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植物の硝酸シグナル応答機構
NIN様タンパク質が硝酸シグナル応答を司る
Vol.52 No.7 Page. 421 - 423 (published date : 2014年7月1日 advanced publication : 2014年6月20日)
概要原稿
植物は必要な栄養元素の多くを土壌中から吸収して生長しており,窒素はこのような栄養元素の中で最も必要量が多い元素である.植物は一般に硝酸態とアンモニア態として窒素を獲得するが,陸上に生育する大多数の植物種は硝酸態窒素を主たる窒素源としている.植物に取り込まれた硝酸態窒素は同化されてアミノ酸,核酸,クロロフィルなどの窒素原子を含む生体物質の生合成に用いられる.一方で,1990年前後に植物に硝酸態窒素を与えると硝酸輸送体の遺伝子や硝酸同化を担う酵素の遺伝子の発現が大きく誘導されることがわかり,また,遺伝子発現の包括的解析が可能となった2000年代には硝酸同化に直接関連する遺伝子のみならずペントースリン酸経路で働く酵素の遺伝子,転写因子やタンパク質リン酸化酵素の遺伝子など多様な遺伝子の発現レベルが硝酸態窒素の投与に応答して調節されることが明らかとなって,重要な栄養素である硝酸態窒素に対する応答機構の存在が考えられるようになってきた.
リファレンス
- 1) G. Krouk, N. M. Crawford, G. M. Coruzzi & Y.-F. Tsay : Curr. Opin. Plant Biol., 13, 265 (2010).
- 2) M. Konishi & S. Yanagisawa : J. Exp. Bot., in press.
- 3) M. Konishi & S. Yanagisawa : Nat. Commun., 4, 1617 (2013).
- 4) C. Marchive, F. Roudier, L. Castaings, V. Bréhaut, E. Blondet, V. Colot, C. Meyer & A. Krapp : Nat. Commun., 4, 1713 (2013).
- 5) W. Suzuki, M. Konishi & S. Yanagisawa : Plant Signal. Behav., 8, e25975 (2013).
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