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世代を越えたエピジェネティックな遺伝子発現変化の規則性
単一細胞追跡システムによって見えてきたもの
Vol.52 No.9 Page. 568 - 570 (published date : 2014年9月1日 advanced publication : 2014年8月20日)
概要原稿
細胞は分裂する際に正確にDNAのコピーを作り,親のもつ遺伝情報を子孫に受け継いでいく.ヒトを例に考えると,もともとは母親の卵子と父親の精子が受精し,一つの細胞から分裂を繰り返し,最終的には約60兆個の細胞から作られるが,基本的に個々の細胞は同じDNAをもっている.しかし,それぞれの組織・器官は同じDNAをもっているにもかかわらず,独自の特性を示している.これは,DNA配列に依存しない「エピジェネティックな発現制御」を受け,個々の細胞間で遺伝子の発現状態が異なっているからである.近年,この「エピジェネティックな発現制御機構」が破綻することにより,さまざまな疾患が起こることが報告され注目を集めている.しかし,何が引き金となってエピジェネティックな発現制御機構が変化するのか,エピジェネティックな発現制御機構は個々の細胞間でどの程度のばらつきがあるのか,分裂を繰り返した際に変化するエピジェネティックな発現制御機構に規則性はあるのかなど,いまだ不明な点が多い.
リファレンス
- 1) L. N. Rusche et al. : Annu. Rev. Biochem., 72, 481 (2003).
- 2) J. K. Sun et al. : Genes Genet. Syst., 86, 73 (2011).
- 3) M. Oki & R. T. Kamakaka : Mol. Cell, 19, 707 (2005).
- 4) Y. Mano et al. : PLoS Biol., e1001601 (2013).
- 5) M. Oki et al. : Mol. Cell. Biol., 24, 1956 (2004).
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