解説

ゲノム情報を活用するGluconobacter属酢酸菌の分子生物学研究多様な物質酸化系をどう解剖するか?

Molecular Biology of Gluconobacter sp. Revealed by the Genome-Based Studies: How Do We Dissect the Versatile Oxidation Systems?

Yoshitaka Ano

阿野 嘉孝

愛媛大学大学院農学研究科

Toshiharu Yakushi

藥師 寿治

山口大学大学院創成科学研究科

Published: 2018-05-20

Gluconobacter属酢酸菌は,糖類を不完全に酸化することを特徴とし,ビタミンC生産過程のソルボース発酵などに用いられている.食酢の製造にかかわるAcetobacter属酢酸菌と比べ,一般には馴染みがないかもしれない.しかし,ほかの細菌には見られない多種多様な物質酸化反応を高速高効率に行える魅力的な細菌である.細胞内代謝に加え,細胞表層で進行する強力な代謝が不完全酸化の要因となる.その完全ゲノムが発表され10年以上が経過し,この間に本菌のゲノム情報から物質酸化系代謝や生理学の背景が少しずつわかってきた.ここでは,Gluconobacterのゲノム情報を活用した研究アプローチとそこから得られた最近の知見を紹介する.本菌の分子生物学研究の魅力と将来性を伝えたい.

はじめに

Gluconobacter属酢酸菌は,Alfaproteobacteriaに属するグラム陰性の絶対好気性桿菌である.工業利用という意味で特に重要なのは,ビタミンC生産過程に組み込まれているソルボース発酵である.酢酸菌と言えば,酢酸発酵でおなじみのAcetobacter属を思い浮かべる方も多いが,Gluconobacter属酢酸菌は糖類の酸化が強いことが特徴である.Gluconobacter属は,1935年に朝井勇宣によって新設された属名であり,これまで種レベルでの体系変化は見られるものの,確固たる独立した属として定着している(1)1) 朝井勇宣:日本農芸化学会誌,11, 674 (1935).

主に醸造酢から分離されるAcetobacter属に対し,Gluconobacter属は花や果物からよく分離される.特に,多彩な糖類やポリオールに対する酸化能をもち,現在でも新たな物質酸化系が見つかるなど,将来のためのバイオマス利用産業の構築や,新規な医薬素材の開発につながる魅力的な能力を秘めている.私たちは,これら多彩な物質酸化系をさまざまな方面に発展させるべく研究を進めている.

Gluconobacterにおける遺伝子研究の歴史

Gluconobacter属酢酸菌は古くから産業上注目されており,1950年頃から精力的に研究が進められてきた.遺伝子操作については,いわゆる組換えDNA技術が整えられた頃からさまざまな取り組みがなされてきた.ゲノム配列に関しても比較的初期に報告がなされ,ゲノム情報が公開されているGluconobacter oxydans ATCC 621H株については,カウンターセレクションによる遺伝子破壊技術と複製可能な広宿主域ベクターによって,現在では,自由自在と言えるほど遺伝子操作系が整っている.カウンターセレクションによく用いられるレバンシュークラーゼ遺伝子(sacB)の系は利用できなくはないが,デキストランあるいはフルクタンを生成するために,取り扱いが困難である.高宿主域ベクターに621H株のリボソームタンパク質のプロモーターを乗せたものもあり,プロモーターの強弱を選べるようになっている.一方で,誘導剤を用いた発現誘導の仕組みはまだ整っていない.同一種であっても株間でさまざまな特徴をもつGluconobacter属酢酸菌を有効活用するには,それぞれの株で遺伝子操作系を確立できることが望ましい.これまでに報告されてきた遺伝子破壊法と利用できるプラスミドについて表にまとめたので参考にしていただきたい(表1, 2表1■Gluconobacterで行われた遺伝子破壊株作出表2■Gluconobacterで利用可能な大腸菌シャトルベクターと高宿主域ベクター).

表1■Gluconobacterで行われた遺伝子破壊株作出
菌株名ベクターカウンター・セレクション形質転換マーカー文献
G. oxydans ATCC 621pHSG298なしEPKmR31)31) S. Suzuki, M. Sugiyama, Y. Mihara, K. Hashiguchi & K. Yokozeki: Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2614 (2002).
G. frateurii THD32pUC119なしEPTcR4)4) W. Soemphol, H. Toyama, D. Moonmangmee, O. Adachi & K. Matsushita: J. Bacteriol., 189, 4800 (2007).
G. thailandicus NBRC 3255pSUP202なし接合KmR32)32) M. Shinjoh, N. Tomiyama, T. Miyazaki & T. Hoshino: Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2314 (2002).
G. oxydans ATCC 621HpK18mobGIIgusA接合GmR33)33) T. Holscher & H. Gorisch: J. Bacteriol., 188, 7668 (2006).
G. oxydans N44-1pK19mobsacBsacB接合なし27)27) V. Krajewski, P. Simic, N. J. Mouncey, S. Bringer, H. Sahm & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 76, 4369 (2010).
G. oxydans ATCC 621HpAJ63aupp接合なし16)16) B. Peters, A. Junker, K. Brauer, B. Muhlthaler, D. Kostner, M. Mientus, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 2521 (2013).
G. oxydans ATCC 621HpKOS6bcodA接合なし17)17) D. Kostner, B. Peters, M. Mientus, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 8341 (2013).
EP:エレクトロポレーション,KmR:カナマシン耐性,TcR:テトラサイクリン耐性,GmR:ゲンタマイシン耐性
表2■Gluconobacterで利用可能な大腸菌シャトルベクターと高宿主域ベクター
菌株名ベクターマーカー形質転換プロモーター文献
G. oxydans ATCC 621シャトルベクターpSG6ApREPなし34)34) N. Tonouchi, M. Sugiyama & K. Yokozeki: Biosci. Biotechnol. Biochem., 67, 211 (2003).
G. oxydans N44-1高宿主域ベクターpVK102KmR接合なし35)35) M. Shinjoh, N. Tomiyama, A. Asakura & T. Hoshino: Appl. Environ. Microbiol., 61, 413 (1995).
G. oxydans T-100シャトルベクターpFG15AKmREPEc-tufB36)36) Y. Saito, Y. Ishii, H. Hayashi, Y. Imao, T. Akashi, K. Yoshikawa, Y. Noguchi, S. Soeda, M. Yoshida, M. Niwa et al.: Appl. Environ. Microbiol., 63, 454 (1997).
G. oxydans ATCC 621H高宿主域ベクターpEXGOX-GなどaGmR接合tufB37)37) U. Schleyer, S. Bringer-Meyer & H. Sahm: Int. J. Food Microbiol., 125, 91 (2008).
G. oxydans ATCC 621H高宿主域ベクターpBBR1p264などKmR接合L35などb38)38) V. Kallnik, M. Meyer, U. Deppenmeier & P. Schweiger: J. Biotechnol., 150, 460 (2010).
G. oxydans NBRC 3244高宿主域ベクターpBBRMCS-4ApR接合lacZ39)39) S. Nishikura-Imamura, M. Matsutani, C. Insomphun, A. S. Vangnai, H. Toyama, T. Yakushi, T. Abe, O. Adachi & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 98, 2955 (2014).
aほかにKmRとApRバージョンもある.bほかにL13: ribosomal protein L13とS12: ribosomal protein S12バージョンもある.ApR:アンピシリン耐性,Ec-tufB:大腸菌tufBプロモーター,tufB: G. oxydans tufB, L35: ribosomal protein L35のプロモーター領域.

2005年にG. oxydans ATCC 621H株のゲノム配列が発表された(2)2) C. Prust, M. Hoffmeister, H. Liesegang, A. Wiezer, W. F. Fricke, A. Ehrenreich, G. Gottschalk & U. Deppenmeier: Nat. Biotechnol., 23, 195 (2005)..酢酸菌の仲間で初めてとなるゲノム情報であり,酢酸菌研究者に大きなインパクトを与えた.その後,このゲノム情報を利用した研究が進められ,ポストゲノム時代を迎えている.ここで,そのとき私たちが経験した混乱を紹介する.621H株は,ATCC(American Type Culture Collection)のほかにフランスのパスツール研究所(CIP 104215),イギリスのNCIMB(NCIMB 8036),ドイツのDSMZ(DSM 2343),ベルギーのBCCM(LMG 1403)に保存されているが,日本国内の菌株管理機関にはないため,海外から分譲を依頼することになる.ATCCには,621H株とその親株の621株とが存在するので注意が必要である.両株は互いによく似ていると推測されるが,私たちは検討したことがない.理由は不明だが,ATCCのオンラインカタログに(おそらく)何かの間違いで621株のシノニムとしてNBRC 3172株(Gluconobacter thailandicus)が掲載されている.NCIMB 621株,LMG 1673株がATCC 621株に相当するが,いずれのオンラインカタログにもシノニムとしてNBRC 3172株とNBRC 12528株が両方掲載されている.NBRC 12528株はG. oxydansであり,私たちはATCC 621株≅ NBRC 12528株であると信じている.いずれにせよ,NBRC 3172株をATCC 621H株として扱うことだけはないよう願っている.

細胞表層で進行する不完全酸化反応

Gluconobacter属に限らず,酢酸菌は不完全酸化というユニークな代謝を営む.私たちは時々「酸化発酵」とも呼んでいる.たとえばソルボース発酵は,Gluconobacterがソルビトールを酸化してソルボースを生じる.この反応は単なる一段階の酸化反応に過ぎないが,ソルビトールに6個ある水酸基のうち,特定の位置の水酸基だけを酸化してケトンにする.ソルボースは工業的ビタミンC生産の基幹化合物であり,その需要は大きい.この酸化反応はこの菌の呼吸鎖につながっており,生じる還元力は末端酸化酵素に渡され,酸素を水に還元する反応で完結する.つまり,酸素が必要な物質生産(=発酵)であるため,「酸化発酵」と呼ぶことになる.酵母や乳酸菌が行うアルコール発酵や乳酸発酵も不完全な代謝と言えるが,酸素を必要としない反応という点で決定的に異なる.

この酸化発酵のもう一つの特徴は,酸化発酵にかかわる酵素が細胞の外側に向いており,反応場がペリプラズム空間と呼ばれる細胞表層である点にある.外膜がそのさらに外側に存在するが,外膜は一般にソルビトールのような低分子化合物には透過性である.たとえば乳酸菌の乳酸発酵を考えると明らかなように,生細胞を用いた物質生産では反応場への物質輸送が必要となる.細胞質に基質(グルコース)を運び込み,反応後には生産物(乳酸)を細胞質から運び出さなければならない.酢酸菌の酸化発酵は膜輸送という観点から魅力的な物質生産系と言える.また酢酸発酵を思い起こしていただきたいのだが,細胞表層での反応の利点として,アルデヒドのような細胞にとって有害な化合物に常にさらされるような代謝経路の構築に有利となる可能性を指摘したい.

不完全酸化(酸化発酵)の成立のカギは,生産物を代謝分解しないところにある.Gluconobacterはソルボースを炭素源・エネルギー源に培養すると元気に生育しソルボースを消費する.一方で,ソルビトールを酸化して炭素源・エネルギー源に培養するとほぼ定量的にソルビトールをソルボースに酸化するが,作ったソルボースをほとんど代謝しない(3)3) H. Hattori, T. Yakushi, M. Matsutani, D. Moonmangmee, H. Toyama, O. Adachi & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 95, 1531 (2012)..私たちの研究室では,ソルボース資化に重要な細胞内酸化還元酵素と,その発現にかかわるリプレッサーを同定した(4)4) W. Soemphol, H. Toyama, D. Moonmangmee, O. Adachi & K. Matsushita: J. Bacteriol., 189, 4800 (2007)..しかし,それだけで十分な説明ができるわけではない.ソルビトールで生育するときにはソルボースの代謝が抑制されているように見えるが,どのような制御があるのか,さらにはこの抑制が本菌にとってどのような意義があるのか,今後の重要な課題として残されている.

細胞膜表層で機能する脱水素酵素の多様性

酢酸菌は,さまざまなアルコールや糖類の酸化的物質変換を特徴としているが,それを担っているのは細胞表層の膜結合型脱水素酵素である.多くの酢酸菌菌株を解析してみると,脱水素酵素にさまざまなバリエーションが見られる.このバリエーションが,自然界の厳しい生存競争を勝ち抜くことにつながったことをほのめかしている.一方,その多様性を利用する側としては,まだ見ぬユニークな酵素を期待してしまう.これらの酵素は,ピロロキノリンキノン(PQQ),フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD),あるいはモリブデン・モリブドプテリン(MCD)を補欠分子族とし,それら以外の酵素は報告されていない(図1図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株).電子伝達にかかわる補欠分子族はヘムCと[Fe-S]クラスターが古くから指摘されている.それらの触媒特性,サブユニット構成や生合成過程などそれぞれに興味深い特徴があるが,詳しい解説はほかに譲りたい(5~8)5) 藥師寿治,松下一信:バイオサイエンスとインダストリー,67, 308 (2009).6) 松下一信,藥師寿治:“酢の機能と化学,”酢酸菌研究会編,朝倉書店,東京,2012, pp. 136–150.7) Adachi O. and Yakushi T.: “Acetic Acid Bacteria: Ecology and Physiology,” eds. Matsushita K, Toyama H, Tonouchi N, and Okamoto-Kainuma A. Springer Japan, Tokyo, 2016, pp. 273–297.8) T. Yakushi & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 86, 1257 (2010).

図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株

EhrenreichグループはG. oxydans 612Hの細胞質膜に存在する膜結合型脱水素酵素の遺伝子を系統的に破壊した.最終的に図に示す9つの細胞外に向いた酵素を全て欠く変異株BP.9を作製した18)18) B. Peters, M. Mientus, D. Kostner, A. Junker, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 6397 (2013)..この多重遺伝子破壊株に,解析したい脱水素酵素遺伝子23)23) M. Mientus, D. Kostner, B. Peters, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 101, 3189 (2017).やメタゲノムサンプル由来の脱水素酵素遺伝子24)24) B. Peters, M. Mientus, D. Kostner, R. Daniel, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 101, 7901 (2017).を導入することによって詳細な解析が可能となり,新規酵素の発見に繋がった.なお,PQQ3(PQQ依存性脱水素酵素3)とPQQ4(PQQ依存性脱水素酵素4)の基質はいまだに明らかになっていない.桃色:PQQ酵素,黄色:FAD酵素,緑色:MCD酵素.ADH: アルコール脱水素酵素,ALDH: アルデヒド脱水素酵素,GLDH: グリセロール脱水素酵素,SLDH: ソルビトール脱水素酵素,GADH: グルコン酸脱水素酵素,GDH: グルコース脱水素酵素,IDH: イノシトール脱水素酵素.

また,さまざまなGluconobacter属のゲノム情報を解析することによって,同属同種のゲノム情報であっても,これらの細胞膜酵素のレパートリーは一致しないことが明らかになってきた(9)9) K. Matsushita & M. Matsutani: “Acetic Acid Bacteria: Ecology and Physiology,” eds. Matsushita K, Toyama H, Tonouchi N and Okamoto-Kainuma A. Springer Japan, 2016, Tokyo, pp. 159–178..たとえば,キナ酸脱水素酵素(QDH)は,G. oxydansの一部の株にだけ活性が認められることが知られていたが,その遺伝子がそもそも特定の菌株にしかゲノムに存在しないことがわかった(10, 11)10) D. Kostner, B. Luchterhand, A. Junker, S. Volland, R. Daniel, J. Buchs, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 99, 375 (2015).11) T. Yakushi, K. Komatsu, M. Matsutani, N. Kataoka, A. S. Vangnai, H. Toyama, O. Adachi & K. Matsushita: Protein Expr. Purif., 145, 100 (2018)..あるいは,フルクトース脱水素酵素(12)12) S. Kawai, M. Goda-Tsutsumi, T. Yakushi, K. Kano & K. Matsushita: Appl. Environ. Microbiol., 79, 1654 (2013).や2,5-ジケトグルコン酸を生じる2-ケトグルコン酸脱水素酵素(2KGDH)(13)13) N. Kataoka, M. Matsutani, T. Yakushi & K. Matsushita: Appl. Environ. Microbiol., 81, 3552 (2015).も限られた種にしか認められないうえに,同種内であっても菌株間でそのバリエーションに違いが認められる.また,グルコン酸脱水素酵素(GADH)は,Gluconobacter frateurii NBRC 3271には少なくとも2種の存在が認められるが(14)14) H. Toyama, N. Furuya, I. Saichana, Y. Ano, O. Adachi & K. Matsushita: Appl. Environ. Microbiol., 73, 6551 (2007).,621H株には一つしかなく,アイソザイムのバリエーションもさまざまなように見える.このように,Gluconobacter属酢酸菌は,酵素のバリエーションに加え,後述するように驚くほど広い基質特性をもつ酵素によって多彩な酸化能力を発揮し,巧みに自然界で生き抜いていることが伺いしれる.

新しい細胞表層酸化系

私たちは,遺伝学(野生株と遺伝子欠損株との比較)を中心とした解析から,Gluconobacter属酢酸菌に見いだされたPQQ依存性の糖質酸化反応の多くが,グリセロール脱水素酵素(GLDH)によるものであることを2003年に報告した(15)15) K. Matsushita, Y. Fujii, Y. Ano, H. Toyama, M. Shinjoh, N. Tomiyama, T. Miyazaki, T. Sugisawa, T. Hoshino & O. Adachi: Appl. Environ. Microbiol., 69, 1959 (2003)..GLDHの基質特異性は広いが,Bertrand–Hudson則と呼ばれるルールに限定することができ,末端から2番目,3番目の水酸基がD-エリスロ配位をもつポリオールの,2番目を酸化してケトンを生じる.この問題に関連して,Ehrenreichのグループは最近,興味深い研究を報告した.彼らの報告は,Gluconobacterの逆遺伝学解析を進めていくための遺伝子工学システムを開発し,それを表層脱水素酵素の解析に応用したという点で,私たち酢酸菌研究者コミュニティーに大きな衝撃を与えた.この方法は逆遺伝学解析に用いる遺伝子破壊用ベクターに,カウンターセレクションとしてウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(upp)を乗せている(16)16) B. Peters, A. Junker, K. Brauer, B. Muhlthaler, D. Kostner, M. Mientus, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 2521 (2013)..Fluoro-uracilを培地中に添加し,upp遺伝子を失ったものが生育するというスクリーニング系である.ただし,このシステムに唯一弱点があり,Gluconobacterupp遺伝子をもっているので,初めにupp遺伝子の破壊を行う必要がある.そのため彼らは,改良版として,大腸菌のシトシンデアミナーゼ遺伝子(codA)とFluoro-cytosinを利用する方法を作製した(17)17) D. Kostner, B. Peters, M. Mientus, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 8341 (2013)..これにより,codA遺伝子をもっていなければ,さまざまな酢酸菌での遺伝子破壊を実施しやすくなった.実際,私たちはこのプラスミドを分譲してもらい,Gluconobacterだけでなく,Acetobacterの遺伝子破壊にも適応できることを確認した.

さらに彼らは,uppシステムを用いて621H株の表層で働く膜結合型脱水素酵素を次々に破壊し,最終的に図1図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株に示した9種すべてを破壊したBP.9と名づけた株を構築した(18)18) B. Peters, M. Mientus, D. Kostner, A. Junker, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 97, 6397 (2013)..実際には,さらにD-乳酸脱水素酵素遺伝子(gox1253)をも破壊したBP.10株を作製したが,その後の研究にもBP.9株を用いている.脱線するが,GOX1253は別のグループが遺伝学的・生化学的に詳細に解析しており,本菌のD-乳酸依存の生育に必須の酵素で,D-乳酸に特異的な膜結合型酵素であることが報告された(19)19) B. Sheng, J. Xu, Y. Zhang, T. Jiang, S. Deng, J. Kong, C. Gao, C. Ma & P. Xu: Appl. Environ. Microbiol., 81, 4098 (2015)..さて,EhrenreichらはBP.9を作製する過程で,GLDHをもつ株ともたない株でさまざまなポリオールや糖類を用いた脱水素酵素活性を測定し,その差をとることでGLDHの基質特異性を再検討した.その結果,GLDHはBertrand–Hudson則を満たすポリオール以外に,イソプロパノールや2,3-ブタンジオールといった末端に水酸基をもたない2級アルコール,さらには1,2-シクロヘキサンジオールといった環状アルコールを基質とすることを指摘している.実はその基質特異性のプロフィールは,私たちの研究室で以前報告したGluconobacter由来の膜結合型環状アルコール脱水素酵素のそれと良く対応しており,GLDHの基質特異性の広さを改めて実感した(20)20) D. Moonmangmee, Y. Fujii, H. Toyama, G. Theeragool, N. Lotong, K. Matsushita & O. Adachi: Biosci. Biotechnol. Biochem., 65, 2763 (2001).

最近,私たちもGLDHの基質特異性を更新する機会を得た(図2図2■新たに見つかったグリセロール脱水素酵素(GLDH)の基質21,22)).一つは,炭素数5つの糖酸:ペント酸の酸化である.D-アラボン酸,D-リボン酸からはそれぞれ4-ケト-D-アラボン酸と4-ケト-D-リボン酸を生じる.膜画分からこの活性を示す分子を丁寧に精製したところ,精製標品がGLDHであったこと,遺伝子破壊株がその活性を失ったことなどからGLDHが触媒すると結論づけた(21)21) Y. Ano, R. A. Hours, Y. Akakabe, N. Kataoka, T. Yakushi, K. Matsushita & O. Adachi: Biosci. Biotechnol. Biochem., 81, 411 (2017)..この報告の中で,D-フルクトースの酸化能も見いだすことができた.私たちは以前,GLDHはD-フルクトースを酸化しないと報告していたので,これを書き換えることになった.もう一つは,GLDH遺伝子破壊株の解析を通して見つかったL-リボースである.Ehrenreichらの広範囲な研究で,GLDHの基質特異性は,ヘキソースやペントースについてはおおむねBertrand–Hudson則に従う結果となっていたが,法則に従わないD-リキソースが基質になると指摘されていた.そこで,ほかのペントースに対する酸化能を評価して,L-リボースが基質になりうることを見いだした.その産物がL-リボン酸であったことから,GLDHがアノマー炭素の水酸基を酸化することを提案している(22)22) T. Yakushi, Y. Terada, S. Ozaki, N. Kataoka, Y. Akakabe, O. Adachi, M. Matsutani & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 102, 3159 (2018).図2図2■新たに見つかったグリセロール脱水素酵素(GLDH)の基質21,22)).

図2■新たに見つかったグリセロール脱水素酵素(GLDH)の基質21,22)

D-アラボン酸を4-ケト-D-アラボン酸に酸化する酵素を探索する過程で,緑色矢印で示すようにGLDHがこの反応を触媒することを見いだした.同時に,以前は基質とならないと報告していたD-フルクトースもGLDHの基質となることがわかった21)21) Y. Ano, R. A. Hours, Y. Akakabe, N. Kataoka, T. Yakushi, K. Matsushita & O. Adachi: Biosci. Biotechnol. Biochem., 81, 411 (2017).D-アラボン酸とD-フルクトースはBertrand–Hudson則に沿う(水色).別途,GLDHがL-リボースのアノマー炭素を酸化し,L-リボノラクトンを経てL-リボン酸を生じることを見いだした22)22) T. Yakushi, Y. Terada, S. Ozaki, N. Kataoka, Y. Akakabe, O. Adachi, M. Matsutani & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 102, 3159 (2018).L-リボースはBertrand–Hudson則に沿わない(オレンジ色).比較として,GLDHの最適基質D-アラビトールを記載した.

オーファン表層脱水素酵素

621H株ゲノムには,いまだ基質が特定されていない未知のPQQ依存性酵素が2つ(PQQ3とPQQ4)存在している(図1図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株).Ehrenreichらは,上述した表層脱水素酵素欠損株BP.9に表層酵素遺伝子をプラスミドで過剰発現させ,未知・既知にかかわらず基質特性を調べている(図1図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株).プラスミドでの発現に用いるプロモーターについても詳細に検討しているので興味深い(23)23) M. Mientus, D. Kostner, B. Peters, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 101, 3189 (2017)..しかし,このような徹底的な研究を通してもPQQ3とPQQ4の基質はまだ明らかにされていない.彼らはこの発現システムをメタゲノムに応用した(図1図1■Ehrenreichグループが行ったG. oxydans 612Hの系統的な膜結合型脱水素酵素の多重遺伝子破壊株).もろみ酢からメタゲノムを採取し,プラスミドに連結,BP.9株で発現させるとことに成功した.この過程で,PQQ4のホモログを釣り上げ,2級アルコールに対する酸化能が高いことを報告している.このような解析から,未知遺伝子として登録されているものだけでなく,未純化の酢酸菌も含めた,メタゲノムサンプルからのオーファン表層脱水素酵素の解析が進められるだろう(24)24) B. Peters, M. Mientus, D. Kostner, R. Daniel, W. Liebl & A. Ehrenreich: Appl. Microbiol. Biotechnol., 101, 7901 (2017).

Gluconobacterの細胞内代謝

ゲノム情報が整備され,逆遺伝解析やオミックス解析が進められたことでGluconobacterの細胞内代謝についても系統立てて理解されるようになった(25)25) T. Hanke, K. Noh, S. Noack, T. Polen, S. Bringer, H. Sahm, W. Wiechert & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 79, 2336 (2013)..ただし,本菌の細胞内代謝(特に基幹代謝)については優れた総説があるので,ここではごく簡単に触れるだけにしたい(26)26) Bringer S, and Bott M, “Acetic Acid Bacteria —Ecology and Physiology—,” eds. Matsushita K. TH, Tonouchi N. & Okamoto-Kainuma A. Springer Japan, Tokyo, 2016, pp. 235–253.Gluconobacterの生育には,ほかの細菌に比べて高濃度の糖類を与える必要があるが,その生育は著しく低い.これは上述のように,細胞表層の代謝系を顕著に発達させていることに関連があると考えられる.実際,細胞表層のグルコース脱水素酵素を欠損させた変異株は生育速度が低下するが,糖消費や最終の細胞密度は顕著に増大する(27)27) V. Krajewski, P. Simic, N. J. Mouncey, S. Bringer, H. Sahm & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 76, 4369 (2010)..一方で,細胞内基幹代謝においていくつかの遺伝子が欠落しており,そのことも生育が悪いことに関連すると思われる.621H株はグルコースを生育基質とした際,細胞膜の外側にあるグルコース脱水素酵素(GDH)によって,そのほとんどがグルコノラクトンを経てグルコン酸へ酸化される.表層代謝系と競合しながら取り込まれた僅かなグルコースは,グルコース-6-リン酸へとリン酸化されるのは僅かで,ほとんどがグルコン酸へと酸化される.その後,リン酸化を経てさらなる代謝系へと流れていく(25)25) T. Hanke, K. Noh, S. Noack, T. Polen, S. Bringer, H. Sahm, W. Wiechert & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 79, 2336 (2013).GluconobacterではEmbden–Meyerhof–Parnas経路(EMP経路:いわゆる解糖系)が遮断されているために,ペントースリン酸経路によりピルビン酸まで代謝される.このことからも,グルコース-6-リン酸を経由しない代謝の合理性がうかがえる.また,TCA回路も遮断されているために,部分的なTCA経路を介して細胞構成成分の合成に用いられるほか,ほとんどのピルビン酸は酢酸へと酸化される.そのため,生育に酸素を必要としながら,効率よくエネルギー生成できないと考えられる.

Gluconobacterは細胞内酵素にも,基質特異性が広い一方で位置特異性と立体特異性が高い酸化還元酵素が知られている.621H株の酵素Gox0644とGox1615はいずれもNADPHを補酵素とするアルドケト還元酵素であるが,2,3-ペンタンジオンをGox0644は2R-ヒドロキシペンタン-3-オンに還元し,Gox1615は2S-ヒドロキシペンタン-3-オンに還元することができ(28)28) P. Schweiger, H. Gross & U. Deppenmeier: Appl. Microbiol. Biotechnol., 87, 1415 (2010).,光学純度の高い化学合成が困難とされるα-ヒドロキシカルボニル化合物を生産できる可能性が示されている.一方で,Gox1615はグリセルアルデヒドラセミ混合物からD体のみを特異的に還元することができるので(29)29) N. Richter, M. Neumann, A. Liese, R. Wohlgemuth, T. Eggert & W. Hummel: ChemBioChem, 10, 1888 (2009).,この場合は光学分割に利用できる道が提唱されている.また,別の酵素Gox0525が4-クロロアセト酢酸エチルエステルをNADPH依存的に還元して,スタチンの原料となる(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシ酪酸エチルエステルを光学特異的に生じるとの報告もあり(30)30) R. Chen, X. Liu, J. Lin & D. Wei: Biosci. Biotechnol. Biochem., 78, 1350 (2014).,付加価値の高い物質の生産であれば応用の可能性も十分にある.621H株のゲノムには,解析がされていない酸化還元酵素がまだ30程度残されており,これからの展開が期待される.

おわりに

本解説ではGluconobacterに特徴的な多様な物質酸化系を,ゲノム情報を利用して酵素の基質特異性および対応する遺伝子の関連性を明らかにする国内外の研究について紹介した.同時にそれらは,多様で複雑なGluconobacterの物質酸化系をどう解剖して,どう分子生物学的理解につなげていくのかという問題に対する私たちの回答である.逆遺伝学的アプローチは,これまでの知見を異なる視点で支持する結果を提供するだけでなく,新しい情報へとアップデートできる有効な手段である.新たな触媒反応の発見とそれを司る遺伝子の特定にとどまらず,既知の遺伝子産物であってもその基質特異性の情報更新へとつなげることができる.ゲノム情報という意味では,ドラフトゲノムだけでなく完全ゲノムも手軽に入手できるようになった.さまざまな菌株について,それらの特性を解析するうえでゲノム情報を活用する研究スタイルが定着しつつある.そのためには,それぞれの菌株で遺伝子工学を構築する必要がある.そもそも応用微生物学とは,微生物の多様性に敬意を払いそれを享受するものであるから,自然な流れとも言える.微生物の多様な酵素系・代謝系を,ゲノム情報を元に理解し,時に加工して利活用の深化を図りたい.

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25) T. Hanke, K. Noh, S. Noack, T. Polen, S. Bringer, H. Sahm, W. Wiechert & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 79, 2336 (2013).

26) Bringer S, and Bott M, “Acetic Acid Bacteria —Ecology and Physiology—,” eds. Matsushita K. TH, Tonouchi N. & Okamoto-Kainuma A. Springer Japan, Tokyo, 2016, pp. 235–253.

27) V. Krajewski, P. Simic, N. J. Mouncey, S. Bringer, H. Sahm & M. Bott: Appl. Environ. Microbiol., 76, 4369 (2010).

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30) R. Chen, X. Liu, J. Lin & D. Wei: Biosci. Biotechnol. Biochem., 78, 1350 (2014).

31) S. Suzuki, M. Sugiyama, Y. Mihara, K. Hashiguchi & K. Yokozeki: Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2614 (2002).

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38) V. Kallnik, M. Meyer, U. Deppenmeier & P. Schweiger: J. Biotechnol., 150, 460 (2010).

39) S. Nishikura-Imamura, M. Matsutani, C. Insomphun, A. S. Vangnai, H. Toyama, T. Yakushi, T. Abe, O. Adachi & K. Matsushita: Appl. Microbiol. Biotechnol., 98, 2955 (2014).