解説

生体内における減数分裂期組換えの開始制御遺伝情報多様化のための染色体切断現象

Initiation of Meiotic Recombination: DNA Double Strand Breaks for Genetic Diversity

Takatomi Yamada

山田 貴富

中央大学理工学部生命科学科

Hiroshi Murakami

村上 浩士

中央大学理工学部生命科学科

Published: 2018-03-20

最近では,「生命の多様性」という言葉が一般的なニュースに取り上げられることも多くなったように思う.その分子基盤となる現象の一つに「減数分裂期相同組換え」がある.この現象は,細胞が自身の染色体DNAを切断する反応で始まる.遺伝情報を自ら傷つけるという危険を冒してまで行うわけで非常に重要な意義をもつ現象である.本稿では,精緻なまでに制御されたその反応機構について,ごく一端を紹介する.

遺伝情報を多様化する減数分裂

35~40億年前に誕生したとされる地球上の生物は,いまや約190万種に上る.これは,生物のもつ遺伝情報が信じ難いほどに多様化してきたことを意味する.

この多様化の過程において重要な役割を果たしてきた要素の一つが有性生殖である.一般に有性生殖では(通常は互いに異なる)2種類の配偶子(胞子,精子,卵,花粉など)が接合して新たな個体が形成されるが,遺伝情報が劇的に多様化されるのは主に配偶子が形成される減数分裂の際である.

減数分裂では,1回のDNA合成のあとに2回の核分裂(第1分裂と第2分裂)が連続して起こり,最終的に4つの娘細胞(配偶子)が形成される(図1A図1■減数分裂と相同組換え).この過程では,少なくとも2つの仕組みにより,娘細胞の遺伝情報が多様化される.まず配偶子は,それぞれの染色体について,両親のいずれかに由来するものを受け取る.これにより,たとえば23対の染色体をもつヒトの場合,配偶子の染色体組成には223≒800万通りもの組み合わせが生じる.加えて,減数第1分裂前期(減数分裂前DNA合成から第1分裂中期までの間)に活性化される相同組換え(減数分裂期組換え)により,両親由来の染色体が混合され,遺伝情報の多様性が増大する.この組換えは第1分裂時の正確な染色体分配に必要であり,その不全は配偶子の異数性の原因にもなりうる.それ故,減数分裂期相同組換えは,生命の多様性の創出と正常な配偶子の形成という,基礎科学にもその応用にも重要な現象といえる.

図1■減数分裂と相同組換え

(A)減数分裂の概要.(B)相同組換えの反応機構モデル.

減数分裂期相同組換えとその開始

1. 減数分裂期組換えの特徴

相同組換えをごく簡単に定義すると,「DNA二重鎖の一部が,それと相同な配列をもつほかのDNA二重鎖によって置き換わること」となる.より具体的な反応過程については,現在考えられているモデルを図1B図1■減数分裂と相同組換えに示した.2通りの組換え産物(交差型組換えと非交差型)が生じ得るが,いずれの場合も2本のDNA鎖が同時に切断される「DNA二重鎖切断(DNA double strand break; DSB)」が,相同な配列を使って修復されている.この組換えはDSBを修復する手段として,原核生物からヒトまで見られる普遍的なものである.つまり,損傷修復機構としての相同組換えは減数分裂期組換えよりも長い歴史をもつことになる.したがって,有性生殖を行う生物は相同組換えをうまく減数分裂に取り入れてきたともいえ,それに伴って生じたと考えられる減数分裂期組換えに特有の特徴が複数存在する.

その最も顕著なものの一つはDSB修復に使われる鋳型の選択に見られる.2倍体細胞の場合,この際の鋳型として姉妹染色分体と相同染色体が考えられるが,これら2つの選択肢は等価ではない.体細胞分裂期の相同組換えでは,姉妹染色分体が優先的に鋳型となる.これはコヒーシン(「減数分裂前期までの染色体動態の概要」参照)により合着している姉妹染色分体のほうが相同染色体よりも物理的な距離が近いことを考えれば自然であるし,ヘテロ接合性の維持という観点から考えても合理的である.それに対して,減数分裂期組換えでは,相同染色体が鋳型となる確率が上がる.この意義として,(特に図1B図1■減数分裂と相同組換えに示した交差型組換え産物を生じる経路では)相同染色体どうしを物理的に結合させることで(相同染色体が分離する)減数第1分裂の正確性を保証できるという利点がある.また,全く同じ塩基配列をもつ姉妹染色体よりも部分的ながら異なる配列をもった相同染色体を鋳型とするほうが配偶子の遺伝情報を多様化するには有利だという点もある.

もう一つの大きな特徴は組換えの端緒に見られる.DNA損傷修復機構であることからもわかるように,体細胞分裂期相同組換えの多くはDNA損傷としてのDSB,すなわち「望まれざるDNA損傷」から始まる.これに対して,減数分裂期組換えの端緒は,細胞が自らの染色体DNAに導入するDSB,いわば「プログラムされたDNA損傷」である.詳しい説明は次の第2節に譲るが,言うまでもなく危険な現象であり,それ故に安全な遂行を保証する機構が何重にも備わったきわめて精緻な現象である.本稿では,減数分裂期組換えの開始反応が生体内でいかにして起こるか,という問題とその制御機構について,最新の知見をもとに解説する.なお,減数分裂期組換え全般についてはほかの総説で詳解されているので,そちらを参照されたい(1, 2)1) 福田智行,太田邦史:化学と生物,43, 654 (2005).2) 篠原 彰,篠原美紀:蛋白質核酸酵素,53, 1317 (2008).

2. 減数分裂期組換えの開始反応:プログラムされたDNA二重鎖切断

減数分裂期DSB形成は染色体上のどの位置でも均等な頻度で起こるのではなく,ホットスポットと呼ばれる特定の領域において頻発する.最近では非モデル生物も含めて解析されており,ホットスポットはほぼすべての生物に存在すると考えられる.

減数分裂期DSBは複数の因子の協調により導入されるものである(表1表1■DSB形成に関与する因子群).たとえば出芽酵母では10種類,分裂酵母では7種類のタンパク質がDSB形成に必須である.植物や哺乳類の場合は関連因子の同定が遅れている状況ではあるが,解析は着実に進んでおり,関与が示された因子の数が増えつつある.これら複数の因子群のどの一つを欠いてもDSB形成は起こらないため,すべてが重要な因子である.その中でも中心的な役割を果たすものを一つ挙げるとすれば,II型トポイソメラーゼ様タンパク質であり,種間で保存されたSpo11であろう.Spo11は,ほかの因子のサポートを何らかの形で受け,自身の活性中心のチロシン残基をDNAの5′切断末端に共有結合させる形でDSBを導入すると考えられている.

表1■DSB形成に関与する因子群
分裂酵母マウス備考
Spo11eRec12eSPO11eトポイソメラーゼ様タンパク質
Ski8eRec14eWDR61nt
Rec102eRec6eTOPOVIBLe
Rec104e
Mde2eRec6/12/14複合体とRec7/15/24複合体の相互作用を仲介する因子
Rec114eRec7eREC114ntSpo11複合体によるDSB導入を補助/促進する複合体のサブユニット
Mer2eRec15eIHO1eSpo11複合体によるDSB導入を補助/促進する複合体のサブユニット
Mei4eRec24eMEI4eSpo11複合体によるDSB導入を補助/促進する複合体のサブユニット
Mre11eRad32niMRE11niDNA修復に関与する複合体のサブユニット
Rad50eRad50niRAD50niDNA修復に関与する複合体のサブユニット
Xrs2eNbs1niNBS1niDNA修復に関与する複合体のサブユニット
Red1iRec10e軸構成タンパク質
Hop1iHop1iHORMAD1i軸構成タンパク質
Rec8iRec8iREC8niコヒーシンサブユニット
Rec11iSTAG3ntコヒーシンサブユニット
Spp1iSpp1(Spf1)ntCXXC1ntPHDフィンガードメインタンパク質
e essential; 欠損するとDSBは見られない.i involved; 欠損するとDSB量が低下する.ni not involved; DSB形成に関与しない.nt not tested; 検証されていない.同色で塗りつぶされた因子群は,同じ生物種において,複合体を形成する.

DSBは重篤なDNA損傷であり,細胞が自らの染色体DNAにそのDSBを導入することで始まる減数分裂期組換えは非常に危険な反応である.その意味において,この現象が本来的に内含する安全保証機構の一環とみなせる2つのことを次に指摘しておきたい.第一に,DSB因子のほとんどが,転写,スプライシングや翻訳などを通じて,減数分裂期のみに発現するようになっており,必要とされない体細胞などではそもそも発現しない.2点目として,DSB形成が多数の因子の協調に依存することから,一つまたは少数の因子が非制御下で活性化されてもゲノムの安定性が脅かされることはない.以降では,細胞・核内の要素によるDSB形成の制御について述べる.

染色体とクロマチン構造

生体内におけるDNA関連現象を考察する際には,DNAが染色体として存在することを考慮しなければならない.当然,これは減数分裂期組換えについても当てはまり,染色体の構造やそれを構成するタンパク質に多大な影響を受ける.この項では染色体について一般的な説明を施す.

1. 減数分裂前期までの染色体動態の概要

減数分裂期の染色体には,ユニークで興味深い特徴がいくつもあり,そのいくつかは組換えとも密接に関連する.ここでは,染色体の動態を減数分裂の進行とともに順を追って解説する(図2図2■減数分裂期の染色体動態).

図2■減数分裂期の染色体動態

詳細は本文参照.

(1) 減数分裂へと入った細胞は,減数分裂前DNA複製を行う.減数分裂前DNA複製と体細胞分裂期のDNA複製との間にはいくつかの違いがある.たとえば,両者で各複製起点の効率が異なることや減数分裂前DNA複製のほうがより時間を要することが知られている.これらの生理学的意義の詳細は現在でも不明な点が多くここでは立ち入らない.ただし,後述するように減数分裂期のDNA合成と組換えは密接に関連していることから,DNA複製に時間をかけることで,その後に起こる減数分裂期特異的な現象(組換えなど)の準備をしているのかもしれない.

(2) 複製により形成された2つの姉妹染色分体はコヒーシンの働きによりつなぎ止められる.コヒーシンは複数のサブユニットが環状に会合した複合体で,その中空部分で2本の姉妹染色分体を抱え込むようにして合着させると考えられている.この過程自体は体細胞分裂期,減数分裂期のいずれのDNA複製においても見られるが,特筆すべきは減数分裂期特異的なコヒーシンサブユニットが存在することである.これらは減数分裂特異的な染色体動態に必要不可欠な働きをする.特に,出芽・分裂酵母においては,DSB形成を促進する機能をも有する.

(3) その後,染色体は,コヒーシン結合部位が「軸(axis;アクシス)」となり,そこから無数のループが突出する,「軸・ループ構造」というユニークな高次構造を形成する.なお,この時期の「軸」はaxial elementと呼ばれる.axial elementはその後発達してlateral elementとなり,相同染色体同士が並列するシナプトネマ構造の一部となる.

2. クロマチン構造

次に,前節で述べた染色体を,その構成因子,すなわち染色体DNAとタンパク質,に注目してより細かな視点で見ることにする.一般に,真核生物の染色体DNAは核に比べて非常に長大であるため,前者はクロマチン構造と呼ばれる凝縮した構造体を形成することで後者に収容されている.

クロマチン構造の基本単位はヌクレオソームである.ヌクレオソームは,4種類のヒストンタンパク質,すなわちH2A, H2B, H3, H4が各2分子ずつ集合したヒストン八量体の周りにDNAが1.75回転巻き付いた円盤状のタンパク質–DNA複合体である.

ヌクレオソームは染色体DNAのほぼ全長にわたって分布しているが,これがさらに幾重にも折り畳まれて核内に収容されている.折り畳まれ方は一様ではなく,染色体領域や時期によって凝縮度が異なる.たとえば,セントロメアに代表されるヘテロクロマチン領域のDNA密度は高く,転写などが活性化している染色体領域でのそれは低い.また,細胞周期の中で,分裂期にはほかの時期に比べて凝縮度がよりいっそう高まる.したがって,染色体DNAは無秩序に凝縮しているわけではなく,機能性を保つように制御されて折り畳まれているのである.

3. クロマチン構造によるDNA関連現象の制御

微小な核内に収容された「生命の設計図」は複製,転写,組換え,分配などの多様な代謝反応に供されなければならない.クロマチン構造はこうした反応に多様かつ深淵な影響を及ぼすため,重要な制御要素といえる.

まず,DNA代謝反応は,基質であるDNAが凝縮したり何らかのタンパク質と結合したりしていると一般的に阻害される.こうした条件下では,DNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼなどの酵素が標的DNA部位に接近・作用することが困難であるためである.とりわけ,塩基性であるヒストンタンパク質とDNAの相互作用は強固であるためヌクレオソームの阻害作用は顕著である.この点に基づいたDNA関連反応制御機構が複数知られている.たとえば,ヌクレオソームの局在を物理的に調節して,各反応を活性化/不活性化する機構がある(3)3) C. R. Clapier & B. R. Cairns: Annu. Rev. Biochem., 78, 273 (2009)..これはタンパク質間の静電的相互作用やATPの加水分解で得られるエネルギーを利用してヌクレオソームを移動させたり除去・配置したりする機構であるが,一般的に現象を活性化する場合は当該関連cis因子(およびその近接部位)のヌクレオソーム量を低下させ,不活性化する場合には上昇させる.これによりたとえば転写が活性化されている領域ではヌクレオソーム密度が少ないことが知られている.また,ヒストンの翻訳後修飾も重要である(4)4) G. E. Zentner & S. Henikoff: Nat. Struct. Mol. Biol., 20, 259 (2013)..一般にヒストンはメチル化,アセチル化,リン酸化など多様な修飾を受け,それぞれの修飾は何らかの生物学的意義をもつとされる.たとえば,ヒストンH3のリシン4(H3K4)のメチル化やリシン9(H3K9)と14(H3K14)のアセチル化は開いた(緩んだ)クロマチン領域に見られ,転写の活性化と正に関連する.以上の機構が機能した結果,cis因子の近傍では局所的なクロマチン構造の特徴が確立される.再び転写を例にとれば,転写開始点付近ではヌクレオソームの密度が低く,メチル化H3K4やアセチル化ヒストンが多く見られる傾向がある.

一方で,クロマチン構造は複雑に折り畳まれ,3次元構造をとることでDNAの代謝を制御することもある.ここで,DNA関連現象に重要な複数の染色体部位や塩基配列が,同じ染色体上の遠い位置にあったり,別の染色体上にあったりする場合を考えよう.これらの部位や塩基配列が互いに近接して相互作用することは,1次元上では距離的に不可能であるが,3次元上では染色体DNAが立体構造を形成するため可能である.このような3次元構造によるDNA関連現象の制御機構として,転写(プロモーターとエンハンサーの相互作用)やV(D)J組換えの制御,レトロトランスポゾンの転写抑制などが報告されている.クロマチン高次構造の機能や形成機構については,解析の困難さ故に,理解が比較的遅れている.しかし,近年になって,Chromosome Conformation Capturing(3C)法という染色体の3次元構造を把握する方法,さらにそれをマイクロアレイや次世代シークエンサーの利用と組み合わせた方法が確立されたことにより,研究の速度が飛躍的に上がってきている(5)5) H. Tanizawa, O. Iwasaki, A. Tanaka, J. R. Capizzi, P. Wickramasinghe, M. Lee, Z. Y. Fu & K. Noma: Nucleic Acids Res., 38, 8164 (2010).

染色体構造によるDSB形成の制御

1. ホットスポットの局所的特徴

ここからは染色体構造中の減数分裂期DSB形成をとりあげる.まず,クロマチンの最も基本的な階層であるヌクレオソームによるDSB制御を考える.この点は,比較的初期から酵母を用いた解析がなされてきたが,最近になって哺乳類などでも重要な知見が得られている.以下に,生物ごとに現時点で明らかになっていることをまとめる.

1.1 出芽酵母

出芽酵母のホットスポットは一般的に遺伝子間領域,特に転写開始点附近に見られる.したがって,ホットスポット周辺のクロマチンの局所的な特徴は転写開始点のそれらと共通する.一つの特徴はヌクレオソーム量が少ないことであるが,これはDSB形成因子の機能を補助すると推測される(6)6) J. Pan, M. Sasaki, R. Kniewel, H. Murakami, H. G. Blitzblau, S. E. Tischfield, X. Zhu, M. J. Neale, M. Jasin, N. D. Socci et al.: Cell, 144, 719 (2011)..また,ヒストンH3の4番目のリシンがトリメチル化されている(H3K4me3)が,この修飾にはクロマチンの局所的構造と高次構造を連携する意義があるとされ,後に詳述する.

H3K4me3を担う酵素は出芽酵母の唯一の同残基メチル化酵素のSet1であり,その遺伝子破壊株では8割以上のホットスポットのDSB形成が阻害される.しかし,一部のホットスポットは影響を受けなかったり逆にDSB量が増加したりすることからH3K4me3に依存しない減数分裂期組換え開始機構も存在すると考えられる(7)7) V. Borde, N. Robine, W. Lin, S. Bonfils, V. Geli & A. Nicolas: EMBO J., 28, 99 (2009).

1.2 分裂酵母

分裂酵母のホットスポットも遺伝子間領域に存在するが,出芽酵母とは異なり,転写開始点とは一致せず,長い遺伝子間領域に多く見られる(8)8) G. A. Cromie, R. W. Hyppa, H. P. Cam, J. A. Farah, S. I. Grewal & G. R. Smith: PLoS Genet., 3, e141 (2007)..局所的なクロマチンの特徴も出芽酵母のホットスポットとは異なっている.分裂酵母でもホットスポット周辺のヌクレオソーム量は低い傾向にある(9)9) S. Yamada, K. Ohta & T. Yamada: Nucleic Acids Res., 41, 3504 (2013).が,出芽酵母のホットスポットよりも軽微な低下にとどまる(10)10) K. R. Fowler, M. Sasaki, N. Milman, S. Keeney & G. R. Smith: Genome Res., 24, 1650 (2014)..また,H3K4me3は濃縮されていない.最も顕著な特徴は,ヒストンH3のリシン9がアセチル化(H3K9ac)されていることである(9, 11)9) S. Yamada, K. Ohta & T. Yamada: Nucleic Acids Res., 41, 3504 (2013).11) T. Yamada, K. Mizuno, K. Hirota, N. Kon, W. P. Wahls, E. Hartsuiker, H. Murofushi, T. Shibata & K. Ohta: EMBO J., 23, 1792 (2004)..「クロマチン構造によるDNA関連現象の制御」で述べたように,H3K9acは開いたクロマチン領域によく見られ転写活性化とも相関することから,ホットスポット周辺でのDSB因子の機能を促進していると推測される.ただし,K9がアセチル化されないアラニンに置換された細胞においても,DSBは部分的ではあるが形成されるため,H3K9ac以外にも同様の働きをする因子があると思われる(9)9) S. Yamada, K. Ohta & T. Yamada: Nucleic Acids Res., 41, 3504 (2013).

1.3 マウスとヒト

ゲノムサイズの大きさや解析の困難さから酵母に比べて解析が遅れていた哺乳類であったが,近年になって予想外の特徴が明らかになった.マウスやヒトのホットスポットが配列特異的DNA結合性ヒストンメチル化酵素PRDM9により規定されることがわかったのだ(12)12) F. Baudat, J. Buard, C. Grey, A. Fledel-Alon, C. Ober, M. Przeworski, G. Coop & B. de Massy: Science, 327, 836 (2010)..PRDM9は減数分裂期特異的に発現するが,そのC末端側に存在するジンクフィンガーアレイドメイン(ジンクフィンガーが多数並んだドメイン)を介して配列特異的にDNAに結合し,中央部分にあるPR/SETドメインを介してH3K4をトリメチル化する.このヒストン修飾がSPO11などによるDSB形成を促進すると考えられる.つまり,マウスやヒトの場合は塩基配列によりホットスポットが決まったうえでその周辺のクロマチンが修飾される,というシナリオが想定される.最近では,PRDM9がヒストンH3の36番目のリシン(H3K36)もメチル化すること,およびマウスのホットスポットにはトリメチル化H3K36(H3K36me3)が存在することがわかった.さらにH3K4とH3K36の両者がトリメチル化されているヌクレオソームはホットスポットで高頻度に見られたことから,これらの二重修飾がPRDM9による減数分裂期組換えと関連すると考えられている(13)13) N. R. Powers, E. D. Parvanov, C. L. Baker, M. Walker, P. M. Petkov & K. Paigen: PLOS Genet., 12, e1006146 (2016).

PRDM9のノックアウトマウスでもDSBは形成されるが,これらのDSBは遺伝子転写開始点やエンハンサーなどでH3K4me3のみが濃縮されている(H3K36me3は濃縮されていない)部位などにみられた(14, 15)14) K. Hayashi, K. Yoshida & Y. Matsui: Nature, 438, 374 (2005).15) K. Brick, F. Smagulova, P. Khil, R. D. Camerini-Otero & G. V. Petukhova: Nature, 485, 642 (2012)..したがって, PRDM9はプロモーターなどの機能領域を避けるようにホットスポットを決めていることが伺われる.また,PRDM9のノックアウトマウス(14)14) K. Hayashi, K. Yoshida & Y. Matsui: Nature, 438, 374 (2005).はDSBの修復に異常をきたす.この結果とH3K36me3はDNA損傷修復に関与する例があることを併せて考えると,PRDM9はH3K36のメチル化を行うことでその後の修復を促進しているのかもしれない.

なお,PRDM9についてのおそらく最も興味深い特徴は,ジンクフィンガーアレイドメインに多型が存在することであるが,これについてはコラムで詳しく述べる.

2. 染色体高次構造と減数分裂期DSB形成

高次のクロマチン構造が減数分裂期組換えに果たす役割についても,少しずつではあるが,われわれの理解は深まってきている.上述したように,減数分裂前期の染色体は「軸・ループ構造」をとるが,この構造がDSB形成と関連することが出芽・分裂酵母で明らかになりつつある.

出芽酵母における初期の研究から,コヒーシンの局在位置とDSBの形成部位が一致しないことが明らかになった(16)16) Y. Blat, R. U. Protacio, N. Hunter & N. Kleckner: Cell, 111, 791 (2002)..このことから,コヒーシン,Red1やHop1などのタンパク質から構成される軸ではなく,そこから突出したループ中にホットスポットが存在することが提案された.その後,複数のDSB因子の局在がゲノムワイドに解析されるといくつかの興味深いことが明らかになってきた.まず,DSBを導入するSpo11の局在は減数分裂誘導後の時間とともに変化する:発現直後にはセントロメアに,続いて軸に,最終的には軸とループ中のホットスポットに結合が認められた(17)17) K. Kugou, T. Fukuda, S. Yamada, M. Ito, H. Sasanuma, S. Mori, Y. Katou, T. Itoh, K. Matsumoto, T. Shibata et al.: Mol. Biol. Cell, 20, 3064 (2009)..また,Spo11を補助するDSB因子であるRec114, Mer2, Mei4からなるRMM複合体は減数分裂前期を通じて軸に局在する(18)18) S. Panizza, M. A. Mendoza, M. Berlinger, L. Huang, A. Nicolas, K. Shirahige & F. Klein: Cell, 146, 372 (2011)..これらの観察結果は「DSB因子の協調によりホットスポットのDNA二重鎖が切断される」という事実と直感的には矛盾する.この矛盾を説明するモデルがTethered-loop/axis complex(TLAC)モデルである(19)19) N. Kleckner: Chromosoma, 115, 175 (2006).図3A図3■TLACモデルとその出芽酵母における例).これはループ中のホットスポットが軸に繋留されて(tethered),ホットスポットに局在する因子と軸因子による複合体が形成されDSB形成に至る,というものである.

図3■TLACモデルとその出芽酵母における例

(A) TLACモデル.詳細は本文参照.(B)出芽酵母におけるTLACモデルの例.Spp1タンパク質がホットスポットのH3K4me3と軸のMer2を接近させる.

TLACモデルは,提案されてからしばらくは単なるモデルにすぎなかったが,最近,これを分子レベルで支持する発見がなされた.その鍵はH3K4メチル化酵素Set1複合体のサブユニットの一つであるSpp1というタンパク質である(図3B図3■TLACモデルとその出芽酵母における例).Spp1はH3K4me3と結合するPHDフィンガードメインとMer2と結合するドメインの2つのドメインを合わせもつ. したがってこのタンパク質は,ホットスポットに見られるH3K4me3と軸に局在するMer2に同時に結合することができるため,軸とホットスポットを近接させる架け橋のような働きをもつと考えられる.実際に,Spp1欠損株ではDSBの量がSet1欠損株と同程度までに低下することが示されている(20, 21)20) L. Acquaviva, L. Szekvolgyi, B. Dichtl, B. S. Dichtl, C. de La Roche Saint Andre, A. Nicolas & V. Geli: Science, 339, 215 (2013).21) V. Sommermeyer, C. Beneut, E. Chaplais, M. E. Serrentino & V. Borde: Mol. Cell, 49, 43 (2013).

分裂酵母においてもホットスポットとコヒーシン結合部位が一致しないことが知られているため,類似したシナリオが想定される.特に興味深いのは,コヒーシンのSAサブユニットであるRec11がカゼインキナーゼCK IIによりリン酸化されると,出芽酵母Red1の分裂酵母ホモログRec10と直接的に結合し,自身の結合部位にリクルートすることである(22)22) T. Sakuno & Y. Watanabe: Dev. Cell, 32, 220 (2015)..Rec10はHop1などほかの軸構成因子と結合するので,タンパク質間相互作用により軸が発達すると思われる.一方,ホットスポットにはDSB因子であるRec15が,少なくとも部分的には,軸構造に依存せずに結合することから,ホットスポットでのDSB因子の集積は軸とは独立に起こっていると考えられる.Rec10とRec15は直接結合するので,この相互作用が分裂酵母におけるTLACモデルの要諦であるのかもしれない(23)23) T. Miyoshi, M. Ito, K. Kugou, S. Yamada, M. Furuichi, A. Oda, T. Yamada, K. Hirota, H. Masai & K. Ohta: Mol. Cell, 47, 722 (2012).

TLACモデルの分子レベルでの検証は始まったばかりといえる.しかし,前述した3Cのような昨今の解析技術の進展を考えると,近い将来にその詳細が明らかになると期待される.

減数分裂進行によるDSB形成の制御

減数分裂期DSB形成は減数分裂という細胞分裂の中で起こる現象であるため,その進行による制御を受ける(24)24) S. Keeney, J. Lange & N. Mohibullah: Annu. Rev. Genet., 48, 187 (2014).

最も典型的な例は,出芽酵母でDSBに必要なMer2タンパク質(すでに述べたRMM複合体のサブユニットの一つ)が減数分裂進行に伴ってリン酸化されることであろう.Mer2はDNA合成前に染色体に結合したあと,細胞周期進行において中心的な働きをするCDK(Cyclin-dependent kinase)とDDK(Dbf4-dependent kinase)により協調的にリン酸化される(25)25) H. Sasanuma, K. Hirota, T. Fukuda, N. Kakusho, K. Kugou, Y. Kawasaki, T. Shibata, H. Masai & K. Ohta: Genes Dev., 22, 398 (2008)..これらのリン酸化酵素(キナーゼ)は複製(体細胞分裂期,減数分裂期とも)に必須の役割を果たすことが以前より知られていたが,それに加えてDSB因子をも直接的に制御するわけである.リン酸化されたMer2はほかのRMMサブユニットであるRec114とMei4をリクルートし,これにより機能的なRMM複合体が構築されてDSB形成に至る.近年になって,Mer2のホモログと思われる分子が分裂酵母(Rec15),マウス(IHO1),フンタマカビ(Asy2)において続々と報告されており,これらが細胞周期による制御を受けるか否かという点は興味深い.

Mer2の細胞周期関連キナーゼによるリン酸化がDSB形成期の開始にかかわる制御とすれば,DSB形成期の終了にかかわる制御も知られている.こうした制御は修復できない,あるいはしきれないDSBを防ぐために重要である.これに関して出芽酵母で比較的初期から得られていた知見は,減数分裂前期の染色体の状態に対応させるとわかりやすい.すなわち,シナプトネマ構造が形成され相同染色体の対合が見られる時期(パキテン;太糸期)からシナプトネマ複合体が解体される時期(ディプロテン;複糸期)への移行が見られない状況だと,DSBが増加する.このことからパキテン期からの脱出はDSB形成期を終結させる要素と考えられる.また,最近の研究では,相同染色体を鋳型とするDSB修復が始まることで相同染色体同士が物理的に相互作用すると,その部位を含む広範な領域ではDSB形成能を失う(こうした領域からはDSBにかかわる因子群が染色体から解離することが示されている),というモデルが提唱されている.これは出芽酵母,マウスや線虫の観察結果に基づいているが,これらの生物でのより詳細なメカニズムの探究,またほかの生物での一般性の検討については今後の研究が必要である.

DNA関連反応によるDSB形成の制御

染色体DNAは減数分裂期組換え以外にも転写や複製などさまざまな反応の舞台となる.それゆえ,これらの反応の間に何らかの相互作用があっても不思議ではない.実際,転写とDNA複製は減数分裂期組換えと関連することが知られている.

1. 転写とDSB形成

出芽・分裂酵母において,転写が減数分裂期組換え開始に影響を及ぼす例やモデルが複数知られている.そのうちの一つは,筆者らが最近分裂酵母を用いて発表したことである:ホットスポットに隣接した部位で減数分裂期に転写産物が見られることに基づき,ホットスポット周辺領域が転写されることで(ホットスポットを含む領域の)クロマチン構造が緩み,DSB因子が機能しやすくなる,ということを提案した(26)26) S. Yamada, M. Okamura, A. Oda, H. Murakami, K. Ohta & T. Yamada: Genetics, 206, 801 (2017)..また,出芽酵母において,転写が軸の位置を規定するという報告がある(27)27) X. J. Sun, L. Z. Huang, T. E. Markowitz, H. G. Blitzblau, D. Chen, F. Klein & A. Hochwagen: eLife, 2015, doi: 10.7554/eLife.07424.これは,隣り合う2つの遺伝子の転写終結点が収束している部位にコヒーシンが蓄積する傾向があり,またコヒーシンサブユニットであるRec8と軸の構成因子であるRed1やHop1が物理的に相互作用することに基づいている(図4A図4■減数分裂期DSB形成の制御機構の例).転写に影響を受けてコヒーシンの結合位置が決まり,そこに軸構成因子が集積して染色体構造が形成される,というモデルが考えられている.

図4■減数分裂期DSB形成の制御機構の例

(A)転写の方向が軸の位置を規定する例.文献を参考にして作図した.染色体上の位置は同じであっても,転写方向によって軸が形成される位置が異なる.図では,簡単のため,Red1のみを示しているが,Hop1なども軸の位置の規定に関与する.詳細は本文参照.(B)減数分裂前DNA合成の異常がDSB形成を阻害する経路.出芽酵母と分裂酵母の例を示した.対応する哺乳類でのホモログのタンパク質名も参考のため記した.詳細は本文参照.(C)減数分裂前DNA合成とDSB形成が共役する機構のモデル.文献を参考にして作図した.詳細は本文参照.

2. 減数分裂前DNA複製とDSB形成

DNA複製と減数分裂期DSB形成の関連については転写より詳細に解析されている.DSBは一般的に減数分裂前DNA合成のあとに見られることから,両現象の間に何らかの相互作用があることは容易に想像できよう.より具体的なことを示唆する実験結果には次のようなものがある.出芽酵母では,複製開始点が破壊されて複製時期の遅れた領域ではDSB形成も同程度に遅れることが知られている.また,分裂酵母において,培養条件の変更により複製開始が早まった領域ではDSB形成も早くなる.以上から,まず複製が起こり,それによりDSB形成の時期が規定されることが考えられている(24)24) S. Keeney, J. Lange & N. Mohibullah: Annu. Rev. Genet., 48, 187 (2014).

また,減数分裂期に入った出芽・分裂酵母をDNA合成阻害剤であるヒドロキシ尿素(Hydroxy Urea; HU)で処理すると,DNA合成が起こらないばかりでなくDSBも見られない.これは,DNA複製の完了をチェックする「複製チェックポイント」と呼ばれる機構が,異常を感知して以降の進行を停止させるからである.この機構で中心的な役割を果たすのは保存されたタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)のATR(出芽酵母,分裂酵母ではそれぞれMec1, Rad3)とそれによりリン酸化・活性化されるやはりキナーゼのChk2(出芽酵母,分裂酵母ではそれぞれRad53, Cds1)である(図4B図4■減数分裂期DSB形成の制御機構の例).ただし,複製チェックポイントによりDSB形成が阻害される原因として考えられることは,出芽酵母と分裂酵母とで異なっている.出芽酵母では,複製に異常があった場合,Mec1がSpo11の転写やRad53のさらに下流で起こるはずのDSB因子の活性化を抑制する.一方,HU処理により活性化された分裂酵母のCds1は,減数分裂進行に必須な転写因子Mei4(ただし分裂酵母のMei4は出芽酵母のそれとは異なるタンパク質である)を転写レベルで抑制するため,Mei4により転写されるDSB因子Mde2の発現が大幅に抑制される(23)23) T. Miyoshi, M. Ito, K. Kugou, S. Yamada, M. Furuichi, A. Oda, T. Yamada, K. Hirota, H. Masai & K. Ohta: Mol. Cell, 47, 722 (2012)..いずれにせよ,複製チェックポイントはDNA複製に異常があった場合にDSB形成を防ぐため,両現象を仲介するといえる.

しかしながら,DNAが複製されていない領域であってもDSBが導入される事例が出芽・分裂酵母で報告されている.その例の一つとして,筆者らの研究を紹介する.複製チェックポイントが機能しない分裂酵母変異体(チェックポイントにかかわる因子の欠損株など)では,HUにより複製を阻害された状況でもDSBが形成される(28)28) Y. Tonami, H. Murakami, K. Shirahige & M. Nakanishi: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102, 5797 (2005)..このことはDSB形成には減数分裂前DNA合成そのものは必須ではないことを意味する.

上の2段落の内容は一見矛盾するように思われるが,これを説明するモデルが出芽酵母で提唱されている(29)29) H. Murakami & S. Keeney: Cell, 158, 861 (2014)..これは先に触れたMer2のリン酸化のうち,DDKによるリン酸化に注目したものである(図4C図4■減数分裂期DSB形成の制御機構の例).減数分裂前DNA合成が起こっている時期の細胞では,DDK活性は総じて低いが複製フォーク近傍では局所的に高いため,複製フォークが通過する際に付近のMer2を優先的にリン酸化する.「減数分裂進行によるDSB形成の制御」で述べたとおりMer2のリン酸化はRMM複合体の形成を促すため,複製とMer2のリン酸化,RMM複合体の形成さらにはDSB形成が共役すると考えられる.このモデルに従えば,たとえ複製されていないDNA鎖でも,そこに結合したMer2が複製非依存的に(低効率ではあっても)DDKによりリン酸化されれば切断の基質となりうる.興味深いモデルであり,ほかの生物での一般性の検証が待たれる.

結言

本稿では減数分裂期組換えの開始制御機構について,染色体構造,減数分裂進行およびDNA関連現象の観点から説明してきた.紙面の都合で触れなかった面も多いが,DSBという危険をおかしてまで行う減数分裂期組換えが,いかに精巧に制御されているか,その一端を感じ取っていただけたのならばうれしい.なお,細胞が自身の染色体にDSBを導入するほかの現象として,リンパ球において抗体遺伝子の多様性を創出するV(D)J組換えがあるが,この場合も,減数分裂期組換えと同様に複数の安全システムが備わっている.組換え因子が組換えの起こる細胞でのみ発現することやクロマチンの役割など,いくつかの面で2つの組換えの制御機構が似通っているのは,当然というよりは重要とみるべきかもしれない.

本稿では触れてはいないが,減数分裂期組換えの不全は,ダウン症,流産や不妊の原因にもなりうる.また,マウスで見られる雑種不稔の一部に,本稿コラムで述べたPRDM9ジンクフィンガーアレイの多型が関与することが指摘されている.これらの点は,減数分裂期組換えと医学との関連を示唆しているといえる.また,一般的な書物でもしばしば取り上げられる点ではあるが,無性生殖に比べて有性生殖にはコストがかかる(30, 31)30) 太田邦史:“自己変革するDNA”,みすず書房,2011.31) マット・リドレー,長谷川眞理子訳:“赤の女王 性とヒトの進化”,早川書房,2014..確かに繁殖速度のみに注目すると,さまざまな点において前者が後者を凌駕する.加えて,減数分裂には多数のDSBが染色体上に生じるという危険すら伴う.それにもかかわらず多くの生物が有性生殖を行い,そのほとんどにおいて減数分裂期組換えが重要な役割を果たす.この点は進化学などの専門学問分野に重要というよりは,人類としての純粋な疑問ではなかろうか.以上の例からもわかるように,減数分裂期組換えの反応機構や制御機構の全貌解明はさまざまな面で意義深い.遺伝学の黎明期に作製された遺伝地図は,振り返るに減数分裂期組換えを基盤としたものであった.それから100年以上を経たいまでも未解明の点は多い.古くて新しい課題である.

Acknowledgments

執筆の機会を下さった八代田陽子博士,原稿のチェックをしてくださった村上 創博士,山田真太郎博士に感謝申し上げます.

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