7, 1389 (2010).

18) N. Fujii, Y. Kaji & N. Fujii: J. Chromatogr. B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci., 879, 3141 (2011).

19) A. E. Roher, J. D. Lowenson, S. Clarke, C. Wolkow, R. Wang, R. J. Cotter, I. M. Reardon, H. A. Zurcher-Neely, R. L. Heinrikson, M. J. Ball et al.: J. Biol. Chem., 268, 3072 (1993).

20) J. T. Powell, N. Vine & M. Crossman: Atherosclerosis, 97, 201 (1992).

21) N. Fujii, S. Tajima, N. Tanaka, N. Fujimoto, T. Takata & T. Shimo-Oka: Biochem. Biophys. Res. Commun., 294, 1047 (2002).

22) S. Ritz-Timme, I. Laumeier & M. J. Collin: Br. J. Dermatol., 149, 951 (2003).

23) R. Calendar & P. Berg: J. Mol. Biol., 26, 39 (1967).

24) J. Soutourina, P. Plateau & S. Blanquet: J. Biol. Chem., 275, 32535 (2000).

25) T. Takayama, T. Ogawa, M. Hidaka, Y. Shimizu, T. Ueda & H. Masaki: Biosci. Biotechnol. Biochem., 69, 1040 (2005).

26) Y. Goto, H. Murakami & H. Suga: RNA, 14, 1390 (2008).

27) T. Fujino, Y. Goto, H. Suga & H. Murakami: J. Am. Chem. Soc., 135, 1830 (2013).

28) Y. Nagata, T. Fujiwara, K. Kawaguchi-Nagata, Y. Fukumori & T. Yamanaka: Biochim. Biophys. Acta, 1379, 76 (1998).

29) T. Iida, H. Matsunaga, T. Santa, T. Fukushima, H. Homma & K. Imai: J. Chromatogr. A, 813, 267 (1998).

30) Y. Sadakane, T. Yamazaki, K. Nakagomi, T. Akizawa, N. Fujii, T. Tanimura, M. Kaneda & Y. Hatanaka: J. Pharm. Biomed. Anal., 30, 1825 (2003).

31) H. Maeda, T. Takata, N. Fujii, H. Sakaue, S. Nirasawa, S. Takahashi, H. Sasaki & N. Fujii: Anal. Chem., 87, 561 (2015).

32) S. V. Serafin, R. Maranan, K. Zhang & T. H. Morton: Anal. Chem., 77, 5480 (2005).

33) E. Sachon, G. Clodic, C. Galanth, M. Amiche, C. Ollivaux, D. Soyez & G. Bolbach: Anal. Chem., 81, 4389 (2009).

34) K. Sakai-Kato, T. Kinouchi, H. Fujii, K. Imai & N. Utsunomiya-Tate: Amino Acids, 36, 125 (2009).

35) D. Yang, N. Fujii, T. Takata, T. Shimo-Oka, S. Tajima, Y. Tanaka & T. Saito: Mol. Vis., 9, 200 (2003).

36) K. Aki, N. Fujii, T. Saito & N. Fujii: Mol. Vis., 18, 996 (2012).

37) G. A. Goodfriend: Nature, 357, 399 (1992).

38) S. Otani & T. Yamamoto: J. Forensic Sci., 55, 1630 (2010).

39) 工藤潤也,高野淑識,金子竹男,小林憲正:分析化学,52, 35 (2003).

40) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 38, 1377 (2010).

41) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Watanabe, H. Homma & H. Masaki: Amino Acids, 48, 2683 (2016).

42) S. Steinberg & J. L. Bada: Science, 213, 544 (1981).

43) J. M. Manning: J. Am. Chem. Soc., 92, 7449 (1970).

44) D. R. Goodlett, P. A. Abuaf, P. A. Savage, K. A. Kowalski, T. K. Mukherjee, J. W. Tolan, N. Corkum, G. Goldstein & J. B. Crowther: J. Chromatogr. A, 707, 233 (1995).

45) R. Liardon, S. Ledermann & U. Ott: J. Chromatogr. A, 203, 385 (1981).

46) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: Chem. Biodivers., 7, 1644 (2010).

47) T. Miyamoto, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: J. Pharm. Biomed. Anal., 116, 105 (2015).

48) M. B. Smith & J. F. Back: Nature, 193, 878 (1962).

49) M. B. Smith & J. F. Back: Aust. J. Biol. Sci., 18, 365 (1965).

50) H. Hatta, M. Nomura, N. Takahashi & M. Hirose: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 2021 (2001).

51) M. Yamasaki, N. Takahashi & M. Hirose: J. Biol. Chem., 278, 35524 (2003).

52) T. Miyamoto, N. Takahashi, M. Sekine, T. Ogawa, M. Hidaka, H. Homma & H. Masaki: J. Pharm. Biomed. Anal., 116, 145 (2015).

53) S. Ishigo, E. Negishi, Y. Miyoshi, H. Onigahara, M. Mita, T. Miyamoto, H. Masaki, H. Homma, T. Ueda & K. Hamase: Chromatography, 36, 45 (2015).

54) C. Ishii, T. Miyamoto, S. Ishigo, Y. Miyoshi, M. Mita, H. Homma, T. Ueda & K. Hamase: Chromatography, 38, 65 (2017).