農芸化学@HighSchool

腹ペコアリと満腹アリの行動学的考察
西日本を中心に拡大するアルゼンチンアリの分布調査とフェロモンを使った駆除

Vol.56 No.8 Page. 581 - 583 (published date : 2018年7月20日)
勝野 浩志1, 野村 真愛1, 平林 功多1, 若尾 岳登1, 藤本 千夢1, 柘植 千佳1, 長谷川 雄登2, 竹腰 和真2, 山本 忠輝2, 貝川 太亮2
  1. 岐阜県立八百津高等学校自然科学部
  2. 岐阜県立加茂高等学校自然科学部

概要原稿

本研究は,日本農芸化学会2018年度大会(開催地:名城大学)における「ジュニア農芸化学会」で発表された.外来特定生物であるアルゼンチンアリについて,種特異的に有効な道しるべフェロモンに着目し,誘引捕獲による「大量誘殺」法の開発を目的とした.アリのフェロモンと採餌行動の関係を明らかにする実験では,「腹ペコアリ」はフェロモン軌跡を「巣」から「エサ場」に,「満腹アリ」はその逆にたどることを明らかにした.続いてフェロモントラップの作成に進み,ろ紙とペットボトルを加工した蟻地獄型容器がアリの捕獲に最適であること,また道しるべフェロモンを誘引だけでなく,正規航路のかく乱にも有効であることを見いだした.これらは,新規なフェロモン農薬の開発にもつながる独創的かつ画期的な結果として,学会から高く評価された.

リファレンス

  1. 1) 環境省自然環境局:アルゼンチンアリ防除の手引き,2009.
  2. 2) 田付貞洋:アルゼンチンアリ 史上最強の侵略的外来種,東京大学出版,2014.
  3. 3) 砂村栄力:侵略的外来種アルゼンチンアリの社会構造解析および合成道しるべフェロモンを利用した防除に関する研究,東京大学博士論文,2011.


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