Kagaku to Seibutsu 56(2): 95-103 (2018)
解説
植物が香り化合物を出す仕組み,吸う仕組み単純拡散では説明がつかない
How Do Plants Emit and Take in Volatile Organic Chemicals?: Simple Diffusion Does not Illustrate the Mechanisms
Published: 2018-01-20
植物はさまざまな香り化合物を作り,環境中に放出する.個々の香り化合物にはそれぞれの役割があり,香り化合物放出は植物の生き残り戦略の一つである.これまでの研究で香り化合物を作る仕組みはかなり明らかになったが,作られた香り化合物がどのようにして植物組織から環境中に放出されるのかはまだよくわかっていない.一方,植物は香り化合物を取り込む.この場合も植物がどのように香り化合物を取り込むのか,その仕組みは明らかでなかった.最近になってようやく香り化合物の放出と吸収が精細な仕組みで制御されていることがわかってきた.本解説では香り化合物放出・吸収の仕組みに関する最新の知見を,筆者らの成果を交えて紹介する.
© 2018 Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
© 2018 公益社団法人日本農芸化学会
植物は香る.試算によれば植物は光合成で固定した炭素の最大10%程度も香り化合物として体外に放出する(1)1) J. Peñuelas & J. Llusiá: Trends Ecol. Evol., 19, 402 (2004)..香り化合物のなかには思わず体外に出てしまうものもあるだろうが,多くは生産者である植物が,その生育環境でより良く生き抜くために生成し,戦略的に放出している.花や果実の香りは受粉媒介者や種子散布者を誘引して植物の種の繁栄に直接影響を与える.葉や根などの栄養器官からも香り化合物は放散され,多くの場合は植物を栄養源とする外敵(植食者)に対する防衛を担っている.最近では植物どうしが香り化合物を使ってコミュニケーションしている例も確認されており(2)2) K. Sugimoto, K. Matsui, Y. Iijima, Y. Akakabe, S. Muramoto, R. Ozawa, M. Uefune, R. Sasaki, K. M. Alamgir, S. Akitake et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7144 (2014).,植物は積極的に香り化合物を作って与えられた生育環境での生き残りに心血を注いでいるようだ.このとき,香り化合物を四六時中ダラダラと生成して放散するのは無駄が多い.植物は適切なタイミングで最も適切な香り化合物を適量放出して香り化合物のもつ効果を最大限に活かしているに違いない.そのためには香り化合物の放出をうまくコントロールする仕組みがなければならない.では,それはどのような仕組みなのだろうか?
一方,植物は香り化合物を「吸う」.無論,横隔膜を下げて肺を膨らませて吸うわけではないが,植物も酸素呼吸し,昼間は光合成のために気孔を開けてCO2を取り込み,発生したO2は再び気孔を通して体外に放出される.こうした空気の出入りの際に大気中の香り化合物が植物に取り込まれてしまうことは予想される.実際,植物が香り化合物を吸収していることはよく知られており,落葉樹林やオレンジ畑などの野外での実測で植物が香り化合物を吸収していることが確認されている(3, 4)3) T. Karl, P. Harley, L. Emmons, B. Thomton, A. Guenther, C. Basu, A. Tumipseed & K. Jardine: Science, 330, 816 (2010).4) J. H. Park, A. H. Goldstein, J. Timkovsky, S. Fares, R. Weber, J. Karlik & R. Holzinger: Science, 341, 643 (2013)..植物の香り吸収が全球レベルでの大気環境にも大きな影響を与えていることが報告されている(5)5) J. Peñuelas & M. Staudt: Trends Plant Sci., 15, 133 (2010)..それでは,植物が香り化合物を「吸う」仕組みはいったいどのようなものだろうか?
植物の香り化合物に関する研究は初期には香り化合物をカタログ化するオーソドックスな天然物化学研究から始まり,次いで香り化合物の生合成を担う酵素の単離同定,やがてその酵素遺伝子の確定が進み,今では多くの香り化合物の生合成経路の全容が明らかになった.さらにはそうした生合成経路がどのように制御を受けているかも明らかになってきており,植物は生息する環境状態と自らの生育段階を把握し,香り化合物の生産量を厳密に制御していることもわかってきた.しかし,植物ができた香り化合物をどのように体外に放散するのか,については「単純な拡散で系外に出るのだろう」という程度の認識にとどまっており,余り研究が進んでこなかった.最近になって香り化合物の放出は単純な拡散では説明できない,ということが認識され(6)6) J. R. Widhalm, R. Jaini, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 20, 545 (2015).,思いのほか精緻な仕組みで香り化合物を体外に放出していることが明らかになりつつある.同じような理屈で植物が香り化合物を吸収するには何らかの仕組みが必要であろう,との認識が共有されてきた.
ミントなどのハーブの葉の表面をなでたときや,ミカンの皮をむくとき,私たちは植物が香りを放出することに気づく.サンショウの葉を手のひらに乗せ,パンッと叩いたときも香りが広がるのを感じる.なでるとかたたくとかいった一瞬の動作で植物から香りが出るのだから,こうした植物はあらかじめ香り化合物を作っておいて貯めておき,機械的刺激に応じてその貯蔵容器を破壊することで香りを放出するように思える.ミカンの皮やサンショウの葉をよく見ると油胞と呼ばれる小さなぶつぶつがある.ハーブの葉の表面はルーペで見ると分泌性トライコームと呼ばれる小さなぶつぶつがある.いずれも香り袋として機能し,機械的な刺激で破裂し,中にある香り成分が放散される.草食昆虫が葉を食べ出したときに香り袋が割れると高濃度の香り化合物が放散され,草食昆虫は驚いてその場から立ち去るかもしれない(図1A図1■香り化合物放散の2つのシステム).
(A)では香り化合物生成と分泌に特化した細胞(赤で示した)が空隙を取り囲み,その中に香り化合物を分泌し蓄積する(1).その部位が傷害を受ける(2)と貯まっていた香り化合物が直ちに放散される(3).(B)では通常の細胞が傷害で破砕される(1)と,破砕された細胞で直ちに香り化合物生成が始まり,生成した香り化合物は気液平衡に従って順次放散される(2).
ではなぜ植物はこういった香り化合物貯蔵システムを開発しなければならなかったのだろう.ゼニゴケは葉状体の中に異型細胞の一つ,油体細胞を分化させ,その中に油体を充満させている.この油体は,ダイズやナタネなどの油糧種子に見られる単分子膜で覆われた中性脂肪を蓄積する細胞内小器官と同じ名前だが,全く別のもので,油脂ではなく二次代謝産物の貯蔵に特化したかなり特殊な細胞内小器官である.古くからゼニゴケの油体細胞内の油体にはさまざまな二次代謝産物が含まれていると考えられてきた.筆者らは1細胞メタボローム解析システムを用いて油体内容物をキャピラリーで吸い出し,マススペクトロメトリーで解析した.その結果,マルカンチンなどのビスビベンジル類とツヨプセンなどのセスキテルペン類が油体中に特異的に局在していることが明らかとなった(7)7) M. Tanaka, T. Esaki, H. Kenmoku, T. Koeduka, Y. Kiyoyama, T. Masujima, T. Asakawa & K. Matsui: Phytochemistry, 130, 77 (2016)..マルカンチンやセスキテルペン類には抗菌活性などの生物活性があり,ゼニゴケが食害などで傷を受けると油体が破裂し,これら二次代謝産物を放散することで植食者を撃退し,同時に傷口からの病原菌の感染を防いでいると考えられる.ゼニゴケ葉状体中の油体の占める割合と葉状体から抽出できるマルカンチンやセスキテルペン量から計算すると油体の中はほぼこれら二次代謝産物だけと推定される.そのため植食者がゼニゴケ葉状体を食べ始めて油細胞を破砕してしまうとかなり高濃度な状態の二次代謝産物に突然出会うことになる.限られた資源で効果的に作用するためにはすべての細胞に少しずつ代謝産物をもたせるより,ひとところに集めて貯蔵することで高濃度にするのが好都合だろう.一つにはこれが香り化合物貯蔵システムの意義と思われる.
一方,油体中と同じ濃度のセスキテルペンを葉状体の表面に垂らすと,葉状体が褐変した(7)7) M. Tanaka, T. Esaki, H. Kenmoku, T. Koeduka, Y. Kiyoyama, T. Masujima, T. Asakawa & K. Matsui: Phytochemistry, 130, 77 (2016)..つまり,これほどまでの高濃度だと,防衛のために作った香り化合物のはずが自らの組織にも細胞毒性を示す.そのため,こうした化合物は周囲の細胞成分と接しないように区画にわけて貯蔵しなければならない.香り化合物貯蔵のもう一つの意義と考えられる.つまり,植物が香り化合物を一定の区画にまとめて貯蔵するのは防衛に効果的なまで高濃度に貯蔵することと,香り化合物の毒性によって自らの組織の生育に悪影響を与えないことの2つを同時にかなえるためと考えられる.
では,こうした香り化合物貯蔵システムは植物進化の過程でどのように作り上げられてきたのだろう.前述のようにゼニゴケは葉状体内に油体細胞と呼ばれる異型細胞を分化させ,その中に油体を発達させる.この油体にはセスキテルペン類,マルカンチン類が特異的に蓄積している.コマチゴケなどの多くのタイ類ではほぼすべての細胞に少しずつ油体が存在しており,油体をもつことに特化した油体細胞を分化したのはゼニゴケかその近縁のタイ類のみである.油体細胞はデボン紀中期(約4億年前)のゼニゴケの仲間の化石にも見られ,植食性節足動物への防衛にかかわっていたと考えられている(8)8) C. C. Labandeira, S. K. Tremblay, K. E. Bartowski & L. A. Hernick: New Phytol., 202, 247 (2014)..その後,裸子植物は二次代謝産物生産と分泌に特化した上皮細胞を分化し,特殊化した上皮細胞を管状に配置して管の中の空間に二次代謝産物を分泌するシステム,樹脂道をもつようになった(9)9) B. M. Lange: Annu. Rev. Plant Biol., 66, 139 (2015)..裸子植物の樹脂道は機械傷でも誘導され,やはり植食者の排除や傷口のコーティングを担うシステムと考えられる.
被子植物のミカン科植物に多く見られる油胞は葉や実の表皮近くに位置する球形の空間である.その内壁を香り化合物の生産と分泌に特化した2~3層の細胞が固める.裸子植物では管状,被子植物では袋状と形状に違いはあるが,その内壁を特殊化した香り生産分泌細胞で固める様子は似ている.分泌性トライコームは被子植物に見られる葉上の突起で,その先端に匂い袋がある.石炭紀とペルム紀の境界年代に繁茂したとされるシダ種子類(今は絶滅した裸子植物の仲間)の化石に分泌性トライコームらしい構造が確認されている(9)9) B. M. Lange: Annu. Rev. Plant Biol., 66, 139 (2015)..分泌性トライコームにはさまざまな形があるが,基本的には葉の表皮細胞が異型化して突起を形成し,その先端の細胞が香り化合物の生産と分泌に特化する.分泌された香り化合物は表皮細胞と表皮のクチクラ層との間に蓄積し,生成される香り化合物量が増えるにしたがってクチクラ層が膨らんで袋状になる(10)10) A. Tissier, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 22, 930 (2017).(図2A図2■分泌性トライコームでの香り化合物蓄積の仕組み).こうした例を見ていくと,植物は防衛のための香り化合物生産を特定の細胞に担わせ,生成した香り化合物をその細胞から分泌して細胞外に貯め込むことを進化の過程で獲得したように思われる.
こうした香り化合物放出システムの完成には特定の細胞を香り化合物生産・分泌細胞へと分化させることが必須である.またその分泌の方向は四方八方ランダムではなく,隣接する細胞がない方向(つまり油胞の方向)にかなり厳密な極性をもっており,さらに一度分泌された香り化合物は一方通行で逆戻りは許されない.
分泌性トライコームは表皮細胞が膨らみ,細胞分裂を数回繰り返して形成される.基本的にはこうしてできた突起の先端部の細胞が香り化合物の生成と分泌を担う細胞へと特殊化する.同じような細胞分化として気孔を形成する孔辺細胞の表皮細胞からの分化がかなり詳細に解明されている.孔辺細胞の場合は未分化表皮細胞(原表皮細胞)が数段階の分裂を繰り返すが,後半の分裂は別の孔辺細胞の母細胞に接しないように進むため気孔は葉の表面に散在することとなる(11)11) 嶋田知生,菅野茂夫,西村いくこ:光合成研究,21, 39 (2011)..分泌性トライコームも表皮細胞から分化して葉面に一定間隔で出現するので,孔辺細胞と同じような発生機構が想定されているが,現時点では何が分化の引き金で,どのように柄の細胞(トライコームを支えるが香り化合物を作らない)と頂部の香り化合物生成分泌細胞へと分化していくのかほとんど明らかになっていない(12)12) A. Huchelmann, M. Boutry & C. Hachez: Plant Physiol., 175, 6 (2017)..次世代シークエンサーが日常的に使用されるようになり,ゲノム編集技術が確立されるにつれシロイヌナズナのようなモデル植物以外でも分子遺伝学的手法が容易に適用されるようになったので,分泌性トライコーム発生機構は今後急速に明らかになっていくものと期待される.
分泌性トライコームの先端部の香り化合物生産分泌細胞から香り化合物が分泌される経路を考えてみるとさまざまな障壁が想定される.第一に香り化合物の多くは疎水性なので細胞内で作られて細胞膜を横切ろうとしても何かの手助けなしでは細胞膜に捕捉されて出ていけない(6)6) J. R. Widhalm, R. Jaini, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 20, 545 (2015)..細胞膜を横切るには後述のABCトランスポーターがかかわっている可能性が高い.もし無事に細胞膜を横切って細胞外に出たとしても,そこは親水性の細胞壁である.疎水性物質はその中を自由に動き回ることができないのでそこには香り化合物輸送担体が必要である.ほとんどの植物の細胞壁には数種類の脂質転移タンパク質が存在している.こうしたキャリアータンパク質が細胞膜から出てきた香り化合物を取り込んで細胞壁中に分散させているのだろう.細胞壁のさらに外側には蓄積しつつある香り化合物が存在する.先に示したようにゼニゴケ油体の中身はほとんど混じりっけなしの二次代謝産物であると予想されたが,サンショウ葉の油胞も,少なくとも計算上は,やはりほぼ香り物質に占められていると考えられる(13)13) Y. Fujita, T. Koeduka, M. Aida, H. Suzuki, Y. Iijima & K. Matsui: Plant Biotechnol., 34, 17 (2017)..つまり香り化合物が蓄積し始めた油胞には疎水性の香り化合物だけが充填されていることになり,かなり疎水的なマトリクスとなっている.そうするとキャリアータンパク質によって細胞壁を拡散した香り化合物は疎水的なマトリックスと接すると容易に香り化合物を手離し,空になったキャリアータンパク質は再度細胞壁内を拡散して細胞膜から出てきた香り化合物を捕捉することになる.分泌性トライコームの表皮側はクチクラ層であるが,その内側は細胞壁で裏打ちされている(10)10) A. Tissier, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 22, 930 (2017)..よって疎水性の香り化合物は親水性の細胞壁に囲まれて漏れ出ることもなく,同じような性質の化合物に囲まれて比較的安定に存在することとなる(図2図2■分泌性トライコームでの香り化合物蓄積の仕組み).
このように植物から香り化合物が放散される仕組みを考える際には細胞質で合成された疎水性香り化合物が細胞膜,細胞壁を通って系外に放出される道筋を考えなければならないが,パデュー大学のDudarevaらは油水界面での香り化合物の分配係数と物質の拡散を規定するフィックスの法則を用いた計算から香り化合物は単なる拡散で細胞外に放出されるのではなく,生成後放散に至る複数のステップを担う分子が介在していることを予言した(6)6) J. R. Widhalm, R. Jaini, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 20, 545 (2015)..その後,ペチュニアの花弁からの香り化合物放出に細胞膜局在型のABCトランスポーターが関与していることを実証し,彼女ら自身で彼女たちの予言が正しいことを示した(14)14) F. Adebesin, J. R. Widhalm, B. Boachon, F. Lefévre, B. Pierman, J. H. Lynch, I. Alam, B. Junqueira, R. Benke, S. Ray et al.: Science, 356, 1386 (2017)..
ゼニゴケの油体,ミカン科植物の油胞,それに分泌性トライコームについても同じ予測が成り立ち,植物が葉からあらかじめ貯め込んでいた香り化合物を放出する仕組みは特定の細胞での香り化合物の生産,その細胞の細胞膜を横切る極性輸送,それに細胞壁を横断させるキャリアータンパク質が相まって達成しているに違いない.このシステムは多少細胞毒性がある物質でも母植物の生育を阻害せず,特異的に,しかもかなり高純度で作ることができ,「細胞工場」として有用物質の生産に活かすことが期待される(12)12) A. Huchelmann, M. Boutry & C. Hachez: Plant Physiol., 175, 6 (2017)..今後,これらを担う因子を一つずつ明らかにしていく必要がある.
植物は香り化合物を貯めておくシステムをもつ一方で,酵素を用意していざというときは細胞構成成分を基質にして反応を仕掛けて素早く香り化合物を生成し,放出するシステムももち合わせている.草刈りをしたときに感じる青臭い香りがこのシステムで放出されており,この香りの本体はみどりの香り(GLVs)と呼ばれる炭素数6のアルデヒドやアルコール,そのエステル体である(15)15) K. Matsui: Curr. Opin. Plant Biol., 9, 274 (2006)..GLVsは陸上植物が普遍的に生成する香りで,葉緑体膜脂質(おもにガラクト糖脂質)がリポキシゲナーゼ(LOX)によって酸化され,続く開裂酵素ヒドロペルオキシドリアーゼで炭素数6つ分が切り出されることで生成される(16)16) A. Nakashima, S. H. von Reuss, H. Tasaka, M. Nomura, S. Mochizuki, Y. Iijima, K. Aoki, D. Shibata, W. Boland, J. Takabayashi et al.: J. Biol. Chem., 288, 26078 (2013)..この反応はかなり早く,植物葉が傷害を受けてから数秒でGLVs生成が確認できる.GLVsには傷口を消毒するような直接防衛作用と植食者の天敵を呼びつける間接防衛作用があり,傷ついた植物の防衛を担っている.この迅速なGLVsの生成は「GLVバースト」と呼ばれているが,では組織傷害がどのようにGLVバーストを引き起こすのだろうか.
アブラナ科植物組織を破砕したときのイソチオシアネートの急激な生成は葉肉柔細胞に存在しているカラシ油配糖体と,アブラナ科植物独特の異型細胞であるミロシン細胞に貯蔵されている酵素ミロシナーゼが組織破砕によって区画が壊されて出会うことで成立する(17)17) M. Shirakawa, H. Ueda, T. Shimatda & I. Hara-Nishimura: Trends Plant Sci., 21, 861 (2016)..ワサビを磨り下ろしたときに生成するアリルイソチオシアネートなどが代表的な成分である.一方GLVバーストは,このような区画の消失による酵素と基質の出会いで始まるのではない.シロイヌナズナにはLOX遺伝子が6つあるが,そのうちLOX2がGLVバーストの初発段階であるチラコイド膜ガラクト糖脂質への酸素添加による過酸化脂質の生成の主要因子である(18)18) S. Mochizuki, K. Sugimoto, T. Koeduka & K. Matsui: FEBS Lett., 590, 1017 (2016)..LOX2は葉緑体ストロマ可溶性タンパク質として恒常的に発現している(19)19) J. B. Peltier, Y. Cai, Q. Sun, V. Zabrouskov, L. Giacomelli, A. Rudella, A. J. Ytterberg, H. Rutschow & K. J. van Wijik: Mol. Cell. Proteomics, 5, 114 (2006)..そうすると,基質であるチラコイド膜脂質とLOX2は無傷の組織中でも隣り合わせで存在していることとなる.LOX2に活性があればいつでもGLVバーストが起こっているはずだが,無傷葉でGLVsはほとんどなく,細胞破砕を伴う傷害を受けて初めてGLVバーストが観察される.つまり,LOX2は細胞が無傷な状態では不活性型で存在し,傷害刺激によって活性化して膜に移行し,ガラクト糖脂質に酸素添加してGLVs生成を誘導していると考えられる.哺乳動物のロイコトリエン生成に関与する5-LOXではカルシウムイオンがこうした活性制御を担っており,カルシウムイオンによるLOXのコンフォメーション変化がLOXの膜への移行を促進することが示されている(20)20) N. C. Gilbert, S. G. Bartlett, M. T. Waight, D. B. Neau, W. E. Boeglin, A. R. Brash & M. E. Newcomer: Science, 331, 217 (2011)..哺乳動物LOXの立体構造をもとにシロイヌナズナLOX2構造のモデルを描くと,そのアミノ末端側のβバレル構造中に可変的なループが認められ,哺乳動物5-LOXの構造変化を担うアミノ酸残基と同様の機能を有すると期待できるアミノ酸残基が確認できる.詳細な証明は今後の課題であるが,細胞破砕という物理的イベントに伴う細胞構造の崩壊がLOX2のコンフォメーション変化を伴って膜脂質の過酸化という生化学イベントに変換される,と考えられる(図3図3■リポキシゲナーゼ(LOX)のコンフォメーション変化が細胞破砕(物理的イベント)をGLVバースト(生化学的イベント)に変換する).
ストロマ内で可溶性タンパク質として存在しているLOXは何らかの刺激を受けると構造変化し,チラコイド膜に結合する.チラコイド膜上でLOXはガラクト糖脂質を酸化しガラクト糖脂質ヒドロペルオキシドを生成する.これが引き金となってGLVバーストが惹起される.
GLVバーストは細胞傷害によって一次代謝産物の膜脂質から香り化合物を迅速に作り上げるシステムであり,あらかじめ貯めておくシステムとは明らかに異なる.GLVバーストではGLVsが生成されたときにその細胞は既に破壊されているので単純な液相(壊された細胞の中身)から気相(大気相)への拡散によって香り化合物が放散されることとなる.食害などで壊されてしまった細胞が最後の抵抗戦略として細胞構成成分を迅速に防衛物質へと変換し,放出している(図1B図1■香り化合物放散の2つのシステム).
植物はかなり積極的に香り化合物を吸う.呼吸器をもたない植物が「吸う」というのはすぐには理解できないかもしれない.ただ,林の中を歩いていると何となく空気がきれいだ,と感じることもあるはずだ.実際,ゴールデンポトス,シンゴニウム,オリヅルランなどの観葉植物がシックハウス症候群の原因物質ホルムアルデヒドを吸収して空気を浄化することが報告されている(21)21) B. C. Wolverton, R. C. MacDonald & E. A. Watkins Jr.: Econ. Bot., 38, 224 (1984)..シロイヌナズナやタバコにメチル栄養細菌(メチロトローフ)由来のホルムアルデヒド固定経路遺伝子群を発現させるとホルムアルデヒド吸収能力が高まることも報告されている(22)22) L. Chen, H. Yurimoto, K. Li, I. Orita, M. Akita, N. Kato, Y. Sakai & K. Izui: Biosci. Biotechnol. Biochem., 74, 627 (2010)..また,ユーカリの木の近くで栽培したブドウから作ったワインに1,8-シネオールが含まれている(23)23) D. L. Capone, D. W. Jeffery & M. A. Sefton: J. Agric. Food Chem., 60, 2281 (2012)..ブドウは1,8-シネオールを作らない.ブドウの木がユーカリの木に近ければ近いほど1,8-シネオール含量が高くなった.こうしたことから,ユーカリの木から放散された1,8-シネオールが近くで栽培されていたブドウに吸収され,それがワインにまで持ち込まれたらしい.植物が大気中の香り化合物を「吸っている」ことは明らかだ.では,どのような仕組みで吸っているのだろうか.また,植物にとって香り化合物を「吸う」ことに何らしかの意義があるのだろうか.
植物が香り化合物を使ってコミュニケーションしている現象が古くから報告されている.息を吐く口も匂いを感じる鼻ももたない植物が香り化合物を感知している,というのはにわかには信じがたいが,最近の研究では少なくとも一部の植物は香り化合物を感じることで自分が生息している環境に関する情報をモニターしていることが明らかとなっている(24)24) J. A. Pickett & Z. R. Khan: New Phytol., 212, 856 (2016)..植物が病害や虫害を被ると防衛応答の一環で香り化合物を放出するが,被害を受けた植物の近くで生育している植物がその香り化合物を「感じ」,その中に「近くの植物が病気や害虫にやられているらしい」という情報を読み取り,「その病原体や害虫はやがて私のほうに来るかもしれない」と判断して先制防衛できるならば,その植物の野外生態系での適応度は高まると予想される.もちろん,植物は最初からこうした意思をもったような適応進化をしたわけではなく,何らかの拍子に特定の香り化合物を感じて応答できた個体が生き残ったのだろう.ただ,アメリカ西部の乾燥地に生息するセージブラシ(ヨモギの仲間)は自分に近縁の仲間に優先的に情報を伝えることが明らかになっており,植物は香り化合物を思いのほかしたたかに利用しているようだ(25)25) R. Karban, W. C. Wetzel, K. Shiojiri, E. Pezzola & J. Blande: Ecology, 97, 2917 (2016)..
では,植物はどのように香り化合物を感じているのだろうか.筆者らはなるべく野外生態系を反映する状況を実験室内で再現し,植物を香り化合物に曝露する実験系をセットした.矮性トマト(マイクロトム)とハスモンヨトウ幼虫を用い,ハスモンヨトウ食害トマトから放出される香り化合物をエアポンプで無傷のトマトに導入し,食害トマトの香り化合物にさらされたトマトを用意した.曝露後のトマトをハスモンヨトウ幼虫に与えて1日後に幼虫の体重増加量を測定すると無傷のトマトから放散された香り化合物(ほとんど何もない)に曝露されたトマトを食べた幼虫に比べ,体重増加率が抑制されていることがわかった(2)2) K. Sugimoto, K. Matsui, Y. Iijima, Y. Akakabe, S. Muramoto, R. Ozawa, M. Uefune, R. Sasaki, K. M. Alamgir, S. Akitake et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7144 (2014)..つまり,ハスモンヨトウ食害を受けてトマトが放出した香り化合物が隣の,まだハスモンヨトウの被害を受けていないトマトの防衛レベルを高めた.
では,何が原因で香り化合物によるトマトの防衛レベルは強化されたのだろうか.香り物質受け手側トマトのメタボローム解析の結果,香り化合物処理トマトでヘキセニルビシアノシドが蓄積していることがわかった.この化合物を香り化合物処理トマトに含まれているのとほぼ同程度の量で人工飼料に加えると,ハスモンヨトウの体重増加が抑制された.こうしたことから香り化合物処理によりヘキセニルビシアノシドが蓄積し,その蓄積によってトマトの防衛レベルが高くなった,と結論した.
面白いことにヘキセニルビシアノシドはヘキセノールの二糖配糖体である.ヘキセノールはハスモンヨトウ食害を受けたトマトから放散された香り化合物の主要成分の一つだ.では,このヘキセノールは隣の食害トマト由来だろうか,あるいは食害トマトの香り化合物を感じた受け手側のトマトが作ったのだろうか.筆者らは重水素標識ヘキセノールを合成し,無傷トマトに曝露して生成したヘキセニルビシアノシドのアグリコン部分の重水素標識率を解析した(2)2) K. Sugimoto, K. Matsui, Y. Iijima, Y. Akakabe, S. Muramoto, R. Ozawa, M. Uefune, R. Sasaki, K. M. Alamgir, S. Akitake et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7144 (2014)..その結果,受け手植物のヘキセニルビシアノシドのアグリコン部分はほぼすべてが標識されており,受け手植物は環境中に漂ってきたヘキセノールを取り込んで配糖体化したことが明らかとなった.トマトだけでなくイネやミヤコグサなどほかの植物種でも外から気体として与えたヘキセノールが取り込まれ,配糖体として蓄積した(2)2) K. Sugimoto, K. Matsui, Y. Iijima, Y. Akakabe, S. Muramoto, R. Ozawa, M. Uefune, R. Sasaki, K. M. Alamgir, S. Akitake et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 7144 (2014)..また,シロイヌナズナはヘキセノール以外にシクロヘキサノール,ベンジルアルコール,ベルベノールなど環状,芳香族,テルペンアルコール類などさまざまな構造のアルコール類も効率良く取り込んで配糖体化した(26)26) K. Sugimoto, K. Matsui & J. Takabayashi: Commun. Integr. Biol., 8, e992731 (2015)..
どうやら揮発性アルコールは比較的容易に植物に取り込まれ,配糖体となるようだ.これは見かけ上,植物が吸っている,とみなせる現象だ.では,どうして吸うのだろうか.揮発性をもつ化合物は多くの場合,疎水性の低分子化合物である.揮発性アルコールも例外ではない.とすると,植物葉が揮発性アルコール蒸気にさらされた場合,気孔が開いていれば気孔から,開いていなくともクチクラ層に吸着し,植物細胞表面の細胞壁に到達するはずである.細胞壁はかなり親水性なので疎水性の香り化合物は細胞壁の中には入らない.しかし,香り化合物放出にかかわる輸送担体(脂質転移タンパク質)があれば,それがキャリアとなって香り化合物放出のときとは逆方向に運ぶ可能性が考えられる.そうすると香り化合物は細胞膜に到達し,その疎水性のために細胞膜に取り込まれるだろう.環境大気中の香り化合物がこうして細胞膜に継続的に取り込まれてしまうと細胞膜中の香り化合物濃度は細胞膜の本来の役割を阻害してしまうほどに高まってしまう.そうすると細胞膜の香り化合物濃度を下げるシステムが必要になる.配糖体化の生理学的な意義の一つに生体異物の無毒化と生理活性物質の安全な状態での貯蔵がよく知られている(27)27) 田口悟朗:生物工学,89, 643 (2011)..香り化合物の配糖体化も無毒化と考えられ,細胞膜で不必要に高濃度に達した香り化合物を抜き取り,糖を付加して極性をあげて揮発性を下げ,おそらく最終的には液胞に輸送して貯蔵しておくものと考えられる.
こうした全体の流れを考えると植物が香り化合物を「吸う」現象は細胞壁の横断と細胞質内での代謝(この場合は配糖体化)が支えていると言える(28)28) K. Matsui: Curr. Opin. Plant Biol., 32, 24 (2016)..大気化学研究の世界でも植物が香り化合物を吸うのは吸収された香り化合物が細胞内で代謝されることが重要であると報告されている.たとえばアセトンは植物体内でそれ以上代謝されることがないが,アセトン蒸気にセイヨウハコヤナギ(ポプラ)やサザンカをさらすと,最初は少し吸収が認められるが,それはアセトンが植物組織表層(おそらくは細胞膜まで)に吸着したと思われる分だけで,その後,それ以上吸収されることはなく,植物表層と大気の間で平衡状態に達する(29)29) K. Omasa, K. Tobe, M. Hosomi & M. Kobayashi: Environ. Sci. Technol., 34, 2498 (2000)..一方,アクロレインなど代謝される化合物の場合,大気と植物表層との平衡状態に達した後も一定スピードで吸収されるのが観察されており,やはり植物の香り化合物吸収は細胞内代謝が寄与していることは明らかである(図4図4■植物の香り化合物吸収機構).
通常のガス交換で気孔から細胞間隙に入った香り化合物は細胞壁に取り込まれ(キャリアタンパク質が介在?),細胞膜へと到達する.その細胞に香り化合物を代謝する能力がなければ香り化合物はその時点で気液平衡に達し,それ以上吸収されることはない(右上図の例).一方,還元,配糖体化,グルタチオン(GSH)化,といった代謝が進む場合には細胞膜に捕捉された香り化合物が取り去られ,その分を補充するようにさらに香り化合物が取り込まれていく.こうして香り化合物の細胞内代謝速度に応じて香り化合物が細胞内に取り込まれることになる.
先のトマトとハスモンヨトウの場合はたまたま隣の植物から届いた香り化合物に含まれるヘキセノールを解毒するつもりで配糖体化したらハスモンヨトウの生育阻害物質として機能した,ということと思われる.ただ解毒のためならグルコースを1分子付加すれば十分なはずなので,グルコースを付加した後にもう一度今度はアラビノースを付加するという手の込んだことは不要だったはずだ.わざわざ二糖配糖体にすることはトマトの防衛戦略の一つなのかもしれない.
では,配糖体化だけが植物が香り化合物を「吸う」のを支える仕組みだろうか.ゼニゴケを踏みつけるとキノコの香り成分マツタケオール(1-オクテン-3-オール)が放散される.ゼニゴケではマツタケオールのアセテート体が貯蔵されており,それが組織破砕に伴ってエステラーゼで加水分解され,マツタケオールとなって放散される(30)30) H. Kihara, M. Tanaka, K. T. Yamato, A. Horibata, A. Yamada, S. Kita, K. Ishizaki, M. Kajikawa, H. Fukuzawa, T. Kohchi et al.: Phytochemistry, 107, 42 (2014)..逆に無傷のゼニゴケをマツタケオールの蒸気に曝すとその一部が取り込まれ,アセチル化反応を受けてアセテート体となり葉状体組織内に蓄積する.またシロイヌナズナにヘキセナール蒸気を与えるとその一部が取り込まれ,還元されてヘキセノールになり,さらにその一部がアセチル化されてヘキセニルアセテートになる(31)31) K. Matsui, K. Sugimoto, J. Mano, R. Ozawa & J. Takabayashi: PLOS One, 7, e36433 (2012)..
植物は毎年500 Tg(5億トン)の炭素に相当するイソプレンを大気中に放散する(32)32) A. Guenther, C. N. Hewitt, D. Erickson, R. Fall, C. Geron, T. Graedel, P. Harley, L. Klinger, M. Lerdau, W. A. McKay et al.: J. Geophys. Res., 100(D5), 8873 (1995)..放出されたイソプレンは大気中で光化学反応を受け,メチルビニルケトンやメタクロレインなどの活性カルボニル化合物へ変換される.これらは光化学オキシダントで,大気環境悪化の一因になっている(5)5) J. Peñuelas & M. Staudt: Trends Plant Sci., 15, 133 (2010)..メタクロレインを含む空気をトマトに一定流速で吹き付けると与えたメタクロレインの40%までもがトマトに吸収された(33)33) S. Muramoto, Y. Matsubara, C. M. Mwenda, T. Koeduka, T. Sakami, A. Tani & K. Matsui: Plant Physiol., 169, 1744 (2015)..このとき,吸収されたメタクロレインはその二重結合の還元,アルデヒド基のアルコールへの還元,さらにグルタチオンと反応してグルタチオン付加体の生成,といった3種類の代謝を受けていた.
このように植物細胞内で外来の香り化合物の代謝には配糖体化,還元,それにグルタチオン化があり,こうした代謝が効率的な香り化合物吸収を支えている.いずれもある程度の反応性をもち,細胞膜などに蓄積すると毒性を発揮してしまいそうな香り化合物の解毒作用と考えられる.植物が香り化合物に満ちた環境で生き延びていくためにはなくてはならない能力だったのかもしれない.しかも,こうした香り化合物吸収は大気の浄化に思いのほか寄与している,との試算もあり(3)3) T. Karl, P. Harley, L. Emmons, B. Thomton, A. Guenther, C. Basu, A. Tumipseed & K. Jardine: Science, 330, 816 (2010).,地球大気の品質を維持する大役を担っているのかもしれない.
植物が香り化合物を出し,また吸うのは植物の環境適応の一環だと考えられる.いずれの場合も適切なタイミングで適切な量だけを放出し,吸収する必要があり,そこには精細な仕組みが存在している.香り化合物の放出には香り生成と分泌に特化した細胞の分化が必須で,その分化機構については研究が始まったばかりである.また,できた香り化合物を分泌する仕組みにもやはり精細な仕組みが必要だが,花弁の香り化合物放出に関与するABCトランスポーターが同定され,研究が急速に進むと予想される.香り化合物吸収についても細胞内での香り化合物代謝が吸収の原動力の一つになっていることが明らかになったが,細胞壁を通過させる仕組みが必要なはずでその仕組みは今後の検討課題である.このようにまだわからないことだらけだが,こうした仕組みを理解することで環境適応能力の高い植物の創成や,細胞工場の創成,さらには地球大気環境浄化に資する技術の創案などが可能となると期待している.
Reference
1) J. Peñuelas & J. Llusiá: Trends Ecol. Evol., 19, 402 (2004).
5) J. Peñuelas & M. Staudt: Trends Plant Sci., 15, 133 (2010).
6) J. R. Widhalm, R. Jaini, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 20, 545 (2015).
8) C. C. Labandeira, S. K. Tremblay, K. E. Bartowski & L. A. Hernick: New Phytol., 202, 247 (2014).
9) B. M. Lange: Annu. Rev. Plant Biol., 66, 139 (2015).
10) A. Tissier, J. A. Morgan & N. Dudareva: Trends Plant Sci., 22, 930 (2017).
11) 嶋田知生,菅野茂夫,西村いくこ:光合成研究,21, 39 (2011).
12) A. Huchelmann, M. Boutry & C. Hachez: Plant Physiol., 175, 6 (2017).
15) K. Matsui: Curr. Opin. Plant Biol., 9, 274 (2006).
17) M. Shirakawa, H. Ueda, T. Shimatda & I. Hara-Nishimura: Trends Plant Sci., 21, 861 (2016).
18) S. Mochizuki, K. Sugimoto, T. Koeduka & K. Matsui: FEBS Lett., 590, 1017 (2016).
21) B. C. Wolverton, R. C. MacDonald & E. A. Watkins Jr.: Econ. Bot., 38, 224 (1984).
23) D. L. Capone, D. W. Jeffery & M. A. Sefton: J. Agric. Food Chem., 60, 2281 (2012).
24) J. A. Pickett & Z. R. Khan: New Phytol., 212, 856 (2016).
25) R. Karban, W. C. Wetzel, K. Shiojiri, E. Pezzola & J. Blande: Ecology, 97, 2917 (2016).
26) K. Sugimoto, K. Matsui & J. Takabayashi: Commun. Integr. Biol., 8, e992731 (2015).
27) 田口悟朗:生物工学,89, 643 (2011).
28) K. Matsui: Curr. Opin. Plant Biol., 32, 24 (2016).
29) K. Omasa, K. Tobe, M. Hosomi & M. Kobayashi: Environ. Sci. Technol., 34, 2498 (2000).
31) K. Matsui, K. Sugimoto, J. Mano, R. Ozawa & J. Takabayashi: PLOS One, 7, e36433 (2012).
33) S. Muramoto, Y. Matsubara, C. M. Mwenda, T. Koeduka, T. Sakami, A. Tani & K. Matsui: Plant Physiol., 169, 1744 (2015).