農芸化学@HighSchool

軟体動物の腎嚢の生育場所によるニハイチュウの極帽形態の変化

Vol.61 No.11 Page. 569 - 571 (published date : 2023年11月1日)
岸上 栞菜1
  1. 兵庫県立姫路東高等学校科学部生物系研究部

概要原稿

ニハイチュウ(二胚動物門)は,底生頭足類の腎嚢に片利共生する体長数mm の多細胞動物である.ニハイチュウには蠕虫型と滴虫型の2 タイプがあり,蠕虫型個体が腎嚢に接着する頭部(極帽)の形状は腎嚢表面の凹凸によって異なるとされている.蠕虫型ニハイチュウの極帽は幼生の段階ではすべて同じ円錐形であるが,極帽が円錐形の種は腎嚢の窪みにのみ接着し,成長しても円錐形を維持した.一方,極帽が円盤形の種は平坦な場所にのみ接着し,成長しても極帽は成長しないか途中で成長が止まり,極帽の形が円盤形に変形した.幼生の段階では同じ表現型を示す別種の生物が,成長の過程で異なる表現型に移行する仕組みを明らかにするための基礎的な知見を得た.

リファレンス

  1. 1) 古屋秀隆:比較生理生化学会誌,13, 209 (1996).
  2. 2) 古屋秀隆:日本動物分類学会第38回大会講演抄録,2002.
  3. 3) 古屋秀隆:比較生理生化学会誌,21, 128 (2004).
  4. 4) 古屋秀隆:日本動物分類学会誌,21, 19 (2006).
  5. 5) 栗田ひろ子,能登朋子,遠藤 浩:原生動物学雑誌,40, 68 (2007).
  6. 6) 古屋秀隆:東レ科学振興会第52回事業報告書,2011, pp.70-71.
  7. 7) 古屋秀隆:日本動物分類学会誌,48, 1 (2020).
  8. 8) 古屋秀隆:日本動物分類学会誌,48, 3 (2020).
  9. 9) 越田 豊:日本科学教育学会年会論文集,6, 145 (1982).
  10. 10) 能登朋子,山口正晃,遠藤 浩:日本分子生物学会年会プログラム講演要旨集,21, 343 (1998).


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