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原核生物におけるsmall RNAによる転写後発現制御研究の展開
その作用機構と制御ネットワーク全体での役割
Vol.51 No.11 Page. 725 - 727 (published date : 2013年11月1日)
概要原稿
原核生物はあらゆる環境で生息しているが,そこで生きるためには真核生物よりも少ない遺伝情報を巧みに制御して細胞内のタンパク質を必要なときに必要な量だけ合成する.これまで転写レベルの調節を担う転写制御因子に関する研究が盛んに行われ,環境中のシグナル物質に応答するタンパク質による転写効率の変化という観点から遺伝子発現制御機構の理解が深められてきた.近年RNAを中心とした転写後レベルでの調節の重要性が認識されてきており,その中でも特に non-coding small RNA (sRNA) による制御が注目を集めている.sRNAはRNA結合性タンパク質の活性を制御するものと,あるRNAに対してアンチセンスRNAとして機能するもの(もしくはその両方の機能を有するもの)に大別されるが,本稿では後者のみについて触れる.
リファレンス
- 1) 水野 猛:化学と生物,49, 426 (2011).
- 2) E. Holmqvist, C. Unoson, J. Reimegård & E. G. H. Wagner : Mol. Microbiol., 84, 414 (2012).
- 3) C. P. Corcoran, D. Podkaminski, K. Papenfort, J. H. Urban, J. C. Hinton & J. Vogel : Mol. Microbiol., 84, 428 (2012).
- 4) J. Vogel & B. F. Luisi : Nat. Rev. Microbiol., 9, 578 (2011).
- 5) 森田鉄平,饗場弘二:化学と生物,45, 298 (2007).
- 6) V. Pfeiffer, K. Papenfort, S. Lucchini, J. C. Hinton & J. Vogel : Nat. Struct. Mol. Biol., 16, 840 (2009).
- 7) K. J. Bandyra, N. Said, V. Pfeiffer, M. W. Górna, J. Vogel & B. F. Luisi : Mol. Cell, 47, 943 (2012).
- 8) K. Fröhlich & J. Vogel : Curr. Opin. Microbiol., 12, 674 (2009).
- 9) K. Papenfort, Y. Sun, M. Miyakoshi, C. K. Vanderpool & J. Vogel : Cell, 153, 426 (2013).
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