農芸化学@HighSchool

空中胞子DNA検出によるキノコの判別と生育域調査

Vol.59 No.3 Page. 156 - 159 (published date : 2021年3月1日)
杉山 賢大1
  1. 静岡県立掛川西高等学校自然科学部

概要原稿

本研究では,空気中に飛散しているキノコの胞子由来のDNAを検出することでキノコの生育域と種の特定を行うことを目的にした.独自に開発した簡易的な空中微粒子採取装置を用いて胞子を収集し,PCR法によってDNAを検出することにした.はじめにシイタケの子実体のDNA増幅を行い,胞子由来のDNAを検出できるのか検証したところ,良好な結果が得られた.次に野外調査を行った.静岡県の山麓の空気中に飛散している胞子由来DNAを分析した結果,マツタケと推定できる胞子由来のDNAを検出することに成功した.さらに採取装置の設置地点周辺にて実際にマツタケを発見できたことから,自然界に生育するキノコの種の特定が簡便に行えることがわかった.静岡県ではこれまでマツタケの生育を確認できていなかったが,県内でマツタケの生育を確認できたことは本研究での新たな発見である.

リファレンス

  1. 1) 宜寿次盛生:林産試だより,2014(3), 4 (2014).
  2. 2) 藤田 徹,藤田博美:「胞子採取法の改良の検討」,京都府林業試験場
  3. 3) 猪俣 衛:北日本病原中研録,1980(31), 98 (1980).
  4. 4) 静岡県立掛川西高等学校:空中環境DNAを使った鳥類調査方法の確立.(2018年度の本校の研究)
  5. 5) 宮崎和弘:「IGS1領域の塩基配列データを利用したシイタケ品種の識別について」,平成24年度森林総合研究所九州支所年報,24 (2012).


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